JP4637098B2 - 負荷体状態判定装置、乗物用シート及びコンピュータプログラム - Google Patents

負荷体状態判定装置、乗物用シート及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、自動車、列車、航空機などの輸送機器に用いられる乗物用シート、事務用のシート、病院等において検査や診断等の際に人が着席するシートなどの各種のシート、あるいは、布団、マットレス、ベッドなどの寝具等、本来的に人を支持する目的として用いられる負荷体支持手段に備え付けられ、実際に該負荷体支持手段によって支持されている負荷体の状態の判定を自動的に行うことができ、特に乗物用シートに支持されている負荷体の状態判定に適する負荷体状態判定装置、該負荷体種別判定装置を具備した乗物用シート及び負荷体状態判定に用いられるコンピュータプログラムに関する。
人の生体の状態、例えば、活性状態(覚醒状態)であるか、睡眠状態であるかを検出するには、従来、脳波を測定し、その脳波パターンを解析することにより行われている。しかしながら、脳波を測定するには、被検者の頭部に脳波電極や眼電位電極を取り付ける必要があるなど、人の通常動作を制約する環境下で行わなければならず、例えば、自動車、電車などの各種輸送機器の運転時における生体状態を運転者に負担をかけずに学術的な高いレベルでの評価は困難である。
一方、運転中の運転者の生体状態(心身状態)を監視することは、近年、事故予防策として注目されており、例えば、特許文献1、特許文献2には、心拍又は脈拍を用い、これをカオス解析して生体状態を監視する技術が提案されている。特許文献1及び2に開示の技術によれば、脳波測定用の大がかりな装置の頭部への装着が不要で、簡易に運転者の生体状態を評価できる。
特開平9−308614号公報 特開平10−146321号公報
特許文献1及び2に開示された装置は、いずれも、心臓の拍動に伴う体表面の振動を、シートの座部に装着した圧力センサによりセンシングするものである。しかしながら、実際には、走行中の車体の振動により、該圧力センサによって、シートに着座した人の拍動に伴う体表面の振動のみを検出することは極めて困難である。すなわち、このような圧力センサによって拍動に伴う体表面の振動を検出しようとしても、該圧力センサは車体の振動による圧力変化も敏感に検出してしまうため、車体振動による信号データと生体信号とを明確に区別することは困難である。従って、上記した技術は、外的要因による振動の影響を受けにくい環境下でなければ正確には機能せず、実用性の点で問題がある。
一方、自動車のエアバックは、シート上の負荷体が、人ではなく、物の場合には、展開する必要がない。衝突時において、例えば、助手席に物が載っているに過ぎないにも拘わらず展開した場合には、無用な修理費用が生じる。しかしながら、従来、所定の重量を備えた物がシートに載せられている場合に、これを物であるか人であるか自動的に区別する手段は知られていない。従来、クッション材としてのウレタンフォームを支持するスプリングの変位量を測定し、変位量の大小によって重量を検知する重量センサを付設し、重量について所定の閾値を設定し、シート上の負荷体の重量が該閾値を上回るか否かによって、大人か子供かを区別するものは知られている。しかし、かかる重量センサを用いても、所定の重量のある物であれば、例えば、大人と判定してしまうため、エアバックの動作を制限することはできない。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、負荷体支持手段の負荷体から変位信号収集センサによって収集した生体変位信号を簡易かつ迅速に解析し、生体の状態を速やかに評価できる技術を提供することを課題とする。また、本発明は、自動車走行時等の外部振動によるノイズ信号の影響を低減し、乗物用シートに支持された負荷体の状態を簡易かつ正確に判定するのに適する技術を提供することを課題とする。
ここで、脈波等の循環系の生体信号の周波数帯は10Hz以下の周波数帯に集中する。呼吸で0.25〜0.33Hz、心拍数で0.83〜1.17Hz、脈波で0.5〜10Hzである。このため、従来、脈波の波形の型による分析で血管の硬さ、血液粘度などの情報を得て、10Hz以上の周波数帯のノイズに関してはローパスフィルタを設けることで対応することも行われている。しかし、10Hz以下の周波数帯のノイズの混入による影響を抑えることは難しく、脈波分析の採取現場は限られざるを得ない。
脈波・呼吸などの生体信号そのもの、脈波・呼吸・体動・振戦などに伴う筋肉の振動、あるいは、これらの要因が適宜重畳されて生じる振動(本発明においては、これらを併せて「生体変位信号」と呼ぶ)は、いずれも、生体特有の大きなゆらぐような振動(ゆらぎ振動)として捉えることができる点で共通し、自動車走行時に入力される相対的に高周波の外部振動とは区別される。そこで、本発明者は、自動車などのような振動が生じる環境の中で、これらの生体変位信号を捉えるに当たって、変位信号収集センサで得られた信号データの任意区間毎の変位(振幅)の変化率(原波形変位傾き)を用いることに着目した。すなわち、信号データの原波形が、例えば、路面の凹凸により生じる突発的な振動によって大きく変位したとしても任意区間毎に算出した複数の原波形変位傾きを用い、これを所定時間範囲毎に処理すれば、ノイズ信号による原波形変位傾きがプラスマイナスされて相殺された変位(振幅)の傾き(平均変位傾き)となる。また、生体変位信号の変位(振幅)の原波形には、例えば、振幅が大きくても所定時間における各区間の原波形変位傾きが小さい場合があり、逆に原波形の振幅が小さくでも所定時間における各区間の原波形変位傾きが大きい場合があるが、これはフロア振動以外の要因による圧力変動、すなわち、脈波や呼吸などによる生体変位信号を受けての圧力変動が重畳されているためである。従って、このような原波形変位傾きの時系列変動を捉え、大きなノイズ信号を除去した上記平均変位傾きを求め、さらに、平均変位傾きを用いて所定条件でスライド計算を行っていくと、原波形において捉えることが困難な、低周波の生体変位信号特有のゆらぐような変動(ゆらぎ)が強調され、生体変位信号の変動傾向を顕在化させることができることを見出した。また、これにより、特許文献1及び2に示されたようなリアプノフ指数などのカオス解析を行って生体状態を分析する場合と比較し、より簡易かつ迅速にに計算でき、負荷体の種別を含む状態を実質的にリアルタイムで判定することができる。
すなわち、請求項1記載の発明では、負荷体支持手段に支持される負荷体の生体変位信号を収集可能な変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定する負荷体状態判定装置であって、
前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算手段と、
前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算手段と、
前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定手段と
を具備することを特徴とする負荷体状態判定装置を提供する。
請求項2記載の発明では、前記変位信号収集センサが、負荷体支持手段に付設されていることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項3記載の発明では、前記平均変位傾き演算手段が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算手段と、
前記原波形変位傾き演算手段により得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計手段と
を備え、前記原波形変位傾き合計手段により得られた合計値を平均変位傾きとして設定する構成であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項4記載の発明では、前記原波形変位傾き演算手段が、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求める構成であることを特徴とする請求項3記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項5記載の発明では、前記強調変位傾き演算手段のスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項記載の発明では、前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、シートクッション、シードバック又はヘッドレストのいずれか少なくとも1カ所に付設され、負荷体の生体変位信号による圧力変動を検知する構造であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項記載の発明では、前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、シートのシートクッションの少なくとも1カ所に付設され、負荷体の臀部筋肉を介しての生体変位信号による圧力変動を検知する構造であることを特徴とする請求項記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項記載の発明では、前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、負荷体の生体変位信号により変位する部材の変位量を検出する構造であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項記載の発明では、負荷体の生体変位信号により変位する部材の変位量を検出する前記変位信号収集センサが、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段としても機能することを特徴とする請求項記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項10記載の発明では、前記変位信号収集センサとは別途に、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項11記載の発明では、前記変位信号収集センサとは別途に、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えており、前記荷重検知手段から得られる負荷体の荷重を、予め記憶部に記憶された基準荷重と比較し、該荷重を比較要素に加えて、体格の大小の別、大人と子供の区別のうち、いずれか少なくとも一つの要素を判別する比較手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項12記載の発明では、前記荷重検知手段が、負荷体支持手段のうち、負荷体の荷重により変位する部材の変位量を検出する変位検出機構であることを特徴とする請求項10又は11記載の負荷体状態判定装置を提供する。
請求項13記載の発明では、負荷体支持部であるシートクッション、シートバック、ヘッドレストのいずれか少なくとも1カ所に設けられ、前記負荷体支持部に支持される負荷体の生体変位信号に起因した該負荷体支持部の変位を収集可能な変位信号収集センサと、
前記変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定する負荷体状態判定装置と
を具備した乗物用シートであって、
前記負荷体状態判定装置が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算手段と、
前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算手段と、
前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データから、負荷体の状態を判定する状態判定手段と、
前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定手段と
を具備することを特徴とする乗物用シートを提供する。
請求項14記載の発明では、前記負荷体支持部は、平衡状態におけるバネ定数の小さい除振機構と、人の筋肉のバネ特性に近似したバネ特性を備えるように設けられたクッション機構とを備えてなり、
前記変位信号収集センサが、前記除振機構とクッション機構との間に設けられていることを特徴とする請求項13記載の乗物用シートを提供する。
請求項15記載の発明では、前記変位信号収集センサが、シートクッションに配設され、前記除振機構に含まれるベースクッション材と、クッションフレームに張設され、前記クッション機構に含まれる表層クッション材との間に配設され、臀部筋肉を介しての生体変位信号を収集可能であることを特徴とする請求項14記載の乗物用シートを提供する。
請求項16記載の発明では、前記負荷体状態判定装置の平均変位傾き演算手段が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算手段と、
前記原波形変位傾き演算手段により得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計手段と
を備え、前記原波形変位傾き合計手段により得られた合計値を平均変位傾きとして設定する構成であることを特徴とする請求項13記載の乗物用シートを提供する。
請求項17記載の発明では、前記負荷体状態判定装置の原波形変位傾き演算手段が、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求める構成であることを特徴とする請求項16記載の乗物用シートを提供する。
請求項18記載の発明では、前記負荷体状態判定装置に含まれる強調変位傾き演算手段のスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項13記載の乗物用シートを提供する。
請求項19記載の発明では、さらに、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていることを特徴とする請求項13記載の乗物用シートを提供する。
請求項20記載の発明では、さらに、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていると共に、前記荷重検知手段から得られる負荷体の荷重を、予め記憶部に記憶された基準荷重と比較し、該荷重を比較要素に加えて、体格の大小の別、大人と子供の区別のうち、いずれか少なくとも一つの要素を判別する比較手段を有することを特徴とする請求項13記載の乗物用シートを提供する。
請求項21記載の発明では、負荷体支持手段に支持される負荷体の生体変位信号を収集可能な変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定するプロセスをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算ステップと、
前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算ステップと、
前記強調変位傾き演算ステップにより得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定ステップと
コンピュータに実行させるコンピュータプログラムを提供する。
請求項22記載の発明では、前記平均変位傾き演算ステップが、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算ステップと、
前記原波形変位傾き演算ステップにより得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計ステップと
をコンピュータに実行させ、前記原波形変位傾き合計ステップにより得られた合計値を平均変位傾きとして設定する請求項21記載のコンピュータプログラムを提供する。
請求項23記載の発明では、前記原波形変位傾き演算ステップが、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求めることをコンピュータに実行させる請求項22記載のコンピュータプログラムを提供する。
請求項24記載の発明では、前記強調変位傾き演算ステップのスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項21記載のコンピュータプログラムを提供する。
本発明によれば、負荷体支持手段に支持された負荷体の変位信号データの原波形の任意区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求めると共に、複数の原波形変位傾きから所定時間範囲毎の平均変位傾きの時系列データを求め、さらにこの平均変位傾きの時系列データを所定のサンプリング時間毎にスライド計算して強調変位傾きを求め、得られた強調変位傾きの時系列データから負荷体の状態を判定する構成である。
従って、例えば、自動車の走行中に路面から伝達される振動等が変位信号収集センサにより収集された変位信号データに含まれていても、上記のように、原波形変位傾き、平均変位傾きから強調変位傾きを求めることにより、低周波の生体変位信号特有のゆらぐような変動(ゆらぎ)が強調された時系列データを得ることができる。
そして、このようにして求めた強調変位傾きの時系列データの変動傾向と生体の状態との関係を予め規定しておくことにより、該変動傾向から生体の状態、例えば、覚醒状態、睡眠状態、あるいは覚醒と睡眠との間の遷移状態(入眠移行期)であるかどうかを判定することができる。
また、負荷体支持手段に「物」が載っている場合には、変位信号収集センサにより収集された変位信号データには、生体変位信号による変動信号が重畳されていない。従って、上記のような強調変位傾きの時系列データを求めた場合には、生体信号特有のゆらぐような変動(ゆらぎ)が生じないため、「物」と判定できる。
また、荷重検知手段を付設した場合、負荷体が「人」の場合には、体動による生体変位信号(動的な荷重変動)が検知されるのに対し、負荷体が「物」の場合にはそのような荷重変動が生じないため、負荷体の種別をさらに正確に判定することができる。また、負荷体が「人」と判定された場合に、荷重検知手段により検知された荷重を考慮することにより、体格の大小の別、又は大人と子供の区別を判定することができる。
図1は、本発明の一の実施形態にかかる負荷体状態判定装置を取り付けたシートの概略構成を示す斜視図である。 図2は、上記シートの概略構成を示す側面図である。 図3は、上記シートの概略構成を示す平面図である。 図4は、変位信号収集センサの好ましい配設位置を示す模式図である。 図5は、上記実施形態にかかる負荷体状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。 図6(a)〜(c)は、状態判定手段のバリエーションを示したブロック図である。 図7は、平均変位傾きの計算手法を説明するための図である。 図8は、スライド計算の手法を説明するための図である。 図9(a)〜(e)は、30分間の睡眠実験において、最適な傾き計算を行うため、サンプリング時間を異ならせた場合の強調変位傾きを示す図である。図9(f)はその波高係数を示す図である。 図10(a)〜(d)は、30分間の睡眠実験において、最適な傾き計算を行うため、スライドラップ率を時間を異ならせた場合の強調変位傾きを示す図である。図10(e)は波高係数を示す図である。 図11(a)は、図9(a)〜(e)の周波数分析結果を示す図であり、図11(b)は、図10(a)〜(d)の周波数分析結果を示す図である。 図12は、180分の睡眠実験で得られた強調変位傾きについての周波数分析結果を示す図であり、(a)はスライドラップ率を90%として、サンプリング時間を変化させた場合、(b)はサンプリング時間を180秒として、スライドラップ率を変化させた場合を示す。 図13は、試験例1において静的状態及び動的状態のそれぞれについて圧力センサから得られたデータの原波形を示す図である。 図14は、図13の原波形を基に、平均変位傾き演算手段により算出した平均変位傾きの時系列データを示す図である。 図15は、さらに、強調変位傾き演算手段により処理して算出した強調変位傾きの時系列変化を示す図である。 図16は、図15の強調変位傾きについての周波数分析結果を示す図である。 図17は、試験例2の実車試験で測定した指尖容積脈波の原波形を示す図である。 図18は、試験例2の実車試験の平均変位傾きの時系列データを示す図である。 図19は、試験例2の実車試験の強調変位傾きの時系列データを示す図である。 図20は、試験例2の静的着座試験で測定した指尖容積脈波の原波形を示す図である。 図21は、試験例2の静的着座試験の平均変位傾きの時系列データを示す図である。 図22は、試験例2の静的着座試験の強調変位傾きの時系列データを示す図である。 図23は、試験例5の人と物との判定試験のおいて圧力センサから得られた原波形を示す図である。 図24は、図23の原波形を演算部により演算して得られた強調変位傾きの時系列変化を示す図である。 図25は、変位検出機構を設けたシートのシートクッションの構成例を示す図である。 図26は、図25のA矢視図である。 図27は、ホールIC固定用ブラケットの詳細を示す図である。 図28は、トーションバーに励磁コイルとピックアップコイルを設けた変位検出機構の一例を示す図である。 図29は、トーションバーに励磁コイルとピックアップコイルを設けた変位検出機構の他の例を示す図である。 図30は、荷重とピックアップコイルの出力電圧との相関を示すグラフである。 図31(a)は、振動の大きさと出力電圧との関係を示すグラフであり、図31(b)、(c)は、測定方法を説明するための図である。 図32は、荷重検知手段から得られる荷重信号を用いた場合の負荷体状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。 図33(a)は、試験例3の指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データを示す図であり、(b)が臀部筋肉を介しての生体変位信号の強調変位傾きの時系列データを示す図である。 図34は、試験例4で測定した指尖容積脈波と脳波との比較を示すデータである。
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1〜図3は、負荷体支持手段である自動車などの乗物用のシート100に、本発明の一の実施形態に係る負荷体状態判定装置1を付設した状態の概略構成図である。負荷体状態判定装置1は、変位信号収集センサ10によって収集される信号データを受信し、解析する演算部20を備えている。
変位信号収集センサ10としては、圧力センサを用いることができる。但し、シートクッション、シートバック又はヘッドレストの少なくとも一つに取り付けて用いるため、着座時において、人に異物感を感じさせない必要があり、圧力センサとしては、例えば、フィルム状の圧電素子を用いることが好ましい。フィルム状の圧電素子としては、例えば、(株)東京センサ、製品名:PIEZO FILM LDTシリーズ、型番:LDT4−028K/Lを用いることができる。なお、変位信号収集センサ10は、上記のように、シートクッション、シートバック、ヘッドレストのいずれか少なくとも1カ所に装着することも可能であるが、人体と常時接触するシートクッションに取り付け、臀部脈波、呼吸、骨盤の動きあるいは体動などによる臀部筋肉を介して伝播する生体変位信号(ゆらぎ)を検知する構成とすることが好ましい。また、変位信号収集センサ10は、座骨結節下付近に1枚のみ配設する構成であってもよいが、例えば、長時間の着座により臀部を前方にずらした姿勢(仙骨姿勢)をとったりすることによりセンサの検知範囲から外れる可能性もあるので、座骨結節下付近に配置するセンサのほかに、その前や後等にずれた位置に、さらに1枚若しくは複数枚のセンサを配置することも可能である。
なお、自動車等のシート100により生体変位信号を採取する場合、上記のような圧力センサを用いれば、人が特別な測定装置を装着することなく着座するだけで生体変位信号を、筋肉を伝播する体表面の振動として採取できるため好ましい。しかしながら、後述の心身状態判定手段(心身状態判定ステップ)23aにより、入眠予兆の検知や疲労度解析などを行う場合には、よりノイズの少ない信号データとして、脈波や呼吸などの生体信号そのものを生体変位信号として採取することが好ましい。例えば、自動車の助手席に人を着座させて、シートやサスペンションの性能評価などの実験を行う場合や、病院等で患者の生体評価に用いたりする場合には、このような構成としても、自動車の運転等に支障を来すわけではないため、有効である。この場合、例えば、公知の指尖容積脈波を採取する光学式指尖脈波計や耳朶脈波を採取する測定器具などを変位信号収集センサとして用いることができる。
ここで、シート100の構造は限定されるものではないが、シートクッション120やシートバック140の各クッション構造が、人の呼吸、心拍(脈波)、体動などによって生じる筋肉の僅かな圧力変動を変位信号収集センサ10に伝達できると共に、フロア振動の除振機能の高い性能を備えたものであることが好ましい。図1〜図3は、かかる性能を備えた好ましいシート100の一例を示すものである。
すなわち、このシート100のシートクッション120は、クッションフレーム121の後部にトーションバー122を備え、該トーションバー122によって後倒方向に付勢されるアーム123に後部支持フレーム124を支持し、前部支持フレーム125と該後部支持フレーム124との間に張設されるベースクッション材126を備えている。ベースクッション材126の上部には、図2において想像線で示したように、クッションフレーム121に低い張力で張られる表層クッション材127が設けられる。なお、ベースクッション材126及び表層クッション材127は、それぞれ1枚のクッション材で形成することもできるし、必要に応じて複数枚のクッション材を積層して形成することもできる。
変位信号収集センサ10は、ベースクッション材126と表層クッション材127との間に設けられる。ベースクッション材126は、トーションバー122の弾性力によって張力が付与された構造となっているため、フロア振動を除振する。これにより、表層クッション材127への振動伝達が減殺される。一方、表層クッション材127は、クッションフレーム121に低い張力で張られているため、着座時において人の筋肉(特に、臀部筋肉)の圧迫が小さく、血管の拡張・収縮運動、呼吸あるいは体動などによる筋肉運動を妨げない。これにより、変位信号収集センサ10によって収集される信号データへの外部振動ノイズの混入が小さくなり、より正確に生体変位信号に起因する圧力変動信号を収集することが可能となる。
表層クッション材127は、二次元のネット材、薄型のウレタン材などから形成することもできるが、臀部筋肉等への圧迫をより小さくするためには、表層クッション材127をクッションフレーム121に張設した際のバネ特性が、臀部筋肉等のバネ特性にできるだけ近似した構成であることが好ましい。このような特性を有する表層クッション材127としては、本出願人が、例えば、特開2002−336076公報に開示した反力の小さな立体編物等を用いることが好ましい。立体編物は、例えば、ダブルラッセル編機等を用いて形成され、所定間隔をおいて位置する一対のグランド編地間に連結糸を往復させて編成される。なお、ベースクッション材126も、表層クッション材127と同様に、二次元のネット材や立体編物等を用いることができる。
換言すれば、変位信号収集センサは、図4に模式的に示したように、トーションバー122などのバネ材による弾性と、立体編物等からなるベースクッション材126等の有する減衰性とにより、静的なバネ特性として、人が着座した平衡状態において、所定の変位量範囲において荷重の増減がほとんどない、いわゆるバネ定数ゼロの範囲を有する除振機構と、クッションフレーム121に張設された立体編物等からなる表層クッション材127のような、臀部筋肉等のバネ特性に近似した筋肉を圧迫しないバネ特性を有するクッション機構との間に配設されることが好ましい。
なお、バネ定数ゼロの範囲を有する除振機構としては、本実施形態のようなトーションバー122とベースクッション材126との組み合わせから作ったものに限らず、本出願人が提案している特開2003−139192号公報や特開2002−206594号公報に開示されているように、永久磁石の反発力や吸引力と金属バネ等の弾性部材とを組み合わせて構成され、負荷質量の平衡点においてバネ定数が略ゼロとなる領域を有する除振機構を用いたシートサスペンション等から構成することもできる。
また、上記のように、ベースクッション材126は、後部支持フレーム124と前部支持フレーム125との間に張設され、表層クッション材127は、ベースクッション材126を覆うようにクッションフレーム121に張設される構造であるため、除荷時における復元力を補う構造を設けることが好ましい。図1〜図3では、かかる構造として、ベースクッション材126の下側であって略中央部から前端寄りに金属板や合成樹脂等からなる硬質の補助板材128を配置し、これをサイドフレーム121aに一端を支持させたコイルスプリング129及びワイヤ130を介して弾性的に支持すると共に、補助板材128の上面にウレタン材や立体編物などの緩衝材131を積層した部材を設けている。また、緩衝材131とベースクッション材126との間に、幅方向にゴム等からなる弾性帯状部材132を配置し、これをサイドフレーム121aに一端を支持させたコイルスプリング133により支持している。さらに、ベースクッション材126のうち、後部支持フレーム124の両側部付近に位置する部位にコイルスプリング134の一端を掛け、該コイルスプリング134の他端を、後方斜め外側に広がるような方向に位置する補助フレーム材135に係合している。後方に配置したコイルスプリング134により、ベースクッション材126に前後方向の張力が生じると共に、この張力方向に交差する張力が、帯状弾性部材132等によって生じることにより、復元力が補助される。また、補助板材128をベースクッション材126の前方寄りに配置しているため、臀部付近のホールド性、安定感が高まり、姿勢支持機能が向上する機能も有する。
シートバック140は、ベースクッション材141と、該ベースクッション材141を被覆するようにバックフレーム142に張設される表層クッション材(図示せず)とを備えて構成される。ベースクッション材141や表層クッション材は、上記したシートクッション120に用いたものと同様に、立体編物等を用いて構成される。なお、ベースクッション材141は、上端がバックフレーム142の上部にコイルスプリング144により支持され、下端がクッションフレーム121にコイルスプリング145により支持されて、所定の張力が付与され、除荷時の復元性が確保される構成となっている。
演算部20は、上記した変位信号収集センサ10と無線又は信号ケーブルを介して接続されており、図5に示したように、プログラムとしての、平均変位傾き演算手段(平均変位傾き演算ステップ)21、強調変位傾き演算手段(強調変位傾き演算ステップ)22、及び状態判定手段(状態判定ステップ)23を備えている。
平均変位傾き演算手段(平均変位傾き演算ステップ)21は、原波形を、予め設定した所定時間範囲毎(例えば、5秒毎)に区分し、該所定時間範囲における信号データの変位(振幅)の平均の変化率を求め、それを平均変位傾きとして得る手段である。平均変位傾きを求めることにより、原波形にノイズ信号が含まれていても、その影響が小さくなる。平均変位傾き演算手段21は、かかる機能を有する限り、その算出方法は制限されないが、簡易に算出できると共に、ノイズ信号の影響を容易にキャンセルできることから、次のような原波形変位傾き演算手段(原波形変位傾き演算ステップ)21aと原波形変位傾き合計手段21bとを備えた構成とすることが好ましい。
原波形変位傾き演算手段(原波形変位傾き演算ステップ)21aは、上記所定時間範囲内で、さらに複数区間に区分された各区間毎の変位(振幅)の変化率を原波形変位傾きとして求める手段である。区間数は限定されるものではなく、例えば、原波形の上限側の包絡線と原波形との各交点間を一つの区間とすることができる。図7は、その一例を図示したものであり、振幅の上限側包絡線と原波形との隣接する交点P1−P2間、P2−P3間・・・・P7−P8間がそれぞれ一つの区間となる。そして、原波形変位傾きは、P1−P2間、P2−P3間・・・・P7−P8間の各区間の値の差を求め、各区間の時間t1秒、t2秒・・・・t7秒で除して求める。なお、各区間の設定は、例えば、信号データをSavitzkyとGolayによる平滑化微分法により、波形の変位(振幅)の大きさに対して所定の閾値で、好ましくは、波形の変動幅の70%を閾値として検出を行い上限側の各ピーク値を算出し、各ピーク値間の変化率を原波形変位傾きとして算出することもできる。但し、このようにして算出される各ピーク値は、実際には、上記した振幅の上限側包絡線と原波形との交点(P1〜P8)にほぼ一致する。
原波形の算出手段としては、このほかに、下限側の包絡線と原波形との隣接する交点間を一つの区間として求めたり、上限側の包絡線又は下限側の包絡線と略平行な曲線と原波形との隣接する交点間を一つの区間として求めることもできる。また、原波形の振幅のほぼ中心を横切る線を基線とした際に、該基線が直線ではなく曲線となる基線動揺が生じている場合には、該基線動揺をキャンセルして直線に直すか、あるいは、振幅の下限に合わせた新たな直線を設定し、上記の原波形変位傾きを求める。
原波形変位傾き合計手段(原波形変位傾き合計ステップ)21bにおいては、上記の原波形変位傾き演算手段21aにより得られた各原波形変位傾きを、上記所定の時間範囲毎に合計し、これを平均変位傾きとして設定する。従って、図7の場合には、
となる。
図7において、P4点はノイズ信号であるが、上記のように求めることにより、P3−P4間の傾きが大きなプラスの値になるのに対し、P4−P5間の傾きが大きなマイナスの値となるため、これらを合計することにより、該ノイズ信号の影響がほぼ相殺されることになる。
強調変位傾き演算手段(強調変位傾き演算ステップ)22は、平均変位傾き演算手段21から得られた所定時間範囲毎の各平均変位傾きの値を用いて、該平均変位傾きの値の所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていく(図8参照)。スライド計算は、次のようにして行う。
例えば、T秒(s)間における強調変位傾きを、スライドラップ率90%で求める場合には、まず、所定時間範囲毎(例えば、5秒毎)の各平均変位傾きの値を用い、0(s)〜T(s)間における変化率を、最小二乗法などにより求める。次いで、
スライド計算(1):T/10(s)〜T+T/10(s)間、
スライド計算(2):2×T/10(s)〜T+2×T/10(s)間、
スライド計算(n):n×T/10(s)〜T+n×T/10(s)間
における各平均変位傾きの変化率を最小二乗法により求めていく。
そして、例えば、最初に得られた平均変位傾きの値の変化率(強調変位傾き)の値を、T(s)時点にプロットし、次のスライド計算で得られた強調変位傾きの値を、T+T/10(s)時点にプロットし、n回目のスライド計算で得られた強調変位傾きの値を、T+n×T/10(s)時点にプロットし、強調変位傾きの時系列データを得る。
ここで、強調変位傾きを得るためのスライド計算を行う際のサンプリング時間(T秒間)は180秒間が最適であり、スライドラップ率は90%が最適である。これは、数名の被験者について、同じ環境下で30分間の睡眠実験を行い、指尖容積脈波を採取して分析した結果から得られたものである。図9〜図12は、その一例を示すものである。
図9(a)〜(e)は、それぞれ、傾き計算のためのサンプリング時間間隔を、60秒、120秒、180秒、240秒、300秒とし、スライドラップ率を90%に統一して示した強調変位傾きの時系列データであり、図11(a)はその周波数分析結果を示す。なお、図中、a,bは入眠移行期に現れる特徴的な信号の振幅であり、そのうち、aは、被験者が入眠に至る前に現れた特徴的な入眠予兆信号の振幅を示し、bは入眠予兆が現れてから睡眠に遷移する遷移状態の信号の振幅を示す。cは睡眠に入ったときの睡眠信号の振幅を示す。覚醒状態であるか睡眠状態であるかの判定は、第三者の視察及びビデオ撮影のデータから、被験者の様子変動時間(例えば、うとうとし始めた時間、睡眠に陥った時間など)を測定し、強調変位傾きの時系列データと照合して決定した。
そして、それぞれにおいて、各兆候信号(ここでは、入眠予兆信号a、遷移状態信号b、睡眠信号c)の時系列信号から、傾きの離散的信号の波高係数:Cf=Xp/Xs(但し、Xpは、兆候信号の最大振幅を示し、Xsは兆候信号が生じる前又は後の定常状態の信号の振幅を示す)を求め、その値から傾きの特徴が最も感度良く現れる条件を求めた。その結果が図9(f)であり、この図から、傾き計算するための時間間隔として180秒が最も感度が良いことがわかる。中央値を180秒に設定した理由は、疲労による筋肉活動の指令の発射頻度は筋肉内の末梢性反射機構が多くをになうことによる。換言すれば、疲労による上位中枢の興奮性の減衰と末梢性の抑制性反射機構の関与により筋肉活動の指令が減少するが、血流を正常に戻すと180秒間で中枢性の興奮水準は回復することと関連していると予測される。
一方、スライドラップ率は、サンプリング時間間隔180秒間の場合において、70%から95%までを計算した。70%未満については時系列信号が疎になるため省略した。その結果が図10(a)〜(d)であり、図11(b)はその周波数分析結果を示す。この図から、スライドラップ率が90%と95%のときがノイズが小さかったが、その波高係数を示した図10(e)のグラフを参照すると、スライドラップ率90%の場合が最も感度が高かった。このことから、兆候信号a,b,cを明確に拾える時間間隔180秒とスライドラップ率90%が、生体の特徴となる情報抽出のために最も好ましい条件である。
なお、上記した結果は、実験時間30分の場合であるが、実験時間を180分とした場合にも、図12(a),(b)に示したように、兆候信号a,b,cは、時間間隔180秒とスライドラップ率90%とした場合に顕著に特徴を抽出できた。
以上の結果から、強調変位傾き演算手段22においては、180秒間に対する各平均変位傾きの変化率を最小二乗法により求め、次いで、18秒後を起点として180秒間に対する傾きを最小二乗法により求めていくことが最適である。すなわち、傾き計算を行う時間間隔を180秒間に設定し、スライドラップ率を90%に設定すると、生体変位信号特有のゆらぐような特徴(ゆらぎ)を顕著に抽出できる。
ここで、循環系の生体信号の周波数帯は10Hz以下の周波数帯に集中する。呼吸で0.25〜0.33Hz、心拍数で0.83〜1.17Hz、脈波で0.5〜10Hzである。従来の脈波分析は、脈波の波形の型による分析で血管の硬さ、血液粘度などの情報を得て、10Hz以上の周波数帯のノイズに関してはローパスフィルタを設けることで対応してきている。しかし、10Hz以下の周波数帯のノイズの混入による影響を抑えることは難しく、脈波分析の採取現場は限られてきた。一方、自動車の振動が生じる環境の中で採取される脈波、呼吸、体動などの生体変位信号は、一般的には不規則な振動源によって加振される中での振動であり、不規則振動源によるノイズの影響を小さくしないと、運転者の生体振動による圧力変動信号を抽出するに当たって実用的ではない。ところが、上記のような処理を行い、強調変位傾きの時系列データを得ることで、生体変位信号による変位振動データを強調して取り出すことができ、かつノイズの影響を小さく抑えている。
状態判定手段(状態判定ステップ)23は、強調変位傾き演算手段22により得られた強調変位傾きの時系列データを基に、負荷体の状態を判定する。具体的には、図6に示したように、負荷体が人である場合に、その心身状態を判定する心身状態判定手段(心身状態判定ステップ)23aと、負荷体の種別を判定する種別判定手段(種別判定ステップ)23bとのうち、いずれか少なくとも一方の手段を有する。
心身状態判定手段23aは、前記強調変位傾きの時系列データの振幅が、前範囲の振幅又は後範囲の振幅に比較して、相対的に大きくなった範囲を、覚醒状態と睡眠状態との間の入眠移行期と判定する。図9及び図10に示した実験結果から、睡眠に至る前の所定時間範囲における振幅は、その前範囲(覚醒状態)の振幅又は後範囲(睡眠状態)の振幅と比較して相対的に大きくなる特徴的な信号が現れている。従って、この振幅が大きくなった特徴的な信号を入眠予兆信号とし、かかる信号が生じた場合に入眠移行期と判定する。入眠予兆信号と判定する際の振幅の大きさは、その前範囲又は後範囲と比較して2倍以上の振幅となっている時点とすることが好ましい。これは、図9及び図10に示した睡眠実験を成人男女32人に行ったところ、ほぼ全員が2倍以上の振幅となっていたことによる。
なお、図9及び図10においては、カオス指標である最大リアプノフ指数を併せた算出し、該最大リアプノフ指数を、上記強調変位傾き演算手段と同様の手法により、スライド計算して算出した最大リアプノフ指数の傾きの時系列データも併せて示している。最大リアプノフ指数は、主に人の精神的状態の変化を示すものとされているが、図9(c)の結果から、入眠予兆信号や遷移状態信号が現れる入眠移行期おいて、強調変位傾きの時系列変化と最大リアプノフ指数の傾きの時系列変化との間には、位相が180度逆になる関係が存在する。従って、入眠移行期をより正確に判定するためには、最大リアプノフ指数の傾きの時系列データも演算し、強調変位傾きの時系列データに併せて表示し、かかる逆位相状態が存在するか否かも判定指標とすることが好ましい。
種別判定手段23bは、強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する。上記したように、平均変位傾き、強調変位傾きを算出することにより、外部振動ノイズが低減され、強調変位傾きの時系列データは、生体変位信号による変動を捉えたデータとなる。このため、負荷体が「物」であって生体変位信号を生じない場合の強調変位傾きの時系列データは、時間的変化が極めて小さいゆらぎを生じないデータとなる。従って、所定の閾値を設け、強調変位傾きの時間的変化が所定の範囲内である場合には「物」と判定し、所定の範囲を超える時間的変化を有する場合には、生体変位信号による変動であるため、「人」と判定する。
心身状態判定手段23a及び種別判定手段23bは、図6(a),(b)に示したように、用途によりそのいずれかのみを具備する構成としてもよいが、乗物用シートの中でも、特に自動車の場合には、シート上に人が着座する場合及び物が置かれる場合の両方のケースが生じる頻度が相対的に高いため、図6(c)に示したように、心身状態判定手段23a及び種別判定手段23bの両者を備えることが好ましい。
出力手段24は、上記した状態判定手段23の結果を出力し、所定の制御部に送信する。例えば、心身状態判定手段23aにより入眠予兆信号が検知された場合には、五感のいずれか少なくとも一つを刺激して覚醒させる適宜の覚醒手段の制御部に出力結果を送信し、それらを動作させる。例えば、警報装置を動作させたり、シートバックを僅かに傾動させたりして覚醒させることができる。種別判定手段23bにより、「物」と判定された場合には、例えば、エアバックの制御部に作動をキャンセルする信号を送る。
なお、上記した平均変位傾き演算手段(平均変位傾き演算ステップ)21、強調変位傾き演算手段(強調変位傾き演算ステップ)22、状態判定手段(状態判定ステップ)23を構成する心身状態判定手段(心身状態判定ステップ)23a及び種別判定手段(種別判定ステップ)23b等を含んで構成される本発明のコンピュータプログラムは、記録媒体へ記憶させて提供することができる。「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROMなどである。また、本発明に係るプログラムをインストールしたコンピュータから、通信回線を通じて他のコンピュータへ伝送することも可能である。また、汎用的な端末装置に対して、上記のプログラムをプリインストール、あるいはダウンロードすることで、本発明を構成することも可能である。
(試験例1)
(ノイズ信号除去確認試験)
図1〜図3に示した、シートクッション120のベースクッション材126と表層クッション材127との間に、変位信号収集センサ10としての圧力センサを付設したシート100を、外部振動の入力されない環境下に設置した場合(静的状態)と、加振機上に設置した場合(動的状態)とで着座実験を行った。ベースクッション材126としては立体編物を用いており、表層クッション材127としてはクッションフレームに伸び率5%未満で張設した立体編物を用いている。その他の構成は、上記したとおりである。被験者は、30代の健康な日本人男性であり、静的状態、動的状態のそれぞれについて、同じ被験者が30分間着座して、圧力センサのデータを収集した。なお、動的状態では、1.3Hzにおいて振幅のP−P値で2.0Gの衝撃性振動が発生する突起乗り越えを含む、米国のミシガン州でワゴン車を用いて採取したランダム振動で励振した。
結果を図13に示す。図13は、静的状態及び動的状態のそれぞれについて圧力センサから得られたデータの原波形である。図14は、圧力センサから得られた原波形を基に、平均変位傾き演算手段21により算出した平均変位傾きの時系列データを示す。図15は、さらに、強調変位傾き演算手段22により処理して算出した強調変位傾きの時系列変化を示す。これらの図から明らかなように、原波形では、検出された信号データの特徴を特定することは極めて困難である。また、動的状態のデータには外部振動ノイズが含まれている。一方、図14の平均変位傾きの時系列データにおける動的状態のデータでは、平均変位傾き演算手段21により外部振動ノイズの影響が低減されているが、静的状態のデータと比較した際には、両者の近似性を判断するのは困難である。これに対し、図15に示した強調変位傾きの時系列データは、静的状態と動的状態のデータが近似している。このことから、本発明が、外部振動によるノイズ信号の影響を小さくし、自動車などの乗員の脈波、呼吸、体動などによる筋肉を介した体表面の振動(生体変位信号)を抽出するのに適していることがわかる。
なお、図15で得られた結果から、強調変位傾きについて周波数分析を行ったところ、図16に示したように、静的状態と動的状態の周波数分析結果がほぼ一致していることも確認された。
(試験例2)
(着座時睡眠試験)
(1)実車試験
試験例1と同様のシートを自動車の助手席に搭載して被験者を着座させて市街地を走行したが、生体変位信号としては、圧力センサによる臀部筋肉の振動ではなく、車内に光学式指尖脈波計を設置し、被験者の指尖容積脈波を採取した。そして、指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データと心身状態との関係を調べた。後部座席に観察者が乗車し、被験者の状態変化を観察した。なお、被験者は30歳代の健康な日本人女性である。結果を図17〜図19に示す。
図17は、指尖容積脈波の原波形を、図18は、平均変位傾きの時系列データを、図19は、強調変位傾きの時系列データを示す。この被験者の場合、原波形、平均変位傾きの時系列データのいずれにおいても、大きなゆらぎが生じていることがわかり、生体変位信号を捉えていることが理解できるが、図19の強調変位傾きの時系列データを見ると、5400秒付近から6000秒付近において、前後の振幅に対し、2倍以上の変化を示す入眠移行期特有の入眠予兆信号が生じていることまでわかる。そして、図19の強調変位傾きの時系列データから、図中に数字で示した点1を覚醒状態、点2〜点4を入眠移行期、点5〜点6を睡眠状態と判定し、観察者の観察結果と比較したところ、観察結果と極めてよく一致していた。
図18において、カオス指標である最大リアプノフ指数を併せて算出し、時系列データとして示し、図19において、該最大リアプノフ指数の時系列データを、上記強調変位傾き演算手段と同様の手法により、スライド計算して算出した最大リアプノフ指数の傾きの時系列データを示している。この結果、5400秒付近から5600秒付近に、強調変位傾きの時系列データと最大リアプノフ指数の傾きの時系列データとの間の逆位相関係が見られ、入眠移行期であることが確認される。
(2)静的着座試験
試験例1と同様のシートを実験室内にセットし、被験者を着座させて30分間指尖容積脈波を採取し、強調変位傾きの時系列データと心身状態との関係を調べた。この試験でも観察者により被験者の状態変化を観察した。被験者は20歳代の健康な日本人男性である。結果を図20〜図22に示す。
図20は、指尖容積脈波の原波形を、図21は、平均変位傾きの時系列データを、図22は、強調変位傾きの時系列データを示す。この被験者の場合、原波形ではゆらぎを捉えることが困難である。図21の平均変位傾きの時系列データも振幅が安定しておらず、いずれのタイミングで心身状態の変化(入眠移行期等)が生じたが判別しがたい。これに対し、図22の強調変位傾きの時系列データを見ると、700秒付近から1200秒付近において、前後の振幅に対し、2倍以上の変化を示す入眠移行期特有の入眠予兆信号が生じていることがわかる。図22の強調変位傾きの時系列データから、図中に数字で示した点1を覚醒状態、点2〜点4を入眠移行期、点5〜点6を睡眠状態と判定し、観察者の観察結果と比較したところ、観察結果と極めてよく一致していた。
図21において、カオス指標である最大リアプノフ指数を合わせて算出し、時系列データとして示し、図22において、該最大リアプノフ指数の時系列データを、上記強調変位傾き演算手段と同様の手法により、スライド計算して算出した最大リアプノフ指数の傾きの時系列データを示している。この結果、800秒付近から1200秒付近に、強調変位傾きの時系列データと最大リアプノフ指数の傾きの時系列データとの間の逆位相関係が明確に見られ、入眠移行期であることが確認される。
(試験例3)
(指尖容積脈波と臀部筋肉を介して採取される生体変位信号との比較)
試験例2の自動車の助手席に被験者を着座させ、山陽自動車道下り線、宮島−岩国間を走行し、指尖容積脈波を採取すると共に、圧力センサにより、臀部筋肉を介して、臀部脈波が含まれる生体変位信号を採取した。それぞれについて、強調変位傾きの時系列データと心身状態との関係を調べた。後部座席には観察者が乗車し、被験者の状態変化を観察した。なお、被験者は20歳代、身長168cm、体重85kgの健康な日本人男性である。結果を図33に示す。図33(a)が指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データであり、(b)が臀部筋肉を介しての生体変位信号の強調変位傾きの時系列データである。
図33(a)の指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データでは、650秒付近をピークとして600〜740秒付近、850秒付近をピークとして740〜920秒付近、980秒付近をピークとして920〜1060秒付近に、それぞれ前後の振幅と比較して大きな振幅変化が現れており、これが入眠予兆信号として判定できると共に、1120秒付近で睡眠に至ったと判定できる。これを最大リアプノフ指数の傾きの時系列データと比較すると、上記範囲に逆位相関係が明確に見られ、上記範囲が入眠移行期であることが確認される。判定の正確性を期すためには、最大リアプノフ指数の傾きの時系列データと併用することが好ましく、この場合、上記逆位相関係が見られる範囲で双方のピーク時点(図33(a)では、650秒付近、850秒付近、980秒付近)を僅かに過ぎた時点で入眠予兆信号が生じたと判定し、警告を発する構成とすることが好ましい。なお、図33(a)から判定される心身状態は、観察者の観察結果ともよく一致していた。
一方、図33(b)の臀部筋肉を介して採取された生体変位信号の強調変位傾きの時系列データでは、680秒付近を頂点として670〜720秒付近、810秒付近を頂点として780〜900秒付近、940秒付近を頂点として920〜980秒付近に、それぞれ前後の振幅と比較して大きな振幅変化が現れており、これが入眠予兆信号として判定できると共に、1120秒付近で睡眠に至ったと判定できる。また、最大リアプノフ指数の傾きの時系列データを併せると、上記範囲に逆位相関係が確認された。この場合も、上記と同様に、逆位相関係が見られる範囲で双方のピーク時点を僅かに過ぎた時点で入眠予兆信号が生じたと判定し、警告を発する構成とすることが好ましい。図33(b)のデータは、図33(a)のデータと完全に一致しているわけではないが、ほぼ同様の傾向を示していると判定でき、臀部筋肉を介して生体変位信号を採取した場合でも、指尖容積脈波に匹敵する精度で人の心身状態を判定できる。指尖容積脈波の場合には、光学式指尖脈波計などを車内に設置し、手指が拘束されるが、臀部筋肉を介しての生体変位信号を採取する場合には、測定のための特別な拘束が不要で、通常通り乗車できるため、自動車などの乗員の心身状態、特に、運転者の心身状態を判定するシステムとして適している。
(試験例4)
(指尖容積脈波と脳波との比較)
実験室内にセットされたベッドに被験者を横臥させて睡眠実験を行い、指尖容積脈波を採取して、強調変位傾きの時系列データと心身状態との関係を調べた。また、同時に頭部に脳波計を装着し、脳波も測定した。被験者は30歳代の健康な日本人女性である。図34に、本実験により測定された約30分間の強調変位傾きの時系列データ、最大リアプノフ指数の傾きの時系列データ、実測した脳波波形、脳波の解析波形及び解析波形の周波数分析を示す。
まず、指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データを見ると、450秒付近をピークとした360〜500秒付近(A区間)と650秒付近をピークとした500〜720秒付近(B区間)とに、前後の振幅と比較して大きな振幅変化が現れている。また、450秒付近及び650秒付近では最大リアプノフ指数の傾きの時系列データと逆位相関係が現れている。従って、この付近が入眠予兆信号として判定できる。そして、860〜900秒付近で振幅変化が落ち着くため、この付近で睡眠に至ったと判定できる。
一方、脳波計での測定結果は、A区間でα波が連続的に発現し、B区間ではα波が断続的な発現に変化し、C区間ではθ波優位になると共に、860〜900秒付近でα波が完全に消滅し、D区間ではβ波が現れるという現象が測定された。この結果から、睡眠に至った時点の判定は、α波が完全に消滅した時点(860〜900秒付近)であり、これは指尖容積脈波の強調変位傾きによる判定とほぼ一致していることがわかった。
ここで、脳波計では、A区間、B区間ではα波が現れているため覚醒期という定義になる。一方、α波が消滅してθ波優位の状態を睡眠状態という。また、脳波計では、α波の出現が断続的となり、その後急速に入眠に移行する前の段階、すなわちB区間の後半からC区間の前半を入眠予兆期と判定できるが、その時点で警告を発したとしても、自動車の運転者等にとっては警告タイミングとしては遅すぎる。すなわち、α波が断続的に現れている状態は、既にぼんやりとした状態であり、急速に入眠に至ってしまうため、交通事故を未然に防ぐに当たっては、時間的余裕がない。
これに対し、図34の指尖容積脈波の強調変位傾きの時系列データにより判定した場合には、脳波計によりα波が連続的に現れて覚醒期と判定されるA区間において、前後の時系列とは明らかに異なる変位振幅を示す入眠予兆信号(450秒付近)を検出できており、脳波計よりも、より早く入眠予兆を検知できることがわかった。従って、生体変位信号の強調変位傾きによる心身状態の判定手法は、運転者への警告システムとして特に有効である。
(試験例5)
(人と物との判定試験)
試験例1の動的状態における試験と同様の条件で、すなわち、加振機上に図1に示したシート100を設置して、米国ミシンガン州で採取したランダム振動で加振し、人が着席した場合と、荷物をシートクッション120上に載置した場合とで、圧力センサを用いて、圧力変動を信号データとして収集した。被験者は体重47kgの日本人女性であり、荷物は40kgの重り部材を用いた。結果を図23及び図24に示す。
図23に示したように、圧力センサから得られた原波形では、ランダム振動による圧力変動信号がノイズ信号として混入している。このため、人の場合、物(荷物)の場合のいずれも、原波形は、ランダムに変動しており、得られた信号に生体信号が含まれているか否かを特定できない。すなわち、人と物とを明確に区別できるような閾値を設定することは不可能である。
一方、図24は、図23の原波形を演算部20により演算して得られた強調変位傾きの時系列変化である。図24では、物(荷物)の場合には、時系列変化が大きな変動を示しておらず、所定の変動範囲内に収まっている。これに対し、人の場合には、物の時系列変化と比較して、明らかに、大きな変動範囲を備えている。すなわち、強調変位傾きの時系列変化が所定の範囲内に収まっている場合には、物と判定でき、所定の範囲を超える場合には人と判定できる。従って、傾きゼロを中心として所定の幅で閾値を設定すると、人と物との区別を正確に判定することができる。人と物とを区別する所定の範囲の値(閾値)は、使用するセンサの種類や性能によっても異なるため、一概に決めることはできないが、一般的には、強調変位傾きの時系列変化の平均値が、人の場合の1/2以下の範囲に収まっている場合、好ましくは1/3以下の範囲に収まっている場合とすることができる。
そして、このようにして、シート上の負荷体が、「人」又は「物」と判定された場合には、上記のように、出力手段24を介して、エアバッグの作動制御部などにその信号が出力され、所定の制御がなされる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、状態判定手段23において、強調変位傾きの時系列変化から、人の心身状態、あるいは人と物との区別を判定するのみであるが、強調変位傾きの時系列変化は、動的状態であれ、静的状態であれ、図15に示したように、個人毎にある程度の特徴を有している。また、図16に示したような周波数分析を行った場合には、動的状態と静的状態とはほぼ一致しており、強調変位傾きの時系列変化のみならず、周波数分析も併せて考察することにより、ある個人の基準パターンをコンピュータの記憶部に記憶させておけば、新たに検出した強調変位傾きの時系列変化及び周波数分析結果がその基準パターンに近似しているかどうかを、状態判定手段23に設定したプログラムとしての比較手段(比較ステップ)23cを起動して、個人の特定を行うことが可能である(図31参照)。これにより、例えば、運転席シートに人が着座した際の生体信号を検知し、強調変位傾きの算出及び周波数分析を行うことによって得られた結果が基準パターンと一致しているか否かを判定することにより、一致している場合のみエンジンを始動可能とする制御回路を設ければ、自動車の盗難防止システムとして利用できる(図31参照)。
また、負荷体状態判定装置1により得られた生体信号情報を出力手段24から外部受信機(図示せず)にも送信可能な構成とすることにより、例えば、救急隊員が容易に近づけないような大きな交通事故時において、本発明の負荷体状態判定装置1が機能している場合には、救急隊員側で外部受信機を備えることにより、乗員の生存情報を得ることができる。これにより、かかる生存情報を認知せずに救急活動を行う場合と比較し、より適切な救急活動をとることが期待できる。また、上記のように、出力手段24から生体信号情報を外部へ送信可能な構成とすることにより、通常の運転走行時における心停止、呼吸停止などの異常状態を外部受信機で検知することも可能となり、かかる場合も、より迅速な救急対応を期待できる。
さらに、本発明の負荷体状態判定装置1は、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段も備えた構成とすることもできる。例えば、シートクッション30を、図25に示したような構成とし、荷重検知手段である変位検出機構を付設した構成である。図25のシートクッション30は、後方に横方向(幅方向)に配置される後部フレーム30aに2つのブラケット31を備え、このブラケット31,31に、トーションバー32を支持し、該トーションバー32に2つのアーム33,33を連結し、このアーム33,33に支持フレーム34を配設して、該支持フレーム34と前端フレーム35との間に、立体編物などのベースクッション材36を張設したものである。これにより、クッションフレームに張設した表層クッション材(図示せず)上に人又は物が載ると、トーションバー32の弾性力によって、アーム33及び支持フレーム34が前後に回動し、変位する。従って、このアーム33の変位を検出することにより、荷重を検知することができる。
変位検出機構としては、図24〜図27では、磁気センサとしてのホールIC40と磁石45との組み合わせからなるものを用いている。ホールIC40は、図26及び図27に示したように、ホールIC固定用ブラケット41に略円弧状に3つほぼ等間隔で配置し、該ホールIC固定用ブラケット41を後部フレーム30aに固定されたブラケット31の側面に固定している。一方、磁石45は、アーム33の側面に固定され、ホールIC固定用ブラケット41と対向するように設けられる。アーム33は、人が着座することによってベースクッション材36が沈み込むと前倒方向に回動する。従って、回動量が変化すると、磁石45の磁界が作用する略円弧状に配置された3つのホールIC40のそれぞれの出力電圧が、磁束密度の変化に応じて変化する。このことを利用し、各ホールIC40の出力電圧の変動とアーム45の回動角度との相関と、アーム45の回動角度と荷重との相関とを規定し、これを上記実施形態と同様にマイクロコンピュータなどに設定しておくことにより、シートクッション30上に着座した人又は物の荷重を検知できる。
図26及び図27においては、ブラケット31の側面にホールIC固定用ブラケット41を設けると共に、アーム33の側面に磁石45を配置している。このように設けた場合、アーム33の回動に伴って、磁石45に対するホールIC用ブラケット41の対向部がずれていく。このようなずれが生じると、ホールIC40を仮に1つしか設けていない場合には、ホールIC40は指向性が高いため、磁界検知が困難となる場合もある。従って、アーム33の側面に磁石45を固定する場合には、ブラケット31の側面に固定するホールIC用ブラケット41に、アーム33(磁石45)の回動範囲に対応して、複数個のホールIC40を略円弧状に設けることが好ましい。また、アーム33の変位に伴って回転するウオームホイールなどのギア機構(図示せず)を配設し、該ギア機構の任意部位に磁石45を取り付けるなどして、アーム33の回転角度を増幅する構成とすること、荷重の検知精度を増すことができるため好ましい。
なお、変位検出機構としては、このほか、トーションバー32に付設し、トーションバー32の歪みを直接測定する歪みゲージ(図示せず)を用いることもできる。また、図28に示したように、トーションバー32に励磁コイル200とピックアップコイル(二次コイル)210を巻き、交流電源220で励磁コイル200に誘導電流を流し、ピックアップコイル210から得られる誘起電圧を測定する変位検出機構を用いることもできる。負荷体の荷重によってトーションバー32に生じる応力が変化するため、誘起電圧が変化する。図30は、静的な荷重とピックアップコイルの出力電圧との相関を示すグラフであり、この図に示したように、荷重が増加すると磁気抵抗が上昇し、出力電圧が小さくなる。また、図31(a)は、振動の大きさと出力電圧との関係を示すグラフである。これは、図31(b)に示したように、トーションバー500に連結したアーム510に40kgの重り520を吊り下げ、図31(c)に示したように、下方に10mm押し下げて離したときの電圧変化を調べたものである。トーションバー500には、励磁コイルとピックアップコイルが巻き付けられており(図示せず)、励磁周波数は50Hzとし、サンプリング時間は10μsとして測定した。図31(a)から明らかなように、減衰するに従って、電圧変化が小さくなっており、振動の変化を検知できることがわかる。
トーションバー32に設けられる励磁コイル200、ピックアップコイルの配置は限定されるものではないが、ピックアップコイルは、図29に示したように、トーションバーの一端側と他端側と離間して2つのピックアップコイル210,211を巻き付けることが好ましい。トーションバー32は、一端側を中心としてねじられるため、一端側と他端側では応力差があり、この応力差によって出力電圧が変化する。ところが、トーションバー32には、外部入力が作用した場合、ガタなどのように、シート構造上から生じる運動も作用する。このため、ピックアップコイルが一つの場合、トーションバー32の周囲に巻かれているものであるため、トーションバー32の応力が変動しないにもかかわらず、僅かにピックアップコイルだけが動いただけで、出力電圧が生じる。これに対し、ピックアップコイル210,211が2つの場合には、このようなピックアップコイルによる出力電圧が生じても、2つのコイル210,211が一緒に動くため、該出力電圧は相殺され、信頼性が高まる。
このようにして、荷重検知手段を設けた場合には、図31に示したように、荷重検知手段から得られた荷重信号が、演算部20に入力されるように構成する。そして、状態判定手段(ステップ)23の種別判定手段23bにおいて、荷重変動があるか否かを併せて判定することにより、時系列で荷重変動がある場合には、体動を生じていることになるため、「人」と判定でき、判定結果の正確性が向上する。
また、状態判定手段23に設定した比較手段(比較ステップ)23cにおいて、荷重信号に基づいた荷重が考慮され、予め記憶部に記憶された基準荷重と比較し、体格の大小の別、大人と子供の区別又は個人の特定を行うことができる。特に、大人と子供の区別を行う場合に有効である。また、個人の特定(同一人物か否かの区別)を行う上でも、強調変位傾きの時系列変化に加えて、荷重や次述の荷重のゆらぎ変動を考慮することにより、予め登録された基準荷重や生体認証の基準値と一致するか否かを判定できるため、より正確に個人を特定することができる。
ここで、上記励磁コイルを用いた変位検出機構などの荷重検知手段により、体動による動的な荷重変動を検出できるということは、これを時系列データとすれば、生体変位信号の一つである体動による生体のゆらぎ変動を示すことができる。このため、荷重検知手段を、圧力センサとは別途の機能を担うものとして設けるのではなく、圧力センサに代え、本発明の変位信号収集センサとして用いることも可能である。
なお、上記した説明では、負荷体支持手段として、自動車、列車、航空機などの輸送機器に用いられる乗物用シートを例に挙げているが、事務用のシート、病院等において検査や診断等の際に人が着席するシートなど、あるいは、布団、マットレス、ベッドなどの寝具等にも、本発明は適用可能である。但し、ノイズの影響を低減し、心身状態や人と物との区別を正確に判定できることから、乗物用シートに用いるのに適する。

Claims (24)

  1. 負荷体支持手段に支持される負荷体の生体変位信号を収集可能な変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定する負荷体状態判定装置であって、
    前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算手段と、
    前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算手段と、
    前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定手段と
    を具備することを特徴とする負荷体状態判定装置。
  2. 前記変位信号収集センサが、負荷体支持手段に付設されていることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  3. 前記平均変位傾き演算手段が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算手段と、
    前記原波形変位傾き演算手段により得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計手段と
    を備え、前記原波形変位傾き合計手段により得られた合計値を平均変位傾きとして設定する構成であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  4. 前記原波形変位傾き演算手段が、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求める構成であることを特徴とする請求項3記載の負荷体状態判定装置。
  5. 前記強調変位傾き演算手段のスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  6. 前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、シートクッション、シードバック又はヘッドレストのいずれか少なくとも1カ所に付設され、負荷体の生体変位信号による圧力変動を検知する構造であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  7. 前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、シートのシートクッションの少なくとも1カ所に付設され、負荷体の臀部筋肉を介しての生体変位信号による圧力変動を検知する構造であることを特徴とする請求項記載の負荷体状態判定装置。
  8. 前記負荷体支持手段が乗物用シートであり、前記変位信号収集センサが、負荷体の生体変位信号により変位する部材の変位量を検出する構造であることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  9. 負荷体の生体変位信号により変位する部材の変位量を検出する前記変位信号収集センサが、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段としても機能することを特徴とする請求項記載の負荷体状態判定装置。
  10. 前記変位信号収集センサとは別途に、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  11. 前記変位信号収集センサとは別途に、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えており、前記荷重検知手段から得られる負荷体の荷重を、予め記憶部に記憶された基準荷重と比較し、該荷重を比較要素に加えて、体格の大小の別、大人と子供の区別のうち、いずれか少なくとも一つの要素を判別する比較手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の負荷体状態判定装置。
  12. 前記荷重検知手段が、負荷体支持手段のうち、負荷体の荷重により変位する部材の変位量を検出する変位検出機構であることを特徴とする請求項10又は11記載の負荷体状態判定装置。
  13. 負荷体支持部であるシートクッション、シートバック、ヘッドレストのいずれか少なくとも1カ所に設けられ、前記負荷体支持部に支持される負荷体の生体変位信号に起因した該負荷体支持部の変位を収集可能な変位信号収集センサと、
    前記変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定する負荷体状態判定装置と
    を具備した乗物用シートであって、
    前記負荷体状態判定装置が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算手段と、
    前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算手段と、
    前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データから、負荷体の状態を判定する状態判定手段と、
    前記強調変位傾き演算手段により得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定手段と
    を具備することを特徴とする乗物用シート。
  14. 前記負荷体支持部は、平衡状態におけるバネ定数の小さい除振機構と、人の筋肉のバネ特性に近似したバネ特性を備えるように設けられたクッション機構とを備えてなり、
    前記変位信号収集センサが、前記除振機構とクッション機構との間に設けられていることを特徴とする請求項13記載の乗物用シート。
  15. 前記変位信号収集センサが、シートクッションに配設され、前記除振機構に含まれるベースクッション材と、クッションフレームに張設され、前記クッション機構に含まれる表層クッション材との間に配設され、臀部筋肉を介しての生体変位信号を収集可能であることを特徴とする請求項14記載の乗物用シート。
  16. 前記負荷体状態判定装置の平均変位傾き演算手段が、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算手段と、
    前記原波形変位傾き演算手段により得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計手段と
    を備え、前記原波形変位傾き合計手段により得られた合計値を平均変位傾きとして設定する構成であることを特徴とする請求項13記載の乗物用シート。
  17. 前記負荷体状態判定装置の原波形変位傾き演算手段が、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求める構成であることを特徴とする請求項16記載の乗物用シート。
  18. 前記負荷体状態判定装置に含まれる強調変位傾き演算手段のスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項13記載の乗物用シート。
  19. さらに、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていることを特徴とする請求項13記載の乗物用シート。
  20. さらに、負荷体の荷重を検知する荷重検知手段を備えていると共に、前記荷重検知手段から得られる負荷体の荷重を、予め記憶部に記憶された基準荷重と比較し、該荷重を比較要素に加えて、体格の大小の別、大人と子供の区別のうち、いずれか少なくとも一つの要素を判別する比較手段を有することを特徴とする請求項13記載の乗物用シート。
  21. 負荷体支持手段に支持される負荷体の生体変位信号を収集可能な変位信号収集センサから得られた信号データを解析し、負荷体の状態を判定するプロセスをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分し、該所定時間範囲における信号データの変化率を平均変位傾きとして求める平均変位傾き演算ステップと、
    前記平均変位傾きの時系列データから、所定のサンプリング時間毎の平均変位傾きの変化率を、所定のスライドラップ率で所定回数スライド計算して強調変位傾きとして求めていき、該強調変位傾きの時系列データを得る強調変位傾き演算ステップと、
    前記強調変位傾き演算ステップにより得られた強調変位傾きの時系列データが、所定の範囲内に収まって推移している場合に物と判定し、所定の範囲を超える傾き変化を備えて推移している場合に人と判定する負荷体の種別判定ステップと
    コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
  22. 前記平均変位傾き演算ステップが、前記変位信号収集センサから得られた信号データから、原波形を所定時間範囲毎に区分すると共に、該所定時間範囲内でさらに複数区間に区分し、各区間毎の変化率を原波形変位傾きとして求める原波形変位傾き演算ステップと、
    前記原波形変位傾き演算ステップにより得られた各原波形変位傾きを合計する原波形変位傾き合計ステップと
    をコンピュータに実行させ、前記原波形変位傾き合計ステップにより得られた合計値を平均変位傾きとして設定する請求項21記載のコンピュータプログラム。
  23. 前記原波形変位傾き演算ステップが、原波形の振幅の上限側の包絡線、下限側の包絡線又はいずれかの包絡線に略平行な曲線と、原波形との各交点間を一つの区間として各区間毎の変化率を前記原波形変位傾きとして求めることをコンピュータに実行させる請求項22記載のコンピュータプログラム。
  24. 前記強調変位傾き演算ステップのスライド計算に用いるサンプリング時間間隔が180秒であり、スライドラップ率が90%であることを特徴とする請求項21記載のコンピュータプログラム。
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