JP4640781B2 - クリアーホルダー - Google Patents
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Description
このような現場で使用されるクリアーホルダーとしては、人がその中に書類を挟んだまま該書類の記載事項を視認し易いことが重要であり、透明性、書類の脱離防止性はもとより自立性に優れたものが必要とされる。ゆえに、自立性を向上させるため剛性素材からなる硬質のクリアーホルダーが広く用いられている。
この硬質クリアーホルダーは、2枚の合成樹脂シートを重ね、隣接する二辺または三辺を接合することで、二方向または一方向が開口された構成を有するものが一般的である。
クリアーホルダー自体の静電気帯電やホルダー内の書類等に誘因される塵・埃は、たとえ繊維屑程度のものであっても、半導体などの電子機器を扱う生産現場(クリーンルームなど)においては、大きな問題を引き起こす原因となり得る。
しかし、いずれも軟質素材製ゆえ自立性に乏しいことはもとより、いずれの開放部も一方向にのみ設けられホルダー内のゴミ・塵埃を排出させることを目的としており、上記のようなクリーンルーム内での使用に適したものではない。
1)書類の出し入れの際には、密着した2枚の剛性シート間に空気の流れが生じ、書類の容易な出し入れが達成されるうえ、
2)開放部(非接合部)は、一方向ではなく二方向に設けられるため、ホルダー内から非接合部へと流れる空気が一方向ではなく双方向となり、この開放部から紙紛や塵が排出されにくくなると共に、非接合部と接合部との境界点を支点にして2枚のシートが撓む結果、剛性素材のホルダーにも拘わらず、2枚のシート同士の密着性がゆるみ、書類の出し入れがスムーズに行えることを見出し、さらに、
3)接合方法として溶着方法を採用する場合に、角部が溶着冶具(以下「ウェルダー」とも言う)により二重に溶着(加圧)されるため、樹脂塊ができやすく、仕上がった複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張ることがあるが、上記非接合部分を設けることによって、この嵩張りが回避できることをも見出し、本発明を完成するに至った。
また、これらの合成樹脂は、いずれかを単独であるいは適宜の組み合わせによる2種以上を混合して使用してもよく、2種以上を混合する場合においては、ポリエチレンテレフタレートとの組み合わせとすることが好ましい。
本発明のクリアーホルダーでは、中の書類が容易に視認できる透明性を得るために、該シートの厚みが100μmにおけるJIS−K−7361−1で測定される全光線透過率が50%以上のものを使用することが好ましい。
付加する方法としては、α)該シートの表面に帯電防止層を形成する方法、β)シート樹脂自体に帯電防止剤を練り込む方法、などが挙げられる。
塗布方法としては、グラビアコート、ダイコート、リバースコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコートなど公知の方法を利用すればよく、蒸着方法としては、真空蒸着法など公知の方法を利用すればよい。浸漬重合方法としては、π電子共役系導電性ポリマーを形成し得るピロール、アニリン、チオフェンなどのモノマーと酸化剤とを含む溶液中に、基材(合成樹脂シート)を浸漬し、基材表面に該モノマーを重合させポリマーを析出させる方法などがある。
帯電防止層の厚みは特に限定されないが、通常0.02〜3.0μm、好ましくは0.05〜1.0μmである。
また、書類の脱離防止性を考慮し、シートと書類紙との密着性を高めるために、シート自体にカールなどの歪みが無いものが好ましく、カールがあるものを使用する際には、カール方向を合わせることで気密性を保持するとよい。
隣接する二辺を接合すれば二方向が開口され、また、三辺を接合すれば一方向が開口されたクリアーホルダーとなる。
このとき、接合された辺により形成される角部のうち少なくとも1つを(角部をなす2辺において)非接合部分とすることで、その角部において2枚のシート同士の接合による拘束が開放され、書類を出し入れする際には、密着した2枚のシート間に空気が流通する(すなわち、クリアーホルダーの開口部から非接合部を介して外部へと空気が流れる)ことになる。しかも、非接合部と接合部との境界点を支点にして2枚のシートが撓む結果、本発明のような所定の厚みと引張弾性係数を有する(すなわち、剛性の)ホルダーにも拘わらず、2枚のシート同士の密着性がゆるみ、書類をスムーズに出し入れすることが可能となる。
なお、本発明のような剛性を有した素材製であって、かつ従来技術のような角部をなす1辺にのみ非接合部が設けられる場合では、書類の出し入れの際に、2枚のシート同士の密着性があまりゆるまないため、書類をスムーズに出し入れすることが困難である。
接合する箇所については、特に溶着方法を採用した場合、端辺に近すぎると、接合不良の箇所が生じることがあり、これを解消するためには熟練した高度な技術を要し、逆に、端辺から遠く内側に入りすぎると、書類のサイズが制限されるため、端辺より0.5〜2mm内側が好ましい。
また、接合方法として溶着方法を採用する場合に、角部がウェルダーに二重に溶着(加圧)されるため樹脂塊ができやすく、仕上がった複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張ることがあるが、この開放部を設けることによって、この嵩張りを避けることもできる。
図1は、本発明によるクリアーホルダーの実施態様例を示す。
図1(A)は二辺を溶着した二方向開きの例、図1(B),(C)は三辺を溶着した一方向または二方向開きの例である。各図中、10は本発明のクリアーホルダーを表す。クリアーホルダー10は、2枚の合成樹脂シート1を重ね合わせて、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺11,12、または三辺11,12,13が接合され、少なくとも1つの角部を非接合部分4とすることで形成されている。この非接合部分4を、図1(A),(B)では1つの角部C1に、図1(C)では2つの角部C2,C3にそれぞれ設けている。
突起7の直径については、0.5mm以上であることが好ましく、上限については、特に限定されないが、大きすぎると挿入する書類のサイズが制限されるため10mm程度とする。
突起7の間隔については、5mm以下であることが好ましく、下限については、特に限定されないが、小さすぎるとそのような溶着装置を作成するのに困難であるため0.1mm程度とする。
ウェルダー全体が台座6に対し平行に加圧されれば、図3(A)に示すように、散点状に存在する溶着部3(すなわち、潰れた薄肉部分9)の厚みaが全て均一となり、この結果、シール強度が高まり好ましい溶着状態を形成することができる。一方、ウェルダーの一端が加圧された場合には、図3(B)に示すように、その加圧箇所bに樹脂塊8が発生しやすく、他方、ウェルダーの一端が減圧された場合には、図3(C)に示すように、その減圧箇所cのシール強度は弱くなる。
したがって、溶着の効率上、全ての溶着部3において均一な厚みaを得るために、図2に示すように、ウェルダーは合成樹脂シート1の寸法(辺の長さ)を超える長さのものが好ましい。
本発明では、このように接合した辺(二辺11,12または三辺11,12,13)が直交する角部のうち少なくとも1つを非接合部分とすることが重要である。
角部に非接合部分を形成する(すなわち、角部を形成する二辺を非接合部分とする)ことで、一方向ではなく二方向に開放部が設けられることになり、クリアーホルダー10内にて双方向の空気の流れが生じ、書類の容易な出し入れが達成されると共に、この開放部から紙紛や塵が排出され難く、しかも角部の嵩張りをもなくすことができる。
さらに、非接合部分において、例えば、書類がクリアーホルダーの外にはみ出さない程度に図4(B)に示すようにRをつけてもよい。
〔具体例〕
これらクリアーホルダーの溶着された角部のうちの一つを、表1に示す長さ分カットすることで、非溶着部分を設けた。なお、表1中の長さ(mm)は1辺分をあらわし、非溶着部分を形成する両辺の長さは同一とする。0mmは非溶着部分を設けていないものを示す。
(2)出し入れの容易性:得られたクリアーホルダーに、A4版サイズのコピー用紙(ASKUL社販売 “マルチペーパー”を使用)1枚の出し入れを行い、紙が折れ曲がることなく5秒以内にホルダーからはみ出さずにきちんと入り、且つ出しやすい場合を「◎」、5秒以内に入るがやや斜めに入りやすい場合を「○」、コピー紙を入れるのに5秒よりかかるものを「×」で示した。
(3)発塵性:クリーンルーム内で使用することを目的として製造される無塵紙のクリーンルーム度は、半導体製造装置・材料国際協会(SEMI)の発塵度測定試験(SEMI−G68−97)により評価され、粒子径0.3μm以上の塵が20個/リットル以下とされている。なお、該発塵度を評価する機器としては、気中パーティクルカウンターが用いられ、無塵紙表面を吸引して集塵量をカウントする。
そこで、上記のコピー用紙1枚をクリアーホルダーに挿入したものを、クリーンルーム内の机上に直立させ、その状態のままクリアホルダーの非接合部を気中パーティクルカウンターで吸引した。その結果、粒子径0.3μm以上の塵が20個/リットル以下となったクリアホルダーは、該ホルダーを構成する2枚の合成樹脂シートの非接合部における間隔が1mm未満のものであったので、該間隔が1mm未満のものを「○」、1mm以上開いたものを「×」で示した。
LDPE:低密度ポリエチレン 日本ポリエチレン社製“ノバテックLD”
PP:ポリプロピレン 積水成型工業社製“Pタイプ”
A−PET:非結晶ポリエステル 三菱化学社製“ノバクリアー”
PET:二軸延伸ポリエステル 東レ社製“ルミラーT60”
導電コートPET:上記ポリエステルフィルムの表面にπ電子共役系導電性ポリマーをコートしたもの アキレス社製“ST−PET”
帯防コートPET:上記ポリエステルフィルムに帯電防止剤をコートしたもの アキレス社製“スカイリックA”
また、このクリアーホルダーは、樹脂塊の生じやすい箇所が存在しないため、複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張らないので、生産現場のみならず、例えば事務所内などにおいて、書類の一時保管や長期保管としても好適に使用できるものである。
2 書類
3 接合部
4 非接合部(開放部)
5 溶着冶具(ウェルダー)
6 溶着時の台座
7 突起
8 樹脂塊
9 溶着部(薄肉部分)
10 クリアーホルダー
11,12,13 溶着される辺
C1,C2,C3,C4 角部
a 接合部
b 加圧された箇所
c 減圧された箇所
Claims (2)
- 厚みが100〜500μmで、25℃における引張弾性係数が150〜1000kg/mm2である2枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、その2枚の合成樹脂シートの隣接する二辺または三辺を接合してなるクリアーホルダーであって、
前記二辺または三辺の角部のうち少なくとも一つの角部には、L字状の切欠部が非接合部分として設けられており、
前記L字状の切欠部は、前記角部に沿う一辺の長さが5〜50mmであることを特徴とするクリアーホルダー。 - 前記角部に沿う二辺の長さが、同一であることを特徴とする請求項1に記載のクリアーホルダー。
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