JP3775441B2 - 接着性を有する光散乱体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化型の接着性を有する光散乱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より広く使用されている光拡散材料は、▲1▼ガラスや透明樹脂材料の表面に微細な凹凸をつけたり、または、▲2▼ガラスや透明樹脂材料中に屈折率の異なる透明な微粒子を均一に分散させることによって透過光を散乱させている。また、透明体の表面を微粒子を含有した特殊なシラン化合物混合物の硬化膜によって被覆することにより、光散乱性を付与する技術(特開昭58−42454号公報)も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記▲1▼の表面に凹凸のある散乱体は、表面に汚れがつきやすく、また表面に水や油などの液体が付着すると平行光線透過率が上昇し、ヘイズ値が低下する(すりガラスが濡れると光散乱効果が大きく低下するのと同様の現象)。また、▲2▼の方法については、上記のような欠点はなくなるものの、微粒子を分散させる材料がガラスやポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂やスチレン樹脂など、硬質な自己接着性を持たない透明材料を用いるため、散乱体を他の部材と組み合わせて使用する場合、その取り付けの際仮止めの工程を必要とし、工程が繁雑になり、また剛体であるために多少の曲面を有する部材(例えばランプカバーなど)への形状の追随性が悪く、用途が極めて限定されたり加工工程が必要となり、コスト高になるなどの問題点があった。
【0004】
本発明は上記事情を改善するためになされたもので、接着性を有し、しかも可撓性に富む硬化膜を与える光散乱体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体を主成分とする熱硬化性接着性組成物をマトリックスとし、これにこの共重合体と屈折率の異なる粒子を添加分散することにより、この組成物は接着性を有するので、接着性を有する光散乱体を得ることができ、この光散乱体は、シート状でも液状でも供することができるため、上述した従来の問題点を解決することができるうえ、光散乱体自身が接着性を有するため、各種部材との貼り合わせに接着剤を必要とせず、硬化によって形成される架橋構造が貼り合わせた後の耐久性を大幅に向上させること、また、硬化膜が可撓性に富むため、平面のみならずさまざまな曲面に対しても容易に貼り合わせることが可能であることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、以下の接着性を有する光散乱体を提供する。
請求項1:
エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体100重量部に対して有機過酸化物を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、及びアリル基含有化合物から選ばれる1種又は2種以上を0.1〜50重量部配合してなる熱硬化性接着性組成物に、上記共重合体と屈折率の異なる粒子を添加分散してなることを特徴とする接着性を有する光散乱体。
請求項2:
前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対してシランカップリング剤を0.01〜5重量部添加してなる請求項1記載の光散乱体。
請求項3:
前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対してエポキシシラン以外のエポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなる請求項1又は2記載の光散乱体。
請求項4:
前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対して炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなる請求項1,2又は3記載の光散乱体。
請求項5:
前記共重合体における酢酸ビニル単位の含有率が10〜50重量%、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸の含有率が0.01〜10重量%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光散乱体。
請求項6:
添加される粒子がエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体と0.01〜0.2の屈折率差を有し、かつ平均粒子径が0.5〜200μmであり、これをエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体100重量部に対し、0.05〜50重量部添加してなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光散乱体。
請求項7:
ガラス板及びポリエステルフィルムと接着一体化される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光散乱体。
【0007】
本発明による光散乱体はシート状で提供し、種々の部材と貼り合わせることができ、それ自身硬化させて散乱シートとして使用することもできる。また液状で提供し、透明体の表面に塗布後、硬化させることもできる。また、光散乱体自身が接着性を有するため各種部材との貼り合わせに接着剤を必要とせず、さらには硬化型であるため耐熱性をはじめとする耐久性に優れているものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の光散乱体は、そのマトリックスがエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体を主成分とする熱硬化性接着性組成物からなるものである。
【0009】
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体の酢酸ビニル含有率は10〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは14〜45重量%である。
酢酸ビニル含有率が10重量%より低いと、硬化させた光散乱体の光学的均一性が十分とならず、一方50重量%を越えると光学的均一性は良好となるが、硬化後の強度や耐久性が著しく低下してしまう場合がある。
【0010】
また、マレイン酸、無水マレイン酸の含有率は、0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%であることが好ましい。この含有率が、10重量%を超えると加工性が低下する場合がある。
【0011】
上記組成物には、熱硬化性を付与する点から有機過酸化物を配合することができる。
この有機過酸化物としては、70℃以上で分解してラジカルを生ずるものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものがより好ましく、成膜温度、調製条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性等を考慮して選択使用することができる。
【0012】
使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)パレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2−5ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、第3ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロルヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0013】
有機過酸化物としては、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、その添加量は上記共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部で十分である。
【0014】
更に、本発明の接着剤組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加すことができる。
このシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等があり、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記共重合体100重量部に対し通常、0.01〜5重量部である。
【0015】
更に、エポキシシラン以外のエポキシ基含有化合物を接着促進剤として配合することもできる。
このようなエポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチレン)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5 グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸グリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
またエポキシ基を含有したポリマーをアロイ化することによっても同様の効果を得ることができる。これらエポキシ基含有化合物は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、添加量は上記共重合体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部で充分である。
【0016】
また、本発明の接着性を有する光散乱体の物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性、架橋速度)等の改良や調節のために、本発明においては、上記組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基またはアリル基含有化合物を添加することができる。
【0017】
この目的に供せられる化合物としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。
この場合、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのような炭素数1〜24、特に1〜18のアルキル基の他に、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基や、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などのハロゲン置換、水酸基置換、アミノ基置換などの置換アルキル基などが挙げられる。
また、アクリル酸またはメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。
【0018】
アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。更に、多官能架橋助剤としてトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル、メタクリル酸エステルを用いることもできる。
【0019】
また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が、上記共重合体100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部添加して用いられる。0.1重量部未満であると前記機械的強度向上という改良効果を低下させることがあり、50重量部を越えると接着剤の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0020】
なおまた、本発明の組成物には、光散乱体の加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差し支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。
【0021】
テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差し支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。
フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0022】
上記炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜150重量部である。
【0023】
本発明の接着性を有する光散乱体の対象となる光源としては、太陽光、蛍光灯、LEDなど種々の光源が対象となるが、この中で可視光線のみならず人体にとって有害な紫外光線を放出する光源も多く、このため本発明の光散乱体には、紫外光線をカットする目的で上記組成物中に紫外線吸収剤を添加することができる。
【0024】
紫外線吸収剤としては公知のものを使用することができ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジギドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0025】
また、トリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニール)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニール)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミノフェニール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニール−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0026】
これらの紫外線吸収剤は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、添加量は上記共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましい。
【0027】
以上の添加剤の他、本発明の組成物には、老化防止剤、染料、加工助剤などを本発明の効果を妨げない範囲で添加することができる。
【0028】
一方、上記熱硬化性接着性組成物(マトリックス)中に添加分散される粒子は、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体と屈折率が異なるものであればいずれでのものでもよいが、特に上記エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体と0.01〜0.2、特に0.05〜0.2の屈折率差を有し、かつ平均粒子径が0.5〜200μm、特に1〜200μmの微粒子であることが好ましく、またその添加量はエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、0.05〜50重量部、特に0.1〜45重量部が好ましい。
【0029】
かかる微粒子としては、ガラス、石英、酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機粒子、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの有機粒子が挙げられる。
【0030】
本発明の光散乱体を得る場合、上記組成物の構成成分と上記粒子とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、これをカレンダー、ロール、Tダイ押出し、インフレーション等の成膜法により所望の形状に成膜して用いることができる。なお、成膜に際しては、ブロッキング防止、被着体との圧着を容易にするため等の目的で、エンボス加工が施されていてもよい。
【0031】
上記のようにして得られたシートは、常法により部材と貼り合わせることができる。例えば熱プレスによる貼り合わせ法、押出機、カレンダーによる直接ラミネート法、フィルムラミネーターによる加熱圧着法等の手法を用いて積層することができる。
【0032】
また、各構成成分を部材に何ら影響を与えない溶媒に均一に溶解させて、部材の表面に均一に塗布し、他の部材と仮圧着した後、もしくはそのまま熱硬化させることができる。
【0033】
なお、本発明の接着性を有する光散乱体の硬化条件としては、有機過酸化物の種類に依存するが、70〜170℃、特に70〜150℃で2〜60分、特に5〜30分とすることが望ましい。
【0034】
【発明の効果】
本発明の光散乱体は、接着性を有するので、従来の光散乱体が各種部材を貼り合せ一体化する場合、別に粘着剤もしくは接着剤を用いる必要があったが、本発明により接着剤層という構成部材を削減でき、また光散乱体自身がタック性を有するため、貼り合わせ工程の位置合わせの際のすべりによるずれが生じないため、手間も大幅に軽減できるようになった。
さらに、成膜した光散乱体は従来のものに比べ柔軟性に冨んでいるため、平面ではない複雑な形状のものと組み合わせも可能となった。
しかも、熱硬化による架橋構造を有するため、耐熱、耐湿熱などの耐久性に優れるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0036】
[実施例1]
エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体(三菱化学社製、モデックE100−H)100重量部に対して1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2.0重量部、トリアリルイソシアヌレート2.0重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部、表面処理炭酸カルシウム(ケミプロ化成社製、ケミプロンA)5重量部を添加し、ミキシングロールにて90℃の温度で十分に混練した後に、カレンダー法により0.4mm厚に成膜した。このシートをハロゲンランプ上に設置し、その正面輝度(輝度計、ミノルタ製:S−100)を測定したところ、2300cd/m2 であった。
【0037】
さらにこのシートをガラス板とポリエステルフィルムにはさみ、ゴム袋の中に入れ、真空ポンプで脱気しながら130℃のオーブン中に30分間放置することによってガラス板とポリエステルフィルムを接着一体化した光散乱体を得た。この光散乱体をハロゲンランプ上に置き、その正面輝度を測定したところ、2500cd/m2 であった。
また、この接着複合化した光散乱体を100℃のオーブン中に500時間放置後、その光散乱体の状態を観察したところ、外観上全く変化が見られず、正面輝度もほとんど変化しなかった。
【0038】
[実施例2]
実施例1で用いた構成成分をトルエンに均一に溶解させた後、ロールコーターでポリエステルフィルム上に均一に塗布し、十分に乾燥させ、ポリエステルフィルム上に30μmの光散乱被膜を設けた。このようにして作成した光散乱体のヘイズ値及び全光線透過率をカラーコンピューター(スガ試験機社製:SM−5)で測定したところ、ヘイズ値は52.7%、全光線透過率は、93.7%であった。
さらにこの光散乱体フィルムを130℃のオーブン中に30分間放置することによって被膜を硬化させた後、ヘイズ値及び全光線透過率を測定したところ、ヘイズ値は、40.0%、全光線透過率は95.3%であった。
Claims (7)
- エチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体100重量部に対して有機過酸化物を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、及びアリル基含有化合物から選ばれる1種又は2種以上を0.1〜50重量部配合してなる熱硬化性接着性組成物に、上記共重合体と屈折率の異なる粒子を添加分散してなることを特徴とする接着性を有する光散乱体。
- 前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対してシランカップリング剤を0.01〜5重量部添加してなる請求項1記載の光散乱体。
- 前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対してエポキシシラン以外のエポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなる請求項1又は2記載の光散乱体。
- 前記熱硬化性接着性組成物が、前記共重合体100重量部に対して炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなる請求項1,2又は3記載の光散乱体。
- 前記共重合体における酢酸ビニル単位の含有率が10〜50重量%、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸の含有率が0.01〜10重量%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光散乱体。
- 添加される粒子がエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体と0.01〜0.2の屈折率差を有し、かつ平均粒子径が0.5〜200μmであり、これをエチレン−酢酸ビニル並びにマレイン酸及び/又は無水マレイン酸からなる共重合体100重量部に対し、0.05〜50重量部添加してなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光散乱体。
- ガラス板及びポリエステルフィルムと接着一体化される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光散乱体。
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