JP4631032B2 - ミオグロビン複合体 - Google Patents
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Description
(1)シリカ系メソ多孔体の細孔内部にヘム蛋白質を備えるヘム蛋白質複合体であって、前記ヘム蛋白質は、前記細孔の孔の中に導入され、多量体を形成していること、該多量体は、高密度集積した蛋白質として、前記シリカ系メソ多孔体の細孔内壁に吸着されていること、ヘム蛋白質の活性を維持して、安定、且つ有効に発揮すること、で特徴付けられ、
前記シリカ系メソ多孔体が、1)ケイ素原子と酸素原子を必須成分として含む化合物の多孔体であり、2)細孔のサイズがメソ孔で、その中心細孔直径が2〜50nmであり、3)細孔容積が0.1〜1.5mLであり、4)比表面積が200〜1500m2であり、5)pKaが、5〜14であり、6)表面にシラノール基(−SiOH基)を有する、シリカ系メソ多孔体であり、前記ヘム蛋白質が、ミオグロビンであり、前記シリカ系メソ多孔体の細孔内壁に吸着されているミオグロビンの重量が、シリカメソ多孔体100重量部当たり、0.5〜50重量部である、ことを特徴とするヘム蛋白質複合体。
(2)シリカ系メソ多孔体において、全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上である、及び/又は1nm又はそれより大きいd値に相当する回折角度に少なくとも1本のピークを有するX線回折パターンを示す、前記(1)に記載の複合体。
(3)前記シリカ系メソ多孔体の中心細孔直径が、3〜6nmである、前記(1)に記載の複合体。
(4)前記シリカ系メソ多孔体の細孔内部に、酸化触媒が更に担持されている、前記(1)に記載の複合体。
(5)前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のヘム蛋白質複合体を機能性成分として含むことを特徴とするヘム蛋白質の活性を安定に有する機能性部材。
(6)ミオグロビン複合体を機能性成分として含み、ミオグロビンに吸着する酸素、一酸化炭素、又は一酸化窒素を濃縮する作用を有する、前記(5)に記載の機能性部材。
(7)ミオグロビン複合体を機能性成分として含み、有機溶媒中での触媒能を有する、前記(5)に記載の機能性部材。
本発明は、シリカ系メソ多孔体の細孔内部にヘム蛋白質を備えるヘム蛋白質内包複合体であって、(1)前記ヘム蛋白質は、前記細孔内部で多量体を形成している、(2)該多量体は、高密度集積した蛋白質として、前記シリカ系メソ多孔体の細孔内壁に吸着されている、ことを特徴とするものである。
al., Science, 268, 1324 (1995)参照)。ヘキサゴナルの細孔配列構造としては、2d−ヘキサゴナル(2次元ヘキサゴナル)及び3d−ヘキサゴナル(3次元ヘキサゴナル)が挙げられる。本発明において好適に用いることのできる2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体は、2次元ヘキサゴナル配列構造に基づいて、六角柱状の細孔が互いに平行に規則的に形成されている。
Nature, 368, 317, 1994参照)。そして、シリカ系メソ多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.
T. Tanev et. al., Science, 267, 865, 1995; S. A. Bagshaw et. al., Science, 269,
1242, 1995; R. Ryoo et. al., J. Phys. Chem., 100, 17718, 1996参照)。
(1)合成例1
乾燥水ガラス(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si2O5)に結晶化させた。この結晶50gを500mLの水に分散させ、3時間攪拌した。その後、濾過して固形分を回収してカネマイトを得た。
合成例1におけるドコシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液を、同一濃度及び容量のヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に代えた他は、合成例1と同様にして、中心細孔直径2.7nmのシリカ系メソ多孔体を得た。得られたシリカ系メソ多孔体を、以下「FSM−16」とする。合成例1と同様の測定を行った結果、FSM−16は、2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有しており、全細孔容積に占める中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合は、60%以上であった。
FSM−22の粉末100gと、ミオグロビンの水溶液(リン酸バッファpH6.9)5mL(ミオグロビンのモル濃度:6mg/ml)とを混合し、25℃で5時間震盪させた。その後、7000rpmで20分間遠心分離を行い、沈殿物を凍結乾燥した。これにより、ミオグロビンとFSM−22との複合体(以下、「複合体1」という。)を得た。
複合体1と2に対するミオグロビンの吸着量を測定した。吸着量の測定は、上記遠心分離で得られた上澄みを用いて行った。測定の結果を図3に示す。図3の左の縦軸は、それぞれのシリカ系メソ多孔体100mgに対するミオグロビンの吸着量、横軸は、吸着平衡濃度を示す。AがFSM−22、BがFSM−16、そして、CがMCM41である。AのFSM−22には、蛋白質が吸着していく様子が伺えるが、FSM−16、MCM41では、蛋白質の吸着量がFSM−22に比べて少ないのが分かる。
図4に、窒素吸着等温線から求めたFSM−22とFSM−16、及び複合体1と2の細孔分布曲線を示す。
図5に、複合体1の、窒素吸着曲線a)、及び細孔分布曲線b)を示す。FSM−22に対し、ミオグロビンの吸着量の異なる5種類の複合体(FSM−22 100mgに対し、ミオグロビンが、それぞれ、A:0mg B:2.2mg C:9mg D:16mg E:24mgの吸着量)を作り、それぞれについて、窒素吸着特性について調べた。縦軸は、窒素の吸着量を示し、横軸に、そのときの相対圧力を示す。Aでは、P/P0=0.4付近で急激に立ち上がっている。このことは、規則正しい孔が綺麗に開いていること示している。一方、ミオグロビンが吸着したFSM−22では、ミオグロビンの吸着量が増えるに従い、非表面積及び細孔容量が減少していることが分かる。このことは、孔の中にミオグロビンが導入されていることを示している。
(一酸化炭素吸着量評価試験)
ミオグロビン複合体45mgを水10mlに分散させた分散液を調製した。このミオグロビン複合体に、一酸化炭素を5分間バブリングした。一酸化炭素をバブリングした後の、ミオグロビン複合体について、スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。
(ペルオキシダーゼ反応の試験)
図7に、有機溶媒中でのミオグロビン−FSMとミオグロビンの吸収スペクトルを示す。実線がミオグロビン−FSM、破線がミオグロビンである。このスペクトルは、ミオグロビン−FSMが有機溶媒中で安定に存在していることを示している。次に、有機溶媒中での過酸化脂質の酸化について検討した。図8に、その触媒反応を示す。
リン酸緩衝液(pH6.9)中でミオグロビン複合体に酸素を供給してデオキシミオグロビンのオキシミオグロビンへの変換を行い、スペクトル変化を測定した。その結果を図10に示す。波長388、455、515、525、547、577及び588nmにおいてisobestic pointが観察され、デオキシミオグロビンからオキシミオグロビンへの変換に伴って、酸素の吸着の過程でスペクトル変化が測定された。これらの結果から、本発明のヘム蛋白質複合体が、酸素吸着剤及び酸素濃縮材料として利用できることが分かった。
Claims (7)
- シリカ系メソ多孔体の細孔内部にヘム蛋白質を備えるヘム蛋白質複合体であって、前記ヘム蛋白質は、前記細孔の孔の中に導入され、多量体を形成していること、該多量体は、高密度集積した蛋白質として、前記シリカ系メソ多孔体の細孔内壁に吸着されていること、ヘム蛋白質の活性を維持して、安定、且つ有効に発揮すること、で特徴付けられ、
前記シリカ系メソ多孔体が、1)ケイ素原子と酸素原子を必須成分として含む化合物の多孔体であり、2)細孔のサイズがメソ孔で、その中心細孔直径が2〜50nmであり、3)細孔容積が0.1〜1.5mLであり、4)比表面積が200〜1500m2であり、5)pKaが、5〜14であり、6)表面にシラノール基(−SiOH基)を有する、シリカ系メソ多孔体であり、前記ヘム蛋白質が、ミオグロビンであり、前記シリカ系メソ多孔体の細孔内壁に吸着されているミオグロビンの重量が、シリカメソ多孔体100重量部当たり、0.5〜50重量部である、ことを特徴とするヘム蛋白質複合体。 - シリカ系メソ多孔体において、全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上である、及び/又は1nm又はそれより大きいd値に相当する回折角度に少なくとも1本のピークを有するX線回折パターンを示す、請求項1に記載の複合体。
- 前記シリカ系メソ多孔体の中心細孔直径が、3〜6nmである、請求項1に記載の複合体。
- 前記シリカ系メソ多孔体の細孔内部に、酸化触媒が更に担持されている、請求項1に記載の複合体。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載のヘム蛋白質複合体を機能性成分として含むことを特徴とするヘム蛋白質の活性を安定に有する機能性部材。
- ミオグロビン複合体を機能性成分として含み、ミオグロビンに吸着する酸素、一酸化炭素、又は一酸化窒素を濃縮する作用を有する、請求項5に記載の機能性部材。
- ミオグロビン複合体を機能性成分として含み、有機溶媒中での触媒能を有する、請求項5に記載の機能性部材。
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