JP3892264B2 - 近視野光発生素子の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、近視野光顕微鏡や近視野光メモリ装置に用いられる近視野光を照射あるいは検出する近視野光発生素子の作製方法、さらに詳細には、開口内部に微小散乱体を有する近視野光発生素子の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サンプル表面においてナノメートルオーダの微小な領域を観察するために走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)に代表される走査型プローブ顕微鏡(SPM)が用いられている。SPMは、先端が先鋭化されたプローブをサンプル表面に走査させ、プローブとサンプル表面との間に生じるトンネル電流や原子間力などの相互作用を観察対象として、プローブ先端形状に依存した分解能の像を得ることができる。しかし、このような装置は、比較的、観察する試料に対する制約が厳しい。
【0003】
そこでいま、プローブ先端に生成された近視野光とサンプル表面との間に生じる相互作用を観察対象とすることで、サンプル表面の微小な領域の観察を可能にした近視野光学顕微鏡(SNOM)が注目されている。
【0004】
SNOMにおいては、先鋭化された光ファイバーの先端に設けられた開口から近視野光をサンプルの表面に照射する。開口は、光ファイバーに導入される光の波長の回折限界以下の大きさを有しており、たとえば、100nm程度の直径である。プローブ先端に形成された開口とサンプル間の距離は、SPMの技術によって制御される。その値は開口の大きさ以下である。このとき、サンプル上での近視野光のスポット径は、開口の大きさとほぼ同じである。したがって、サンプル表面に照射する近視野光を走査することで、微小領域におけるサンプルの光学物性の観測を可能としている。
【0005】
このような近視野光発生素子は、プローブを通してサンプルに向けて比較的強度の大きな光を導入させることにより、プローブの開口部にエネルギー密度の高い近視野光を生成することができる。よって、近視野光発生素子は、顕微鏡としての利用だけでなく、記録メディア表面の構造または物性を局所的に変更させる高密度な光メモリ装置としての応用も可能である。強度の大きな近視野光を得るために、プローブ先端の先端角を大きくすることが試みられている。また、このような光メモリ装置としての応用には、先鋭化されたプローブではなく、平坦な基板に開口を形成したプローブを記録再生ヘッドとして用いる装置がいくつか考案されている。
【0006】
これら近視野光を利用した素子においては、開口の形成が重要である。開口の作製方法の一つとして、特許公報平5−21201に開示されている方法が知られている。特許公報平5−21201の開口作製方法は、開口を形成するための試料として、先鋭化した光波ガイドに遮光膜を堆積したものを用いている。開口の作製方法は、遮光膜付きの先鋭化した光波ガイドを圧電アクチュエータによって良好に制御された非常に小さな押しつけ量で硬い平板に押しつけることによって、先端の遮光膜を塑性変形させている。
【0007】
また、別の開口の作製方法として、特開平11−265520に開示されている方法がある。特開平11−265520の開口の作製方法において、開口を形成する対象は、平板上に集束イオンビーム(FIB)によって形成された突起先端である。開口の形成方法は、突起先端の遮光膜に、側面からFIBを照射し、突起先端の遮光膜を除除去することによって行っている。
【0008】
さらに、分解能の向上やプローブとサンプルの間に生じる相互作用の結果生じる散乱光の強度を強くするために、金属微粒子が入射光によりプラズモンを発生する現象を利用した方法が提案されている。
【0009】
岡本らは、SiN(窒化シリコン)などの透明材料により形成された先鋭な先細の部材たるプローブ本体の先端に、Au(金)やPt(白金)などの金属の微粒子を固定させたプローブを考案している(Takayuki Okamoto and Ichirou Yamaguchi ,”Near−field scanning opticalmicroscope using a gold particle”,Jpn.J.Appl.Phys.36,L166(1997)。
【0010】
このような透明材料により形成された先鋭なプローブ本体の先端に金属微粒子を固定させたプローブは、入射光によって金属微粒子によりプラズモンが生成される。よって、このようなプローブは、従来の金属微粒子がないプローブに比べて散乱効率が高く、高い検出光量を得ることができる。さらに、その分解能は、先端に固定された金属微粒子の固定位置や曲率半径、金属微粒子の種類などにより決定される。よって、適切な金属微粒子をプローブ先端に固定することにより、より高い分解能を得ることができる。
【0011】
また、特許第3117667号で開示されている光ファイバープローブおよびその製造方法によれば、光ファイバの一端に、コアがクラッドから突出した突出部を形成し、この突出部表面に先端部を除いて金属膜を形成し、さらに上記突出部の外周部を先端面より後退させ、内周部の先端に金属球を形成する。よって、プローブの根本部分で散乱された散乱光や試料の表面粗さによる散乱光の影響を受けず、近視野光を高感度、高分解能をもって検出することが可能な光ファイバプローブが得られる。
【0012】
さらに、特開2001−83069号で開示されている部材の先端部に金属微粒子を生成して固定する方法およびその装置ならびにプローブによれば、先鋭な部材を金属溶液に漬けて、近視野光によってイオンを還元してプローブ先端部に金属球を形成する方法やプローブ、装置を提供している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
一般に開口の狭小化は、この開口近傍に生成される近視野光の強度を低下させる。これがサンプル(あるいは、記録メディア)によって散乱・変調される場合においても検出器に届く変調・伝播光の強度低下を招く。これを補償するために、仮に検出系のゲインを上げたとしても、一般的には信号対雑音比(S/N比)はむしろかなり劣化する。なぜならば、検出器本来の暗電流や増幅回路における熱雑音等があるためである。
【0014】
また、開口部に投入するレーザー光のパワーの増大や、開口部におけるレーザー集光スポットの微小化ももちろん効果がある。しかしながら開口の微小化に伴って、FIB等による微細加工上の制約や、開口の面内寸法と厚みの比率に強く依存する投入光の減衰の影響により、遮光膜はその厚みをむしろ薄くせざるを得ない。このため、遮光膜の薄層化は光の遮断性を低下させ、光検出器に届く直流光成分を増加させる。よって、仮にサンプル(あるいは、記録メディア)による同程度の光強度変調が得られたとしても、これは等価的な信号品質の劣化となる。また開口部周辺にレンズを用いて光を集光させる場合にも基本的には従来の幾何光学系に基づくため、回折限界により開口部近傍に十分高いエネルギ密度で光を照射できない。
【0015】
従って、従来の方法では、再生分解能の向上と光検出器から得られる信号の高S/N比化を同時に満足する事が極めて難しく、高記録(再生)密度化が困難であるという課題があった。
【0016】
その対策として、岡本らや特許第3117667号や特開2001−83069号で開示されている発明においては、プラズモンを発生する金属微粒子を先鋭化されたプローブの先端に形成している。
【0017】
しかしながら、このようなプローブは、分解能の向上や検出器で得られる光強度の増大・高S/N比化をはかることはできるが、これらのプローブ形状は大量生産には適しておらず、近視野光発生素子の作製に高価な製造装置が必要であり、SNOM装置や光メモリ装置の低コスト化が困難であるという課題があった。
【0018】
従って本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたもので、再生信号強度およびS/N比が十分大きくかつ超高密度、超高分解能でありながら、低コストで大量生産可能な近視野光発生素子を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するために本発明に係る第1の近視野光発生素子の作製方法は、
光を照射することによりプラズモンを生成する微小散乱体を開口の内部にもつ近視野光発生素子の作製方法において、光伝搬体の表面に前記微小散乱体を形成する微小散乱体形成工程と、前記光伝搬体の屈折率より低い低屈折率材を前記光伝搬体に接触させ、前記光伝搬体と前記低屈折率材との界面での全反射条件を満たす露光光束をもちいて前記微小散乱体を覆うように前記光伝搬体の表面に微小散乱体マスク部を形成する微小散乱体マスク部形成工程と、前記微小散乱体マスク部を用いて前記微小散乱体が前記開口の内部に配置されるように前記開口を形成する開口形成工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、プラズモンを生成する微小散乱体を開口内部にもつ近視野光発生素子を作製することが容易に可能となる。そして、本発明の近視野光発生素子の作製プロセスそのものは、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を利用することで可能である。よって、本発明は、プラズモン効果を利用した高性能な近視野光発生素子の大量生産を可能にし、しかも低コスト化を容易にはかる事ができる。
【0021】
その上、開口を形成するためのマスクである微小散乱体マスク部は、基板上に形成された微小散乱体をもちいて形成する為に、微小散乱体と開口形成用のマスクのアライメントをまったく必要としない。これにより、厳密な位置合わせや複雑な作製プロセスを踏まなくとも、必ず、開口内部に微小散乱体が形成された近視野光発生素子を作成できる。よって、プラズモンを利用した高性能な近視野光発生素子の大量生産を可能にし、しかも低コスト化を容易にはかる事ができる。
【0022】
さらに、露光光束を用いて、レジスト保護部を形成し、その後低屈折率保護部形成するので、露光光束の強度を制御することで、微小散乱体マスク部の大きさを制御することが容易となる。よって、この露光光束の光強度を制御する事で、微小散乱体マスク部を用いて形成する開口の大きさを容易に制御可能である。
【0023】
さらに、本発明の作製方法により作製された近視野光発生素子を用いた装置においても装置全体として低コスト化でき、本発明により作製される近視野光発生素子がプラズモン効果を利用しているため光の利用効率を飛躍的に向上する事ができ、低消費電力化、装置の小型化が可能となる。
【0024】
さらに、本発明の方法により作製された近視野光発生素子を近視野光顕微鏡や光メモリ装置に応用する場合には、微小開口以外の必要な形状を作製するためのプロセスも同じ半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を利用できるのでプロセスの親和性も非常に高い。
【0025】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第2の近視野光発生素子の作製方法は、前記微小散乱体マスク部形成工程が、前記低屈折率材を低屈折率層として前記光伝搬体の上部に形成する低屈折率層形成工程と、前記低屈折率層の上部にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記露光光束をもちいて前記レジスト膜を露光・現像しレジスト保護部を形成するレジスト露光現像工程と、前記レジスト保護部を用いて前記低屈折率層から低屈折率保護部を形成する低屈折率保護部形成工程とからなることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、本発明に係る第1の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、低屈折率層の上にレジスト膜を形成しているので、レジスト保護部を形成するための露光光束を照射する以外に、さらに通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術で用いて、開口以外の構造を基板上に形成することが容易に実現可能である。よって、開口以外の構造を容易に基板上に形成することが開口形成と同時に可能となり、工程数の低減と近視野光発生素子の製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第3の近視野光発生素子の作製方法は、前記微小散乱体マスク部形成工程が、前記低屈折率材として光硬化材料を前記光伝搬体に接触させ、前記露光光束をもちいて前記光硬化材料を露光することにより前記微小散乱体マスク部を形成する工程からことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、本発明に係る第1の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、近視野光発生素子としての性能を低下させること無く、作製工程を簡略化することができる。そのため、必要な製造装置を減らす事ができ、製造コストのさらなる低下を容易にはかることができる。さらに、低屈折率保護部のみを露光光束で硬化させるので、低屈折率保護部を形成するのに必要な材料の使用量を大幅に減らすことができ、材料費の低減が可能となる。
【0029】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第4の近視野光発生素子の作製方法は、 前記微小散乱体マスク部形成工程において、さらに、前記露光光束により露光する際に、前記光伝搬体を回転させながら露光する工程を含むことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、本発明に係る第1から第3の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、ほぼ円形の開口を形成でき、しかもその中心に微小散乱体を形成することができるので、開口中心に微小散乱体が形成された近視野光発生素子を容易に作製できる。
【0031】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第5の近視野光発生素子の作製方法は、前記開口形成工程が、前記光伝搬体の前記微小散乱体マスク部が形成された側に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、前記微小散乱体マスク部を除去することで開口を形成する微小散乱体マスク部除去工程とからなることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、本発明に係る第1から第4の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、基板全域に遮光膜形成し、微小散乱体マスク部を除去することで開口を形成することが容易にできるので、非常に簡単であり低コストである。よって、近視野光発生素子を大量生産・低コスト化をさらにはかることができる。
【0033】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第6の近視野光発生素子の作製方法は、前記開口形成工程が、前記微小散乱体マスク部を用い前記光伝搬体の一部をエッチングすることで薄くする光伝搬体加工工程と、前記光伝搬体の前記微小散乱体マスク部が形成された側に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、前記微小散乱体マスク部を除除去することで開口を形成する微小散乱体マスク部工程とからなることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、本発明に係る第1から第4の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、基板をエッチング加工するためのマスクを特別に形成せずとも、基板をエッチング加工することができ、コストアップの要因を最大限に取り除くことができ、低コストで近視野光発生素子を作製することができる。また、遮光膜と微小散乱体との高さが同じ近視野光発生素子を作製することが容易にできる。その為、サンプル表面と、プラズモンが発生している微小散乱体の距離を短くできる。よって、サンプル表面と微小散乱体との相互作用の結果生じる散乱光の強度を大幅に強くでき、光の利用効率がさらの向上する。さらに、サンプルと微小散乱体の距離が非常に近接していることで、分解能も向上する。
【0035】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第7の近視野光発生素子の作製方法は、前記光伝搬体が、コアとクラッドからなる導光構造をもつことを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、本発明に係る第1から第6の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、近視野光発生素子の厚さを薄くできるので、薄型の近視野顕微鏡や光メモリ装置を実現できる。さらに、レンズ等の構成部品を減らす事ができるので、調整や組立て時間の短縮や、装置としてのさらなる低コスト化をはかることができる。さらに、導波路形成の材質として、可とう性を有する材料を用いた場合には、開口形成後に基板を取り除くことで、可とう性を有する近視野光発生素子を作製できる。
【0037】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第8の近視野光発生素子の作製方法は、前記露光光束が、前記光伝搬体を透過する波長成分を含んでいることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、本発明に係る第1から第7の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、露光する際に、非常に光放射強度の強い光源を用いる必要が無くなり、露光装置の低コスト化、小型化が可能となる。
【0039】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第9の近視野光発生素子の作製方法は、前記露光光束が、前記微小散乱体において、プラズモンを発生する波長を含んでいることを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、本発明に係る第1から第8の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、露光光束に非常に光放射強度の大きい高価な光源を用いなくともよく、露光装置も安価となる。よって、近視野光発生素子の作製コストをさらに下げる事ができる。また、光照射強度の大きな光源は、消費電力や発熱量も大きく、この点も本発明の方法を用いる事で、低下させることができる。
【0041】
また、上記課題を解決するために本発明に係る第10の近視野光発生素子の作製方法は、前記微小散乱体が、金、銀、銅、白金のいずれかを含むことを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、本発明に係る第1から第9の近視野光発生素子の作製方法の効果に加え、その入手の容易性が容易なことから、安価であり、さらなる低コスト化をはかることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、近視野光発生素子を用いた装置と、本発明の近視野光発生素子の作製方法について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、微小散乱体が開口内部にある近視野光発生素子を用いた装置の一例を説明する。
【0044】
図5は、近視野発生素子を用いた装置の一例を説明した図である。また、図6は、図5の装置で用いた近視野光発生素子を説明する図である。この装置は、近視野光顕微鏡であり、平面型のプローブを用いて、サンプル上の微小な領域の光学特性を透過で測定するための装置である。
【0045】
図6において、近視野光発生素子501には、基板601の上部に形成された厚さ100nmの遮光膜602に直径200nmの開口502が設けられている。そして、この開口502の内部に銀の微小散乱体603が形成されている。この微小散乱体603の大きさは、50nm程度である。ここで、光源としては波長488nmの可視光を用い、基板601としては石英基板を用いた。
【0046】
このような近視野光発生素子501を用いた近視野光顕微鏡の動作について以下に説明する。
【0047】
図5において、近視野光発生素子501の開口502が形成された側をサンプル509にピエゾステージなどを用いることにより、開口502とサンプル509の表面が数十nm程度になるまで近接させる。レーザー503を出射した光束は、レンズ505、ミラー508、レンズ506をもちいて、近視野光発生素子501の開口502近傍に集光される。すると、近視野光発生素子501に形成された光の波長以下サイズの微小構造である微小散乱体603を有する開口502の近傍に近視野光が発生する。その際、金属の微小散乱体603近傍には、プラズモンが生成されるので非常に強い近視野光が得られる。この近視野光をサンプル509に照射すると、サンプル509表面の微小な凹凸や屈折率等の光学定数の変化との相互作用により近視野光が散乱光に変換される。その後、受光素子504でこの散乱光を検出する。このような方法はイルミネーションモードと呼ばれている。このような方法により、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域における光学情報を観察することが可能となる。
【0048】
このような開口502内部に金属などのプラズモンを生成する微小散乱体603がある近視野光発生素子501では、その分解能は、開口502の大きさではなく、微小散乱体603の大きさでほぼ決まる。つまり、このような近視野光発生素子501を用いると、分解能の大幅な向上と検出器で得られる光強度の増大を同時に実現し、レーザーの低出力化や装置の低消費電力化をかはることができる。さらに、このような近視野光発生素子501は、非常に微小な領域の光学的な特性を観察することが可能である。
【0049】
また、光学情報の観察としては、サンプルに光を照射することによりサンプル表面上に近視野光を発生させ、この近視野光を近視野光発生素子の微小散乱体との相互作用により散乱光に変換する(コレクションモード)方法でも観察可能である。
【0050】
ここでは、近視野光発生素子を用いた装置として近視野光顕微鏡を用いた。しかし、サンプルを記録メディアとすることで、記録メディアに記録された情報の再生や、記録メディアへの情報の記録を行う光メモリ装置に本発明の近視野光発生素子を用いても良い事は言うまでもない。記録メディアに情報を記録するには、微小散乱体を有する開口より生成される近視野光を記録メディア表面に照射させ、記録メディア上の微小な領域の形状を変化させたり(ヒートモード記録)、微小な領域の屈折率あるいは透過率を変化させる(フォトンモード記録)ことにより行う。
【0051】
次に、上述したような近視野光顕微鏡や光メモリなどの装置に用いる近視野光発生素子の作製方法について説明する。
【0052】
図1は、本発明の近視野光発生素子の作製方法を説明した図である。この図は、微小散乱体を開口内部に作製する方法に関する部分のみを示してある。もちろん近視野顕微鏡や光メモリ装置の近視野光発生素子として用いるには、この他に必要に応じ近視野光発生素子の形状や構造を作製する工程が必要であるが、ここではその説明を省略する。
【0053】
本発明の開口内部に微小散乱体を有する近視野光発生素子の作製工程は、光伝搬体上に微小散乱体を形成する微小散乱体形成工程101と、この光伝搬体の屈折率より低い低屈折率材を光伝搬体に接触させ、光伝搬体と低屈折率材との界面での全反射条件を満たす露光光束をもちいて微小散乱体を覆うように光伝搬体の表面に微小散乱体マスク部を形成する微小散乱体マスク部形成工程102と、この微小散乱体マスク部を用いて微小散乱体が開口の内部に配置されるように開口を形成する開口形成工程103とからなる。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
【0054】
図7は、微小散乱体形成工程を詳細に説明する図である。この工程は、光伝搬体である基板601上に微小散乱体を形成する工程である。
【0055】
まず、ステップS702で、石英やガラス等の基板601上部に、レジスト膜701をスピンコート等の方法により成膜する。
【0056】
次にステップS703で、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を使用して、レジスト膜701を露光・現像し、レジスト膜が残っているレジスト部702とレジスト膜が除去されたレジスト除去部703を形成する。
【0057】
次に、ステップS704では、基板601の上部に形成されたレジスト膜除去部703に対して、基板601の斜め方向より銀を蒸着にする。この時、蒸着する銀の厚さは数十nm以下である。すると、レジスト部702の上部にレジスト上部金属膜704と、レジスト膜除去部703の1つの角の部分のみに銀が蒸着される。レジスト膜除去部703の1つの角にしか銀が蒸着されない理由は、斜方蒸着で銀を成膜しようとしているので、レジスト部702の厚さのために、レジスト膜除去部703の一部が影になり銀が蒸着されず、レジスト膜除去部703の1つの角にのみに銀が形成されるからである。この蒸着された銀が微小散乱体603となる。
【0058】
そして、ステップS705において、レジスト部702を除去する事で、レジスト部702とレジスト上部金属膜704を除去する。このような方法により微小散乱体603を形成すると、微小散乱体の大きさは、直径50nm程度以下のものを基板601上に作製可能である。
【0059】
よって、大きさ50nm程度の銀が微小散乱体603として基板601に形成される。
【0060】
ここで、レジスト膜の露光に電子ビーム露光などを用いるとレジスト除去部703の寸法が数十nm以下の大きさのものが作製可能である。その場合にはこのような斜方蒸着をせずともよい。しかし、大量生産可能なステッパーなどを用いた通常の半導体技術では、数十nmのパターンを形成することは困難である。よって、本実施の形態では、このような方法で作製した。
【0061】
また、ここでは微小散乱体の材質として銀原子を用いたが、微小散乱体の材質としては銀以外にも、金や銅、白金などの金属や、非金属など、サンプルの表面を観察するときに使用する光源の波長に対してプラズモンを発生させる物質であれば良い事は言うまでもない。特に銀、金、銅、白金などの金属の微小散乱体は、可視光に対して容易にプラズモンが発生し、しかも入手が容易で、安価である。
【0062】
さらに、微小散乱体形成工程は、すでにいくつかの方法が提案されており、本方法以外の方法をもちいて微小散乱体を基板上に形成してもよい。
【0063】
次に、微小散乱体マスク部形成工程について説明する。
【0064】
図2は、本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について説明した図である。
【0065】
微小散乱体マスク部形成工程は、光伝搬体の屈折率より低い低屈折率材を光伝搬体上に形成し、光伝搬体と低屈折率材との界面での全反射条件を満たす露光光束をもちいて微小散乱体を覆うように微小散乱体マスク部を形成する工程である。
【0066】
より詳細に説明すると、この微小散乱体マスク部形成工程は、微小散乱体形成工程で作製された光伝搬体に対して、微小散乱体を覆うように光伝搬体の屈折率よりも低い低屈折率材として低屈折率層を光伝搬体の上部に形成する低屈折率層形成工程201と、低屈折率層の上部にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程202と、光伝搬体と低屈折率層との界面での全反射条件を満たす露光光束をもちいてレジスト膜を露光・現像しレジスト保護部を形成するレジスト露光現像工程203と、このレジスト保護部を用いて低屈折率層より低屈折率保護部を形成する低屈折率保護部形成工程204とからなる。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について詳細に説明する図である。以下、図8を用いて微小散乱体マスク部形成工程について説明する。
【0068】
まず、低屈折率層形成工程として、ステップS802で、基板601の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材として低屈折率層801を成膜する。この低屈折率層801は、酸化シリコンや窒化シリコン等にフッ素をドープした石英系材料、ポリイミドやポリメタクリル酸といった高分子等の誘電体材料を堆積させる。誘電体材料である酸化シリコンに屈折率を下げる為にフッ素をドープする場合には、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法によって容易に形成できる。また、ポリイミドやポリメタクリル酸等のプラスティック材料は、液状プラスティックを塗布して硬化積層させればよい。
【0069】
次に、レジスト膜形成工程として、低屈折率層801の上部に、レジスト膜802をスピンコート等の方法により成膜する。
【0070】
次に、レジスト露光現像工程として、ステップS803で、露光光束803を基板601のレジスト膜802が形成された面とは異なる面から入射させる。この露光光束803は基板601と低屈折率層801との界面での全反射条件を満足するように基板601に入射させる。すると、微小散乱体603が形成されている場所以外では、基板601と低屈折率層801との界面で露光光束803が全反射し、その上部のレジスト膜802は露光されない。しかし、微小散乱体603が形成されている場所では、全反射条件が崩れ、基板601と低屈折率層801との界面で露光光束803が全反射せず微小散乱体603で散乱される。よって、この散乱光は低屈折率層801を透過し、レジスト膜802の微小散乱体603の上部近傍部分のみ露光される。この露光光束803は、1つの波長成分からなる光束である必要なく、複数の波長あるいは、ある波長帯域をもつ光束でもよい。
【0071】
ここで、レジスト膜802の光感度が不十分なため、この微小散乱体603で散乱された露光光束803では十分露光できない場合には、微小散乱体603でプラズモンを生成するような波長を含む露光光束を用いることで解決可能である。なぜなら、そのような波長を含む露光光束により微小散乱体でプラズモンが生成され、微小散乱体603と露光光束803との相互作用の結果生じる散乱光の強度が非常に強くなるためである。そのような微小散乱体の材質としては、入手の容易性などから金、銀、銅、白金などが特に適している。
【0072】
その後、ステップS804では、ステップS803で露光されたレジスト膜802を現像することで、レジスト保護部804を形成する。ここで、形成されたレジスト保護部804は、後ほど開口形成工程で説明する開口の大きさに大きく影響する。レジスト保護部804の大きさは、露光光束803の強度を制御することで容易にコントロールすることができる。よって、開口の大きさは、露光光束803の光強度で容易に制御可能である。
【0073】
また、レジスト膜802にレジスト保護部804を形成するための露光光束803を照射する以外に、さらに、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を用いて、開口以外の構造を基板上に形成することも容易に実現可能である。
【0074】
また、上述のような方法により、レジスト膜802を露光・現像しレジスト保護部804を形成すると、露光光束803を一方向より照射している為に、微小散乱体603で散乱する散乱光がある方向性を有してしまう。その為に、レジスト保護部804の形状が非対称となる。これを回避するには、露光する際に、基板601を回転させながら露光させたり、全反射条件を満たす範囲で露光光束を一方向からだけでなくあらゆる方向から露光光束を照射することで、そのような非対称性を無くすこともできる。
【0075】
最後にステップS805では、ステップS804で形成したレジスト保護部805を用いて、低屈折率層801をエッチングし、低屈折率保護部805を形成する。このレジスト保護部と低屈折率保護部が微小散乱体マスク部となる。
【0076】
ここでは、露光光束の強度を制御することで、この微小散乱体マスク部の大きさは、直径が200nmの円形とすることができた。
【0077】
最後に、開口形成工程について説明する。
【0078】
図3は、本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について説明した図である。
【0079】
開口形成工程は、光伝搬体の微小散乱体マスク部が形成された側に遮光膜を形成する遮光膜形成工程301と、微小散乱体マスク部を除去することで開口を形成する微小散乱体マスク部除去工程302とからなる。
【0080】
図9は、本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について詳細に説明する図である。以下、図9を用いて開口形成工程について説明する。
【0081】
まず、遮光膜形成工程として、ステップS902で、微小散乱マスク部形成工程で作製された基板の上部に、スパッタや真空蒸着等の方法により遮光膜901としてAlを100nm成膜する。すると、レジスト保護部804の上部と基板601の上部の遮光膜901が形成される。本実施の形態では、Alを用いたが、この遮光膜901の材質は、AlやCuなどの金属に限らず、用いる光源に対して十分な遮光率を有する材質であれば良いことは言うまでもない。
【0082】
次に、微小散乱体マスク部除去工程として、ステップS903で、レジスト保護部804と低屈折率保護部805を取り除く。すると遮光膜901のうち、レジスト保護部805の上部に形成されている遮光膜がレジスト保護部804と一緒に除去される。よって、基板601の上部に形成されたAlの遮光膜602に、レジスト保護部804とほぼ同じ大きさの直径が200nmの円形な開口502が形成される。よって、開口502の内部に直径50nmの銀の微小散乱体603が形成された近視野光発生素子を作製することができる。必要に応じて、最後に、開口502内部の微小散乱体603や遮光膜602の上部に透明な保護膜を形成する。
【0083】
ここで、微小散乱体マスク部形成工程において、微小散乱体マスク部の大きさを露光光束の光強度で制御することで、開口の大きさを制御することが可能である。
【0084】
また、露光光束に対して透過率が低い基板(例えば可視光に対するSi基板など)を用いる場合には、微小散乱体近傍のみに露光光束が照射するように基板の一部に空間を形成したり、透過率の高い材質を埋め込むことで同様な方法で近視野光発生素子を作製することができる。
【0085】
さらに、露光光束と、図5で示した近視野光発生素子を用いた装置の光源の波長とが同じ波長である必要ははい。
【0086】
さらに、本実施の形態では、1枚の基板上に、内部に微小散乱体が存在する開口を1つ作製する工程について説明したが、同様な方法により、1枚の基板上に微小散乱体を内部にもつ複数の開口を同時に作製することも可能である。もちろん、1枚の基板上に複数個の近視野光発生素子を同時に作製することができる。1枚の基板上に複数個の近視野光発生素子を作製した場合には、必要に応じてダイシング等の方法により、1つ1つの近視野光発生素子に分割する工程が必要である。
【0087】
従って以上説明したように、本実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法において、微小散乱体形成工程により、光伝搬体である基板上に微小散乱体を形成し、その後、微小散乱体マスク部形成工程により微小散乱体を覆うようにレジスト保護部と低屈折率保護部とからなる微小散乱体マスク部を形成し、最後に微小散乱体を内部に有するような開口を形成することで、微小散乱体を内部に持つ開口を有する近視野光発生素子を作製することが可能となる。
【0088】
よって、プラズモンを生成する微小散乱体を開口内部にもつ近視野光発生素子を作製することが容易に可能となる。そして、本発明の近視野光発生素子の作製プロセスそのものは、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術で可能であり、プラズモン効果を利用した高性能な近視野光発生素子の大量生産を可能にし、しかも低コスト化を容易にはかる事ができる。
【0089】
さらに、開口を形成するためのマスクである微小散乱体マスク部は、基板上に形成された微小散乱体をもちいて形成する為に、微小散乱体と開口形成用のマスクのアライメントをまったく必要としない。通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術では、微小散乱体マスク部であるレジスト保護部と低屈折率保護部の形状を高精度に作製することは容易であるが、その位置を数十nmという精度で制御することは非常に困難であり、開口内部に微小散乱体を形成することは今までの方法では不可能であった。しかし、本実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法によれば、開口を形成するためのマスクを形成したり、FIB加工による開口形成をする必要が無く、厳密な位置合わせや複雑な作製プロセスを踏まなくとも、必ず、開口内部に微小散乱体が形成される。よって、プラズモンを利用した高性能な近視野光発生素子の大量生産を可能にし、しかも低コスト化を容易にはかる事ができる。
【0090】
さらに、露光光束を用いて、レジスト保護部を形成し、その後低屈折率保護部形成するので、露光光束の強度を制御することで、微小散乱体マスク部であるレジスト保護部や低屈折率保護部の大きさを制御することが容易となる。よって、この露光光束の光強度を制御する事で、微小散乱体マスク部を用いて形成する開口の大きさを容易に制御可能である。
【0091】
さらに、低屈折率層の上にレジスト膜を形成しているので、レジスト保護部を形成するための露光光束を照射する以外に、さらに通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術をもちいて、開口以外の構造を基板上に形成することが容易に実現可能である。よって、開口以外の構造を容易に基板上に形成することが同時に可能となり、工程数の低減と近視野光発生素子の製造コストを低く抑えることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態の作製方法により作製された近視野光発生素子を用いた装置においても低コスト化でき、本発明により作製される近視野光発生素子がプラズモン効果を利用しているため光の利用効率を飛躍的に向上する事ができ、低消費電力化、装置の小型が可能となる。
【0093】
その上、本発明の方法により作製された近視野光発生素子を近視野光顕微鏡や光メモリ装置に応用する場合には、微小開口以外の必要な形状を作製するためのプロセスも同じ通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を利用できるのでプロセスの親和性も非常に高い。
【0094】
また、本実施の形態の作製方法によれば、微小散乱体マスク部形成工程において、微小散乱体マスク部を形成する露光をする際に、基板を回転させながら露光することで、ほぼ円形の開口を形成でき、しかもその中心に微小散乱体を形成することができる。よって、開口中心に微小散乱体が形成された近視野光発生素子を容易に作製できる。
【0095】
さらに、露光光束は基板601を透過させて露光するので、露光光束が光伝搬体である基板601を透過する波長成分を含んでいることが必要である。露光光束がそのような波長を含んでいれば、露光する際に、非常に光放射強度の強い光源を用いる必要が無くなり、露光装置の低コスト化、小型化が可能となる。
【0096】
さらに、本実施の形態の作製方法によれば、露光光束には、微小散乱体において少なくともプラズモンを発生する波長成分を含む光束を用いる事により、レジスト膜の光感度が不十分で、微小散乱体で散乱された露光光束では十分露光できない場合にも、微小散乱体でプラズモンが生成され、微小散乱体と露光光束との相互作用の結果生じる散乱光の強度が非常に強くなる。よって、露光光束に非常に光放射強度の大きい高価な光源を用いなくともよく、露光装置も安価となる。よって、近視野光発生素子の作製コストをさらに下げる事ができる。また、光放射強度の大きな光源は、消費電力や発熱量も大きく、この点も本発明の方法を用いる事で、消費電力や発熱量の低下を実現できる。
【0097】
さらに、微小散乱体の材質としては、金、銀、銅、白金などを用いた場合には、その入手の容易性が容易なことから、安価であり、さらなる低コスト化をはかれる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる近視野光発生素子の作製方法を説明する。
【0098】
図4は、実施の形態1における開口形成工程の他の作製方法であり、その他の工程は実施の形態1と同じであるので、微小散乱体形成工程と微小散乱体マスク部形成工程については説明を省略する。またその他の工程についても説明を一部省略或いは簡単にする。
【0099】
本発明の実施の形態2にかかる近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程は、微小散乱体マスク部を用い基板の一部をエッチングにより薄くする光伝搬体加工工程401と、基板の微小散乱体マスク部が形成された側に遮光膜を形成する遮光膜形成工程301と、微小散乱体マスク部を除去することで開口を形成する微小散乱体マスク部除去工程302とからなる。
【0100】
図10は、本発明の実施の形態2に係る開口形成工程を詳細に説明する図である。
【0101】
ステップS1001では、実施の形態1の微小散乱体形成工程と微小散乱体マスク部形成工程により作製された基板601の上部に形成された微小散乱体603と、この微小散乱体603を覆うように形成された微小散乱体マスク部であるレジスト保護部804と低屈折率保護部805を示してある。
【0102】
次に、光伝搬体加工工程として、ステップS1002で、レジスト保護部804をマスクとして、基板601の一部をエッチングすることにより薄くし、エッチング部1001を形成をする。
【0103】
その後、遮光膜形成工程として、ステップS1003で、実施の形態1で説明した方法と同様な方法により、エッチング部1001を形成した基板601の上部にAlの遮光膜1002を形成する。
【0104】
最後に、レジスト除去工程として、ステップS1004で、実施の形態1での説明した方法と同様にしてレジスト保護部804と低屈折率保護部805を除去することで、それらの上部に形成されている遮光膜を除去する。よって、遮光膜1003に微小散乱体603を内部にもつ開口502が形成された近視野光発生素子を作製することができる。
【0105】
ここで、ステップS1003で基板601をエッチングする量は、その後形成する遮光膜1003の厚さから微小散乱体603の大きさを引いた程度の量とする。例えば、微小散乱体603の大きさが50nm、遮光膜1003の厚さが100nmとすると、基板601をエッチングする量は50nm程度である。つまり、作製した近視野光発生素子の遮光膜1003と微小散乱体603がほぼ同じ高さになるようにする。
【0106】
よって、基板601の上部に形成されたAlの遮光膜1003に、微小散乱体マスク部であるレジスト保護部の形状とほぼ同じ直径200nm程度の円形の開口502が形成される。そして、その開口502の内部に50nmの銀の微小散乱体603が形成されている。しかも、遮光膜1003と微小散乱体603の高さが同じ近視野光発生素子を作製することができる。
【0107】
従って以上説明したように、本実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程において、光伝搬体加工工程によりレジスト保護部をマスクとして用い基板の一部を薄くし、その後、遮光膜形成工程で基板の微小散乱体が形成された側に遮光膜を形成し、最後にレジスト除去工程により、レジスト保護部を除去して開口を形成することで、微小散乱体を内部に持つ開口を有する近視野光発生素子を作製した。
【0108】
よって、実施の形態1で説明した効果に加え、基板をエッチング加工するためのマスクを特別に形成せずとも、基板をエッチング加工することができ、コストアップの要因を最大限に取り除くことができ、低コストで近視野光発生素子を作製することができる。また、遮光膜1003と微小散乱体603の高さが同じ近視野光発生素子を作製することが容易にできる。このような近視野光発生素子を用いると、サンプル表面と、プラズモンが発生している微小散乱体の距離を短くできる。よって、サンプル表面と微小散乱体との相互作用の結果生じる散乱光の強度を大幅に強くでき、光の利用効率がさらに向上する。さらに、サンプルと微小散乱体の距離が非常に近接していることで、分解能も向上する。
(実施の形態3)
つぎ、実施の形態3に係る近視野光発生素子を用いた装置について説明する。
【0109】
図11は、実施の形態3に係る近視野発生素子を用いた装置の一例を説明した図である。また、図12は、図11の装置で用いた近視野光発生素子を説明する図である。この装置は、実施の形態1と同じく近視野光顕微鏡であり、コアとクラッドからなる導波路の端面に45度の反射面を有したプローブを用いている以外は実施の形態1と同じである。よって、実施の形態1を同じ部分については、説明を一部省略あるいは簡単にする。
【0110】
図12において、近視野光発生素子1101には、基板1201に下部クラッド1207、コア1205、上部クラッド1206が形成されている。上部クラッド1206の上部には厚さ100nmの遮光膜1202に直径200nmの開口1204が設けられている。そして、この開口1204の内部には銀の微小散乱体1203が形成されている。この微小散乱体1203の大きさは、50nm程度である。近視野光発生素子1101の端面には45度の反射面1208が形成されており、コア1205を導波してきた光束1209は、反射面1208により上部クラッド1206側に曲げられ、開口1204に照射される。ここで、光源としては波長488nmの可視光を用い、基板1201としては石英基板を用いた。
【0111】
このような近視野光発生素子1101を用いた近視野光顕微鏡の動作について図11をもちいて説明する。
【0112】
実施の形態1での説明と同様に近視野光発生素子1101の開口1204が形成された側をサンプル509にピエゾステージなどを用いることにより、開口1204とサンプル509の表面が数十nm程度になるまで近接させる。レーザー503を出射した光束は、レンズ1102をもちいて近視野光発生素子1101のコア1205に入射される。コア1205に入射された光束は、反射面1208までコア1205を導波する。コア1205を導波し反射面1208で反射された光束1209は、上部クラッド1206方向に曲げられ、開口1204近傍に照射される。すると、近視野光発生素子1101に形成された光の波長以下サイズの微小構造である微小散乱体1203を有する開口1204の近傍に近視野光が発生する。その際、金属の微小散乱体1203近傍には、プラズモンが生成されるので非常に強い近視野光が得られる。この近視野光をサンプル509に照射すると、サンプル509表面の微小な凹凸や屈折率等の光学定数の変化との相互作用により近視野光が散乱光に変換され、受光素子504でこの散乱光を検出する。このような方法はイルミネーションモードと呼ばれている。これにより、実施の形態1で説明した近視野光発生素子を用いた装置と同様に、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域における光学情報を観察することが可能となる。
【0113】
よって、実施の形態1と同様に、このような近視野光発生素子1101を用いると、分解能の大幅な向上と検出器で得られる光強度の増大を同時に実現し、レーザーの低出力化や装置の低消費電力化をかはることができ、さらに、非常に微小な領域の光学的な特性を観察することが可能である。
【0114】
実施の形態1同様に、このような近視野光発生素子を用いた装置として記録メディアに記録された情報の再生や、記録メディアへの情報の記録を行う光メモリ装置に本発明の近視野光発生素子を用いても良い事は言うまでもない。
【0115】
次に、上述した近視野光発生素子の作製方法について説明する。
【0116】
本実施の形態による近視野光発生素子の作製方法は、コアとクラッドを有している以外は、実施の形態1で説明した方法とほぼ同じ作製方法である。よって、実施の形態1と同じ部分については、説明を一部省略あるいは、簡単にする。
【0117】
本実施の形態による近視野光発生素子の作製方法は、実施の形態1の図1と同じく、微小散乱体形成工程、微小散乱体マスク部形成工程、開口形成工程とからなる。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
【0118】
もちろん近視野顕微鏡や光メモリ装置の近視野光発生素子として用いるには、この他に必要に応じ近視野光発生素子の形状を作製する工程が必要であるが、ここではその説明を省略する。
【0119】
図13は、微小散乱体形成工程を説明する図である。この工程では、基板1201上に光伝搬体として下部クラッド1207、コア1205、上部クラッド1206を形成し、その後微小散乱体を形成する。
【0120】
ステップS1302では導波路とレジスト膜1301を形成する。まず、石英やガラス等の基板1201上部に、下部クラッド1207を成膜する。次に、下部クラッドよりも屈折率の高いコア1205を形成する。その後、コア1205より屈折率の低い上部クラッド1206を成膜する。最後に、この上部クラッド1206の上に、レジスト膜1301をスピンコート等の方法により成膜する。ここで、導波路の材質しては、酸化シリコンや窒化シリコン等にフッ素をドープした石英系材料、ポリイミドやポリメタクリル酸といった高分子等をもちいることができる。誘電体材料である酸化シリコンには、ゲルマニウムやフッ素等をドープすることで、屈折率を調整でき、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法によって容易に形成できる。
【0121】
次にステップS1303で、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を使用して、レジスト膜1301を露光・現像し、レジスト膜が残っているレジスト部1302とレジスト膜が除去されたレジスト除去部1303を形成する。
【0122】
次に、ステップS1304では、レジスト膜除去部1303に対して、基板1201の斜め方向より銀を蒸着にする。この時、蒸着する銀の厚さは数十nm以下である。すると、レジスト部1302の上部にレジスト上部金属膜1304と、レジスト膜除去部1303の1つの角の部分に銀が蒸着される。この蒸着された銀が微小散乱体1203となる。
【0123】
そして、ステップS1305において、レジスト部1302を除去する事で、レジスト部1302とレジスト上部金属膜1304を除去する。このような方法により微小散乱体1203を形成すると、微小散乱体の大きさは、直径50nm程度以下のものを作製可能である。
【0124】
ここで、実施の形態1と同様に、レジスト膜の露光に電子ビーム露光などを用いることもできることはいうまでもない。
【0125】
また、微小散乱体の材質として銀原子を用いたが、微小散乱体の材質としては銀以外にも、金や銅、白金などの金属や、非金属など、使用する光源の波長に対してプラズモンを発生させる物質であれば良い事は言うまでもない。特に銀、金、銅、白金などの金属の微小散乱体は、可視光に対して容易にプラズモンが発生し、しかも入手が容易で、安価である。
【0126】
さらに、微小散乱体形成工程は、すでにいくつかの方法が提案されており、本方法以外の方法をもちいて微小散乱体を基板上に形成してもよい。
【0127】
次に、微小散乱体マスク部形成工程について説明する。
【0128】
実施の形態1と同様に、微小散乱体マスク部形成工程は、低屈折率層形成工程と、レジスト膜形成工程と、レジスト露光現像工程と、低屈折率保護部形成工程とからなる。
【0129】
図14は、本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について詳細に説明する図である。以下、図14を用いて微小散乱体マスク部形成工程について説明する。
【0130】
まず、低屈折率層形成工程として、ステップS1402で、上部クラッド1206よりも屈折率の低い屈折率を有する低屈折率層1401を成膜する。
【0131】
次に、レジスト膜形成工程として、低屈折率層1401の上部に、レジスト膜1402をスピンコート等の方法により成膜する。
【0132】
次に、レジスト露光現像工程として、ステップS1403で、上部クラッド1206と低屈折率層1401との界面での全反射条件を満足するような露光光束1403を基板1201の裏面側から入射させる。すると、実施の形態1と同様に、露光光束1403は微小散乱体1203で散乱され、低屈折率層1201を透過し、レジスト膜1402の微小散乱体1203の上部近傍部分のみ露光される。
【0133】
その後、ステップS1404では、ステップS1403で露光されたレジスト膜1402を現像することで、レジスト保護部1404を形成する。
【0134】
ここで、実施の形態1と同様に、露光する際に、基板1201を回転させながら露光させたり、全反射条件を満たす範囲で露光光束を一方向からだけでなくあらゆる方向から照射することで、微小散乱体1203の真上にレジスト保護部1404を形成することができる。また、ここで、実施の形態1と同様に、レジスト膜1402に、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術を用いて、開口以外の必要な形状や構造を形成することができる。
【0135】
最後にステップS1405では、ステップS1404で形成したレジスト保護部1404を用いて、低屈折率層1401をエッチングし、低屈折率保護部1405を形成する。このレジスト保護部と低屈折率保護部が微小散乱体マスク部となる。
【0136】
ここでは、露光光束の強度を制御することで、この微小散乱体マスク部の大きさは、直径が200nmの円形とすることができた。
【0137】
最後に、開口形成工程について説明する。
【0138】
開口形成工程は、実施の形態1と同様に、遮光膜形成工程と、微小散乱体マスク部除去工程とからなる。
【0139】
図15は、本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について詳細に説明する図である。
【0140】
まず、遮光膜形成工程として、ステップS1502で、微小散乱体マスク部形成工程で作製された基板の上部に、スパッタや真空蒸着等の方法により遮光膜としてAlを厚さ100nm程度成膜する。すると、レジスト保護部1404の上部と上部クラッド1206の上部に遮光膜1501が形成される。本実施の形態では、Alを用いたが、この遮光膜1501の材質は、AlやCuなどの金属に限らず、用いる光源に対して十分な遮光率を有する材質であれば良いことは言うまでもない。
【0141】
次に、微小散乱体マスク部除去工程として、ステップS1503で、レジスト保護部1404と低屈折率保護部1405を取り除く。すると遮光膜1501のうち、レジスト保護部1404の上部に形成されている遮光膜がレジスト保護部1404と一緒に除去される。よって、上部クラッド1206の上部に形成されたAlの遮光膜1202に、レジスト保護部1204とほぼ同じ大きさの直径200nmの円形な開口1204が形成れる。よって、開口1204の内部に直径50nmの銀の微小散乱体1203が形成された近視野光発生素子を作製することができる。
【0142】
ここで、開口形成工程として、実施の形態2で説明した方法により開口を形成しても良いことは言うまでもない。
【0143】
この開口形成工程の後、コア1205とクラッド1206、1207からなる導波路が形成された基板1201をダイシング等の方法により、45度の反射面1208を形成する。反射面1208には必要に応じて金属等の反射膜を形成する。
【0144】
また、必要に応じて、最後に、開口1204内部の微小散乱体1203や遮光膜1202の上部に透明な保護膜を形成する。
【0145】
ここで、基板1201は、開口1204は形成された後に、必要に応じて取り除くことも可能である。
【0146】
さらに、基板1201が露光光束に対して十分な透過率を有していない場合には、露光光束は基板1201を透過することができない。その場合には、図13のステップS1302において、基板1201と下部クラッド1207の間に、下部クラッド1207よりも屈折率の低い第2の低屈折率層をさらに形成しておく。そして、この第2の低屈折率層と低屈折率層1206をクラッドとし、下部クラッド1207とコア1205と上部クラッド1206を1つのコアとする導波路と考える。そして、この導波路に露光光束を導波させることにより、上部クラッド1206と低屈折率層1401との界面では、全反射条件が満足される。そして、本実施の形態3で説明したように、微小散乱体1203でその全反射条件が崩れ、微小散乱体で散乱光となり、レジスト層1402を露光する。よって、基板1201が露光光束に対して十分な透過率を有していない場合でも、本実施の形態3と同様に、開口内部に微小散乱体を有する近視野光発生素子を作成できる。
【0147】
従って以上説明したように、本実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法において、微小散乱体形成工程により、光伝搬体であるコアとクラッドからなる導波路上に微小散乱体を形成し、その後、微小散乱体マスク部形成工程により微小散乱体を覆うようにレジスト保護部と低屈折率保護部とからなる微小散乱体マスク部を形成し、最後に微小散乱体を内部に有するような開口を形成することで、微小散乱体を内部に持つ開口を有する近視野光発生素子を作製することが可能となる。
【0148】
本実施の形態の作製方法によれば、実施の形態1の効果に加え、近視野光発生素子の厚さを薄くできるので、薄型の近視野顕微鏡や光メモリ装置を実現できる。さらに、実施の形態1に比べ、レンズ等の構成部品を減らすことができ、調整や組立て時間の短縮や、装置としてのさらなる低コスト化をはかることができる。また、導波路形成の材質として、可とう性を有する材料を用いた場合には、開口形成後に基板を取り除くことで、可とう性を有する近視野光発生素子を作製できる。
(実施の形態4)
図16に本発明の実施の形態4にかかる近視野光発生素子の作製方法、とくに微小散乱体マスク部形成工程を説明する図を示す。図16は、実施の形態1における微小散乱体マスク部形成工程の他の作製方法であり、微小散乱体形成工程は実施の形態1と全く同じであるので、微小散乱体形成工程については説明を省略にする。また開口形成工程については、実施の形態1とほぼ同じであるので説明を一部省略或いは簡単にする。
【0149】
本発明の実施の形態4にかかる近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程は、微小散乱体を覆うように光伝搬体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材として光硬化材料を光伝搬体に接触させ、露光光束をもちいて光硬化材料を露光することにより低屈折率保護部を形成する工程からなる。
【0150】
図16において、ステップS1601では、実施の形態1の微小散乱体形成工程により微小散乱体603が形成された基板601を上下反転させて配置してある。
【0151】
その後、ステップS1602では、微小散乱体603が形成された基板601を、光硬化材料1601を入れたケース1602に挿入する。その際、微小散乱体603が光硬化材料1601に十分接触し、基板601の微小散乱体603が形成されていない側は、光硬化材料1601に触れないようする。
【0152】
ここで、光硬化材料1601としては、その屈折率が基板601の屈折率よりも低い材質を用いる必要がある。光硬化材料1601としては、ポリイミドやポリメタクリル酸等のプラスティック材料などを用いればよい。
【0153】
次に、ステップS1603では、基板601と光硬化材料1601との界面での全反射条件を満足するような露光光束1603を基板601の微小散乱体603が形成された側とは異なる面からから入射させる。すると、微小散乱体603が形成されている場所以外では、基板601と光硬化材料1601との界面で露光光束1603が全反射し、その部分の光硬化材料1601は露光・硬化されない。しかし、微小散乱体603が形成されている場所では、全反射条件が崩れ、基板601と光硬化材料1601との界面で露光光束1603が全反射せず微小散乱体603で散乱され、光硬化材料1601を透過し、光硬化材料1601の微小散乱体603の近傍のみが露光・硬化される。
【0154】
ここで、光硬化材料1601の光感度が不十分なため、この微小散乱体603で散乱された露光光束1603では十分露光・硬化できない場合には、微小散乱体603でプラズモンを生成するような波長を含む露光光束を用いることで解決可能である。なぜなら、そのような波長を含む露光光束により微小散乱体でプラズモンが生成され、微小散乱体603と露光光束1603との相互作用の結果生じる散乱光の強度が非常に強くなるためである。そのような微小散乱体の材質としては、入手の容易性などから金、銀、銅、白金などが特に適している。
【0155】
次に、ステップS1604では、ステップS1603の基板603を取り出し、不必要な光硬化材料を洗浄し取り除く。すると、微小散乱体603を覆うように形成された硬化した光硬化材料から、微小散乱体マスク部として低屈折率保護部1604が形成される。
【0156】
ここで、微小散乱体603近傍以外の部分にも、少しだけ光硬化材料1601が露光・硬化される場合がある。その場合には、硬化した光硬化材料をエッチングなどの方法により少しだけ取り除くことで、微小散乱体603近傍にのみ低屈折率保護部1604を形成することができる。
【0157】
また、本実施の形態では、光硬化材料の中に基板を入れたが、光硬化材料が十分な粘度を持っている場合には、基板上601に光硬化材料をスピンコート等の方法により塗布し、基板601の微小散乱体603が形成された側とは異なる面から入射された露光光束により露光し硬化させてもい。
【0158】
次に、本実施の形態4での微小散乱体マスク部形成工程で作製された低屈折率保護部が微小散乱体を覆うように形成された基板に対して、開口形成工程では、実施の形態1と同じ方法により開口を形成する。
【0159】
実施の形態1で説明した微小散乱体マスク部は、レジスト保護部と低屈折率保護部から構成されている。それに対し、本実施の形態では、微小散乱体マスク部は、硬化された光硬化材料からなる低屈折率保護部1604のみから形成されている。本実施の形態ではレジスト保護部が無いが、低屈折率保護部1604のみを微小散乱体マスク部とし、実施の形態1と同様な方法により開口を形成可能である。よって、ここでは、その開口形成工程について、その説明を省略する。勿論、実施の形態2で説明した開口形成工程を用いて、開口を形成しても良い事は言うまでもない。さらに、実施の形態3で説明した近視野光発生素子の作製において、本実施の形態で説明した微小散乱体マスク部形成工程を用いることもできる。
【0160】
ここで、実施の形態1と同様に、微小散乱体マスク部形成工程において、微小散乱体マスク部を形成する露光の際に、基板を回転させながら露光することで、ほぼ円形の開口を形成でき、しかもその中心に微小散乱体を形成することができることは言うまでもない。
【0161】
従って以上説明したように、本実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程において、微小散乱体を覆うように光伝搬体の屈折率よりも低い屈折率を有する光硬化材料を光伝搬体に接触させ、露光光束をもちいて光硬化材料を露光することにより低屈折率保護部を形成することにより微小散乱体マスク部を形成することで、微小散乱体を内部に持つ開口を有する近視野光発生素子を作製した。本実施の形態の微小散乱体マスク部作製工程は、実施の形態1から実施の形態3で説明した近視野光発生素子の作製方法における微小散乱体マスク部形成工程の代わりに用いることが可能である。
【0162】
よって、実施の形態1から実施の形態3で説明した効果に加え、近視野光発生素子としての性能を低下させること無く、低屈折率層とレジスト膜の2層を形成せずに、光硬化材料により低屈折率保護部を形成する事ができるので、作製工程を簡略することができる。そのため、必要な製造装置を減らす事ができ、製造コストの低下を容易にはかることができる。さらに、低屈折率保護部のみを露光光束で硬化させるので、低屈折率保護部を形成するのに必要な材料の使用量を大幅にはらす事ができ、材料費の低減が可能となる。
【0163】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の近視野光発生素子の作製方法によれば、プラズモンを生成する微小散乱体を開口内部にもつ近視野光発生素子を作製することが容易に可能となる。
そして、本発明の近視野光発生素子の作製プロセスそのものは、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術で可能であり、プラズモン効果を利用した高性能な近視野光発生素子の大量生産を可能にし、しかも低コスト化を容易にはかる事ができる。その上、本近視野光発生素子を近視野光顕微鏡や光メモリ装置に応用する場合に必要な近視野光発生素子の開口部分以外の形状を作製するためのプロセスも同じフォトリソグラフィ技術を用いることができるので、開口部分形成工程と他の部分の形状作製工程とのプロセスの親和性も非常に高い。
【0164】
さらに、露光光束を用いて、レジスト保護部を形成し、その後低屈折率保護部形成するので、露光光束の強度を制御することで、微小散乱体マスク部であるレジスト保護部や低屈折率保護部の大きさを制御することが容易となる。よって、この露光光束の光強度を制御する事で、微小散乱体マスク部を用いて形成する開口の大きさを容易に制御可能である。
【0165】
また、低屈折率層の上にレジスト膜を形成しているので、レジスト保護部を形成するための露光光束を照射する以外に、通常の半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィ技術で用いて、開口以外の構造を基板上に形成することが容易に実現可能である。よって、開口以外の構造を容易に基板上に形成することが同時に可能となり、工程数の低減と近視野光発生素子の製造コストを低く抑えることができる。
【0166】
また、本発明の作製方法により作製されたプラズモンを生成する近視野光発生素子を顕微鏡や光情報記録再生装置に用いることで、光の利用効率を飛躍的に向上する事ができ、装置の低消費電力化、装置の小型が可能となる。
【0167】
さらに、微小散乱体マスク部形成工程において、微小散乱体マスク部を形成する露光の際に、基板を回転させながら露光することで、ほぼ円形の開口を形成でき、しかもその中心に微小散乱体を形成することができる。よって、開口中心に微小散乱体が形成された近視野光発生素子を容易に作製できる。
【0168】
さらに、露光光束で基板を透過させて露光するので、露光光束は、光伝搬体である基板透過する波長を含んでいれば、露光する際に、非常に光放射強度の強い光源を用いる必要が無くなり、露光装置の低コスト化、小型化が可能となる。
【0169】
さらに、露光光束には、微小散乱体において少なくともプラズモンを発生する波長を含でいる光束を用いる事により、レジスト膜の光感度が不十分なため、微小散乱体で散乱された露光光束では十分露光できない場合にも、微小散乱体でプラズモンが生成され、微小散乱体と露光光束との相互作用の結果生じる散乱光の強度が非常に強くなる。よって、露光光束に非常に光照射強度の大きい高価な光源を用いなくともよく、露光装置も安価となる。よって、近視野光発生素子の作製コストをさらに下げる事ができる。また、光照射強度の大きな光源は、消費電力や発熱量も大きく、この点も本発明の方法を用いる事で、消費電力や発熱量を低下せることができる。
【0170】
さらに、微小散乱体の材質としては、金、銀、銅、白金などを用いた場合には、その入手が容易なことから、安価であり、さらなる低コスト化を計れる。
【0171】
また、開口形成工程において、基板をエッチングする場合には、基板をエッチング加工するためのマスクを特別に形成せずとも、基板をエッチング加工することができ、コストアップの要因を最大限に取り除くことができ、低コストで近視野光発生素子を作製することができる。また、遮光膜と微小散乱体の高さが同じ近視野光発生素子を用いると、サンプル表面と、プラズモンが発生している微小散乱体の距離を短くできる。よって、サンプル表面と微小散乱体との相互作用の結果生じる散乱光の強度を大幅に強くでき、光の利用効率がさらに向上する。さらに、サンプルと微小散乱体の距離が非常に近接していることで、分解能も向上する。
【0172】
また、近視野光発生素子の光伝搬体として、コアとクラッドからなる光導波路を用いる場合には、近視野光発生素子の厚さを薄くできるので、薄型の近視野顕微鏡や光メモリ装置を実現できる。さらに、レンズ等の構成部品を減らすことができ、調整や組立て時間の短縮や、装置としてのさらなる低コスト化をはかることができる。また、導波路形成の材質として、可とう性を有する材料を用いた場合には、開口形成後に基板を取り除くことで、可とう性を有する近視野光発生素子を作製できる。
【0173】
また、低屈折率保護部を光硬化材料から形成する場には、近視野光発生素子としての性能を低下させること無く、作製工程を簡略化することができる。そのため、必要な製造装置を減らす事ができ、製造コストの低下を容易にはかることができる。さらに、低屈折率保護部のみを露光光束で硬化させるので、低屈折率保護部を形成するのに必要な材料の使用量を大幅にへらす事ができ、材料費の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る近視野光発生素子の作製方法について説明した図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱マスク部形成工程について説明した図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について説明した図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る近視野光発生素子の作製方法の他の開口形成工程について説明した図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子を用いた装置について説明した図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子について説明した図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体形成工程について詳細に説明した図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について詳細に説明した図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について詳細に説明した図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る近視野光発生素子の作製方法の他の開口形成工程について詳細に説明した図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子を用いた装置について説明した図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子について説明した図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体形成工程について詳細に説明した図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について詳細に説明した図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る近視野光発生素子の作製方法の開口形成工程について詳細に説明した図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係る近視野光発生素子の作製方法の微小散乱体マスク部形成工程について詳細に説明した図である。
【符号の説明】
101 微小散乱体形成工程
102 微小散乱体マスク部形成工程
103 開口形成工程
201 低屈折率層形成工程
202 レジスト膜形成工程工程
203 レジスト露光現像工程
204 低屈折率保護部形成工程
301 遮光膜形成工程
302 微小散乱体マスク部除去工程
401 光伝搬体加工工程
501、1101 近視野光発生素子
502、1204 開口
503 レーザー
504 受光素子
505、506、507、1102 レンズ
508 ミラー
509 サンプル
601、1201 基板
602、1003、1202 遮光膜
603、1203 微小散乱体
701、802、1301、1402 レジスト膜
702、1302 レジスト部
703、1303 レジスト膜除去部
704、1304 レジスト上部金属膜
801、1401 低屈折率層
803、1403、1603 露光光束
804、1404 レジスト保護部
805、1405、1604 低屈折率保護部
901、1002、1501 遮光膜
1001 エッチング部
1205 コア
1206 上部クラッド
1207 下部クラッド
1208 反射面
1209 光束
1601 光硬化材料
1602 ケース

Claims (9)

  1. 光伝搬体表面の開口の内部に、光を照射することによりプラズモンを生成する微小散乱体をもつ近視野光発生素子の作製方法において、
    前記光伝搬体の表面に前記微小散乱体を形成する微小散乱体形成工程と、
    前記光伝搬体の屈折率より低い低屈折率材を前記光伝搬体に接触させ、前記光伝搬体と前記低屈折率材との界面での全反射条件を満たす露光光束をもちいて前記微小散乱体を覆うように前記光伝搬体の表面に微小散乱体マスク部を形成する微小散乱体マスク部形成工程と、
    前記微小散乱体マスク部周囲の前記光伝搬体の表面を遮光し、前記微小散乱体マスク部を除去することで前記開口を形成する開口形成工程と、
    を含むことを特徴とする近視野光発生素子の作製方法。
  2. 前記微小散乱体マスク部形成工程が、
    前記低屈折率材を低屈折率層として前記光伝搬体の上部に形成する低屈折率層形成工程と、
    前記低屈折率層の上部にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記露光光束をもちいて前記レジスト膜を露光・現像しレジスト保護部を形成するレジスト露光現像工程と、
    前記レジスト保護部を用いて前記低屈折率層から低屈折率保護部を形成する低屈折率保護部形成工程と、
    からなることを特徴とする請求項1に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  3. 前記微小散乱体マスク部形成工程が、
    前記低屈折率材として光硬化材料を前記光伝搬体に接触させ、前記露光光束をもちいて前記光硬化材料を露光することにより前記微小散乱体マスク部を形成する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  4. 前記微小散乱体マスク部形成工程において、さらに、前記露光光束により露光する際に、前記光伝搬体を回転させながら露光する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  5. 前記開口形成工程が、
    前記微小散乱体マスク部を用い前記光伝搬体の一部をエッチングすることで薄くする光伝搬体加工工程と、
    前記光伝搬体の前記微小散乱体マスク部側の遮光を、遮光膜を形成することによって行う遮光膜形成工程と、
    前記微小散乱体マスク部を除去することで開口を形成する微小散乱体マスク部工程と、
    からなることを特徴とする請求項1から請求項4の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  6. 前記光伝搬体が、コアとクラッドからなる導光構造をもつことを特徴とする請求項1から請求項5の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  7. 前記露光光束が、前記光伝搬体を透過する波長成分を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項6の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  8. 前記露光光束が、前記微小散乱体においてプラズモンを発生する波長を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項7の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
  9. 前記微小散乱体が、金、銀、銅、白金のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項8の少なくともいずれか一項に記載の近視野光発生素子の作製方法。
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