(実施例1)
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17、および入力ボタン88を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15の外周部分に入力ボタン88が設けられており、遊技者は入力ボタン88を押下する操作を通じて後述する停留解除指示を入力することができる。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、第1一般入賞口70および第2一般入賞口71(以下、第1一般入賞口70および第2一般入賞口71を総称する場合「一般入賞口72」という)、誘導装置79、第1保留装置82および第2保留装置84(以下、第1保留装置82および第2保留装置84を総称する場合「保留装置86」という)、特別図柄表示装置61、装飾図柄表示装置60、解除抽選表示装置176を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。第1一般入賞口70および第2一般入賞口71は、それぞれ遊技球の入球を検出するための第1一般入賞検出装置69または第2一般入賞検出装置73を備える。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。
大入賞口66は、特別図柄202が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の特定領域の通過を検出するセンサと、一般領域の通過を検出するセンサを備えて構成される。所定期間内における大入賞口66への入賞球数が所定球数を超えると、入力ボタン88の押下を有効化する回数を決定するための解除回数抽選が実行される。解除回数抽選により、入力ボタン88の押下を有効化する回数が0回から3回までの間の数値で決定される。解除回数抽選が1回以上の回数に決定された場合、その回数分、入力ボタン88の押下操作が有効化される。
保留装置86は、遊技領域52において装飾図柄表示装置60の右側方位置、一般入賞口72の上方に設けられる。保留装置86は、それぞれ縦長円筒状に形成された第1保留装置82と第2保留装置84で構成される。第1保留装置82および第2保留装置84は互いに隣接するように設置され、それぞれの上部は遊技球が入球可能な開口部を形成し、それぞれの下面は制御により開閉自在な保留弁を形成する。保留装置86は、解除がなされるまで複数の遊技球を一時的に停留させることができ、停留状態が解除された場合は停留させていた遊技球を一般入賞口72の方向へ解放する。保留装置86は、入力ボタン88の押下操作が有効化されている間に遊技者によって入力ボタン88が押下された場合に、停留状態が解除されて複数の遊技球を一般入賞口72の方向へ解放する。このように、解除回数抽選は、入力ボタン88の押下を有効化する回数を決定するための抽選であると同時に、保留装置86による遊技球の停留状態を解除することができる回数を決定するための抽選である。一般入賞口72は、第1一般入賞口70および第2一般入賞口71で構成され、第1一般入賞口70および第2一般入賞口71のうち少なくともいずれかは、遊技球が入球した場合の賞球数が比較的大きな数に設定されている。また、第1一般入賞口70と第2一般入賞口71とではそれぞれの賞球数が異なる数に設定されている。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68への遊技球の通過は始動口62を拡開させる契機となる。
遊技領域52の略中央に設けられた特別図柄表示装置61、装飾図柄表示装置60、および解除抽選表示装置176は、それぞれの画面に特別図柄202と、特別図柄202に連動する装飾図柄200と、解除回数抽選の結果を示す解除図柄177と、を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄202は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる当否抽選の結果に応じた図柄であり、大当たりを発生させるか否かを示す役割をもつ。装飾図柄200は、当否抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。装飾図柄表示装置60は、特別図柄202の変動表示と連動する形で装飾図柄200を変動させながら表示する。装飾図柄200は、特別図柄202で示される当否抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。装飾図柄表示装置60は、装飾図柄200として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。装飾図柄表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄202は演出的な役割をもつ必要がないため、本実施例では装飾図柄表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示されるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を装飾図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
解除抽選表示装置176は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、解除回数抽選の結果を解除図柄177の変動の形で表示する。解除図柄177は、解除可能回数を示す「0」、「1」、「2」、「3」の4種類である。解除図柄177は、「0」、「1」、「2」、「3」の図柄が順次切り替わりながら表示される形で変動表示がなされ、停止した図柄が示す数字が解除可能回数に設定される。
装飾図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61、装飾図柄表示装置60、および解除抽選表示装置176の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64の所定位置には、保留ランプ20が設けられている。保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって保留球数を表示する。保留球数は、図柄変動中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。また遊技効果ランプ90が遊技領域52に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。保留装置86に落入した遊技球は、保留装置86の中に停留した後、その停留状態が解除されたときに解放されて誘導装置79の上に落下し、誘導装置79によって第1一般入賞口70および第2一般入賞口71のいずれかへ振り分けられる形で誘導され、その誘導された側の一般入賞口へ入賞する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および装飾図柄表示装置60において特別図柄202および装飾図柄200が変動表示される。特別図柄202および装飾図柄200の変動表示は、原則として表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄202および装飾図柄200が大当たりを示す図柄である場合、大入賞口66の開閉動作が開始され、通常遊技よりも遊技者に有利な状態である特別遊技に移行する。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄200は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口66は、約30秒間開放された後、または所定の上限球数以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。上限球数は、たとえば9球である。大入賞口66が開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口66は再度開放される。このように、大入賞口66が1回開放される間に遊技球が少なくとも1球以上特定領域へ落入することを条件に大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。ここで、大入賞口66への入球数が上限球数である9球を超えた場合、解除回数抽選が実行される。解除回数抽選の結果は、解除抽選表示装置176による解除図柄177の変動表示によって示される。解除回数抽選の結果が「1回」、「2回」、「3回」のうちいずれかであった場合、解除図柄177が解除可能回数に対応する「1」、「2」、「3」のいずれかで停止され、停止されたときに入力ボタン88の押下が有効化される。遊技者は、解除図柄177の停止図柄を見て入力ボタン88の押下が有効化されたことおよび解除可能回数を視覚的に把握することができる。有効化がなされている間に入力ボタン88が遊技者によって押下されると、保留装置86による遊技球の停留状態が解除され、保留装置86から遊技球が解放される。保留装置86から解放された遊技球は誘導装置79によって振り分けられ、第1一般入賞口70または第2一般入賞口71のいずれかへ落入する。入力ボタン88の押下の有効化は、解除図柄177が示す回数分、繰り返される。
停止時の特別図柄202または装飾図柄200が、確率変動付き大当たりを示す特定の図柄である場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技が開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄204と呼ばれる図柄が変動表示される。普通図柄204は装飾図柄表示装置60の右下隅にて変動表示される。所定時間の経過後に普通図柄204の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。変動短縮遊技の実行中においては、普通図柄204の変動表示時間が短縮されるとともに、始動口62が開放状態となる時間が相対的に長く設定される。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、装飾図柄表示装置60および解除抽選表示装置176における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板41およびサブ基板49は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、保留装置の構造および配置を模式的に示す。図示するように、保留装置86は遊技領域52における誘導装置79および一般入賞口72の上方に設けられ、複数の遊技球96を解除されるまで一時的に停留させることができ、停留状態が解除された場合は停留させていた遊技球96を誘導装置79または一般入賞口72の方向へ解放する。誘導装置79は、一定の周期で左右方向に揺動し、流れてきた遊技球をその揺動によって左右いずれかの方向へ振り分ける形で誘導する。誘導装置79の左下方に第1一般入賞口70が設けられ、誘導装置79の右下方に第2一般入賞口71が設けられるので、誘導装置79に落下した遊技球96は第1一般入賞口70および第2一般入賞口71のいずれかの方向へ振り分けられる。保留装置86の上方には、遊技球96が第1保留装置82または第2保留装置84の開口部へ誘導されるような配置で複数の遊技釘92と風車94が設けられている。保留装置86の下方には、保留装置86と一般入賞口72の間に、保留装置86から解放され誘導装置79によって左右に振り分けられた遊技球96が第1一般入賞口70または第2一般入賞口71へ誘導されるような配置で複数の遊技釘92が設けられ、保留装置86から解放された遊技球はほぼ確実に第1一般入賞口70または第2一般入賞口71へ入球する。一方、保留装置86に停留された遊技球以外は、遊技釘92に阻まれて第1一般入賞口70および第2一般入賞口71へほぼ入球しない構造となっている。
通常状態においては保留弁98が閉鎖されており、第1保留装置82および第2保留装置84にそれぞれ5球を上限として遊技球が入球し、入球した遊技球がその中で一時的に停留する。第1保留装置82および第2保留装置84にそれぞれ5球ずつ停留した状態では、それ以上の遊技球が入球しようとしても入球できずに保留装置86の外部へ弾かれる。本実施例においては、解除回数抽選の結果、解除抽選表示装置176に「1回」、「2回」、「3回」のうちいずれかの解除可能回数を示す解除図柄177が表示されたときに入力ボタン88の押下が有効化される。その有効化がなされている間に遊技者が入力ボタン88を押下すると保留装置86の停留状態が解除される。入力ボタン88の押下が有効化されたとき、装飾図柄表示装置60には入力ボタン88の押下が有効化されたことを示すメッセージとして「ボタンPUSH!」の文字が表示される。遊技者が入力ボタン88を押下すると、保留弁98が開放されて第1保留装置82および第2保留装置84からそれぞれ最大で5球ずつ、合計で最大10球の遊技球が誘導装置79および一般入賞口72の方向へ解放される。10球の遊技球がすべて解放されるのに十分な期間が経過した後に、再び保留弁98は閉鎖される。入力ボタン88の押下の有効化は、解除可能回数の分だけ繰り返される。これにより、大入賞口66への入球数が9球を超えたとき、遊技者は0〜3回のうちいずれか回数分、任意のタイミングで保留装置86から複数の遊技球を一般入賞口72へ入賞させることができる。
第1一般入賞口70の賞球数は5球であり、第2一般入賞口71の賞球数は15球であるため、第1一般入賞口70および第2一般入賞口71のそれぞれの入賞数に応じて全体の賞球数が決まる。最も賞球数が少ない場合として仮に保留装置86に停留した10球のうちすべてが第1一般入賞口70に入球したならば全体で50球の賞球となり、最も賞球数が多い場合として仮に10球のうちすべてが第2一般入賞口71に入球したならば全体で150球の賞球となる。このように、遊技者は特別遊技において大入賞口66への入球に対する賞球以外の手段によっても比較的多くの賞球を獲得することができる。従来、このような比較的多くの賞球が得られる遊技は大入賞口66への入球による賞球以外には実現されておらず、本実施例のような斬新な手法で賞球獲得の機会を付与することによって遊技性を向上させることができる。また、いずれの入賞口へ入賞するかによって、すなわちどのようなタイミングで保留弁98を開放させるかによって獲得できる賞球に差が生じるため、賞球獲得に関して遊技者による技術介入性を高めて遊技性をさらに向上させることができる。また、従来は大入賞口への入賞球数が上限球数を超えても特別な賞球は発生せず、それ自体が遊技や出玉へ特別な影響を与えることはなかった。本実施例によれば、大入賞口への入賞球数が上限球数を超えた場合に特別な利益が遊技者に付与されるので、特別遊技に対する新たな期待感を遊技者に与えることができ、遊技性を高めることができる。
図4は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、特別図柄表示装置61、装飾図柄表示装置60、解除抽選表示装置176、スピーカ18、遊技効果ランプ90、第1一般入賞口70、第2一般入賞口71、保留装置86、入力ボタン88のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄の変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板41と、図柄の演出等を制御するサブ基板49とに機能を分担させた形態で構成されてもよい。入力ボタン88は、保留装置86の停留状態の解除を指示するための遊技者の操作を受け付ける操作入力手段である。
遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。本実施例の遊技制御装置100は、各入賞口への入球を判定する入球判定手段110、所定の当否確率にて当たりか否かの当否抽選を実行する当否抽選手段112、当否抽選の結果を示す図柄変動の表示パターンを保持するパターン記憶手段125、図柄変動の停止図柄および変動表示の表示パターンを決定する図柄決定手段130、図柄や電飾等の表示を制御する表示制御手段160、保留装置86による遊技球の停留を制御する保留制御手段170、解除可能回数を抽選で決定する回数抽選手段174、大当たり中の特別遊技を制御する特別遊技制御手段180、確率変動状態における遊技を実行する特定遊技実行手段190、始動口62などの普通電動役物の開閉を制御する普通電動役物開閉制御手段192、および大入賞口66の開閉を制御する大入賞口開閉制御手段194を備える。
始動入賞検出装置74は始動口62に設けられたセンサであり、始動口62への遊技球の入賞を検出し、入賞を示す始動入賞情報を生成する。第1一般入賞検出装置69および第2一般入賞検出装置73はそれぞれ第1一般入賞口70または第2一般入賞口71に設けられたセンサであり、それぞれ第1一般入賞口70または第2一般入賞口71への遊技球の落入を検出し、落入を示す第1一般入賞情報または第2一般入賞情報をそれぞれ生成する。入賞検出装置78は大入賞口66に設けられたセンサであり、大入賞口66への遊技球の入賞を検出し、入賞を示す大入賞口入賞情報を生成する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、第1一般入賞情報または第2一般入賞情報を受け取ると遊技球が第1一般入賞口70または第2一般入賞口71に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断する。保留装置86は、保留弁ソレノイド99を含む。保留弁ソレノイド99は、保留制御手段170に制御されて保留装置86の保留弁98を開閉する。
当否抽選手段112は、抽選値取得手段113、テーブル格納手段114、当たり判定手段120を含む。抽選値取得手段113は、始動入賞検出装置74から始動入賞情報を取得したときに乱数の値を当否抽選値として取得する。ここでいう乱数は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。テーブル格納手段114は、当否判定で参照されるテーブルを保持する。このテーブルには、当たりまたは外れなどの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。通常時には通常確率による当否判定のためのテーブルが使用され、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなるテーブルが使用される。当たり判定手段120は、テーブル格納手段114に保持されたテーブルを参照し、当否抽選値が当たりか否かを判定する。当否抽選値が当たりであった場合、当たり判定手段120はテーブル格納手段114に保持されたテーブルに基づいて当否抽選値が確率変動付きの当たりか否かを判定する。
パターン記憶手段125は、特別図柄や装飾図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた表示パターンとして複数種のパターンを保持する。表示パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な表示時間をもつパターンが含まれる。各表示パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに表示時間が定められており、その表示時間の経過時に図柄変動が停止される。
図柄決定手段130は、特別図柄表示装置61および装飾図柄表示装置60に表示させる図柄の内容とその表示パターンを当否抽選手段112によって抽選がなされるたびに決定する。図柄決定手段130は、装飾図柄を決定する装飾図柄決定手段132と、特別図柄を決定する特別図柄決定手段140と、普通図柄を決定する普通図柄決定手段148を含む。
特別図柄決定手段140は、当否抽選手段112による抽選の結果に応じてパターン記憶手段125からいずれかのパターンを選択するパターン選択手段144と、当否抽選手段112による抽選の結果に応じた特別図柄の停止図柄を決定する図柄選択手段146とを含む。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄であり、図柄決定用の乱数に基づいて決定される。当否抽選値が当たりであった場合、確率変動付きの当たりであるか否かが当否抽選値または図柄決定用の乱数に応じて決定される。
装飾図柄決定手段132は、特別図柄決定手段140による決定に応じてパターン記憶手段125からいずれかのパターンを選択するパターン選択手段136と、当否抽選手段112による当否抽選の結果に応じた装飾図柄の停止図柄を決定する図柄選択手段138とを含む。図柄選択手段138は、特別図柄が当たり図柄であった場合、確率変動付きの当たりとなる図柄か否かに応じて装飾図柄を決定する。
普通図柄決定手段148は、入球判定手段110が作動口68への遊技球の通過を判定した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄を決定する。普通図柄決定手段148が特定の図柄であった場合、普通電動役物開閉制御手段192が始動口62を所定時間拡開する。
表示制御手段160は、当否抽選手段112による当否抽選の結果を、図柄決定手段130により選択された表示パターンにしたがって図柄変動の形で特別図柄表示装置61および装飾図柄表示装置60に表示させる。本実施例における表示制御手段160は、特別図柄表示装置61に特別図柄を表示させ、装飾図柄表示装置60に装飾図柄、普通図柄を表示させる。表示制御手段160は、遊技効果ランプ90の点灯と消灯をさらに制御する。
特別遊技制御手段180は、当たり判定手段120による判定結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技移行判定手段182は、当たりであった抽選結果に対応する図柄変動が停止されたか否かに応じて特別遊技開始のタイミングを判定する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を最大約30秒間開放させる。単位遊技実行手段184は、大入賞口開閉制御手段194を制御して、大入賞口66を開閉させることにより単位遊技を実行する。大入賞口開閉制御手段194は、単位遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送って大入賞口66を開放させ、開放から30秒が経過するか、大入賞口66へ遊技球が9球以上入賞したときに大入賞口66を閉鎖させる。特別遊技終了手段186は、単位遊技の継続回数、大入賞口66の特定領域への通過検出の有無に基づいて、単位遊技を継続させるか否か、すなわち次回の単位遊技を開始するか否かを判定する。次回の単位遊技を開始するための継続条件が満足されない場合、または単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技終了手段186が特別遊技を終了させる。
回数抽選手段174は、1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が所定球数、たとえば9球を超えた場合に、解除回数抽選を実行する。解除回数抽選により、解除可能回数が「0回」、「1回」、「2回」、「3回」のうちのいずれかに決定され、その決定された解除可能回数に対応する解除図柄177が選択される。表示制御手段160は、解除回数抽選の判定結果を、解除図柄177を変動させる形で解除抽選表示装置176に表示させる。
保留制御手段170は、回数抽選手段174によって決定された解除可能回数が1回以上の場合であって、解除抽選表示装置176による解除図柄177の変動表示が停止されたときに、入力ボタン88の操作入力を解除可能回数の分、繰り返し有効化する。このとき、保留制御手段170は入力ボタン88による操作入力が有効化されたことを示すメッセージを、表示制御手段160による制御を介して装飾図柄表示装置60に表示させる。メッセージが表示される間、保留制御手段170は遊技者から停留解除を指示するための入力ボタン88の操作入力があったときに解除指示が入力されたことを示す指示信号を入力ボタン88から受け取り、これを解除可能回数の分、繰り返し有効な信号と判断する。保留制御手段170は、解除指示の取得が有効化されている間に入力ボタン88の押下があった場合、保留弁ソレノイド99を制御して保留装置86の保留弁98を開放させ、遊技球の停留状態を解除し、解除可能回数から1を減算する。解除可能回数が0回になっている間は、保留制御手段170は入力ボタン88を介した解除指示の取得を無効と判断する。
普通電動役物開閉制御手段192は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。これにより、始動口62は、遊技者にとって有利な状態に変化する。
当たり判定手段120による判定結果が確率変動付きの当たりであった場合であって、図柄決定手段130により決定された当たりの停止図柄が確率変動付き大当たりを示す特定の図柄であった場合、特定遊技実行手段190は、遊技状態を確率変動状態へ移行させる。確率変動状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当たり判定手段120による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。
図5は、入力ボタンの押下が有効化された旨を示すメッセージ表示の例を示す。回数抽選手段174による解除回数抽選の結果、解除可能回数が1回以上の回数に決定された場合に、保留制御手段170は表示制御手段160による制御を介して装飾図柄表示装置60の画面にメッセージ210を表示させる。メッセージ210には、「ボタンPUSH!」の文字列が含まれており、遊技者に対して入力ボタン88の操作入力を促す意図、または、入力ボタン88の操作入力の機会付与を示す意図を含む。メッセージ210が表示された後に遊技者が入力ボタン88を押下すると、それまで閉鎖されていた保留装置86の保留弁98が開放され、停留していた遊技球が誘導装置79に振り分けられて第1一般入賞口70または第2一般入賞口71へ入賞し、その入賞数に応じた賞球を獲得することができる。
図6は、通常遊技および特別遊技の基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、通常遊技状態であれば当否判定などの通常遊技の制御処理を実行し(S10)、特別遊技状態であれば特別遊技の制御処理を実行し(S12)、S10またはS12における入賞に応じた賞球払出を処理する(S14)。
図7は、図6におけるS12を詳細に示すフローチャートである。S12の特別遊技制御処理においては、特別遊技の実行中であるか否かを示す特別遊技フラグがオンになっている場合(S20のY)、後述する保留制御処理を実行した後(S21)、大入賞口66が開放済でなければ(S22のN)、大入賞口66を開放し(S24)、大入賞口66が開放済であればS24をスキップする(S22のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S26のY)、または、開放時間が経過していないものの(S26のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S28のY)、大入賞口66を閉鎖させる(S30)。開放時間が経過しておらず(S26のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S28のN)、S30以降の処理をスキップしてS12のフローを終了する。
S30における大入賞口66の閉鎖後、後述する解除抽選処理を実行し(S32)、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S34のY)、特別遊技フラグをオフにしてS12のフローを終了する(S36)。ラウンド数が15に達していなければ(S34のN)、ラウンド数に1を加算してS12のフローを終了する(S38)。なお、S20において特別遊技フラグがオフであった場合には(S20のN)、S21以降のすべての処理をスキップしてS12のフローを終了する。
図8は、図7におけるS32を詳細に示すフローチャートである。1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が9球を超えた場合(S40のY)、解除回数抽選を実行し(S42)、解除抽選表示装置176による解除図柄177の変動表示を開始させる(S44)。解除図柄177の変動表示が開始されてから所定の表示時間が経過するまで待機し(S46のN)、表示時間が経過したとき(S46のY)、解除図柄177の変動表示を停止させる(S48)。解除回数抽選の結果、解除可能回数が1回以上の回数に決定された場合(S50のY)、メッセージ210を表示させ(S52)、入力ボタン88による解除指示が有効化されているか否かを示す解除有効フラグをオンにし(S54)、後述する保留制御処理を実行して(S56)、S32のフローを終了する。S50において、解除可能回数が0回に決定された場合(S50のN)、S52とS54をスキップする。S40において、大入賞口66への入球数が9球を超えていなかった場合(S40のN)、S42からS54までの処理をスキップする。
図9は、図7におけるS21と図8におけるS56を詳細に示すフローチャートである。解除有効フラグがオンになっている場合であって(S60のY)、入力ボタン88による解除指示の操作入力があった場合(S62のY)、保留装置86の保留弁を開放して(S64)、保留装置86に停留していた遊技球を解放する。解除可能回数から1を減算し(S66)、解除可能回数が残り0回になった場合(S68のY)、解除有効フラグをオフにしてS21またはS56のフローを終了する(S70)。解除可能回数が残り0回でなければ(S68のN)、S70をスキップしてS21またはS56のフローを終了する。S60において解除有効フラグがオフであった場合(S60のN)、S62以降の処理をスキップしてS21またはS56のフローを終了する。
以上のように、実施例におけるぱちんこ遊技機10には、合計で10球まで遊技球を停留させることができる保留装置86が遊技領域52に設けられている。1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が9球を超えた場合に解除可能回数が抽選で決定され、解除可能回数が1回以上の回数に決定された場合に入力ボタン88の操作入力が有効化される。入力ボタン88の操作入力が有効化されている間に遊技者が入力ボタン88を押下すると、保留装置86から遊技球が解放され、誘導装置79に振り分けられて第1一般入賞口70または第2一般入賞口71へ入賞する。このように、特別遊技において大入賞口66への入賞以外にも比較的多くの賞球を獲得できる機会を従来にない遊技手法を介して遊技者へ付与することができる。また、そうした機会付与に関するメッセージを表示するという新たな演出を施すことができるとともに、遊技者が遊技の進行に関与する機会が増加するので、遊技性をさらに向上させることができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
実施例においては、第1保留装置82および第2保留装置84のそれぞれが5球ずつ遊技球を停留させることができる構成を説明した。変形例においては、5球ずつに限らず任意の球数の遊技球を停留させることができる保留装置を採用してもよい。また、実施例においては、二つの保留装置を設けた構成を説明したが、変形例においては三つ以上の保留装置を設けた構成を採用してもよい。
実施例においては、1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が9球を超えた場合に解除可能回数が抽選で決定された後で遊技者による入力ボタン88の操作入力があったときに保留装置86による停留状態が解除される構成を説明した。変形例においては、入力ボタン88が設けられていない構成とし、1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が9球を超えた場合にそのまま保留装置86による停留状態が解除される構成であってもよい。または、1回の単位遊技における大入賞口66への入球数が9球を超えた場合に保留装置86による停留状態を解除すべきか否かの抽選を実行し、その抽選で当たりとなった場合に保留装置86による停留状態を解除する構成であってもよい。
さらに、実施例においては、解除回数抽選の結果を解除図柄177の変動表示という形で解除抽選表示装置176に表示させる構成を説明した。変形例においては、解除抽選表示装置176を設けず、解除図柄177を装飾図柄表示装置60に変動表示させる構成であってもよいし、解除図柄177をどこにも表示させない構成であってもよい。
実施例においては、1ラウンドにおける大入賞口66への入球数が9球を超えた場合に入力ボタン88の操作入力を有効化させ、保留装置86による停留状態を解除させる構成を説明した。変形例においては、1ラウンドにおける大入賞口66への入球数がたとえば9球未満であった場合に入力ボタン88の操作入力を有効化させ、保留装置86による停留状態を解除させる構成であってもよい。たとえば、遊技領域52における釘の調整具合により、あるいは偶発的に、1ラウンドにおける大入賞口66への入賞上限数に達しなかったような場合であっても、遊技者は入賞上限数に達した場合以上の賞球が確保されるので、遊技に対する遊技者の意欲を喪失させず、遊技性を維持することができる。
他の変形例として、たとえば確率変動中に普通図柄204の当たり回数を計数して当たりの頻度を算出する算出手段を設け、確率変動中における普通図柄204の当たり頻度が所定の基準数を下回った場合に、入力ボタン88の操作入力を有効化させ、保留装置86による停留状態を解除させる構成としてもよい。その場合の算出手段は、確率変動中に作動口68を遊技球が通過して普通図柄204が変動した回数も計数し、その変動回数に対する普通図柄204の当たり回数の割合によって当たり頻度を算出してもよい。これにより、確率変動中であるにもかかわらず始動口62の拡開頻度が比較的少なくなってしまったような状況であってもその分の相対的な損失が補填されるので、遊技に対する遊技者の意欲を喪失させず、遊技性を維持することができる。
50 遊技盤、 52 遊技領域、 66 大入賞口、 72 一般入賞口、 79 誘導装置、 86 保留装置、 96 遊技球、 112 当否抽選手段、 130 図柄決定手段、 160 表示制御手段、 170 保留制御手段、 174 回数抽選手段。