JP4630943B2 - 光マイクロカンチレバーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、伝播光を効率良く伝播することができる光マイクロカンチレバーとその製造方法と、光マイクロカンチレバーとその光マイクロカンチレバーに入射させる光または、光マイクロカンチレバーから出射する光に作用する光学素子を固定する光マイクロカンチレバーホルダに関するものである。
現在、先端が先鋭化された光媒体からなるプローブを、光の波長以下まで測定試料に近づけることで、試料の光学特性や形状を測定する走査型近視野顕微鏡(以下、SNOMと言う)が知られている。この走査型近視野顕微鏡では、試料に対して垂直に保持した直線状の光ファイバープローブの先端を、試料表面に対して水平に振動させ、試料表面と光ファイバープローブ先端のせん断力よって生じる振動の振幅の変化を検出している。なお、この振幅の変化は、光ファイバープローブの先端にレーザ光を照射してその影の変化により検出される。この走査型近視野顕微鏡では、光ファイバープローブの振動の振幅が一定となるように試料を微動機構で動かすことによって光ファイバープローブの先端と試料表面の間隔を一定に保ち、微動機構に入力した信号強度から表面形状を検出したり、試料の光透過性の測定を行う。
また、鈎状に形成した光ファイバープローブを原子間力顕微鏡(以下、AFMと言う)のカンチレバーとして使用し、AFM動作すると同時に、光ファイバープローブに導入されたレーザ光により、その先端に近視野光を生成し、生成した近視野光と試料とを相互作用させることで、試料の表面形状を検出すると共に試料の光学特性の測定を行う走査型近視野原子間力顕微鏡が提案されている(特開平7−174542号公報)。図12は、従来例の光導波路プローブの側断面図である。この光導波路プローブ110では、光導波路101として光ファイバーが用いられ、その光導波路101の周囲は金属膜102で覆われている。光導波路プローブ110の一端には先鋭化されたチップ部103が形成されており、チップ部103の先端には近視野光を生成するための微小開口104が設けられている。なお、チップ部103は、光導波路プローブ110の先端部を、図示しない試料に向けて湾曲されることにより形成されている。
更に、従来は、図13に示したような光マイクロカンチレバーが知られている(T. Niwa et al., Journal of Microscopy, vol. 194, pt. 2/3, pp.388-392)。この光マイクロカンチレバー120では、光導波路111をコアとクラッドの積層により構成し、光導波路111の表面には金属膜112が設けられている。光マイクロカンチレバー120の一端には先鋭化されたチップ部119、他端には光マイクロカンチレバー120を固定するための支持部114が形成されている。チップ部119の先端には、近視野光を発生させるための微小開口113が設けられている。
なお、光マイクロカンチレバー120においては、チップ部119が形成されている端をカンチレバーの自由端、支持部114が形成されている光導波路の端を光入射端117と称する。そして、自由端は、微小開口113を図示しない試料に対して近接させるために湾曲している。また、光入射端117からは光導波路111に伝播光が入射される。
支持部114には、光ファイバーを固定するための光ファイバー用ガイド溝115が形成されている。図14は、光ファイバー用ガイド溝115に光ファイバー130を固定した状態を示す。光ファイバー130からの伝播光は、光入射端117を介して光導波路111に入射され、光導波路111により微小開口113に導かれる。この微小開口113を通過しようとする伝播光により、微小開口113付近に近視野光が発生する。なお、逆に、試料表面に発生している近視野光を微小開口113で散乱させて伝播光を発生させると共に、この伝播光を微小開口113と光導波路111を介して、光入射端117側で検出することが可能である。支持部114に光ファイバー用ガイド溝115を設けているので、光ファイバー130の装着が容易となり、交換時などにおいて、光マイクロカンチレバー120と光ファイバー130のアライメントの手間が省ける。
しかしながら、上記光ファイバープローブ110は、光ファイバー101を材料として多くの工程を手作業により製造しているため量産性が低い。更に、光ファイバー101が金属膜102で覆われているとしても、光ファイバー101が湾曲している個所に伝播光の損失が発生し、伝播光を効率良く伝播することができない問題点があった。この湾曲の角度が急なほど伝播光の損失が大きくなる。逆に、湾曲の角度が滑らかなほど光ファイバープローブが長くなってしまい、取り扱いが面倒になる問題点があった。
上記光マイクロカンチレバー120は、量産性や均一性は優れているが、光導波路111の表面に金属膜112が設けられているとしても、光導波路111が湾曲している個所に伝播光の損失が発生し、伝播光を効率良く伝播することができない問題点があった。更に、製造の工程で、光入射端117と光ファイバー用ガイド溝115との間に、図14に示すように、滑らかな斜面116が生じてしまい、光ファイバー130を光入射端117に十分に近づけることが困難であり、光の入射効率の悪化、すなわちカップリングロスの増大という問題点があった。また、光マイクロカンチレバー120において、光ファイバー130によって光入射端117に光が導入される際、光入射端117において散乱光が発生し、微小開口113の方向にも前記散乱光が伝搬する。したがって、走査型近視野顕微鏡の光像のS/N比が低下してしまう問題点があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、伝播光を効率良く入射および伝播させることができる光マイクロカンチレバーと、このような光マイクロカンチレバーを作成するための製造方法とを提供することを目的とする。また、光マイクロカンチレバーと光学素子を支持する光マイクロカンチレバーホルダを提供することを目的とする。また、走査型近視野顕微鏡の光像のS/N比を向上させることができる光マイクロカンチレバーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る光マイクロカンチレバーは、走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーにおいて、光入射/出射端と自由端とを有し、伝播光を伝播する光導波路と、前記自由端に形成され、先端に微小開口が設けられたチップ部と、前記光入射/出射端から伝播してきた伝播光を前記微小開口に導くように反射し、または前記微小開口から伝播してきた伝播光を前記光入射/出射端に導くように反射する反射手段と、を具備したことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、光入射/出射端からの伝播光を微小開口に導くように反射し、または微小開口からの伝播光を光入射/出射端に導くように反射する反射手段を設けている。この反射手段により、伝播光を効率良く反射させることができ、微小開口に導かれる伝播光の損失を低減することができる。
また、請求項2に係る光マイクロカンチレバーは、走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーにおいて、光入射/出射端と自由端と、かつ前記光入射/出射端を通過する伝播光の光軸に対して角度を有するノーズ部分とを有し、伝播光を伝播する光導波路と、前記自由端に形成され、先端に微小開口が設けられたチップ部と、前記光入射/出射端から伝播してきた伝播光を前記微小開口に導くように反射し、または前記微小開口から伝播してきた伝播光を前記光入射/出射端に導くように反射する反射手段と、を具備したことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、光入射/出射端からの伝播光を微小開口に導くように反射し、または微小開口からの伝播光を光入射/出射端に導くように反射する反射手段と、光入射/出射端を通過する伝播光の光軸に対して角度を有する部分とを設けている。反射手段により、伝播光を効率良く反射させることができ、微小開口に導かれる伝播光の損失を低減することができる。また、光入射/出射端を通過する伝播光の光軸に対して角度を有する部分の長さを調整することにより、大きな段差を有する試料の表面の観察が可能となる。
また、請求項3に係る光マイクロカンチレバーは、請求項1または請求項2に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記光導波路の少なくとも一部は、コアと、そのコアの一方側または両側またはコアの周囲に堆積されたクラッドとからなることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、光導波路が、コアと、そのコアの一方側または両側またはコアの周囲に積層されたクラッドとからなるため、光導波路を伝播する伝播光が外部へ漏れてしまうことを防止でき、また、伝播光が全反射条件で光導波路内を伝播する。
また、請求項4に係る光マイクロカンチレバーは、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記光導波路上に、前記チップ部が形成されている側に遮光膜を設け、前記チップ部が形成されている側の反対側に反射膜を設けたことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、光導波路上に、チップ部が形成されている側に遮光膜を設け、チップ部が形成されている側の反対側に反射膜を設けることにより、光導波路を伝播する伝播光が外部へ漏れてしまうことを防止できる。
また、上記の目的を達成するために、請求項5に係る光マイクロカンチレバーの製造方法は、走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーの製造方法において、基板に、光導波路の型とする段差を形成する段差形成工程と、前記基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、前記反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、前記光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、前記光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、前記チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程と、を含むことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーの製造方法は、基板に、光導波路の型とする段差形成工程と、基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、その反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、光入射/出射端となる側の基板を残して自由端となる側の基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含む。これにより、光入射/出射端からの伝播光を微小開口に導くように反射し、または微小開口からの伝播光を光入射/出射端に導くように反射する反射膜を形成することができるから、伝播光を効率良く反射することができ、伝播光の損失を低減することができる。また、これらの工程は、シリコンプロセスを用いたバッチ処理が可能なため、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを作成することができる。
また、請求項6に係る光マイクロカンチレバーの製造方法は、請求項5に記載の光マイクロカンチレバー製造方法において、前記段差形成工程で形成した前記段差の角度を、前記反射膜堆積工程で堆積した前記反射膜により前記光入射/出射端から伝播してきた伝播光を微小開口に導くことができる角度、または前記微小開口から伝播してきた伝播光を前記光入射/出射端に導くことができる角度とすることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーの製造方法では、段差形成工程で形成した段差の角度を、反射膜堆積工程で堆積した反射膜により光入射/出射端から伝播してきた伝播光を微小開口に導くことができ、または微小開口から伝播してきた伝播光を光入射/出射端に導くことができる角度とする。このように形成された反射膜により、伝播光を効率良く反射させることができ、伝播光の損失を低減することができる。
また、上記の目的を達成するために、請求項7に係る光マイクロカンチレバーは、光導波路からなる片持ち梁と、前記片持ち梁の支持部と、前記光導波路の光入射/出射端と自由端とを有し、前記支持部に形成され、前記光導波路への入射光または、前記光導波路からの出射光に作用する光学素子の位置決めを行う光学素子用ガイドと、前記光入射/出射端と前記光学素子用ガイドとの間に設けられた溝を具備したことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、光導波路の光入射/出射端と光学素子用ガイドとの間に溝が形成されている。光導波路の光入射/出射端と光学素子用ガイドとの間に溝を形成することにより、光入射/出射端と前記光導波路に光を入射する光または、前記光導波路から出射する光に作用する光学素子の間に邪魔になっていた斜面を略垂直にすることができるから、光学素子を光入射/出射端に近づけることができる。
また、上記の目的を達成するために、請求項8に係る光マイクロカンチレバーの製造方法は、走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーの製造方法において、基板に、光導波路の型とする段差を形成する段差形成工程と、前記基板に、光学素子用ガイドを形成する光学素子用ガイド形成工程と、前記基板上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、光入射/出射端を形成する入射端形成工程と、前記光入射/出射端と前記光学素子用ガイドとの間の前記基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、前記光学素子用ガイド上の前記光導波路を除去して前記光学素子用ガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程と、を含むことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーの製造方法は、基板に、光導波路の型とする段差を形成する段差形成工程と、基板に、光学素子用ガイド形成する光学素子用ガイド形成工程と、基板上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、光導波路の光入射/出射端を形成する光入射/出射端形成工程と、光入射/出射端と光学素子用ガイドとの間の基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、光学素子用ガイド上の光導波路を除去して光学素子用ガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の基板を残して自由端となる側の基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含む。これにより、前記光導波路に光を入射する光または、前記光導波路から出射する光に作用する光学素子を固定するためのガイドを形成することができると共に、光入射/出射端と光学素子との間に邪魔になっていた斜面を略垂直にすることができる。更に、これらの工程は、シリコンプロセスを用いたバッチ処理が可能なため、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを作成することができる。
また、上記の目的を達成するために、請求項9に係る光マイクロカンチレバーの製造方法は、走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーの製造方法において、基板に、光導波路の型とする段差を形成する段差形成工程と、前記基板に、光学素子用ガイドを形成する光学素子用ガイド形成工程と、前記基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、前記反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、前記光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、前記光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、前記チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、前記光導波路の光入射/出射端となる部分の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して光導波路の光入射・出射端を形成する光入射/出射端形成工程と、前記光入射/出射端と前記光学素子用ガイドとの間の前記基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、前記光学素子用ガイド上の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して前記光学素子用ガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程と、を含むことを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーの製造方法は、基板に、光導波路の型とする段差を形成する段差形成工程と、基板に、光学素子用ガイド形成する光学素子用ガイド形成工程と、基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、前記光導波路の光入射/出射端となる部分の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して光導波路の光入射・出射端を形成する光入射/出射端形成工程と、前記光入射/出射端と前記光学素子用ガイドとの間の前記基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、前記光学素子用ガイド上の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して前記光学素子用ガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含む。これにより、光学素子を固定するためのガイドを形成することができると共に、光入射/出射端と光学素子との間に邪魔になっていた斜面を略垂直にすることができる。また、光入射/出射端からの伝播光を微小開口に導くように反射し、または微小開口からの伝播光を光入射/出射端に導くように反射する反射膜を形成することができるから、伝播光を効率良く反射することができ、伝播光の損失が発生することがなくなる。更に、これらの工程は、シリコンプロセスを用いたバッチ処理が可能なため、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを作成することができる。
また、上記の目的を達成するために、光マイクロカンチレバーを支持する光マイクロカンチレバー用ガイドと、前記光マイクロカンチレバーへの入射光または、前記光マイクロカンチレバーからの出射光に作用する光学素子の位置決めを行う光学素子用ガイドと、を具備することを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーホルダでは、光マイクロカンチレバーを支持する光マイクロカンチレバー用ガイドと光マイクロカンチレバーに光学素子を支持する光学素子用ガイドが形成されている。光マイクロカンチレバー用ガイドに光マイクロカンチレバーを、光学素子用ガイドに光学素子をセットするだけで光マイクロカンチレバーと光学素子とをアライメントすることができる。
また、上記目的を達成するために、請求項11に係る光マイクロカンチレバーは、片持ち梁状の光導波路と、前記光導波路の自由端側に形成され、先端に微小開口を有するチップ部からなり、前記光導波路は、固定端側の光入射/出射端と、自由端と固定端の間に形成され、固定端における前記光導波路の光軸に対して角度を有するノーズ部と、前記光入射/出射端から伝播してきた伝播光を前記ノーズ部へ導き、または/および、前記微小開口によって検出し、前記ノーズ部を伝搬した光が、光入射/出射端に導くように反射する反射手段と、を具備したことを特徴とする。
また、請求項12に係る光マイクロカンチレバーは、請求項11に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記光導波路は、前記ノーズ部の先に前記固定端における前記光導波路と略平行に延伸したヘッド部を有し、前記チップ部が前記ヘッド部に形成されていることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーは、ノーズ部を設けることによって段差の大きな試料の測定に適し、また、前記チップ部を形成しやすくなる。
また、上記目的を達成するために、請求項13に係る光マイクロカンチレバーは、請求項1から請求項3および請求項11から請求項12のいずれか記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記チップ部と前記反射手段との間に、レンズを有していることを特徴とする。また、請求項14に係る光マイクロカンチレバーは、請求項13に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記レンズが、凸レンズであることを特徴とする。また、請求項15に係る光マイクロカンチレバーは、請求項13に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記レンズがフレネルレンズであることを特徴とする。また、請求項16に係る光マイクロカンチレバーは、請求項13に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記レンズが、屈折率分布レンズであることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、前記レンズによって、前記微小開口にエネルギー密度の高い光を導入させることができるため、前記微小開口から照射される近視野光の強度を大きくすることができる。または/および、前記微小開口によって検出した光を、前記レンズによってコリメートすることによって、検出光を効率よく検出器に伝搬させることができる。
また、上記目的を達成するために、請求項17に係る光マイクロカンチレバーは、請求項1から3および請求項11から16のいずれか一つに記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記チップ部が前記光導波路よりも高い屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、屈折率の高い材料によってチップが構成されているため、前記微小開口から照射または/および検出する近視野光の発生効率または/および検出効率を高くすることができる。
また、上記目的を達成するために、請求項18に係る光マイクロカンチレバーは、基部と、前記基部に形成された片持ち梁状の光導波路と、先端に微小開口を有し、前記片持ち梁の自由端側に形成されたチップ部と、前記光導波路の固定端側に位置する光入射/出射端と、前記基部上の前記光入射/出射端となる側に形成され、前記光導波路への入射光または、前記光導波路からの出射光に作用する光学素子の位置決めを行う光学素子用ガイドからなり、前記光入射/出射端が前記光学素子用ガイド上に突出した形状となっていることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、前記光入射/出射端が前記光学素子用ガイド上に突出しているため、前記光入射/出射端と、光学素子との距離を短くすることができる。したがって、前記光導波路への入射光または/及び前記光導波路からの出射光を効率よく導入または/および検出することができる。
また、上記目的を達成するために、請求項19に係る光マイクロカンチレバーは、基部と、前記基部に形成された片持ち梁状の光導波路と、前記光導波路の固定端側に位置する光入射/出射端と、前記片持ち梁の自由端側に設けられ、先端に微小開口を有するチップ部からなり、前記光入射/出射端における散乱光が、前記チップ部の方向に伝搬しないような遮光手段を備えていることを特徴とする。また、請求項20に係る光マイクロカンチレバーは、請求項19に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記遮光手段が、前記基部および前記光導波路上に配置され、前記散乱光を遮光する壁であることを特徴とする。
また、請求項21に係る光マイクロカンチレバーは、請求項19に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記遮光手段が、前記基部および前記光導波路上に形成された遮光剤と、前記遮光剤の上に形成された遮光フィルムからなり、前記遮光フィルムが、少なくとも前記光入射/出射端を覆うように配置されていることを特徴とする。
また、請求項22に係る光マイクロカンチレバーは、請求項19に記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記遮光手段が、前記基部および前記光導波路上に配置された遮光フィルムと、前記遮光フィルムの端の少なくとも一部を覆うように配置された遮光剤からなり、前記遮光フィルムが、少なくとも前記入射/出射端を覆うように配置されていることを特徴とする。また、請求項23に係る光マイクロカンチレバーは、請求項21から請求項22のいずれか一つに記載の光マイクロカンチレバーにおいて、前記遮光フィルムが、可動であることを特徴とする。
上記光マイクロカンチレバーでは、前記遮光手段によって、前記光入射/出射端における散乱光が前記チップ部の方向に伝搬しないため、走査型近視野顕微鏡における光学像のS/N比を向上させることができる。したがって、走査型近視野顕微鏡の走査速度を向上させることができる。また、前記遮光フィルムが可動であるため、光学素子と前記導波路の光入射/出射端との位置決めを観察しながら行うことができる。したがって、精度良く、かつ、容易に光学素子の位置決めを行うことができる。
本願発明によれば、伝播光を効率良く入射および伝播させることができる光マイクロカンチレバーと、このような光マイクロカンチレバーを作成するための製造方法とを提供することを目的とする。また、光マイクロカンチレバーと光学素子を支持する光マイクロカンチレバーホルダを提供することを目的とする。また、走査型近視野顕微鏡の光像のS/N比を向上させることができる光マイクロカンチレバーを提供できる。
本発明の実施の形態1に係る光マイクロカンチレバーを示す側断面図である。 図1の光マイクロカンチレバーの製造工程を示す説明図である。 図1の光マイクロカンチレバーを用いた走査型近視野顕微鏡を示す構成図である。 本発明の実施の形態2に係る光マイクロカンチレバーを示す側断面図である。 本発明の実施の形態3に係る光マイクロカンチレバーを示す側断面図である。 図5の光マイクロカンチレバーの光学素子用ガイドに光ファイバーをセットした状態を示す説明図である。 図5の光マイクロカンチレバーの製造工程を示す説明図である。 図5の光マイクロカンチレバーの製造工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態4に係る光マイクロカンチレバーホルダを示す模式図である。 図9の光マイクロカンチレバーホルダに光マイクロカンチレバーと光ファイバーをセットした状態を示す説明図である。 図9の光マイクロカンチレバーホルダに光マイクロカンチレバーと光ファイバーをセットした状態を示す説明図である。 従来の光ファイバープローブを示す側断面図である。 光ファイバーガイド溝を有する従来の光マイクロカンチレバーを示す側断面図である。 図13の光マイクロカンチレバーの光ファイバー用ガイドに光ファイバーをセットした状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態5に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。 本発明の実施の形態5に係る光マイクロカンチレバーの製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。 本発明の実施の形態6に係る光マイクロカンチレバーの製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態7に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。 図19の光マイクロカンチレバーに光ファイバーを固定した状態を示す図である。 図19の光マイクロカンチレバーの突出部を形成する方法を示す図である。 図19の光マイクロカンチレバーの突出部を形成する方法を示す図である。 図19の光マイクロカンチレバーの光ファイバー用溝のパターンを示す図である。 本発明の実施の形態8に係る光マイクロカンチレバーへの光導入部を示す構成図である。 本発明の実施の形態9に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。 本発明の実施の形態10に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。 本発明の実施の形態11に係る光マイクロカンチレバーを示す構成図である。
以下、本発明の光マイクロカンチレバーとその製造方法および光マイクロカンチレバーホルダについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光マイクロカンチレバーの側断面図である。この光マイクロカンチレバー10は、支持部1と、光導波路2と、遮光膜3と、反射膜4と、先鋭化されたチップ部5と、そのチップ部5の先端に形成された微小開口6と、ミラー7と、から構成されている。なお、光マイクロカンチレバー10では、支持部1が形成されている端を光入射/出射端と言い、チップ部5が形成されている端を自由端と言う。
図1中Lで示す部分は、長さが例えば50〜1000μm、幅は例えば10〜100μm、厚さが例えば4〜10μmである。また、前記チップ部5の高さは、例えば5〜10μmである。チップ部5の先端半径は、AFM用のカンチレバーのチップと同等で、50nm以下である。また、微小開口6のサイズは、100nm以下である。前記支持部1はシリコンやガラスや石英系材料など、前記光導波路2は二酸化ケイ素やポリイミドなど、前記遮光膜3はクロムやアルミやチタンなど、前記反射膜4は金やアルミなどの高反射率材料からなる。なお、前記ミラー7は、前記反射膜4の一部である。
図示しない光源により放出された伝播光は、前記光導波路2の光入射/出射端8から前記光導波路2に入射する。前記ミラー7は、前記光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hを前記微小開口6に導くように反射する。そして、前記微小開口6を通過しようとする伝播光Hにより、微小開口6付近に近視野光が発生する。このように、光マイクロカンチレバー10では、伝播光Hの光路を変更するためにミラー7を用いているので、伝播光を効率良く微小開口6に向けて反射することができ、伝播光の損失を低減することができる。
次に、図2を用いて、上記光マイクロカンチレバー10の製造方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、シリコン基板50を用意するが、モールドが形成できればガラスや石英基板でも良い。次に、図2(b)に示すように、水酸化カリウム(KOH)やテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を用いた異方性エッチングにより、シリコン基板50に段差を形成してモールドを作製する。次に、図2(c)に示すように、シリコン基板50上に、反射膜材料51と導波路材料52を堆積する。前記反射膜材料51は例えば金やアルミなどの高反射率材料であり、前記導波路材料52は例えば二酸化ケイ素やポリイミドなどである。
次に、図2(d)に示すように、導波路材料52上に、チップ部5となる個所にフォトレジスト材料のマスク53を形成する。そして、導波路材料52を、ドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより、図中の点線に沿って除去する。これにより、図2(e)に示すように、先鋭化されたチップ部5が形成される。また、前記反射膜材料51の不要な部分はチップ形成とともに除去されてもよいし、後の工程で除去されてもよい。次に、図2(f)に示すように、シリコン基板50と反射膜材料51と導波路材料52とを覆うように、遮光膜材料55を堆積する。前記遮光膜材料55は例えばクロムやアルミやチタンなどである。
次に、図2(g)に示すように、遮光膜材料55上に、フォトレジスト材料のマスク56を形成する。そして、ドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより、チップ部5の先端の遮光膜材料55を除去し、微小開口6(図2(h)参照)を形成する。最後に、図2(h)に示すように、光入射/出射端となる側のシリコン基板50を残し、自由端となる側のシリコン基板50をエッチングにより除去することで光マイクロカンチレバー10を形成する。
前記チップ部5の先端の微小開口6は、導波路材料52を伝播する伝播光がシリコン基板50の段差に堆積されている反射膜材料51において微小開口6に向けて反射される位置に形成する。
図3は、光マイクロカンチレバー10を用いた走査型近視野顕微鏡の構成図である。この走査型近視野顕微鏡1000は、光マイクロカンチレバー10と、光源509と、光源509からの伝播光を集光して光マイクロカンチレバー10の光導波路に照射するレンズ510と、試料501の下方に配置され光マイクロカンチレバー10の先端で発生した近視野光が散乱されることで得られる伝播光を反射するプリズム502と、プリズム502からの伝播光を集光するレンズ505と、レンズ505により集光された伝播光を受光する光検出部506と、を備えている。
また、光マイクロカンチレバー10の上方には、レーザ光を発振するレーザ発振器512と、光マイクロカンチレバー10の自由端において反射されたレーザ光を反射するミラー513と、ミラー513において反射されたレーザ光を受光して光電変換する上下2分割した光電変換部511と、を備えている。更に、試料501およびプリズム502を3次元的に移動制御する微動機構503および粗動機構504と、これら微動機構503および粗動機構504を駆動するサーボ機構508と、装置全体を制御するコンピュータ507と、を備えている。この走査型近視野顕微鏡1000は、ダイナミックモードまたはコンタクトモードの観察に適する。
次に、走査型近視野顕微鏡1000の動作について説明する。レーザ発振器512から発振されたレーザ光は、光マイクロカンチレバー10の自由端において反射される。光マイクロカンチレバー10は、その先端と試料501との間の原子間力によって変移する。この変移と共に、光マイクロカンチレバー10の自由端において反射されたレーザ光の反射角度が振れ、この振れを光電変換部511で検出する。
光電変換部511により検出した信号は、コンピュータ507に送られる。コンピュータ507は、試料501に対する光マイクロカンチレバー10のアプローチや、表面の観察の際に光マイクロカンチレバー10の撓みが設定値を超えないように、サーボ機構508により微動機構503および粗動機構504を制御する。
また、光源509から放出された伝播光は、レンズ510により集光され、光マイクロカンチレバー10の光導波路を介して微小開口に照射される。これにより、光マイクロカンチレバー10の微小開口付近に近視野光が発生する。一方、プリズム502により反射した試料501の光学的情報は、レンズ505により集光され、光検出部506に導入される。コンピュータ507は、光検出部506の信号を受け取り、その信号から試料501の光学的情報を検出してトポ像や光学像などを作成する。
このように、上記実施の形態1による光マイクロカンチレバー10によれば、ミラー7により、光導波路2の光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hを微小開口6に導くように反射するから、伝播光Hを近視野光に効率良く変換することができ、伝播光の損失を低減することができる。また、チップ部5を鋭く、微小開口を小さくできるので高解像度のトポ像や光学像を得ることが可能となる。また、ミラー7から微小開口6までの距離が短いため、より伝播光の損失を低減することができ、強度の大きな近視野光を発生することができる。また、全体的にサイズが小さいため、取り扱いが容易である。
また、上記実施の形態1による光マイクロカンチレバー10の製造方法によれば、光入射/出射端からの伝播光Hを微小開口6に導くように反射するミラー7を形成することができるから、伝播光の損失が低減された光マイクロカンチレバー10を容易に製造することができる。また、図2に示した工程は、シリコンプロセスを用いたバッチ処理が可能なため、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを作成することができる。
上記では、光導波路2が1層構造であるように図示したが、光導波路2を、屈折率の高いコアと屈折率の低いクラッドからなる2層または3層またはコアの周囲をクラッドで覆った構造とすることにより、伝播光が外部へ漏れてしまうことを防止できる。また、光導波路2の少なくとも一部が、屈折率の高いコアと屈折率の低いクラッドからなる2層または3層またはコアの周囲をクラッドで覆った構造であっても良い。光導波路2の構造は、以下の実施の形態においても同様である。また、上記では、ミラー7は光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hを微小開口6に導くように反射するように説明したが、微小開口6から伝播してきた伝播光Hを、ミラー7により、光入射/出射端8に導くように反射することも可能である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る光マイクロカンチレバーの側断面図である。この光マイクロカンチレバー20では、光導波路2の光入射/出射端8を伝播する伝播光の光軸に対して角度を有するノーズ部9が形成され、そのノーズ部9の先端にチップ部5が形成されている。なお、これ以外の構成に関しては、実施の形態1の上記光マイクロカンチレバー10の構成と同じであるため、その説明は省略する。
前記ノーズ部9の長さは例えば1〜200μmであり、光マイクロカンチレバー20のこれ以外の寸法は実施の形態1の上記光マイクロカンチレバー10の寸法と同じである。このようなノーズ部9を形成するためには、厚めのシリコン基板50を用意して、図2(b)に形成した段差を長く形成すれば良く、それ以降の製造工程は図2(c)〜図2(h)に示した製造工程と同じである。この光マイクロカンチレバー20を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
図示しない光源により発生された伝播光は、前記光導波路2の光入射/出射端8から前記光導波路2に入射される。前記ミラー7は、前記光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hを前記微小開口6に導くように反射する。前記微小開口6を通過しようとする伝播光Hにより、微小開口6付近に近視野光が発生する。このように、光マイクロカンチレバー20では、伝播光Hの光路を変更するためにミラー7を用いているので、伝播光を効率良く微小開口6に向けて反射することができ、伝播光の損失を低減することができる。
このように、上記実施の形態2による光マイクロカンチレバー20によれば、ミラー7により、光導波路2の光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hを微小開口6に導くように反射するから、伝播光Hを効率良く微小開口6に向けて反射することができ、伝播光の損失を低減することができる。また、長いノーズ部9を設けているため、大きな段差を有する試料の表面の観察が可能となる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る光マイクロカンチレバーの側断面図である。この光マイクロカンチレバー30は、支持部31に、光ファイバーを支持するための光ファイバー用ガイド溝32と、その光ファイバー用ガイド溝32と光導波路2の光入射/出射端8との間に溝33と、が形成されている。光ファイバー用ガイド溝32は、例えばV溝である。なお、これ以外の構成は実施の形態1の上記光マイクロカンチレバー10の構成と同じであるためその説明は省略する。なお、光ファイバーの他に光導波路に入射する光、または、光導波路から出射する光に作用する光学素子は例えば、発光ダイオードや半導体レーザやレンズやビームスプリッターやフォトダイオードなどがある。その場合、光ファイバー用ガイド溝32は、それぞれの素子の形態にあわせた光学素子用ガイドとなる。
図6は、光マイクロカンチレバー30の光ファイバー用ガイド溝32に光ファイバー130を固定した状態を示す。光ファイバー130からの伝播光は、光入射/出射端8を介して光導波路2に入射され、光導波路2により微小開口6に導かれる。なお、光マイクロカンチレバー30に光ファイバー用ガイド溝32を形成することにより、交換時などにおいて、光マイクロカンチレバー30と光ファイバー130のアライメントの手間が省ける。また、光入射/出射端8と光ファイバー用ガイド溝32との間に深い溝33が形成されているために、従来邪魔になっていた斜面(図14参照)がなく、光ファイバー130を光入射/出射端8に近づけることができる。これにより、光ファイバー130と光導波路2とのカップリングロスが低減されて、光導波路2に入射する伝播光の強度が大きくなり、微小開口6からは強度の大きな近視野光を発生させることができる。
次に、図7および図8を用いて、上記光マイクロカンチレバー30の製造方法について説明する。まず、図7(a)に示すように、シリコン基板70を用意するが、モールド形成ができればガラスや石英基板でも良い。次に、図7(b)に示すように、KOHやTMAHを用いた異方性エッチングにより、シリコン基板70に2つの段差71,72と光ファイバー用ガイド溝32を形成してモールドを作製する。次に、図7(c)に示すように、シリコン基板70上に、反射膜材料74と導波路材料75を堆積する。前記反射膜材料74は例えば金やアルミなどの高反射率材料であり、前記導波路材料75は例えば二酸化ケイ素やポリイミドなどである。
次に、図7(d)に示すように、段差71上に堆積されている導波路材料75を、ドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより除去し、先鋭化されたチップ部5を形成する。次に、図7(e)に示すように、シリコン基板70と反射膜材料74と導波路材料75とを覆うように、遮光膜材料77を堆積する。また、ドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより、チップ部5の先端の遮光膜材料77を除去して微小開口6を形成する。次に、図7(f)に示すように、段差72上の遮光膜材料77と導波路材料75と反射膜材料74とをドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより除去して光入射/出射端8を形成する。
次に、図8(g)に示すように、光入射/出射端8と光ファイバー用ガイド溝32との間のシリコン基板70をドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより除去して、光ファイバー用ガイド溝73より深い溝33を形成する。次に、図8(h)に示すように、光ファイバー用ガイド溝32上の反射膜材料74と導波路材料75と遮光膜材料77とをドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより除去して、光ファイバー用ガイド溝32を露出する。最後に、図8(i)に示すように、光入射/出射端となる側のシリコン基板70を残し、自由端となる側のシリコン基板70をエッチングにより除去することで光マイクロカンチレバー30を形成する。
このように、上記実施の形態3による光マイクロカンチレバー30によれば、光ファイバー用ガイド溝32を形成することにより、交換時などにおいて、光マイクロカンチレバー30と光ファイバー130のアライメントにかかる手間を省くことができる。また、光入射/出射端8と光ファイバー用ガイド溝32との間に深い溝33が形成されているために、光ファイバー130を光入射/出射端8に近づいて、光導波路2にカップリングロスが低減された強度の大きな伝播光を入射させることができ、微小開口6から強度の大きな近視野光を発生させることができる。
この光マイクロカンチレバー30を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。この場合は、レンズ510で集光した伝播光を、光ファイバーを介して、光マイクロカンチレバー30の光導波路に導くことになる。
また、上記実施の形態3による光マイクロカンチレバー30の製造方法によれば、光入射/出射端8と光ファイバー用ガイド溝32との間に深い溝33が形成されている光マイクロカンチレバー30を容易に製造することができる。また、図7および図8に示した製造工程は、シリコンプロセスを用いたバッチ処理が可能なため、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを作成することができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る光マイクロカンチレバーホルダの模式図である。この光マイクロカンチレバーホルダ40では、シリコンやステンレスやプラスチック製の基板41に、V字型のガイド溝42とガイド溝43が形成されている。なお、ガイド溝43は、ガイド溝42より深い。
図10および図11は、上記光マイクロカンチレバーホルダ40に、実施の形態1の光マイクロカンチレバー10および光ファイバー130をセットした状態を示す。図10では、ガイド溝42に光マイクロカンチレバー10の光導波路がセットされ、ガイド溝43に光ファイバー130がセットされている。一方、図11では、ガイド溝42に光ファイバー130がセットされ、ガイド溝43に光マイクロカンチレバー10の支持部1がセットされている。なお、図11に示した状態では、光マイクロカンチレバー10のチップ部が光マイクロカンチレバーホルダ40と反対側に位置しているので、試料とチップ部との間に基板41が存在しない分、チップ部を試料表面に接近させることが図10に示した状態よりも容易である。なお、なお、光ファイバー130の他に光導波路に入射する光、または、光導波路から出射する光に作用する光学素子は、例えば、発光ダイオードや半導体レーザやレンズやビームスプリッターやフォトダイオードなどがある。その場合、ガイド溝42または、ガイド溝43はそれぞれの素子の形態にあわせた光学素子用ガイドとなる。
このように、上記実施の形態4による光マイクロカンチレバーホルダ40によれば、2つのガイド溝を設け、一方のガイド溝に光マイクロカンチレバーをセットし、他方のガイド溝に光ファイバーをセットすることにより、交換時などに、光マイクロカンチレバーと光ファイバーのアライメントにかかる手間を省くことができる。
(実施の形態5)
である。光マイクロカンチレバー80は、本発明の実施の形態2で説明した光マイクロカンチレバー20におけるノーズ部9の先に、ヘッド部81を有している。ヘッド部81は、チップ部5を有している。チップ部5の先端には、微小開口6が形成されている。ヘッド部81の長さは、10〜100μmである。なお、これ以外の構成に関しては、実施の形態1の上記光マイクロカンチレバー10の構成と同じであるため、その説明は省略する。
図示しない光源により発生した伝播光は、光入射/出射端8から光導波路2に入射される。ミラー7は、光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hをヘッド部81に導くように反射する。ヘッド部81に導かれた伝播光のうち微小開口6を通過しようとする成分により、微小開口6付近に近視野光が発生する。このように、光マイクロカンチレバー20では、伝播光Hの光路を変更するためにミラー7を用いているので、伝播光を効率良く微小開口6に向けて反射することができ、伝播光の損失を低減することができる。
図16は、光マイクロカンチレバー80の製造方法を説明する図である。ヘッド部81を有する光カンチレバー80の製造方法は、図16(a)に示すように、シリコン基板50に形成した段差に反射膜材料51および導波路材料52を堆積する。次に、図16(b)に示すように、シリコン基板50に形成した段差の上側にマスク53を形成し、ウェットエッチングによって、チップ部5を形成する。それ以降の製造工程は図2(e)〜図2(h)に示した製造工程と同じである。この光マイクロカンチレバー80を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
以上説明したように、光マイクロカンチレバー80によれば、実施の形態2で説明した効果の他に、製造工程において、チップ部5をシリコン基板50に形成した段差の上側に形成できるため、フォトリソグラフィーにおけるフォトマスクの形状を正確に転写することができる効果がある。したがって、光マイクロカンチレバー80のチップ部5の形状制御性が良い。
(実施の形態6)
図17は、本発明の実施の形態6に係る光マイクロカンチレバー90の構成図である。光マイクロカンチレバー90のチップ部5は、光導波路2を構成する材料よりも高い屈折率を有するチップ材料91からなっており、光導波路2とチップ材料91の界面に、レンズ92が設けられている。レンズ92は、図17に示すような凸レンズやフレネルレンズなどである。また、光マイクロカンチレバー90は、支持部1上に光導波路2が直接形成されている。光マイクロカンチレバー90は、光マイクロカンチレバー10と同様に、支持部1と光導波路2との間に、反射膜7が形成されていても良い。支持部1と光導波路2間の反射膜7の有無は、前述の実施の形態および後述の実施の形態においても同様である。なお、これ以外の構成は、光マイクロカンチレバー10と同じであるため、説明を省略する。
図18は、光マイクロカンチレバー90の製造工程を説明した図である。図2(a)〜(b)で説明した方法によって、段差を形成したシリコン基板50上に、図18(a)に示すように、導波路材料52を堆積する。次に、図18(b)に示すように、研磨、研削、エッチング等の方法によって、導波路材料52を平坦化する。次に、図18(c)に示すように、フォトレジストをはじめとするマスク58を形成し、ウェットエッチングなどの方法によって、導波路材料に凸レンズを形成するための凹形状を形成する。次に、図18(d)に示すように、チップ材料91をCVD、スパッタ、スピンコートなどの方法によって堆積し、チップ部5を形成する位置に、マスク53を形成し、ウェットエッチングやドライエッチングなどの等方性エッチングによって、チップ材料91からなるチップ部5を形成する。なお、図18(c)で説明した工程において、導波路材料52上に、フレネルレンズの形状を形成することによって、チップ部5と光導波路2の界面にフレネルレンズを形成することができる。また、図18(c)で説明した工程において、導波路材料52にイオン注入などの方法によって、導波路材料52の表面近傍に屈折率分布を持たせることによって、屈折率分布レンズを形成することができる。これ以後の工程は、図2(e)〜(h)で説明した製造方法と同じであるため、説明を省略する。最後に、図2(h)で説明した工程の後、支持部1側から、スパッタや真空蒸着などの方法によって、反射膜7を形成する。
図17において、図示しない光源により発生した伝播光は、光入射/出射端8から光導波路2に入射される。ミラー7は、光入射/出射端8から伝播してきた伝播光Hをレンズ92に導くように反射する。伝搬光Hは、レンズ92によって微小開口6近傍で集光され、微小開口6を通過しようとする伝播光Hにより、微小開口6付近に近視野光が発生する。このように、光マイクロカンチレバー80では、レンズ92による集光によって高エネルギー密度の光を微小開口6に導入することができるため、微小開口6から照射される近視野光の強度を大きくすることができる。
この光マイクロカンチレバー90を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
以上説明したように、光マイクロカンチレバー90によれば、実施の形態1で説明した効果の他に、微小開口6から照射される近視野光の強度を光マイクロカンチレバー10よりも大きくできるため、走査型近視野顕微鏡1000で取得される光信号のS/N比が向上する。したがって、走査型近視野顕微鏡1000の走査速度を大きくすることができる。
(実施の形態7)
図19は、本発明の実施の形態7に係る光マイクロカンチレバー100の側断面図である。この光マイクロカンチレバー100は、支持部31に、光ファイバーを支持するための光ファイバー用ガイド溝32が形成され、光導波路2は、光ファイバー用ガイド溝32上に飛び出した突出部777を有している。光ファイバー用ガイド溝32は、例えばV溝である。なお、これ以外の構成は実施の形態1の光マイクロカンチレバー10の構成と同じであるためその説明は省略する。なお、光ファイバーの他に光導波路に入射する光、または、光導波路から出射する光に作用する光学素子は例えば、発光ダイオードや半導体レーザやレンズやビームスプリッターやフォトダイオードなどがある。その場合、光ファイバー用ガイド溝32は、それぞれの素子の形態にあわせた光学素子用ガイドとなる。
図20は、光マイクロカンチレバー100の光ファイバー用ガイド溝32に光ファイバー130を固定した状態を示す。光ファイバー130からの伝播光は、光入射/出射端8を介して光導波路2に入射し、光導波路2により微小開口6に導かれる。なお、光マイクロカンチレバー100に光ファイバー用ガイド溝32を形成することにより、光マイクロカンチレバー100の交換時などにおいて、光マイクロカンチレバー100と光ファイバー130のアライメントの手間が省ける。また、光入射/出射端8が突出部777によって、従来邪魔になっていた斜面(図14参照)上に位置しているために、光ファイバー130を光入射/出射端8に近づけることができる。これにより、光ファイバー130と光導波路2とのカップリングロスが低減されて、光導波路2に入射する伝播光の強度が大きくなり、微小開口6からは強度の大きな近視野光を発生させることができる。
図21および図22は、光マイクロカンチレバー100の突出部777を形成する方法を説明した図である。図2(a)〜(e)で説明した方法によって、図21(a)に示す状態まで工程を進める。なお、反射膜7が光導波路2と支持部1との間に無い場合は、反射膜材料51を堆積せずに、工程を進めればよい。以下では、反射膜7が光導波路2と支持部1との間に無い場合について説明する。次に、フォトリソグラフィーと異方性ドライエッチングによって、導波路材料52を図21(b)に示すようにパターニングする。次に、マスク材101を図21(c)に示すように形成する。マスク材101は、例えば、窒化珪素や二酸化珪素である。図21(c)中点線で囲んだ部分の拡大上面図を図22(a)に、図22(a)のA−A’で示す断面図を図22(b)に示す。次に、TMAHやKOHによる結晶異方性ウェットエッチングによって、図21(d)に示すように光ファイバー用ガイド溝32を形成し、同時に、光導波路2からなるカンチレバーのリリースを行う。図21(d)中、点線で囲んだ部分の拡大上面図を図22(c)に、図22(c)のA−A’で示す断面図を図22(d)に示す。図22(a)に示すようにマスク材101をパターニングし、結晶異方性エッチングを行うことによって、突出部777を形成することができる。次に、図21(e)に示すように、遮光膜材料55および反射膜材料51をスパッタや真空蒸着によって形成し、チップ部5の先端に微小開口を形成する。最後に、光ファイバー用溝32の不要な部分を取り除くことによって、光マイクロカンチレバー100を形成することができる。図23は、光ファイバー用溝32の上面図である。図22(c)で説明した光ファイバー用溝32のパターンの他に、図22(a)のマスク材101のパターンを変えることによって、図23(a)や図23(b)のような光ファイバー用溝32を、図21(d)で説明した工程によって形成することができる。図23(a)に示す構造によれば、光ファイバー用溝32の不要な部分を取り除く必要がないため、工程が簡略化できる。また、図23(b)に示す構造によれば、図中Yで示す部分がガイドとなるため、光ファイバーを光ファイバー用溝32に導入しやすくなる。
この光マイクロカンチレバー100を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
以上説明したように、本発明の光マイクロカンチレバー100によれば、光ファイバー用ガイド溝32を形成する工程だけで、実施の形態3で述べた効果を得ることができる。したがって、製造工程を簡略化することができるため、安価な光マイクロカンチレバー100を提供することができる。また、図23(b)に示す構造によれば、光ファイバーを容易にセットすることができるため、取扱が簡単になる。
(実施の形態8)
図24は、本発明の実施の形態8に係る光マイクロカンチレバーへの光導入部の構成図である。
光マイクロカンチレバーの光導入部は、支持部1上に形成された光導波路2のコア2aとクラッド2bと、光導波路2に光を導入するための光伝搬体のコア110とクラッド111からなる。コア2aとコア110は、L1の長さで接触している。コア2aとコア110の間隔は、数10〜数100nmである。L1の長さは、500〜3000μmである。図には示していない光源から伝搬光Hをコア110に導入すると、L1の部分でコア110からの浸み出し光がコア2aに結合する。したがって、コア2a中を伝搬光Hが伝搬することができる。図24(b)は、図24(a)の状態における斜視図である。簡単のため、コア2aおよびコア110のみを示している。コア2aの幅W1は、5〜100μmであり、コア110の幅W2は、W1よりも小さく、3〜50μmである。したがって、通常のマイクロメータの精度によって高い結合効率でコア2aに光を導入することができる。
また、図24(c)に示すように、コア110の厚さを徐々に薄くした場合、図24(a)に示す光導入部よりも高い結合効率を得ることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態8に係る光導入部によれば、簡単に、高い結合効率を有する光導入部を得ることができる。
(実施の形態9)
図25は、本発明の実施の形態9に係る光マイクロカンチレバー200の構成図である。光マイクロカンチレバー200は、光マイクロカンチレバー100の構成要素の他に、遮光壁758を有している。遮光壁758は、シリコーンゴムをはじめとする樹脂や粘土からなる。遮光壁758の高さは、数100μm〜数mmであり、厚さは、数10μm〜数mmである。
この光マイクロカンチレバー200を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
遮光壁758によって、光ファイバー130と光導波路2との結合部で生じる散乱光を、チップ部5の方向に漏れないようにすることが可能である。したがって、光マイクロカンチレバー1000によれば、走査型近視野顕微鏡において、S/N比の高い光学像を得ることができる。また、測定試料が蛍光物質の場合、ブリーチングをはじめとする試料の損傷を防ぐことができる。さらに、S/N比の高い光信号を得られることから、走査型近視野顕微鏡の走査速度を大きくすることができる。
(実施の形態10)
図26は、本発明の実施の形態10に係る光マイクロカンチレバー300の構成図である。光マイクロカンチレバー300は、光マイクロカンチレバー100の構成要素の他に、遮光材759と遮光フィルム760を有している。遮光材759は、遮光膜3上に形成されている。遮光フィルム760は、遮光材759によって固定され、遮光フィルム760の他端は、光ファイバー130の出射端を覆っている。
遮光材759は、シリコーンゴムをはじめとする樹脂や粘土からなる。遮光フィルム760は、アルミニウムや銅などの金属やシリコーンゴムをはじめとする樹脂からなる。遮光材759の厚さは、数10μm〜1mm程度である。遮光フィルム760の厚さは、数10〜数100μmである。したがって、遮光フィルム760は、塑性変形または/および弾性変形によって、移動可能である。
この光マイクロカンチレバー300を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
光マイクロカンチレバー300によれば、薄い遮光材759と遮光フィルム760によって実施の形態9で述べた効果を得られる。したがって、光マイクロカンチレバー300は、光マイクロカンチレバー200よりも薄型化が可能である。また、遮光フィルム760が可動なため、光ファイバー130の位置決めを行うときは、光入射/出射端8が見える状態にすることができる。したがって、光ファイバー130の位置決めを正確に行うことができる。
(実施の形態11)
図27は、本発明の実施の形態10に係る光マイクロカンチレバー400の構成図である。光マイクロカンチレバー400は、光マイクロカンチレバー100の構成要素の他に、遮光材759と遮光フィルム760を有している。遮光フィルム760は、遮光材759によって遮光膜3上に直接固定されている。
遮光材759は、シリコーンゴムをはじめとする樹脂や粘土からなる。遮光フィルム760は、アルミニウムや銅などの金属やシリコーンゴムをはじめとする樹脂からなる。遮光材759の厚さは、数10μm〜1mm程度である。遮光フィルム760の厚さは、数10〜数100μmである。
この光マイクロカンチレバー400を、図3の走査型近視野顕微鏡1000の光マイクロカンチレバー10に代えて用いることができる。
光マイクロカンチレバー400によれば、実施の形態11でのべた効果の他に、薄い遮光フィルム760を薄い遮光材759によって固定しているため、実施の形態10で説明した光マイクロカンチレバー300よりも小型化が可能である。また、遮光材759が、直接空気と接触するため、遮光材759の乾燥が容易であるため、遮光フィルム760の固定を短時間で行うことができる。
また、請求項2に係る光マイクロカンチレバーによれば、光入射/出射端を通過する伝播光の光軸に対して角度を有する部分を設けているため、大きな段差を有する試料の表面の観察が可能となる。
また、請求項3に係る光マイクロカンチレバーによれば、光導波路が、コアと、そのコアの一方側または両側またはコアの周囲に堆積されたクラッドとからなるため、光導波路を伝播する伝播光は外部に漏れなくなり、また、伝播光が全反射条件で光導波路内を伝播するため、伝播光を効率良く伝播することができる。
また、請求項4に係る光マイクロカンチレバーによれば、光導波路上に、チップ部が形成されている側に遮光膜を設け、チップ部が形成されている側の反対側に反射膜を設けているため、光導波路を伝播する伝播光は外部に漏れなくなり、伝播光を効率良く伝播することができる。
また、請求項5に係る光マイクロカンチレバーの製造方法によれば、基板に、所定の角度の段差を形成する段差形成工程と、基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、その反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、反射膜と光導波路とを加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、光導波路の上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、光入射/出射端となる側の基板を残して自由端となる側の基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含むため、伝播光の損失を低減させた、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを容易に製造することができる。
また、請求項6に係る光マイクロカンチレバーの製造方法によれば、段差形成工程で形成した段差の角度を、反射膜堆積工程で堆積した反射膜により光入射/出射端から伝播してきた伝播光を微小開口に導くことができる角度、または微小開口から伝播してきた伝播光を光入射/出射端に導くことができる角度としたため、近視野光を生成するための伝播光を効率良く反射することができ、伝播光の損失を低減させた光マイクロカンチレバーを容易に製造することができる。
また、請求項7に係る光マイクロカンチレバーによれば、光導波路の光入射/出射端と光学素子用ガイドとの間に溝を形成することにより、光学素子を光入射/出射端に近づいて、伝播光の損失を低減させることができるので、強度の大きな近視野光を発生させることができる。
また、請求項8に係る光マイクロカンチレバーの製造方法によれば、基板に、少なくとも光導波路の光入射/出射端となる個所付近に段差を形成する段差形成工程と、基板に、光学素子用のガイドを形成するガイド形成工程と、基板上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、段差形成工程で段差を形成した個所の光導波路を除去して光導波路の光入射/出射端を形成する入射端形成工程と、光入射/出射端と光学素子用のガイドとの間の基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、光学素子用のガイド上の光導波路を除去して光学素子用のガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の基板を残して自由端となる側の基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含むため、伝播光の損失を低減させた、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを容易に製造することができる。
また、請求項9に係る光マイクロカンチレバーの製造方法によれば、基板に、少なくとも光導波路の光入射/出射端となる個所付近に段差を形成する段差形成工程と、基板に、光学素子用のガイド形成する光学素子用ガイド形成工程と、基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、反射膜上に光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、前記段差形成工程で段差を形成した個所の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して光導波路の光入射/出射端を形成する入射端形成工程と、前記光入射/出射端と前記光学素子用のガイドとの間の前記基板を加工して溝を形成する溝形成工程と、前記光学素子用のガイド上の前記遮光膜と前記光導波路と前記反射膜とを除去して前記光学素子用のガイドを露出する光学素子用ガイド露出工程と、光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含むので、光学素子とのアライメントが容易で、量産性や均一性に優れた光マイクロカンチレバーを得ることができる。
また、請求項10に係る光マイクロカンチレバーホルダによれば、光マイクロカンチレバーを支持する光マイクロカンチレバー用ガイドと光マイクロカンチレバーに光を入射させるための光学素子を支持する光学素子用ガイドが形成されているため、光マイクロカンチレバー用ガイドに光マイクロカンチレバーを、光学素子用ガイドに光学素子をセットするだけで光マイクロカンチレバーと光学素子をアライメントすることができ、アライメントにかかる手間を省けることが可能となる。
また、請求項11に係る光マイクロカンチレバーによれば、前記ノーズ部によって、大きな段差を有する試料の表面観察が可能となる。さらに、請求項12に係る光マイクロカンチレバーによれば、平坦なヘッド部にチップ部を形成することができるため、チップ部の形成が容易となる。
また、請求項13から請求項16に係る光マイクロカンチレバーによれば、レンズによって、エネルギー密度の高い光を微小開口に導くことができるため微小開口から照射される近視野光の強度を大きくすることができる。また、微小開口によって検出した光をレンズによってコリメートすることができるため、効率よく検出光を検出器に導くことができる。
また、請求項17に係る光マイクロカンチレバーによれば、屈折率の高い材料によってチップが構成されているため、前記微小開口から照射または/および検出する近視野光の発生効率または/および検出効率を高くすることができる。
したがって、走査型近視野顕微鏡において、光像のS/N比が大きくなり、走査速度を大きくすることができる。また、近視野光の発生および/または検出効率が大きいため、加工や分析といった応用分野に適した光マイクロカンチレバーを提供できる。
また、請求項18に係る光マイクロカンチレバーによれば、光入射/出射端が光学素子用ガイド上に突出しているため、光入射/出射端と、光学素子との距離を短くすることができる。したがって、光導波路への入射光または/及び光導波路からの出射光を効率よく導入または/および検出することができる。
また、請求項19から請求項23に係る光マイクロカンチレバーによれば、遮光手段によって、光入射/出射端における散乱光がチップ部の方向に伝搬しないため、走査型近視野顕微鏡における光学像のS/N比を向上させることができる。したがって、走査型近視野顕微鏡の走査速度を向上させることができる。また、遮光フィルムが可動であるため、光学素子と光導波路の光入射/出射端との位置決めを観察しながら行うことができる。したがって、精度良く、かつ、容易に光学素子の位置決めを行うことができる。
1 支持部
2 光導波路
3 遮光膜
4 反射膜
5 チップ部
6 微小開口
7 ミラー
8 光入射/出射端
9 ノーズ部
10 光マイクロカンチレバー
20,30,80,90,100,200,300,400 光マイクロカンチレバー
31 支持部
32 ファイバー用ガイド溝
33 溝
41 基板
42,43 ガイド溝
50 シリコン基板
51 反射膜材料
52 導波路材料
53 マスク
55 遮光膜材料
56 マスク
58 フォトレジスト
70 シリコン基板
71,72 段差
74 反射膜材料
75 導波路材料
77 遮光膜材料
81 ヘッド部
91 チップ材料
92 レンズ
130 光ファイバー
501 試料
502 プリズム
503 微動機構
504 粗動機構
505 レンズ
506 光検出部
507 コンピュータ
508 サーボ機構
509 光源
510 レンズ
511 光電変換部
512 レーザ発振器
513 ミラー
758 遮光壁
759 遮光剤
760 遮光フィルム
1000 走査型近視野顕微鏡

Claims (2)

  1. 走査型近視野顕微鏡に用いる光マイクロカンチレバーの製造方法において、
    基板に、固定端側の光入射/出射端と、前記固定端と逆端である自由端と前記固定端との間に形成され前記固定端における光導波路の光軸に対して角度を有するノーズ部と、前記ノーズ部の先に前記固定端における前記光導波路と略平行に延伸したヘッド部と、を有する光導波路の型を形成する型形成工程と、
    前記基板上に反射膜を堆積する反射膜堆積工程と、
    前記反射膜上に前記光導波路を堆積する光導波路堆積工程と、
    前記ヘッド部の前記光導波路を加工してチップ部を形成するチップ部形成工程と、
    前記光導波路上に遮光膜を堆積する遮光膜堆積工程と、
    前記チップ部の先端に微小開口を形成する微小開口形成工程と、
    光入射/出射端となる側の前記基板を残して自由端となる側の前記基板を除去することにより支持部を形成する支持部形成工程とを含むことを特徴とする光マイクロカンチレバーの製造方法。
  2. 前記形成工程で形成した前記ノーズ部の角度を、前記反射膜堆積工程で堆積した前記反射膜により前記光入射/出射端から伝播してきた伝播光を前記微小開口に導くことができる角度、または前記微小開口から伝播してきた伝播光を前記光入射/出射端に導くことができる角度とすることを特徴とする請求項1に記載の光マイクロカンチレバーの製造方法。
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