JP4627815B2 - 粘着フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着フィルムに係り、特に、高透明性で強力な接着力を有し、飛散防止機能と反射防止機能とを兼備する粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
OA機器のPDP(プラズマディスプレイパネル)や液晶板、車輌ないし特殊建築物の窓材には光の反射を防止して高い光透過性を確保するために反射防止フィルムが適用されている。
【0003】
従来、この種の用途に用いられる反射防止フィルムは、SiO2,TiO2,ITO,Al2O3,MgF2,SnO2等の透明膜を有機フィルム上に積層した構成とされている。
【0004】
このような反射防止フィルムでは、各種窓材等に接着するために、フィルムの反射防止層形成面と反対側の面に接着層が設けられる。
【0005】
この接着層は、一般にアクリル系粘着剤、エポキシ系又はフェノール系樹脂と硬化剤を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたものなどで構成され、特に、利便性の点から接着剤としては1液型の熱硬化型のものが主流になってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の粘着フィルムでは、ガラス基材に対する接着力が十分ではなく、PDP等のガラスが衝撃等で破損した場合に、ガラスが飛散してしまうという欠点がある。
【0007】
特に、アクリル系粘着剤では、初期接着力は高いものの耐熱性が低く、長期耐久性にも問題がある。
また、エポキシ系又はフェノール系樹脂を接着剤とするものでは、次のような欠点があった。
(1) 粘着性が殆どなく、被貼着対象に対して仮り止め等を行い難い。粘着力を
高めたものもあるが、十分ではない。また、貼り直しがきかない。このため、
修整作業が殆ど不可能である。
(2) フェノール樹脂では、耐湿・耐熱性が悪く、長期耐久性に劣る。
(3) エポキシ樹脂では硬化のための加熱温度が150℃以上と高く、接着が容
易ではない。
【0008】
特に、従来においては、貼り直しが可能な適度な密着力と接着作業後において必要な高い接着力とを両立することは困難であった。
【0009】
また、高い接着力を得るために高い密着力を有する接着剤を使用すると、貼り直しのために剥がしたときに接着層の表面が荒れてしまうため、接着層の界面で光が散乱してしまい、反射防止用として使用できなくなってしまう。このため、高価な反射防止フィルムを無駄にしてしまうことになる。
【0010】
更に、有機フィルム上に透明膜を積層する方式の従来の反射防止フィルムでは、材料に十分な透明性がなく、特に400nm付近から短い波長での光の透過率が急激に下がってしまう。そのため、反射防止フィルムが黄色味がかって見えるという欠点がある。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決し、ガラス表面に対する接着力が高く、ガラスの飛散防止効果の高い反射防止性粘着フィルムを提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、有機フィルムの一方の面に光透過性に優れ、高透明性で色調の良い反射防止層が形成されると共に、他方の面に長期耐久性、特に耐湿性に優れ、しかも、適度な粘着力を有し、貼り直しが容易で接着作業性にも優れる高接着力透明接着層が形成された粘着フィルムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の粘着フィルムは、有機フィルムの一方の面に反射防止層が形成され、他方の面に高接着力透明樹脂よりなる接着層が形成されている粘着フィルムであって、該接着層は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂を主成分とし、エチレン-酢酸ビニル系共重合体樹脂とその架橋剤である有機過酸化物を含む後架橋型接着層であり、該接着層を介してガラスに接着される用途に用いられることを特徴とする。
【0014】
本発明の粘着フィルムは、高接着力透明樹脂よりなる接着層を形成したため、PDP等の前面ガラスに強固に接着させることができる。そして、有機フィルムよりなる粘着フィルムをこの接着層を介して強固に接着することで、ガラスが破壊した際の破片の飛散を防止することができ、安全性が高められる。
【0015】
本発明において、接着樹脂はエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂を主体とするものである。
【0016】
特に、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂とその架橋剤を含む後架橋型接着層であれば、次のような特長を有する。
(i) 優れた粘着性を有し、被貼着対象に容易に、かつ適度な粘着力で仮り止めすることができる。
(ii) 架橋前の粘着力は仮り止めには十分であるが、さほど強くないため、貼り直しが可能であり、修整作業を容易に行える。貼り直しをしても、架橋することで接着層が平滑化されるため、接着層との界面での光の散乱を抑えることができる。
(iii) 架橋硬化させた後の接着力は極めて強固であるため、高い接着強度を得ることができる。
(iv) 耐湿・耐熱性が高く、長期耐久性に優れる。
(v) 一般に、130℃以下の比較的低温で架橋硬化可能できるため、接着作業が容易である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の粘着フィルムの実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の粘着フィルムの実施の形態を示す模式的な断面図である。
【0019】
図示の如く、本発明の粘着フィルム1は、有機フィルム2の一方の面に、反射防止層3を形成し、他方の面に接着層4を形成したものである。
【0020】
本発明において、有機フィルム2としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくはPET、PC、PMMAの透明フィルムが挙げられる。
【0021】
有機フィルム2の厚さは得られる粘着フィルムの用途による要求特性(例えば、強度、薄膜性)等によって適宜決定されるが、通常の場合、1μm〜10mmの範囲とされる。
【0022】
反射防止層3としては、例えば、高屈折率透明膜と低屈折率透明膜との積層膜を形成することができる。
【0023】
この場合、高屈折率透明膜としては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の屈折率1.8以上の薄膜を採用することができるが、高屈折率透明膜の材料としては、400nm付近の光の透過性が高く、350nm付近及びそれ以下の光の吸収が多い材料であって、成膜速度の速い材料を用いるのが好ましい。このような材料として、特に、ZnOが好適である。
【0024】
一方、低屈折率透明膜としてはSiO2、MgF2、Al2O3等の屈折率が1.6以下の低屈折率材料よりなる薄膜を採用することができる。
【0025】
これら高屈折率透明膜及び低屈折率透明膜の膜厚は光の干渉で可視光領域での反射率を下げるため、膜構成、膜種、中心波長により異なってくるが、例えば、有機フィルム側から、高屈折率透明膜、低屈折率透明膜、高屈折率透明膜、低屈折率透明膜の順で各々2層ずつ、合計4層積層した場合には、有機フィルム2側の第1層(高屈折率透明膜)が5〜50nm、第2層(低屈折率透明膜)が5〜50nm、第3層(高屈折率透明膜)が50〜150nm、第4層(低屈折率透明膜)が50〜150nm程度の膜厚で形成するのが好ましい。
【0026】
このような高屈折率透明膜及び低屈折率透明膜は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により形成することができる。
【0027】
なお、反射防止層3は、有機フィルム2上に高屈折率透明膜、低屈折率透明膜、高屈折率透明膜、低屈折率透明膜の順で各膜が2層ずつ交互に合計4層積層された多層膜とする他、下記(1)の単層膜、或いは、下記(2)〜(4)のような積層構造の高屈折率透明膜と低屈折率透明膜との積層膜であっても良い。
【0028】
(1) 有機フィルム2よりも屈折率の低い透明膜を一層積層したもの
(2) 高屈折率透明膜と低屈折率透明膜を1層ずつ合計2層に積層したもの
(3) 中屈折率透明膜/高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で1層ずつ、合計3層に積層したもの
(4) 高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で各層を交互に3層ずつ、合計6層に積層したもの
なお、この反射防止層3上には、必要に応じて、表面の耐汚染性を高めるために、更に反射防止膜上に汚染防止膜を形成しても良い。この場合、汚染防止膜としては、フッ素系薄膜、シリコン系薄膜等よりなる膜厚1〜1000nm程度の薄膜が好ましい。
【0029】
次に本発明に係る接着層に好適なエチレン−酢酸ビニル系共重合体(EVA)樹脂を主成分とする接着剤組成物について説明する。
【0030】
このEVA樹脂としては、
(1) エチレン−酢酸ビニル共重合体
(2) エチレンと酢酸ビニルとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとの共重合体
(3) エチレンと酢酸ビニルとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体、
からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0031】
EVA樹脂として(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は10〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは14〜45重量%である。酢酸ビニル含有率が10重量%より低いと、加熱硬化させた接着層の透明度や光学的均一性が充分とならず、50重量%を超えると透明度や光学的均一性は良好となるが、接着層の強度や耐久性が著しく低下してしまう傾向がある。
【0032】
また、(2)エチレンと酢酸ビニルとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとの共重合体としては、好ましくは酢酸ビニル含有率が10〜50重量%、更に好ましくは14〜45重量%のものが使用される。酢酸ビニル含有率が10重量%より低いと、加熱硬化させた接着層の透明度や光学的均一性が充分とならず、一方50重量%を超えると透明度や光学的均一性は良好となるが、接着層の強度や耐久性が著しく低下してしまう傾向となる。また、アクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーの含有率は0.01〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5重量%のものが使用される。このモノマーの含有率が0.01重量%より低いと接着力の改善効果が低下し、一方10重量%を超えると加工性が低下してしまう場合がある。
【0033】
使用可能なアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとしては、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル系モノマーの中から選ばれるモノマーであり、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20、特に1〜18の非置換又はエポキシ基等の置換基を有する置換脂肪族アルコールとのエステルが好ましく、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0034】
また、(3)エチレンと酢酸ビニルとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸とからなる共重合体としては、好ましくは酢酸ビニル含有率が10〜50重量%、更に好ましくは14〜45重量%のものが使用される。酢酸ビニル含有率が10重量%より低いと、加熱硬化させた接着剤の透明度や光学的均一性が充分とならず、一方50重量%を超えると透明度や光学的均一性は良好となるが、接着層の強度や耐久性が著しく低下してしまう傾向となる。また、上記マレイン酸及び/又は無水マレイン酸の含有率は0.01〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5重量%のものが使用される。この含有率が0.01重量%より低いと接着力の改善効果が低下し、一方10重量%を超えると加工性が低下してしまう場合がある。
【0035】
本発明に係るEVA接着剤組成物には、その硬化のために、有機過酸化物が添加される。添加される有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを生ずるものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間で分解温度が50℃以上のものがより好ましく、成膜加工温度、架橋温度、貯蔵安定性等を考慮して選択することができる。
【0036】
使用可能な過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシアセテート;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチルケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;ヒドロキシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオキサイド;オクタノイルパーオキサイド;デカノイルパーオキサイド;ラウロイルパーオキサイド;クミルパーオキシオクトエート;サクシニックアシッドパーオキサイド;アセチルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート);m−トルオイルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシイソブチレート;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0037】
有機過酸化物としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、その添加量は通常EVA樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部で充分である。
【0038】
また、本発明に係るEVA接着剤組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、EVA樹脂100重量部に対し通常0.01〜5重量部で充分である。
【0039】
更に、本発明に係るEVA接着剤組成物は、その物性(機械的強度、光学的特性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性、架橋速度)などの改良や調節のために、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加することができる。
【0040】
この目的に供せられる化合物としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が、EVA樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部添加して用いられる。この添加量が50重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜性を低下させることがあり、0.1重量部未満であると前記機械的強度向上効果が低下する場合がある。
【0041】
また、本発明に係るEVA接着剤組成物には、貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差し支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーパル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0042】
上記炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、EVA樹脂100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜150重量部である。
【0043】
以上の添加剤の他、本発明に係るEVA接着剤組成物は、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいても良い。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム、シリコン共重合体の微粒子等の添加剤を少量含んでいても良い。
【0044】
本発明の粘着フィルムの接着層は、上記接着樹脂と必要な添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、有機フィルムに何ら影響を及ぼさない溶媒に均一に溶解させ、フィルムの表面に均一に塗布して乾燥することにより形成することができる。なお、接着層は、厚さが10〜50μm程度となるように形成するのが好ましい。
【0045】
このような本発明の粘着フィルムは、窓材等の被貼着面に仮り止めし、加熱硬化させることにより、容易に接着することができる。
【0046】
この硬化条件としては、EVA接着樹脂の場合において、用いる有機過酸化物の種類等に依存するが、70〜170℃、特に70〜150℃で2〜60分、特に5〜30分とすることが好ましい。この場合、硬化は、好ましくは0.01〜50kgf/cm2、特に0.1〜20kgf/cm2の加圧下で行うことが好ましい。
【0047】
このような本発明の粘着フィルムは、OA機器等のフラットディスプレイパネル、即ち、PDP,LCD(液晶ディスプレイ),FED(電界放出型ディスプレイ),PALC(プラズマ・アドレス・液晶)、或いは、車輌や特殊建築物の窓材に容易に適用することができ、良好な光透過性と破損時の飛散防止機能を確保することができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0049】
実施例1,2
有機フィルムとしてPETフィルム(膜厚100μm)を用い、このフィルムの一方の表面に下記構成の反射防止層を反応性スパッタ法により形成し、他方の面に、下記EVA樹脂組成物を樹脂濃度が20重量%となるようにトルエンに均一に溶解した溶液をロールコーターにより塗布した後乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。
【0050】
[反射防止層]
有機フィルム側から、ZnO膜(150Å)、SiO2膜(200Å)、ZnO膜(1250Å)、SiO2膜(850Å)の4層積層膜
[EVA樹脂組成物]
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA;東ソ−社製「ウルトラセン760」酢酸ビニル含量42%):100重量部
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製「ナイパーB」):2.0重量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製「KBM503」):0.5重量部
トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製「TAIC」):2.0重量部
この粘着フィルムをガラス板上に仮り止めしたところ、程度な粘着力で仮り止めできた。
【0051】
その後、この粘着フィルムを一旦剥し取り、再度貼り直しをした後、脱気しながら、0.5kgf/cm2の圧力で圧着し、これを100℃のオーブンで30分間加熱して接着した。
【0052】
このようにして粘着フィルムを接着したガラス板について、表1に示す条件にて240時間耐久試験を行った後、日立製可視紫外光分光測定装置(U−4000)を用いて波長400〜800nm付近の平均透過率を調べた。その後、180°で剥離試験を行い、接着力を調べ、これらの結果を表1に示した。
【0053】
実施例2
接着剤組成物のEVA樹脂として、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業社製「ボンドファースト2A」、酢酸ビニル含量8%、グリシジルメタクリレート含量3%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着フィルムを接着し(貼り直しあり)、同様に光透過率及び接着力を調べ、結果を表1に示した。
【0054】
比較例1
接着剤としてアクリル酸エチル95重量部とアクリル酸5重量部の配合物をトルエン中で重合させ、これにポリイソシアネート1重量部を添加して得たアクリル系感圧性接着剤を用い、これを反射防止膜を形成した有機フィルムに塗布、乾燥してアクリル系感圧性接着剤層を形成した。これを5kgf/cm 2 の圧力でガラス板に圧着した(貼り直しなし)。
【0055】
このガラス板について、実施例1と同様にして光透過率及び接着力を調べ、結果を表1に示した。
【0056】
比較例2
比較例1と同様にしてアクリル系感圧性接着剤層を形成した有機フィルムをガラス板に圧着した後、これを一旦剥がし、再度ガラス板に貼り直した。
【0057】
このガラス板について、実施例1と同様にして光透過率及び接着力を調べ、結果を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、ガラス基材に対して高い接着力を有することから、破損時のガラスの飛散防止機能に優れ、また、可視領域の光の反射を防止して、高い光透過性を得ることができる粘着フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粘着フィルムの実施の形態を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 粘着フィルム
2 有機フィルム
3 反射防止層
4 接着層
Claims (1)
- 有機フィルムの一方の面に反射防止層が形成され、他方の面に高接着力透明樹脂よりなる接着層が形成されている粘着フィルムであって、該接着層は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂を主成分とし、エチレン-酢酸ビニル系共重合体樹脂とその架橋剤である有機過酸化物を含む後架橋型接着層であり、該接着層を介してガラスに接着される用途に用いられることを特徴とする粘着フィルム。
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