JP4622973B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、インク滴を吐出して印刷を行うインクジェット記録装置に関する。
被記録媒体である記録用紙にインク滴を吐出することによって記録用紙上に画像を印刷(記録)するインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている。このようなインクジェットプリンタとしては、インク滴を吐出するノズルとノズルに連通する圧力室とを備えた流路ユニットと、圧力室内のインクに吐出エネルギーを付与するアクチュエータとを有する記録ヘッドと、アクチュエータを駆動するためのパルスを生成するドライバIC(駆動デバイス)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。アクチュエータは、圧力室の容積を変化させることにより圧力室に圧力を付加するものであり、複数の圧力室に跨る圧電シート(圧電層)と、各圧力室に対向する複数の個別電極と、複数の個別電極に圧電シートを介して対向する基準電位が付与された共通電極とを有している。このアクチュエータは、ドライバICの駆動信号生成回路からパルス状の駆動信号が個別電極に付与されることによって、その個別電極と共通電極との間に挟まれた圧電シートの部分に対してその厚み方向に電界を発生させ、この部分の圧電シートを変形させる。このとき、圧力室の容積が変化して圧力室内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与される。
特開2002−36568号公報(図1)
インクジェットプリンタにおいては、印刷速度の高速化が望まれている。印刷速度の高速化を図るためインク滴の吐出周期を短くしようとすると、ドライバICから出力されるパルスの周波数を高くする必要がある。しかしながら、周波数の高いパルスを連続出力すると、ドライバICの発熱量が多くなりドライバICが高温になる。ドライバICが所定の上限温度以上になると、ドライバICの熱破壊を防止するため、印刷を中断しなければならなくなる。
そこで、本発明は、駆動デバイスの温度が上昇するのを抑制することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明のインクジェット記録装置は、共通インク室から圧力室を介してノズルに至る複数の個別インク流路が形成されている流路ユニットと、前記圧力室に対応して前記流路ユニットに固定され、且つ、前記圧力室に対向している個別電極、基準電位が付与されたグランド電極及び前記個別電極と前記グランド電極との間に配置された圧電層を含んでいる複数のアクチュエータとを備えている。さらに、複数の入力端子と出力端子とを有し且ついずれかの前記入力端子に入力された駆動信号のいずれかを前記出力端子から前記個別電極に出力するものであって、前記出力端子が対応する前記個別電極にそれぞれ接続されている複数のスイッチと、互いに異なる前記入力端子を介して前記スイッチに接続されていると共に前記入力端子に入力される前記駆動信号を生成する駆動信号生成回路であって、互いに異なる前記スイッチにそれぞれ接続された複数の前記駆動信号生成回路を有する複数の駆動デバイスと、前記スイッチが有する複数の前記入力端子のいずれかを選択すると共に、選択した前記入力端子に入力された前記駆動信号が前記出力端子から前記個別電極に出力されるように前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と、前記駆動デバイスの温度を検知する温度検知手段とを備えており、前記温度検知手段が所定の上限温度以上の温度を検知したとき、前記スイッチ制御手段が、前記上限温度以上の温度を有する前記駆動デバイス以外の前記駆動デバイスが有する前記駆動信号生成回路が接続された前記入力端子を選択する
本発明によると、個別電極に対応するスイッチに接続された複数の駆動信号生成回路が互いに異なる駆動デバイス内に配置されている。さらに、スイッチ制御手段が、温度検知手段の検知結果に基づいて選択する入力端子を適宜変更する。これによって、各駆動デバイスにける駆動信号生成回路の使用頻度を低くすることができ各駆動デバイスの温度が上昇するのを抑制することができる。
さらに、本発明においては、前記駆動デバイスが、互いに異なる全ての前記スイッチに接続された複数の前記駆動信号生成回路を有しており、前記スイッチ制御手段が、1つの前記駆動デバイスが有する前記駆動信号生成回路に接続された前記入力端子を同一のタイミングで選択することが好ましい。これによると、駆動デバイス単位で駆動信号生成回路が駆動するように入力端子が選択されるため、回路構成を簡素化することができる。
また、本発明においては、前記複数の駆動デバイスが互いに離隔していることが好ましい。これによると、駆動デバイスの発熱が他の駆動デバイスに移りにくく、発熱した駆動デバイスは良好に冷却される。
さらに、本発明においては、前記複数の駆動デバイスの構成が同一であることが好ましい。これによると、駆動デバイスの低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る好適な実施形態であるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)101は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ101は、インクジェットプリンタ101全体を制御する制御装置16を有している。また、このインクジェットプリンタ101には、図中左方に給紙部11が、図中右方に排紙部12がそれぞれ構成されている。
インクジェットプリンタ101の内部には、給紙部11から排紙部12に向かって用紙(被記録媒体)Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部11のすぐ下流側には、用紙を狭持搬送する一対の送りローラ5a、5bが配置されている。一対の送りローラ5a、5bは、用紙Pを給紙部11から図中右方に送り出すためのものである。用紙搬送経路の中間部には、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7の間に架け渡されるように巻き回されたエンドレスの搬送ベルト8と、搬送ベルト8によって囲まれた領域内においてインクジェットヘッド1と対向する位置に配置されたプラテン15とを含むベルト搬送機構13が設けられている。プラテン15は、インクジェットヘッド1と対向する領域において搬送ベルト8が下方に撓まないように搬送ベルト8を支持するものである。ベルトローラ7と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙部11から送りローラ5a、5bによって送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付けるものである。
図示しない搬送モータがベルトローラ6を回転させることによって、搬送ベルト8が駆動される。これにより、搬送ベルト8が、ニップローラ4によって外周面8aに押さえ付けられた用紙Pを粘着保持しつつ排紙部12に向けて搬送する。このように、搬送ベルト8、ベルトローラ6、7、及びベルトローラ6を回転させる搬送モータが用紙Pを搬送する搬送機構を構成している。
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離機構14が設けられている。剥離機構14は、搬送ベルト8の外周面8aに粘着されている用紙Pを外周面8aから剥離して、図中左方の右方の排紙部12に向けて送るように構成されている。
4つのインクジェットヘッド1は、4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)に対応して、用紙Pの搬送方向に沿って4つ並べて設けられている。つまり、このインクジェットプリンタ101は、ライン式プリンタである。4つのインクジェットヘッド1は、その下端にヘッド本体2をそれぞれ有している。ヘッド本体2は、搬送方向に直交した方向に長尺な細長い直方体形状となっている。また、ヘッド本体2の底面が搬送ベルト8の外周面8aに対向するインク吐出面2aとなっている。搬送ベルト8によって搬送される用紙Pが4つのヘッド本体2のすぐ下方側を順に通過する際に、この用紙Pの上面の印刷領域に向けてインク吐出面2aから各色のインク滴が吐出される。これにより、用紙Pの印刷領域に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
次に、図2を参照しつつインクジェットヘッド1について詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の短手方向に沿った断面図である。図2に示すように、インクジェットヘッド1は、流路ユニット9とアクチュエータユニット21とを含むヘッド本体2、ヘッド本体2の上面に配置されていると共にヘッド本体2にインクを供給するリザーバユニット71、アクチュエータユニット21を駆動させる駆動信号を生成する第1ドライバIC(駆動デバイス)51、第2ドライバIC(駆動デバイス)52及びスイッチングデバイス57が表面に実装されたCOF(Chip On Film)50(図7参照)、COF50と電気的に接続された基板54、並びに、アクチュエータユニット21、リザーバユニット71、COF50及び基板54を覆いつつ、外部からインクやインクミストが浸入するのを防ぐためのサイドカバー53及びヘッドカバー55を有している。
リザーバユニット71は、プレート91〜94の4枚のプレートが互いに位置合わせされて積層されたものであり、その内部に、図示しないインク流入流路、インクリザーバ61、及び、10個のインク流出流路62が互いに連通するように形成されている。なお、図2においては、1つのインク流出流路62のみが表れている。インク流入流路は図示しないインクタンクからのインクが流入するものである。インクリザーバ61はインク流入流路及びインク流出流路62と連通している。インク流出流路62は、流路ユニット9の上面に形成されたインク供給口105b(図3参照)を介して流路ユニット9と連通している。インクタンクからのインクがインク流入流路を介してインクリザーバ61に流れ込む。インクリザーバ61に流れ込んだインクはインク流出流路62を通過し、インク供給口105bを介して流路ユニット9に供給される。
また、プレート94には、凹部94aが形成されている。プレート94の凹部94aが形成された部分では、流路ユニット9との間に空隙を形成しており、この空隙内に、アクチュエータユニット21が配置されている。
COF50は、表面に形成された図示しない配線が後述する個別電極135及び共通電極134と電気的に接続されるように、その一方端部近傍がアクチュエータユニット21の上面に接着されており、他方端部がコネクタ54aを介して基板54に接続されている。
第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52は、アクチュエータユニット21を駆動する駆動信号を生成するものである。スイッチングデバイス57は、後述するように、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52から出力された駆動信号のいずれかを選択的にアクチュエータユニット21に出力するものである。また、第1ドライバIC51、第2ドライバIC52及びスイッチングデバイス57は、リザーバユニット71の側面に貼り付けられたスポンジ82によってサイドカバー53に付勢されている。そして第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52は、放熱シート81を介してサイドカバー53の内側面と密着することによってサイドカバー53と熱的に結合されている(図2においては第1ドライバIC51のみが表れている)。これにより、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52からの熱がサイドカバー53を介して外部に放熱される。
基板54は、制御装置16や上位の外部装置からの信号を第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52に中継するものである。
サイドカバー53は、流路ユニット9の上面における短手方向両端部近傍から上方に延在するように取り付けられた金属製の板部材である。ヘッドカバー55は、流路ユニット9より上方の空間を封止するようにサイドカバー53の上方に取り付けられている。このように、2つのサイドカバー53とヘッドカバー55とにより囲まれる空間内に、リザーバユニット71、COF50及び基板54が配置されている。サイドカバー53と流路ユニット9との接続部、及び、サイドカバー53とヘッドカバー55との嵌合部にシリコン樹脂材料等からなる封止部材56が塗布されている。これにより、外部からのインクやインクミストの浸入をより確実に防いでいる。
次に、図3〜図6を参照しつつ、ヘッド本体2について説明する。図3は、ヘッド本体2の平面図である。図4は、図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。なお、図4では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及びノズル108を実線で描いている。図5は、図4に示すV−V線に沿った部分断面図である。図6(a)はアクチュエータユニット21の拡大断面図であり、図6(b)は、図6(a)においてアクチュエータユニット21の表面に配置された個別電極を示す平面図である。
ヘッド本体2は、図3に示すように、流路ユニット9、及び、流路ユニット9の上面9aに固定された4つのアクチュエータユニット21を含んでいる。図4に示すように、アクチュエータユニット21は、流路ユニット9に形成された圧力室110に対向して設けられた複数のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する機能を有する。
流路ユニット9は、リザーバユニット71のプレート94とほぼ同じ平面形状を有する直方体形状となっている。流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニット71のインク流出流路62(図2参照)に対応して、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、インク供給口105bに連通するマニホールド流路105及びマニホールド流路105から分岐した副マニホールド流路105aが形成されている。流路ユニット9の下面には、図4及び図5に示すように多数のノズル108がマトリクス状に配置されたインク吐出面2aが形成されている。圧力室110も流路ユニット9におけるアクチュエータユニット21の固定面においてノズル108と同様マトリクス状に多数配列されている。
本実施形態では、等間隔に流路ユニット9の長手方向に並ぶ圧力室110の列が、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各圧力室列に含まれる圧力室110の数は、後述のアクチュエータユニット21の外形形状(台形形状)に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。ノズル108も、これと同様の配置がされている。
流路ユニット9は、図5に示すように、上から順に、キャビティプレート122、ベースプレート123、アパーチャプレート124、サプライプレート125、マニホールドプレート126、127、128、カバープレート129、及び、ノズルプレート130、という9枚のステンレス鋼等の金属プレートから構成されている。これらプレート122〜130は、主走査方向に長尺な矩形状の平面を有する。
キャビティプレート122には、インク供給口105b(図3参照)に対応する貫通孔、及び、圧力室110に対応する略菱形の貫通孔が多数形成されている。ベースプレート123には、各圧力室110について圧力室110とアパーチャ112との連絡孔及び圧力室110とノズル108との連絡孔が形成されていると共に、インク供給口105bとマニホールド流路105との連絡孔(図示せず)が形成されている。アパーチャプレート124には、各圧力室110についてアパーチャ112となる貫通孔及び圧力室110とノズル108との連絡孔が形成されていると共に、インク供給口105bとマニホールド流路105との連絡孔(図示せず)が形成されている。サプライプレート125には、各圧力室110についてアパーチャ112と副マニホールド流路105aとの連絡孔及び圧力室110とノズル108との連絡孔が形成されていると共に、インク供給口105bとマニホールド流路105との連絡孔(図示せず)が形成されている。マニホールドプレート126、127、128には、各圧力室110について圧力室110とノズル108との連絡孔、及び、積層時に互いに連結してマニホールド流路105及び副マニホールド流路105aとなる貫通孔が形成されている。カバープレート129には、各圧力室110について圧力室110とノズル108との連絡孔が形成されている。ノズルプレート130には、各圧力室110についてノズル108に対応する孔が形成されている。
これらプレート122〜130を互いに位置合わせしつつ積層することによって、流路ユニット9内に、マニホールド流路105から副マニホールド流路105a、そして副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を経てノズル108に至る多数の個別インク流路132が形成される。
次に、流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図3〜図5に示すように、リザーバユニット71からインク供給口105bを介して流路ユニット9内に供給されたインクは、マニホールド流路105から副マニホールド流路105aに分岐される。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路132に流れ込み、絞りとして機能するアパーチャ112及び圧力室110を介してノズル108に至る。
アクチュエータユニット21について説明する。図3に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、それぞれ台形の平面形状を有しており、インク供給口105bを避けるよう千鳥状に配置されている。さらに、各アクチュエータユニット21の平行対向辺は流路ユニット9の長手方向に沿っており、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士は流路ユニット9の幅方向(副走査方向)に関して互いにオーバーラップしている。
図6(a)に示すように、アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる3枚の圧電シート(圧電層)141〜143から構成されている。最上層の圧電シート141上における圧力室110に対向する位置には、個別電極135が形成されている。最上層の圧電シート141とその下側の圧電シート142との間にはシート全面に形成された共通電極(グランド電極)134が介在している。個別電極135は、図6(b)に示すように、圧力室110と相似な略菱形の平面形状を有する。略菱形の個別電極135における鋭角部の一方は延出され、その先端には個別電極135と電気的に接続された円形のランド136が設けられている。
共通電極134はすべての圧力室110に対応する領域において等しくグランド電位(基準電位)が付与されている。一方、個別電極135は、各ランド136及びCOF50の内部配線を介してスイッチングデバイス57の各端子(出力端子)と電気的に接続されており、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52からの駆動信号が選択的に入力されるようになっている。つまり、アクチュエータユニット21において、個別電極135と圧力室110とで挟まれた部分が、個別のアクチュエータとして働き、圧力室110の数に対応した複数のアクチュエータが作り込まれている。
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。圧電シート141はその厚み方向に分極されており、個別電極135を共通電極134と異なる電位にして圧電シート141に対してその分極方向に電界を印加すると、圧電シート141における電界印加部分が圧電効果により歪む活性部として働く。つまり、アクチュエータユニット21は、圧力室110から離れた上側1枚の圧電シート141を、活性部を含む層とし且つ圧力室110に近い下側2枚の圧電シート142、143を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの圧電素子である。図6(a)に示すように、圧電シート141〜143は圧力室110を区画するキャビティプレート122の上面に固定されているため、圧電シート141における電界印加部分とその下方の圧電シート142、143との間で平面方向への歪みに差が生じると、圧電シート141〜143全体が圧力室110側へ凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。これにより圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、圧力室110内に圧力波が発生する。そして、発生した圧力波が圧力室110からノズル108まで伝播することによってノズル108からインク滴が吐出される。
なお、本実施形態においては、予め個別電極135に所定の電位を付与しておき、吐出要求があるごとに一旦個別電極135にグランド電位を付与し、その後所定のタイミングにて再び所定の電位を個別電極135に付与するような駆動信号をドライバIC52から出力させる(図8参照)。この場合、個別電極135がグランド電位になるタイミングで、圧力室110内のインクの圧力が降下して副マニホールド流路105aから個別インク流路132へとインクが吸い込まれる。その後、再び個別電極135を所定の電位にしたタイミングで、圧力室110内のインクの圧力が上昇し、ノズル108からインク滴が吐出される。つまり、個別電極135に矩形波のパルスを付与することになる。このパルス幅は、圧力室110内において圧力波が副マニホールド105aの出口からノズル108の先端まで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)であり、圧力室110内のインクが負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさるため、強い圧力でインク滴をノズル108から吐出させることができる。
次に、制御装置16と、FPC50に実装された第1ドライバIC51、第2ドライバIC52及びスイッチングデバイス57とについて図7を参照しつつ詳細に説明する。図7は、インクジェットプリンタ101の機能ブロック図である。なお、図7においては、1つのアクチュエータユニット21及びこれに接続されたCOF50に関する部分のみを模式的に示している。図7に示すように、制御装置16は、画像データ記憶部63と、ドライバIC制御部64と、温度検知部(温度検知手段)65と、スイッチ制御部66とを有している。画像データ記憶部63は、用紙Pに形成する画像に関する画像データを記憶するものである。画像データはパソコンなどの図示しないホストコンピュータから転送される。ドライバIC制御部64は、ホストコンピュータからの指示により、画像データ記憶部63に記憶された画像データに関する画像が用紙Pに形成されるように、基板54を介して各インクジェットヘッド1の第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52を制御するものである。温度検知部65は、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52が有する温度センサ51b、52bからの出力結果に基づいて第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の温度を検知するものである。スイッチ制御部66は、温度検知部65の検知結果に基づいて、スイッチングデバイス57を制御するものである。
次に、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52は、同一の構成となっており、アクチュエータユニット21の各個別電極135に対応する複数の駆動信号生成回路51a、52aと、温度センサ51b、52bとをそれぞれ有している。駆動信号生成回路51a、52aは、制御装置16からの指示に基づいて対応する個別電極135に出力すべき駆動信号を生成するものである。各駆動信号生成回路51a、52aが生成した駆動信号はスイッチングデバイス57の入力端子に出力される。
スイッチングデバイス57は、アクチュエータユニット21の各個別電極135に対応する複数のスイッチ57aを有している。スイッチ57aは、2つの入力端子と1つの出力端子とを有している。一方の入力端子に当該スイッチ57aに対応する駆動信号生成回路51aが、他方の入力端子に当該スイッチ57aに対応する駆動信号生成回路52aが、出力端子に当該スイッチ57aに対応する個別電極135がそれぞれ接続されている。このように、各駆動信号生成回路51a、52aが、互いに異なるスイッチ57aにそれぞれ接続されている。また、各スイッチ57aは、各入力端子に入力された駆動信号のいずれかが、対応する個別電極135に出力されるように、スイッチ制御部66に制御される構成となっている。
次に、スイッチ制御部66の動作について説明する。第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の一方が有する駆動信号生成回路51a、52aからの駆動信号がスイッチ57aを介して個別電極135に連続出力されることによって、例えば、駆動信号生成回路51aが個別電極135と電気的に接続されているのであれば、駆動信号生成回路51a(第1ドライバIC51)の温度が上昇する。この温度が、予め設定された上限温度(例えば、100℃)を超えると、温度検知部65によって、駆動信号生成回路51a(第1ドライバIC51)が上限温度以上となったことが検知される。このとき、スイッチ制御部66が、第2ドライバIC52の駆動信号生成回路52aが接続された入力端子を選択することで、駆動信号生成回路51aに代わって駆動信号生成回路52aが個別電極135と電気的に接続される。これによって、駆動信号生成回路52aからの駆動信号が個別電極135に出力されることになる。このように、スイッチ制御部66は、選択された入力端子と接続された駆動信号生成回路51a、52aと個別電極135とが接続されるようにスイッチ57aを制御する。
個別電極135に接続された駆動信号生成回路51a、52aは、アクチュエータユニット21を駆動するために大きな電流が流れ発熱する。これにより、第1ドライバIC51又は第2ドライバIC52全体が発熱する。一方、個別電極135に接続されていない駆動信号生成回路51a、52aは、ドライバIC制御部64からの信号が入力されても大きな電流が流れず発熱しない。つまり、上限温度以上となった第1ドライバIC51又は第2ドライバIC52は、駆動信号生成回路51a、52aと個別電極135との接続が解除されて自然冷却される。このように、スイッチ制御部66は、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52が上限温度を大きく超えない範囲で、個別電極135に接続される第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52が順に切り替わるようにスイッチングデバイス57を制御する。
以上、説明した本実施形態によると、個別電極135に対応するスイッチ57aに接続された2つ駆動信号生成回路51a、52aが、互いに異なる第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52内に配置されている。さらに、スイッチ制御部66が、温度検知部65の検知結果に基づいて選択する入力端子を変更する。これによって、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52における駆動信号生成回路51a、52aの使用頻度を低くすることができ第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の温度が上昇するのを抑制することができる。また、各ドライバIC51、52が高温にさらされる時間が短くなるので、装置の長寿命化に寄与する。
また、スイッチ制御部66は、温度検知部65が上限温度以上の温度を検知したときに、上限温度以上となっていない第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の駆動信号生成回路51a、52aからの駆動信号が個別電極135に出力されるように選択する入力端子を変更する。そのため、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の温度が上限温度を超えないようにすることができる。また、各ドライバIC51、52の間で温度による駆動特性の差が生じにくくなり、高い印刷品質が維持できる。
さらに、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の構成が同一であるため、第1ドライバIC51及び第2ドライバIC52の低コスト化を図ることができる。
なお、本実施形態では、各ドライバIC51、52が、COF50上で互いに離隔して実装されているので、一方の発熱が他方に移りにくく、発熱したドライバICは良好に冷却される。
参考例>
8に示す参考例は、制御装置116が、画像データ記憶部63に記憶された画像データ(例えば、各ドットの階調データに対応するパルス波形に関するデューティー比)に基づいて、スイッチ57aにおける2つの入力端子が異なるタイミングにおいて必ず選択されるような入力端子の選択パターンを決定するパターン決定部165を有しており、スイッチ制御部166が、パターン決定部165が決定した選択パターンに基づいて入力端子の選択を順次行う構成であ
9に示す参考例は、制御装置216が、上述したようなパターン決定部165の替わりに、予め決定された選択パターンが記憶されたパターン記憶部265を有しており、スイッチ制御部266が、パターン記憶部265に記憶されている選択パターンに基づいて入力端子の選択を順次行う構成であ。このとき、パターン記憶部265に記憶された選択パターンは、スイッチ57aにおける2つの入力端子が平均的に選択されるように、且つ、第1ドライバIC51又は第2ドライバIC52単位で駆動信号生成回路51a、52aからの駆動信号が個別電極135に出力されるように決定されている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態において、1つのアクチュエータユニット21を駆動するために2つドライバICを用いる構成であるが、スイッチの入力端子を増やして3つ以上のドライバICを用いる構成であってもよい。
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの外観側面図である。 図1に示すインクジェットヘッドの短手方向に沿った断面図である。 図2に示すヘッド本体の平面図である。 図3に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図4に示すV−V線断面図である。 図4に示すアクチュエータユニットの拡大図である。 図1に示すインクジェットプリンタの機能ブロック図である。 図1に示す制御装置の参考例の機能ブロック図である。 図1に示す制御装置のさらなる参考例の機能ブロック図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
9 流路ユニット
6 制御装置
21 アクチュエータユニット
51 第1ドライバIC
51a 駆動信号生成回路
51b 温度センサ
52 第2ドライバIC
52a 駆動信号生成回路
52b 温度センサ
54 基板
57 スイッチングデバイス
57a スイッチ
63 画像データ記憶部
64 ドライバIC制御部
65 温度検知部
66 スイッチ制御部
101 インクジェットプリンタ
108 ノズル
110 圧力室
134 共通電極
135 個別電

Claims (4)

  1. 共通インク室から圧力室を介してノズルに至る複数の個別インク流路が形成されている流路ユニットと、
    前記圧力室に対応して前記流路ユニットに固定され、且つ、前記圧力室に対向している個別電極、基準電位が付与されたグランド電極及び前記個別電極と前記グランド電極との間に配置された圧電層を含んでいる複数のアクチュエータと、
    複数の入力端子と出力端子とを有し且ついずれかの前記入力端子に入力された駆動信号のいずれかを前記出力端子から前記個別電極に出力するものであって、前記出力端子が対応する前記個別電極にそれぞれ接続されている複数のスイッチと、
    互いに異なる前記入力端子を介して前記スイッチに接続されていると共に前記入力端子に入力される前記駆動信号を生成する駆動信号生成回路であって、互いに異なる前記スイッチにそれぞれ接続された複数の前記駆動信号生成回路を有する複数の駆動デバイスと、
    前記スイッチが有する複数の前記入力端子のいずれかを選択すると共に、選択した前記入力端子に入力された前記駆動信号が前記出力端子から前記個別電極に出力されるように前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と
    前記駆動デバイスの温度を検知する温度検知手段とを備えており、
    前記温度検知手段が所定の上限温度以上の温度を検知したとき、前記スイッチ制御手段が、前記上限温度以上の温度を有する前記駆動デバイス以外の前記駆動デバイスが有する前記駆動信号生成回路が接続された前記入力端子を選択することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記駆動デバイスが、互いに異なる全ての前記スイッチに接続された複数の前記駆動信号生成回路を有しており、
    前記スイッチ制御手段が、1つの前記駆動デバイスが有する前記駆動信号生成回路に接続された前記入力端子を同一のタイミングで選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記複数の駆動デバイスが互いに離隔していることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記複数の駆動デバイスの構成が同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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