JP4641167B2 - エレベータ用巻上機ブレーキ - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータの巻上機に用いられるブレーキに関し、特に電磁マグネットと可動鉄心との間にゴム製の緩衝部材を設けたエレベータ用巻上機ブレーキに関するものである。
従来装置では、エレベータの電磁ブレーキの制動解除時において、可動鉄心が電磁マグネットに吸引されて衝突する衝撃音の発生を防ぐために、可動鉄心と電磁マグネットとの間に緩衝部材を設けたものがあった。緩衝部材は、ゴム板と樹脂板とを重ねて弾性と耐久性とを持たせた吸音板であって、電磁ブレーキの電磁マグネットと可動鉄心との間に埋め込んだものである(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−73143号公報
上述のような従来のエレベータ用巻上機ブレーキでは、緩衝部材としてゴムを用いているが、ゴムは、ゴム自体の温度が低くなるとゴム状からガラス状へ遷移し、弾性が急激に低下するので、ブレーキの作動時の衝撃吸収や衝撃音の緩和が激減するとともにゴムの寿命も低下する。しかしながら、従来のエレベータ用巻上機ブレーキにおいては、このような低温時におけるゴムの弾性特性を考慮していない。従って、低温においては、可動鉄心が電磁マグネットに吸引されて衝突する衝撃音の発生を防ぐことができずに、この衝撃音が機械室から居室に伝達してエレベータの騒音となっていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低温においても電磁マグネットと可動鉄心との間のゴムの緩衝部材の弾性を維持できるエレベータ用巻上機ブレーキを提供することである。
本発明に係るエレベータ用巻上機ブレーキは、巻上機と共に回転する回転体の制動面に接するライニングと、ライニングに連結され、ライニングを制動面に接離させる方向へ往復動可能な可動鉄心と、励磁状態時に可動鉄心を吸引してライニングを制動面から開離させる電磁コイルを有する電磁マグネットと、電磁マグネットの非励磁状態時にライニングを制動面に押し付ける弾性部材と、電磁マグネットと可動鉄心との間に設けられ、所定温度以下で緩衝作用を喪失するゴム製の緩衝部材とを備え前記電磁コイルは、可動鉄心駆動用且つ緩衝部材加熱用コイルであり、更に、前記電磁コイルへの通電電流に基づいて電磁コイルの持つ抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、抵抗値に基づいて電磁コイルの推定温度を算出する推定温度算出手段と、推定温度を、予め設定された基準温度と比較判断する温度判断手段と、温度判断手段による比較判断に基づいて、推定温度が基準温度よりも低いときに、緩衝部材の温度が所定温度よりも低いと判断して、緩衝部材を所定温度以上に加熱する加熱電流を前記電磁コイルに印加する電流制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明によるエレベータ用巻上機ブレーキによれば、ゴム製の緩衝部材を加熱することで当該緩衝部材の弾性を維持することができるので、エレベータ周囲の温度が低温であっても、ゴムの弾性を劣化させることなく緩衝部材としてのゴム本来の役目を維持できる。
実施の形態1.
図1乃至図6には、この発明のエレベータ用巻上機ブレーキの一実施の形態を示し、図1は、エレベータ用巻上機ブレーキの概略的構造を制動状態で示した断面図、図2は、エレベータ用巻上機ブレーキの概略的構造を解放状態で示した断面図である。図3は、図1におけるB−B断面図であり、図4は、図1におけるD−D断面図である。図5は、温度と硬度の関係を示した一般的なゴムの特性図であり、図6は、エレベータ用巻上機ブレーキの加熱制御装置の機能ブロック図である。
これらの図において、エレベータ用巻上機ブレーキは、エレベータの巻上機の回転軸(図示してない)に連結された回転体である内側に制動面1を有する円筒状のブレーキリング2と共に用いられるものであり、巻上機フレーム(図示してない)に取り付けられてブレーキリング2内の空間に設置される。図示の例では、エレベータ用巻上機ブレーキが一対、図で左右に対称的に配置されている。
エレベータ用巻上機ブレーキは各々、図示してない巻上機と共に回転するブレーキリング2の制動面1に離接して設けられたライニング3と、このライニング3に連結されてこれを支持する可動鉄心4とを有している。可動鉄心4は、ライニング3をブレーキリング2の制動面1に接離される方向に往復動可能に支持されている。エレベータ用巻上機ブレーキはまた、励磁状態時に可動鉄心4を吸引してライニング3を制動面1から離間させる電磁コイル5と磁気鉄心6とを有する電磁マグネット7を有している。電磁マグネット7と可動鉄心4との間には、電磁マグネット7の非励磁状態時にライニング3を制動面1に押し付けるコイルバネである弾性部材8が圧縮状態で設けられている。
電磁マグネット7と可動鉄心4との間には、ゴムを含む緩衝部材9が設けられている。図示の例では、緩衝部材9は、電磁マグネット7の磁気鉄心6の可動鉄心4に面する側に固着されている。磁気鉄心6に対する緩衝部材9の平面関係位置は、電磁コイル5および弾性部材8と共に、図3に示されている。緩衝部材9は、可動鉄心4が電磁マグネット7に磁気的に吸引されて、弾性部材8の弾性力に抗して電磁マグネット7に当接するときの衝撃を吸収する緩衝作用を持つ。しかしながら、緩衝部材9は、例えば層状のゴムを含むものであるので、例えば、周囲温度が摂氏マイナス10度以下の場合には、後に詳しく説明する所定温度以下でゴムの性質を失ってガラス状になり、緩衝作用を喪失するものである。
図5は、温度と硬度との関係を示した一般的なゴムの特性図である。ゴムの持つ弾性という性質は、ゴムを構成する糸状の分子が活発な熱運動をしていることにより生じていると考えられている。ゴムは、常温ではゴム状を保っているが、温度が下がっていくと分子の熱運動が徐々に束縛され、分子が自由に動けなくなる温度に達する。この温度のことをガラス転移点と言う。ゴムは、ガラス転移点よりさらに低温になると、分子の運動が抑えられ、ガラスのように硬くなり、ゴム本来の弾性を示さなくなる。
ガラス転移点の例として、ブタジエンゴムのガラス転移点は摂氏マイナス105度、天然ゴムのガラス転移点は摂氏マイナス73度、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムのガラス転移点は摂氏マイナス34度などとなっている。また、この実施の形態1で用いられるゴムはニトリルゴムを想定しており、該ニトリルゴムのガラス転移点は摂氏マイナス10度〜マイナス55度となっている。
また、図5のように、温度が低い環境ではゴムは弾性を失い、エレベータの電磁マグネット7と可動鉄心4との間で緩衝作用を示す緩衝部材9という本来の使用目的に適うものではなくなる。緩衝部材9としてのゴム本来の使用目的を維持するためには、周囲の温度が低くなっても、ゴムを加熱することでゴム本来の弾性を保たせる必要がある。
そして、このゴム本来の弾性を保たせるためには、図5において、ゴムを常にA点より高い温度にしておく必要がある。ゴム周囲の温度が低くなると、ゴム自体の温度も低くなり、ゴムの弾性が低下してしまうので、外部からゴムを加熱する処置が必要となる。
このようにゴムを含む緩衝部材9の温度をガラス転移点である所定温度以上に維持するために、この発明のエレベータ用巻上機ブレーキは加熱制御装置60を備えている。
図6に示す、この実施の形態1のエレベータ用巻上機ブレーキの加熱制御装置60は、電磁コイル5へ通電し、この通電電流を測定する電流測定手段61と、この通電電流に基づく抵抗算出演算部67での演算により電磁コイル5の持つ抵抗を算出する抵抗算出手段62と、この抵抗に基づいて電磁コイル5の推定温度を算出する推定温度算出手段63とを有している。推定温度算出手段63での算出は、後に説明するように温度と抵抗の関係式データ66aと電磁コイル5の温度と抵抗の実測データ66bとに基づいて推定温度算出演算部66で実行される。
加熱制御装置60はまた、このようにして算出された電磁コイル5の推定温度と、後に詳しく説明する予め設定された基準温度64aとを比較して、推定温度が基準温度64aよりも低いときに、緩衝部材9の温度がガラス転移点である所定温度よりも低いと判断する温度判断手段64を有している。温度判断手段64による比較判断に基づいて、電磁コイル5の推定温度が基準温度64aよりも低いと判断されたときには、緩衝部材9の温度が所定温度(ガラス転移点)よりも低いとみなされる。この場合に電磁コイル5を加熱して緩衝部材9の温度を所定温度以上にするために、加熱電流を電磁コイル5に印加する電流制御手段65が設けてある。
電流制御手段65には、制動時と制動解除時とにおいて、電流制御手段65で印加する電流の値を変更するために電流制御変更手段68が接続されている。
電磁コイル5の温度の測定は、電磁コイル5の通電電流から抵抗値を測定して温度を推定することにより行われる。この温度推定は、導電体金属の定質量抵抗温度係数を用いて行うものであり、この定質量抵抗温度係数とは、導電体金属の温度による膨張伸縮を考慮に入れないで、一定質量のある銅線の抵抗が温度変化に対していかに変化するかを考えたときの温度係数を言う。
例えば、摂氏t度における導電体金属の電気抵抗値をR、摂氏t度における導電体金属の電気抵抗値をRt1、および摂氏t度における定質量抵抗温度係数をαt1とすると、以下の関係式が成り立つ。
=Rt1{1+αt1(t−t)}
ここで、例えば導電体金属である電磁コイル5が銅線の場合、tを摂氏0度とし、摂氏0度における銅線の導電率を100%とみたときのαt1(=α)は以下の値である。
α=0.00427
このように、導電体金属における温度と電気抵抗との間には、近似的な一次式が成り立つ。従って、電磁コイル5において、予め基準となる温度における電気抵抗と定質量抵抗温度係数とが求められていれば、任意の温度での電気抵抗は近似的な一次式から近似の電気抵抗値が算出できる。また、この近似の電気抵抗は、製造される同一仕様のブレーキ内の電磁コイルにおいては若干の幅があるが、ほぼ同一である。
これにより、この実施の形態1による電磁コイル5に流れる電流を測定して電気抵抗を算出し、それにより電磁コイル5の推定温度を算出できる。
また、別の測定方法として、電流と同時に、そのときの電磁コイル5への印加電圧を計測して、電気抵抗を算出してもよい。
なお、ゴムがガラス状となることは一般的に常温時ではありえず、氷点下のかなり低い温度のときであり、寒冷地に設置されていたり、寒冷地に設置されていてエレベータの利用頻度が低かったり、寒冷地に設置されていて夜間にエレベータの運転が「切」となっている場合などが考えられる。
以上から、電磁コイル5の電気抵抗を測定することで、電磁マグネット7に固着したゴムを含む緩衝部材9の周囲の温度を推定し、緩衝部材9の周囲の温度が低いと判断できる場合には、緩衝部材9を加熱し得るだけの電流を電磁コイル5に流し、電磁マグネット7と共に緩衝部材9も加熱されることで緩衝部材9のゴムの弾性低下を未然に防ぐことができ、エレベータ用巻上機ブレーキにおいては緩衝部材9としての本来の役目を維持できることが判る。
次に、動作について説明する。図6は、この実施の形態1のエレベータ用巻上機ブレーキの加熱制御装置60の機能ブロック図である。以下、機能ブロック図を用いて制動時と制動解除時とにおける動作を説明する。
このエレベータ用巻上機ブレーキの制動解除時においては、図2のように可動鉄心4が電磁マグネット7に吸引されている。また、電磁コイル5には、電磁マグネット7が可動鉄心4の吸引を保持するだけの電流(励磁電流)が流れている。
先ず、電流測定手段61により電磁コイル5に流れている電流が測定される。測定された電磁コイル5の電流は、抵抗算出手段62により、抵抗算出演算部67による計算を経て、現状態の電磁コイル5の電気抵抗が算出される。
次に、算出された電磁コイル5の電気抵抗は、推定温度算出手段63により、推定温度算出演算部66を経て、推定温度が算出される。ここで、推定温度算出演算部66には、予め電磁コイル5の温度と電気抵抗との実測データ66bおよび温度と電気抵抗との関係式のデータ66aとが登録されており、関係式は前述の導電体金属の近似的一次式が用いられる。
算出された電磁コイル5の推定温度は、温度判断手段64により予め設定された基準温度64aと比較され、推定温度値が基準温度64aより大きければ動作は終了し、推定温度が基準温度64aより小さければ次のステップへ進む。ここで設定される基準温度64aは、図5におけるA点付近の温度値を設定する。
なお、この実施の形態1では、緩衝部材9として使用するニトリルゴムのガラス転移点が摂氏マイナス55度〜摂氏マイナス10度であることから、基準温度64aの値を摂氏マイナス10度と設定する。すなわち、図5におけるA点は、この実施の形態1においては摂氏マイナス10度となる。
推定温度が基準温度64aより小さい場合、電流制御手段65によって電磁コイル5に流れている励磁電流は、流しうる最大量まで増加される。増加された電流分だけ電磁コイル5は加熱されるので、電磁コイル5近傍に設けられたゴムを含む緩衝部材9も同時に加熱され、ゴムは緩衝部材9として適正な弾性を取り戻すことができる。
また、算出された推定温度は電磁コイル5自体の推定温度であるので、これを緩衝部材9の推定温度に適用するには補正処置が必要である。例えば緩衝部材9を摂氏1度上昇させるための電磁コイル5に流す増加分の電流と時間との関係を、緩衝部材9の位置関係や熱伝導率等を考慮して予め実験等によって求めておく。この実験等により、緩衝部材9の温度を上昇させるのに必要な、電磁コイル5に印加する電流値と時間とが計算される。電磁コイル5に緩衝部材9を加熱させるための電流が流される際には、補正処置として、この計算に基づいて一定の電流が一定の時間だけ印加されるように制御される。
さらに、この動作は常に繰り返されているので、緩衝部材9の推定温度は常に監視され、緩衝部材9としての適正な弾性を保つことができる。
このエレベータ用巻上機ブレーキの制動時においては、一般的には電磁コイル5へは電流が流れておらず、図1のように、弾性部材8により可動鉄心4が制動面1の方向へ押し付けられ、ライニング3が制動面1に当接することで摩擦力が発生している。
しかし、制動時においては、電流制御手段65で印加される電流を変更し得る電流制御変更手段68により、電磁コイル5には電気抵抗測定のための微弱電流が流れていることを前提とする。
先ず、電流測定手段61により電磁コイル5に流れている微弱電流の電流が測定される。ここで微弱電流とは、エレベータ用巻上機が制動している状態において、電磁コイル5に電流を流しても絶対に電磁マグネット7が可動鉄心4を吸引することのない値の電流である。測定した電磁コイル5の微弱電流は、抵抗算出手段62により、抵抗算出演算部67による計算を経て電気抵抗が算出される。
次に、算出された電磁コイル5の電気抵抗は、推定温度算出手段63により、推定温度算出演算部66を経て、推定温度が算出される。算出された電磁コイル5の推定温度は、予め設定された基準温度64aと比較され、推定温度が基準温度64aより大きければ動作を終了し、推定温度が基準温度64aより小さければ次のステップへ進む。
電磁コイル5の推定温度が基準温度64aより小さい場合、電流制御手段65によって電磁コイル5に流れている微弱電流は一定量だけ増加される。ここで、電磁コイル5の電気抵抗測定のための微弱電流に加え、ゴムを含む緩衝部材9を加熱するための微弱電流が印加されるが、この微弱電流の増加は一定量を超えないように電流制御手段65によって制御される。また、この機能動作は常に繰り返されているので、緩衝部材9の推定温度は常に監視され、緩衝部材9として適正な弾性を保つことができる。
なお、前述のように電磁コイル5と緩衝部材9との推定温度の補正処置として、予め実験等により、緩衝部材9の温度を上昇させるのに必要な、電磁コイル5に印加する微弱電流値と時間とが計算されている。電磁コイル5に緩衝部材9を加熱させるための微弱電流が流される際には、補正処置として、この計算に基づいて一定の微弱電流が一定の時間だけ印加されるように制御される。
このように、この実施の形態1によるエレベータ用巻上機ブレーキによれば、電磁マグネット7と可動鉄心4との間に設けられたゴムを含む緩衝部材9について、巻上機の周囲の温度がゴムのガラス転移点を下回る温度になったとしても、エレベータの作動時と制動時とで個別に緩衝部材9を加熱し得るだけの電流を電磁コイル5に印加し、電磁マグネット7を加熱し得るので、緩衝部材9のゴムは弾性を損なわずに本来の緩衝部材としての性質を保つことができる。
なお、図1に示す実施の形態1においては、エレベータ用巻上機ブレーキが2台設けられているが、一台でもよいし、巻上機回転軸(図示してない)を中心に周方向に分散して3台以上複数台存在してもよい。エレベータ用巻上機ブレーキが複数台設けられている場合には、制動時に複数の電磁マグネット7のいずれか一つのみに電気抵抗測定のための微弱電流を流すようにし、加熱電流は全てのエレベータ用巻上機ブレーキの電磁マグネット7に通電するように制御してもよい。
これは、制動時において、電気抵抗値測定のための微弱電流を電磁マグネット7に流したり、電磁マグネット7の本体温度が図5のA点以下の場合には加熱用の微弱電流を付加させる場合において、何らかの事態(例えば、大電流が流れた場合など)により全てのエレベータ用巻上機ブレーキの可動鉄心4が吸引されてしまう事態が発生することのないようにするためである。
また、図1および図2で電磁マグネット7に設けられていた緩衝部材9を、可動鉄心4に設けてもよい。この場合でも、緩衝部材9を電磁マグネット7に設けた場合と同様の効果が得られる。可動鉄心は電磁マグネットに対し質量が小さいため、熱時係数が小さくなり、このため緩衝部材のゴムを電磁マグネット側に設けるよりも可動鉄心側に設けたほうが緩衝部材9の温度を早く上昇させることができる。
さらに、薄型巻上機を使用したエレベータシステムの場合には、従来のエレベータシステムに比較して巻上機やブレーキ本体は質量が小さく、このため熱時係数が小さくなり、外部の温度やエレベータかごの運転頻度による影響を受けやすい。寒冷地などにおいては、薄型巻上機を使用したシステムのエレベータかごの昇降頻度が減少すると、巻上機やブレーキ本体の温度が急速に低下することが考えられる。このため、最近普及している薄型巻上機を使用したエレベータシステムにおいては、この実施の形態1による効果が期待できる。
実施の形態2.
図7は、この実施の形態2によるエレベータ用巻上機ブレーキの制動時の状態を示す要部断面図、図8は、図7のエレベータ用巻上機ブレーキの制動解除時の状態を示す要部断面図である。図において、可動鉄心4には加熱コイル10が設けられる。加熱コイル10は、電磁コイル5と共に緩衝部材9を加熱する。また、加熱コイル10は、緩衝部材9を加熱する目的のほか、加熱コイル10に発生する磁束を電磁コイル5に発生する磁束に加えて、電磁コイル5による磁束を増減させることで、電磁マグネット7と可動鉄心4との間の磁場を制御する目的として使用することも可能である。
図9は、図7における可動鉄心4の弾性部材8当接面を示すC−C断面図である。図において、可動鉄心4の表面には2つの加熱コイル10が設けられている。その他の構成は、実施の形態1と同じ構成である。
次に、動作について説明する。電磁コイル5の推定温度の算出方法は、実施の形態1と同じである。加熱コイル10に、電磁コイル5と共に緩衝部材9を加熱するための電流を流し、その電流により可動鉄心4を加熱させて、電磁マグネット7に設けられた緩衝部材9の温度を基準温度以上に上昇させるものである。
また、加熱コイル10に流す電流の方向と大きさによっては、加熱コイル10に発生する磁束は、電磁コイル5に発生する磁束を打ち消したり、束ねたりすることができる。磁束を打ち消す方向に大きな電流が流されれば、可動鉄心4が電磁マグネット7に吸引されることはなく、エレベータ用巻上機ブレーキは制動状態となる。逆に、磁束を束ねる方向に電流が流されれば、可動鉄心4が電磁マグネット7に吸引され、エレベータ用巻上機ブレーキは制動解除状態となる。このため、制動時と制動解除時とにおいて、加熱コイル10に流す電流の方向および大きさを変化させ、電磁コイル5と加熱コイル10との間の磁場の制御を行ってもよい。
また、実施の形態1のように巻上機に複数のブレーキを有する場合、電磁コイル5と加熱コイル10との間の磁場の制御と、制動時と制動解除時との間で実行される電流制御変更手段の制御とを柔軟に行うことで、より早く緩衝部材9を加熱できる。
例えば、制動時において、電磁コイル5に発生する磁束と加熱コイル10に発生する磁束とが互いに打ち消し合うように各コイルの電流を制御すれば、実施の形態1のように電磁コイル5の一方のみに抵抗値算出用や加熱用の電流を流したり、電流を微弱にするといった制御は必要ない。
このため、電磁コイル5の推定温度が基準温度よりも低い場合には、2つの加熱コイル10の両方に同時に電流を流すように制御すれば、緩衝部材9をより早く加熱できる。
また、電磁マグネット7の推定温度が基準温度よりも大きい場合には、2つの加熱コイル10には電流を流さず、2つの電磁コイル5のいずれか一方ずつ順番に電気抵抗値算出のための微弱電流を流すように制御してもよい。
このように、この実施の形態2によるエレベータ用巻上機ブレーキによれば、電磁マグネット7と可動鉄心4との間に設けられた緩衝部材9のゴムについて、巻上機の周囲の温度がゴムのガラス転移点を下回る温度になったとしても、制動時と制動解除時とで個別に緩衝部材9を加熱し得るだけの電流を電磁コイル5と加熱コイル10とに印加し、電磁マグネット7を加熱できるので、緩衝部材9のゴムは弾性を損なわずに本来の緩衝部材9としての性質を保つことができる。さらに、電磁コイル5と加熱コイル10とを同時に通電制御するので、2つのコイルで緩衝部材9の加熱が可能であり、かつ、コイル相互の磁束制御が可能なので、実施の形態1に比べて、より早く、より柔軟に緩衝部材9の加熱を行うことができる。
本発明の実施の形態1によるエレベータ用巻上機ブレーキの制動時の状態を示す構成図である。 本発明の実施の形態1によるエレベータ用巻上機ブレーキの解除時の状態を示す構成図である。 図1における電磁マグネットの弾性部材当接面を示すB−B断面図である。 図1における可動鉄心の弾性部材当接面を示すD−D断面図である。 温度と硬度の関係を示した一般的なゴムの特性図である。 本発明の実施の形態1によるエレベータ用巻上機ブレーキの加熱制御装置の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態2によるエレベータ用巻上機ブレーキの制動時の状態を示す構成図である。 本発明の実施の形態2によるエレベータ用巻上機ブレーキの解除時の状態を示す構成図である。 図7における可動鉄心の弾性部材当接面を示すC−C断面図である。
符号の説明
1 制動面、2 ブレーキリング、3 ライニング、4 可動鉄心、5 電磁コイル、6 磁気鉄心、7 電磁マグネット、8 弾性部材、9 緩衝部材、60 加熱制御装置、61 電流測定手段、62 抵抗算出手段、63 推定温度算出手段、64 温度判断手段、64a 基準温度、65 電流制御手段、66 推定温度算出演算部、66a 温度と抵抗の関係式データ、66b 温度と抵抗の実測データ、67 抵抗算出演算部、68 電流制御変更手段。

Claims (4)

  1. 巻上機と共に回転する回転体の制動面に接するライニングと、
    前記ライニングに連結され、前記ライニングを前記制動面に接離させる方向へ往復動可能な可動鉄心と、
    励磁状態時に前記可動鉄心を吸引して前記ライニングを前記制動面から開離させる電磁コイルを有する電磁マグネットと、
    前記電磁マグネットの非励磁状態時に前記ライニングを前記制動面に押し付ける弾性部材と、
    前記電磁マグネットと前記可動鉄心との間に設けられ、所定温度以下で緩衝作用を喪失するゴム製の緩衝部材とを備え、
    前記電磁コイルは、可動鉄心駆動用且つ緩衝部材加熱用コイルであり、
    更に、前記電磁コイルへの通電電流に基づいて前記電磁コイルの持つ抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、
    前記抵抗値に基づいて前記電磁コイルの推定温度を算出する推定温度算出手段と、
    前記推定温度を、予め設定された基準温度と比較判断する温度判断手段と、
    前記温度判断手段による比較判断に基づいて、前記推定温度が前記基準温度よりも低いときに、前記緩衝部材の温度が前記所定温度よりも低いと判断して、前記緩衝部材を前記所定温度以上に加熱する加熱電流を前記電磁コイルに印加する電流制御手段と
    を備えたことを特徴とするエレベータ用巻上機ブレーキ。
  2. 制動時と制動解除時において、前記電流制御手段で印加する電流の値を変更し得る電流制御変更手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用巻上機ブレーキ。
  3. 各々前記ライニング、前記可動鉄心、前記電磁マグネット、前記弾性部材および前記緩衝部材を有した複数のブレーキ組立体が、前記回転体の回転軸を中心に周方向に分散して設けられ、前記電流制御手段が、制動時に前記加熱電流を各々の前記ブレーキ組立体に順番に通電することを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のエレベータ用巻上機ブレーキ。
  4. 前記可動鉄心に設けられて、前記緩衝部材を加熱する加熱コイルを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレベータ用巻上機ブレーキ。
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