JP4635310B2 - 中性硫酸ナトリウム組成物およびその製造方法 - Google Patents

中性硫酸ナトリウム組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性硫酸ナトリウム組成物およびその製造方法に関するものである。詳しくは、粉体特性と品質面で優れた新規な中性硫酸ナトリウム組成物とその工業的製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硫酸ナトリウムは、染色工業やガラス、洗剤、温浴剤等の製造原料に幅広く使用されている基礎化学商品である。この硫酸ナトリウムの殆どは苛性ソーダによる排煙脱硫や人絹製造等で副生する粗硫酸ナトリウム水溶液から種々の処理を施した後、蒸発濃縮で硫酸ナトリウム結晶を晶析させ製造されている。この硫酸ナトリウム結晶の重要な品質項目に、これを水に溶かした時の液のpHがある。用途面からそのpHは中性であることが要求され、その硫酸ナトリウムは中性硫酸ナトリウムと呼ばれている。そして、この結晶の製造法として種々提案されている。例えば、特開昭55−75915号公報や特開昭53−43692号公報には、粗硫酸ナトリウム水溶液をpH調整して、不純物、特に金属不純物を水酸化物として沈澱除去した後、水溶液のpHを中性である約7に最終調整し、蒸発晶析する方法が開示されている。しかし、これらの従来方法は、晶析原料としての硫酸ナトリウム水溶液のpHを厳密に管理する必要があり、操作が煩雑である。また、硫酸ナトリウムは強酸と強塩基の塩でありpH緩衝作用はなく、pH約7の調整がはなはだ困難である。さらに、細心の注意をはらってpH管理を行い、蒸発晶析して得られた中性硫酸ナトリウム結晶は、固結性の問題や包装、輸送過程での結晶破砕による粉立ち性等、粉体物性の面で十分満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、産業上有用な中性硫酸ナトリウムの粉体物性の向上が図れ、かつ中性硫酸ナトリウムを効果的、効率的に経済性よく製造できる技術の開発が強く望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、かかる従来技術のもつ課題を克服し、硫酸ナトリウム結晶の内部にアルカリ性成分を有し、かつ表面近傍に酸性成分を有するという新規な中性硫酸ナトリウム組成物を提供することにある。さらに本発明は、硫酸ナトリウム結晶の内部にアルカリ性成分、表面近傍に酸性成分を有する中性硫酸ナトリウム組成物を、容易に製造できると共に、効果的、効率的に経済性よく製造できる方法を提供することもその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の従来の課題を解決するため、硫酸ナトリウム結晶の晶析条件と、得られる結晶の物性及びその改質について鋭意検討した。その結果、硫酸ナトリウム結晶の物性はその組成に大きく左右されることを見出し、そして、硫酸ナトリウム結晶の内部にアルカリ性成分を、表面近傍に酸性成分を存在させた組成物とすることで、従来の課題を解決できることを見い出した。さらに、このような優れた性状を有する硫酸ナトリウム組成物を製造するにあたり、硫酸ナトリウムのアルカリ性水溶液から硫酸ナトリウム結晶を晶析し、次いでこれに酸を添加してろ過することにより容易に製造でき、その時製造面でこれまでにない大きな効果が得られることを見い出し、遂に本発明を完成させるに至った。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
従来の中性硫酸ナトリウム結晶は、その内部、表面近傍いずれも同一組成であり、結晶全体を通して均質である。これに対し、本発明の中性硫酸ナトリウム組成物は、硫酸ナトリウム結晶を主成分とすると共に、その内部にアルカリ性成分を有し、かつ表面近傍に酸性成分を有することを必須とする。
【0008】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の内部に存在するアルカリ性成分とは、その水溶液がアルカリ性を示す物質であり、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)等が挙げられる。これらの内でも硫酸ナトリウム結晶と共通のイオンとなる水酸化ナトリウムが好ましい。これらアルカリ性成分の中性硫酸ナトリウム組成物全量に対する含量としては、NaOH換算で100重量ppm以下が好ましく、さらに50重量ppm以下が、特に20重量ppm以下が好ましい。この含量が多い場合、表面近傍の酸性成分含量を高める必要が生じ、その製造がしづらくなることがあり、また、溶解性も含めた粉体物性を大きく向上させることが困難となることがある。一方、その含量が低過ぎても粉体物性の向上が望めなくなることがある。このため含量としては、0.1〜100重量ppm、さらに0.2〜50重量ppmの範囲であることが好ましい。
【0009】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の表面近傍に存在する酸性成分とは、その水溶液が酸性を示す物質であり、例えば、硫酸(H2SO4)、硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)等が挙げられる。これらの内でも硫酸ナトリウム結晶と共通のイオンとなる硫酸、硫酸水素ナトリウムが好ましい。これら酸性成分の中性硫酸ナトリウム組成物全量に対する含量としては、前記したアルカリ性成分と同様の理由により、H2SO4換算で0.1〜100重量ppm、さらに0.2〜50重量ppmの範囲であることが好ましい。
【0010】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の内部のアルカリ性成分、表面近傍の酸性成分の含量を測定するには、例えば、本発明の中性硫酸ナトリウム組成物に一定量の水又は硫酸ナトリウム水溶液を攪拌下で添加し、該組成物の一部を溶解して液中の酸又はアルカリ濃度を中和滴定によって求めることができる。この方法では、水又は硫酸ナトリウム水溶液の添加量を適宜変えることによって、結晶表面からの溶解量を調節でき、中性硫酸ナトリウム組成物内のアルカリ性成分、酸性成分の分布を求めることができる。
【0011】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物は、これを水に溶解した時のpHが6〜8であることが好ましく、その利用範囲を拡大できる。さらに、本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の平均粒径(積算重量50%での粒径)は、流動性、耐固結性、製品安定性、粉立ち性等が改善できることから、100〜500μmの範囲であることが好ましい。
【0012】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物が有するアルカリ性成分と酸性成分の当量比は、1.0±0.1であることが好ましい。これは、該組成物を水に溶解した時の液のpHが、好ましい範囲である6〜8とすることもあるが、溶解性、粉立ち性等の粉体物性が向上することにもつながるからである。
【0013】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の主成分である硫酸ナトリウム結晶の化学構造としては、7水塩、10水塩等の水和物や、無水塩のいずれでもよいが、中性硫酸ナトリウム組成物に占める硫酸ナトリウム含量が高く、また、前記した本発明の特徴を十分得ることができるため、無水塩が好ましい。
【0014】
本発明の中性硫酸ナトリウム組成物は、従来品に比べて、多くの特徴を有する。その理由は明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、包装、輸送時、結晶摩耗による粉立ちが抑えられ、取り扱い性が向上するが、これは、表面近傍に酸性成分を有し、表面が平滑化していることによるためと考えられる。また、水への溶解速度が大きく、使用時の溶解操作が容易となるが、これは、硫酸ナトリウムの水への溶解度が硫酸酸性下で大きくなることに関係していると考えられる。その他、流動性、容器への充填性、耐固結性等も向上するが、これらも結晶の表面状態に関係していると考えられる。
【0015】
しかしながら、このような推定は本発明を何ら拘束するものではない。
【0016】
次に、本発明の中性硫酸ナトリウム組成物の製造方法を説明するが、本発明の中性硫酸ナトリウム組成物はこの製造方法に限定されるものではない。
【0017】
本発明の製造方法は、硫酸ナトリウムのアルカリ性水溶液を晶析して硫酸ナトリウム結晶のスラリーを得、次いで得られたスラリーに酸を添加した後、ろ過するものである。
【0018】
<晶析>
本発明の方法では、まず、硫酸ナトリウム水溶液をアルカリ性の条件にて晶析して硫酸ナトリウム結晶のスラリーを得るが、この時、生成される硫酸ナトリウム結晶の内部に微量のアルカリ性成分が包含される。本発明は、この現象を見い出し、これをたくみに利用したものである。
【0019】
本発明の方法において用いられる硫酸ナトリウム水溶液は特に制限されない。
水酸化ナトリウムによる排煙脱硫、人絹製造、海水法臭素製造等で副生する粗硫酸ナトリウム水溶液でもよいし、水酸化ナトリウムと硫酸の反応で得られる硫酸ナトリウム水溶液でもよい。
【0020】
本発明の方法により硫酸ナトリウム結晶の内部に包含されるアルカリ性成分は、主に晶析する際に用いられるアルカリ分に由来するが、最終的に得られるアルカリ性成分としては、前記したように、NaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na2SO3等が挙げられる。
【0021】
晶析におけるpHとしては、温度、夾雑物質の種類、量にもよるが、硫酸ナトリウム水溶液を含む溶液のpHを9以上とすることが好ましく、さらにpHを11以上とすることが好ましい。これを水酸化ナトリウム濃度で示すと、pH9が約0.005重量%、pH11が約0.05重量%である。このpHが高すぎ、すなわちアルカリ濃度が高くなり過ぎると、硫酸ナトリウム水溶液中の硫酸ナトリウム濃度が低下し、粘度が上昇して結晶成長が幾分低下したり、結晶内部のアルカリ性成分含量がより高くなってしまうことがある。このため、pHを13以下、水酸化ナトリウム濃度にして約15重量%以下とすることが好ましい。従って、好ましい範囲はpH11〜13であり、この時、結晶成長性のよい高品位な硫酸ナトリウム結晶が安定して得られる。この範囲を逸脱してpHが9未満になると、晶析により得られる硫酸ナトリウム結晶の内部のアルカリ性成分の包含量がやや低減し、本発明による効果はやや低下する。さらに、中性、酸性での晶析は本発明の効果が得られず、本発明に含まれない。
【0022】
晶析の温度は特に限定されないが、好ましい結晶である硫酸ナトリウム無水塩が安定に存在し、かつ結晶成長を増大させるためには、高い温度が好ましい。具体的には、40℃以上、より好ましくは70℃以上である。一方、高温でも構わないが、エネルギーコストが増大するため、120℃以下で行うことが望ましい。従って、好ましい温度範囲は40〜120℃、より好ましくは70〜120℃である。また、蒸発・濃縮により晶析する場合には、効率よく実施するために減圧下、40〜100℃で行うこともできる。この範囲を逸脱し、晶析温度が40℃未満では、前記効果はやや低下し、さらに温度が低いと硫酸ナトリウムの水和物が析出することがある。
【0023】
晶析する際の硫酸ナトリウム結晶のスラリー濃度は、5〜40重量%が好ましい。これは、安定運転ができ、結晶成長性に優れた硫酸ナトリウム結晶が得られるからであり、また、この範囲では強制攪拌することでスラリーの均一流動が図れ、取り扱い性も良く、スラリー移送も容易である。さらに、スラリー濃度を10〜30重量%の範囲とすれば、前記効果はより顕著になり好ましい。一方、スラリー濃度が40重量%を超えるとスラリー粘度が高くなり、前記効果はやや薄れ、5重量%未満では生産性の低下を来たすことがある。
【0024】
晶析時の結晶見掛け滞在時間は、1〜6時間の範囲が好ましく、さらに2〜4時間の範囲が好ましい。これは、安定した連続運転ができ、高い生産性で成長性の大きい、ろ過性のよい硫酸ナトリウム結晶が得られるからである。一方、1時間未満では結晶成長性がやや低下することがあり、また、6時間を超えると生産性が低下することがある。
【0025】
硫酸ナトリウム水溶液より硫酸ナトリウム結晶を晶析する具体的な方法としては、硫酸ナトリウム水溶液を蒸発濃縮する方法、濃厚な水酸化ナトリウムと濃厚な硫酸の反応による方法、そして塩化ナトリウムや水酸化ナトリウムを硫酸ナトリウム水溶液に添加する塩析方法等、いずれでもよい。水酸化ナトリウムと硫酸を直接混合して反応晶析する場合、その希釈熱、反応熱を水分蒸発に有効利用できる。この熱は水酸化ナトリウム及び硫酸が高濃度ほど大きくなり好ましい。水酸化ナトリウムは水溶液でも通常市販されている約50重量%品でもよいが、濃度の高いものほど好ましい。硫酸は通常市販されている98重量%のものでも希釈されたものでもよいが、高濃度ほど好ましい。
【0026】
晶析方式は、回分式でも連続式でもよいが、生産性、運転操作性等の面から連続式が有利である。また、晶析装置はスラリーの均一流動ができる装置が好ましく、完全混合型のMSMPR、完全混合又は分級型のDP(Double−Propeller)、DTB(Draft−Tube−Baffled)、FC(Forced−Circulation)等いずれも適用できる。この晶析操作は1段でも、2段以上の多段でもよい。
【0027】
こうして、硫酸ナトリウムの結晶が得られる。この結晶の平均粒径は特に制限されないが、100〜500μmが好ましく、本発明の方法で容易に製造できる。さらに好ましくは150〜300μmであり、より粉体物性は向上する。
【0028】
このアルカリ性の条件での晶析で本発明者等は、予期せぬ大きな効果を見い出した。それは、装置材料に安価で入手容易な鉄、ステンレス等の汎用材料が使用できること、晶析時のpH管理がすこぶる容易で運転操作性がよいこと、そしてこれまでの中性条件での晶析では困難であった水酸化ナトリウムと硫酸による直接反応による晶析が容易にできることである。また、アルカリ性の条件で晶析することで、生成する硫酸ナトリウムの結晶の成長が大きく、良好であることも効果として挙げられる。
【0029】
<酸処理>
次に、上記のアルカリ性の条件で晶析されて得られた硫酸ナトリウム結晶のスラリーに、酸を添加した後、ろ過することで、中性硫酸ナトリウム組成物が得られる。
【0030】
酸の添加方法としては、硫酸ナトリウム結晶のスラリーに直接酸を添加し、ろ過するのが好ましいが、ろ過時に酸でリンスしてもよい。また、硫酸ナトリウム結晶のスラリーに夾雑物が多い場合には、スラリーをろ過、洗浄し、このろ過ケークを、水又は硫酸ナトリウムの水溶液にリパルプしてスラリーとし、酸を添加して再びろ過してもよい。
【0031】
酸添加の量は、晶析して得られる硫酸ナトリウム結晶の内部に存在するアルカリ性成分の量に対応させるとよく、例えば、アルカリ性成分量が多い場合やろ過時の付着母液率が低い場合には酸の濃度を高くすればよい。酸の濃度は前記物性値によって異なるが、通常、スラリーのpHを2以上6以下の範囲とすることが好ましく、さらには3以上5以下の範囲とすることが好ましい。また、この酸処理後の硫酸ナトリウム結晶の内部に存在するアルカリ性成分量と結晶の表面近傍に存在する酸性成分量の当量比は1.0±0.1が好ましく、本発明の方法により容易に調整できる。そして、得られる中性硫酸ナトリウム組成物は、これを水に溶解した時、好ましいpHとなる6〜8にできる。一方、硫酸ナトリウム結晶スラリーのpHが2未満となっていたり、又は6を超えるpHとなっていると、ろ過後の硫酸ナトリウム組成物を水に溶解した時、そのpHが好ましい範囲である6〜8にしづらくなることがある。
【0032】
用いられる酸の濃度は特に限定されないが、スラリーのpHコントロールが容易で、運転操作性、取り扱い性の面から、20重量%以下が好ましく、さらに10重量%以下が好ましい。また、用いられる酸の種類は、硫酸、塩酸等の本発明の目的を達成できるものであればいずれでもよいが、得られる中性硫酸ナトリウム組成物と同じイオンとなる硫酸が好ましく用いられる。
【0033】
酸処理の際のスラリーの温度は特に限定されないが、中性硫酸ナトリウム組成物中の硫酸ナトリウム結晶が好ましい結晶である硫酸ナトリウム無水塩として安定に存在できる温度がよく、具体的には、40℃以上、より好ましくは60℃以上である。40℃未満では、硫酸ナトリウム無水塩の安定性がやや低下し、さらに温度が低いと水和物が析出することがある。一方、高温ではエネルギーコストが増加するため、100℃以下が望ましい。
【0034】
酸添加により得られる硫酸ナトリウム結晶のスラリー濃度としては、5〜40重量%が好ましく、安定運転ができ、結晶成長性に優れた硫酸ナトリウム結晶を含む中性硫酸ナトリウム組成物が得られる。また、この範囲では強制攪拌することでスラリーの均一流動が図れ、取り扱い性も良く、スラリー移送も容易である。さらに、スラリー濃度を10〜30重量%とすることで前記効果はより顕著になり好ましい。一方、スラリー濃度が40重量%を超えると前記効果は薄れ、また、5重量%未満では生産性の低下を来たすことがある。
【0035】
酸添加の方式としては回分式でも連続式でもよいが、生産性、運転操作性等の面から連続式が有利である。
【0036】
ろ過は遠心分離機、加圧ろ過機、減圧ろ過機等、一般の固液分離機が適用できる。また、ろ過して得られる湿潤ケークは通常用いられる流動乾燥機、フラッシュ乾燥機、バンド乾燥機、パドルドライヤー等で乾燥処理され、製品となる。この乾燥も連続式、回分式いずれの方式でも実施できる。
【0037】
酸添加により得られる中性硫酸ナトリウム組成物のスラリーがろ過された後のろ過液は、その一部又は全部を前記晶析工程及び/又は酸添加する工程に循環してもよい。このろ過液は硫酸ナトリウムで飽和になっており、スラリー濃度の調節等に有効に利用できる。
【0038】
本発明者らは、上記の酸を添加してろ過する工程で、予期せぬ効果を得た。それは、晶析スラリーに存在していた微粒の殆どが溶融し、粒径分布がシャープとなることである。これは硫酸ナトリウムの溶解度に関係していると考えられる。しかしながら、このような推定は本発明を何ら拘束するものではない。
【0039】
【実施例】
次に本発明による実施例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の実施例に記載の、部、%及びppmは重量に基づくものである。
【0040】
実施例1
オイルバスにテフロン製攪拌槽型蒸発晶析器をセットし、pH12.2の15%硫酸ナトリウム水溶液を840部/Hrで連続して導入し、常圧下、105℃で蒸発晶析した。晶析時、蒸発水量は472部/Hrであり、晶析スラリーを5分間毎に一定量ずつ、1時間当たり368部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は2時間であり、スラリー濃度は20%であった。晶析母液のpHは12.7で、組成は硫酸ナトリウム:17%、苛性ソーダ:7%であった。析出物は硫酸ナトリウム無水塩で、その結晶成長は大きく、良好で、平均粒径220μmのダイヤモンド状結晶が得られた。該スラリーを遠心分離して硫酸ナトリウム無水塩の湿潤ケークを得た。
【0041】
次にこの湿潤ケークを30%の硫酸ナトリウム水溶液が張り込まれたテフロン製攪拌槽に投入し、60℃、スラリー濃度30%とした。次に、10%硫酸を添加して、pHを3.0に調整、30分間攪拌した後、遠心分離機でろ過した。得られたろ過ケークは付着母液率4.0%、これを110℃で乾燥して製品とした。本製品を室温で水に溶かして5%水溶液とした時のpHは好適な6.5であった。又、製品に製品の10%を溶解する量の水を加え、溶解液と未溶解結晶に分けた。そして、溶解液の硫酸ナトリウム濃度を5%に調整した時のpHは5.1であり、結晶表面近傍の酸性成分を確認した。未溶解結晶を5%水溶液にした時のpHは8.6であり、結晶内部にアルカリ性成分が含有されていることを確認した。そして、この液を塩酸で中和滴定したところ、結晶内にNaOH換算量として20ppmのアルカリ性成分が含有されていることが判った。
【0042】
実施例2
実施例1で得られた硫酸ナトリウム晶析スラリーに直接20%硫酸を添加してスラリーのpHを3.5に調整した。該スラリーは80℃、スラリー濃度30%とし、30分間均一攪拌した後、遠心分離機でろ過した。得られたろ過ケークは付着母液率6.6%で、これを110℃で乾燥し、製品を得た。製品は白色で、その5%水溶液のpHは好適な6.7であった。
【0043】
実施例3
実施例1と同様の装置を用い、48%苛性ソーダ水溶液181部/Hr、98%硫酸98部/Hrを別々に連続して晶析装置に導入し、常圧下、105℃で蒸発晶析した。蒸発水量は20部/Hrであった。そして、スラリー濃度35%の晶析スラリーを5分間毎に一定量ずつ1時間当たり260部抜き出した。結晶見掛け滞在時間は3時間、晶析母液はpH12.5で、組成は苛性ソーダ濃度:5%、硫酸ナトリウム濃度:20%であった。硫酸ナトリウム無水塩の結晶成長は大きく、良好で、平均粒径235μmのダイヤモンド状結晶が得られた。
【0044】
次に、該スラリーに直接10%硫酸を添加して、スラリーpHを3.2に調整した。該スラリーを60℃、スラリー濃度30%で、30分間攪拌した後、遠心分離機でろ過した。得られたろ過ケークは付着母液率4.5%であり、110℃で乾燥し製品とした。本製品を室温下、水に溶かして5%水溶液とした時のpHは好適な6.8であった。
【0045】
比較例1
アルカリ性硫酸ナトリウム水溶液から晶析した硫酸ナトリウム結晶に酸添加をしない以外はすべて実施例1と同様の操作を行い、硫酸ナトリウム結晶の製品を得た。該製品を室温で水に溶かして5%水溶液とした時のpHは9.8のアルカリ性であり、品質的に劣ることが判った。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、主成分である硫酸ナトリウム結晶の内部にアルカリ性成分を、表面近傍に酸性成分を有する新規な中性硫酸ナトリウム組成物とその製造方法に関するものである。該組成物は、多くの粉体物性に優れ、産業上極めて有益である。また、その製造方法はシンプルで、工業的であり、経済性が高い。以下、本発明の効果を列記する。
【0047】
(1)本発明の中性硫酸ナトリウム組成物は、粉体物性に優れ、従来品に比べて、包装、輸送時の結晶摩耗による粉立ちが抑えられ取扱い性が向上させることができる。また、水への溶解速度、流動性、容器への充填性、耐固結性等も向上させることができる。
【0048】
(2)本発明の製造方法は、硫酸ナトリウム水溶液をアルカリ性で晶析した後、酸を添加してろ過する、というシンプルな方法である。
【0049】
(3)本発明の製造方法によれば、アルカリ性で晶析することにより装置材質の耐食性、運転操作性を向上させることができ、また、種々の晶析法を適用することができることから晶析原料の多様化が図れる。
【0050】
(4)本発明の製造方法によれば、アルカリ性で晶析して得られたスラリーへ酸添加により微粒溶解ができ、得られる中性硫酸ナトリウム組成物の粒径分布はシャープで、製品取り扱い時の粉塵問題が改善できる。
【0051】
(5)本発明の製造方法には、特別な装置、薬剤は必要なく、経済性高く、操作性良く、安定して中性硫酸ナトリウム組成物を製造できる。

Claims (9)

  1. 硫酸ナトリウム結晶の内部にアルカリ性成分を有し、かつ表面近傍に酸性成分を有する中性硫酸ナトリウム組成物。
  2. アルカリ性成分が水酸化ナトリウム換算で100重量ppm以下である請求項1に記載の中性硫酸ナトリウム組成物。
  3. アルカリ性成分に対する酸性成分の当量比が1.0±0.1である請求項1又は請求項2に記載の中性硫酸ナトリウム組成物。
  4. 硫酸ナトリウム結晶が硫酸ナトリウム無水塩である請求項1〜3のいずれかに記載の中性硫酸ナトリウム組成物。
  5. 硫酸ナトリウム結晶の平均粒径が100〜500μmである請求項1〜4のいずれかに記載の中性硫酸ナトリウム組成物。
  6. 硫酸ナトリウムのアルカリ性水溶液を晶析して硫酸ナトリウム結晶のスラリーを得、次いで当該スラリーに酸を添加した後、ろ過する請求項1〜5のいずれかに記載の中性硫酸ナトリウム組成物の製造方法。
  7. 酸を添加して硫酸ナトリウム結晶のスラリーのpHを2以上6以下とする請求項6に記載の中性硫酸ナトリウム組成物の製造方法。
  8. 酸を添加した硫酸ナトリウム結晶のスラリーの温度を40℃以上とする請求項6又は請求項7に記載の中性硫酸ナトリウム組成物の製造方法。
  9. 酸を添加した硫酸ナトリウム結晶のスラリーのろ過液の一部又は全部を晶析工程及び/又は酸添加工程に循環する請求項6〜8のいずれかに記載の中性硫酸ナトリウム組成物の製造方法。
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