JP7297492B2 - ポリブチレンテレフタレート共重合体の製造方法 - Google Patents
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テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸、1,4-ブタンジオール及び数平均分子量400~6000のポリテトラメチレングリコールからなるポリブチレンテレフタレート共重合体を製造するに際し、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して1.0~1.5モルの1,4-ブタンジオールを添加してエステル化反応を開始し、エステル化反応途中でテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して0.1~0.5モルの1,4-ブタンジオールを追加添加した後、分子量分布が1.6~1.9のポリテトラメチレングリコールを5~80重量%添加し、重縮合反応させることを特徴とするポリブチレンテレフタレート共重合体の製造方法。
ハードセグメント単位として使用されるポリブチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸および1,4-ブタンジオールからなる。
ソフトセグメント単位として使用されるポリテトラメチレングリコールの全ポリマに対する比率は、ポリマに要求される特性、特に弾性、硬さなどの要求に応じて適宜選択されるが、このポリブチレンテレフタレート共重合体組成においては、5~80重量%であることが必要であり、好ましくは30~75%、より好ましくは40~50重量%である。80重量%を越えると粗大相分離して白濁しやすく、5重量%未満ではソフトセグメントとしての柔軟性を発現しない。
テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸とポリオール類による共重合体において、ポリオール類の数平均分子量(Mn)と共重合組成比を替えていくと、ある特定の共重合組成領域では、溶融時白濁したポリマとなる。すなわち、ポリオール類の数平均分子量(Mn)が高いものほど、またポリオール類の共重合が少ないものほど白濁しやすい。この関係はポリオール類の分子量分布によっても変動し、狭い分子量分布を持つポリオール類を用いた場合にはかなり広い共重合組成領域にわたって白濁することなく溶融時均質透明なポリマを得られる。
本発明においては、分岐剤としてトリメリット酸を含むことが好ましく、トリメリット酸の含有量は重縮合反応の反応性の観点から、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して0.01~0.20モルであることが好ましく、特に0.05~0.15モルが好ましい。
本発明においては、1種類以上の酸化剤を含むことが好ましい。酸化防止剤としては、従来公知のヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系耐光剤、ベンゾトリアゾール系耐光剤などを用いることができる。好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用され、一般的なIR1010やIR1098などに加えて、芳香環の数が多く耐熱性に優れるIR1330と併用することがポリテトラメチレングリコールの分解抑制の観点からより好ましい。酸化防止剤の添加量は、生成するポリマ中の含有物質量及び異物生成などの観点から、生成ポリマに対して0.01~0.09重量%が好ましく、特に0.03~0.07重量%が好ましい。
本発明における、エステル化反応には従来公知のチタン化合物および/またはスズ化合物のエステル化触媒が用いられる。チタン化合物の具体例としては、テトラアルキルチタネート、テトラアルキルチタネートとアルキレングリコールとの反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分解物、チタニウムヘキサアルコオキサイドの金属塩、チタンのカルボン酸塩、チタニル化合物などが挙げられる。また、スズ化合物の具体例としては、モノn-ブチル-モノヒドロキシスズオキサイド、モノn-ブチルスズトリアセテート、モノn-ブチルスズモノオクチレート、モノn-ブチルスズモノアセテートなどのモノアルキルスズ化合物、ジn-ブチルスズオキサイド、ジn-ブチルスズジアセテート、ジフェニルスズオキサイド、ジフェニルスズジアセテート、ジn-ブチルスズジオクチレートなどのジアルキル(またはジアリール)スズ化合物などが挙げられる。エステル化触媒のチタン化合物添加量は、エステル化反応の反応性及び異物生成などの観点から、生成ポリマに対して0.01~0.10重量%が好ましく、特に0.03~0.07重量%が好ましい。また、エステル化触媒のスズ化合物添加量はエステル化反応の反応性及び生成するポリマ色差のなどの観点から、生成ポリマに対して0.005~0.015重量%が好ましく、特に0.008~0.012重量%が好ましい。
本発明では、エステル化反応中に1,4-ブタンジオールを追加添加することが、副生するテトラヒドロフランを抑制、その際発生する水を抑制するために必要である。
分子量分布は「重量平均分子量」対「数平均分子量」の比として定義されるが、ポリテトラメチレングリコールの分子量分布の近似値はバルク粘度および数平均分子量の測定値から得られることが知られている。即ち、バルク粘度は既知の方法により測定され、数平均分子量は公知の測定方法によるヒドロキシル価(mgKOH/g)より求められる。近似の分子量分布は、「粘度平均分子量」対「数平均分子量」の比から得ることができる。粘度平均分子量は40℃で測定されるバルク粘度(ポアズ;Poise)に関する以下の関係式から計算される。
(粘度平均分子量)= anti log(0.493 log粘度 + 3.0646)
すなわち「粘度平均分子量」対「数平均分子量」の比が大きいほうが広い分子量分布をもつことを示している。
留出液中のテトラヒドロフラン濃度をガスクロマトグラフィーにより予め求めた検量線を使用して、定量した。
ポリブチレンテレフタレート共重合体の試料1.25g±0.0005gを秤量し、オルソクロルフェノール溶液25ml加え102±3℃で撹拌しながら70分間撹拌溶解する。冷却後15mlをオストワルド改良型粘度計に入れて落下秒数から相対粘度ηrを測定する。この相対粘度ηrは5%オルソクロルフェノール溶液時のもので換算式により8%オルソクロルフェノール溶液の相対粘度ηrを求める。
ポリブチレンテレフタレート共重合体の試料約10mgを秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製:DSC Q100)を使用して融点を測定した。
ポリブチレンテレフタレート共重合体を試験管に10g入れ、230℃で10min溶融時のポリマを目視にて透明か白濁を判断した。
ポリブチレンテレフタレート共重合体ペレット10gを、50ml/minを通気しつつ、80℃×2hr加熱し、発生ガスを吸着管に捕集後、260℃に加熱し解脱させ、GC/MSを用いてトルエン換算で定量行った。
まず、テレフタル酸501.0部、1,4-ブタンジオール量326.0部(1,4-ブタンジオール/テレフタル酸の反応初期仕込みモル比1.20)およびテトラブチルチタネート0.27部、モノn-ブチル-モノヒドロキシスズオキサイド0.20部、トリメリット酸0.58部(トリメリット酸/テレフタル酸のモル比0.10)を精留塔、撹拌機を有するエステル化缶に仕込み、160℃、650mmHgの減圧下でエステル化反応を開始した。その後、徐々に昇温するとともに、さらに1,4-ブタンジオール量81.0部(1,4-ブタンジオール量/テレフタル酸のモル比0.30)を連続的に追加添加しながら、反応途中から減圧度を500mmHgに変更した。反応を開始してから3時間40分後(この時の反応系内温度;230℃)に透明な反応生成物を得、反応を終了させた。この時の反応率は、98.5%であり、反応留出液153.0部中のテトラヒドロフラン量は21.0重量%であった。エステル化反応終了後、重縮合触媒としてテトラブチルチタネート2.00部、安定剤として“IRGANOX”1098(BASFジャパン社製)0.50部をエステル化缶に添加し、一方、数平均分子量1400、分子量分布1.8のポリテトラメチレングリコール354.0部(含有量50wt%)を重縮合缶に仕込んだ後、上記のエステル化反応生成物をエステル化缶から重縮合缶へ移行した。そして、重縮合缶内の反応系を撹拌混合させながら、常圧から1mmHg以下の高真空度まで1時間かけて徐々に減圧系にし、同時に240℃に昇温して、240℃,1mmHg以下の条件下で重縮合反応を行った。2時間00分後、透明な反応生成物を得、相対粘度59.5の強靭で弾性のある高重合度ポリブチレンテレフタレート共重合体を得た。得られたポリマを樹脂成形加熱溶融時の発生するテトラヒドロフラン量は93.1重量%であった。
1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比を変更した以外は実施例1と同様にしてエステル化反応・重縮合反応を行った。エステル化反応で発生するテトラヒドロフラン量、得られたポリマの物性値、樹脂成形時の発生するテトラヒドロフラン量を表1に示す。実施例2においては、実施例1と同様のポリマを得た。またエステル化反応及び樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は少ない結果となった。また、実施例3においては、実施例1と同様のポリマを得たが、エステル化反応及び樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は多い結果となった。
1,4-ブタンジオールの追加添加仕込みモル比を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例4においては、エステル化反応及び樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は少ない結果となった。また、実施例5においては、エステル化反応及び樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は多い結果となった。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの含有量を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例6、7においては、得られたポリマの融点が上下したが、使用できる範囲のものであった。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの数平均分子量を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例8においては、得られたポリマの融点が降下したが、使用できる範囲のものであった。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの分子量分布を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例9,10においては、実施例1と同様の粘度を得た。
トリメリット酸のモル比を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例11、12においては、得られたポリマの相対粘度ηrが上下したが、使用できる範囲のものであった。
エステル化反応終了後、重縮合触媒の酸化防止剤を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。実施例13においては、樹脂成形時の発生するテトラヒドロフラン量は少ない結果となった。実施例14においては、実施例1と同様の粘度を得たが樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は多い結果となったが、使用できる範囲のものであった。
実施例1において、1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比を変更した以外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。エステル化反応を開始してから4時間00分後においても反応は完結せず、反応を中断した。この結果から、1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比が1.0から1.5の範囲外だと本発明の効果が得られない事がわかる。
実施例1において、1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比を変更した以外は実施例1と同様にしてエステル化反応・重縮合反応を行い、実施例1と同様なポリマを得た。この時のエステル化反応で発生するテトラヒドロフラン量は29.6重量%、樹脂成形時の発生するテトラヒドロフラン量は97.8重量%であった。この結果から、1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比が1.60となると、テトラヒドロフラン発生量が多くなることがわかる。この結果から、1,4-ブタンジオールの反応初期仕込みモル比が1.0から1.5の範囲外だと本発明の効果が得られない事がわかる。
1,4-ブタンジオールの追加添加仕込みモル比を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。比較例3においては、エステル化反応を開始してから4時間00分後においても反応は完結せず、反応を中断した。比較例4においては、エステル化反応及び樹脂成形時のテトラヒドロフラン発生量は多い結果となった。この結果から、1,4-ブタンジオールの追加添加仕込みモル比が0.1~0.5の範囲外だと本発明の効果が得られない事がわかる。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの含有量を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。比較例5、6においては溶融状態のポリマが白濁し融点も上下し使用できないポリマとなった。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの数平均分子量を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。比較例7、8においては、得られたポリマの融点は上下し使用できないポリマとなった。比較例8においては、溶融状態のポリマは白濁した。
重合缶へ仕込んだポリテトラメチレングリコールの分子量分布を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。比較例9においては、得られたポリマの融点は実施例1と同等であったが、溶融状態のポリマは白濁し相対粘度ηrも低下し使用できないポリマとなった。
Claims (2)
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸、1,4-ブタンジオール及び数平均分子量400~1400のポリテトラメチレングリコールからなるポリブチレンテレフタレート共重合体を製造するに際し、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して1.0~1.5モルの1,4-ブタンジオールを添加してエステル化反応を開始し、エステル化反応途中でテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して0.1~0.5モルの1,4-ブタンジオールを追加添加した後、分子量分布が1.6~1.9のポリテトラメチレングリコールを5~80重量%添加し、重縮合反応させることを特徴とするポリブチレンテレフタレート共重合体の製造方法であり、トリメリット酸の含有量がテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸に対して0.05~0.15モルである、ポリブチレンテレフタレート共重合体の製造方法。
- 1種類以上の酸化防止剤を添加することを特徴とする請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート共重合体の製造方法。
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