<1 第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1aの構造を示す断面図である。また、図2は、アキシャルギャップ型モータ1aを構成するロータ(回転子)20aを斜め下方から見た斜視図であり、図3は、アキシャルギャップ型モータ1aを構成するステータ(固定子)30aを斜め上方から見た斜視図である。図4は、ロータ20aをステータ30aの側から見た平面図である。図1は、q軸及び回転軸91aを含む切断面(突極中心線96a(図4参照)及び回転軸91aを含む切断面)及びd軸及び回転軸91aを含む切断面(磁極中心線95a(図4参照)及び回転軸91aを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1aの断面を示す断面図である。
図1に示すように、アキシャルギャップ型モータ1aは、回転軸91aを中心として周方向に回転する界磁子たるロータ20aと、回転軸91aの方向に距離を置いてロータ20aと対向する電機子たるステータ30aと、ロータ20aに勘合されるシャフト40aとを備える。
<1.1 ロータ20a>
図1及び図2に示すように、ロータ20aは、バックヨーク21a、永久磁石22a及びリラクタンスコア23aを備える。なお、図1及び図2には、極数が「8」(極対数が「4」)のロータ20a、すなわち、8個の永久磁石22aと8個のリラクタンスコア23aとを有するロータ20aが描かれているが、ロータ20aの極数を「8」から増減してもよい。
バックヨーク21aは、円板形状を有しており、その中央には、シャフト40aが勘合される円形の孔が形成されている。バックヨーク21aの表面215aは、回転軸91aと垂直をなしている。バックヨーク21aの材質は、軟磁性体である。
d軸方向に配置された永久磁石22aは、板形状を有している。永久磁石22aは、バックヨーク21aの表面215aに固定されている。永久磁石22aは、回転軸91aが8回対称軸となるように、回転軸91aの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225aを有している。磁極面225aは、回転軸91aと垂直をなしている。磁極面225aは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92aを挟んで対向している。
q軸方向に配置されたリラクタンスコア23aは、板形状を有している。リラクタンスコア23aは、バックヨーク21aの表面215aからステータ30aへ向かって垂直に屹立し、その軸方向先端の高さは、磁極面225aと揃えられている。リラクタンスコア23aも、回転軸91aが8回対称軸となるように、回転軸91aの周りに環状に配置されている。リラクタンスコア23aの材質は、軟磁性体である。バックヨーク21aと一体として圧粉磁心でつくってもよい。リラクタンスコア23aは、リラクタンストルクを発生させる磁束を導く役割を有するが、q軸方向に配置されることに由来して「q軸コア」と呼ぶ。
永久磁石22aとリラクタンスコア23aとの間には間隙が設けられている。リラクタンスコア23aが永久磁石22aを磁気的に短絡させないためである。
<1.2 ステータ30aについて>
図1及び図3に示すように、ステータ30aは、基板31a、ティース32a、巻線33a及び磁性体板34aを備える。図2には、図示の便宜上、磁性体板34aをティース32aから分離した状態が描かれているが、アキシャルギャップ型モータ1aを組み立てた状態においては、図1に示すように、磁性体板34aは、ティース32aの先端面325aに固定されている。なお、図1には、スロット数が「12」のステータ30a、すなわち、12個のティース32aと12個の巻線33aとを有するステータ30aが描かれているが、ステータ30aのスロット数を「12」から増減してもよい。
基板31aは、円板形状を有しており、その中央には円形の孔が形成されている。基板31aの表面315aは、回転軸91aと垂直をなしている。基板31aの材質は、軟磁性体及び非磁性体のいずれでもよい。ただし、基板31aの材質を軟磁性体とすれば、基板31aをティース32aのバックヨークとすることができるので、透磁率の高い軟磁性体を用いるのが良い。
ティース32aは、隣接する側面の境界が丸面取りされた三角柱形状を有している。なお、ティース32aの形状を、三角柱形状以外の形状としてもよい。ティース32aは、基板31aの表面315aからロータ20aへ向かって垂直に屹立している。ティース32aは、回転軸91aが12回対称軸となるように、回転軸91aの周りに環状に配置されている。ティース32aの材質は、磁性体である。
巻線33aはティース32aを磁心として巻回されている。ステータ30aでは、1個の巻線33aが1個のティース32aに巻回される集中巻きを採用している。集中巻きを採用すれば、巻線長を短くすることができるので、ティース32aの軸方向の長さを小さくすることができ、銅損を減らすことができるからである。ただし、このことは、1個の巻線が2個以上のティースにまたがって巻回される分布巻きを採用することを妨げるものではない。
磁性体板34aは、円板形状を有しており、その中央には円形の孔が形成されている。磁性体板34aは、径方向に伸びるスリット344aにより、12個の磁性体片341aに等分割されている。磁性体片341aの表面3415aは、回転軸91aと垂直をなしている。磁性体板34aは、1個の磁性体片341aが1個のティース先端面325aを覆うように固定されている。磁性体片341aは、スリット344aの両端に残った幅狭の薄肉コア342a,343aにより機械的に結合されているが、薄肉コア342a,343aは、容易に磁気飽和してしまうほどの断面積しか有していないので、ティース32aが磁性体板34aにより磁気的に短絡してしまうことはない。
磁性体板34aを設けることには、表面3415aをステータ30aの磁極面とみなすことができるようになるので、巻線33aが巻回されている領域までステータ30aの磁極面を拡大することができ、ロータ20aとステータ30aとの間の磁束密度を均一にすることができるという利点がある。ただし、このことは、磁性体板34aを設けることを必須とするものではなく、磁性体板34aを省略することもできる。磁性体板34aを省略した場合には、先端面325aをステータ30aの磁極面とみなせばよい。
<1.3 永久磁石22a及びリラクタンスコア23aの平面形状について>
アキシャルギャップ型モータ1aでは、巻線33aにU相電流、V相電流、W相電流を供給することにより、表面3415aから流れ出る磁束又は表面3415aへ流れ込む磁束を発生させ、当該磁束をロータ20aに作用させることにより、ロータ20aを回転させる。
ここで、アキシャルギャップ型モータ1aでは、一のリラクタンスコア23aに流れ込み、永久磁石23aを迂回してヨーク21aを経由し、他のリラクタンスコア23aから流れ出す磁束がリラクタンストルクを発生させる。したがって、アキシャルギャップ型モータ1aにおいてリラクタンストルクを増加させるためには、リラクタンスコア23aが占める面積や中心角を拡大することにより、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路を確保し、q軸インダクタンスLqを増加させればよい。
そこで、アキシャルギャップ型モータ1aでは、ロータ20aにおいて、永久磁石22aを基準としてリラクタンスコア23aを径方向に関して外周寄りに偏在させることにより、リラクタンスコア23aが占める面積や中心角を拡大している。
係るロータ20aについて、図4を参照しながら説明する。図4には、バックヨーク21a、永久磁石22a及びリラクタンスコア23aの平面形状が示されている。
図4に示すように、永久磁石22aの平面形状を規定する輪郭線228aは、回転軸91aから径方向(d軸方向)へ伸びて永久磁石22aの中心へ向かう磁極中心線95aから周方向両側に広がる外周側の円弧2281aと、円弧2281aの両端から内周側へ向かって磁極中心線95aに平行に伸びる同じ長さの線分2282a,2283aと、線分2282a,2283aの内周側の端から内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2284a,2285aと、線分2284a,2285aの内周側の端を結ぶ内周側の円弧2286aとから構成されている。輪郭線228aは、磁極中心線95aに関して線対称となっている六角形の二辺を円弧に変更したものとなっている。
また、リラクタンスコア23aの平面形状を規定する輪郭線238aは、回転軸91aから径方向(q軸方向)へ伸びてリラクタンスコア23aの中心へ向かう突極中心線96aから周方向両側に広がる円弧2381aと、円弧2381aの両端から内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2382a,2383aとから構成されている。輪郭線238aは、突極中心線96aに関して線対称となっている三角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
このように、永久磁石22aの平面形状を、外周側へ向かって末広がりになるのを抑制した平面形状とすると、周方向に隣接する永久磁石22aの間隙の外周寄りに空き領域ができるので、ロータ20aでは、リラクタンスコア23aを当該空き領域に配置し、リラクタンスコア23aの「偏在」を実現している。ここで、「外周側へ向かって末広がりになるのを抑制」とは、扇形を基準として相対的に考えるべきであり、線分2282a,2283aが半径線を横断することを要する。
このようにリラクタンスコア23aを外周寄りに偏在させると、周方向に隣接する永久磁石22aの間隙の内周寄りにリラクタンスコア23aが存在しない部分ができるので、永久磁石22aとリラクタンスコア23aとの間隙が占める面積や中心角を縮小することができる。そして、永久磁石22aが占める面積や中心角を内周側で確保して、リラクタンスコア23aが占める面積や中心角を外周側で拡大することができるので、リラクタンストルクを増加させ、全トルクを増加させることができる。
さらに、リラクタンスコア23aを外周寄りに偏在させると、マグネットトルクを発生させる磁束がバックヨーク21aの内周寄りを流れ、リラクタンストルクを発生させる磁束がバックヨーク21aの外周寄りを流れるので、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とを分離できる。これにより、バックヨーク21aの飽和を緩和することができ、q軸電流iqによるd軸インダクタンスLdの低下やd軸電流idによるq軸インダクタンスの低下等のバックヨーク21aの飽和に起因する問題が起きにくくなる。
加えて、ロータ20aでは、円弧2281aの端から内周側へ向かって伸びる線分2282a,2283aを平行とすることにより、円弧2281aと線分2282aとがなす角及び円弧2281aと線分2283aとがなす角を拡大して鈍角としている。これにより、円弧2281aと線分2282aとが交わる部分や円弧2281aと線分2283aとが交わる部分が鋭利な形状となることを回避し、永久磁石22aの消磁を抑制している。また、鋭利な形状となることを回避することには、永久磁石22aのカケを抑制できるという利点もある。
なお、このような利点は、永久磁石22aの平面形状を規定する輪郭線の外周側が「円弧」でない場合でも得ることができる。すなわち、永久磁石22aの平面形状を規定する輪郭線228aにおいて、磁極中心線95aから周方向両側に広がる第1の線要素の両端から、第2の線要素が内周側へ向かって平行に伸びていれば、このような利点を得ることができる。ここで、「線要素」とは、有限の長さを有するまっすぐ線(線分)又はまがった線(円弧等)を意味する。なお、第2の線要素についての「平行」は、第2の線要素の全部が平行となっていることを必須とするものではなく、第1の線要素と第2の線要素との交点の近くの一部のみが平行となっているに過ぎない場合も含まれる。
回転軸91aを中心とした径方向において、永久磁石22aの最も外周と、永久磁石22aの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23aが設けられている。永久磁石21aの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91aを中心とした径方向において、永久磁石22aの最も外周と、永久磁石22aの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<2 第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1bの構造を示す断面図である。図6は、ロータ20bをステータ30aの側から見た平面図である。図5は、q軸及び回転軸91bを含む切断面(突極中心線96b(図6参照)及び回転軸91bを含む切断面)及びd軸及び回転軸91bを含む切断面(磁極中心線95b(図6参照)及び回転軸91bを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1bの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1bは、アキシャルギャップ型モータ1aのロータ20aをロータ20bに変更したものに相当する。
係るロータ20bについて、図5及び図6を参照しながら説明する。図6には、バックヨーク21b、永久磁石22b、リラクタンスコア23b及びヘッドコア24bの平面形状が示されている。
図5及び図6に示すように、ロータ20bは、ロータ20aのバックヨーク21a、永久磁石22a及びリラクタンスコア23aに対応するバックヨーク21b、永久磁石22b及びリラクタンスコア23bを備えているが、永久磁石22b及びリラクタンスコア23bの平面形状が変更されており、永久磁石22aの磁極面225aがヘッドコア24bで覆われている点がロータ20aと異なっている。ロータ20bにおいても、永久磁石22bは、回転軸91bが8回対称軸となるように、回転軸91bの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225bを有している。磁極面225bは、回転軸91bと垂直をなしている。磁極面225bは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92b及びヘッドコア24bを挟んで対向している。
図6に示すように、永久磁石22bの平面形状を規定する輪郭線228bは、回転軸91bから径方向(d軸方向)へ伸びて永久磁石22bの中心へ向かう磁極中心線95bから内周側へ近づきつつ周方向両側に広がる同じ長さの線分2281b,2282bと、線分2281b,2282bの磁極中心線95bとは反対側の端から内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2283b,2284bと、線分2283b,2284bの内周側の端を結ぶ内周側の円弧2285bとから構成されている。輪郭線228bは、磁極中心線95bに関して線対称となっている五角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
また、リラクタンスコア23bの平面形状を規定する輪郭線238bは、回転軸91bから径方向(q軸方向)へ伸びてリラクタンスコア23bの中心へ向かう突極中心線96bから周方向両側に広がる円弧2381bと、円弧2381bの両端から内周側へ向かって伸びる同じ長さの線分2382b,2383bと、線分2382b,2383bの内周側の端から内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2384b,2385bとから構成される。輪郭線238bは、突極中心線96bに関して線対称となっている五角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
このように、永久磁石22bの平面形状を、外周側へ向かって尻つぼみになる平面形状とすると、周方向に隣接する永久磁石22bよりも外周側に空き領域ができるので、ロータ20bでは、リラクタンスコア23bを当該空き領域に配置し、リラクタンスコア23bの「偏在」を実現している。ここで、「外周側へ向かって尻つぼみになる」とは、扇形を基準として相対的に考えるべきであり、線分2281a,2282aが半径線を横断することを要する。
このようにリラクタンスコア23bを外周寄りに偏在させると、周方向に隣接する永久磁石22bの間隙にリラクタンスコア23bが存在しないので、永久磁石22bとリラクタンスコア23bとの間隙が占める面積や中心角を縮小することができる。そして、アキシャルギャップ型モータ1aと同様に、リラクタンストルクを増加させ、全トルクを増加させることができるとともに、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とを分離でき、バックヨーク21bの飽和に起因する問題が起きにくくなる。特に、極数を増やしたときも、永久磁石22b、リラクタンスコア23bの中心角を大きくすることができるという利点を有する。
加えて、ロータ20bでは、永久磁石22bの平面形状をこのようにすることにより、永久磁石22bの径方向の長さが磁極中心線95bから周方向両側へ離れるにしたがって短くなるようにしている。磁極の急激な交代を緩和し、コギングトルクを抑制するとともに、誘起電圧を正弦波に近づけるためである。
続いて、磁極面225bに固定されたヘッドコア24bについて説明する。
ヘッドコア24bは、板形状を有し、永久磁石22bの平面形状と略同一の平面形状を有している。8個のヘッドコア24bは、磁極面225bの各々を覆い、機械的にも磁気的にも相互に分離されている。もちろん、ヘッドコア24bは、リラクタンスコア23bからも磁気的に分離されている。ヘッドコア24bの材質は、磁性体である。ヘッドコア24bで磁極面225bを覆えば、減磁界が永久磁石22bに直接作用しなくなるので、永久磁石22bが消磁しにくくなり、抵抗率が低いネオジウム系の焼結磁石により永久磁石22bが構成されている場合に、永久磁石22bの内部で発生する渦電流による損失や発熱を防止することができる。したがって、ヘッドコア24bの材質は、永久磁石22bの材質より抵抗率が高い材質、例えば、圧粉磁心とすることが望まれる。
回転軸91bを中心とした径方向において、永久磁石22bに設けられたヘッドコア24bの最も外周と、永久磁石22bに設けられたヘッドコア24bの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23bが設けられている。永久磁石21bの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91bを中心とした径方向において、永久磁石22bに設けられたヘッドコア24bの最も外周と、永久磁石22bに設けられたヘッドコア24bの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<3 第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1cの構造を示す断面図である。図8は、ロータ20cをステータ30aの側から見た平面図である。図7は、q軸及び回転軸91cを含む切断面(突極中心線96c(図8参照)及び回転軸91cを含む切断面)及びd軸及び回転軸91cを含む切断面(磁極中心線95c(図8参照)及び回転軸91cを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1cの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1cは、アキシャルギャップ型モータ1bのロータ20bをロータ20cに変更したものに相当する。
係るロータ20cについて、図7及び図8を参照しながら説明する。図8には、バックヨーク21c、永久磁石22c、リラクタンスコア23c、ヘッドコア24c及び短絡コア25cの平面形状が示されている。
図7及び図8に示すように、ロータ20cは、ロータ20bのバックヨーク21b、永久磁石22b、リラクタンスコア23b及びヘッドコア24bに対応するバックヨーク21c、永久磁石22c、リラクタンスコア23c及びヘッドコア24cを備えるとともに、短絡コア25cを備える。ロータ20cにおいても、永久磁石22cは、回転軸91cが8回対称軸となるように、回転軸91cの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225cを有している。磁極面225cは、回転軸91cと垂直をなしている。磁極面225cは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92c及びヘッドコア24cを挟んで対向している。
短絡コア25cは、環形状を有しており、バックヨーク21cの表面215cからステータ30aへ向かって垂直に屹立している。短絡コア25cの材質は磁性体である。リラクタンスコア23cは、短絡コア25cの内周面に接合されており、短絡コア25cは、リラクタンスコア23cより外周側においてリラクタンスコア23cを環状に接続し、リラクタンスコア23cを磁気的に短絡させている。短絡コア25cは、ステータ30aの磁極面と対向しないように配置されている。
このような短絡コア25cを設けると、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路として短絡コア25cを利用することができ、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とをより完全に分離できるので、バックヨーク21cの磁気飽和に起因する問題がより起きにくくなる。すなわち、バックヨーク21cが永久磁石22cの磁束ですでに磁気飽和していても、リラクタンストルク発生のための磁路は飽和せず、十分なリラクタンストルクを確保できる。
また、環形状の短絡コア25cを設けることには、ロータ20cの外周の凹凸を減らし、ロータ20cが回転する際の風損を減らすことができるという利点もある。
回転軸91cを中心とした径方向において、永久磁石22cに設けられたヘッドコア24cの最も外周と、永久磁石22cに設けられたヘッドコア24cの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23cが設けられている。永久磁石21cの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91cを中心とした径方向において、永久磁石22cに設けられたヘッドコア24cの最も外周と、永久磁石22cに設けられたヘッドコア24cの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<4 第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1dの構造を示す断面図である。図10は、ロータ20dをステータ30aの側から見た平面図である。図9は、q軸及び回転軸91dを含む切断面(突極中心線96d(図10参照)及び回転軸91dを含む切断面)及びd軸及び回転軸91dを含む切断面(磁極中心線95d(図10参照)及び回転軸91dを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1dの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1dは、アキシャルギャップ型モータ1bのロータ20bをロータ20dに変更したものに相当する。
係るロータ20dについて、図9及び図10を参照しながら説明する。図10には、バックヨーク21d、永久磁石22d、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dの平面形状が示されている。ただし、永久磁石22dについては、8個のうち1個のみを点線で図示している。
図9及び図10に示すように、ロータ20dは、ロータ20bのバックヨーク21b、永久磁石22b、リラクタンスコア23b及びヘッドコア24bに対応するバックヨーク21d、永久磁石22d、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dを備えているが、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dが機械的に一体化されている点がロータ20dと異なっている。ロータ20dにおいても、永久磁石22dは、回転軸91dが8回対称軸となるように、回転軸91dの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225dを有している。磁極面225dは、回転軸91dと垂直をなしている。磁極面225dは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92d及びヘッドコア24dを挟んで対向している。
ロータ20dでは、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dを機械的に一体化した磁性体部材26dを磁気障壁となるスリット264dで区切ることにより、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dを形成している。
ここで、ヘッドコア24dは、幅狭の薄肉コア261d,262dにより機械的に結合されている。より具体的には、周方向に隣接するヘッドコア24dが、スリット264dの両端に残った薄肉コア261d,262dにより結合されている。また、周方向に隣接するリラクタンスコア23dが周方向に沿って伸びる薄肉コア263dにより結合されている。さらに、ヘッドコア24dと薄肉コア263dとが回転軸91dから径方向(d軸方向)へ伸びて永久磁石22dの中心へ向かう磁極中心線95dの上で結合されている。薄肉コア261d〜263dは、容易に磁気飽和してしまうほどの断面積しか有していないので、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dは相互に磁気的に分離されているとみなしても問題はない。
ロータ20dの組み立ては、まず、バックヨーク21dの表面215dに永久磁石22dを載置し、しかる後に、表面215dに磁性体部材26d(リラクタンスコア23d)を載置することにより行う。この際、永久磁石22dを位置決めする浅い溝とリラクタンスコア23dを勘合する溝又は孔とを表面215dにあらかじめ形成しておけば、ロータ20dを容易に組み立てることができる。
このように、リラクタンスコア23d及びヘッドコア24dを一体化すると、ステータ30aと対向するロータ20dのギャップ面の平坦性を磁性体部材26dの加工精度により担保することができるので、ギャップ面の平坦性が組み立て精度の影響を受けにくくなり、ギャップ92dを小さくすることができる。
回転軸91dを中心とした径方向において、永久磁石22dに設けられたヘッドコア24dの最も外周と、永久磁石22dに設けられたヘッドコア24dの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23dが設けられている。永久磁石21dの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91dを中心とした径方向において、永久磁石22dに設けられたヘッドコア24dの最も外周と、永久磁石22dに設けられたヘッドコア24dの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<5 第5実施形態>
図11は、本発明の第5実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1eの構造を示す断面図である。図12は、ロータ20eをステータ30aの側から見た平面図である。図11は、q軸及び回転軸91eを含む切断面(突極中心線96e(図12参照)及び回転軸91e(図12参照)を含む切断面)及びd軸及び回転軸91eを含む切断面(磁極中心線95e及び回転軸91eを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1eの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1eは、アキシャルギャップ型モータ1aのロータ20aをロータ20eに変更したものに相当する。
係るロータ20eについて、図11及び図12を参照しながら説明する。図12には、バックヨーク21e、永久磁石22e及びリラクタンスコア23eの平面形状が示されている。
図11及び図12に示すように、ロータ20eは、ロータ20aのバックヨーク21a、永久磁石22a及びリラクタンスコア23aに対応するバックヨーク21e、永久磁石22e及びリラクタンスコア23eを備えているが、永久磁石22e及びリラクタンスコア23eの平面形状が変更されている。ロータ20eにおいても、永久磁石22eは、回転軸91eが8回対称軸となるように、回転軸91eの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225eを有している。磁極面225eは、回転軸91eと垂直をなしている。磁極面225eは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92eを挟んで対向している。
永久磁石22eの平面形状を規定する輪郭線228eは、回転軸91eからd軸方向に伸びる磁極中心線95eから周方向両側に広がる円弧2281eと、円弧2281eの両端からから内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2282e,2283eとから構成されている。輪郭線228eは、磁極中心線95eに関して線対称となっている三角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
また、リラクタンスコア23eの平面形状を規定する輪郭線238eは、回転軸91eからq軸方向に伸びる突極中心線96eから周方向両側に広がる線分2381eと、線分2381eの両端から外周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2382e,2383eとから構成されている。輪郭線は、突極中心線96eに関して線対称となっている三角形となっている。
このように、永久磁石22eの平面形状を、内周側へ向かって急激に尻つぼみになる平面形状とすると、周方向に隣接する永久磁石22eの間隙の内周寄りに空き領域ができるので、ロータ20eでは、リラクタンスコア23eを当該空き領域に配置し、リラクタンスコア23eの「偏在」を実現している。ここで、「内周側へ向かって急激に尻つぼみになる」とは、扇形を基準として相対的に考えるべきであり、線分2282e,2283eが半径線を横断することを要する。このように、永久磁石22eの径方向の存在範囲とリラクタンスコア23eの径方向の存在範囲とが略同一であっても、永久磁石22eが主に外周側に分布しており、リラクタンスコア23eが主に内周側に分布していれば「偏在」の一態様とみなすことができる。
このようにリラクタンスコア23eを内周寄りに偏在させると、外周側へ向かうほどリラクタンスコア23eが占める面積や中心角が小さくなる。そして、永久磁石22eが占める面積や中心角を外周側で確保して、リラクタンスコア23eが占める面積や中心角を内周側で拡大することができるので、リラクタンストルクを増加させ、全トルクを増加させることができる。
さらに、リラクタンスコア23eを内周寄りに偏在させると、マグネットトルクを発生させる磁束がバックヨーク21eの外周寄りを流れ、リラクタンストルクを発生させる磁束がバックヨーク21eの内周寄りを流れるので、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とを分離できる。これにより、バックヨーク21eの飽和を緩和することができ、q軸電流iqによるd軸インダクタンスLdの低下やd軸電流idによるq軸インダクタンスの低下等のバックヨーク21eの飽和に起因する問題が起きにくくなる。
ここで、リラクタンスコア23eが占める面積よりも永久磁石22eが占める面積の方が大きいのが一般的であるので、リラクタンスコア23eを内周寄りに偏在させることには、リラクタンスコア23eを外周寄りに偏在させた場合よりも、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路を短くすることができ、リラクタンストルクを増加させることができるという利点がある。
回転軸91eを中心とした径方向において、永久磁石22eの最も外周と、永久磁石22eの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23eが設けられている。永久磁石21eの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91eを中心とした径方向において、永久磁石22eの最も外周と、永久磁石22eの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<6 第6実施形態>
図13は、本発明の第6実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1fの構造を示す断面図である。図14は、ロータ20fをステータ30aの側から見た平面図である。図13は、q軸及び回転軸91fを含む切断面(突極中心線96f(図14参照)及び回転軸91f(図14参照)を含む切断面)及びd軸及び回転軸91fを含む切断面(磁極中心線95f及び回転軸91fを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1fの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1fは、アキシャルギャップ型モータ1eのロータ20eをロータ20fに変更したものに相当する。
係るロータ20fについて、図13及び図14を参照しながら説明する。図14には、バックヨーク21f、永久磁石22f、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fの平面形状が示されている。ただし、永久磁石22f及びリラクタンスコア22fの輪郭線の一部については、点線で図示している。
図13及び図14に示すように、ロータ20fは、ロータ20eのバックヨーク21e、永久磁石22e及びリラクタンスコア23eに対応するバックヨーク21f、永久磁石22f及びリラクタンスコア23fを備えているが、永久磁石22fの磁極面225fがヘッドコア24fで覆われており、リラクタンスコア23e及びヘッドコア24eが機械的に一体化されている点がロータ20eと異なっている。ロータ20fにおいても、永久磁石22fは、回転軸91fが8回対称軸となるように、回転軸91fの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225fを有している。磁極面225fは、回転軸91fと垂直をなしている。磁極面225fは、ステータ30aの磁極面(表面3145a)とギャップ92f及びヘッドコア24fを挟んで対向している。
ヘッドコア24fは、板形状を有し、永久磁石22fの平面形状と略同一の平面形状を有している。ヘッドコア24fの材質は、磁性体である。ヘッドコア24fは、永久磁石22fの磁極面225fを覆い、第2実施形態のヘッドコア24bと同様の役割を果たしている。
ロータ20fでは、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fを機械的に一体化した磁性体部材26fを磁気障壁となるスリット265fで区切ることにより、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fを形成している。
ここで、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fは、幅広の内周コア261f及び幅狭の薄肉コア262f〜264fにより機械的に結合されている。より具体的には、リラクタンスコア23fが周方向に沿って伸びる内周コア261fにより機械的に結合され、ヘッドコア24fが周方向に沿って伸びる薄肉コア262fにより結合され、リラクタンスコア23fと薄肉コア262fとが径方向に沿って伸びる薄肉コア263fにより軸91fから径方向(q軸方向)へ伸びてリラクタンスコア23fの中心へ向かう突極中心線96fの上で結合され、ヘッドコア24fと内周コア261fとが回転軸91fから径方向(d軸方向)へ伸びて永久磁石22fの中心へ向かう磁極中心線95fの上で径方向に沿って伸びる薄肉コア264fにより結合される。薄肉コア262f〜264fは、容易に磁気飽和してしまうほどの断面積しか有していないので、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fは磁気的に分離されているとみなしても問題はない。リラクタンスコア23fが幅広の内周コア261fによって結合されるのは、リラクタンスコア23fは、磁気的に短絡することが予定されており、磁気的に分離するための対策をとる必要がないため、機械的な強度をより重視したからである。もちろん、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fの結合の態様は、機械的な強度や漏れ磁束を考慮して様々に変更することができる。
ロータ20fの組み立ては、まず、バックヨーク21fの表面215fに永久磁石22fを載置し、しかる後に、磁性体部材26f(リラクタンスコア23f)を表面215fに載置することにより行う。この際、永久磁石22fを位置決めする浅い溝とリラクタンスコア23fを勘合する溝(孔でもよい)とを表面215fにあらかじめ形成しておけば、ロータ20fを容易に組み立てることができる。
このように、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fを一体化すると、ステータ30aと対向するロータ20fのギャップ面の平坦性を磁性体部材26fの加工精度により担保することができるので、ギャップ面の平坦性が組み立て精度の影響を受けにくくなり、ギャップ92fを小さくすることができる。
回転軸91fを中心とした径方向において、永久磁石22fに設けられたヘッドコア24fの最も外周と、永久磁石22fに設けられたヘッドコア24fの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23fが設けられている。永久磁石21fの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91fを中心とした径方向において、永久磁石22fに設けられたヘッドコア24fの最も外周と、永久磁石22fに設けられたヘッドコア24fの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<7 第7実施形態>
図15は、本発明の第7実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1gの構造を示す断面図である。図16は、ロータ20gをステータ30aの側から見た平面図である。図15は、q軸及び回転軸91gを含む切断面(突極中心線96g(図16参照)及び回転軸91g(図16参照)を含む切断面)及びd軸及び回転軸91gを含む切断面(磁極中心線95g及び回転軸91gを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1gの断面を示す断面図である。
図15に示すように、アキシャルギャップ型モータ1gは、回転軸91gを中心として周方向に回転する界磁子たるロータ20gと、回転軸91gの方向に距離を置いてロータ20gと対向する電機子たるステータ30aと、ロータ20gに勘合されるシャフト40aとを備える。アキシャルギャップ型モータ20gでは、ロータ20gにバックヨークを設けず、ロータ20gの軸方向両側に2個のステータ30aを対向させている。これにより、永久磁石を増やすことなく、ロータ20gに加わるスラスト力を打ち消すことができるので、軸受損失を減らし、軸受の寿命を延ばすことができる。
係るロータ20gについて、図15及び図16を参照しながら説明する。図16には、永久磁石22g、リラクタンスコア23g及びヘッドコア24gの平面形状が輪郭線により示されている。
図15及び図16に示すように、ロータ20gは、ロータ20fの永久磁石22f、リラクタンスコア23f及びヘッドコア24fに対応する永久磁石22g、リラクタンスコア23g及びヘッドコア24gを備えているが、バックヨーク21fをヘッドコア271g,272gとボス273gとを一体化した磁性体部材27gに変更している点がロータ20fと異なっている。すなわち、ロータ20gは、磁性体部材26g,27gで永久磁石22gを上下に挟んだ構造を有している。ロータ20gにおいても、永久磁石22gは、回転軸91gが8回対称軸となるように、回転軸91gの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225g,226gを有している。磁極面225g,226gは、回転軸91gと垂直をなしている。磁極面225g,226gは、それぞれ、ステータ30aの磁極面(表面3145a)とギャップ92g及びヘッドコア24g,271gを挟んで対向している。
より具体的に説明すると、磁性体部材26gは、磁性体部材26fと同様に、リラクタンスコア23g及びヘッドコア24gを機械的に一体化した部材である。磁性体部材26gは、磁気障壁となるスリット265gで区切られ、リラクタンスコア23g及びヘッドコア24gを形成している。
磁性体部材27gは、永久磁石22gの、ヘッドコア24gに覆われた磁極面225gの反対側の磁極面226gを覆うヘッドコア271gとリラクタンスコア23gの表面236gを覆うヘッドコア272gとシャフト40aが勘合されるボス273gとを機械的に一体化したものである。磁性体部材27gには、リラクタンスコア23gを勘合する溝と、永久磁石22gを位置決めする浅い溝とが形成されている。
ロータ20gにおいては、磁性体部材26gの中央に形成された孔にボス273gが勘合され、磁性体部材27gに形成された溝に永久磁石22gが勘合され、磁性体部材27gに勘合された溝にリラクタンスコア23gが勘合されており、少ない組立工数で組み立てることができるようになっている。ただし、このことは、リラクタンスコア23gを磁性体部材26gではなく磁性体部材27gに設けることや、磁性体部材26gとは別体のものとして設けることを妨げるものではない。同様に、ボス273gを磁性体部材27gではなく磁性体部材26gに設けることや、磁性体部材27gとは別体のものとして設けることを妨げるものではない。
回転軸91gを中心とした径方向において、永久磁石22gに設けられたヘッドコア24gの最も外周と、永久磁石22gに設けられたヘッドコア24gの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23gが設けられている。永久磁石21gの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91gを中心とした径方向において、永久磁石22gに設けられたヘッドコア24gの最も外周と、永久磁石22gに設けられたヘッドコア24gの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<8 第8実施形態>
図17は、本発明の第8実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1hの構造を示す断面図である。図18は、ロータ20hをステータ30aの側から見た平面図である。図17は、q軸及び回転軸91hを含む切断面(突極中心線96h(図18参照)及び回転軸91hを含む切断面)及びd軸及び回転軸91hを含む切断面(磁極中心線95h(図18参照)及び回転軸91hを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1hの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1hは、アキシャルギャップ型モータ1aのロータ20aをロータ20hに変更したものに相当する。
係るロータ20hについて、図17及び図18を参照しながら説明する。図18には、バックヨーク21h、永久磁石22h、リラクタンスコア23h、ヘッドコア24h及び短絡コア25hの平面形状が示されている。ロータ20hは、ロータ20aのバックヨーク21a、永久磁石22a、リラクタンスコア23aに対応するバックヨーク21h、永久磁石22h、リラクタンスコア23hを備えているが、永久磁石22h及びリラクタンスコア23hの平面形状が変更されており、永久磁石22hの磁極面225hがヘッドコア24hで覆われており、短絡コア25hを備える点がロータ20aと異なっている。ロータ20hにおいても、永久磁石22hは、回転軸91hが8回対称軸となるように、回転軸91hの周りに環状に配置されており、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面225hを有している。磁極面225hは、回転軸91hと垂直をなしている。磁極面225hは、ステータ30aの磁極面(表面3415a)とギャップ92hを挟んで対向している。
図18に示すように、永久磁石22hの平面形状を規定する輪郭線228hは、回転軸91hから径方向(d軸方向)へ伸びて永久磁石22hの中心へ向かう磁極中心線95hから周方向両側に広がる円弧2281hと、円弧2281hの両端からから内周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2282h,2283hと、線分2282h,2283hの内周側の端から内周側へ向かってさらに接近しつつ伸びる同じ長さの線分2284h,2285hとから構成される。輪郭線228hは、磁極中心線95hに関して線対称となっている五角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
また、リラクタンスコア23hの平面形状を規定する輪郭線238hは、回転軸91hから径方向(q軸方向)へ伸びてリラクタンスコア23hの中心へ向かう突極中心線96hから周方向両側に広がる円弧2381hと、円弧2381hの両端から外周側へ向かって接近しつつ伸びる同じ長さの線分2382h,2383hとから構成されている。輪郭線238hは、突極中心線96hに関して線対称となっている三角形の一辺を円弧に変更したものとなっている。
このように、永久磁石22eの平面形状を、内周側へ向かって急激に尻つぼみになる平面形状とすると、周方向に隣接する永久磁石22hの間隙の内周寄りに空き領域ができるので、ロータ20hでは、リラクタンスコア23hを当該空き領域に配置し、リラクタンスコア23hの「偏在」を実現している。
このようにリラクタンスコア23hを内周寄りに偏在させると、周方向に隣接する永久磁石22hの間隙にリラクタンスコア23hが存在しない部分が外周寄りにできるので、永久磁石22hとリラクタンスコア23hとの間隙が占める面積を縮小することができる。そして、永久磁石22hが占める面積や中心角を外周側で確保して、リラクタンスコア23hが占める面積や中心角を内周側で拡大することができので、リラクタンストルクを増加させ、全トルクを増加させることができる。
さらに、リラクタンスコア23hを内周寄りに偏在させると、マグネットトルクを発生させる磁束がバックヨーク21hの外周寄りを流れ、リラクタンストルクを発生させる磁束がバックヨーク21hの内周寄りを流れるので、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とを分離できる。これにより、バックヨーク21hの飽和を緩和することができ、q軸電流iqによるd軸インダクタンスLdの低下やd軸電流idによるq軸インダクタンスの低下等のバックヨーク21hの飽和に起因する問題が起きにくくなる。
ここで、リラクタンスコア23hが占める面積よりも永久磁石22hが占める面積の方が大きいのが一般的であるので、リラクタンスコア23hを内周寄りに偏在させることには、リラクタンスコア23hを外周寄りに偏在させた場合よりも、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路を短くすることができ、リラクタンストルクを増加させることができるという利点がある。
さらに、ロータ20hは、バックヨーク21hの表面からステータ30aへ向かって垂直に屹立する環形状の短絡コア25hを備える。短絡コア25hの材質は磁性体である。リラクタンスコア21hは、短絡コア25hの外周面に接合されており、短絡コア25hは、リラクタンスコア23hの内周においてリラクタンスコア23hを環状に接続し、リラクタンスコア23hを磁気的に短絡させる役割を果たしている。
短絡コア25hを設けると、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路として短絡コア25hを利用することができ、マグネットトルクを発生させる磁束の磁路とリラクタンストルクを発生させる磁束の磁路とをより完全に分離できるので、バックヨーク21hの磁気飽和に起因する問題がより起きにくくなる。
また、ロータ20hでは、バックヨーク21h、リラクタンスコア23h及び短絡コア25hを一体化し、シャフト40aを勘合するボスの長さを軸方向に長くとっている。これにより、ロータとシャフトの嵌合部が短くなりがちなアキシャルギャップ型モータの嵌合部の長さを長くすることも可能である。
回転軸91hを中心とした径方向において、永久磁石22hに設けられたヘッドコア24hの最も外周と、永久磁石22hに設けられたヘッドコア24hの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23hが設けられている。永久磁石21hの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91hを中心とした径方向において、永久磁石22hに設けられたヘッドコア24hの最も外周と、永久磁石22hに設けられたヘッドコア24hの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<9 第9実施形態>
図19は、本発明の第9実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1iの構造を示す断面図である。図20は、ロータ20iをステータ30aの側から見た平面図である。図19は、q軸及び回転軸91iを含む切断面(突極中心線96i(図20参照)及び回転軸91iを含む切断面)及びd軸及び回転軸91iを含む切断面(磁極中心線95i(図20参照)及び回転軸91iを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1iの断面を示す断面図である。
図19に示すように、アキシャルギャップ型モータ1iは、回転軸91iを中心として周方向に回転する界磁子たるロータ20iと、回転軸91iの方向に距離を置いてロータ20iと対向する電機子たるステータ30aと、ロータ20iに勘合されるシャフト40aとを備える。アキシャルギャップ型モータ1iでは、ロータ20iにバックヨークを設けず、ロータ20iの軸方向両側に2個のステータ30aを対向させている。これにより、ロータ20iに加わるスラスト力を打ち消すことができるので、軸受損失を減らし、軸受の寿命を延ばすことができる。
係るロータ20iについて、図19及び図20を参照しながら説明する。図20には、永久磁石22i、リラクタンスコア23i、ヘッドコア24i,27i、ホルダ28iの平面形状が示されている。ロータ20iは、ロータ20hの永久磁石22h、リラクタンスコア23h、ヘッドコア24h及び短絡コア25hに対応する永久磁石22i、リラクタンスコア23i、ヘッドコア24i、短絡コア25iを備えているが、バックヨーク21hをヘッドコア27iに変更し、ヘッドコア24i,27iで挟まれた永久磁石22iとリラクタンスコア23iと短絡コア25iとをホルダ28iで保持している点がロータ20hと異なっている。
ヘッドコア27iは、ヘッドコア24iに覆われた磁極面225iの反対側の磁極面226iを覆い、ヘッドコア24iと同様の役割を果たしている。
ホルダ28iの材質は、樹脂やアルミニウム等の非磁性体である。ヘッドコア24i,28iとリラクタンスコア23iとを磁気的に分離するためである。ホルダ28iの材質が樹脂である場合、ヘッドコア24i,27iで挟まれた永久磁石22iとリラクタンスコア23iと短絡コア25iとを樹脂でモールドすればよい。ホルダ28iの材質がアルミニウムである場合、ホルダ28iを上下に2分割できるようにし、ヘッドコア24i,27iで挟まれた永久磁石22iとリラクタンスコア23iと短絡コア25iとを2分割されたホルダ28iで挟み、しかる後に2分割されたホルダ28iを結合すればよい。
回転軸91iを中心とした径方向において、永久磁石22iに設けられたヘッドコア24iの最も外周と、永久磁石22iに設けられたヘッドコア24iの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23iが設けられている。永久磁石21iの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91iを中心とした径方向において、永久磁石22iに設けられたヘッドコア24iの最も外周と、永久磁石22iに設けられたヘッドコア24iの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<10 第10実施形態>
図21は、本発明の第10実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1jの構造を示す断面図である。図22は、ロータ20jをステータ30aの側から見た平面図である。図21は、q軸及び回転軸91jを含む切断面(突極中心線96j(図22参照)及び回転軸91jを含む切断面)及びd軸及び回転軸91jを含む切断面(磁極中心線95j(図22参照)及び回転軸91jを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1jの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1jは、アキシャルギャップ型モータ1iのロータ20hをロータ20jに変更したものに相当する。
係るロータ20jについて、図21及び図22を参照しながら説明する。図22には、バックヨーク21j、永久磁石22j、リラクタンスコア23j、ヘッドコア24j及び短絡コア25jの平面形状が示されている。
図21及び図22に示すように、ロータ20jは、ロータ20hのバックヨーク21h、永久磁石22h、リラクタンスコア23h、ヘッドコア24h及び短絡コア25hに相当するバックヨーク21j、永久磁石22j、リラクタンスコア23j、ヘッドコア24j及び短絡コア25jを備えるが、短絡コア25jの外周寄りがステータ30aの磁極面(表面3415a)の内周寄りと対向している点がロータ20hと異なっている。
さらに、ロータ20iにおいては、短絡コア25jのd軸インダクタンスを低下させるために、短絡コア25iからリラクタンスコア23iにかけて、輪郭線に沿う磁気障壁となるスリット251jが形成されている。なお、積層した電磁鋼板を輪郭線の形状に折り曲げ、隣接する電磁鋼板の間の絶縁皮膜を磁気障壁として利用してもよい。このように、短絡コア25jにおいて、周方向に隣接するリラクタンスコア23jの突極中心線96jの間に磁気障壁を形成すると、短絡コア25jの外周寄りがステータ30aの磁極面の内周寄りと対向していても、短絡コア25jのd軸インダクタンスを低下させることができるので、マグネットトルクを発生させる磁束が短絡コア25jを通ることを阻害し、リラクタンストルクを発生させる磁束とマグネットトルクを発生させる磁束の磁路とをより確実に分離することができる。
回転軸91jを中心とした径方向において、永久磁石22jに設けられたヘッドコア24jの最も外周と、永久磁石22jに設けられたヘッドコア24jの最も内周との範囲内に、突極性を有する(円環等により互いに短絡されない)リラクタンスコア23jが設けられている。永久磁石21jの磁極面積を大きくとるためである。また、回転軸91jを中心とした径方向において、永久磁石22jに設けられたヘッドコア24jの最も外周と、永久磁石22jに設けられたヘッドコア24jの最も内周との範囲内において、ステータコア(ステータ30aの磁極面)と対向するのが望ましい。
<11 第11実施形態>
図23は、本発明の第11実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1kの構造を示す断面図である。図24は、ロータ20kをステータ30aの側から見た平面図である。図24は、q軸及び回転軸91kを含む切断面(突極中心線96k(図24参照)及び回転軸91kを含む切断面)及びd軸及び回転軸91kを含む切断面(磁極中心線95k(図24参照)及び回転軸91kを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1kの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1kは、アキシャルギャップ型モータ1jのロータ20jをロータ20kに変更したものに相当する。
係るロータ20kについて、図23及び図24を参照しながら説明する。図24には、バックヨーク21k、永久磁石22k、リラクタンスコア23k及び短絡コア25kの平面形状が示されている。
図23及び図24に示すように、ロータ20kは、ロータ20jのバックヨーク21j、永久磁石22j、リラクタンスコア23j及び短絡コア25jに相当するバックヨーク21k、永久磁石22k、リラクタンスコア23k及び短絡コア25kを備えるが、永久磁石21kの平面形状が環形状となっており、リラクタンスコア23kと短絡コア25とが全体として円板形状となっている点がロータ20jとは異なっている。永久磁石22kは、周方向に沿って交互に交代する磁極を呈する磁極面を有するように着磁された1個の環形状のものである。
このように、環状の永久磁石22kより内周側にリラクタンスコア23kを設けても、リラクタンスコア23kの「偏在」を実現することができる。すなわち、永久磁石22kの径方向の存在範囲とリラクタンスコア23kの径方向の存在範囲とを完全に分離することも、偏在」の一態様とみなすことができる。
このようにリラクタンスコア23kを内周寄りに偏在させると、永久磁石22kが占める面積や中心角を外周側で確保して、リラクタンスコア23kが占める面積や中心角を内周側で拡大することができるので、リラクタンストルクを増加させ、全トルクを増加させることができる。
ロータ20kにおいても、短絡コア25kのd軸インダクタンスを低下させるために、短絡コア25kからリラクタンスコア23kにかけて、磁気障壁となるスリット251kが形成されている。スリット251kの平面形状は、回転軸91kからq軸方向に伸びる突極中心線96kから離れるにしたがってって内周側に近づき、回転軸91kからd軸方向に伸びる磁極中心線95kの上で最も内周側に近づく略円弧形状となっている。
このように、短絡コア25jにおいて、周方向に隣接するリラクタンスコア23kの突極中心線96kの間に磁気障壁を形成すると、短絡コア25jの外周寄りがステータ30aの磁極面(表面3415a)の内周寄りと対向していても、短絡コア25jのd軸インダクタンスを低下させることができるので、マグネットトルクを発生させる磁束が短絡コア25jを通ることを阻害し、リラクタンストルクを発生させる磁束とマグネットトルクを発生させる磁束の磁路とをより確実に分離することができる。また、2本のスリット251kの間の磁性体は、リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路として機能するので、このようなスリット251kを形成してもq軸インダクタンスLqは確保できる。
なお、ステータ30aの磁極面の外周は、永久磁石22kの外周と一致することが望ましく、ステータ30aの磁極面の内周は、図24において点線で示すように、永久磁石22kの内周より内側に入り込むようにすることが望ましい。リラクタンスコア23kとステータ30aの磁極面とを対向させて、リラクタンストルクを発生させるためである。ステータ30aの磁極面の内周は、スリット251kの各々の最内周部のうち最も外周側にあるものと最も内周側にあるものとの間にあることが望ましい。これより内側になると、スリット251kによるd軸インダクタンスの低下効果が得られなくなり、これより外側になると、リラクタンストルクが低下するからである。
なお、図25の断面図に示すように、ステータ30aの磁性体板34aを省略し、ステータ30aの磁極面(ティース32の先端面325a)の内周と永久磁石22kの内周とを一致させ、先端面325aと隣接し先端面325aと垂直をなす磁極面である隣接面326aにリラクランスコア23kを対向させるようにしてもよい。この場合、リラクタンスコア23kは、ラジアルギャップ型モータのリラクタンスコアと同様の役割を果たすことになる。その上で、永久磁石22kの磁極面225kと先端面325aとのギャップを、リラクタンスコア23kと隣接面326aとのギャップよりも狭くすることが望まれる。マグネットトルクを主に利用することにより、トルクを向上することができるからである。
さらに、図26の断面図に示すように、バックヨーク21kに短絡コア25kを設けることは必須ではなく、短絡コア25kとバックヨーク21kとが独立してシャフト40aに勘合されるようにしてもよい。リラクタンストルクを発生させる磁束の磁路としてバックヨーク21kを利用する必要はないからである。この場合、シャフト40aに段差を設け、当該段差を利用してバックヨーク21k及びリラクタンスコア23kの位置決めができるようにすると便利である。
<12 第12実施形態>
図23は、本発明の第12実施形態に係るアキシャルギャップ型モータ1mの構造を示す断面図でもある。図23は、ロータ20mをステータ30aの側から見た平面図である。図24は、q軸及び回転軸91mを含む切断面(磁極中心線95m(図27参照)及び回転軸91mを含む切断面)を含む切断面及びd軸及び回転軸91mを含む切断面(磁極中心線95m(図27参照)及び回転軸91mを含む切断面)で切断したアキシャルギャップ型モータ1mの断面を示す断面図である。アキシャルギャップ型モータ1mは、アキシャルギャップ型モータ1kのロータ20kをロータ20mに変更したものに相当する。
係るロータ20mについて、図23及び図27を参照しながら説明する。図27には、バックヨーク21m、永久磁石22m、リラクタンスコア23m及び短絡コア25mの平面形状が示されている。
図27に示すように、ロータ20mは、ロータ20kのバックヨーク21k、永久磁石22k、リラクタンスコア23k及び短絡コア25kに相当するバックヨーク21m、永久磁石22m、リラクタンスコア23m及び短絡コア25mを備えるが、周方向に隣接する永久磁石22mの磁極中心線95mの中間、すなわち、永久磁石22mの隣接する磁極の境界229mから突極中心線96mがずらされている点がロータ20kと異なっている。より具体的には、リラクタンスコア23m及び短絡コア25mを周方向に沿ってロータ20mの回転方向Rとは逆方向に回転させ、突極中心線96mを境界229mから45°/極対数(電気角45°に相当する角度)だけ後退させている。これにより、アキシャルギャップ型モータ1mでは、リラクタンストルクが最大となる電流位相とマグネットトルクが最大となる電流位相とを一致させることができるので、両者が最大となる電流位相でモータを駆動すれば、最大のトルクを得ることができる。具体的には、永久磁石から見て進相0°で駆動することが望ましい。
なお、弱め磁束制御を行う場合、進相側で駆動するので、ずれ角度は0°を超え、45°/極対数未満とすることが望ましい、具体的には、弱め磁束制御時の位相の進みをβとすると、(45°−β/極対数)とするのがよい。
このような角度のずれは、リラクタンスコア23mを内周側に偏在させ、永久磁石22mの径方向の存在範囲とリラクタンスコア23mの径方向の存在範囲とが重なり合わないようにすることで可能となったものである。もちろん、永久磁石22mの径方向の存在範囲とリラクタンスコア23mの径方向の存在範囲とが重なり合う場合であっても、角度のずれを設けることは可能である。ただし、永久磁石22mとリラクタンスコア23mとの間の隙間が大きくなり、空間の利用効率は低下する。
<13 その他>
上述の第1実施形態〜第12実施形態は、本発明のアキシャルギャップ型モータを例示的に説明するものであり、適宜変形して用いることができる。もちろん、第1実施形態〜第12実施形態で説明した技術要素を適宜組み合わせることもできる。