JP4631141B2 - ポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ジカルボン酸と、グリコールと、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとを連続的にエステル化及び重縮合することにより、分子量が高く溶融成形に適した溶融粘度を有し、高い機械的強度を示すとともに、良好な反発弾性、柔軟性などのゴム的性質を有し、低温および高温特性に優れたポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体は、押出成形性、射出成形性に優れ、機械的強度が高く、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などのゴム的性質、低温および高温特性、耐水性などに優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であるため、自動車部品および電気・電子部品、繊維、フィルムなどに用途を拡大している。
【0003】
しかるに、ポリエーテルエステルブロック共重合体は、溶融重合過程においてハードセグメントとソフトセグメントの共重合組成比およびポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分子量を適切に調整しないと相分離を起こす。相分離が生じたポリエーテルエステルブロック共重合体は、その程度が小さい場合には、低温・高温特性の低下を来たし、その程度が甚だしくなり粗大相分離に至ると、機械的性質が劣るとともに、ゴム的な性質も大きく失われ、ポリエーテルエステルブロック共重合体本来の性能を有しない重合体しか得られない。このため、使用するポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分子量に制限を受けているのが実状である。特に、ハードセグメント含量の多い共重合組成では、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール分子量の制限を大きく受ける。
【0004】
このような実状に鑑み、ポリエーテルエステルブロック共重合体の相分離状態の改善のために、特定の分子量分布分散値を有する分子量分布の狭いポリエーテルを使用したポリエステルエラストマが特開昭54−158497号公報および特開昭60−55027号公報に開示されている。
【0005】
たしかに、従来知られているポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においても、このような技術を適用することにより、より相分離状態の優れた高重合度のポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることができるが、特定の分子量分布分散値を有するポリエーテルを使用することは割高となり、経済性の点で不利である。また、さらに高分子量領域のポリ(アルキレンオキシド)グリコールを使用することを試みた場合、従来知られているポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法では、この技術をもってしても相分離が抑えられなくなり、低温・高温特性や耐久性に十分優れたポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることはできない。
【0006】
また、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸を出発原料に用いてエステル化及び重縮合を行う、いわゆる直接重合法により、良好な物性のポリエーテルエステルブロック共重合体組成物を得る方法が特開昭57−133148号公報に開示されている。たしかに、この直接重合技術により良好な物性のポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることができるが、バッチ重合法を前提としたこの技術では、分子量分布の広いポリ(アルキレンオキシド)グリコールを用いた際に、共重合組成によっては溶融ポリマーが相分離を起こし、低温および高温特性に劣った重合体しか得られない現状があった。
【0007】
一方、直接重合法であり、かつこれを連続して行う、いわゆる直接連続重合法については、硬質エンジニアリングポリエステルであるポリブチレンテレフタレート(PBT)の例であるが、特開昭62−195017号公報に、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比を2〜3.8とし、減圧下で連続エステル化反応を行うことが開示されている。また、特開昭57−73020号公報にも、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比を約1.2〜約2.0とし、減圧下で連続エステル化反応を行うことが開示されている。さらに特開平10−330468号公報には第1段階のエステル化反応を有機スズ化合物のみの存在化で行い、次いで有機チタン化合物を添加して第2段階のエステル化反応を行うことが開示されている。特開平10−330469号公報には、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比を1.1〜1.6とし、特定量の有機チタン化合物または有機チタン化合物と有機スズ化合物の存在化に連続エステル化反応を行う技術が開示されている。
【0008】
しかしこれらPBT樹脂に関する技術をポリエーテルエステルブロック共重合体の製造に適用した場合は高重合度の共重合体を得にくいという問題があった。またこれら先行例にはポリ(アルキレンオキシド)グリコールの相分離防止については何らの記載や示唆はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、分子量が高く溶融成形性に適した溶融粘度を有し、高い機械的強度を示すとともに、従来技術に比べより分子量の高いポリ(アルキレンオキシド)グリコールを使用できるため、良好な反発弾性、柔軟性などのゴム的性質を有し、低温および高温特性にも優れたポリエーテルエステルブロック共重合体を、直接連続重合法により製造する方法に関する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法は、高融点結晶性重合体セグメントを構成する芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)を芳香族ジカルボン酸(a)に対する分子量300以下のグリコール(b)の仕込みモル比を1.6〜2.2とし、高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機チタン化合物(d)及び/又は高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機スズ化合物(e)の存在下に常圧〜200hPaの減圧下で連続的にエステル化反応を行い、かつ以下に示す方法で測定した反応生成物の溶液ヘイズを20%以下とし、引き続き更に減圧度を高めて低融点重合体セグメントを構成するポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)と生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%の有機チタン化合物と、生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%のヒンダードフェノール系酸化防止剤(f)を連続的に供給し、重縮合反応を行うことによって、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が60g/10分以下である高重合度体を得ることを特徴とする。
<溶液ヘイズの測定法>
試料であるエステル化反応生成物5.4gをフェノールと四塩化エタン(60:40重量%)の混合溶液40mLに加熱溶解し、この溶液を厚さ20mmのセルに入れてヘイズメーターで測定する。
【0014】
さらに好ましくは上記において、芳香族ジカルボン酸(a)がテレフタル酸及び/又はイソフタル酸で、分子量300以下のグリコール(b)が1,4−ブタンジオールで、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)がポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においては、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)と、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)とを連続的に供給し、有機チタン化合物及び/又は有機スズ化合物を触媒として、連続的にエステル化反応及び重縮合反応を行う。この方法を用いることにより、相分離状態が大きく改善され、分子量が高く溶融成形に適した溶融粘度を有し、高い機械的強度を示すとともに、良好な反発弾性、柔軟性などのゴム的性質を有し、低温および高温特性に優れたポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることができる。
【0017】
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においては、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)と、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)とを連続的に供給するが、まず、第1段階としてエステル化反応を行う。エステル化反応は、原料混合物を連続的に供給する入口と、反応生成物を連続的に取り出す出口を有する撹拌装置付き反応容器中で行う。反応容器の数は1個であっても、何個かの反応容器をつなげたものでもかまわない。
【0018】
この反応容器中でエステル化反応の反応圧力を常圧〜200hPaの減圧下で行い、かつエステル化反応生成物の以下に示す方法で測定した溶液ヘイズが20%以下とになるよう、水や副生物などの低沸点反応生成物を系外に除去しながら連続的にエステル化反応を行うことが、相分離状態の改善および共重合体の高重合度化の点で好ましい。エステル化反応圧力が常圧より高い場合は反応混合物中の水分濃度が高くなる結果触媒である有機チタン化合物の失活が起こりやすくなり、また200hPaより低い場合は低分子量グリコールの反応系からの留出防止が困難となるためポリ(アルキレンオキシド)グリコールの相溶化および共重合体の高粘度化に対しかえって不利となる傾向にある。反応圧力の更に好ましい範囲は常圧〜400hPaである。またエステル化反応生成物の溶液ヘイズは触媒である有機チタン化合物及び/又は有機スズ化合物の反応系への不溶化、析出に対応しており、20%を越える場合は引き続き行う重縮合反応において反応性の低下を来す傾向にあり、またポリ(アルキレンオキシド)グリコール相溶化効果の低減および樹脂の機械的特性の低下を来す傾向にある。エステル化反応生成物の溶液ヘイズは、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%である。
【0019】
この溶液ヘイズを低下させるためには後述する酸成分に対するグリコール成分のモル比を高めにとることが有利であり、また触媒の添加量が過大となると溶液ヘイズが高くなるので、個々の設備・生産性からの要請に合わせ条件を適宜選定すべきである。
溶液ヘイズの測定法
試料であるエステル化反応生成物5.4gをフェノールと四塩化エタン(60:40重量%)の混合溶液40mLに加熱溶解し、この溶液を厚さ20mmのセルに入れてヘイズメーターで測定する。
【0020】
いくつかのエステル化反応槽を使用する場合は、上記の範囲で段階的に減圧度を高めていくことが好ましい。またエステル化反応温度は190℃〜240℃程度であることが好ましい。
【0022】
また連続エステル化反応時の触媒としては、高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.07重量%、さらに好ましくは0.01〜0.05重量%の有機チタン化合物(d)および/または高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.07重量%、さらに好ましくは0.01〜0.05重量%の有機スズ化合物(e)を存在させる。ここで高融点結晶性重合体セグメントというのは、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)から形成される結晶性芳香族ポリエステル単位からなるものである。有機チタン化合物(d)及び/又は有機スズ化合物の添加量が0.001重量%よりも少ないと、エステル化反応性が低くなるとともにポリエーテルエステルブロック共重合体の重合度が十分に高くならない傾向にある。一方いずれかの添加量が0.1重量%を越えた場合効果が飽和するばかりでなく、触媒のエステル化反応系への不溶化、析出が起きやすくなり樹脂の機械的性質の低下が起きやすくなる。
【0023】
このように連続的にエステル化反応を行ったのち、エステル化反応生成物を連続的に取り出し連続重縮合反応装置に導いて、更に減圧度を高めつつ重縮合反応を行う。この際エステル化反応槽から連続重縮合反応装置に至る途中に、撹拌装置と供給口と排出口を有する予備重合槽に連続的に移送してさらに反応を進めたのち連続的に取り出して、連続重縮合反応装置に導いてもよい。予備重合槽を用いるか用いないか、また用いる場合、何個の予備重合槽を設けるかは特に限定されず、生産効率や経済性から、適宜、決定されるものである。
【0024】
予備重合槽を使用する場合、そこでの反応温度は、220〜260℃程度であることが好ましい。また、減圧度はエステル化反応工程よりも高い200hPa未満〜13hPa程度であることが好ましい。いくつかの予備重合槽を使用する場合は、段階的に減圧度を高めていくことが好ましい。予備重合は、このような条件下で水や副生物や過剰な分子量300以下のグリコールなどを除去しながら連続的に進める。
【0025】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においては、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)と、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)とを連続的に供給するが、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)とだけで、まず連続的にエステル化反応せしめ、しかるのち、予備重合槽あるいは連続重縮合反応装置にポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)を連続的に供給してもよい。
【0026】
また、エステル化反応終了後、予備重合槽あるいは連続重縮合反応装置に、有機チタン化合物などの重合用触媒を追加してもよい。さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加してもよい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤はエステル化反応段階から添加してもよい。
【0027】
エステル化反応槽から直接、あるいは予備重合槽を経て連続的に移送される反応生成物は、次に連続重縮合反応装置に導かれる。用いる連続重縮合反応装置としては、種々の形態のものが知られているが、縦型のものでも横型のものでもよい。連続重縮合反応装置における反応温度は230〜280℃程度であることが好ましい。また、減圧度は13hPa未満で、特に4hPa以下の高真空であることが、さらに好ましい。
【0028】
本発明の最も好ましい実施の形態は以下の通りである。
【0029】
すなわち芳香族ジカルボン酸(a)に対する分子量300以下のグリコール(b)のモル比を、1.4〜2.2とし、高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機チタン化合物(d)および/または高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機スズ化合物(e)の存在下に、常圧〜200hPaの減圧下で連続的にエステル化反応を行い、かつ反応生成物の溶液ヘイズを20%以下とし、その後、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)と、生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%の有機チタン化合物(d)と、生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%のヒンダードフェノール系酸化防止剤(f)を連続的に添加して、これ以降に引き続き実施する過程で更に減圧度を高めることによって、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が60g/10分以下の高重合度体を得るポリエーテルエステルブロック共重合体を得る方法である。
【0030】
本発明に用いられる芳香族ジカルボン酸(a)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸などの1種あるいは2種以上を具体的に挙げることができるが、これらの中でもテレフタル酸が好ましい。またイソフタル酸を全酸成分中の40モル%以下の範囲で共重合してもよい。また、必要に応じてトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3官能以上の多官能カルボン酸成分を、連続重縮合中にゲル化しない程度の少量、例えば、全ジカルボン酸成分に対して0.05〜3mol%程度用いることができる。
【0031】
本発明に用いられる分子量300以下のグリコール(b)としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルなどの芳香族ジオールなどを具体的に挙げることができるが、これらの中でも1,4−ブタンジオールが好ましい。また、必要に応じて多官能オキシ酸成分や多官能ヒドロキシ成分を、重縮合中にゲル化しない程度の少量、例えば、全グリコール成分に対して0.05〜3mol%程度用いることができる。
【0032】
本発明に用いられるポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、得られるポリエーテルエステルブロック共重合体の弾性特性が優れることからポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物などが好ましい。また、これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量としては300〜6000程度、更に好ましくは600〜4000であることが好ましい。
【0033】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においては、有機チタン化合物および/または有機スズ化合物を触媒に用いるが、有機チタン化合物としては、テトラアルキルチタネート、テトラアルキルチタネートとアルキレングリコールとの反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分解物、チタニウムヘキサアルコオキサイドの金属塩、チタンのカルボン酸塩、チタニル化合物などが用いられる。また、有機スズ化合物としては、モノアルキルスズ化合物、モノアリールスズ化合物、ジアルキルスズ化合物、ジアリールスズ化合物、トリアルキルスズ化合物、トリアリールスズ化合物、テトラアルキルスズ化合物、モノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド、モノ−n−ブチルスズトリアセテート、モノ−n−ブチルスズモノオクチレート、モノ−n−ブチルスズモノアセテートなどが用いられる。
【0034】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法においては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することが好ましく、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレートなどを用いることでできる。これらの中でもテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)などが挙げられる。
【0035】
本発明の製造方法で製造されるポリエーテルエステルブロック共重合体は、芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)から形成される結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメントと、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)から形成されるポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメントとで構成される。ポリエーテルエステルブロック共重合体における高融点結晶性重合体セグメントの共重合量は20〜90重量%程度が、また、低融点重合体セグメントの共重合量は10〜80重量%程度であることが好ましい。
【0036】
本発明の製造方法で製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体はASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が、60g/10分以下である高重合度体である。溶融粘度指数(MFR値)が、60g/10分を超えて大きくなると、ポリエーテルエステルブロック共重合体の機械的強度が低下し、実用上不十分である。
【0037】
本発明の製造方法で製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体は、自動車用途、電気・電子機器用途、消費財用途などに、各種成形品、フィルム、繊維などの形で使用され、高い機械的強度とともに、柔軟性やゴム的弾性を有し、低温・高温特性に優れた材料として有用である。
【0038】
【実施例】
以下に実施例によって本発明の構成・効果をさらに説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。また、実施例中に示される物性は次のように測定した。
[溶液ヘイズ]
試料であるエステル化反応生成物5.4gをフェノールと四塩化エタン(60:40重量%)の混合溶液40mLに加熱溶解し、この溶液を厚さ20mmのセルに入れて直読式ヘイズコンピューターHGM−30DP(スガ試験機社製)で測定した。
[融点]
差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
[溶融粘度指数(MFR)]
ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した。
[カルボキシル末端基濃度]
試料1.5gをオルソクロロフェノール40mLに加熱溶解し、クロロホルム30mLを加えた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定した。
[表面硬さ(デュロメーター Dスケ−ル)]
JIS K−7215に従って測定した。
[機械的性質]
JIS K7113に従って測定した。
[反発弾性率]
BS規格903に従って測定した。
[アイゾット衝撃強さ]
ASTM D256に従って、−20℃で測定した。
[引裂強さ]
ASTM D256に従って、100℃で測定した。
[実施例1]
以下のような反応槽と反応装置をつなげた連続重縮合反応装置を用意した。
(1)攪拌機、原料供給口、反応生成物取り出し口、低沸点反応生成物を分離留出可能とする精留塔等を備えた容積5Lの第1段エステル化反応槽。
(2)第1段エステル化反応槽と同様な仕様の第2段エステル化反応槽。
(3)攪拌機、供給口、反応生成物取り出し口、発生する揮発物を留出可能とする留出経路等を備えた第1段予備重合槽。
(4)第1段予備重合槽と同様な仕様の第2段予備重合槽。
(5)容積7Lの横型連続重縮合反応装置。
【0039】
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを表1に示す比率(モル比1.8)で混合し、スラリー状に分散させた。このスラリー状原料を、第1段エステル化反応槽中に連続的に供給した。同時に、テトラブチルチタネートを高融点結晶性セグメント量に対する重量%が表1に示す値になるように添加した。スラリー状の原料混合物および触媒溶液は適宜、追加し、連続供給が途切れないように調整した。第1段エステル化反応槽の温度は210℃、圧力は800hPaの減圧とした。また、第2段エステル化反応槽の温度は230℃、圧力は670hPaの減圧とした。第1段、第2段ともに反応槽中の内容量が約3L、滞留時間がそれぞれ約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。連続的な反応が安定した段階で第2段エステル化反応槽から取り出した反応生成物の溶液ヘイズを測定したところ4.5%であった。第2段エステル化反応槽の反応生成物を、第1段予備重合槽に連続的に移送するとともに、下記式(I)で表される分子量分布分散度αが2.0であって分子量分布の広い数平均分子量が約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(デュポン社製”テラタン”1400)を共重合組成比が所望の値になるように一定量ずつ連続的に第1段予備重合槽に供給した。
【0040】
分子量分布分散値α=Mv/Mn (I)
(ただし、Mnは数平均分子量、Mvは下記式(II)により規定される粘度平均分子量である。また、下記式におけるμは40℃における溶融粘度をポアズで示したものである。)
Mv=antilog(0.494logμ+3.0646) (II)
また、同時に、テトラブチルチタネートと”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)を、生成するポリマー量に対する重量%が表1に示す値になるように添加した。第1段予備重合槽の温度は240℃、圧力は70hPaの減圧とした。第1段予備重合槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。第1段予備重合槽から連続的に取り出される反応生成物を第2段予備重合槽に受けた。第2段予備重合槽の温度は245℃、圧力は15hPaとした。第2段予備重合槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。反応物は第2段予備重合槽から連続的に取り出され、連続重縮合反応装置に供給された。連続重縮合反応装置の温度は255℃、圧力は0.7hPaの減圧とした。連続重縮合反応装置での滞留時間が約2時間になるように第2段予備重合槽からの反応生成物供給量と連続重縮合反応装置からの抜き取り量を調整して反応を連続的に進めた。この方法によりポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)を連続的に得た。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)は溶融時外観が透明で、融点は208℃、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)は28g/10分、カルボシキル末端基濃度は33当量/トンであった。1H−NMR分析の結果、共重合組成は、ポリブチレンテレフタレートからなる高融点結晶性重合体セグメントが61重量%で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールからなる低融点重合体セグメントが39重量%であった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)の物性を表2に示す。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)は、機械的強度が高く、低温でのアイゾット衝撃強さが高く、また、高温での引裂強さも高かった。
【0041】
【表1】
Figure 0004631141
【0042】
【表2】
Figure 0004631141
[実施例2]
実施例1と同様の連続反応装置を用い、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの比率を表1の通りとし(モル比1.6)、エステル化反応触媒としてテトラブチルチタネートとモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイドを高融点結晶性セグメント量に対する重量%が表1に示す値になるように添加する以外は実施例1と同様にしてポリエーテルエステル共重合体(A−2)を得た。この際、連続的な反応が安定した段階で第2段エステル化反応槽から取り出した反応生成物の溶液ヘイズを測定したところ9.1%であった。また得られたポリエーテルエステルブロック共重合体(A−2)は溶融時外観が透明で、融点は208℃、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)は17g/10分、カルボキシル末端基濃度は22当量/トンであった。1H−NMR分析の結果、共重合組成は、ポリブチレンテレフタレートからなる高融点結晶性重合体セグメントが61重量%で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールからなる低融点重合体セグメントが39重量%であった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−2)の物性を表2に示す。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−2)は、機械的強度が高く、低温でのアイゾット衝撃強さが高く、また、高温での引裂強さも高かった。
比較例3]
表1に示したように実施例2から酸成分に対するグリコールのモル比を低下させた(モル比1.3)以外は実施例2と同様にして、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−3)を製造した。このとき連続的な反応が安定した段階で第2段エステル化反応槽から取り出した反応生成物の溶液ヘイズを測定したところ38.6%であり、得られたポリマーの溶融時外観は半透明であり、また最終の連続重縮合反応装置中での滞留時間を実施例2と同等としたとき重合反応性低下が見られMFRは実施例2に比べ高めとなったが、60g/10分以下であった。また物性は表2に示すように強度および伸度、衝撃強度が実施例2に比べやや低めとなるもののほぼ良好であった。
[実施例4]
実施例2において最終重縮合反応装置内での滞留時間を短縮することにより実施例2より粘度の低いポリエーテルエステルブロック共重合体(A−4)を連続的に得た。得られたポリマーの溶融時外観は透明であり、MFRは40g/10分であった。物性は表2に示したとおり良好であった。
[実施例5]
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを、表1の割合(モル比1.6)で混合し、スラリー状に分散させた。このスラリー状原料を、第1段エステル化反応槽中に連続的に供給した。同時に表1の量のテトラブチルチタネートおよびモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイドの1,4−ブタンジオール溶液も連続的に供給した。スラリー状の原料混合物は適宜、追加し、連続供給が途切れないように調整した。第1段エステル化反応槽の温度は210℃、圧力は800hPaの減圧とした。反応槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように原料供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。第1段エステル化反応槽の反応生成物を第2段エステル化反応槽に連続的に移送し、反応槽の温度は230℃、圧力は670hPaの減圧とした。反応槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。連続的な反応が安定した段階で第2段エステル化反応槽から取り出した反応物の溶液ヘイズを測定したところ8.8%であった。次に、第1段予備重合槽に、エステル化反応槽から連続的に取り出される反応生成物を受けた。また、同時に第1段予備重合槽に下記式(I)で表される分子量分布分散度αが1.75であって分子量分布の狭い数平均分子量が約2000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(保土谷化学社製PTG−2000SN)を表1の割合で一定量ずつ連続的に供給した。
【0043】
分子量分布分散値α=Mv/Mn (I)
(ただし、Mnは数平均分子量、Mvは下記式(II)により規定される粘度平均分子量である。また、下記式におけるμは40℃における溶融粘度をポアズで示したものである。)
Mv=antilog(0.494logμ+3.0646) (II)
この際、表1の量のテトラブチルチタネートと”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)の1,4−ブタンジオール溶液も連続的に供給した。第1段予備重合槽の温度は230℃、圧力は93hPaの減圧とした。予備重合槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。第1段予備重合槽から連続的に取り出される反応生成物を第2段予備重合槽に受けた。第2段予備重合槽の温度は245℃とし、圧力は15hPaの減圧とした。第2段予備重合槽中の内容量が約3L、滞留時間が約2時間になるように供給量と反応生成物抜き取り量を調整して反応を進めた。反応物は第2段予備重合槽から連続的に取り出され、連続重縮合反応装置に供給された。連続重縮合反応装置の温度は255℃、圧力は0.27hPaの減圧とした。連続重縮合反応装置での滞留時間が約2時間になるように第2段予備重合槽からの反応生成物供給量と連続重縮合反応装置からの抜き取り量を調整して反応を連続的に進めて、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)を連続的に得た。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)は溶融時外観が透明で、融点は203℃、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)は41g/10分であった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)の物性を表1に示す。1H−NMR分析の結果、共重合組成は、ポリブチレンテレフタレートからなる高融点結晶性重合体セグメントが48重量%で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールからなる低融点重合体セグメントが52重量%であった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)は、低温でのアイゾット衝撃強さが高く、また、高温での引裂強さも高かった。
[比較例1]
テレフタル酸500部と1,4−ブタンジオール490部を混合してスラリー状に分散し、テトラブチルチタネート0.27部およびモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.20部と共に撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間加熱して、理論量の98%の水を副生するテトラヒドロフランとともに系外に留出させた。反応混合物をヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に移し、実施例3で用いた下記式(I)で表される分子量分布分散度αが2.0であって分子量分布の広い数平均分子量が約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(デュポン社製”テラタン”1400)360部と、テトラブチルチタネート2部および”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.5部を加えた後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.27hPaの減圧とし、その条件下で3時間20分重合を行わせたところ撹拌トルクが低下してきたため、その時点で重合を中断して得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレット状のポリエーテルエステルブロック共重合体(B−1)を得た。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−1)の溶融時外観は不透明で白濁しており、融点は208℃、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)は38g/10分であった。1H−NMR分析の結果、共重合組成は、ポリブチレンテレフタレートからなる高融点結晶性重合体セグメントが61重量%で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールからなる低融点重合体セグメントが39重量%で、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−4)と同じだった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−1)の物性を表1に示す。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−1)は、同じ原料を使用した共重合組成の等しいポリエーテルエステルブロック共重合体(A−4)に比べて、引張破断強度や伸度、反発弾性率、低温でのアイゾット衝撃強さ、高温での引裂強さのいずれもが低い値しか示さなかった。
[比較例2]
テレフタル酸400部と1,4−ブタンジオール390部を混合してスラリー状に分散し、テトラブチルチタネート0.19部およびモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.16部と共に撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間加熱して、理論量の98%の水を副生するテトラヒドロフランとともに系外に留出させた。反応混合物をヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に移し、実施例4で用いた下記式(I)で表される分子量分布分散度αが1.75であって分子量分布の狭い数平均分子量が約2000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(保土谷化学社製PTG−2000SN)490部と、テトラブチルチタネート2部および”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.5部を加えた後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.27hPaの減圧とし、その条件下で3時間40分重合を行わせたところ撹拌トルクが低下してきたため、その時点で重合を中断して得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレット状のポリエーテルエステルブロック共重合体(B−2)を得た。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−2)の溶融時外観は不透明で白濁しておりパール状の光沢があった。融点は203℃、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)は42g/10分であった。1H−NMR分析の結果、共重合組成は、ポリブチレンテレフタレートからなる高融点結晶性重合体セグメントが48重量%で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールからなる低融点重合体セグメントが52重量%で、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)と同じだった。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−2)の物性を表1に示す。ポリエーテルエステルブロック共重合体(B−2)は、同じ原料を使用した共重合組成の等しいポリエーテルエステルブロック共重合体(A−5)に比べて、引張破断強度や伸度、反発弾性率、低温でのアイゾット衝撃強さ、高温での引裂強さのいずれもが低い値しか示さなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の直接連続重合による製造方法で製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体は、溶融成形に適した十分に高い溶融粘度を有し、機械的強度も高く、良好な反発弾性、柔軟性などのゴム的性質を有する。低温における衝撃強度も良好で、高温における引裂強度も高く、自動車用途、電気・電子機器用途、消費財用途などに、各種成形品、フィルム、繊維などの形で使用される優れた材料として有用である。

Claims (2)

  1. 高融点結晶性重合体セグメントを構成する芳香族ジカルボン酸(a)と、分子量300以下のグリコール(b)を芳香族ジカルボン酸(a)に対する分子量300以下のグリコール(b)の仕込みモル比を1.6〜2.2とし、高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機チタン化合物(d)及び/又は高融点結晶性重合体セグメント量に対して0.001〜0.1重量%の有機スズ化合物(e)の存在下に常圧〜200hPaの減圧下で連続的にエステル化反応を行い、かつ以下に示す方法で測定した反応生成物の溶液ヘイズを20%以下とし、引き続き更に減圧度を高めて低融点重合体セグメントを構成するポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)と生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%の有機チタン化合物と、生成するポリマー量に対して0.01〜1重量%のヒンダードフェノール系酸化防止剤(f)を連続的に供給し、重縮合反応を行うことによって、ASTM D1238に従って温度240℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が60g/10分以下である高重合度体を得ることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法。
    <溶液ヘイズの測定法>
    試料であるエステル化反応生成物5.4gをフェノールと四塩化エタン(60:40重量%)の混合溶液40mLに加熱溶解し、この溶液を厚さ20mmのセルに入れてヘイズメーターで測定する。
  2. 芳香族ジカルボン酸(a)がテレフタル酸及び/又はイソフタル酸で、分子量300以下のグリコール(b)が1,4−ブタンジオールで、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c)がポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法。
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