JP3924731B2 - 香粧品組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香粧品組成物及び該組成物に配合するのに適した四級アンモニウム塩化合物に関する。また、本発明は、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を含有することを特徴とするパーマネント・ウェーブ液組成物又は染毛剤組成物等の毛髪化粧料組成物に関する。
【0002】
なお、本明細書において“ラノリン脂肪酸”とは、ヒドロキシラノリン脂肪酸と非ヒドロキシラノリン脂肪酸の混合物を意味する。
【0003】
また、融点は、特記しない限り日本化粧品原料基準に基づき第2法上昇融点により測定した値である。
【0004】
【従来の技術】
ラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、化粧品の配合成分として公知である(特公昭63−60725号公報)。このラノリン脂肪酸は、炭素数10〜36程度の分枝ないしヒドロキシ基を有することのある脂肪酸であり、非ヒドロキシ成分と、ヒドロキシ成分の分離法及びそのエステル誘導体、並びに該エステル誘導体の化粧品・外用薬の添加剤としての用途が特開平6−293614号に開示されている。
【0005】
しかしながら、ラノリン脂肪酸のエステルは脂溶性が高いため、クリーム剤などには好適に使用できるが、シャンプー、リンスなどの液体整髪料では安定に分散ないし溶解させるために他の配合剤を添加する必要があり、成分の選択にやや制約を受ける場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液体整髪料、毛髪化粧料などの香粧品にも広範囲に使用でき、また髪質を良くし毛髪ダメージ抑制効果を有する香粧品添加剤、および該添加剤を配合した香粧品組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、ラノリン脂肪酸をヒドロキシラノリン脂肪酸と非ヒドロキシラノリン脂肪酸に分離し、各々からヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩および非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を製造し、これをリンスに適用したところ、驚くべきことにヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は髪にこしを与えるボリューム感に優れており、一方非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は髪にしっとり感を付与する効果が大きく、これらの効果は、ラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩よりも優れており、ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩及び非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、いずれも香粧品組成物の添加剤として有用であることを見出した。
【0008】
さらに、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩に注目して研究を進めたところ、該四級アンモニウム塩化合物に特に毛髪ダメージ抑制作用及びダメージ修復作用が強く、これをパーマネント・ウェーブ液や染毛剤等の毛髪を痛める原因となる毛髪化粧料と組み合わせることにより該毛髪化粧料等による毛髪のダメージが有意に防止できると共に一旦生じたダメージを修復できること、また驚くことに非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩に染毛剤等の染色・発色効果を強めるとともに、洗髪等による色落ちや色あせを防止し色持ちを良くする濃染作用及び染めむらを生じず、均一に染色する均染作用があることを見いだした。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明は以下の項1〜項9を提供するものである。
【0011】
項1. ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩。
【0012】
項2. 非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩。
【0013】
項3. ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を必須成分とする香粧品添加剤。
【0014】
項4. 非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩からなる香粧品添加剤。
【0015】
項5. ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩又は非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる香粧品組成物。
【0016】
項6. 非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる毛髪化粧料添加剤。
【0017】
項7. 非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる毛髪化粧料組成物。
【0018】
項8. 非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなるパーマネント・ウェーブ液組成物。
【0019】
項9.非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる染毛剤組成物。
【0020】
【発明の実施の態様】
本発明において“非ヒドロキシラノリン脂肪酸”とは、下記のイソ型脂肪酸I:30〜45重量%、アンテイソ型脂肪酸II:30〜50重量%及びノルマル型脂肪酸III:10〜30重量%を含み、上記イソ型脂肪酸Iとアンテイソ型脂肪酸IIの合計量が少なくとも60重量%であり、かつ、ヒドロキシ脂肪酸の含有量が10重量%未満である。
【0021】
*イソ型脂肪酸I
CH3-CH(CH3)-(CH2)n-COOH(n=6〜26);
*アンテイソ型脂肪酸II
CH3CH2-CH(CH3)-(CH2)n-COOH(n=6〜26);
*ノルマル型脂肪酸III
CH3-(CH2)n-COOH(n=8〜28)。
【0022】
本発明において“ヒドロキシラノリン脂肪酸”は、「ヒドロキシ脂肪酸(以下、単にHYともいう。)」と「α−ヒドロキシ脂肪酸(以下、単にALFともいう。)」を含む。
【0023】
「HY」は、炭素数14以上のα−ヒドロキシ脂肪酸を少なくとも60重量%含む脂肪酸であって、このうちノルマル型α−ヒドロキシ脂肪酸IVは50〜70重量%、イソ型α−ヒドロキシ脂肪酸Vは10〜30重量%:アンテイソ型α−ヒドロキシ脂肪酸VIは0〜15重量%、ω−ヒドロキシ脂肪酸は0〜15重量%、ケン化価(SV)は約160〜210であり、日本化粧品原料基準の第4法により測定した融点が50〜85℃である。
【0024】
「ALF」は、炭素数14以上のα−ヒドロキシ脂肪酸を少なくとも60重量%含む脂肪酸であって、このうちノルマル型α−ヒドロキシ脂肪酸IVは50〜70重量%、イソ型α−ヒドロキシ脂肪酸Vは10〜30重量%、アンテイソ型α−ヒドロキシ脂肪酸VIは0〜15重量%、ω−ヒドロキシ脂肪酸は0〜5重量%、ケン化価(SV)は約165〜210であり、日本化粧品原料基準の第4法により測定した融点が55〜85℃である。
【0025】
なお、HYおよびALFともに、炭素数14以上のα−ヒドロキシ脂肪酸以外の成分(40重量%以下)は、ラノリン脂肪酸由来のものである。
【0026】
*α−ヒドロキシ脂肪酸(ノルマル型IV)
CH3-(CH2)n-CH(OH)-COOH(n=11〜22);
*α−ヒドロキシ脂肪酸(イソ型V)
CH3-CH(CH3)-(CH2)2n-1-CH(OH)-COOH(n=5〜10);
*α−ヒドロキシ脂肪酸(アンテイソ型VI)
CH3CH2-CH(CH3)-(CH2)2n-1-CH(OH)-COOH(n=5〜10)。
【0027】
なお、以下において、非ヒドロキシラノリン脂肪酸を“LAN-COOH”と略し、ヒドロキシラノリン脂肪酸を“HO-LAN-COOH”と略す場合がある。
【0028】
本発明で用いられる非ヒドロキシラノリン脂肪酸(LAN-COOH)、ヒドロキシラノリン脂肪酸(HO-LAN-COOH)は、例えば特開平6−293614号に記載される方法に準じて調製することができる。具体的には、例えばまず公知のラノリン脂肪酸をホウ酸処理してこれに含まれるヒドロキシ脂肪酸類、すなわちヒドロキシ脂肪酸及びその低級アルコールエステルの水酸基をホウ酸エステル化する。次いで減圧蒸留し、ヒドロキシ脂肪酸類のホウ酸エステル成分と非ヒドロキシラノリン脂肪酸とに分離する。かくして得られる非ヒドロキシラノリン脂肪酸には、未反応のホウ酸やヒドロキシラノリン脂肪酸のホウ酸エステルが一部混入する場合があるが、これらは、加水分解等によって脱ホウ酸することにより除去することが出来る。一方、ヒドロキシ脂肪酸のホウ酸エステルは、常法に従い加水分解反応等することによりヒドロキシ脂肪酸(HY)とし、減圧蒸留すると、α−ヒドロキシ脂肪酸成分(ALF)とω−ヒドロキシ脂肪酸成分に分離することができる。
【0029】
なお、用いられるホウ酸処理及び減圧蒸留は常法により行うことができ、具体的には、ホウ酸処理は原料脂肪酸に対して約0.5〜5倍当量(原料脂肪酸類の水酸基価により求めた反応等当量を基準とする。)のホウ酸を用い、約50〜150℃の温度下で、約0.5〜8時間をかけて行う方法が例示される。また減圧蒸留は、1トール以下、好ましくは0.5〜0.001トールの範囲で、約250℃、好ましくは約120〜200℃の範囲の条件から適宜選択して行われる。
【0030】
本発明の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩及びヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、それぞれ下記の式(1)及び式(2)により示される。
【0031】
【化1】
LAN-CONR1-(CH2)n-N+R2R3R4・X- (1)
HO-LAN-CONR1-(CH2)n-N+R2R3R4・X- (2)
〔式中、R1は水素原子又はC1〜C4アルキル基であり、R2及びR3は同一又は異なってC1〜C4アルキル基を示し、R4はアルキル基、アルアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は不飽和脂肪族炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基又は-SO4R4を示す。nは2〜5の整数を示す。〕
1〜C4アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基が挙げられる。
【0032】
アルアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピルなどが挙げられる。
【0033】
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などのC1〜C10のアルキル基が挙げられる。
【0034】
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチルなどが挙げられる。
【0035】
不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル、アリル、3−ブテニルなどが挙げられる。
【0036】
上記式(1)及び式(2)によりそれぞれ示される本発明の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩及びヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、ラノリン脂肪酸に代えて各々非ヒドロキシラノリン脂肪酸及びヒドロキシラノリン脂肪酸を原料として用い、特公昭63−60725号の記載に準じて行うことができるが、具体的には、例えば以下の反応工程式により得ることができる。
【0037】
<反応工程式>
【0038】
【化2】
Figure 0003924731
【0039】
〔式中、R1、R2、R3、R4、X及びnは前記に同じ。〕
<工程A>
非ヒドロキシラノリン脂肪酸(1-1)とHNR1-(CH2)n-NR2R3 (1-2) のジアミンを縮合剤の存在下に反応させることにより、縮合体(1-3)を得ることができる。反応は、原料の非ヒドロキシラノリン脂肪酸(LAN-COOH)1モルに対し、ジアミン HNR1-(CH2)n-NR2R3 を1〜2モル、縮合剤を1〜2モル用い、130〜160℃、常圧にて3〜5時間反応後、減圧にて1〜2時間程度反応させることにより有利に進行する。この時、必要に応じて、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、トルエン等の溶媒を使用することもできる。
【0040】
<工程B>
得られた縮合体(1-3)をR4Xで表される化合物と反応させることにより、目的とする式(1)の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩が得られる。かかる反応は、必要であればトリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下で行うこともできる。また溶媒として、上記工程Aで用いた溶媒を用いても良い。
【0041】
反応は、縮合体(1-3)1モルに対し、R4Xを1〜2モル用い、60〜90℃で3〜6時間反応させることにより有利に進行する。
【0042】
なお、Xが-SO4R4で表されるとき、R4Xは硫酸ジメチル、硫酸ジエチルなどの硫酸エステルを示す。
【0043】
<工程C>
工程Aと同様な条件下に縮合反応を行うことにより、縮合体(2-3)を得ることができる。
【0044】
<工程D>
工程Bと同様な条件下に反応を行うことにより、目的とする式(2)のヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を得ることができる。
【0045】
なお、本発明は、公知のラノリン脂肪酸をヒドロキシ基のあるラノリン脂肪酸とヒドロキシ基のないラノリン脂肪酸に分離し、該分離して得られたヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を用いることを特徴とする。各四級アンモニウム塩化合物は、他方の四級アンモニウム塩化合物を含まないように更に精製されてもよいが、各四級アンモニウム塩化合物が有する特有な効果に影響を与えない範囲で他方の脂肪酸の四級アンモニウム塩を含んでいてもよい。例えば、本発明のヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩には、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩が全体の10重量%以下の範囲で含まれていてもよいし、また非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩には、ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩が全体の10重量%以下の範囲で含まれていてもよい。
【0046】
本発明において“香粧品”とは、毛髪化粧料、洗顔料、化粧水、ローションなどの液体化粧料、乳液、コールドクリーム、ファンデーション、口紅、石鹸、マニキュア等のネイルコート剤などが挙げられ、中でも好ましいものとして毛髪化粧料が挙げられる。
【0047】
また、本発明でいう“毛髪化粧料”には、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアパック等の洗髪料もしくは洗髪化粧料のみならず、パーマネント・ウェーブ液、染毛剤、カラーリンス、脱色剤(ブリーチ)、カラーマニキュア等の何らかの化学的処理により毛髪にダメージを与えることのある毛髪用剤、ドライヤー等による熱風処理の際に使用されるムースやジェル等の整髪料等が含まれる。
【0048】
本発明の「ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を必須成分とする香粧品添加剤」は、前述のヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩そのものからなるものであってもよいし、また髪にこしを与えてボリューム感を付与するといったヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩が有する特有な効果を発揮する範囲で該四級アンモニウム塩を含んでいれば、他の香粧品添加剤の成分を含んでいてもよい。なお、他の香粧品添加剤の成分としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩等が例示される。
【0049】
本発明の香粧品添加剤の香粧品に対する配合比率は、香粧品の種類により異なるが、例えばクリームの場合には0.1〜50重量%程度、非水系のメイクアップ化粧料では0.1〜80重量%程度、好ましくは1〜40重量%程度である。また毛髪化粧料の場合、非水系のオイルタイプのものでは0.1〜90重量%程度、非水系のクリームタイプのものでは0.1〜50重量%程度、シャンプーの場合には0.1〜10重量%程度、リンスの場合には0.1〜50重量%程度、パーマネント・ウェーブ液の場合には0.01〜20重量%程度、好ましくは0.1〜10重量%程度、染毛剤の場合は0.01〜20重量%程度、好ましくは0.1〜10重量%程度、カラーマニキュアの場合は0.05〜10重量%程度、脱色剤の場合は0.05〜10重量%程度、ムースやジェル等の整髪剤の場合は0.05〜10重量%程度が挙げられる。
【0050】
本発明の「香粧品組成物」は、ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩または非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩以外の成分としては、公知の香粧品組成物の成分がいずれも用いられる。
【0051】
後述の実施例に示すように、本発明の四級アンモニウム塩化合物のうち、ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩、特にALFカチオンは髪にこしを与えてボリューム感を付与する効果が高く、また非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩もしくはそのカチオンは髪にしっとり感を付与する効果が大きい。
【0052】
さらに、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、薬剤等の化学的処理や熱等の物理的処理によって生じるケラチン蛋白の変性,損傷、メラニン色素の褪色、キューティクルの歪み,損傷,剥離等による毛髪のダメージを防止すると共に生じてしまった該ダメージをも修復し、また水分蒸発による髪のパサツキ、触感や櫛通りの悪化、柔軟性や艶の減少、また毛髪の強度の低下を有意に防止することができ、毛髪ダメージ抑制剤、毛髪ダメージ修復剤として有用である。従って、本発明の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、毛髪ダメージ抑制剤、修復剤として髪にそのまま適用することもできるが、毛髪化粧料添加剤としてパーマネント・ウェーブ液、染毛剤、カラーマニキュア、脱色剤(ブリーチ)等、毛髪にダメージを与えることのある毛髪化粧料、もしくは毛髪にダメージを与える原因となる熱風乾燥等の際に用いられるムースやジェル等の整髪料等に添加・配合して用いることもできる。
【0053】
また、この非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は、染毛剤等とともに使用されることにより該染毛剤等の染色・発色を強め、染めむらを防止し、さらに色あせを防止して色持ちを良くする効果を奏するため、発色・染色強化剤、染色持続剤もしくは染色補助剤として有意に使用できる。かかる点からも該四級アンモニウム塩は染毛剤、カラーマニキュア、カラーリンス等の添加剤として有用である。
【0054】
これらの毛髪化粧料に配合して使用される場合の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩の添加量としては、毛髪化粧料の種類によって異なるが、例えば前述する香粧品添加剤の場合と同様な配合比率が挙げられる。
【0055】
本発明の毛髪化粧料組成物は、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩以外の成分としては、公知の毛髪化粧料組成物の成分がいずれも用いられる。
【0056】
また、本発明は、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を含有することを特徴とするパーマネント・ウェーブ液組成物である。
【0057】
ここで用いられる非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)は、前述のR1〜R4、X及びnで規定されるものであれば特に制限されないが、パーマネント・ウェーブ液による毛髪のダメージを防止・修復し、ウェーブ保持性を高める等という作用の点から、より好ましくは、式:
【0058】
【化3】
Figure 0003924731
【0059】
〔式中、R1及びnは前記に同じ。〕
で示されるものが例示される。
【0060】
すなわち、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩、好ましくは上記官能基を有する非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を含有する本発明のパーマネント・ウェーブ液組成物によれば、パーマネント・ウェーブ液の還元及び酸化作用による毛髪の強度の低下を防止できると共に該パーマネント・ウェーブ液によって生じるダメージを抑制・修復し、さらにウェーブ保持性をより高めることができる。
【0061】
本発明の組成物は、還元剤を基剤とする第1剤からなる還元剤成分と、酸化剤を基剤とする第2剤からなる酸化剤成分からなる。非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)は、かかる第1剤または第2剤のどちらか一方のみに含有されていてもよいし、双方に含有されていてもよいが、好ましくは第2剤のみ、又は双方に含有されている場合である。
【0062】
非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩の配合量は、第1剤、第2剤のそれぞれに対して、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜10重量%である。
【0063】
本発明のパーマネント・ウェーブ液組成物(第1剤、第2剤)は、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩以外の成分としては、公知のパーマネント・ウェーブ液の成分がいずれも用いられる。例えば、第1剤にはチオグリコール酸、システィン等の還元剤が含まれ、更に還元作用を効果的にするためのアルカリ剤を含んでいてもよい。また第2剤には臭素酸アルカリ金属塩等の酸化剤が含まれる。また、本発明の組成物には、このほかに本発明の効果を妨げない限り、界面活性剤、油性基剤、保湿剤、平滑剤、低級アルコール、キレート剤、抗炎剤、香料、着色料、防腐剤、噴射剤、pH調整剤、水等の成分が含まれていてもよい。
【0064】
本発明の組成物の1%水溶液のpHは、第1剤の場合、通常pH5〜13、好ましくはpH8〜10であり、第2剤の場合、通常pH9以下であり、好ましくはpH3〜7である。
【0065】
本発明の組成物の形態は、液体、ペースト、固体、粉体、スプレー、泡状、ジェル状等特に制限はされないが、使い易さの点から、好ましくは液体、ペースト、泡状、ジェル状である。本発明の1態様として、液体状のパーマネント・ウェーブ液組成物を例示すれば、例えば第1剤として、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)が0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、還元剤が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜30重量%、水が45〜95重量%であり、アンモニア水等のアルカリで上記の範囲になるようにpH調整されたものが挙げられ、第2剤として、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)が0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、酸化剤が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜30重量%、水が45〜95重量%含まれるものが挙げられる。
【0066】
さらに、本発明は非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を含有することを特徴とする染毛剤組成物である。
【0067】
ここで用いられる非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)は、前述のR1〜R4、X及びnで規定されるものであれば特に制限されないが、濃染及び均染色作用及び色落ちを少なくする等の作用の点から、より好ましくは、式:
【0068】
【化4】
Figure 0003924731
【0069】
〔式中、R1及びnは前記に同じ。〕
で示されるものが例示される。
【0070】
すなわち、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩、好ましくは上記官能基を有する非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を含有する本発明の染毛剤組成物によれば、染毛という化学的処理又は着色料の付着蓄積に伴うキューティクルのダメージ、触感の悪化及び著しい毛髪強度の低下を防止すると共にこれらのダメージを修復し、さらに染毛剤に含まれる染色剤の付着、発色を高めることができる。
【0071】
なお、本発明でいう“染毛剤”とは、酸化染毛剤、一時染毛剤、カラーマニキュア、カラーリンス、カラーシャンプー、カラートリートメント、ヘアカラースチック、カラークレヨン、カラースプレー等、外的に毛髪を染色するために使用される剤を広く意味するものである。
【0072】
本発明の染毛剤組成物の染毛基剤である染毛剤は特に限定されず、公知の染毛剤の成分がいずれも使用できる。また、本発明の組成物には、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)と染毛剤のほか、本発明の効果を妨げない限り、界面活性剤、油性基剤、保湿剤、平滑剤、低級アルコール、キレート剤、抗炎剤、香料、防腐剤、噴射剤、養毛剤、pH調整剤、水等の成分を含んでいてもよい。
【0073】
本発明の組成物に含有される非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩の量は、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜10重量%である。染毛剤の含有量は通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、水の量は通常40〜95重量%、好ましくは50〜80重量%であり、またその他の成分を通常1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%含んでいてもよい。
【0074】
本発明の組成物の形態は、液体、ペースト、固体、粉体、スプレー、泡状、ジェル状等特に制限はされないが、使い易さの点から、好ましくは液体、ペースト、泡状、ジェル状である。
【0075】
本発明の組成物の製品形態も特に制限されず、1品剤であっても、使用時に混合して用いる2品剤であってもよいし、シャンプー式または塗布式のいずれでもよい。
【0076】
また2品剤タイプの場合、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩は第1剤または第2剤のどちらか一方にのみ含有されていてもよいし、双方に含有されていてもよいが、好ましくは第1剤のみ、又は双方に含有されている場合である。
【0077】
本発明の1態様として、2品剤タイプの酸化染毛剤組成物を例示すれば、例えば第1剤として、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩(1)が0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料前駆体及びカップラーが0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、必要によりアルカリ剤が0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、界面活性剤が0.1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、低級アルコールが0〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、その他の成分が1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%含まれているものが挙げられ、第2剤として、一般に酸化剤が0.1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、水が90〜99.9重量%、好ましくは92〜99重量%含まれるものが挙げられる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を、実施例、参考例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、以下において、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩をNHカチオン、α−ヒドロキシ脂肪酸の四級アンモニウム塩をALFカチオンともいう。
【0079】
参考例1
分子蒸留ラノリン脂肪酸216gを反応器に装入し、窒素雰囲気下135〜140℃に加熱すると共に、104gのジメチルアミノプロピルアミンを10〜15分間にわたって添加した。次いで、この反応物を155〜160℃に約3時間加熱し、圧力を約45分間で90〜100mmHgに低減し、次いで最後に1時間で約1mmHgに低減した。反応混合物を120℃に冷却し、水蒸気で90分間分散させ、次いで乾燥して淡褐色の半固体ラノリンアミドを得た。これを226gのジプロピレングリコールで希釈したあと、80℃にてジエチル硫酸113gを1時間にわたってゆっくり添加した。温度を80℃に3〜4時間維持し、加熱の最終段階中圧力を1〜2mmHgに低減した。かくして得られたラノリンカチオン希釈物の濃度は、有効濃度52.0%、水分1.2%、酸価4.1であった。
【0080】
実施例1(NHカチオンの製造)
ラノリン脂肪酸NH(非ヒドロキシラノリン脂肪酸)を、特開平6−293614号公報の記載に従い製造した。得られたラノリン脂肪酸NH200gを反応器に装入し、窒素雰囲気下135〜140℃に加熱すると共に、86gのジメチルアミノプロピルアミンを10〜15分間にわたって添加した。次いで、この反応物を155〜160℃に約3時間加熱し、圧力を約45分間で90〜100mmHgに低減し、次いで最後に1時間で約1mmHgに低減した。反応混合物を120℃に冷却し、水蒸気で90分間分散させ、次いで乾燥して淡褐色の半固体非ヒドロキシラノリン脂肪酸アミドを得た。これを149gのジプロピレングリコールで希釈したあと、80℃にてジエチル硫酸97gを1時間にわたってゆっくり添加した。温度を80℃に3〜4時間維持し、加熱の最終段階中圧力を1〜2mmHgに低減した。かくして得られたNHカチオン希釈物の濃度は、有効濃度60.0%、水分0.1%、酸価5.1であった。
【0081】
実施例2(ALFカチオンの製造)
ラノリン脂肪酸ALFを、特開平6−293614号公報の記載に従い製造した。得られたラノリン脂肪酸ALF200gを反応器に装入し、窒素雰囲気下135〜140℃に加熱すると共に、80gのジメチルアミノプロピルアミンを10〜15分間にわたって添加した。次いで、この反応物を155〜160℃に約3時間加熱し、圧力を約45分間で90〜100mmHgに低減し、次いで最後に1時間で約1mmHgに低減した。反応混合物を120℃に冷却し、水蒸気で90分間分散させ、次いで乾燥して淡褐色の半固体ヒドロキシラノリン脂肪酸アミドを得た。これを150gのジプロピレングリコールで希釈したあと、80℃にてジエチル硫酸91gを1時間にわたってゆっくり添加した。温度を80℃に3〜4時間維持し、加熱の最終段階中圧力を1〜2mmHgに低減した。かくして得られたALFカチオン希釈物の濃度は、有効濃度58.0%、水分1.4%、酸価4.8であった。
Figure 0003924731
撹拌下、80℃にてBをAに添加してヘアーリンスを調製した。
【0082】
比較製剤例2
比較製剤例1の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを製造例1のラノリンカチオン(有効成分として1.5重量%)に代えた以外は比較製剤例1と同様にして、ヘアーリンスを得た。
【0083】
製剤例1
比較製剤例1の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを実施例1のNHカチオン(有効成分として1.5重量%)に代えた以外は比較製剤例1と同様にして、ヘアーリンスを得た。
【0084】
製剤例2
比較製剤例1の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを実施例2のALFカチオン(有効成分として1.5重量%)に代えた以外は比較製剤例1と同様にして、ヘアーリンスを得た。
【0085】
製剤例3、4
実施例1のNHカチオンと実施例2のALFカチオンとを混合して、該混合物に含まれるヒドロキシラノリンの四級アンモニウム塩の含有比率がそれぞれ80重量%(製剤例3に対応)、60重量%(製剤例4に対応)となるように調製した。
【0086】
比較製剤例1の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムの代わりに、これらの混合物をそれぞれ使用して(有効成分として1.5重量%)、比較製剤例1と同様にヘアーリンスを得た。
【0087】
試験例
10名の女性パネラーにて、上記リンス(製剤例1〜4、比較製剤例1、2)の使用乾燥後の(1)しっとり感、(2)ボリューム感の各項目について官能評価及び総合評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0003924731
【0089】
但し、表1中、
”◎”:あると答えた人10〜8人;
”○”:あると答えた人7〜6人;
”△”:あると答えた人5〜4人;
”×”:あると答えた人3〜0人;
また、”総合評価”は、各リンスの順位をつけ、平均点の高いものから順に1〜4の順位を付けた。
【0090】
上記の結果より、NHカチオンはしっとり感を付与する効果が大きく、ALFカチオンは髪にこしを与えるボリューム感を付与する効果が大きいことが明らかになった。また、NHカチオン及びALFカチオンはいずれもこれらの混合物であるラノリンカチオンよりも高い評価を受けており、NHカチオンとALFカチオンを分離することで、香粧品添加剤としてより効果の高いものが得られた。
【0091】
また、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を40重量%以下含んでいてもヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を少なくとも60重量%含有している四級アンモニウム塩化合物であれば、従来のラノリンカチオンより有意な差をもって、上記ALFカチオンの効果が発揮されることが明らかになった。
【0092】
実施例3〜8、比較例3〜8
本発明のパーマネント・ウェーブ液組成物(実施例3〜8)及び比較組成物(比較例3〜8)を表2に示す。なお、還元剤としてチオグリコール酸アンモニウムを使用した。
【0093】
これらの組成物を用いて毛髪を処理し、該毛髪について毛髪の強度、カール保持力、風合いを調べた。結果を表2に併せて示す。
【0094】
(1)毛髪の強度(毛髪の損傷防止効果)
<評価方法>
20才代女子黒色の健常毛を用い、5%シャンプー液で洗浄し、流水で充分にすすいだ後、長さ15cm、重さ5gの毛髪束を作成した。該毛髪束を直径1.3cmのカーラーに巻き付け、パーマネント・ウェーブ第I剤に30℃で10分間浸漬し、流水で1分間洗浄後、第II剤に30℃で10分間浸漬した。流水で1分間充分洗浄した後に、カーラーを外して風乾した。次いで、25℃、湿度70%の恒温恒湿機内に該毛髪束を吊し、一昼夜放置して試験片とした。
【0095】
上述のように処理した毛髪束から同一太さ(80μm)の毛髪1本を選び出し、トライボギア(表面性測定機(TYPE:14DR)新東科学株式会社製)に固定し、その破断荷重を測定して強度とした。毛髪10本について測定を行い、その平均を求めた。
【0096】
(2)ウェーブ保持力
<評価方法>
20才代女子黒色の健常毛を用い、5%シャンプー液で洗浄し流水で充分にすすいだ後、風乾した。毛髪の根元と毛先の方向を揃え、同一太さ(80μm)の12本の毛髪の根元の部分で結び、長さ6cmの毛髪試料を作成した。
【0097】
根元からコイル(φ=8mm)に均一に巻き、末端をプラスティック製ストッパーで押さえた。パーマネント・ウェーブ第I剤に30℃で10分間浸漬し、流水で1分間洗浄後、第II剤に30℃で10分間浸漬した。流水で1分間充分すすいだ後に、水で濡れた状態でコイルを外し、ヘアコイルの直径を測定した(dmm)。更に余分な水を拭き取り、ヘアコイルを吊して長さを測定した(Lcm)。
【0098】
同一試料について10回測定してその平均を求めた。ヘアコイルの直径(dmm)及び長さ(Lcm)が小さい程ウェーブ効果は高い。
【0099】
(3)風合い
(1)で作成した毛髪のパーマネント・ウェーブ処理毛を用い、15名の女子パネラーによって毛髪の風合いを触感によって評価した。
【0100】
Figure 0003924731
結果は15名の女子パネラーの評価の平均値で表した。
【0101】
【表2】
Figure 0003924731
【0102】
当該実施例で用いたチオグリコール酸アンモニウム系のパーマネント・ウェーブ液は、還元力が強いため、一般に毛髪を痛めやすいとされている。しかし、このパーマネント・ウェーブ液にNHカチオンを配合することにより、パーマネント処理後の毛髪の強度は未処理毛と同等もしくはそれより強い値を示し、NHカチオンにパーマネント処理によるダメージ抑制効果もしくはダメージ修復効果があることが判明した。
【0103】
またカール保持力及び風合いに関しても、NHカチオンを入れない系に比して明らかに良い結果を示した。
【0104】
実施例9〜14、比較例9〜14
システインを還元剤として用いた本発明のパーマネント・ウェーブ液組成物(実施例9〜14)及び比較組成物(比較例9〜14)を表3に示す。
【0105】
これらの組成物を用いて毛髪を処理し、上記の実施例3〜8の方法に従って、該毛髪について毛髪の強度、カール保持力、風合いを調べた。結果を表3に併せて示す。
【0106】
【表3】
Figure 0003924731
【0107】
当該実施例で用いるシステイン系のパーマネント・ウェーブ液は、チオグリコール酸アンモニウム系のパーマネント・ウェーブ液に比して、一般にウェーブ形成力が弱いとされている。しかし、このパーマネント・ウェーブ液にNHカチオンを配合することにより、パーマネント処理によるダメージ抑制・修復効果はもとより、カール保持力を増強することが示された。
【0108】
実施例15〜16、比較例15〜19
本発明の染毛剤組成物(実施例15〜16)及び比較組成物(比較例15〜19)を表4に示す。
【0109】
これらの組成物を予め混合してシャンプー式染毛剤組成物を調製した。なお、酸化染料は、主剤としてp−フェニレンジアミン、o−アミノフェノールを、修正剤としてm−アミノフェノールを使用した。
【0110】
20才代女子黒色の健常毛を用い、長さ15cm、重さ5gの毛髪束を作成し、これを5%シャンプー液で洗浄し、流水で充分にすすいだ後、風乾した。これをブリーチ処理し、水洗、乾燥して被験試料とした。この被験試料を、予め第I剤と第II剤を混合して得られた染毛剤組成物に30℃で10分間浸漬した後、水で充分にすすいだ後、風乾した。次いで、25℃、湿度70%の恒温恒湿機内に該毛髪束を吊し、一昼夜放置して試験片とした。
【0111】
染毛後の毛髪試験片について、毛髪強度、染色剤による濃染効果及び均染効果をみた。なお、毛髪強度は前述の方法に従って評価し、濃染効果及び均染効果については以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
【0112】
Figure 0003924731
【0113】
【表4】
Figure 0003924731
【0114】
未処理毛、ブリーチ毛及び比較例について毛髪強度を比較すると、毛髪はまずブリーチ処理によってダメージを受け強度が低下し、さらに染毛処理によってダメージを受け強度が一段と低下することが分かる。それに対してNHカチオンを配合した染毛剤組成物で処理した毛髪は、未処理毛と同等もしくはそれ以上の強度を示し、ブリーチ処理によってダメージを受けた毛髪を修復し、さらに染毛処理によるダメージをも抑制していることが判明した。
【0115】
以上の結果から、NHカチオンは毛髪のダメージ抑制効果のみならずダメージ修復効果を有し、また染毛剤に対して濃染作用、均染作用を発揮することが明らかとなった。
【0116】
実施例17、比較例20〜22
予めパーマネント処理をしてダメージを与えた髪に対して、表5に示す処方からなるヘアトリートメント液でトリートメント処理を施し、前述の方法に従って、処理の前後で毛髪の強度を比較した。結果を表5に併せて示す。
【0117】
【表5】
Figure 0003924731
【0118】
この結果から、本発明の非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩に毛髪ダメージ修復効果が認められ、毛髪化粧料添加剤としての有用性が確認された。

Claims (3)

  1. 以下の式(1):
    LAN−CONR −(CH −N ・X (1)
    (式中、R は水素原子又はC 〜C アルキル基であり、
    及びR は同一又は異なってC 〜C アルキル基を示し、
    はアルキル基、アルアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は不飽和脂肪族炭化水素基を示し、
    Xはハロゲン原子、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基又は−SO を示し、
    nは2〜5の整数を示す。)
    で表され、かつヒドロキシ脂肪酸の含有量が10%未満である、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなるパーマネント・ウェーブ液組成物。
  2. 以下の式(1):
    LAN−CONR −(CH −N ・X (1)
    (式中、R は水素原子又はC 〜C アルキル基であり、
    及びR は同一又は異なってC 〜C アルキル基を示し、
    はアルキル基、アルアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は不飽和脂肪族炭化水素基を示し、
    Xはハロゲン原子、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基又は−SO を示し、
    nは2〜5の整数を示す。)
    で表され、かつヒドロキシ脂肪酸の含有量が10%未満である、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる染毛剤組成物。
  3. 以下の式(1):
    LAN−CONR −(CH −N ・X (1)
    (式中、R は水素原子又はC 〜C アルキル基であり、
    及びR は同一又は異なってC 〜C アルキル基を示し、
    はアルキル基、アルアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は不飽和脂肪族炭化水素基を示し、
    Xはハロゲン原子、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基又は−SO を示し、
    nは2〜5の整数を示す。)
    で表され、かつヒドロキシ脂肪酸の含有量が10%未満である、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる毛髪ダメージ修復液組成物。
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