JP4634094B2 - ヘミング加工方法 - Google Patents

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本発明は、縁にフランジを立ててなる第1のワークに第2のワークを載せ、フランジを第2のワークの縁に折り曲げて重ねるヘミング加工技術に関する。
ヘミングプレス装置やヘミング装置と称するヘミング加工装置が各種提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−137029公報(図4)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図6(a)〜(d)は従来の技術の基本原理を説明する図である。
(a)において、下型101に、フランジ102を有するアウターパネル103を載せ、このアウターパネル103にインナーパネル104を載せる。そして、水平な本曲げ刃105及び傾斜した予備曲げ刃106を有する折曲げ型107を、矢印111の如く、フランジ102に向かって移動する。
(b)において、予備曲げ刃106でフランジ102を予備的に曲げる。そして、折曲げ型107を、矢印112の如く上げ、次に図右へ前進させる。
(c)において、折曲げ型107を、矢印113の如く下げる。そして、本曲げ刃105でフランジ102を押し下げる。
(d)は、ヘミング加工の完了姿を示す。
(a)から(b)までは、折曲げ型107をほぼ水平に移動し、(b)から(c)までは折曲げ型107を上方へ待機させ、(c)から(d)までは折曲げ型107をほぼ鉛直に移動する。すなわち、ヘミング工程は、水平移動、上方待機のための移動、鉛直移動の3動作が必要となる。そのため、加工時間が延び、生産性がよくない。
本発明は、加工時間が短縮でき、生産性を高めることのできるヘミング加工技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、パンチを用いて、フランジをヘミング加工する方法において、
前記フランジの外面となす角度が90°未満になるように前記パンチ先端の下面に設けた爪部前記フランジの先端に当てる工程と、
前記フランジの基部を中心として前記フランジの先端が円弧を描くように、前記パンチを横及び上下に平行移動することで、前記フランジの先端を前記パンチで押圧して前記フランジを折り曲げる初期曲げ工程と、
前記フランジの先端を中心に前記パンチを回転して前記フランジの先端から前記フランジの基部まで前記パンチを当てる角度修正工程と、
前記フランジの基部を中心として前記フランジの先端が円弧を描くように前記パンチを横及び上下に平行移動し、且つ傾動することで前記フランジをさらに折り曲げる本曲げ工程とからなり、
これらの工程において、前記フランジの先端が前記パンチの爪部上をほとんど移動しないことを特徴とする。
制御部は、パンチ傾動手段、昇降手段及び横移動手段を一括して制御する。この制御により、連続する一連の動作でフランジにヘミング加工を施すことができる。
請求項1に係る発明では、パンチを横移動及び上下移動させる基本動作に、パンチを傾動する要素を加えたことにより、連続する一連の動作、すなわち、実質的に1工程で、ヘミング加工を実施することができ、加工時間を短縮することができ、生産性を高めることができる。
加えて、一連の加工において、フランジ上端の位置がパンチ上を殆ど移動しない。よって、フランジの外面に擦り傷が発生しないという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るヘミング加工装置の原理図であり、ヘミング加工装置20は、下型11に載せた第1のワーク12(例えばドアアウターパネル)に、第2のワーク13(同ドアインナーパネル)を載せ、次に第1のワーク12の縁に設けたフランジ14を折り曲げるための装置であり、次に説明する構成からなる。
ヘミング加工装置20は、第1・第2のワーク12、13に向かって横移動(図では左右へ水平移動)すると共に上下へも移動可能な移動構造体30(詳細構造は後述する。)と、この移動構造体30に設けると共に横移動方向と直交する方向(図面表裏方向)へ延ばした水平軸22と、この水平軸22に傾動自在に取付けたパンチ23と、このパンチ23を傾動させるために移動構造体30に設けたパンチ傾動手段24と、移動構造体30の一部を移動するために移動構造体30に内蔵した昇降手段25と、移動構造体30を全体的に移動するために移動構造体30と外部構造物26との間に介設した横移動手段27と、パンチ傾動手段24、昇降手段25及び横移動手段27を一括して制御する制御部28と、からなる。
パンチ傾動手段24は、油圧シリンダが好適であるが、電動シリンダ、空圧シリンダ、ロータリアクチュエータ、リンク機構であっても良く、要はパンチ23を正確に傾動させる機構であれば種類は問わない。昇降手段25及び横移動手段27も同様に、電動シリンダ、空圧シリンダ、リンク機構、ピニオン・ラック横構であっても良く種類は問わない。
移動構造体30は、パンチ23を上下、左右に二次元的に移動させることのできる構造体であれば良く、例えば、外部構造物26に載せた平板状のベース31と、このベース31に水平移動可能に載せたスライドプレート32と、このスライドプレート32に立てた縦ガイドメンバー33、33と、この縦ガイドメンバー33、33に昇降自在に取付けた昇降メンバー34と、この昇降メンバー34の上面に取付けたブラケット35と、からなり、このブラケット35で水平軸22を支える。
図中、36、37は連結メンバー、38は連結ピンであり、連結メンバー36を介した横移動手段27の作用により、スライドプレート32、縦ガイドメンバー33、33、昇降メンバー34などを一括して図面左右へ横移動させることができる。
また、連結メンバー37を介した昇降手段25の作用により、昇降メンバー34、ブラケット35、水平軸22、パンチ23及びパンチ傾動手段24を一括して上下に移動させることができる。
以上の構成からなるヘミング加工装置20の作用を次に述べる。
図2はフランジの初期曲げ工程の説明図であり、パンチ23は、T字状のメンバーであり、3つの腕のうち、1つに水平軸22を設け、1つに連結軸38を設け、残る1つに爪部39を設けてなり、爪部39は僅かに下へ傾斜させたが、パンチ23は全体としてごく単純な形状のメンバーである。
以下の説明のために、フランジ14の長さをL、フランジ14の基部(下端)をP1、フランジ14の先端(上端)をP2、水平軸22の中心をP3、連結ピン38の中心をP4、パンチ傾動手段24の傾動中心をP5、昇降メンバー34の上面前端の点をP6と呼ぶことにする。
先ず、図示せぬ待機位置に置いたパンチ23の傾きを設定する。すなわち、パンチ23の爪部39とフランジ14の外面とのなす角度をθ1とするときに、このθ1が70〜85°の範囲から選択した角度になるように、パンチ傾動手段24を作動させて、パンチ23の初期傾きを定める。
次に、昇降メンバー34を下降移動し且つ横移動することで、フランジ14の上端にパンチ23の爪部39を当てる。この状態が図2の実線に相当する。
続く動作の基本軌跡は、点P1を中心とし、半径をLとして反時計方向へ約45°回転させた円弧S1とする。なお、円弧S1の中心角は45°に限らず、30〜60°の角度であればよい。
すなわち、パンチ傾動手段24は固定したまま、図示せぬ横移動手段及び昇降手段を作動させて、点P2、点P3、点P4、点P5、点P6の全てが円弧S1を描くように、想像線で示す位置まで移動する。
この結果、フランジ14は反時計方向へ約45°折り曲げられる。この一連の工程を初期曲げ工程という。
図3はパンチの角度修正工程の説明図であり、上記図2の想像線が図3での実線に相当する。この状態では、フランジ14の外面とパンチ23の爪部39との間に角度θ2だけの隙間が存在する。この角度θ2がゼロになるように、点P2を中心に、点P3及び点P4を時計方向へ回転する。なお、点P5は点P3と同一の軌跡を描かせる。図示する如く、点P4と点P5との距離の変化分だけパンチ傾動手段を作動させる。
すなわち、実線から想像線までパンチ23を移動するには、横移動手段、昇降手段、パンチ傾動手段の全てを作動させる。以上の工程をパンチの角度修正工程と呼ぶ。
図4はフランジの本曲げ工程の説明図であり、上記図3の想像線が図4での実線に相当する。
実線で示すパンチ23を、点P1を中心にして反時計方向へ傾動させる。具体的には、点P1を中心に点P3及び点P4を反時計方向へ傾動させて、パンチ23を想像線の位置まで移動する。これで、フランジ14を完全に折り曲げることができる。なお、点P5は点P3と同一の軌跡を描かせる。図示する如く、点P4と点P5との距離の変化分だけパンチ傾動手段を作動させる。
すなわち、実線から想像線までパンチ23を傾動するには、横移動手段、昇降手段、パンチ傾動手段の全てを作動させる。以上の工程をフランジの本曲げ工程と呼ぶ。
図5はヘミング完了を示す図であり、第1のワーク12に立てたフランジ14を、第2のワーク13の縁に折り曲げて重ねた状態を示す。
図2〜図5において、点P2は爪部39上の一点で当たり、その位置は爪部39上を殆ど移動することはない。そのため、フランジ14の外面に擦り傷が発生する心配はない。
また、図2〜図4の工程を整理すると次の通りになる。
下型に、縁にフランジを立ててなる第1のワークを載せ、この第1のワークに第2のワークを載せ、前記フランジの近傍に上下移動、横移動並びに傾動可能なパンチを臨ませる準備工程と、
前記パンチの先端下面に設けた爪部が前記フランジの外面となす角度が90°未満になるようにして前記爪部をフランジの先端に当て、フランジの基部を中心としてフランジの先端が円弧を描くように、前記パンチを横及び上下に平行移動することで、前記フランジを約45°曲げる初期曲げ工程と、
前記パンチをフランジの外面に接触するように、フランジの先端を中心にしてパンチを傾動させるパンチの角度修正工程と、
前記フランジの基部を中心としてフランジの先端が円弧を描くように、前記パンチを横及び上下に平行移動し、且つ傾動することで、前記フランジを約45°曲げる本曲げ工程と、からなることを特徴とする。
初期曲げ工程、パンチの角度修正工程、本曲げ工程の一連の動作は、パンチをフランジから離すことなく連続して実施することができる。動作はやや複雑であるが、制御部に制御プログラムを常駐させることで、連続的に短時間でヘミング加工を実施することができる。
尚、上述の制御方法は、代表的な一例を述べたものであって、本発明のヘミング加工装置の作動方法は任意であり、実施例に限定するものではない。
また、移動構造体は、実施例では全体を横移動手段で水平移動させ、一部を昇降手段で上下移動させたが、全体を昇降手段で上下移動させ、一部を横移動手段で水平移動させるようにしてもよい。
本発明は、ドアインナーパネルにドアアウターパネルを一体化するヘミング加工装置に好適である。
本発明に係るヘミング加工装置の原理図である。 フランジの初期曲げ工程の説明図である。 パンチの角度修正工程の説明図である。 フランジの本曲げ工程の説明図である。 ヘミング完了を示す図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。
符号の説明
12…第1のワーク、13…第2のワーク、14…フランジ、20…ヘミング加工装置、22…水平軸、23…パンチ、24…パンチ傾動手段、25…昇降手段、26…外部構造物、27…横移動手段、28…制御部、39…パンチの前部下面に設けた爪部。

Claims (1)

  1. パンチを用いて、フランジをヘミング加工する方法において、
    前記フランジの外面となす角度が90°未満になるように前記パンチ先端の下面に設けた爪部前記フランジの先端に当てる工程と、
    前記フランジの基部を中心として前記フランジの先端が円弧を描くように、前記パンチを横及び上下に平行移動することで、前記フランジの先端を前記パンチで押圧して前記フランジを折り曲げる初期曲げ工程と、
    前記フランジの先端を中心に前記パンチを回転して前記フランジの先端から前記フランジの基部まで前記パンチを当てる角度修正工程と、
    前記フランジの基部を中心として前記フランジの先端が円弧を描くように前記パンチを横及び上下に平行移動し、且つ傾動することで前記フランジをさらに折り曲げる本曲げ工程とからなり、
    これらの工程において、前記フランジの先端が前記パンチの爪部上をほとんど移動しないことを特徴とするヘミング加工方法。
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