JP4631986B1 - Ni基合金製品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱耐圧用のNi基合金製品およびその製造方法の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、Sol.Al:0.0005〜0.04%、Fe:20〜30%、Cr:21.0%以上で25.0%未満、W:6.0%を超えて9.0%まで、Ti:0.05〜0.2%、Nb:0.05〜0.35%、B:0.0005〜0.006%、残部はNiおよび不純物からなり、不純物としてP:0.03%以下、S:0.01%以下、N:0.010%未満、Mo:0.5%未満、Co:0.8%以下であり、下記の(1)式で規定される有効B量(Beff)が0.0050〜0.0300%である組成を有し、かつ700℃におけるひずみ速度が10−6/secの引張試験での破断伸びが20%以上であることを特徴とするNi基合金製品。
Beff (%)= B−(11/14)×N+(11/48)×Ti ・・・(1)
この合金は、Cu、Ta、Zr、Mg、Ca、REM、Pdの1種以上を含有してもよい。この合金製品は特に大型製品として好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、発電ボイラや化学工業用などの耐熱耐圧製品、例えば管、板、棒および鍛造品等のNi基合金製品およびその製造方法に関する。このNi基合金製品は、高温での加工性および耐溶接割れ感受性が改善され、さらに高温時効による延性の低下が小さいという優れた性質を有する。本発明のNi基合金製品は、製造時に粗粒化し易く、かつ脆化相が生成し易い大型の耐熱耐圧製品として用いるのが特に好ましい。
地球温暖化対策としてCO2を削減するためには、発電ボイラや化学工業の合成反応炉などの効率を高め、化石燃料の使用量に対する発電量や化学工業製造物の収率を高めることが喫緊の課題になっている。このためには、耐熱耐圧部材である各種の製品は、従来よりも一層優れた高温での耐熱性や高耐食性が要求される。そのような過酷な環境で使用される製品の材料としては、従来の鉄鋼材料に代えて、より高温強度や高温耐食性に優れたNi基合金の材料を用いることが必要である。
ところが、従来のNi基合金は、既存の鉄鋼材料に比較して、高温における加工性や溶接性が著しく劣り、また高温での加熱中に延性の大幅な低下を生じる。したがって、上記の耐熱耐圧製品、特に肉厚や製品寸法の大きな製品においては、従来のNi基合金では製品の製造および使用が著しく制限されてしまう。
大型の耐熱耐圧製品の代表例として、厚さが40mm以上の板材や寸法の大きな管がある。たとえば発電ボイラで使われる主蒸気管は外径500mm、肉厚50mm、長さ6m程度の大きさである。このような大型製品を製造する場合、例えば熱交換器管や加熱炉管のような小型製品と比べて大型であるが故に、次のような問題が生じる。
すなわち、熱間加工前の素材の寸法が大きいために加熱時間が長時間となり、さらに熱間加工の全工程において、圧下比が3程度と小さい加工しかできないため、結晶粒がオーステナイト結晶粒度番号で0程度まで粗粒化し、粒界へのPやSの偏析の影響を受けやすい。また、熱間加工や溶接施工後の冷却速度が著しく遅くなって、冷却過程で脆化相が析出しがちであるため、製造時の著しい加工割れやキズおよび溶接時の拘束による割れが発生しやすい。また、実機での長時間の使用中における延性の低下による割れ、補修溶接時の割れなどの不具合を生じることがある。
たとえば、従来からNi基合金として広く知られている617合金(Ni基−22Cr−9Mo−12Co−1Al−Ti−(Fe<1.5%))は、高温強度に優れ、次世代の発電ボイラ用材料として有力視されている。しかし、この合金は、Coを多量に含み、比較的寸法の小さい材料向けに実用化されているに過ぎない。この合金を用いて上記の主蒸気管サイズ等の大型製品を製造すると、高温加工中に著しい割れを生じ、曲げや溶接施工中にγ’相の析出による硬化および著しい延性低下による割れや破壊を生じる。これが大型製品用材料としては実用化できない理由である。
特許文献1(特開2004-3000号公報)には、蒸気温度700℃以上で使われるオーステナイト系ステンレス鋼とその製造方法が開示されている。この鋼は、高温強度と金属組織の安定性に優れ材料ではあるが、前記の617合金と同様に、大型製品の製造や実際の実機使用においては低延性に起因した加工割れが懸念される。
特許文献2(特開平10-96038号公報)には、高温強度と耐食性に優れた高Crオーステナイト系耐熱合金が開示されている。この合金は、多量のCuやCrを添加し、Cu富化相やα-Cr相による析出強化を主眼とした特殊材料であり、適用製品としては比較的寸法の小さい熱交換器管や加熱炉管を想定したものである。
特許文献3(特開2002-212634号公報)には、高温強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼管の製造方法が開示されている。しかし、その特許請求の範囲の記載から明らかなとおり、この製造方法は冷間加工を前提とすることから、寸法の小さい鋼管を対象にしている。大型の鋼管製造時の割れやキズ、および実機に使用する場合は延性低下による補修溶接時の割れが懸念される。
特許文献4(特開平2000−129403号公報)に開示される発明も高温の耐食性と強度を主眼とした寸法の小さな過熱器管が対象であり、上記と同様の難点がある。さらに特許文献5(特開平7-216511号公報)や特許文献6(特開昭61-179835号公報)にもオーステナイト系耐熱材料が開示されているが、これらの材料も上記の鋼などと同様に、高温強度や高温の耐食性を主眼とするもので、大型製品の加工性や時効延性低下に配慮して開発されたものではない。
特開2004-3000号公報 特開平10-96038号公報 特開2002-212634号公報 特開平2000−129403号公報 特開平7-216511号公報 特開昭61-179835号公報
上記のとおり、これまでNi基合金やオーステナイト系ステンレス鋼について、大型製品として用いることをテーマとして、製造時および実機としての使用時の加工性および延性の改善、ならびに割れ防止について配慮した技術は見当たらない。
本発明の目的は、高温で用いる耐熱耐圧用のNi基合金製品、特に寸法の大きな部製品として好適なCoを含まないNi基合金製の製品およびその製造方法を提供することにある。本発明のさらに具体的な目的は、製品の製造時および実機使用時の高温での加工性と高温時効による延性低下の大幅な改善を目的とする。
まず、本発明の基礎となった知見について述べる。以下、合金成分の含有量に関する%は、質量%を意味する。
本発明者らは、高温強度を重視するNi基合金製品において、従来は十分考慮されていなかった高温加工性の向上、溶接時の割れ防止、実機使用による材料の経年変化と金属組織変化に対しても十分な耐性を持ち、クリープ延性が大きく、かつ補修溶接施工においても割れをおこさない新しいNi基合金製品の開発を目的として試験研究を行った。その結果、以下に述べる新しい知見を得た。
1)従来の高温用高強度Ni基合金に多量に添加されているAl、Tiのγ’相析出強化を利用しない材料とすることで、高価で加工性にもよくないCoを添加せずに優れた特性のNi基合金が得られる。
2)Co無添加のNi基合金でありながら、優れた高温強度と高温(500〜800℃)で長時間(10万時間以上)安定な金属組織得るためには、Fe含有量を20〜30%に最適化することが必要である。
3)高温での加工性を改善し、溶接割れを防止するためには、Ni基合金には必ず添加しなければならないBの添加量を「有効B量(Beff)」で規定し、Ti、NおよびBの含有量と適正なバランスをとれば、高温強度や加工性を良好に維持しながら、加工割れやキズの防止、溶接割れや欠陥の防止が可能となる。
さらに本発明者らは、下記4)の全く新しい知見を得た。
4)Ni基合金製品の経年金属組織変化によるクリープ延性低下による割れおよび溶接補修時の割れを防止するために、化学成分の規定に加えて、10−6/secという低ひずみ速度での引張試験による破断伸びの規定が必要条件となることを見出した。この10−6/secという低ひずみ速度引張試験によれば、従来の高温引張試験では評価できなかった高温加工性や、実機使用時の延性低下割れ、実機で使用した製品の補修溶接割れの感受性を正しく評価することができる。すなわち、この低ひずみ速度での引張試験による破断伸びを指標とすることは、合金製品の特性評価には極めて重要なことである。
上記の10−6/secという低ひずみ速度の引張試験とは、実機使用に近い700℃の試験温度に保持しながら、1%のひずみを与えるのに約3時間を、10%のひずみを与えるのには約27時間をかけて試験する高精度の温度およびひずみ制御の高温引張試験である。700℃を試験温度としたのは、これが実機の使用温度に近い温度であり、かつ材料の時効析出による延性等の劣化を評価するのに最適と判断したからである。
高温加工や溶接割れは、加工中や溶接中の動的析出による金属組織変化が合金の特性を著しく損なうのが原因である。従来の引張試験は、この動的析出を伴う試験ではないので、その引張試験では、材料特性の正しい評価ができなかった。詳細は、実施例において記述するが、上記の新しい引張試験によって測定される破断伸びを一定値以上とすることが、本発明の重要な特徴の一つである。
以上をまとめると、本発明は、従来の高温耐圧部材用Ni基合金のようにTiやAlによるγ’相析出強化を使わず、Coを無添加としたNi基合金について、適正なFe含有量および有効B量を規定した上に、さらに新知見である10−6/secという特殊な低ひずみ速度引張試験による破断伸びを一定値以上に規定して成し得たものである。
本発明は、下記のNi基合金製品およびその製造方法を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、Sol.Al:0.0005〜0.04%、Fe:20〜30%、Cr:21.0%以上で25.0%未満、W:6.0%を超えて9.0%まで、Ti:0.05〜0.2%、Nb:0.05〜0.35%、B:0.0005〜0.006%、残部はNiおよび不純物からなり、不純物としてP:0.03%以下、S:0.01%以下、N:0.010%未満、Mo:0.5%未満、Co:0.8%以下であり、下記の(1)式で規定される有効B量(Beff)が0.0050〜0.0300%である組成を有し、かつ700℃におけるひずみ速度が10−6/secの引張試験での破断伸びが20%以上であることを特徴とするNi基合金製品。
Beff (%)= B−(11/14)×N+(11/48)×Ti ・・・(1)
但し、上記(1)式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
(2)質量%で、さらに下記の第1群から第4群までの少なくとも一つの群に属する少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする上記(1)のNi基合金製品。
第1群:Cu:5.0%以下およびTa:0.35%以下
第2群:Zr:0.1%以下
第3群:Mg:0.01%以下およびCa:0.05%以下
第4群:REM:0.3%以下およびPd:0.3%以下
(3)仕上り寸法で厚さ30mm以上になる継目なし管、板もしくは鍛造品、または外径が30mm以上の棒であることを特徴とする上記(1)または(2)のNi基合金製品。
(4)オーステナイト結晶粒度番号が3.5以下の粗粒組織であることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかのNi基合金製品。
(5)上記(1)または(2)の化学組成を有するNi基合金からなる素材を、1000℃以上で1分以上加熱保持後、熱間加工し、最終熱処理を行った後、800℃/時間以下の冷却速度で冷却することを特徴とする上記(1)から(4)までのいずれかのNi基合金製品の製造方法。
本発明のNi基合金製品は、発電ボイラや化学工業用などの耐熱耐圧部材に使う管、板、棒および鍛造品等の製品、特に大型製品として使用するのに好適である。そして、これらの製品の製造時や実機使用時の高温の加工性、耐溶接割れ感受性および高温時効による延性の低下が大きく改善される。
拘束溶接割れ試験片の形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
1.本発明製品の素材となるNi基合金の化学組成
まず、本発明製品の素材となるNi基合金(以下、素材合金という)の合金成分についてその作用効果と含有量の限定理由を説明する。なお、含有量についての%は質量%を意味する。
C:0.03〜0.10%
Cは、TiやNbおよびCrの炭化物を生成させ、合金の高温引張強さ、高温クリープ破断強度を確保するために必要である。その含有量は0.03%以上とすることが必要である。一方、Cの含有量が過多であると、未固溶炭化物が生じ、また、Crの炭化物が増えて溶接性が低下する。したがって、上限は0.10%とする。
Si:0.05〜1.0%
Siは、合金の脱酸元素として添加され、耐水蒸気酸化性を高めるためにも必要な元素である。下限は水蒸気酸化性の改善と脱酸作用の確保のために0.05%とする。より好ましい下限は0.1%である。一方、多量のSiは、高温でシグマ相生成による加工性劣化をもたらし、金属組織の安定性をも悪くするので、上限は1.0%とする。金属組織の安定性を重視するならば、上限を0.5%とするのが好ましい。より好ましい上限は0.3%である。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、S(硫黄)とMnS(硫化物)を形成してSを無害化し、素材合金の熱間加工性を改善する。0.1%未満では効果がない。他方、Mnが過剰に添加されると、素材合金が硬く脆くなり、かえって加工性や溶接性を損なうので、上限を1.5%とした。より好ましいMnの含有量は0.7〜1.3%である。
Sol.Al:0.0005〜0.04%
本発明製品の素材合金は、高温加工性を重視する観点から、AlやTiの多量添加によるγ’相の析出強化を利用しないのが特徴のひとつである。Alは脱酸元素として添加されるが、過剰に添加すると組織安定性が悪くなるので、含有量の上限をSol.Alで0.04%としなければならない。また下限は脱酸効果を確実に得るため0.0005%とする。好ましいSol.Alの含有量は0.005%から0.03%未満である。
Fe:20〜30%
Ni基合金において、Coを使わないで高い高温強度と高温長時間の安定した金属組織とするためには、Feは20%必要である。また、高温延性や加工性を確保し、NbやTi、Crの安定な炭窒化物を生成させるためにも適量のFeが必要である。一方、Feの含有量が30%を超える場合は、シグマ相などの脆化相が生成し、素材合金の高温強度、靭性および加工性を損なう。したがって、上限を30%とする。
Cr:21.0以上で25.0%未満
Crは、合金の耐酸化性、耐水蒸気酸化性および耐食性を確保するのに重要な元素である。高温(500〜800℃程度)での使用で18−8系ステンレス鋼の耐食性以上の耐食性を確保するために最低限必要なCr含有量は21.0%である。Crの含有量が多いほど上記耐食性は向上するが、他方では脆いシグマ相を生成して金属組織の安定性が低下し、クリープ強度や溶接性が低下する。したがってCr含有量は25.0%未満に抑えるのがよい。一層好ましいCrの含有量は22.5〜24.5%である。
W:6.0%を超えて9.0%まで
Wは、本発明製品の素材合金の重要な固溶強化元素であり、粒界すべりクリープが優先する700℃以上の温度では多量に添加しなければ効果がない。効果を得るには6.0%を超える含有量が必要である。本発明製品の素材合金には、Moを積極的には添加しないので、Wが多量添加されても脆化相は生じない。しかし、一方で、過剰なW含有量では合金が硬化し、加工性および溶接性が劣化するので、上限は9.0%とした。より好ましいWの含有量は7.0〜8.5%である。
Ti:0.05〜0.2%
Tiは、Al同様に、従来はNi基合金に積極的に添加してγ’相や炭窒化物の析出強化を利用していた。しかし、本発明製品の素材合金では、多量のTiは未固溶炭窒化物の増加による高温の加工性劣化をもたらし、溶接割れ感受性が高まる。したがって、Tiの含有量の上限を0.2%とした。一方、微量のTi添加によりN(窒素)を窒化物として固定し、Bの高温強化作用を高めることができる。この効果を得るのに0.05%以上の含有が必要である。Tiのより好ましい含有量は0.10〜0.15%である。
Nb:0.05〜0.35%
Nbは、その炭化物によるクリープ強度の増大のためには0.05%以上の含有が必要である。一方、高温加工性および溶接性を害さないように上限は0.35%とする。Nbのより好ましい含有量は0.20〜0.30%である。
B:0.0005〜0.006%
Bは、Ni基合金には不可欠な合金元素で、高温で粒界クリープを防止する作用がある。その反面、過剰なBは、厚肉部材の製造時の割れ、溶接施工時の割れを誘発する。したがって、Bについてはその適量管理が重要である。
Bの含有量としては、合金の強度および加工性向上のためには0.0005%以上が必要である。一方、Bの含有量が0.006%を超える場合は、溶接性および加工性が著しく損なわれる。より好ましいBの含有量は0.001〜0.005%である。なお、Bの含有量は、上記の範囲内で、かつ、次に述べる「有効B(Beff)」が0.0050〜0.0300%の範囲内になければならない。
有効B(Beff):0.0050〜0.0300%
本発明者らは、高温の加工性や溶接割れ防止の観点から、「有効B」の管理が重要であることを見出して、NおよびTiとの相関性で有効含有量の範囲を見出した。有効B(Beff)とは、下記の(1)式で定義される値である。
Beff(%)= B−(11/14)×N+(11/48)×Ti ・・・(1)
上記の「有効B」は、Bの総含有量からBN(B窒化物)として消費されるBを差し引いた、加工性やクリープ強化に寄与するB量である。Tiは、TiNとしてBに優先してNを固定し無害化して有効B量に寄与する。なお、上記の(1)式は、下記の(2)式を変形したものである。
Beff(%)= B−(11/14)×{N−(14/48)×Ti} ・・・(2)
本発明の主眼である高温加工性の改善、溶接割れの防止、および実機使用中の経年劣化による割れ感受性の増大防止において、上記の「有効B」の量を管理することが必要条件である。「有効B」の量が0.0050%未満では、十分な加工性、高温強度が得られない。一方、0.0300%を超える場合、Bの酸化物や炭化物などの介在物が多くなり、加工や溶接時の割れを誘発する。 したがって、「有効B」の適正範囲を0.0050〜0.0300%とした。より好ましいのは0.0050〜0.0250%である。
本発明製品の素材合金の一つは、これまでに述べた成分のほか、残部はNiおよび不純物からなる。なお、不純物とは、合金の原料に付随して製造過程で混入するものをいう。その不純物の中で、特に下記の元素についてはそれぞれ以下に述べる上限値以下に抑えることが重要である。
P:0.03%以下
Pは、不可避不純物として混入して素材合金の溶接性および加工性を害するので上限は0.03%とする。さらに、0.02%以下に極力低減するのが一層好ましい。
S:0.01%以下
Sも不可避不純物として混入するし、溶接性、加工性を害するので上限は0.01%とする。より好ましくは0.005%以下に極力低減すべきである。
N:0.010%未満
従来、Nは、炭窒化物析出強化と高温の金属組織安定性を確保するために添加するものであるが、本発明製品の素材合金ではTiやBの未固溶炭窒化物が増加すると高温加工中の割れおよびキズや溶接時の割れを誘発するため、極力低減しなければならない。しかし、NはCrとの親和力が高く合金製造時の溶解作業中に不可避的に混入する。本発明の効果を得るためには不純物としての混入を0.010%未満とする。
Mo:0.5%未満
Moは、700℃以上の使用環境によって素材合金中に脆化相を生じ、また耐食性を劣化させることがあり、また、Wとの複合添加ではWの単独添加に比べあまり効果はないので、Moは添加しない。不純物として許容されるのは0.5%未満である。より好ましいのは0.4%未満、さらに好ましいのは0.3%未満である。
Co:0.8%以下
高温用のNi基合金には、Coは主要な合金元素として通常10%以上含有される。これはCoが高温強度や金属組織の安定性に有効であるからであるが、反面、厚肉製品においては、その強度が高くなりすぎて延性を低下させ、高温割れを誘発する。また、Coは、高価な元素であり、戦略資源とされて入手が困難になることもあるから、大型製品に多量に使用することは好ましくない。本発明は、素材合金をCoを含まない安価で加工性に優れたNi基合金とすることを意図しているから、Coは積極的には添加せず、不純物とする。しかし、Coは原料から不可避的に混入しがちであることから、含有量の許容上限を0.8%とする。0.5%未満に抑えるのが一層好ましい。
本発明の素材合金の他の一つは、これまでに述べた合金成分に加えて、下記の元素群の少なくとも一つから選んだ少なくとも1種の元素を含有する合金である。
第1群:Cu:5.0%以下およびTa:0.35%以下
第2群:Zr:0.1%以下
第3群:Mg:0.01%以下およびCa:0.05%以下
第4群:REM:0.3%以下およびPd:0.3%以下
以下、これらの元素の作用効果を説明する。
Cu:5.0%以下
Cuは、析出強化元素として高温強度に寄与する。しかし、Cuの含有量が5%を超えるとクリープ延性を著しく低下させるので、Cuを添加する場合、含有量の上限は5.0%とする。なお、0.01%未満では上記の効果が小さいので、添加する場合には含有量を0.01%以上とするのが望ましい。より好ましい含有量は1〜4%である。
Ta:0.35%以下
Taは、Nbと同様に析出強化元素として作用するが、その含有量が0.35%を超えると、著しく高温加工性を損ない、溶接割れ感受性が高まるため、上限を0.35%とした。なお、添加の効果を確実に得るには、0.01%以上含有させるのが望ましい。
Zr:0.1%以下
Ni基合金ではZrは高温で粒界強化作用がありクリープ強度に寄与する。しかし、その含有量が0.1%を超えると酸化物系介在物が増加し、クリープ強度や熱疲労特性、延性を損なう。0.0005%未満では効果が小さいので、添加する場合は含有量を0.0005%以上とするのが望ましい。特に好ましい含有量は0.001〜0.06%である。
Mg:0.01%以下
Mgは、極微量で脱酸効果がありかつ有害なSを安定化して加工性をよくする。しかし、Mgの含有量が0.01%を超えると酸化物系介在物が増加するので、上限を0.01%とする。なお、0.0005%未満では効果が小さいので、Mgを添加する場合は、その含有量を0.0005%以上とするのが望ましい。
Ca:0.05%以下
Caも極微量でSと結合し安定化して加工性を改善する。しかし、0.05%を超える含有量ではかえって延性および加工性を損なう。なお、0.0005%未満では効果が小さいのでCaを添加する場合は、その含有量を0.0005%以上とするのが望ましい。
REM:0.3%以下、Pd:0.3%以下
REMおよびPdは、無害で安定な酸化物や硫化物をつくり耐食性、加工性、クリープ延性、耐熱疲労特性およびクリープ強度を改善する有用な元素である。しかし、それぞれ含有量が0.3%を超えると製造コストが高くなり、また酸化物などの介在物が多くなって加工性、溶接性だけでなく靭性、高温延性および疲労特性を損なう。0.001%未満では効果が小さいので、これらを利用する場合には、それぞれ含有量を0.001%以上とするのが望ましい。なお、REMとは、原子番号57のLaから同71のLuまでの15元素にYおよびScを加えた17元素のことである。
REMの中でもNdは高温の加工性を阻害するSと結合して無害化し、熱間加工性や靭性、クリープ延性を大幅に改善するので、Ndを含有させるのが好ましい。Ndを使用する場合は、含有量の下限は0.01%がより好ましく、0.05%がさらに好ましい。一方、上限は0.2%とするのがより好ましい。
2.本発明製品の高温延性の規定
本発明のNi基合金製品は、700℃における10−6/secのひずみ速度での引張試験による破断伸びが20%以上であることを大きな特徴とする。
前述のように、本発明の主眼である高温の加工性向上、溶接割れ感受性の低減および実機使用中の延性の低下による低延性クリープ割れを防止するためには、適正な合金元素の添加に加えて、700℃における10−6/secのひずみ速度での引張試験による破断伸びの値が20%以上であることが必要である。20%未満では高温加工中の割れ、溶接時の割れおよび実機使用中の応力緩和割れや、クリープ疲労特性を損なう。より好ましい破断伸びの値は30%以上である。
3.本発明製品の大きさおよび結晶粒度について
本発明の効果は、どんな寸法形状の製品においてでも発揮されるが、とりわけ大型製品、すなわち、厚肉の製品においてその効果が発揮される。したがって、本発明のNi基合金製品は、大型製品として用いるのに好適である。大型製品とは、仕上がりの寸法で厚さ30mm以上になる継目なし管、板および鍛造品、または外径30mm以上の棒である。
本発明製品は、オーステナイト結晶粒度番号が3.5以下の粗粒組織であってもよい。さらに上記結晶粒度番号が3.0以下や、2.5未満の粗粒組織であっても差し支えない。その理由は下記のとおりである。
小型の製品であれば熱間加工前の素材の加熱保持時間を短くできる。一方、大型製品では素材内部まで均一に加熱するには長時間の加熱が必要となる。そのため、熱間加工後の金属組織が粗粒化してしまう。しかし、本発明のNi基合金製品であれば、たとえ加熱保持時間が長く粗粒組織となった場合でも、化学組成および前記の低歪速度での引張試験における破断伸びの値を管理することにより、高温の加工性、耐溶接割れ感受性および高温時効による延性の低下を改善することができる。これらの理由で、本発明製品は、特に大型製品として用いるのが好ましい。大型であるが故に粗粒組織になってしまうものであっても、すなわち、オーステナイト結晶粒度番号が3.5以下の粗粒組織の製品であっても、さらには3.0以下や、2.5未満の粗粒組織の製品であっても、優れた特性を維持できるのである。
4.本発明合金製品の製造方法
前記のように、本発明のNi基合金製品は、大型耐熱耐圧部材へ適用するのが好ましい。大型製品の場合、実際に製造する際には、大型であるがゆえに、熱間加工前の素材の寸法が大きい。したがって、加熱時間を長くしなければならず、さらに熱間加工においても大きな加工度がとれない。すなわち、従来の合金製の製品では、加工時の圧下比は3程度と小さいため、結晶粒がオーステナイト結晶粒度番号で0程度まで粗粒化し粒界へのPやSの偏析の影響を受けやすい。さらに、熱間加工や溶接施工後の冷却速度が著しく遅くなって冷却中に脆化相が析出し易いため、製造時の著しい加工割れやキズ、溶接時の拘束による割れ、実機で長時間使用中に延性の低下による割れ、補修溶接時の割れなどの不具合を生じることがある。
本発明のNi基合金製品の製造方法においては、熱間加工の前の素材の加熱温度は1000℃以上、保持時間は1分間以上とする。1000℃未満、または1分間未満の加熱では、凝固偏析や未固溶析出物が残存し、高温加工や実機使用中の延性、靭性、加工性を損なう。好ましいのは1050℃以上で1分間以上の保持である。大型製品の場合は内部まで高温に加熱する必要があるため1時間以上の保持が好ましい。加熱温度の上限は規定しない。加工上は変形抵抗を小さくするために、より高温の方がよいが、あまりに高温で加熱すると材料の部分溶融による割れを生じるおそれがある。したがって、1250℃以下とするのがよい。
大型製品は素材からの熱間加工時の加工度を大きくできない。そこで、本発明では、素材合金の加工性の劣化しない化学組成を選別するために、前記の低速引張試験による規定を導入した。したがって、本発明では、熱間加工の圧下比が3.5以下であってもよく、さらには3.0以下であっても、製品の優れた性能が確保できる。
次に最終熱処理後の冷却速度について述べる。小型の製品であれば最終熱処理後の冷却速度を900℃/時間以上の速い速度とすることができ、冷却時に脆化相は生成しないが、大型製品では最終熱処理後の冷却速度は必然的に遅くなり脆化相が生成し易くなる。しかしながら、本発明の製品は、冷却速度が遅い場合でも化学組成および低歪速度での引張試験での破断伸びの値を管理することで高温の加工性、耐溶接割れ感受性および高温時効による延性の低下を改善したNi基合金製品となるのである。そこで本発明製品の製造方法においては、大型製品の冷却速度に対応する800℃/時間以下の冷却速度で冷却することとした。なお、冷却速度は600℃/時間以下であっても差し支えない。
なお、最終熱処理の温度については、特に制限はないが、良好なクリープ強度を得るためには1150℃以上がよい。より好ましいのは1175℃以上、さらに好ましいのは1200℃以上である。しかし、あまりに高温で加熱すると結晶粒の過剰な粗大化がおこり、延性、溶接性および超音波による検査性能を損なうため、1260℃以下に抑えるのがよい。
表1に試験材の化学組成を示す。試験材No.1〜20が本発明製品の素材合金である。比較材料としてNo.21(既存の617合金)、No.22(既存の740合金)、No.23(既存の236合金)、さらにNo.24〜28を準備した。これら28種の合金をそれぞれ50kg真空溶解し、鋳造して直径150mmのインゴットとした。
上記のインゴットを熱間鍛造加工して厚さ60mmの板材を作った。これらの厚板のうちNo.1からNo.20まで合金の厚板およびNo.24〜28の合金の厚板は、1220℃で30分の熱処理後、約700℃/時間の冷却速度で冷却した。
No.21、22および23の合金の厚板は、1150℃で30分の熱処理を施した後に空冷した。さらに、No.20とNo.21の合金は、3.5tonの真空炉で溶解してインゴットにした後、エルハルトプッシュベンチ式製管機により、外径400mm、肉厚60mm、長さ4mの管とした。最終熱処理は、No.20の合金の管は、1220℃で1時間加熱の後に約700℃/時間の冷却速度で冷却し、No.21の合金の管は、1150℃で1時間の加熱後に約700℃/時間の冷却速度で冷却した。
本発明で規定する低ひずみ速度での引張試験は、外径6mm、標点間距離30mmの丸棒試験片を「ひずみ制御低ひずみ速度引張試験機」を使用し、700℃に加熱保持した状態で、10−6/secのひずみ速度で引張り、最終破断の絞り値を測定した。その結果を表1に併記する。
結晶粒度は、試験材の断面を研磨して顕微鏡観察を行い、ASTMに規定されるオーステナイト結晶粒度番号で求めた。クリープ破断試験片は、外径6mm、標点間距離30mmの丸棒試験片とし、700℃で1万時間以上の試験を実施した。
グリーブル試験は、外径10mm、長さ130mmの丸棒試験片を直接通電加熱して引張試験した。シャルピー衝撃試験は、切り出し部材を700℃で1万時間加熱した後、10×10mm、2mmVノッチの試験片に加工し、0℃にて4本試験して吸収エネルギーの平均値を求めた。
図1に示す拘束溶接割れ試験は、板厚60mm、幅200mm、長さ200mmの合金板1を作製し、その合金板の長手方向に角度30°、ルート厚さ1mmのV開先を加工した後、厚さ80mm、幅400mm、長さ400mmのSM400鋼の板2の上に、被覆アーク溶接棒(JIS規格Z3224 DNiCrFe-3)<Inco82用>を用いて四周を拘束溶接した。その後、溶接ワイヤ(AWS規格A5.14 ER NiCrCoMo-1)<Alloy617用>を用いてTIG溶接により開先内に多層溶接を行った。その溶接継手試験体を700℃で500時間加熱時効した後、溶接部の10横断面を検鏡して、溶接熱影響部の割れの有無を評価して割れ率とした。
以上の試験結果をまとめて表2に示す。
Figure 0004631986
Figure 0004631986
表1に示した10−6/secの低ひずみ速度引張試験による破断伸びは、本発明例であるNo.1からNo.20まででは、いずれも30%以上である。これに対して、既存のNi基合金であるNo.21、No.22およびNo.23では、破断伸びは数%しかなく、際立って悪い。さらに比較例のNo.24〜No.28も破断伸びは20%未満で、いずれも本発明で規定する20%以上という値に達していない。
結晶粒度は、表2に示すように、大型製品を想定して熱間加工前の加熱時間を長くしたため、また加工度も低いため、全ての例においてオーステナイト結晶粒度番号で3.0以下の粗粒となっていた。なお、結晶粒度番号で2.5未満の超粗粒であっても、本発明例は良好な性能であった。
材料の高温熱間加工性の指標となる、1200℃グリーブル試験による破断絞りでは、本発明例がいずれも70%以上で、良好な延性を示した。これに対して、比較例は53%以下で延性すなわち熱間加工性が悪い。特に既存のNi基合金であるNo.21、No.22およびNo.23は、Feを含まない合金であるために、粒界部の融点が1200℃未満であり、粒界溶融を生じて絞りが0%となった。すなわち、これらの既存Ni基合金は、1200℃加熱による加工ができず、加熱温度を下げなければならなくなり、熱間加工が極めて制限されてしまうことがわかった。
次に、拘束溶接割れ試験では、本発明例がいずれも割れを生じないのに対し、比較例では割れが顕著である。ちなみに検鏡により1つでも割れが認められれば、材料は不合格である。本発明例の素材合金が溶接割れ感受性の小さい優れたNi基合金であることが明らかである。
一方、700℃×1万時間の時効後の靭性は、本発明例がいずれも111J以上の高い靭性であるのに対し、比較例は90J未満で、特に既存の合金であるNo.21、No.22およびNo.23は、50J未満で靭性がいたって悪く、大型厚肉製品用としては極めて不適当な材料であることが明らかになった。
700℃クリープ破断試験では、本発明例が実用上十分な100MPa以上の強度を有しながら、すべて破断絞りが30%以上と高く、実機の高温長時間使用後も、大型厚肉製品として十分な強度と延性を有していることが実証された。しかるに、比較例は、強度は十分であっても破断絞りが20%未満と低く、大型厚肉製品としては不適当であることがわかった。
さらに、実機相当の大径厚肉管(仕上げ外径400mm、肉厚50mm)を作製した本発明例のNo.20の合金では、エルハルトプッシュベンチ式熱間鍛造により、問題なく大型製品を製造できた。一方の既存合金のNo.21では、製管時に大きなキズおよび内面割れを生じ、手入れを繰り返したため、所定の寸法の管が製造できなかった。本発明例に比べて、比較例の合金では実機用の大型製品の熱間加工性の悪さが明らかになった。
本発明は、発電ボイラや化学工業用などの耐熱耐圧用に使う管、板、棒および鍛造品等の製品、特に大型製品として好適なNi基合金製品を提供する発明である。この製品においては、その製造時や実機使用時の高温の加工性、耐溶接割れ感受性および高温時効による延性の低下が顕著に改善される。
1:試験材の合金板
2:SM400鋼の板
3:拘束溶接

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、Sol.Al:0.0005〜0.04%、Fe:20〜30%、Cr:21.0%以上で25.0%未満、W:6.0%を超えて9.0%まで、Ti:0.05〜0.2%、Nb:0.05〜0.35%、B:0.0005〜0.006%、残部はNiおよび不純物からなり、不純物としてP:0.03%以下、S:0.01%以下、N:0.010%未満、Mo:0.5%未満、Co:0.8%以下であり、下記の(1)式で規定される有効B量(Beff)が0.0050〜0.0300%である組成を有し、かつ700℃におけるひずみ速度が10−6/secの引張試験での破断伸びが20%以上であることを特徴とするNi基合金製品。
    Beff (%)= B−(11/14)×N+(11/48)×Ti ・・・(1)
    但し、上記(1)式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
  2. 質量%で、さらに下記の第1群から第4群までの少なくとも一つの群に属する少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載のNi基合金製品。
    第1群:Cu:5.0%以下およびTa:0.35%以下
    第2群:Zr:0.1%以下
    第3群:Mg:0.01%以下およびCa:0.05%以下
    第4群:REM:0.3%以下およびPd:0.3%以下
  3. 仕上り寸法で厚さ30mm以上になる継目なし管、板もしくは鍛造品、または外径が30mm以上の棒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のNi基合金製品。
  4. オーステナイト結晶粒度番号が3.5以下の粗粒組織であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のNi基合金製品。
  5. 請求項1または2に記載の化学組成を有するNi基合金からなる素材を、1000℃以上で1分以上加熱保持後、熱間加工し、最終熱処理を行った後、800℃/時間以下の冷却速度で冷却することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のNi基合金製品の製造方法。
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