JP4636353B2 - 位相差フィルム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性の重合体と低分子化合物の混合体の膜に、直線偏光性の紫外線ないしは、完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外線または、非偏光性の紫外線を照射する(以下、露光という)ことによって、分子配向させ該高分子材料内に位相差と光軸方向を任意に発現させた位相差フィルムおよび、その製造法に関するものである。(特に、光軸がフィルム面に対し傾いた位相差フィルムは液晶表示装置において視野角拡大に有効である。)
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは、互いに垂直な主軸方向に振動する直線偏光成分を通過させ、この二成分間に必要な位相差を与える複屈折を有するフィルムである。このような位相差フィルムは液晶表示分野にも活用されてきており、特に光軸の傾いた位相差フィルムは光学補償フィルムとして液晶表示装置の視野角拡大に役立つ。
このような位相差フィルムを製造する従来技術が幾つかある。
その一つとして、ポリカーボネートなどの高分子材料を延伸し、高分子鎖を配向させ、延伸方向の屈折率と、延伸方向に対し直交方向の屈折率に差異を生じさせる方法であるが、その課題は、延伸という工程によるため、分子は延伸方向に配向するため光軸を傾斜させることが実質的に不可能である点にある。
偏光露光により位相差を発現させる方法として、特開平7−138308号にポリビニルシンナメートなどの感光性重合体を偏光UV光で照射する方法が記載されているが、該方法では照射した偏光UV光の電界振動と垂直方向に異方性が発現し、光軸を傾けることができないため、視野角を拡大し難い。
上記課題を解決する方法として、液晶性高分子や液晶性化合物を配向処理した基材上で配向固定したものも考えられ、特開平8−15681号ではUV光を偏光照射、ラビング処理もしくは、SiOの斜方蒸着して得られる配向膜上に液晶性モノマーを配向させ固定する方法が記載されている。また、特開平7−287119号、特開平7−287120号公報でも、ラビング配向膜、SiO斜方蒸着配向膜上にディスコティック液晶を配列させる方法が記載されており、更に、特開平10−278123号公報では光配向膜上に光重合開始剤を含有したディスコティック液晶を配向させ光照射によりこの配向を固定する方法が記載されている。しかしながら、上記のような配向膜を用いる方法では、配向処理層を設けているため、配向膜の配向処理、液晶材料の配向など工程が煩雑となり、大面積の光軸を傾斜させた位相差フィルムの製造費が高くなる。
更に、光軸の傾いた位相差フィルムを製造する他の方法として、無機誘電体を斜方蒸着する方法が提案されているが、長尺状シート上に連続して蒸着膜を形成するには、装置が大掛かりになったり、工程が煩雑になるなどの課題がある。また、本発明者も特開平10−278123号公報では感光性を有する側鎖型液晶性高分子の偏光露光により、光軸の傾いた位相差フィルムを製造する方法を提案したが、大きな位相差を発現させるためフィルムを厚くすると曇り度が大きくなるという課題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
高分子フィルムの延伸配向によって作製された位相差フィルムは、分子の配向が延伸方向に限られ光軸を傾斜させることが著しく困難である。
一方、配向処理した基材上で液晶性化合物を配列させる方法や無機誘電体を斜方蒸着する方法は、光軸を傾斜させた位相差フィルムを作製することは可能であるが、工程が煩雑となるため低コストで大面積の光軸を傾斜させた位相差フィルムを得ることはできない。本発明では、簡便な工程で、曇り度が小さく大量生産に適する位相差フィルムおよびその製造法を提供する。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明の位相差フィルムおよびその製造方法(による位相差フィルム)では、相溶性のある感光性の重合体と低分子化合物の混合体を製膜し露光することによって、感光性の重合体と低分子化合物を配向させることができる。この露光をフィルム面に対して斜め方向から行なうと、光軸を任意に傾斜させて配向させることができるので、光軸を所望の方向に設定した位相差フィルムが実現する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詳細を説明する。前述の感光性の重合体は、液晶性高分子のメソゲン成分として多用されているビフェニル、ターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼンなどの置換基と、桂皮酸基(または、その誘導体基)などの感光性基を結合した構造を含む側鎖を有し、炭化水素、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N−フェニルマレイミド、シロキサンなどの構造を主鎖に有する高分子である。該重合体は同一の繰り返し単位からなる単一重合体または構造の異なる側鎖を有する単位の共重合体でもよく、あるいは感光性基を含まない側鎖を有する単位を共重合させることも可能である。また、混合する低分子化合物も、メソゲン成分として多用されているビフェニル、ターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼンなどの置換基を有し、該メソゲン成分とアリル、アクリレート、メタクリレート、桂皮酸基(または、その誘導体基)などの官能基を、屈曲性成分を介してまたは、介さず結合した結晶性または、液晶性を有する化合物である。これら低分子化合物を混合する場合、単一の化合物のみとは限らず複数種の化合物を混合することも可能である。
該感光性の重合体と低分子化合物の混合溶液を基材上に塗布(スピンコートないしはキャスト)した塗布膜(フィルム)を形成する。該膜は、製膜時には等方性であり、感光性の重合体の側鎖部および低分子化合物は特定方向を向いていない。偏光露光した場合について、この状態を図2に基づいて説明する。
塗布膜20中では、長楕円で示される感光基を有し照射偏光紫外線Lの振動方向mかつ照射光進行方向に対し垂直方向に対応した向きにある感光性の高い配置の側鎖2aと感光性の乏しい配置の側鎖2bおよび円柱で示される液晶性化合物2cが無秩序に共存している。該膜を偏光露光すると、照射光の電界振動方向かつ進行方向に対し垂直方向に対応した向きにある配置の側鎖2aの光反応が優先的に進行する。この光反応を進めるには、化学式1から化学式9の感光性基の部分が反応し得る波長の光の照射を要する。この波長は、化学式1から化学式9で示された−R1〜−R12の種類によっても異なるが、一般に200-500nmであり、中でも250-400nmの有効性が高い場合が多い。
【0006】
図3は、図2の膜20に光照射し反応が進行した後の膜30を示す。偏光露光後の分子運動により、図3に示すように、光反応を起こさなかった重合体の側鎖3b(2b)と低分子化合物3c(2c)は再配向する。即ち、偏光の電界振動方向と照射光進行方向の双方に対し垂直方向に向いていなかったため、光反応を起こさなかった重合体の側鎖3b(2b)と低分子化合物3c(2c)は、光反応した側鎖3a(2a)と同じ方向に再配向する。その結果、塗布膜全体において、照射した直線偏光の電界振動方向かつ照射光進行方向に対し垂直方向に重合体の側鎖と低分子化合物の分子が配向し、複屈折が誘起され位相差フィルムとなる。
偏光露光時と非偏光露光時ではその方向が異なる。非偏光露光時には、照射光の進行方向に対し垂直方向に対応した向きにある配置の側鎖の光反応が優先的に進行する。露光後の分子運動により、照射光進行方向に対して平行方向に配置していたため、光反応を起こさなかった重合体の側鎖と同じ方向に膜中の重合体の側鎖と低分子化合物の分子が配向し、複屈折が誘起され位相差フィルムとなる。
この露光を膜面に対して斜め方向から行なうことによって、光軸を任意に傾斜させて配向させることができる。その結果、光軸を所望の方向に設定した位相差フィルムを提供できる。光軸の傾斜の測定には、Japanese Applied physics,Vol.19,2013(1980)に記載された、測定試料を回転させながら偏光の透過強度を測定するクリスタルローテーション法を用いた。該測定法では、偏光の透過率の角度依存性から測定試料の立体的な複屈折の測定ができる。
露光後の分子運動による配向は、基板を加熱することにより促進される。基板の加熱温度は、光反応した部分の軟化点より低く、光反応しなかった側鎖と低分子化合物の軟化点より高いことが望ましい。このように露光したのち加熱し未反応側鎖を配向させた膜または加熱下で露光し配向させた膜を該高分子の軟化点以下まで冷却すると分子が凍結され、本発明の配向膜が得られる。低分子化合物が低分子化合物同士、もしくは該重合体に対して熱および/または光反応性を有している場合には、配向が強固に固定されるため耐熱性の向上が期待される。このような場合、再配向時の分子運動を妨げないよう、露光量を抑えるか反応性を調整するなどして、光反応点の密度を制御する必要がある。
【0007】
低分子化合物は、適量ならば曇り度を抑制する効果がある反面、過剰に添加すると曇り度の増加、配向性の低下を引き起こす。このような観点から、感光性の重合体または低分子化合物の種類にもよるが、低分子化合物を0.1wt%〜80wt%添加しても位相差フィルムは製造可能であるが、好ましくは5wt%〜50wt%であることが望ましい。
ここで、感光性の重合体と低分子化合物の相溶性が十分でない場合には、製膜時ないしは露光後の基板の加熱によって相分離や可視光の散乱を誘起しうる大きさの結晶を生成し曇り度の増加の原因となる。この相分離や微結晶の生成を抑制するためには、重合体と低分子化合物の相溶性を調節する必要がある。この相溶性の尺度としてPolymer Engineering and Science,Vol.7,No.2,147(1974)に記載されているような蒸発エネルギー(ΔEv)と分子容(V)から計算式(1)をもって算出される溶解性パラメーター(σ)を便宜的に利用でき、重合体と低分子化合物の溶解性パラメーター(σ)の比:zが、0.93<z<1.06の範囲である場合に相分離や微結晶の生成を効果的に抑制できることが実験により判明している。
σ=(ΔEv/V)1/2 計算式(1)
【0008】
膜厚を厚くしより大きな位相差を得る手法として、膜を積層する方法が挙げられる。この場合、先に製膜し露光した膜上に材料溶液を塗布し積層するが、この先に形成された膜の破壊を防ぐために、溶解性を下げた溶媒に重合体および低分子化合物を溶解し用いることが有効である。また、感光性の重合体と低分子化合物の混合体の膜に表裏面から露光することによって、複屈折がより効率よく発現するようになる。この場合、感光性の重合体と低分子化合物の混合体は支持体上に塗布するなどして製膜され、露光は膜面に直接または支持体を介してもよい。支持体を介する場合には、支持体は感光性の重合体の反応しうる波長の光の透過性を有している限りどのような材料でも良いが、光透過率が高い程、露光量が少なくて済み、製造工程上有利となる。また、剥離性の支持体上で感光性の重合体と低分子化合物の混合体を製膜し、剥離後、膜の表裏面より露光することもできる。
【0009】
感光性の側鎖型液晶性高分子の原料化合物および低分子化合物に関する合成方法を以下に示す。
(単量体1)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。最後に、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え、化学式13に示されるメタクリル酸エステルを合成した。
【化13】
【0010】
(単量体2)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。最後に、塩基性の条件下において、4−メトキシ塩化シンナモイルを加え、化学式14に示されるメタクリル酸エステルを合成した。
【化14】
【0011】
(重合体1)
単量体1をテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を添加して重合することにより重合体1を得た。この重合体1は、47−75℃の温度領域において、液晶性を呈した。
【0012】
(重合体2)
単量体2をテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して重合することにより重合体2を得た。この重合体2も液晶性を呈した。
【0013】
(低分子化合物1)
4,4’−ビフェニルジオールと1,6−ジブロモヘキサンを、アルカリ条件下で反応させ、4,4’− ビス(6−ブロモヘキシルオキシ)ビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、生成物をカラム精製することにより化学式15に示される低分子化合物1を合成した。
【化15】
【0014】
(低分子化合物2)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で反応させ、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニルを合成した。次いで、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え反応させ、生成物をカラム精製することにより化学式16に示される低分子化合物2を合成した。
【化16】
【0015】
(低分子化合物3)
4,4’−ビフェニルジオールと6−ブロモヘキサノールを、アルカリ条件下で反応させ、4,4’−ビス(6−ブロモヘキシルオキシ)ビフェニルを合成した。次いで、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え反応させ、生成物をカラム精製することにより化学式17に示される低分子化合物3を合成した。
【化17】
【0016】
(低分子化合物4)
4,4’−ビフェニルジオールと6−ブロモヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシエトキシ−4’−ヒドロキシヘキシルオキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシヘキシルオキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、生成物をカラム精製することにより4−(6−メタクリロイルヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシヘキシルオキシビフェニルを合成した。最後に、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え反応させ、化学式18に示される低分子化合物4を合成した。
【化18】
【0017】
〔低分子化合物5(比較例)〕
4,4’−ビフェニルジオールと1,6−ジブロモデカンを、アルカリ条件下で反応させ、4,4’− ビス(6−ブロモデカニル)ビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、生成物をカラム精製することにより化学式19に示される低分子化合物5を合成した。
【化19】
【0018】
〔低分子化合物6(比較例)〕
p−ヒドロキシ安息香酸メチルと臭化アリルを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−アリルオキシ安息香酸メチルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で加熱し4−アリルオキシ安息香酸を合成した。次いで、塩化チオニルと反応させ4−アリルオキシ安息香酸クロリドを合成し、ヒドロキノンと反応させることにより、化学式20に示される低分子化合物6を合成した。
【化20】
【0019】
【実施例】
図1には、本発明の位相差フィルムを直線偏光性の紫外光を露光することにより作製する場合の製造方法(装置)の例を示す。但し、本発明の位相差フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。電源12によって励起された紫外線ランプ11で発生した無秩序光16は、光学素子13(例えば、グランテーラープリズム)をもって直線偏光性の紫外線17に変換され、基材15上に塗布(コート)された感光性の側鎖型液晶性高分子と液晶性化合物の膜14を照射する。実施例1から12は、本発明の製造法により、光軸の傾いた位相差フィルムを作製した実施例である。
【0020】
(実施例1)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物1をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は31nmであり、曇り度は殆どなく実用に十分耐えうるものであった。
【0021】
(実施例2)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物2をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で400mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から68°傾いており、基板面内の位相差は4nmであった。
【0022】
(実施例3)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物3をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で400mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は25nmであった。
【0023】
(実施例4)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物4をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は43nmであった。
【0024】
(実施例5)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の単量体1をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から69°傾いており、基板面内の位相差は35nmであった。
【0025】
(実施例6)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物1をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は25nmであった。
【0026】
(実施例7)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物2をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で400mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は3nmであった。
【0027】
(実施例8)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物3をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で400mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から65°傾いており、基板面内の位相差は23nmであった。
【0028】
(実施例9)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物4をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から68°傾いており、基板面内の位相差は39nmであった。
【0029】
(実施例10)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の単量体1をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から67°傾いており、基板面内の位相差は30nmであった。
【0030】
(実施例11)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物1をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して20度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から81°傾いており、基板面内の位相差は29nmであった。
【0031】
(実施例12)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物4をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して20度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で200mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、光軸が基板の法線方向から80°傾き、基板面内の位相差は39nmであった。
【0032】
(比較例1)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物5をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、曇りが発生し実用に適さなかった。
【0033】
(比較例2)3.75重量%の重合体1および1.25重量%の低分子化合物6をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、曇りが発生し実用に適さなかった。
【0034】
(比較例3)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物5をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、曇りが発生し実用に適さなかった。
【0035】
(比較例4)3.75重量%の重合体2および1.25重量%の低分子化合物6をジクロロエタンに溶解し、光学的に等方性の基板上に約1μmの厚さでスピンコートした。該基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて直線偏光に変換した紫外線を、水平面に対し垂直方向から室温で100mJ/cm2照射した。続いて、100℃に加熱した後、室温まで冷却した。このようにして得られた基板は、曇りが発生し実用に適さなかった。
【0036】
実施例1から12および、比較例1から4の結果を表1にまとめる。
これらの実施例から、露光により曇り度を抑制し且つ効果的に位相差を得られる上、光軸方向を制御したフィルムを作製できることが立証できた。
本発明の位相差フィルムおよびその製造法では、露光により複屈折を生じたフィルムに、更に紫外線を照射することにより未反応の感光性基の光反応を促進させ、フィルム中の配向を強固に固定することができる。このような位相差フィルムは、耐熱性、光安定性に優れ実用に充分であった。
【表1】
【0037】
【発明の効果】
露光という簡便な操作により、従来技術のような延伸工程を用いなくても位相差フィルムを得ることができる。更に、紫外線の照射方向を変えることにより同一基板内において、光軸の異なる領域の作製も可能であり、様々な光学素子への活用が期待される。
また、光軸の傾斜した位相差フィルムは、旋光モード、複屈折モードを利用したねじれネマチック液晶を使った液晶表示装置において視野角拡大用の光学補償フィルムとして活用できる。従来このような、光軸の傾斜した大面積の位相差フィルムを低コストで作製することができなかったが、本発明によって、斜め方向から露光するという簡便な操作で大面積化が可能となった。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相差フィルムの製造方法を示す概念図
【図2】偏光露光により感光した側鎖の模式図
【図3】偏光露光後の分子運動により配列した側鎖の模式図
【符号の説明】
11・・・紫外線ランプ
12・・・電源
13・・・光学素子(グランテーラープリズム)
14・・・膜(フィルム)
15・・・基材
16・・・無秩序光
17・・・直線偏光性の紫外線
Claims (1)
- 感光性の重合体と低分子化合物の混合体に光照射する操作を含む工程で作製され、これら感光性の重合体と低分子化合物について蒸発エネルギーと分子容から算出した溶解性パラメーターの比zが0.93<z<1.06であり、前記感光性の重合体は化学式1から化学式9で表される構造を少なくとも1つ有する共に、化学式10で表される主鎖が炭化水素、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N−フェニルマレイミド、シロキサンなどである感光性の単独重合体または共重合体であり、低分子化合物が、化学式11または化学式12で表される分子構造を有することを特徴とする位相差フィルム。
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