JP4619352B2 - 胎児ヘモグロビン、細菌エンドトキシン、および任意でさらなる胎児肝成分を含む組成物 - Google Patents

胎児ヘモグロビン、細菌エンドトキシン、および任意でさらなる胎児肝成分を含む組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4619352B2
JP4619352B2 JP2006501878A JP2006501878A JP4619352B2 JP 4619352 B2 JP4619352 B2 JP 4619352B2 JP 2006501878 A JP2006501878 A JP 2006501878A JP 2006501878 A JP2006501878 A JP 2006501878A JP 4619352 B2 JP4619352 B2 JP 4619352B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lps
fetal
cells
clp1b
hemoglobin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2006501878A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006518350A (ja
Inventor
オットー ヴェストファール
ティエリー ヴァリ
レジナルド ゴルクジンスキ
シルク ミューラー
ジャン−ピエール マッハ
アルフレッド ハートマン
ヴォルフガング ベスレル
ペトラ ホフマン
ウルリッヒ ザリンガー
クリスチャン アレキサンダー
デム エッシュ ウルリッヒ フォル
アルトゥール ジェイ. ウルマ
アントニオ ヴェルディーニ
Original Assignee
クリニーク ラ プレリー リサーチ エスエー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クリニーク ラ プレリー リサーチ エスエー filed Critical クリニーク ラ プレリー リサーチ エスエー
Publication of JP2006518350A publication Critical patent/JP2006518350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4619352B2 publication Critical patent/JP4619352B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/37Digestive system
    • A61K35/407Liver; Hepatocytes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/74Bacteria
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/41Porphyrin- or corrin-ring-containing peptides
    • A61K38/42Haemoglobins; Myoglobins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/06Antiasthmatics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/08Antiallergic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P39/00General protective or antinoxious agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Description

明細書において、先行技術に関する多くの文献を引用している。製造元のマニュアルを含むこれらの文書の内容は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明は、エンドトキシン、好ましくは細菌エンドトキシン、胎児ヘモグロビン、および任意でさらなる胎児肝成分のようなさらなる成分、ならびに薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む組成物、好ましくは薬学的組成物に関する。本発明に従って、意外にも、細菌エンドトキシンおよび胎児ヘモグロビンは、顕著な相乗的生物医学活性を示すことが判明した。本発明の組成物は、免疫系の刺激、癌の予防および/または治療、ウイルス感染症のような感染症、および/またはアレルギー、および加齢関連免疫不均衡の回復を含む多様な応用を有する。
癌または重度の感染症のような疾患に対する人類の奮闘において、および同様に加齢の進行に対する奮闘において、胎児臓器、組織、または細胞を移入することは、予防的または治療的手段として何十年ものあいだ普及してきた。胎児「細胞治療」の歴史は、健康の回復を記述し、若返り効果に関して報告する逸話に富む[Lambert, G.、1959;Schmid, F.、1963]。医学的効果は、しばしば顕著ではあるが、何年ものあいだ主観的基準およびまだ定義されていない胎児組織の生物活性に関係する因子によってのみ判断された。胎児組織に由来する成分の医学的活性は、特定の膜構造と相互作用する腫瘍-胎児抗原の免疫原性特性によると仮定され[H.Rohrer、1987]、このように注入した材料の異質性(ヒツジ対ヒト)の基礎となる[Coggin, J.H.ら、1971;Renner, H.、1977]。このように、胎児組織の抽出物は、有益な医学的作用を有するように思われ、時に、特に癌および特定の感染症の治療または予防において推奨された。これらの胎児組織抽出物における医学的に活性な成分は、当技術分野においてかなり関心が高いにもかかわらず、これまで捕らえどころがなかった。そのような組成物の記載に関する問題は自明である。1世紀以上前から、生存および/または熱殺菌細菌の注入による癌の治療が普及した[Coley, W.1893]。約50年前、そのような治療の腫瘍壊死効果が、細菌エンドトキシンによることが示された。重量に基づくと、細菌のエンドトキシン(リポ多糖類、LPS)は、最も活性な抗腫瘍剤であり、この事実によってこれらの方向に沿って実験的研究が繰り返し促進された。しかし、エンドトキシンによる望ましくない副作用のために、この治療をより広くより一般的に応用することはできなかった。周知のように、これらの疾患を克服するために、または老化現象に首尾よく拮抗するために、多数のさらなるアプローチがとられている。しかし、感染症のみならずアレルギー疾患および/または老化と同様に、癌は、これらのアプローチの多くが失敗したか、またはヒトが期待した結果を生じなかったことから、今日まで人類にとって依然として重篤な問題である。このように、本発明の基礎となる技術的な問題は、該疾患または老化に対する奮闘に都合よく関与する可能性がある手段を発見することであった。該技術的問題に対する解決策は、請求の範囲において特徴が調べられている態様を提供することによって得られる。
したがって、本発明は、エンドトキシン、好ましくは細菌エンドトキシン、より好ましくは腸内細菌エンドトキシン、またはそのエンドトキシン活性部分、およびヘム不含ヘモグロビンのような胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意で胎児肝(糖)ペプチドのようなさらなる化合物、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤を含む組成物、好ましくは薬学的組成物に関する。
特に、本発明は、エンドトキシンもしくはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、もしくはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物、ならびに任意で賦形剤からなる;またはエンドトキシンもしくはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、もしくはその鎖の組み合わせ、任意でさらなる化合物、および薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤を含む、薬学的組成物(または「医薬品」)に関する。
本発明において用いられる「薬学的組成物」(「医薬品」という用語と互換的に用いられる)という用語は一般的に、当技術分野において用いられるその最も広い意味を有する。好ましくは、この用語は任意で、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤と併用して、ヒトまたは動物における疾患を治療または予防するために示される、任意の物質または物質(上記のような)の組み合わせを意味する。言い換えれば、この用語は、医学的診断を行うために、またはヒトおよび動物における生理的機能を回復、修正、もしくは改変するためにヒトまたは動物に投与してもよい任意の物質または物質(上記のような)の組み合わせを指す。薬学的組成物は、販売される/市場の認証を必要とすることが好ましいが、必ずしも本発明に従って必要ではない。言い換えれば、ヒトまたは動物における生理的機能を回復、修正、もしくは改変するように設計される、または本明細書において引用されるような任意の疾患を予防、治療、もしくは調節する、全体的な健康を増強する、もしくは老化の現象/原因(下記も参照されたい)を相殺するように設計されてOTCで販売される組成物も同様に、本発明に含まれる。
「エンドトキシン」(リポ多糖類、LPS)という用語は、一般的にグラム陰性菌によって産生され、そこからそれらが生物学的または化学的に放出される可能性がある細菌外膜の主成分を構成する生体活性化合物を指す。エンドトキシンの構造は、一例としてサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に関して図1に示される一般構造を有する。エンドトキシンは、リピッドAと呼ばれる脂質成分と、共有結合した多糖類とからなる両親媒性分子である。遺伝的、生合成、生物学的、および構造的特徴のために、炭化水素部分は、リピッドA近位コア領域とO-特異的側鎖とにさらに分けることができる。本発明に従って、本発明の組成物において用いられるエンドトキシンは、如何なるグラム陰性のエンドトキシン含有細菌に由来してもよいと理解される。一つの態様において、該エンドトキシンは、大腸菌に由来することが好ましい、一般的に、O-特異的鎖は、単量体2〜8個からなる反復オリゴ糖単位(腸内細菌では50個まで)で構成されるヘテロポリマーである。LPSのコア領域は、複雑なオリゴ糖からなり、その構造に関して、O-特異的鎖と比較すると多様性はより少ない[Zahringer, U.ら、1994]。腸内細菌および他のいくつかの科では、主にD-グルコース、D-ガラクトース、2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコース、または2-アミノ-2-デオキシ-D-ガラクトースのようなピラノシド六炭糖を有する外部コア領域と内部コア領域とを区別することができる。全てのグラム陰性菌において、後者は、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソン酸(2-ケト-3-デオキシ-D-マンノ-オクトン酸、Kdo)およびしばしばL-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース(Hep)を含む。
構造的に、リピッドA成分は、LPSの最も均一な部分を形成する。これは、KdoとリピッドAのあいだのグリコシド結合の切断が起こる軽度の酸加水分解によって糖質部分から分離することができ、したがって、詳細な構造的解明を行うためにより近づくことができる。大腸菌から調製したリピッドA試料は、インビトロおよび動物モデルにおいてLPSと同程度にエンドトキシンとして活性であることが判明し、リピッドAは、LPSのエンドトキシンとして活性な成分となることを示している。これは、大腸菌からのリピッドAを化学合成し、合成産物が完全な生物活性を示すことによって明確に証明された。図2は、モノホスホリル部分構造(MPLA)の形での大腸菌LPSのリピッドAの化学構造を示す。成熟リピッドAは、還元性のグルコサミン残基のグリコシド位にさらにホスホリル基を含む。LPSという用語は、S-型およびR-型LPS、ならびにリピッドAおよびその部分構造のような下部構造を含む。
エンドトキシンの「エンドトキシンとして活性な部分」という用語は、天然に存在するエンドトキシンのエンドトキシン活性の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%のような少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも100%を示す部分を指す。該エンドトキシンとして活性な部分はリピッドA成分であることが好ましい。エンドトキシンとして活性な部分は、本明細書において下記におよび添付の請求の範囲においてさらに説明されるモノホスホリルリピッドA(MPLA)であることが最も好ましい。
ヘモグロビン(Hb)は、当技術分野において分子量約64,500 Daのヘムタンパク質を指し、その主な生物機能は酸素(O2)の輸送である。成人のHb(HbA)は四つのポリペプチド(二つのα鎖と二つのβ鎖)、および一つのヘム基からなる。胎児Hb(HbF)は、二つのα鎖と二つのγ鎖を含む。HbAは骨髄において合成されるが、HbFは主に胎児の肝臓(および脾臓)において産生される。本発明において、胎児ヘモグロビンという用語は、ヘム不含HbFと共にHbFの四量体型を指す。鎖の組み合わせには、α、γ二量体が含まれる。単量体には、αおよびγ単量体が含まれる。
本発明に至る実験を開始するにあたって、意外にも、胎児(ヒツジ)肝抽出物(FSLE)−命名法に関しては実施例1を参照されたい−由来の分画の生物活性は、FSLEの10 ng/g(100 EU/g)の次数の少量の細菌エンドトキシンの存在に関連することが判明した。実施例2において記述するように、ヒツジ胎児肝抽出物をセファデックスG100において分画すると、少量のエンドトキシンがCLP1bおよびCLP2pと呼ばれる二つの分画に蓄積し、これらは、適用した生物アッセイにおいて最も活性な調製物である。
精製エンドトキシンを用いた比較できる生物学的分析から、エンドトキシン活性を改変することができる因子がCLP1bおよびCLP2pに存在することが示唆された。そのような因子は、本明細書において胎児ヘモグロビン、特にそのγ鎖構成成分であると同定された。さらに、エンドトキシンおよび胎児ヘモグロビンは相互作用して相乗作用、すなわち最大の生物活性を発揮することが判明した。比較試できる験において、胎児ヘモグロビンおよびγ鎖を含むサブユニットは、成人ヘモグロビンおよびβ鎖を含む下部構造より生物学的に有意に活性が高いことが判明した(実施例8および9を参照されたい)。同様に、さらに胎児肝抽出物は、おそらくその薬理学的認容性に関して、またはそのインビボ活性の持続、すなわちその生物学的動態に関して、エンドトキシンおよびヘモグロビンに対して都合よく作用することも判明した。その結果、胎児組織(肝臓)からの抽出物を、おそらくポリペプチドの性質を有するそのようなさらなる生物活性要因に関して広く分析した(実施例3.3.2および表4における胎児肝抽出物のタンパク質分析を参照されたい)。
エンドトキシン、ヘモグロビン、およびFSLEの様々な組み合わせを、様々なヒトの系において、マクロファージ、腫瘍の細胞増殖抑制および腫瘍の細胞障害性、サイトカイン産生の動態、抗老化現象等のような生物医学的活性に関して分析した(実施例8、12、13、15を参照されたい)。
これらのFSLE-由来化合物はさらに、経口投与した場合にも生物活性(マウスにおいて)を発現することが判明した。このように、エンドトキシン、ヘモグロビン、およびFSLE(ポリペプチド)のような、そのように異なるこれらの生物活性成分の適した組み合わせを経口で使用することは、例えば癌、感染症、アレルギー、および加齢関連免疫不均衡の分野において、より広く、より有効な医学的応用への門戸を開く可能性がある。
本発明の(薬学的)組成物の成分は、異なる製造法によって得ることができ、以下の選択肢は他のプロセスを排除するものではないが、好ましい態様を指す:活性成分が胎児肝組織に生物学的に蓄積されることから、活性成分が存在する胎児肝臓からの抽出物によって;またはグラム陰性菌の培養物からのエンドトキシン、もしくは臍帯血からのヘモグロビンのような、利用可能な起源からの化学調製によって;そのγ鎖のような一本鎖と共に鎖の組み合わせも同様に、遺伝子技術技法によって産生することができる。このように、本発明の組成物に含まれる調製物の成分は、天然起源から、組換えDNA技術/生化学合成によって、または化学合成と共にその任意の組み合わせによって得てもよい。調製物の成分の相互作用は合成後に起こってもよい。
組換え産生の場合、該(ポリ)ペプチドをコードする核酸は、多様な宿主細胞および発現ベクターを用いて通常の発現プロセスにおいて用いてもよい(例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning、A Laboratory Manual」、CSH出版、Cold Spring Harbor、1989、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wileg & Sons、ニューヨーク、2001を参照されたい)。
一般的に、および本発明の全ての態様に関して、組換え体産生のために用いられる宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。宿主細胞に存在するポリヌクレオチドまたはベクターは、宿主細胞のゲノムに組み入れられてもよく、または染色体外で維持されてもよい。
「原核生物」という用語は、先に参照した核酸分子またはベクターによって形質転換、またはトランスフェクトされうる全ての細菌が含まれることを意味する。原核生物宿主には、グラム陰性菌と共に、例えば大腸菌、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、霊菌(Serratia marcescens)、および枯草菌(Bacillus subtilis)のようなグラム陽性菌が含まれてもよい。「真核生物」という用語には、酵母(Saccharomyces)属の酵母、特に出芽酵母(S. cerevisiae)、高等植物、真菌、昆虫、および好ましくはヒト細胞のような哺乳類が含まれることを意味する。さらに、該宿主細胞を含むトランスジェニック動物、好ましくは哺乳類を、本発明の組成物に含まれる蛋白質様化合物を大規模に産生するために用いてもよい。
ベクターは、特に、本発明のポリヌクレオチドを含む、遺伝子操作において通常用いられるプラスミド、コスミド、ウイルス、およびバクテリオファージであってもよい。好ましくは、ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子移入もしくはターゲティングベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシ乳頭腫ウイルスのようなウイルスに由来する発現ベクターを、ポリヌクレオチドまたはベクターを標的化細胞集団に輸送するために用いてもよい。当業者に周知である方法を用いて、組換え型ウイルスベクターを構築することができる;例えばSambrookら、「Molecular Cloning、A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor(1989)、ニューヨーク、およびAusubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、ニューヨーク(1989)に記述される技術を参照されたい。または、ポリヌクレオチドおよびベクターは、標的細胞に輸送するためにリポソームに封入することができる。該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを、細胞宿主のタイプに応じて変化する周知の方法によって宿主細胞に移入することができる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは、原核細胞に一般的に利用されるが、例えばリン酸カルシウムもしくはDEAE-デキストラン媒介トランスフェクションまたは電気穿孔は、他の宿主細胞に用いられる可能性がある;上記のSambrookを参照されたい。
そのようなベクターは、適した宿主細胞および適した条件において該ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子のようなさらなる遺伝子を含んでもよい。好ましくは、該ポリペプチドをコードする配列は、原核細胞または真核細胞における発現を可能にする発現制御配列に機能的に結合している。該ポリヌクレオチドの発現は、翻訳可能なmRNAへのポリヌクレオチドの転写を含む。真核細胞、好ましくは哺乳類細胞における発現を確実にする調節要素は、当業者に周知である。それらは通常、転写の開始を確実にする調節配列、ならびに任意で、転写の開始を確実にする調節配列、および任意で転写の終了および転写物の安定化を確実にするポリ-Aシグナル、および/または該ポリヌクレオチドの発現をさらに増強するイントロンを含む。さらなる調節配列には、転写と共に翻訳エンハンサー、および/または天然に会合するもしくは異種プロモーター領域が含まれてもよい。原核宿主細胞における発現を可能にする可能性がある調節要素は、例えば、大腸菌におけるPL、lac、trp、またはtacプロモーターを含み、真核宿主細胞における発現を可能にする調節要素の例は、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモーター、または哺乳類および他の動物細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサー、SV40エンハンサー、またはグロビンイントロンである。転写の開始に関与する要素の他に、そのような調節要素はまた、ポリヌクレオチドの下流にSV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位のような転写終了シグナルを含んでもよい。さらに、用いる発現系に応じて、ポリペプチドを細胞分画に向ける、または培地に分泌させることができるリーダー配列を、本発明の薬学的組成物に含まれるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコード配列に加えてもよく、当技術分野において周知である。リーダー配列は、翻訳、開始および終了配列と共に適当な相で集合して、好ましくはリーダー配列は、翻訳されたタンパク質またはその一部をペリプラスム間隙または細胞外培地に分泌させるように向けることができる。任意で、異種配列は、所望の特徴、例えば発現された組換え型産物の安定化または精製の単純化を付与するC-またはN-末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードしうる。この意味において、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3、Echo(商標)クローニングシステム(Invitrogen)、pSPORT1(GIBCO BRL)、またはpRevTet-On/pRevTet-OffもしくはpCl(Promega)のような適した発現ベクターが、当技術分野で既知である。
好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクターにおける真核細胞プロモーター系であろうが、原核宿主の制御配列も同様に用いてもよい。
本発明のヘモグロビン成分(一本鎖または鎖の組み合わせを含む)は、該(ポリ)ペプチド(すなわち、アミノ酸30個までのペプチドまたはアミノ酸30個より多いポリペプチド)の合成を可能にする適した条件で該宿主細胞を培養すること、および該(ポリ)ペプチドを上清または細胞体から回収および/または単離することを含む方法によって産生してもよい。
特に、形質転換/トランスフェクトされた宿主を、発酵器において増殖させ、最適な細胞増殖を得るために当技術分野で既知の技法に従って培養することができる。ヘモグロビン成分および任意でさらなるタンパク質を、増殖培地、細胞溶解物、または細胞膜分画から単離することができる。タンパク質が発現されると、該タンパク質を、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む、当技術分野で標準的な技法に従って精製することができる;Scopes、「Protein Purification」、Springer-Verlag、ニューヨーク(1982)を参照されたい。少なくとも約90〜95%均一である実質的に純粋なポリペプチドが好ましく、薬学的に用いるためには98%〜99%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。
(部分的に)精製された成分は、任意の所望の比率(重量)で混合することができる。純粋なエンドトキシンおよび純粋な胎児ヘモグロビンはまた、本発明に従う組成物に達するために胎児肝抽出物(FSLE)の所定の量に規定量で添加することができるであろう。
FSLEによって例示されるように、薬学的組成物の筋肉内注射の場合の開始用量は680 mg(1単位として定義)となりえて、その中で約300 mgがタンパク質、約320 mgは非蛋白質様材料であり、そして60 mgは塩化ナトリウムである。この材料の中で、1単位は、LPS約6 ng等量を含む。FSLE 680 ngから、セファデックスG-100分画後、CLP1b/2p約20 mg(〜3%)が得られる。リムラス試験(LAL)アッセイにおいて、この材料は、標準的な筋肉内注射の一部である20 mgに関してLPS-同等物約2 μg(2×104 EU)の含有量を示す。
単離されたLPS(静脈内)のヒトにおける最大認容量(MTD)は、全量で0.05〜0.1 μgの次数である(約1 ng/kg体重)。したがって、有機物質620 mgを有するFSLEのそれぞれの単位は、LPSの平均で20〜40 MTD(静脈内)を含み、これは主観的な副作用を示さずに注射(筋肉内)される。
このように、投与経路に応じて、単位注射量はLPS同等物10〜100 ng(静脈内)、0.2〜2 μg(筋肉内、皮下、または皮内)、または1 mg(経口)まで、胎児ヘモグロビンもしくは好ましくはγ鎖を含むような部分構造0.001〜10 mg(またはそれ以上)、および胎児肝(糖)タンパク質(ポリペプチド)〜0.1〜500 mg(またはそれ以上)を含んでもよい。
本発明の組成物はさらに、薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤を含んでもよい。適した薬学的担体の例は当技術分野で周知であり、リン酸緩衝生理食塩液、水、油/水乳剤のような乳剤、様々なタイプの湿潤剤、滅菌溶液等の等張溶液が含まれる。そのような担体を含む組成物は、周知の通常の方法によって調製することができる。製剤は、投与経路に応じて液剤、ゲル、シロップ剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、または糖衣錠であってもよい。これらの組成物は、適した用量で被験者に投与することができる。適した組成物の投与は、異なるように、例えば静脈内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内または経口投与によって行ってもよい。投与レジメは、主治医および臨床要因によって左右されるであろう。医学分野において周知であるように、患者1人の用量は、投与される特定の化合物;患者の全身健康、体格、体表面積、年齢、性別、投与時間および経路、ならびに同時投与される他の薬物を含む多くの要因に依存する。投与経路に関連して先に概要したように、ヒトの典型的な用量は、例えば、LPS同等物0.01〜1000 μgに対応しうる。しかし、特に、経口投与に関して先に言及した要因を考慮して、この例としての範囲より下または上の用量が想像される。本発明の薬学的組成物は、国の法律およびGMP標準に従う規則要求に従って調製される。賦形剤の例も同様に当技術分野において周知であり、薬剤に対して適当な硬度または形状を付与するために処方に加えられる任意の多少の不活性物質に関連する。賦形剤の例には、乳糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース、および糖成分が含まれるがこれらに限定されない。
先に概要したように、および本発明に従って、エンドトキシン、胎児ヘモグロビンもしくはその一本鎖、またはヘム不含ヘモグロビンのようなその鎖の組み合わせ、および任意で胎児肝抽出物のさらなる成分を含む調製物が、驚くべきことに、特に癌、病原体および特にウイルスによる感染症、アレルギー、および加齢プロセスに対する奮闘において、有用な生物作用を発揮する可能性があることが認識された。このように、本発明は、エンドトキシンとヒツジ胎児肝に存在するヘモグロビンのあいだの生理的なインビボ相互作用によって、腫瘍の増殖阻害および免疫系の活性化を含む有益な作用を発揮する調製物が得られるという新しい考え方を提供する。その結果、本発明に従って、そのような調製物は、好ましくは胎児肝組織からの単離後、または化学もしくは分子生物学の技術によって製造後、ヒトを含む成体哺乳類に適用した場合に治療的に有用な作用を発揮することが判明した(実施例8、12、13、15を参照されたい)。下記の実施例に記載するように、胎児肝ホモジネートの抽出物からそのような調製物を濃縮して、それらがマクロファージを強く活性化して、ヒト細胞系においても腫瘍細胞障害性を誘導し、腫瘍の増殖を阻害し、および加齢関連免疫状態を若い個体の免疫状態に回復させることを示すことは可能であった。これらの調製物は、いわゆる「細胞性治療」において適用されるように胎児肝組織によって発揮される有用な医学的作用の多くに関与しているように思われる。さらに、本発明の組成物は、例えば、放射線照射による腫瘍の治療における有害な副作用を回避または減少させるための補助剤として、放射線照射の有害反応を遮断するための手段として用いることができる。上記の全ての応用において、本発明の組成物はそれぞれの患者によって十分に認容されると証明されている、または期待されることは注目に値する。上記の説明から理解できるように、本発明の組成物は、抗老化剤と共に、広く多様な異なる疾患の治療または予防において有用に用いてもよい。異なる医学的応用は特に意外であるが、本発明の組成物がこのように不均一な有益な活性パターンを示すことはさらにより驚きである。これらの知見は、成体ヘモグロビンまたはその誘導体の生物活性がこれまでに研究されているという事実にもかかわらず意外である。成体ヘモグロビンは、細菌の増殖補助剤である[Dunnら、1983]、補体を活性化する[Kaca, W 1995]、および単球においてTNFαを誘導する[Carillo, E.、2002]ことが示された。成体ヘモグロビンはまた、エンドトキシンと相互作用することが判明した[Roth, RJおよびLevin, J、1999]。特に、エンドトキシンとヘモグロビンを同時に適用した場合に、毒性の増強を認めた。この作用は、ヘモグロビンの生物活性のエンドトキシンによる増強として[White, C.T.、1986]、またはエンドトキシン活性のヘモグロビンによる増強として[Su, D.ら、1999]説明された。これらの研究において、LPSおよびヘモグロビンは、一般的に単核球を用いる様々なインビトロアッセイにおいて分析され、または静脈内もしくは腹腔内経路によってマウスもしくはウサギに投与された。これらのこれまでの試験において用いられたヘモグロビン調製物は、ヒトおよびウシの不純物を含む間質不含ヘモグロビン(SFH)、ヒトクロスリンクα,α-Hb、重合化ウシヘモグロビン(Biopure 2)、およびその化学改変体を含む。これまで、本出願者が知る限り、胎児ヘモグロビンについては研究が行われておらず、またはα、γ鎖二量体、もしくは精製αおよびγ鎖に関してもそのような研究は提案されていなかった。本発明に従って、意外にも、胎児ヘモグロビン、α、γ鎖二量体、またはγ鎖単量体は、HbAまたはその下部構造と比較して有意に強いエンドトキシンとの相乗作用を発揮することが判明した。相乗効果はまた、ヘム枯渇ヘモグロビン(グロビン)によっても発現されたことはさらに意外な知見であった。これは、予想されていること、すなわち陰性荷電LPSがヘムに存在するFe2+-イオンと相互作用することとは対照的である。さらに驚きの知見は、エンドトキシンとの相互作用に関して、完全なグロビン構造は必要ではなく、α、γ鎖またはγ鎖単独で十分であることであった。α、β鎖二量体は、LPSとの非常に中等度の相乗活性を示したことから、この生物活性は、γ鎖によって最適に媒介されることは明白である。胎児ヘモグロビンまたは部分構造の生体増強作用は、ヘム含有ミオグロビン(データは示していない)では認められない。HbAおよびLPSを静脈内に適用すると、急激な生物作用の発現が起こる。対照的に、本発明の調製物は筋肉内または経口投与され、これは毒性作用を示さずに都合のよい作用のみを示す。
しかし、胎児抽出物に存在するエンドトキシンは、生物学的に潜在型で母親の生物の菌叢に由来してもよいが、出願人は、この点に関して如何なる理論にも拘束されたくはない。このことは、生物活性分画(実施例においてCLP1bおよび2pとして同定される)を37℃で0.5〜2時間維持すると、抗腫瘍活性が30〜40倍高くなるという知見によって支持される。これらの変化と一致して、遊離のエンドトキシン濃度の平行な増加(75倍まで)、すなわちリムラス-アメーバ様細胞溶解物試験(LAL-試験)によって検出可能なエンドトキシンが認められる。このように、生理的温度で肝ホモジネートを短期間インキュベートすると、さらなるLPS生物活性が示されうるように思われる。この場合も、出願人は如何なる理論にも拘束されたくはないが、以下のことが考えられる:ヒツジ胎児肝臓は、生理的な凝集状態で明らかに少量(ピコグラム/ミリグラム)のエンドトキシンを含むが、これはLALアッセイにおいてほとんど反応せず、すなわちこれは生物学的にほぼ不活性である。筋肉内または経口適用後に起こる可能性がある、凝集したエンドトキシンと胎児ヘモグロビンとの相互作用によって、エンドトキシンは、本発明の組成物に関して記述されるように有用な医学的効果を発揮する生物活性型に変換されるであろう。組成物は、生物活性エンドトキシンがそこから劇的に放出される貯蔵庫として作用する可能性がある。このようにして、エンドトキシンは、それほど急速には作用せず、その結果、認容性がより良好となるであろう。
本発明の組成物は、医療に用いるために、好ましくは最小量の胎児ヘモグロビン、その一本鎖、もしくはその鎖の組み合わせ0.001〜10 mg、およびエンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分0.01〜1000 μgを含む。
本発明の組成物は、一つまたはそれ以上のエンドトキシン型(細菌のS-およびR-型LPSまたは下部構造)および一つまたはそれ以上の胎児ヘモグロビン(下部構造)またはさらなる(ポリ)ペプチドを含んでもよい。このように、組成物は、均一または不均一であってもよい。
本発明の組成物の好ましい態様において、該胎児ヘモグロビン、その一本鎖、または鎖の組み合わせは、非ヒト胎児組織に由来する。
本発明に関連して、「該胎児ヘモグロビンまたはその一本鎖または鎖の組み合わせは非ヒト胎児組織に由来する」という用語は、好ましくは該調製物が精製によって該組織から直接得られることを意味する。または、該用語は、該調製物が、該組織から直接得られたが、組換えまたは(半)合成手段によって産生された調製物と同一であるかまたは本質的に同一であることを意味する。
本発明の組成物の特に好ましい態様において、該非ヒト胎児組織は、ヒツジ、ヤギ、ウマ、またはウシに由来する。
添付の実施例(組成物の成分を得る好ましい方法を示す)において、ヒツジ胎児組織からの抽出物は、本発明の組成物に含まれる活性成分のさらなる分析のために用いたが、他の哺乳類、特に他の反芻動物からの胎児肝組織は、微生物腸菌叢が類似であると予想されることから、同じ目的を果たすと期待される。肝臓の他に、または肝臓の代わりに、これらの動物からの胎盤を、本発明の(薬学的)組成物の上記の引用された成分源として用いてもよい。したがって、これらの起源も同様に、本発明に従って好ましい起源として含まれる。
本明細書に記述の調製物は、ヒトのような異種生物に投与した場合、胎児タンパク質の保存された一次構造(実施例3を参照されたい)および調製物に存在するLPSが少量であるために、免疫原性が非常に弱いか、または非免疫原性である。このことは、抗体が形成されないことと共に、先に引用され、添付の実施例および小章において証明されるように得ることができる抽出物を繰り返し適用した場合であっても、良好な長期の認容性が臨床的に認められることに関する説明を提供する。
本発明の組成物の特に好ましい態様において、該非ヒト胎児組織は、出産約4週間前から出産までの妊娠ヒツジから得られる。
異なる発達段階のヒツジ肝臓のような胎児組織を抽出して、関連分画(添付の実施例においてCLP1bおよびCLP2pと命名される)を抗腫瘍マクロファージ活性化に関して比較可能に調べたところ、胎児段階において、生物活性、特にCLP2pの活性は、出生時に最大に増加することは明らかである。その後、活性は生後間もなくおよび出生時に、濃度0.1〜1%という次数のかなり低いレベルまで有意に減少する。このことは、胎児の成分が生後変化するか、または胎児の生命において、成体および老齢時と比較してかなりのより高濃度の活性化合物が産生されることを示している。この知見はヘモグロビンの生合成の動態と一致する。このように、α,γ二量体からなる胎児ヘモグロビン(HbF)の形成は、成体ヘモグロビン(HbA)に存在するα、β二量体の合成に都合がよいように出生時に減少することは周知である。実際に、ヒトβ鎖の合成は、出生の数週間前に始まる。しかし、ヒツジにおいてβ鎖の合成は出生の少し前に始まり、出生前約100日から出生約1週間前までの胎児では、Hbのα2γ2型のみが存在する[Hammerberg, B.ら、1974]。
本発明の組成物のもう一つの特に好ましい態様において、該非ヒト胎児組織は肝臓である。
組換えまたは化学的産生の場合、本発明の組成物に含まれる活性成分が肝臓から得られることは、最も都合よく等しく好ましい。特に、当業者は、添付の実施例においてヒツジに関して記述した該活性成分を得るためのプロトコールを、他の非ヒト哺乳類からの胎児-肝臓組織に適合させることができる。
添付の実施例において証明されるように、および生物活性成分の特徴をさらに調べるために、凍結乾燥肝胎児抽出物(FSLE)に、水または生理食塩液による抽出、超遠心、およびセファデックスG100クロマトグラフィーによる分画、または細分画を行って、大量の生物活性を含む二つのプールを得て、これらをCLP-IbisまたはCLP1bおよびCLP-IIprimeまたはCLP2bと命名する。CLP1bおよびCLP2pの生化学分析により、エンドトキシンが存在すること、そして全体でタンパク質576個が存在することが判明し、そのうち25個がこれまでに同定されている(実施例3.3.2を参照されたい)。胎児ヘモグロビンの他に、これらのさらなるタンパク質のいくつか、特にさらに下記に明記するタンパク質は、本発明の組成物の有用な作用を改変する可能性があると想像される。上記のプロトコールは、添付の実施例に含まれる教示を参照することいよってさらに改良することができる(特に、実施例2および3を参照されたい)。
本発明の(薬学的)組成物のさらに好ましい態様において、該さらなる成分は、胎児肝(糖)ペプチドである。本発明に従って、胎児肝に由来して、蛋白質様の性質を有するさらなる成分、好ましくは糖タンパク質(本明細書において、糖ペプチドと同じ主題を記述するために用いられる)は、ヘモグロビン、一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、およびエンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な断片もしくは誘導体によって提供される治療的に活性な成分を増強する可能性があることが判明した(実施例8および9を参照されたい)。
本発明に従って、鎖の組み合わせは、胎児ヘモグロビンのα、γ二量体であることがさらに好ましい。上記で既に指摘したように、意外にも、胎児ヘモグロビンのα、γ二量体およびさらにγ単量体鎖単独でも、エンドトキシンと予想外に強く相乗的に作用することが判明した。本発明の組成物のこれらの成分の良好な認容性と共に有益な作用は、本発明の段階がなければ先行技術から誘導することはできなかった。
本発明に従って、一本鎖は胎児ヘモグロビンのγ鎖であることも同様に好ましい。
本発明に従って、これらの有用な作用を発見するために、ヘモグロビンのヘム部分が必要でないことを発見したことはさらに驚きであった。したがって、本発明の組成物のさらに好ましい態様において、鎖の組み合わせは、ヘモグロビンの鉄含有分画であるヘムを含まない。
本発明の組成物のもう一つの好ましい態様において、エンドトキシンは、細菌のリポ多糖類(LPS)であり、好ましくは細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類またはその生物活性断片もしくは誘導体である。
本発明の組成物のさらに好ましい態様において、該エンドトキシンは、腸内細菌の細菌LPSである。
本発明の組成物のさらにより好ましい態様において、該腸内細菌は、大腸菌、サルモネラ、エルシニア(Yersinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、シトロバクター(Citrobacter)、エンテロバクター(Enterobacter)および/またはシゲラ(Shigella)種または属から選択される。
LPSの「生物活性断片」という用語は、LPSの化学もしくは酵素的断片化によって、またはそれによって薬学的に有用な活性が(本質的に)維持または改善されるLPSの(生)化学改変によって誘導される化合物を指す。これらの化合物には、部分的酵素的/加水分解的脱グリコシル化、脱リン酸化、および脱アシル化によって産生された断片、またはグリコシル、ホスホリル、もしくはアセチルトランスフェラーゼの作用によって、または哺乳類の組織、特に肝臓において起こることが知られている他の酵素的改変段階によって生成された誘導体が含まれる。
高分子両親媒性分子である細菌エンドトキシンまたはLPSは、高等動物およびヒトにおいて、投与経路に応じて、0.01〜0.1 ng/kg体重もの少量で薬理学的に重要な非常に多様な生物活性を示す[Alexander, Ch.、2001]。LPSの作用は、免疫細胞およびサイトカイン、反応性酸素種、および脂質メディエータを含む免疫細胞から放出された因子によって媒介される[Brabetz, W.、1999]。LPS生物活性は、そのリピッドA成分に基づき、多くの細菌属に関するその一次構造が知られている[Zahringer, U.、1994]。リピッドA(またはLPS)の生物活性の発現は、その分子のコンフォメーション、凝集の程度、および三次元構築に依存し[Brandenburg, K.、1996]、これらの要因は、アシル化およびリン酸化の程度によって決定される。このように、完全なエンドトキシン性は、ヘキサアシルビスホスホリルリピッドAによって発現されるが、ペンタアシルビスホスホリルまたはヘキサアシルモノホスホリル部分構造は約10〜100倍活性が低い[Rietschel, E.Th、1994]。特に、モノホスホリル(ヘキサアシル)リピッドA(MPLA)は、様々な系において分析されており、リピッドAまたはLPSと比較して有意に減少した(約10〜100倍)毒性を示すことが示された[Ulrich, J.T.ら、1995]。
腫瘍の治療および感染症の予防を含むLPSの医学的応用は、1世紀以上前に広まったが、薬理学的有効量に伴う望ましくない副作用がしばしば障害となった[Zhang, M.、1999]。このように、腫瘍のLPSによる退縮の印象的な結果が報告されたが[Zhang, M.、1999]、発熱および血圧低下のような副作用のために、医療の現場においてエンドトキシンを幅広く受け入れることは禁止された。急性毒性を制御するために、一般的に用いられる静脈内注射の代わりにLPSを皮下に適用することが普及した。このように、Nishizawaら[1992]は、コムギにおいて増殖する微生物であるパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)からLPSを単離し、彼らはそれらを皮内注射によって適用することを推奨し、これは様々な疾患を有する患者において恒常性(すなわち、健康)を回復すると考えられている[Goto, S.、1996]。毒性学的な見地から、著者らはこれらの条件下でかなり良好な認容性を示唆している[Inagawa, H.、1997]。それらの特にヒトを含む高等生物においてLPS-生物活性を制御するメカニズムおよび分子、ならびにインビボでのLPSの薬動力学に関してはほとんどわかっていない。注射された、または生理的もしくは病理生理的条件でグラム陰性菌から放出されたLPSの運命に関する研究から、全ての臓器の中でも、肝臓は第一義的で中心的な役割を果たすことが示された[Freudenberg, M.A.、1990]。肝臓は、循環中からLPSを非炎症性に消失させて、LPSを非毒性またはより毒性の低い形で保存することが示された[Freudenberg, M.A.、1990]。このように、消化管から血液に入るエンドトキシンの主な経路は、門脈から肝臓に至り、そこでそれらはクッパー細胞によって取り込まれて、再度血流に放出され、その後肝細胞に再分配されて、肝臓は最終的に胆汁と共にそれらを分泌する[Bertok, L.、1980;Van Bossuyt, H.、1988]。毒性の低いまたは非毒性のリピッドA部分構造に至るエンドトキシンの酵素的分解は、マクロファージ、および好中球由来酵素によって起こることが示されている。真核細胞および血清におけるリピッドA骨格の脱リン酸化が報告されている[Poelstra, K.、1997]。このホスファターゼ活性は、細胞溶解物および腹腔マクロファージの無傷の細胞において同定され、これはライソゾームに局在した。さらに、好中球由来アシルオキシアシルヒドロラーゼ[Munford S.、1986]は、リピッドAの二次的なエステル結合脂肪酸を切断する。エンドトキシンの運命は、HDL、LDL、および循環系においてLPSと複合体を形成する補体因子のような血清因子によっても決定される。さらに、BPIとの複合体は、肝臓に輸送され、肝細胞によって取り込まれる。妊娠哺乳類では、胎盤も同様にLPSを濃縮する可能性がある。このように、Y. Katayamaら(1975)は、「ヒト胎盤におけるLPS(エンドトキシン)様物質」を記述した。著者らは、妊娠中の母親および胎児のシュワルツマン感受性に関連し、シュワルツマン活性材料が胎盤に蓄積して、そこからLPSに関する既知の抽出技法によって少量を抽出できることを示している。抽出物の活性は、純粋な大腸菌LPSの活性の約1000分の1であった。著者らは、今後の報告において活性成分のさらなる特徴付けを公表するが、これはこれまで示されていなかった。研究の大半は、肝臓は体が循環中のLPSをターゲティングする主要な臓器であることを示している。
さらに好ましい態様において、エンドトキシンのエンドトキシンとして活性な部分は、LPS由来多糖類不含リピッドA成分である。
当技術分野において、エンドトキシン性と抗腫瘍活性とを都合よく分離する目的で、LPSのリピッドA領域の構造的類似体を調製する合成努力が行われた[Jeanin, J.F.、1991;Kusawa, T.、1991]。単離されたLPSを、その望ましくない副作用が消失するが、腫瘍の壊死活性のようなその治療的有用な特性は保持されるように化学改変する多数の試みがなされている[Zhang, M.、1999および米国特許第4185090号、英国特許第2147806号、および国際公開公報第0026384号]。これらの非可逆的な化学または酵素的改変には、リピッドA-結合アシル残基の脱リン酸化およびサポニン化と共に、すなわちフタル酸による誘導体化が含まれた[Elin, R.J.、1981]。
LPSの生物活性中心であるリピッドAの化学構造は、親水性および親油性領域を有し、そのいずれもがLPSの生物活性の発現にとって必要である。したがって、リピッドAは、LPSの生物活性断片の好ましい例である。リピッドAのいずれかの領域と会合し、それによってLPSと物理的および非可逆的に複合体を形成してその生物活性を低下させる天然の化合物が既知である[David, S.A.、1999;Porro, M.、1999]。リピッドAの親水性および疎水性領域の双方に結合してその生物作用を抑制する分子には、殺細菌/透過性増加タンパク質(BPI)、エンドトキシン中和タンパク質(ENP)、抗生物質ポリミキシンB[Rifkind, D.、1967]、および陽イオンペプチド18(CAP 18)[Opal, S.M.、1998]が含まれるが、リポ多糖類結合タンパク質(LBP)、成体ヘモグロビン(Hb)および可溶性CD14はエンドトキシン活性を増強する[Roth, R.J.、1999;Kitchensら、2000]。リピッドAの親油性領域と主に会合して、それによってその生物活性を阻害する化合物は、ドデシル硫酸ナトリウムのような界面活性剤および特定の胆汁酸を含む[Bertok, L.、1980;Van Bossuyt, H.、1988]。化学量論的比率を超えて陽イオンまたは疎水性分子とLPSが会合できることは、少し前から知られている[Luderitz, O.、1958]。そのような複合体において、タンパク質は、トリクロロ酢酸のようなタンパク質変性化学物質によってもはや沈殿せず、脂質は、例えばジギトニンによるコレステロールのように脂質沈殿試薬によって沈殿することができない[Luderitz, O.、1958;Neter, E.、1958]。本発明者らの知る限り、複合体形成分子は、液性(例えば、LBP)または細胞(例えば、CD14/TLR4)宿主受容体とのその相互作用にとって必要であるリピッドA領域の特定の部位を覆う可能性がある[Poltorak、1988]。LPSとその宿主受容体との複合体の相互作用を抑制すると、LPS-作用の開始および発現が阻害される[Opal, S.M.、1988]。LPSと他の化合物との複合体の形成に及ぼすこれらのこれまでの試験の全ては、LPSの解毒化のみに向けられた[Opal, S.M、1988]。一つのアプローチはLPSを貪食の刺激剤として用いることに向けられたが(欧州特許第A 0 405 315号)、LPSとヘモグロビンのような他の成分との相互作用に起因する調製物のおそらく有用な特性は、これまで系統的に研究されていなかった[Brade, H.、1999を参照されたい]。
本発明に従って、該エンドトキシンは天然または合成ペンタ-および/またはヘキサアシル-リピッドAであることがさらに好ましい。
該組成物に含まれる該エンドトキシンは天然または合成ペンタ-および/またはヘキサアシル-リピッドAモノホスフェート(MPLA)であることは、本発明のさらなる態様である。
これらのエンドトキシンを用いる利点は、その急性毒性がヘキサアシルビスホスホリルリピッドAまたはLPSの毒性と比較して有意に低い(約100倍)という事実に関連する(15頁も参照されたい)。
本発明に従う一つの態様において、組成物において、成分の重量比は、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ対エンドトキシンまたはエンドトキシンとしてのその活性部分が、約1000:1または1:1〜1000:1の範囲であることはさらに好ましい。他の態様は異なる比を含む。
さらに好ましい態様において、本発明の組成物はさらに、チオレドキシン、ホスファチジルエタノールアミン-結合タンパク質(PBP)、ペプチジル-プロピル-シス-トランス-イソメラーゼA(PPlase A)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、もしくはユビキチン(Ub)、または表4に記載の任意の他のタンパク質である肝(糖)ペプチドを含む。
ユビキチンおよびチオレドキシンはケモカインとして作用し、MIFはTLR-4受容体をアップレギュレートして、それによってLPS活性化にとって都合のよい細胞環境を形成する可能性がある[Rogerら、2001]。
該組成物は食品添加物(食品補助剤)である、またはそれらを含むことも同様に好ましい。これは、本発明に従って考察される他の(好ましい)態様にも当てはまる。
本発明に関連する「食品添加剤」という用語は、当技術分野において用いられるその最も広い意味を有する。典型的に、食品添加剤は、食品を保存するため、またはその臭いおよび外観を改善するために添加される物質である、または物質を含む。そのような食品添加剤は、酸、酸性調節剤、抗ケーキング剤、消泡剤、抗酸化剤、増量剤、着色剤、保色剤、乳化剤、香料、香料増強剤、粉処理剤、湿潤剤、保存剤、噴射剤、安定化剤および/または甘味料を含むがこれらに限定されない。これらの成分は全て本発明の組成物に加えてもよい。しかし、本発明に関連して、食品添加剤は、上記のエンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、およびヘム不含ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせのような胎児ヘモグロビン、ならびに任意で胎児肝(糖)ペプチドのようなさらなる化合物からなる、または含むことが重要である。本発明の食品添加剤を表すまたは含まれるこれらの成分は、食品の消費者の全般的な健康に貢献する可能性がある。例えば、それらは、本明細書において他所で説明する加齢に関連して認められる現象/原因を相殺すると期待される。
さらに好ましい態様において、本発明の薬学的組成物は、経口投与のために調製される。そのような糖菓剤の例には、錠剤(コーティングまたは非コーティング)、軟ゼラチンカプセル、硬ゼラチンカプセル、トローチ剤、溶液、乳液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤、溶解するための粉剤/顆粒剤、分散粉剤/顆粒剤、薬用ガム、チューイング錠および発泡錠が含まれるがこれらに限定されない。
経口投与は、多くの長所、特に患者にとってかなりの適用の快適さを有する。
意外なことに、本発明の薬学的組成物は、0.5μg〜50 μgの用量で経口投与した場合に、マウスにおいても生物活性であることが判明した。これまでの研究から、LPSは、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内経路のような経口以外の経路によって適用した場合に限って、ヒトを含む高等動物において生物活性を発現することが常に示されている。このように、Ch. Galanos(マックスプランク免疫生物学研究所、フライブルク、ドイツ;私信)は、LPSを静脈内に適用した場合に1〜5 ng/マウスで感受性を示すD-ガラクトサミン感作マウスが、5 mg/動物もの高い経口用量によって死亡しなかったことを示した。このように、本明細書において認められたエンドトキシン/ヘモグロビン組成物の生物活性は、これまで記述されていない。さらに、胎児ヘモグロビンと相互作用後のLPSは、等量の遊離のLPSより有意に活性であることは、本発明に従ってさらに証明されうるであろう。文献においてこれまで記述されてきた胎児組織に由来する生物活性成分は、熱不安定性であり、タンパク質溶解に対して感受性があると請求されてきたが、本明細書に記述のLPS調製物は対照的に、むしろ熱安定性であり、タンパク質分解酵素に対して抵抗性である。当業者は、マウスについて得られたデータをヒトを含む他の哺乳類に容易に拡大するであろう(実施例8、12、13、および15を参照されたい)。
さらに好ましい態様において、該組成物は、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ0.001〜10 mg、およびエンドトキシンまたはエンドトキシンとして活性な部分0.01〜1000 μgを含む。
本発明はまた、生得のおよび養子免疫系を刺激する組成物を調製するために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。
同様に、本発明は、癌を治療する組成物を調製するために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。
本発明の組成物の投与によって治療または予防することができる癌様腫瘍には、前立腺の腺癌のような前立腺癌、乳癌、子宮頚部扁平上皮癌、および膵臓腺癌が含まれるがこれらに限定されない。病原体による感染症には、ウイルス、細菌、および単細胞または酵母細胞、真菌、ぜん虫等のような多細胞構造の真核生物による感染症が含まれる。
本発明はまた、感染症を予防または治療する組成物を調製するために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。
さらに、本発明はまた、アレルギー病態を予防または治療する組成物を調製するために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。好ましい態様において、そのようなアレルギー病態には、全ての1型アレルギー、枯草熱、およびアレルギー性喘息が含まれる。
もう一つの好ましい態様において、本発明は、加齢に関連して起こるサイトカイン/ケモカイン産生の変化を回復させるために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。さらに好ましい態様において、本発明は、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物をヒトに投与することを含む、加齢に基づく免疫不均衡を回復させる方法に関する。加齢は、本発明に従うその最も広い意味において、経時的な免疫不均衡が通常に非可逆的に生成されることに関連する。
本発明の用途に関するさらに好ましい態様において、該加齢関連免疫不均衡は、異常なサイトカイン産生を含む。本発明の組成物に関するさらに好ましい態様において、該加齢に関連した異常なサイトカイン産生は、TNFα、IL-1、IL-4、IL-6、IL-8および/またはIL-10産生の増加および/またはIL-2産生の減少である。
本発明のさらに意外な知見は、本発明の組成物を投与することによって、加齢関連免疫不均衡が回復する点である。これらの免疫不均衡は加齢現象における一つの重要な要因であると見なされる可能性があることから、本発明は、加齢およびこれに関連して癌、アレルギーおよび感染症のような疾患に対する感受性の増加に影響を及ぼすための人類の試みにおいて重要な段階を提供する。任意で、本発明の組成物は、癌、感染症、およびアレルギーに対する感受性の増加を含む加齢の生理的または病理生理的結末を中止または遅らせるために開発されたさらなる薬学的活性化合物と共に投与してもよい。さらなる加齢関連疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、骨粗鬆症、および制御不能が含まれるがこれらに限定されない。
本発明はまた、放射線照射の有害な副作用を緩和する組成物を調製するために、エンドトキシンまたはそのエンドトキシンとして活性な部分、胎児ヘモグロビン、その一本鎖、またはその鎖の組み合わせ、および任意でさらなる化合物を用いることに関する。放射線照射の有害な副作用に関連する疾患は、免疫抑制に関連した任意の病理生理的病態を含むがこれらに限定されない。これには、例えば白血球数の減少に関連した疾患が含まれる。
本発明の用途に関する最も好ましい態様において、該癌は、前立腺の腺癌、乳癌、子宮頚部扁平上皮癌、または膵臓の腺癌である。同様に、本発明に従って、該感染症はウイルス感染症、好ましくは慢性的なウイルス感染症、より好ましくはヘルペス、B型肝炎、またはC型肝炎感染症であることが特に好ましい。
本発明の用途に従って、該加齢関連サトカイン/ケモカイン産生の回復はマクロファージの活性化に関連することがさらに好ましい。
本発明の使用に関する好ましい態様において、該調製物は経口投与のためである。
本発明の組成物または使用に関するもう一つの好ましい態様において、該調製物は、LPS(およびリピッドA部分構造)0.01〜2 μgと同等の量で存在する。投与経路に応じて、経口投与の場合には、調製物に存在するLPS 1 mgまでを適用することができる。
本発明の組成物または用途に関するさらに好ましい態様において、該エンドトキシンは生化学的または化学的に産生される。本発明の組成物または用途に関するさらに好ましい態様において、該ヘモグロビンおよび/または該さらなる(ポリ)ペプチドは、生化学的、化学的、または組換えによって産生される。産生のための生化学的、化学的および組換え手段および方法は、本明細書において先に参照している。
本明細書に記述されるように、本発明に従って治療される患者は全員、インフォームドコンセントを提出した。
実施例は本発明を説明する。
実施例1
ヒツジ胎児肝抽出物(FSLE)の調製
出生前2〜4週の胎児を有する妊娠ヒツジを蒸気によって消毒した部屋で屠殺した。羊膜嚢の胎児を帝王切開によって全身を取り出し、直ちに冷蔵条件の実験室に移動させた。以下の段階を温度約+4℃で行った。羊膜嚢を消毒して、羊水を除去し、胎児の臓器、特に肝臓を滅菌条件で調製した。肝臓を滅菌水によって洗浄して、滅菌シリンジを用いて水によって動脈を洗浄した。次に、動脈を直径約1 cmの小片に切断して、小片を直ちに液体窒素に移して-80℃のフリーザーで保存した。
小片を、RETSCH-装置(Shieritz&Hauenstein AG、アールズハイム、スイス)において凍結乾燥して直径0.25 mmのフィルターを用いて粉末にした。抽出に用いるまで、粉末を-80℃の滅菌フラスコにおいて保存した。
胎児肝臓粉末(FLP、凍結乾燥肝ホモジネート)の収率は、最初の新鮮な肝重量の18%であった。出生前2〜4週間のあいだに測定した単一の胎児の肝重量は100〜120 gの次数であった。
品質対照として、FLPの特別の試料を化学的(タンパク質プロフィール、図12を参照されたい)および/または生物学的(抗腫瘍活性、図3を参照されたい)に分析することができる。
特に、ヒツジ保存液が既知のウイルスを含まないこと保証するために、持続的な健康対照を行った。肝抽出物の超遠心によって、存在する可能性があるウイルスが沈殿するであろう。さらに、滅菌段階[Heimburger, H.、1989]は、関連する生物活性を減少させることなく既知の全てのウイルスを不活化する。ヒツジ肝臓は、プリオンタンパク質(PrPc)もプリオンをコードするmRNAも含まないことから、プリオンはFLPに存在しないことを強調してもよい[Horiuchi, M.、1995]。
1.1 抽出
胎児肝粉末(1 kg)を滅菌NaCl(0.9%)6.5 Lと共に混合して、磁気攪拌子(コロラ(Colora))によって4℃で10〜15分間攪拌した。混合物をBechman-Coulter遠心機を用いて12,500 rpmで50分間遠心した。次に上清を50,000 rpmで1時間超遠心した(Bechman-Coulter、オプティマL70 Kin)。上清をゲルマンフィルター(スーパーDCF、薬学等級、滅菌0.8/0.2 nm EFA:1000 ml(CFS 92-DS))を用いて濾過滅菌した。FSLEの収量は、肝粉末1 kgに基づいて約2.5〜2.7 Lであった。抽出物のタンパク質含有量を自動分析装置インテグラ400(Roche Diagnostics)において推定したところ、50 g/Lの次数であることが判明した。タンパク質300 mg(1単位)を含む部分、すなわち抽出物6 mlを25mlフラスコに加えて凍結乾燥した。このように、凍結乾燥1単位は、タンパク質約300 mg、無機塩(主にNaCl)60 mg、および非タンパク質様有機物質約320 mgからなり、1単位は全体で約680 mgとなる。
要するにFLP 1 kgから約400単位(それぞれタンパク質300 mg)が得られた。それらは、抽出された有機物質約250 gまたは総粉末重量25%を含んだ。そのように調製されたFSLEは、リムラス溶解物分析に従って、LPS-同等物を10 ng/g抽出物の次数で含んだ。
凍結乾燥FSLEを含むフラスコを、使用するために溶解するまで-80℃のフリーザーにおいて保存した。
臨床で用いる場合、凍結乾燥1単位を滅菌水に溶解して、溶液の等張性(注射のため)を浸透圧計(Knauer、ベルリン)を用いて確認する。上記の実験条件において、水7 mlを凍結乾燥1単位に加えなければならない。凍結乾燥材料は水に容易に溶解してわずかに黄色-茶色がかった透明な溶液を生じる。
1.2 マクロファージ媒介腫瘍細胞障害性に対するマウス脾細胞および骨髄由来マクロファージ(BMDM)のインビトロ活性化によるFSLEの通常の試験プロトコール
-4日目にマウス(Balb/c×C57Bl/6)にFSLE 1 mgを含む溶液0.5 mlを皮下注射した。0日目に動物を屠殺して、脾臓を採取して細胞を培養する。
細胞、すなわち脾細胞106個、BMDM(非活性化)105個および腫瘍細胞103個(Abelson 8.1リンパ腫)をインキュベートした。対照としての平行な培養は、i)腫瘍細胞単独、ii)腫瘍細胞+マクロファージ、iii)腫瘍細胞+マクロファージ+非FSLE前処置動物からの脾細胞であった。
対照ii)およびiii)の腫瘍細胞は、対照i)と同じかまたはそれよりよい増殖を示さなければならない。このようにして、非前処置マウスからのマクロファージおよび脾細胞の非活性化状態を調節した。
培養開始後の様々な時点(48、72、および96時間)で、様々な状況での腫瘍細胞の増殖を、アルカリフォスファターゼ試験[Modolell, M.、1994]を用いて推定した。FSLEの生物活性を、以下の式に従って定量的に推定した:
(活性化脾細胞+マクロファージの存在下における腫瘍細胞の増殖)/(腫瘍細胞の増殖)×100
図3において、FSLEの12試料について得られた結果を示す。認められた変動は、免疫細胞を採取した個々のマウスの差を反映する。
2.実施例2
FSLEの分画;プールCLP1bおよびCLP2pの調製
凍結乾燥ヒツジ胎児肝抽出物1.5 gを水8 mlに溶解して、10倍量の0.03 Mリン酸緩衝液(pH 7.4)に対して、透析緩衝液を2回交換して一晩透析した(カットオフ3,500ダルトンの透析バッグ)。緩衝液10 mlに調節した透析抽出物をSephadex(商標)G-100カラム(Pharmacia;容量600 ml、直径24 mm、長さ130 cm)に適用して同じ0.03 Mリン酸緩衝液によって平衡にした。溶出分画(8 ml)を回収して280 nmでの吸光度を読み取った(図4の溶出プロフィールを参照されたい)。分画をプールして、プール5個をそれぞれ、CLP1、CLP1b、CLP2p、CLP2、およびCLP2bと命名した。図4に示すように、CLP1bはプール1の吸光度の急激な減少の終わりの部分と吸光度の次の急激な減少のあいだに含まれ、分画53〜71に対応した(溶出容積424〜568 ml)。CLP2pは、プール1-bisの終わりとプールIIの吸光度の増加のあいだに含まれ、分画72〜82に対応する(溶出容積576〜656 ml)。
プールした分画を凍結乾燥して、当初の容積の10分の1の水に溶解して、1/3倍希釈した(当初のPBS=0.01 Mリン酸塩中に0.14 M NaCl、pH 7.4)リン酸緩衝生理食塩液(PBS)に対して透析後、2回目の凍結乾燥を行った。
生物学試験において、生物医学活性の大部分はプールCLP1bおよびCLP2pに濃縮していることが判明した。FSLE 1.5 gからCLP1bの収量は約40±4 mgであり、CLP2pの収量は約10±3 mgである。このように、双方のプールは、全体で約50 mgの量、すなわちFSLEの約3%で得られた。プールCLP1bおよびCLP2pのLPS含有量は100 ng/mgの次数である(すなわち、100 μg/g)。
CLP2pに関して図5において示されるように、透析段階によって、生成されたFSLEまたはCLP-プール(下記を参照されたい)の生物活性の如何なる損失も起こらないことに注目することは重要である。
3.実施例3
FSLEならびにCLP1bおよびCLP2pプールの生化学および物理化学分析
3.1 方法
3.1.1 生物アッセイ系
3.1.1.1 骨髄由来マクロファージ
他の文献に記述されているように[Hoffmann, P.、1989]、マウス骨髄由来マクロファージをインビトロで骨髄前駆細胞から分化させた。簡単に説明すると、骨髄細胞を6〜8週齢のBALB/cマウス(Charles River;スルツフェルド、または免疫生物学のためのMPI、フライブルク、ドイツ)の大腿骨および脛骨から洗い出して、RPMI 1640(Gibco BRL、Life Technologies、エッゲンスタイン、ドイツ)において2回洗浄して、テフロン製のフィルムバック(SLG、ゴーティング、ドイツ)において37℃および5%CO2で11日間増殖させた。培養培地は、M-CSF源としての15%L-細胞条件培地(下記参照)、10%熱不活化FCS、5%熱不活化ウマ血清、1 mMピルビン酸ナトリウム、50 U/mlペニシリン、50 μg/mlストレプトマイシン(全て、Seromed Biochrom KG、ベルリン、ドイツ)および5×10-5M 2-メルカプトエタノールを添加したRPMI 1640であった。培養を6×106個/50 mlで開始した。回収後マクロファージを1回洗浄して、計数し、10%FCS、2 mM L-グルタミン、1%非必須アミノ酸(NEAA)、100 U/mlペニシリン、および100 μg/mlストレプトマイシンを添加した4.5 g/lグルコース(Seromed Biochrom KG)を含むDMEM(cDMEM)において2×106個/mlで再浮遊させた。L-細胞条件培地を得るために、L 929細胞1×105個/mlを細胞培養フラスコ(Falcon、Becton Dickinson、ハイデルベルグ)において、10%FCS、4 mM L-グルタミン、1%NEAA、100 U/mlペニシリン、および100 g/mlストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地において100 mlバッチで37℃および5%CO2で培養した。7日後、培養上清を回収して、遠心(1500×g、15分)によって細胞片を除去し、-20℃で保存した。
3.1.1.2 腫瘍細胞株
マウスB細胞リンパ腫細胞株Abelson 8-1を6ウェルプレート(Falcon、Becton Dickinson)においてcDMEMにおいて37℃、10%CO2で維持した。細胞を培養ウェルにおいてコンフルエンシーに達するまで増殖させて、週に2回継代した。
3.1.1.3 細胞媒介抗腫瘍活性の測定(TCGI活性)
マクロファージ媒介腫瘍細胞増殖阻害[Hoffmann, P.、1989]を、アルカリホスファターゼアッセイ[Modolell, M.、1994]において決定した。細胞を平底マイクロタイタープレートにおいて全量200 μlで設定した。腫瘍細胞5×103個をBMDM 1×105個および様々な濃度のCLPプールと共にcDMEMにおいて10%CO2で培養した。3日後、プレートを660×gで2分間遠心して、上清をデカントした。各ウェルにジエタノールアミン(200 mM)、MgCl2(2 mM)、トライトンX-100(10%)、およびp-ニトロフェニルホスフェート(10 mM)を含むpH 10.2の緩衝液100 μlを加えて、プレートを室温の暗所で水平方向のシェーカーにおいて60分間インキュベートした。0.5 M NaOH 100 μl/ウェルを加えて酵素反応を停止させた。自動ELISAリーダー(MRX Dynatech、デンケンドルフ、ドイツ)においてO.D.を405/490 nmで測定した。O.D.>3.000のウェルは0.5 M NaOHによって新しいプレートに希釈して、再度測定した。腫瘍細胞および非刺激エフェクター細胞を含む培養物の値を100%に設定した。
3.1.1.4 マウスBMDMにおける酸化窒素(NO)産生の誘導
氷中で10分間インキュベートしてテフロンバッグを軽く回転させた後成熟BMDMを採取した。細胞を1回洗浄して、10%FCS、1%NEAA、100 U/mlペニシリン、および100 μg/mlストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地に再浮遊させた。細胞1×105個/ウェルを96ウェル平底マイクロタイタープレートのウェル(Falcon、Becton Dickinson)に播種して、様々な濃度のCLPプール+/-IFN-γ(4〜20 U/ml)によって全量150 μlで刺激した。培養上清を24または48時間後に回収して、下記のように亜硝酸塩濃度に関してチェックした。アッセイは全て1試料あたり3個ずつ行った。
3.1.1.5 マウスマクロファージからの酸化窒素(NO)放出の測定
マクロファージによるNOの産生[Stuehr, D.J.、1989]を、グリース試薬[Green, L.C.、1982]を用いて、培養上清におけるNOの安定な代謝物である亜硝酸塩を測定することによって決定した。培養上清100 μlをグリース試薬(2.5%リン酸中に1%スルファニルアミドおよび0.1%N-(1-ナフチル)エチレンジアミン)100 μlと混合して、ダイナテックMRX ELISAプレートリーダー(デンケンドルフ、ドイツ)を用いて570 nmでの吸光度を測定した。亜硝酸塩濃度は、亜硝酸ナトリウムによって作製した標準曲線から計算した。RPMI 1640培地単独の吸光度を全ての値から差し引いた。
3.1.1.6 SDS-PAGEによるFSLEおよびCLPプールの分離
FSLEおよびCLPプールのSDS-PAGE分析を、12〜20%ゲルを用いて標準的な技法[Laemmli, U.K.、1970]に従って実施した。
3.2 結果
3.2.1 CLP1bおよびCLP2pにおける主な抗腫瘍マクロファージ活性化因子の熱安定性
CLP1bおよびCLP2pによるマクロファージ媒介抗腫瘍活性の強い刺激に対する熱前処理の影響を調べるために、凍結乾燥材料0.25 mgをpH 5.8の水またはpH 4.7の20 mM酢酸ナトリウム緩衝液に溶解してそれぞれ、4℃および100℃で60分間インキュベートした。熱処理および対照試料によるマクロファージの抗腫瘍活性化を、腫瘍細胞増殖阻害(TCGI)アッセイ(実施例3.1.1.3を参照されたい)において、[Modolell, M.、1994]に従ってBALB/cマウスからのインビトロ分化骨髄由来マクロファージとAbelson 8-1腫瘍細胞との共培養を用いて決定した。
CLP1bおよびCLP2pを、pH 5.8および同様にpH 4.7−後者の条件は糖結合体からの酸不安定性のオリゴ糖または多糖側鎖の選択的切断に都合がよいことが知られている−において100℃で1時間まで加熱しても、対照試料と比較してCLP調製物によるマクロファージの抗腫瘍活性化は有意に変化しなかった。CLP1bおよびCLP2pにおけるマクロファージ指示免疫刺激活性は熱に安定であることが証明された(図6)。
3.2.2 CLP1bおよびCLP2pにおける主な抗腫瘍マクロファージ活性化因子のプロテアーゼ抵抗性
抗腫瘍マクロファージ活性化因子のさらなる生化学的特徴付けのために。CLP1bおよびCLP2pプールに、タンパク質分解消化を行った。プロテイナーゼK、プロナーゼ、パパイン、サブチリシン、トリプシンおよびエンドプロテアーゼGlu-C(V8-プロテアーゼ)の発熱物質不含調製物をBoehringer Mannheim(ドイツ)から購入した。次に、CLP1bおよびCLP2p 0.24 mgを、選択したプロテアーゼのそれぞれによって、酵素対総蛋白質比1:10(w/w)で発熱物質不含水0.24 mlにおいて37℃で21時間処置した。15%(w/v)アクリルアミドゲル上でのSDS-PAGEによる分析のためにプローブを除去して銀染色を行った後、残った試料を100℃で30分間インキュベートして、個々のプロテアーゼを不活化した。CLP1bおよびCLP2pのプロテアーゼ処置試料および非処置対照を、TCGIアッセイにおいて抗腫瘍マクロファージ活性化に関して最終的に試験した(実施例3.1.1.3と比較されたい)。
CLP1bおよびCLP2pにおけるタンパク質の総または部分的分解およびその後の熱不活化段階は、TCGIアッセイにおいて決定した場合、いずれのCLP調製物のマクロファージ媒介抗腫瘍活性にも有意な変化を起こさなかった(図7Aおよび7B)。CLP1bおよびCLP2pにおける抗腫瘍マクロファージ活性化因子は、強くプロテアーゼ抵抗性であることが判明した。
3.2.3 軽度の過ヨウ素酸処置に対するCLP2pにおける抗腫瘍マクロファージ活性化因子の感受性
CLP2pにおける抗腫瘍マクロファージ活性化因子に対する軽度の酸化の結果を、4℃での過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)処置によって分析した。簡単に説明すると、凍結乾燥材料の一部2.5 mgを、遮光ガラスバイアルにおいてpH 4.7の100 mM酢酸ナトリウム緩衝液0.9 mlに溶解した。2.5 mM過ヨウ素酸ナトリウム0.1 mlを加えて、絶えず攪拌しながら4℃で2時間過ヨウ素酸酸化を行った。エチレングリコール0.01 mlを加えて反応を停止させた。試料を、Spektra/Por(登録商標)凍結チューブ(内径11.5 mm;分子量カットオフ3500 Da;Serva、ドイツ)において発熱物質不含水に対して透析して、凍結乾燥した。凍結乾燥材料0.25 mgの試料に、0.5 M HCl/メタノール中で45℃で45分間メタノリシスを行い、アセトアンヒドリド/ピリジン(85℃、30分)においてペルアセチル化を行い、組み合わせたガス-液体クロマトグラフィー/質量分析によって単糖類の組成を分析した。試料の残りの部分および対応する対照を、TCGIアッセイにおいて抗腫瘍マクロファージ活性化に関して最終的に試験した。
CLP2pを軽度の反応条件で過ヨウ素酸ナトリウムによって処理すると、GC/MS分析によって明らかとなるように調製物のシアル酸含有量の選択的減少(糖タンパク質の存在を示唆している)、およびTCGIアッセイにおいて検出されるように腫瘍細胞のマクロファージ媒介増殖阻害および破壊の顕著な減少が起こった(図8)。このように、CLP2pにおける抗腫瘍マクロファージ活性化因子は、軽度の条件で過ヨウ素酸ナトリウム処置に対して感受性があることが判明し、分子の炭化水素部分がTCGI活性に関与していることを示唆している。過ヨウ素酸ナトリウムによるLPSの酸化的不活化は、Neter and Godin[Neter, E.、1956;Godin, D.V.、1983]によって記述されている。データは、LPSがCLP2pによるマクロファージ活性化に関与しているという結論と一致する。
3.3 CLP1bおよびCLP2pにおける成分の同定
3.3.1 リポ多糖類(LPS、エンドトキシン)
3.3.1.1 リムラスアメーバ溶解物試験、LAL試験
CLP1bおよびCLP2pにおいて細菌リポ多糖類(LPS)が存在する可能性を分析するために、市販の二つの色素産生リムラスアメーバ溶解物(LAL)アッセイ、すなわちQCL-1000(登録商標)試験(BioWhittaker;ウォーカースビル、メリーランド州、アメリカ)およびCOATEST(登録商標)エンドトキシン試験(Charles River Endosafe、チャールストン、アメリカ)を用いた。簡単に説明すると、凍結乾燥CLP調製物を溶解して、BioWhittaker(ウォーカースビル、メリーランド、アメリカ)から得たLAL試薬水に適当に希釈した(<0.005 EU/ml)。干渉する可能性があるタンパク質を不活化するために、試料を75℃で5分間プレインキュベートした後、激しく振とうさせて、37℃で30分間超音波処理した。その後、試料を較正標準として大腸菌O111:B4から調製したLPSを用いて製造元のプロトコールに従ってLAL試験に適用した。CLP1bおよびCLP2p全体で16ロットの他に、異なる3ロットのヒツジ胎児肝抽出物を、上記のLAL試験技法によって分析した。
双方の色素産生LALアッセイ[Levin, J.、1982]によって、少量であるが有意な量のエンドトキシンがCLP1b/2p調製物に検出された。CLP1bおよびCLP2pの個々のロットに関する見かけのLPS含有量を、CLP調製物12ロットにおいて決定したところ、平均で100 ng(1000 EU)/mg (100 μg/g)で変動することが判明した。ヒツジ胎児肝抽出物(FSLE)の3ロットのLAL結果から、凍結乾燥材料1 gあたりLPS同等物約10 ngの見かけのLPS含有量が明らかとなった。このように、FSLEにおける見かけの量は、CLP1bおよびCLP2pと比較して実質的により低いことが判明し、LAL反応性材料の平均で約10,000倍濃縮されたことを示している。
これらの結果および熱およびプロテアーゼ抵抗性に関する知見から、CLP1bおよびCLP2pにおいて濃縮されたマクロファージ活性化剤は、主に、ヒツジ胎児肝成分と相互作用した内因性のLPSからなるという結論が得られた(実施例4と比較されたい)。
3.3.1.2 LPSのAffi-Prep(登録商標)ポリミキシンに基づく吸着
LAL試験によって検出可能なLPSをCLP1bおよびCLP2pから枯渇する試みで、試料を、BIO-RAD(ハーキュリーズ、カリフォルニア州、アメリカ)から購入したLPS選択的アフィニティ樹脂であるAffi-Prep(登録商標)ポリミキシンによって試料の処置を行った。CLP-調製物を、発熱物質不含水0.7 mlにおいて最終濃度1 mg/mlでアフィニティ吸着剤0.05 mgの存在下または非存在下で軽く攪拌しながら4℃で14時間インキュベートした。その後、アフィニティ樹脂を5000×gで5分間の遠心によって沈降させて、上清をTCGIアッセイにおいて試験した。
図9に示すように、CLP2pをポリミキシンB(PxB)によって処置すると、その生物活性(TCGI)は有意に減少した[Rifkind, D.、1967]。LPSは、PxBによって中和されることが知られていることから、この結果は、LPSがCLP2pの生物活性成分であるという考え方を支持する。
3.3.1.3 LPS非反応体マウスからのBMDMにおける酸化窒素放出の誘導
CLP1bおよびCLP2pのNO誘導活性を、LPS反応体(C57B1/10 ScCn)およびLPS非反応体(C57B1/10 ScCr)マウスからの骨髄由来マクロファージにおいて決定した[Freudenberg, M.A.、1991]。図10に示すように、CLPプールに反応したNO放出は、LPS反応体マウスからのBMDMと比較してLPS非反応体動物からのBMDMでは顕著に減少する。しかし、LPS非反応体マウスからのBMDMにおいても低いものの有意な用量依存的なNO放出の誘導を認め、これは対照的にウマ流産菌(Salmonella abortus equi)または大腸菌から単離したLPSによる刺激後では全くまたはごくわずかなNO分泌しか示さない。
この結果は、CLPプールにおけるNOの主な誘導物質がLPSであるが、さらなる胎児肝成分、おそらく蛋白質様の性質を有する物質がCLPプールの生物活性に関与することを示している。
3.3.1.4 LPS/CLP2pおよび組換え型サイトカインによるマクロファージの同時刺激
LPSと共に、IL-1、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13およびIFNγを含む多くの定義されたサイトカインは、インビトロおよびインビボでマクロファージを刺激して他のサイトカインを産生させる。CLPプールにおける材料をこれらの刺激物質と比較するために、CLP2pまたは組換え型サイトカインの単独、またはこれらの試薬の混合物と共にマクロファージまたは樹状細胞を培養する効果を比較した。さらに、細胞を、サイトカインに対するモノクローナル抗体の存在下でCLP2pまたはサイトカインによって処理した。サイトカイン産生をELISAによって測定した(試薬は全てPharmingen、サンジエゴ、カリフォルニア州から購入した)。FSLEはIL-2、IL-6、およびIL-10を含まないことが判明したことに注目することは重要である。
IL-12は、炎症の際にマクロファージによるサイトカイン産生のための主な生理的刺激であり[Wang, J.、1999]、LPSはIL-12産生を誘導することによってその刺激作用を媒介する可能性がある。同様に、IL-13は、IL-12による刺激の生理的な反対の調節物質である可能性がある[Machado, F.、1998]。CLP1bおよびCLP2p刺激の効果をこれらの組換え型サイトカインと比較するために、脾臓の接着細胞を、サイトカイン産生に関するアッセイの前に、LPS(1 μg/ml)、CLP2p、またはrIL-12もしくはrIL-13と単独または併用して培養した。いくつかの培養において、IL-12に対するモノクローナル抗体を含めた。(組換え型サイトカインは、通常のプロトコールに従って得た)。そのような3つの試験からプールしたデータを表1に示す。
(表1)CLP2pおよび組換え型サイトカインによるマクロファージの共刺激
Figure 0004619352
a 新鮮な接着脾細胞を4〜8週齢のDBA/2マウスのプールから得た。細胞0.5×106個/mlを含む培養物500 μlを1試料あたり3個ずつ表記の条件で18時間インキュベートして、サイトカインアッセイのために同等の群から上清をプールした。
b それぞれ1試料あたり3個ずつ行った3回の独立したアッセイの算術平均(±SD)。
LPSおよびCLP2pの刺激は、rIL-12による刺激を模倣するように思われる。rIL-12との何らかの相乗作用がある;LPSによるサイトカイン産生の刺激は、抗-IL-12によって有意に阻害され、最終的にrIL-13はLPSによるサイトカイン産生に有意に拮抗する(その後IL-6レベルの増加を誘導する)。明らかに、CLP2pによる刺激は、LPS(および/またはrIL-12)刺激の効果の多くを模倣する。
3.3.1.5 抗-CD14-抗体によるLPSまたはCLP2p誘導マクロファージ活性化の阻害
LPSおよびCLP2pによる脾臓の接着細胞において誘導された刺激の類似性を考慮して、CLP2pが、LPS媒介刺激において重要なマクロファージ表面分子であるCD14に結合(および誘発)後に実際に細胞を刺激するか否かを調べた。市販の抗-CD14モノクローナル抗体(UCHM-1、Sigma)を用いて、異なる濃度の抗-CD14の存在下/非存在下で接着脾細胞によるTNFα産生の刺激を比較した。そのような三つの試験からプールしたデータを表2に示す。データは、CLP2pが抗-CD14抗体によって有意に阻害されること、そしてLPSおよびCLP2p活性の阻害に区別できるほどの差がないことを示している。
(表2)LPSまたはCLP2pによる細胞刺激の抗-CD14抗体による阻害
Figure 0004619352
a 新鮮な接着脾細胞を4〜8週齢のDBA/2マウスのプールから得た。細胞0.5×106個/mlを含む培養物500 μlを1試料あたり3個ずつ表記の条件で18時間インキュベートして、サイトカインアッセイのために同等の群から上清をプールした。
b LPS/CLP2pによる刺激の際に抗-CD14を添加した場合、用いた濃度は示した通りであった。rTNFαの標準量を用いる対照試験において、サイトカインアッセイにおいて添加された抗-CD14のこれらの濃度自身は、TNF-αの検出レベルに変化を示さなかった。
c それぞれ、1試料あたり3個ずつ実施した独立した3回のアッセイの算術平均(±SD)。
3.3.1.6 LPSによるCLP2p刺激に対する耐性誘導
最近の研究から、LPSによるマクロファージの刺激を、最適下濃度(最適に活性化する用量の1/100)のLPSと共に同じ細胞をプレインキュベートすることによって阻害できることが示された[Ziegler-Heitbrock, H.-W.、1992]。LPSまたはCLP2pのいずれかによる最適な刺激のためにLPSによって誘導される可能性がある交叉耐性を調べるために、細胞を10 ng/ml LPSと共にプレインキュベート(24時間)して、培地によって4回洗浄し、LPSまたはCLP2pのいずれかの至適濃度で再度培養した。18時間後にTNF-α産生をアッセイした。3回の実験からプールしたデータを表3に示す。
(表3)LPSによるCLP2p刺激に対する耐性の誘導
Figure 0004619352
a 4〜8週齢のDBA/2マウスのプールから単離した新鮮な接着脾細胞6×106個を、培地単独(最初の3列)または10 ng/ml LPS(次の6列)、または3 ng/ml CLP2p(最後の3列)と共に24時間インキュベートした。LPSによって前処置したいくつかの細胞をWortmannin(0.3 M)と共に培養した。細胞を新鮮な培地10 mlによって4回洗浄して、表記のように(2番目の縦行)再度培養した。
b 細胞5×105個を培地500 μl、またはLPS(1 ng/ml)もしくはCLP2p(0.3 μg/ml)を含む培地において1試料あたり3個ずつ18時間インキュベートした。18時間目に同等の培養物から上清をプールした。
他の研究者ら[Zuckermann, S.H.、1991]のデータと一致して、10 ng/ml LPSと共に接着脾細胞をプレインキュベートすると、24時間後に最適な濃度(1 μg/ml)のLPSによってこれらの細胞からTNFα産生を刺激することができなかった。特に、LPSとのプレインキュベーションも同様に、CLP2pによるその後の刺激を消失させた。示されるように、この耐性誘導は0.3 μM Wortmanninの存在下でインキュベーションを行うと阻害された。
これらを考慮すると、表1〜3に示すデータは、CLP2pにおける活性成分が、マクロファージ/樹状細胞を活性化する場合のその機能が記述の個々のサイトカインによって交換可能ではない新規成分を表すまたは含むことを示唆している。さらに、CLP1b/CLP2p刺激は抗-CD14モノクローナル抗体によって阻害されるが、これらのプールによる刺激は単離されたLPSそのものによって生じた刺激とは幾分異なっている。しかし、一般的に、それらにはLPS活性と有意な同方向の活性があり、37℃で制御しながらインキュベートした後の胎児肝ホモジネートから調製したCLPプールにおいて生物活性の増加(TCGIおよびNO産生と共にサイトカイン産生)と検出可能なLPS含有量の増加(LALアッセイ)との顕著な相関を認めた。
要約すると、LPSがプールCLP1bおよびCLP2pに存在すること、それがこれらの調製物の生物活性において重要な役割を有すること、そしてその活性がLPSと相互作用する別の分子によって修飾されると述べることによってデータは最もよく説明される。
3.3.2 タンパク質
3.3.2.1 方法
3.3.2.1.1 タンパク質の推定およびパターン(SDS-PAGE)
CLP1bおよびCLP2pの総蛋白質含有量を、較正曲線として脂肪酸不含ウシ血清アルブミン(BSA)を用いて、PIERCE (ロックフォード、イリノイ州、アメリカ)から購入したビシンコニン酸(BCA(登録商標))アッセイによって決定した。CLP調製物の全体的なタンパク質組成を、[Laemmli, U.K.、1970]および[Heukeshoven & Dernick(1988)]に従って、15%(w/v)アクリルアミドゲル上でのSDS-PAGEおよび銀染色によって分析した。個々のタンパク質を調製的SDS-PAGEによって単離して、(Millipore、ベッドフォード;アメリカ)から得たポリビニリデンジフルオリド(PBDF)イモビロン-Pメンブレンにエレクトロブロッティングした。クーマシーブルーR250によって染色後、タンパク質のバンドを切り出してApplied Biosystems 473 Aタンパク質シークエンサー[Hunkapillerら、1983]を用いてN-末端マイクロシークエンシングを行った。
3.3.2.1.2 FSLE、CLP1b、およびCLP2pの二次元電気泳動分析
FSLEと共にCLP1bおよびCLP2pのタンパク質組成に関する詳細な特徴付けに関して、高解像度二次元電気泳動(2-DE)を行った[Jungblut, P.、1992;Jungblut, P、1994;Otto, A.、1996、Thiede, B.、1996;Muller, E.-C.、1999]。比較のために、ヒツジ成体肝に由来するCLP1b調製物のタンパク質組成も同様に2DE技術によって分析した。簡単に説明すると、CLP1b調製物を、試料緩衝液(25 mMトリス-HCl、pH 7.1;9 M尿素;50 mM KCl;3 mM EDTA;70 mM DTT;2.9 μMベンズアミジン、2.1 μMロイペプチン;0.1 μMペプスタチン;1 mM PMSFおよび全量で4%(w/w)担体両性電解質WITAlytes、pH 2〜11、WITA、テルトウ、ドイツ)においてCLP1b 10 mg/mlの濃度で溶解した。その後、試料溶液12 μlを等電点電気泳動の桿状ゲル(一次元;3.5%(w/v)アクリルアミド、0.3%(w/v)ピペラジンジアクリルアミド;Bio-Rad、ミュンヘン、ドイツ)の陽極側に適用して、8870 Vhを適用した。電気泳動後、125 mMトリス/リン酸塩、pH 6.9、40%グリセロール、70 mM DTTおよび3%(w/v)SDSを含む緩衝液においてゲルを10分間平衡にして、-70℃で凍結保存した。融解後、等電点電気泳動ゲルを直ちにSDS-PAGEゲル(23×30 cm;15%(w/v)アクリルアミド;0.2%(w/v)N,N'-メチレンビスアクリルアミド)に適用して、電流を開始時の120 mAで15分間の後に150 mAで7〜8時間の2段階で増加させて二次元電気泳動を行った。分析試験のために、0.75 mmゲルにおけるタンパク質をHeukeshoven[Heukeshoven, J.、1985]によって記述される方法に従って銀染色によって検出したが、質量分析技術に関する微量調製目的の場合には、Blum[Blum, H.、1987]の銀染色法を適用した。トリプシンによる切除スポットのゲル内消化後、ペプチド混合物を精製して、ペプチド回収装置によって脱塩し[Otto, A.、1996]および質量分析を行った。ペプチドの質量および配列決定は、タンデム質量分析(MS/MS)様式でナノフローZ-スプレーイオン源を備えたハイブリッド四極子直交加速時間飛行型(Q-Tof)質量分析装置(Micromass、マンチェスター、イギリス)によって行った[Muller, E.C.、1999]。さらに、対応する1.5 mmの2-DEゲルを、Immobilon PVDFメンブレン(Millipore、エシュボム、ドイツ)に半乾燥ブロッティング条件でエレクトロトランスファーした。ブロッティング後、タンパク質をクーマシーブリリアントブルーR-250によって可視化して、オンライン120A PTHアミノ酸アナライザを備えた477Aパルス液体シークエンサー(Applied Biosystems、フォスターシティ、カリフォルニア州、アメリカ)での自動エドマンシークエンシングによって切り出されたタンパク質スポットを分析した。質量分析および/またはエドマンシークエンシングによって、CLP 1pの銀染色した2-DEゲルにおける個々のスポットを一次同定した後、対応するタンパク質を、オーバーレイソフトウェアパッケージデルタ2D(DECODON GmbH;グライフスバルト)を適用することによって、胎児CLP1b調製物およびヒツジ成体肝臓から調製したCLP1b試料に割付した。
3.3.2.2 結果
3.3.2.2.1 CLP1bおよびCLP2p(SDS-PAGE)のタンパク質パターン
凍結乾燥材料のCLP1b(>70%w/w)について高い含有量のタンパク質が測定された。対照的に、対応するCLP2p調製物では約3〜4倍低いタンパク質含有量が検出された。SDS-PAGEおよびその後の銀染色の分析から、双方のCLP-プールにおいて、CLP1bに関して分子量約4〜30 kDa、およびCLP2pに関して約4〜10 kDaの範囲の分子量の小さいタンパク質が多数を占めることが判明した(図11)。しかし、後者のCLP-プールのより大量を調べたところ、CLP1bに存在する10〜30 kDaのタンパク質種はまた、CLP2pにおいても微量レベルで検出された。全体で、単一のタンパク質バンド約20〜25個がいずれかのCLP-プールにおいて銀染色によって可視化されたが、これは、相対的な染色強度により、主要なバンド8〜10個および軽微なバンドの相補的サブセットの群にさらに分類された。調製的SDS-PAGE、エレクトロブロッティングおよびN-末端エドマンシークエンシングの後、CLP1bおよびCLP2pの一元電気泳動パターンにおける主要なタンパク質の5個が、ホスファチジルエタノール結合タンパク質(PEBPまたはPBP;P23.4)、ペプチジルプロリル-シス-トランス-イソメラーゼA(PPlase A;p16.9)、細胞レチノールタンパク質I(cRBP I;p14.6)、チオレドキシン(Trx;p9.5)、およびユビキチン(Ub;p6.2)であると同定された。
3.3.2.2.2 FSLE、CLP1bおよびCLP2pの二次元電気泳動(2-DE)分析
二次元電気泳動(2-DE)および銀染色による分析は、当初のFSLE(図12)と共に抽出物由来分画であるCLP1b(図13)およびCLP2p(図14)の全体的なタンパク質組成の特徴を調べるための迅速かつ再現性のよい技術であることが証明された。FSLEの二次元電気泳動分析において、分子量100〜2 kDaおよび等電点(I.P.)4.0〜9.0の範囲において約2200個の単一のタンパク質スポットの広いパターンが検出された(図12)。CLP1b調製物の2-DE分析から、個々のスポット全体で576個の非常に再現性のよいパターンが認められ、これらを分子量およびI.P.の大きい順の割付に従って系統的に番号を付けた(図13)。2-DE分離パターンにおけるスポットの大多数は、見かけの分子量領域40〜約6 kDa、等電点(I.P.)値4.0〜9.0の範囲において検出された。先の章で記述したタンパク質の群の他に、CLP1bの2-DE分離パターンにおいて大きい強度のスポットを表すタンパク質さらに20個が、エドマンシークエンシングまたはトリプシン消化およびデータベース関連配列相同性検索と組み合わせたMS/MS分析によって同定された(表4)。同定されたタンパク質は、哺乳類種において進化的に高度に保存されている細胞質タンパク質であることが判明した(表4)。一次元電気泳動分離に基づく最初のデータの確証において、ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質(PBPまたはPEBP)、ペプチジル-プロピル-シス-トランス-イソメラーゼA(PPlase A)/サイロフィリンA(Cyp A)および細胞のレチノール結合タンパク質I(cRBP 1)が、CLP1bの2-DEパターンにおいて主要なスポット321、403/405および454に割付された。
前炎症性サイトカインおよびプロテオホルモン−マクロファージ遊走阻止因子(MIF)−は、CLP1b(スポット536)の総蛋白質において約0.5%(w/w)の含有量で存在することが同定された。ヒトおよびウシ起源からのMIFの一次構造は、約93%の全体的な配列同一性を示すことから[Weiser, W.Y.、1989;Galat, A.、1994]、タンパク質のヒツジ型は、類似の高い程度の系統発生的保存を示すと予想される。MIFは、単球およびマクロファージ[Calandra, T.、1994]、Tリンパ球[Bacher, M.、1996]、下垂体前葉の皮質刺激性細胞[Bernhagen, J.、1993]、膵島β細胞[Waeber, G.、1997]と共に、ラット肝臓の肝細胞およびクッパー細胞[Bacher, M.、1997]を含む広範な組織からの哺乳類細胞において、細胞内顆粒に保存されることが示されている。この因子は、一連の調節および酵素活性を示す中枢性免疫神経内分泌メディエータであるという特徴が調べられている[Bernhagen, J.、1998;Metz,. C.N.、2001]。とりわけ、MIFはグルココルチコイドの免疫抑制作用を中和して無効にし、細菌LPSに対する骨髄細胞の反応を強化する[Calandra, et al.、1994;Bernhagen, J.、1998;Metz,. C.N.、2000]。このように、MIFはマウスおよびヒト試験系においてCLP1bのLPS成分によって誘導される抗腫瘍免疫刺激作用に関与する可能性がある。
最初の分析において、TrEMBLデータベースにおいてアクセッション番号Q12915で寄託されているアミノ酸204個の部分配列に対して、スポット458のトリプシンペプチドが高レベルの配列同一性を有することが認められた。この予備的なデータベース登録は、炎症性腸疾患タンパク質1(IBD1)の断片を表すと仮定されている。遺伝子連鎖分析に従って、IBD1座は、クローン病および潰瘍性大腸炎[Mirzaら、1998;Foraboscoら、2000]のような炎症性腸疾患に対するヒトの感受性の決定に関係している。しかし、TrEMBLデータベース登録Q9BRA2、Q95M49、およびQ921A9に寄託された新規ゲノムシークエンシングデータに従って、このスポットは主要な構造要素として、予測されるチオレドキシン2型ドメインを特徴とする推定の42-9-9タンパク質を表すことが同定された。
調製物の胎児起源の確認において、スポット498は、胎児ヘモグロビンγ(Hbγ)鎖のヒツジ型と同一であることが示されたが、スポット506および510は、ヒツジヘモグロビンα(Hbα)鎖のイソ型を表すと同定された。ヘモグロビンαおよびγ鎖を表す全てのスポットの相対的銀染色強度から、CLP1bにおける胎児ヘモグロビン(HbF)の全量は約5.6%であると推定された(実施例4.2と比較されたい)。
CLP1bにおける同定タンパク質の大きい群は、アルドース1-エピメラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、炭酸脱水素酵素イソ型IIおよびIII、アシルCoA-結合タンパク質、肝脂肪酸結合タンパク質(L-FABP)、おおびユビキチンによって例が示される「ハウスキーピングタンパク質」を表す。アポトーシスまたはプログラムされた細胞死とは対照的に、哺乳類細胞の壊死は、多数の細胞内成分の放出を特徴とし、インビトロで骨髄細胞に対する前炎症性および抗腫瘍刺激を提供することが報告されている[Reiterら、1999]。このように、小さく系統発生的に保存された細胞内「ハウスキーピング」タンパク質を細胞外に適用しても同様に、CLP調製物の免疫刺激作用に関与する可能性がある。CLP1bについて得られた結果と比較することによって、CLP2pの2-DE分析から、20〜約6 kDaの範囲の分子量のより低いタンパク質の濃縮を特徴とするスポットのほぼ類似の全体的なパターンが明らかとなった(図14)。CLP1pの銀染色した2-DEゲルにおける個々のスポットは、ソフトウェアパッケージデルタ2D(DECODON GmbH;グライフスバルト)を適用することによって、CLP1bにおいて同定されたタンパク質に従って割付することができるであろう。
ヒツジ成体肝から得られたCLP1b試料のさらなる2DE分析(図15)およびデルタ2Dオーバーレイソフトウェアのその後の適用によって、成体CLP1b調製物における対応するタンパク質のごく微量または非存在下と比較して、胎児材料においてより多い量で存在する一群のスポットを同定することができた(図16)。この特定の群の多数を占める胎児タンパク質には、ヒツジ胎児ヘモグロビンγ(Hbγ)鎖(胎児CLP1bにおけるスポット498)のスポットおよびヒツジヘモグロビンα(Hbα)鎖(胎児CLP1bにおけるスポット506および510)と共にマクロファージ遊走阻止因子(MIF;胎児CLP1bにおけるスポット536)が含まれた。成体調製物と比較して胎児CLP1b試料のヘモグロビン含有量が有意により高いことは、胎児発達の際の主な造血起源としての哺乳類胎児肝臓の特殊な機能に明らかに相関しているが、周産期および哺乳類の一生のその後の生後の段階では、造血の主な部位は骨髄の骨髄赤質へとシフトする。
同定されたタンパク質のほとんどは、進化的に高度に保存され、哺乳類種において広範な組織分布を示す[Schoentgen, F.、1987;Seddiqi, N.、1994;Harding, M.W.、1986;Haendler, B.、1987;Colantuoni, V.、1985;Sherman, D.R.、1987;Droogmans, L.、1994;Wollman, E.E.、1988;Schlesinger, D.H.、1975;Ozkaynak, E.、1984]。したがって、それらは異種副作用を有することなく医学的処置のためにヒト生物に適用した場合に機能的に活性であると期待される。MIF、チオレドキシン、およびユビキチンに関する公表された特徴に従って、これらのタンパク質は、本発明に従って、CLP-プールの強い免疫刺激、抗腫瘍等の活性に増強または相乗的に関与すると考えられる[Bernier, I.、1986;Lotan, R.、1996;Bertini, R.、1999;Nabika, T.、1999]。
(表4)トリプシン処理ペプチドのN-末端エドマンシークエンシングまたはMS/MS分析によるCLP1bの2-DE分離パターンにおける主要なスポットの同定
Figure 0004619352
Figure 0004619352
3.3.2.3 アルギナーゼ−生物活性能を有するFSLEの構成成分
標準的なFSLEに存在する重要なタンパク質は、主にそのアルギニン枯渇能のためにインビトロ細胞培養に対して阻害作用を有する酵素であるアルギナーゼである。Abelson 8-1腫瘍細胞の増殖に及ぼすアルギナーゼの直接的な用量依存的作用を示すことができた。アルギナーゼがCLP1bおよびCLP2pについて培養の条件で認められたTCGIにどの程度関与しうるかを分析するために、その活性を[Corraliza, J.M.、1994]に従ってこれらのプールにおいて決定した。表5は、CLP1bは何らかの軽微なアルギナーゼ活性を示すが、プール1は、標準的なFSLEにおいて認められた活性と同等の高いアルギナーゼ活性を示したことを示している。対照的に、アルギナーゼ活性は、このプールがTCGIアッセイにおいて非常に活性であるという事実にもかかわらず、CLP2pにおいて検出できなかった。したがって、アルギナーゼは、プールCLP1bおよびCLP2pに関して培養の状況で認められた増殖阻害効果の主な原因として除外することができる。
(表5)FSLEおよびCLP-プールにおけるアルギナーゼ活性
Figure 0004619352
* アルギナーゼ含有量の検出限界0.2 U/ml未満
4.実施例4
リポ多糖類と胎児ヘモグロビンとの相互作用
FSLEsに存在する少量のエンドトキシンは、これらの調製物の生物活性の程度を全く説明しなかった。したがって、FSLE、CLP1b、およびCLP2pの他に、エンドトキシンと相互作用することによってその生物活性を改変するさらなる成分が関与していると推測された。この成分の特徴を調べるために、以下の実験を実施した。
4.1 方法
CLP1bにおけるLPSまたはリピッドA相互作用タンパク質を同定するために、LPS/リピッドA-特異的吸着アッセイを開発した。このスクリーニング系において、ポリ塩化ビニル96ウェルマイクロタイタープレート(Becton Dickinson)を、サルモネラ・エンテリカ血清型ミネソタからのS-型LPS、大腸菌F515からのRe-LPS、またはLAL試薬水においてトリエチルアミン(TEA)塩として可溶化した大腸菌株に由来するリピッドA調製物の濃度それぞれ5 μg/mlまたは2 μg/mlによって4℃で14時間コーティングした。対照として、一連のウェルをLPSまたはリピッドAを含まないLAL試薬水によって同様に処置した。その後、溶液をデカントして、ウェルを、マグネシウムまたはカルシウム塩を含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩液(D-PBS;Lifetechnologies)によって4回すすいた。CLP1bにおいてタンパク質の非LPSまたはリピッドA依存的結合の可能性を減少させるために、LPSまたはリピッドAコーティングウェルおよび対応する対照ウェルを、0.2%(w/v)ゼラチン(オーロン)のD-PBS溶液によって絶えず振とうさせながら37℃で1時間処理した。さらなるすすぎ(D-PBSによって4回)段階の後、ウェルを1.0および0.1 mg/ml CLP1bのD-PBS溶液によって絶えず振とうさせながら37℃で1時間インキュベートした。結合インキュベーションの上清をSDS-PAGEによる最終的な分析のために凍結乾燥した。次に、D-PBSによる37℃で20分間の絶えず振とうさせる一連の4段階の洗浄を行い、対応する洗浄溶液も同様に凍結乾燥した。この集中的な洗浄技法の後、SDS試料緩衝液50 μlを各ウェルに加えて、残っている吸着タンパク質およびコーティング材料を溶解した。さらに、先のCLP1bインキュベーションからの凍結乾燥試料およびその後の洗浄段階の試料をSDS-試料緩衝液50 μlに再浮遊させて、吸着アッセイから回収した試料の組成を、Heukeshoven[Heukeshoven, J.、1986]によって記述される方法に従って、15%(w/v)ポリアクリルアミドゲルにおけるSDS-PAGEおよび銀染色によって分析した。
4.2 結果
SDS-PAGEおよび銀染色分析から、サルモネラ・エンテリカ血清型ミネソタ188233からのS-型LPS(図17)、大腸菌F515からのRe-LPS(図18)、および大腸菌株に由来するリピッドA調製物(図19)によってそれぞれコーティングしたウェルにおいて、見かけの分子量約12.0(±1.0)kDaを示すCLP1bからの単一のタンパク質バンドがLPSまたはリピッドA依存的に吸着することが一貫して明らかになった。吸着アッセイ(コーティング材料:大腸菌F515からのRe-LPS)の後にトリプシンペプチドの質量分析を調製的に行うことによって、このタンパク質バンドの主成分は、ヒツジヘモグロビンα鎖(Hb-α)(図20)であると同定された。LPSまたはリピッドAコーティングマイクロタイタープレートに対して認められたヒツジ胎児ヘモグロビン(HbF)または対応するHbFサブユニットの高度に選択的な吸着をさらに確認するため、急性期反応体ヒトハプトグロビン(1-1)[h-Hp(1-1);Sigma-Aldrich]をヘモグロビン特異的試薬として用いて、最初のヘモグロビン枯渇段階を試験系に含めた。吸着アッセイ(コーティング材料:大腸菌F515からのRe-LPS)においてCLP1bをh-Hp(1-1)と共にプレインキュベートすると、最終的なSDS-PAGE分析において非ハプトグロビン処置CLP1b試料(図21)と比較して12 kDa-バンドの強度が顕著に減少した。これまでの研究において、ヒト、ウシ、およびブタ成体ヘモグロビン(HbA)がLPSまたは遊離のリピッドAに結合することのみならず、精製成体ヘモグロビン調製物の存在下でインビトロおよびインビボでのLPS生物活性が実質的に増強されることが記述されており、無傷の赤血球におけるその主な酸素輸送機能の他に、溶血によって放出された遊離の哺乳類ヘモグロビンの新規免疫調節機能があることを示している[Roth, R.J.、1994;Roth, R.J.、1999;Belanger, M.、1995]。
このように、本明細書において、ヒツジ胎児ヘモグロビン(ヒツジHbF;s-HbF)は、CLP1b調製物における主要なLPS/リピッドA相互作用成分であると同定された。405 nmでのタンパク質吸収測定を用いた定量的推定は、見かけのHbF含有量がFSLEにおいて約10%(w/w)、CLP1bにおいて約3.2%(w/w)およびCLP2pにおいて約1.2%(w/w)であることが明らかとなった。2-DEデータ(実施例3.3.2.2.2を参照されたい)を確証するために。このように、HbFは、胎児肝由来抽出物における主要なタンパク質成分である。
ヒツジヘモグロビンαおよびγ鎖の一次構造を図22に示す。
5.実施例5
(表6)ヒツジ胎児ヘモグロビン調製物のN-末端シークエンシング
Figure 0004619352
γ鎖に対して特異的な9、11、12、および13位のアミノ酸残基を下線で示す。
5.2 精製胎児および成体ヒツジヘモグロビンからのヘムの除去[Winterhalter and Huehns、1964]
氷冷H2O 2 mlに溶解した凍結乾燥した精製胎児または成体ヘモグロビン50 mgに、6 mM HClを含むアセトン45 mlを加えて、-20℃で維持した。-20℃で30分インキュベートした後、沈殿したタンパク質からピンク色の上清を分離して捨てた。沈殿したタンパク質を-20℃の純粋なアセトン45 mlによって3回洗浄した。2500×gで遠心後、アセトンを除去して、沈殿したタンパク質を氷冷水3 mlに溶解して凍結乾燥した。タンパク質は4℃で水に完全に溶解してもはや赤色を呈さなかった。アセトン処理タンパク質を15%SDS-PAGEによって分析すると、精製した未変性のヘモグロビンとほぼ同じパターンを示し、非還元状態で17 kDaで主要なバンドおよび34 kDaで小さいバンドを示し、還元状態で17 kDaの単一のバンドを示した(図25)。このように、これらはグロビンまたはヘム不含ヘモグロビンであると見なすことができる。
5.3 胎児ヘモグロビンからのγ鎖の解離および精製の試み
5.3.1 通常の方法[Bucci and Fronticelli、1965;Winterhalter and Colosimo、1971]
0.2 M NaClを含む0.1 M KH2PO4溶液 4mlに溶解した凍結乾燥精製胎児オキシヘモグロビン50 mgに、0.1 M NaOH 1 mlにまず溶解した後0.1 M KH2PO4 2 mlを加えて、1 M酢酸約75 μlによってpH 5.8に滴定した4-ヒドロキシ安息香酸水銀(HMB)(Sigma)8 mgを加えた。HMBとヘモグロビンのモル比は、7.5〜1であった。4℃で18時間インキュベートした後、過剰量のHMBを、pH 6.0の10 mM MES緩衝液で平衡にしたセファデックスG25カラム(Pharmacia)での濾過によって除去した。
胎児Hbを、同じMES緩衝液によって平衡にしたUNO-S陽イオン交換カラム(BIO-RAD)に適用して、1モル濃度まで増加させるNaClモル濃度勾配によって溶出した。ヘモグロビンは、図26に示されるように二つのピークで溶出された。
第一のピークは、未変性の四量体ヘモグロビンを含み、第二のピークは、スーパーデックスS75(Pharmacia)カラム上でのその溶出によって示されるように、見かけの分子量が約17 kDaである単量体ヘモグロビン鎖を含んだ(図27)。
UNO-Sカラムの第二のピークを、pH 8.0の10 mMトリス緩衝液によって平衡にしたUNO-Q(BIO-RAD)陰イオン交換カラムにおいてさらに分析し、この場合これは、1 MまでのNaCl漸増モル濃度勾配を適用することによって単一のピークとして溶出された(図28)。このように、分子ふるいカラム上で17 kDaの見かけの分子量を有する単一のピークと共に陽イオンおよび陰イオン交換クロマトグラフィーの双方において均一な単一のピーク溶出パターンを生じるタンパク質が得られた。
第一のN-末端位置でのアミノ酸配列から、タンパク質がヒツジ胎児ヘモグロビンのαおよびγ鎖の混合物であることが判明した(図22)。成体ヒツジ血液ヘモグロビンα、β鎖混合物を精製しても同じ結果が得られた。
5.3.2 新しい技法:チオールアガロース法
共有結合クロマトグラフィーによるヘモグロビンサブユニット(α、β、およびγグロビン鎖)を分離するための新しくより有効な方法論を本明細書において記述する。
ヒトのみならず非ヒトヘモグロビンをまず、βまたはγ鎖のいずれかの「露出した」-SH基を固相に結合させる切断可能なジスルフィド結合によって、活性化チオール樹脂上に固定する。次に、50%酢酸または他の強い溶媒和物質によってα鎖を任意で溶出させる。ジスルフィド結合を還元した後、50%酢酸または他の強い溶媒和物質による溶出によって、βと共にγ鎖を最終的に回収する。
下記の方法は、本発明を制限することを意図しておらず、ヘモグロビン/活性化チオール樹脂の進歩に由来するさらなる改変、溶出プロトコールは本発明の範囲に含まれる。
新しい方法論には:1)チオール活性化クロスリンクアガロース(活性基:2-ピリジルジスルフィド)に対するヒツジ胎児ヘモグロビンの共有結合;2)50%酢酸によるα鎖の選択的溶出;および3)20 mMジチオスレイトールによるジスルフィド架橋の還元の後に50%酢酸による固相からのγ鎖の溶出、が含まれる。これらの段階の詳細は以下の通りである。
1.活性化チオールアガロース樹脂は、10〜12 マイクロモル/ml排出ゲルの名目上の遊離のアミン置換を有するAffigel 102(Biorad)を開始材料として調製した。市販の樹脂5 gを、最初にpH 7.5の酢酸アンモニウム緩衝液によって繰り返しすすいで付加物を除去した後、室温で10等量(アミン置換に対して計算)のピアススルホ-LC-SPDP(スルホスクシニミジル6-[-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート)と一晩反応させた。過剰量の試薬を、pH 7.5の酢酸アンモニウム緩衝液による洗浄によって除去した。排出した活性化チオール樹脂1.5 mlを、pH 7.5のPBS緩衝液0.2 mlに溶解したヒツジ胎児ヘモグロビン25 mgと約3時間反応させた。樹脂のローディングおよび最終の洗浄の際に溶出するヘモグロビン量を差し引くことによって、樹脂に結合したヘモグロビンの全量(約15 mg)を得た。
2.選択的α鎖溶出は、50%酢酸約20 mlによって行った。回収したヘミン含有1.0 ml分画を、Voyager-DE RP飛行時間型装置(PerSeptive Biosystems、フラミンガム、マサチューセッツ州、アメリカ)を用いて、MALDI/MS(マトリクス支援レーザー脱離/イオン化質量分析)によって評価した。異なる独立した2回のMALDI測定をそれぞれの分画について行って、平均でレーザーショット50回の再現性を評価した。質量分析は、αグロビン鎖の予想される質量に対応する15,120 Daの単一のピークを示した。精製α-グロビン/ヘミンは、556、538、420、343、および270 nmで典型的な吸収スペクトルを示した。産物は凍結乾燥によって単離した(収量、3.2 mg)。
3.20 mMジチオスレイトールのpH 7.5酢酸アンモニウム緩衝液溶液において、樹脂を室温で約2時間インキュベートして、pH 7.5の酢酸アンモニウム緩衝液によって繰り返し洗浄して、放出された2-チオピリドンおよび過剰量のチオールを除去した後、50%酢酸によって処置して、固相になおも吸着しているγ鎖を溶出した。回収した分画を、α鎖に関して先に記述したようにMALDI/MSによって分析した。質量分析は15,997 Daで単一のピークを示し、これはヒツジ胎児γ-グロビン鎖の予想質量に対応する(データは示していない)。吸収スペクトルはα鎖のスペクトルに非常に類似していた。産物は凍結乾燥によって単離した。収量、1.8 mg。
このように、固相基質を用いることに基づいて、ヒトおよび非ヒトヘモグロビンをサブユニット(α、β、およびγグロビン鎖)分離する方法論は、以下の段階を特徴とする:
1.ヘモグロビンの「露出した」チオール基と活性化チオールアガロース樹脂との反応;
2.強い溶媒和物質によるαグロビン/ヘミンの選択的溶出;
3.ジスルフィド結合の還元後の強い溶媒和物質による純粋なβまたはγグロビン鎖の溶出
5.3.3 単離されたヒツジおよびヒトヘモグロビン鎖のクローニングおよび発現
ヘモグロビン鎖を単離するための生化学技法を適用する他に、分子クローニングを用いた。ヒツジおよびヒトHb鎖のクローニングおよび発現のために用いた技法は以下の通りである。
真核細胞発現ベクター、PIRESneo3を、真核細胞(CHO)においてグロビン鎖を分泌させるために、グロビン遺伝子の上流で
Figure 0004619352
を含めるように再設計した。以下のプライマーの組(ヒトPBLから単離したmRNAと共に)を、本戦略に用いた:
Figure 0004619352
ヒトおよびヒツジのヘモグロビンα、β、およびγ鎖を、市販のヒト骨髄およびヒツジ胎児肝のmRNA抽出物からのRTPCRによって、以下のプライマー対(下線の領域は、真核細胞発現ベクターにクローニングするためのAge1制限部位を表す)を用いてそれぞれ増幅した。
ヒトα鎖:
Figure 0004619352
ヒツジヘモグロビン鎖の場合、鎖間の配列類似性は同一のプライマー対を盲検的に用いるクローニングを必要とし、個々のヘモグロビン鎖にとって独自のクローンを同定するために、その後クローンのRFLP(後の)分析および個々のDNAシークエンシングを行うことに注意されたい。
以下の段階は全てのクローニング戦略にとって共通であった:PCR産物およびベクターのAgel消化の後、QIAgenクイックゲル抽出キットを用いてフェノールクロロホルムによるAgel消化PCR産物の精製およびベクターのCIP処理。その後、本発明者らはT4 DNAリガーゼによるライゲーションおよび形質転換を行った。多くの独立して形質転換された細菌コロニーを採取してLB培養物5 mlにおいて増殖させた。プラスミドDNAをそれぞれの培養物から単離して、EcoRI(ヒツジα、β、およびγ鎖)またはBamHI(ヒトα、β、およびγ鎖)のいずれかによる消化後、ゲル電気泳動によって分析した。これはそれぞれのヘモグロビン鎖に関して独自のインサートを含む可能性があるクローンを同定するために役立った。後者をDNAシークエンシングによって確認した。
Igκ-ヘモグロビン鎖インサートに結合したヘモグロビン鎖を含むベクターを構築した後、本発明者らは、クローニングしたタンパク質の精製を容易にするために、Igκ-リーダー配列とヘモグロビン鎖コード配列のあいだにエンテロキナーゼ切断部位と共に6-Hisタグを含めるPIRESneo3ベクターの独立した組を設計した。以下のプライマー対をこの段階で用いた:
Figure 0004619352
Age1消化、T4ライゲーション、および形質転換後、6-Hisタグヘモグロビン鎖を含む独立したクローンを用いてCHO細胞をトランスフェクトした後、G418による選択を行った。ELISAにおいて下記の異種抗体(章5.4)と反応する材料を分泌するクローンをスクリーニングした。次に、Shigma301培地を用いて高産生クローンを無血清条件での増殖に連続的に適合させた。これらのクローンの10×濃縮上清をエンテロキナーゼ消化の前後にウェスタンゲルにおいて泳動させて、ゲルにおける個々のレーンを抗-Hisまたは抗ヘモグロビン抗体のいずれかによって展開させた。
5.4 HbおよびHbγ鎖に対する抗体
ヒトHbのγ鎖に対するモノクローナル抗体を産生するために、25量体ペプチド(完全長のγ鎖の48〜72位に対応する)(
Figure 0004619352
)を合成して(American Peptide Co,、カリフォルニア州)、KLHに共役させた。ラットをKLH共役タンパク質によって免疫してから脾細胞を採取して、YB2親骨髄腫細胞と融合させて、ELISA(ペプチドまたはヘモグロビンのγ鎖をコーティングしたプレート)においてヒトγ鎖を検出するmAbを産生するハイブリドーマに関して選択した。
類似の戦略を用いて、合成ペプチド
Figure 0004619352
を用いて、BSA共役ペプチドと共に免疫し、上記のようにスクリーニングすることによって抗ヒツジγ鎖を産生した。異種およびmAbsが関連するヘモグロビン鎖を検出しすることの確認は、ウェスタンゲルによって得た。
市販の抗ヒツジおよび抗ヒトヘモグロビンはShigmaから得た。
6.実施例6
LPS、リピッドAおよびモノホスホリルヘキサアシルリピッドAの調製および特徴付け
6.1.1 細菌の増殖、LPS抽出およびモノホスホリルヘキサアシルリピッドA(MPLA)の調製
大腸菌Re変異体株F515[Schmidt, G.ら、1970]の四つのバッチを、10 L発酵器において、1時間培養物の2%を接種したカゼインペプトン培地[Schlecht S.ら、1975]において37℃、pH 7.2で静止相まで18時間増殖させた。細菌を1%フェノールによって殺菌して遠心(JLA-8100、Beckman)によって回収した。細胞(湿重量402 g)を蒸留水、エタノール、アセトン(2回)各2L、およびジエチルエーテル1 Lによって1回洗浄した後乾燥させた(収量;101.5 g)。
LPSを、フェノール-クロロホルム-石油エーテル(PCP I)抽出法によって凍結乾燥細胞から抽出した[Galanos C.ら、1969]。最後の沈殿物をアセトン(100 ml)によって2回洗浄して、残留フェノールを除去して、遠心(10,000×g、JA-10、Beckman)して、沈殿物を蒸留水(20 mg/ml)に浮遊させた;pHを〜8に調節して、浮遊液を蒸留水に対して十分に透析した。残留物を凍結乾燥すると精製Re-LPSが得られた(3.23 g、3.2%w/w)。
6.1.2 モノホスホリルリピッドAの単離および精製
粗モノホスホリルリピッドA(MPLA)を、大腸菌F515のRe-LPS 1.0 gから塩酸(0.1 M HCl)100 mLにおける100℃で30分間の加水分解によって得た。加水分解産物を氷中で冷却して、遠心(4,000 rpm、4℃、10分、ヘチッヒ、ロチキサRP)して、沈殿物をクロロホルム:メタノール80:20(容積)に浮遊させ、乾燥させると粗MPLA 731.8 mg(〜73%w/w)が得られた。この材料のTLCは、二つの主要な脂質がヘキサアシル(RF=0.77)およびペンタアシル(RF=0.71)MPLAと同時に移動するかなり均一な天然のMPLAを示した(図29)。
6.1.3 分析的薄層(TLC)および分取用薄層クロマトグラフィー(PLC)
分析的TLC(図29)は、アルミニウムシリカゲルシート(0.2 mm、キーゼルゲル60 F254、Merck)において行い、各試料30 μgを1レーンあたり適用した。TLCシートをクロロホルム:メタノール:1%酢酸100:50:3(v/v/v)において展開して、エタノール:濃硫酸85:15(v/v)に浸して加熱することによって染色した。分析的TLCと同じ溶媒系を用いてシリカゲルをローディングした分取用薄層クロマトグラフィー(PLC)に粗リピッドA(全体で170 mg)を適用して、リピッドA分画の調製的精製を行った。分取用薄層クロマトグラフィー(PLC)は、PLCプレート(厚さ2 mm、20×20 cm、キーセルゲル60、Merck)あたり20 mgの少量の粗MPLA(160 mg)を8個ローディングすることによって行った。PLC後、プレートに2回蒸留水を噴霧すると、MPLAバンドは目に見えるようになった。乾燥したプレートから分画をかきとり、クロロホルム:メタノール80:20(v/v)によってシリカゲルから濾過によって溶出して、上記の溶媒10 mlによって2回洗浄した。純粋なMPLA分画をロータリーエバポレーターにおいて濃縮して、水2〜5 mlに再浮遊させて、それに対してトリエチルアミン水溶液(TEN、0.36 M)をpH〜8.5に達するまで滴下した。リピッドA TEN-塩浮遊液を水(600 ml、4回)に対して透析して、凍結乾燥した。
6.1.4 組成分析、糖、ホスフェート、および脂肪酸
Stromingerら[Strominger, J.L.ら、1959]の方法によって、4 M HClによる加水分解(100℃、16時間)の後GlcNを決定し、ホスフェートをLowryら、1954の方法によって決定した。脂肪酸分析の場合、凍結乾燥したリピッドA試料(200 μg)を内部標準(ヘプタデカン酸、17:0)50 μgと混合した。密封したアンプルにおいて2 M HCl/MeOH 1.5 ml中で120℃で16時間メタノリシスを行った後、総脂肪酸分析を行った。メタノリシスした試料を水に溶解して、得られた脂肪酸メチルエステルをクロロホルム3 mlによって3回抽出して、濃縮し、GLCによって分析した。
GLC分析は、SPB-5(登録商標)のキャピラリーカラム(Supelco Inc.、ベルフォンテ、アメリカ)を備えたバリアンモデル3700クロマトグラフによって、120℃から開始して5℃/分で260℃まで上昇させる温度勾配を用いて行った。注入器および検出器の温度は290℃であった。水素を担体ガスとして流速1 mL/分で用いて、カラム圧は2 kg・cm2であり、スプリット比は1:10であった。遊離の脂肪酸を定性的および定量的に決定するために、脂肪酸メチルエステルの外部標準を用いた。
6.1.5 マトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析
MALDI-TOF MSを、加速電圧20 kVでリニアモードにおいてBruker-Reflex II(Bruker-Franzen、ブレーメン、ドイツ)によって行った。リピッドAをTEN水溶液(0.07 M)に2 μg/μL の濃度で溶解して、過剰量のナトリウムおよびカリウムを除去するために少量のアンバーライトIR-120(H+)陽イオン交換樹脂によって処理し、溶液1 μLを、マトリクス溶液として0.5 M 2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン(Aldrich、ダイセンホーフェン、ドイツ)のメタノール溶液1 μLと混合した。0.5 μLの少量を金属製の試料ホルダーに入れて、空気流において乾燥させた後直ちに分析した。質量分析スペクトルを陰および陽イオンモードで記録した。機器は、既知の化学構造を有する類似の化合物によって外部から質量の較正を行った。
6.1.6 核磁気共鳴(NMR)分光法
NMR分析の場合、完全にプロトン化したリピッドA型を調製しなければならず、これは0℃で蒸留水2 mL中に精製MPLA 13 mgを浮遊させ、0.36 M TEN水溶液を加えることによってpHを〜9まで増加させて、その後0.1 M HClを冷所で滴下してpHを〜2まで減少させることによって得られた。沈殿したリピッドAを遠心(2500 g、5分、4℃)によって単離した。沈殿物を4:1クロロホルム/メタノール(v/v)3 mLに溶解して蒸留水5 mLによって3回洗浄した。溶媒を除去した後、残渣をデシケータにおいてP4O10上で乾燥させた。MPLAのNMRスペクトルを、5 mm高精度NMR試料チューブ(Promochem)においてクロロホルム-d/メタノール-d4 4:1(v/v)0.5 mLにおいて記録した。
プロトン(1H)および全てのプロトン検出2D-NMRスペクトルをブルッカーDRX-600 AVANCE分光計において600 MHzで記録した。2:1クロロホルム-d/メタノール-d4(v/v)におけるスペクトルを295 Kで記録し、内部対照メタノール(δH 3.35 ppm、δc 49.0 ppm)を参照した。1H/1H-COSY実験を標準的なブルッカーソフトウェア(XWINNMR 2.6)を用いて行った。
6.2 結果
6.2.1 リピッドAの精製および免疫染色によるTLC分析
粗リピッドA加水分解産物のTLC分析から、LPSの酢酸加水分解によって得られた場合と同様に、意外にも二つのみの分画が示された(図29)。分取用薄層クロマトグラフィー(PLC)によって以下の二つのMPLA分画が得られ、その既知のRF値[Zahringer, U.ら、2001]、およびMALDI-TOF質量分析:MPLAhexa(RF 0.77、13.1 mg)(収率8%w/w)に基づいて推定に割付した。全ての粗リピッドAに存在するMPLApentaはこれ以上調べなかった。
6.2.2 LPSの組成化学分析:糖、ホスフェート、および脂肪酸
MPLAの脂肪酸分析から、(R)-3-ヒドロキシテトラデカノエート[14:0(3-OH)](1411 nmol/mg)がモル比3.7 mol/2 mol GlcNで存在することが判明したが、12:0(1.0 mol/2 mol GlcN)および14:0(0.8 mol/2 mol GlcN)は予想範囲内であることが判明した。ホスフェートは、0.9 mol/2 mol GlcNであると推定され、MPLAリピッドA骨格の構造[(4'-P-β-D-GlcpN-(1'→6)-D-GlcpN]と適合した。精製MPLAhexaにおける様々な脂肪酸の位置を割付けするためには、標的分子の完全な構造分析を行うためのMALDI-TOF質量分析およびNMR分光法によるさらなる分析が必要である。
6.2.3 MPLAhexaのMALDI-TOF質量分析
MPLAhexaの陰イオンMALDI-TOF質量分析により、m/z 1716.15(図30)で顕著な分子イオンピーク[MMPLAhexa-H]-が明らかとなり(図30)、デ-1-ホスホリピッドA骨格からなり、14:0(3-OH) 4個を有し、それぞれの一つが12:0および14:0である(C94H193O30N2Pに関して計算された単同位体分子量Mr 1717.12)MPLAhexaと良好に一致した。スペクトルはまた小さいピークを示したが、これらはそれぞれ、14:0および[14:0(3-OH)+14:0]の断片化に対応する可能性が最も高い。
6.2.4 MPLAhexaのNMR分光法
MPLAhexaの一次構造を、2:1クロロホルム-d/メタノール-d4(v/v)においてプロトン(1H)、炭素(13C)、燐(31P)NMR分光法によってさらに調べた。1Dおよび2D NMRスペクトルによって、ホスフェートおよび脂肪酸置換パターンを含むリピッドAの一次構造を明確に決定することができた(図31)。
GlcN 1の還元末端は、J1,2-結合定数がそれぞれ3.5 Hzおよび8.4 Hzである二つのアノマープロトン(H-1α4.68 ppmおよびH-1β4.03 ppm)を示し、還元MPLAに関してαおよびβ構造が5:1の割合であることを示している。GlcN II(J1,2 8.1 Hz)のH-1'シグナル(4.26 ppm)は、リピッドA骨格にβ(1'→6)グリコシド間結合が存在することを示した。Glc NIおよびGlc NIIにおける他の全てのプロトンはそれぞれ、H-1またはH-1'シグナルから開始して、その後の3JH-H連結度によって1H/1H-COSY(図24c)および1H/1H-TOCSY(示していない)によって割付された。ケミカルシフトは全て、非誘導体化リピッドAヘキサ-アシル分子についてこれまでに報告されたNMRデータ[Zahringer, Uら、2001;Ribeiro, A.A.ら、1999]と良好に一致する。
四つの一級[14:0(3-OH)]および二つの二級脂肪酸(14:0および12:0)のアシル化パターンは、リピッドA hexa(リピッドAビスホスフェート)のNMRスペクトルとの比較から結論された[Ribeiro, A.Aら、1999]。一級脂肪酸におけるH-3cおよびH-3dの診断的クロスピークは、リピッドAhexaにおける類似の核と同じケミカルシフトを有し、アシル化パターン(4+2)が同一であることを表す。
化学分析、MALDI-TOF質量分析、ならびに1Dおよび2D等核および異核NMR分光法の結果から、大腸菌変異体株F515からの天然のヘキサ-アシルモノホリルリピッドA(MPLAhexa)の構造的同一性が本研究において明白に示された。その骨格は、2および2'における双方のアミノ基ならびに3および3'位における双方のヒドロキシル基が3-ヒドロキシテトラデカン酸によってアシル化されている[4'-P-β-D-GlcpN"-(1'→6)-D-GlcpN']として決定された。2'および3'(GlcN II)における14:0(3-OH)はそれぞれ、12:0および14:0によってさらにアシル化されている。リピッドA骨格の4位(GlcN I)および6'位(GlcN II)のヒドロキシル基は置換されていない。完全なMPLAhexa構造を図2に示す。
7.実施例7
ヒツジ胎児ヘモグロビンおよびヘム不含HbFのLPS-凝集解離活性の生化学特徴付け
7.1 方法
成体哺乳類ヘモグロビン(HbA)調製物によるLPS生物活性の増強の分子メカニズムに関して、生理的に多くを占める大きいLPS凝集体(分子量≧106 Da)がHbAによって強く分散されることが記述されている[Roth, R.J.、1994;Kaca, W.、1994;Roth, R.J、1999]。高度に精製されたヒツジ胎児ヘモグロビン(s-HbF)についても類似の作用があるか否かを分析するために、PhastSystem(商標)装置(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて自動未変性PAGEアッセイを確立した。簡単に説明すると、大腸菌F515から精製したRe-LPSまたはサルモネラエンテリカ血清型ミネソタ188233からのS-型LPSを、分析したヘモグロビン調製物(0.375 μg/μl)の存在下または非存在下で、最終濃度0.275 μg/μlで37℃で30分間インキュベートした。その後、試料を氷中に入れて、4倍濃縮未変性試料緩衝液(200 mMトリス塩酸、pH=7.6;40 mM 2-メルカプトエタノール;40%(w/v)グリセロール;0.008%(w/v)ブロモフェノールブルー)を加えることによって未変性PAGE条件に合うように調節し、試料容積1 μlを、PhastSystem(商標)電気泳動ユニットにおいて未変性PhastGel(商標)未変性緩衝液小片を備えたPhastGel(商標)Homogeneous-20ゲルのスタッキングゲルゾーンに自動的に適用した。非変性電気泳動を4℃、400 Vの一定電圧でプログラムモードで行った。未変性PAGEの後、ゲルをHeukeshoven & Dernick[Heukeshoven J. and Dernick, R.、1988]のプロトコールに従ってPhastSystem(商標)展開ユニットにおいて銀染色した。先の未変性インキュベーション技法を通してのタンパク質成分の完全性を制御するために、SDSを最終濃度2%(w/v)で加えて、試料を95℃で5分間加熱した。変性した試料を、製造元の標準的なプロトコールに従って未変性PhastGel(商標)SDS緩衝液小片(Amersham Pharmacia Biotech)を備えたPhastGel(商標)Homogeneous-20ゲルにおけるSDS-PAGEの後に銀染色によって最終的に分析した。ヒトHbA(SIGMA-Aldrich)のヒツジHbF調製物と比較して、成体ヒツジヘモグロビン(s-HbA)およびヘム不含ヒツジ胎児ヘモグロビン(s-HbF/hf)を、未変性Phast(商標)PAGEアッセイにおいてLPS凝集解離活性に関して分析した。
7.2 結果
未変性のPhast(商標)PAGE分析から、ヒツジ成体および胎児ヘモグロビン調製物の存在下と共にヒトHbAの存在下で、R-およびS-型LPSの双方が電気泳動時に20%ポリアクリルアミドゲルの分離ゲルゾーンまでより広範囲の距離を移動したが、非ヘモグロビン処置LPS調製物は、選択した未変性条件では大きい凝集体(分子量≧106 Da)が多量に形成されたためにスタッキングゲルゾーンに遅れて残っていることが判明した(図32)。ヒトHbAについて得られた未変性PAGEデータは、より大きい規模の未変性PAGEを用いたこれまでの報告からの結果と類似であった[Kaca, W.、1994]。本発明者らのデータは。、高度精製ヒツジHbAおよびHbF調製物によるLPS凝集体の強い分散を強く示している[Roth, R.J、1994;Kaca, W、1994;Roth, R.J、1999]。特に、未変性電気泳動データにより、ヒツジHbA調製物と比較してヒツジ胎児ヘモグロビンのより強いLPS凝集解離活性の証拠が提供された。意外にも、さらなる未変性Phast(商標)PAGE分析において、LPS凝集解離活性は、ヒツジ胎児ヘモグロビンのヘム鉄枯渇調製物においても保存されることが示された(図33)。
LPS凝集体について認められた強い分散は、今日まで哺乳類種に関して記述されていないヒツジ胎児ヘモグロビンの新規特性である。その上、胎児ヘモグロビンに関して十分に報告された酸素輸送機能とは明らかに異なり、本発明者らの分析は意外にも、認められたLPS凝集解離活性が、ヒツジ胎児ヘモグロビンのタンパク質(グロビン)鎖によってヘム鉄とは無関係に媒介されることが判明した。
8.実施例8
LPSまたはMPLAおよびヒツジ胎児ヘモグロビンのインビトロでの相乗的生物活性
8.1 LPSまたはリピッドAおよびヘモグロビンによる酸化窒素誘導
8.1.1 方法
8.1.1.1 試薬
S.エンテリカ血清型ミネソタRe-変異体R595からのLPSおよび遊離のリピッドAと共にMPLAを用いた。
8.1.1.2 マウス
6〜10週齢の雌性および雄性BALB/cマウスを、フライブルクのマックスプランク免疫研究所の交配施設から得た。
8.1.1.3 マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)の調製
実施例3.1.1.1を参照されたい。
8.1.1.4 マウスBMDMにおける酸化窒素放出の誘導および決定
実施例3.1.1.4を参照されたい。
8.1.1.5 ヒト細胞
8.1.1.5.1 ヒトヘパリン加血からの単核球の単離
成人健康ドナーからのヒト単核球(MNC)を、フィコール密度勾配において単離した[Boyum、1968]。MNCをHBSSにおいて4回洗浄して、1%L-グルタミンおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地に再浮遊させて、濃度を細胞4×106個/mlに調節した。
8.1.1.5.2 刺激アッセイおよびTNFαの検出
単離したばかりのヒトMNCを、48ウェルディッシュにおいて細胞密度1.6×106個/400 μl/ウェルで播種した、および/またはCLP2p(10 μl/ml)をLPS(10 μl/ml)の存在下または非存在下で37℃で30分間プレインキュベートして、MNCに加えた。22〜24時間インキュベートした後、無細胞上清を回収して、ELISAによるTNFα放出に関してアッセイした。
8.1.2 結果(マウス)
8.1.2.1 ヘムの存在下および非存在下でLPSまたはモノホスホリル-リピッドAにおよびHbFよって刺激したBMDMsによるNO産生の誘導
LPSと胎児ヘモグロビンと共にヘム不含HbFとのあいだの相乗効果の依存性を調べるために、BMDMにおけるNO産生の刺激能を調べた。
これらの実験(図34a、b、35a、b、および36a、b)において、Re-LPSおよびモノホスホリルリピッドAの双方について、ヘム基の存在とは無関係に明確な相乗効果を認めた。相乗効果が明らかに認められ、ヘム基はこれらの実験において示された作用にとって必要ではないことを証明している。
8.2 LPS、リピッドA、または部分構造、およびヘモグロビンまたはそれに由来する下部構造によるインビトロでのサイトカイン(TNFαおよびインターロイキン6)誘導
8.2.1 方法
マウス脾細胞またはヒトPBL(フィコールハイパック精製)をMEM培地(10%FCS)1 mlにおいて、単独またはLPSの様々な濃度の存在下、LPS不含(LALアッセイ)FSLEの存在下または非存在下、Hb または下部構造の存在下および非存在下で、細胞濃度1×106個/mlで37℃で24時間インキュベートした。上清を、組換え型マウスTNFαを標準物質として用いて、ELISAまたはバイオアッセイ(Wehi 1643腫瘍細胞の増殖阻害)によってTNFαに関してアッセイした。
8.2.2 結果
LPSとHbまたは下位分画との相乗効果をアッセイするために二つのタイプの試験を行った。マウス脾細胞を用いる第一の一連の実験(図37および38)において、ヒツジ胎児Hb(ヒツジ成体Hbとは対照的に)を用いた場合、TNFα(図37)またはIL-6(図38)の産生において相乗効果の明確な証拠を認めた。第二の一連の実験において、ヒトPBLをLPSおよびHbによって処理した。この場合も、HbAと比較してHbFを用いた場合、TNFαの産生に関して顕著な相乗効果を認めた(図39)。最後に、無関係なヒトPBLドナー2人(図40のパネルAおよびB)を用いて、HbAまたはHbFの異なる下部構造を、その相乗効果の生成能を調べるために用いた。TNFα産生に関して最適な相乗効果が、LPSと共に胎児Hbα、γ二量体によって引き起こされたことは明白である(図40)。
さらなる組の実験において、ヒツジHbのクローニングしたγ鎖を、クローニングしたβ鎖との比較においてアッセイした(図40A)。マウス脾細胞のTNFα産生によって決定されるように、および図40Aによって示されるように、LPSとγ鎖下部構造のあいだに印象的な相乗効果を認めたが、クローニングしたβ鎖の場合には明確ではなかった。この結果は、γ鎖がLPSとHbのあいだの相乗活性に関与していることを証明する。しかし、α、γ二量体がこの相乗効果に関与していることは除外されない。
8.3 モノホスホリルリピッドA(MPLA)および精製ヒツジγ鎖ヒト系のあいだの相乗効果
生化学的に精製したヒツジ胎児γ鎖が相乗活性を示すか否かを分析するために、MPLAの生物活性に及ぼす効果を分析した(図40B)。ヒト末梢単球によるTNFα放出によって決定されるように、精製γ鎖は、MPLA生物活性の増強において劇的な効果を示したが、α鎖ははるかに活性が低かった(図40B)。これらの結果は、γ鎖がLPS生物活性に対するHbの作用の媒介に関与しているというこれまでの考え方を支持する。
8.4 マウス系におけるインビトロでのLPS、HbおよびCLPの相乗効果
得られた結果はLPSおよびHbの相乗効果およびCLPプールによる増強活性を示し、これを図40Cに示す。マウス脾細胞からのTGFβの放出によって決定されるように、LPS単独およびHb下部構造単独(上のパネル)では、サイトカイン放出は低かった(<250 pg/ml)。LPSおよびHb下部構造をCLP1bまたはCLP2pと共に分析すると(下のパネル)、胎児γ鎖の場合に明確な相乗効果を認めた。実際に、CLP1bを添加すると、TGFβ産生は対照(上のパネル、CLP1bなし)と比較して約2倍(中央のパネル)増強された。これらのデータは、CLP1b/CLP2pおよびしたがってFSLEにおいて、マウス脾細胞系においてLPS/Hb相乗効果を加速する分子が存在することを示している。
8.5 ヒト系におけるLPS、Hb、およびCLPの相乗効果
FSLE(CLP2pの形で)が、ヒト細胞の場合と同様に、相乗的なsHbF/LPS系において調節活性を示すか否かを試験するために、第8.1.1.5.1章に記述するようにヒト末梢血単球をLPS、sHbFおよびCLP2pと共に処置した。TNFα産生によって決定され、図40Dにおいて示されるように、CLP2pを添加した場合、LPS/sHbf相乗効果の有意な増強を認めた。この結果は、FSLEにおいて、ヒト系においてもHb/sLPS相乗作用を改変、すなわち増強する因子が存在することを示している。
9.実施例9
LPS、Hb、および下位分画と共にFSLEおよびLPSを特に経口経路によって投与後のインビボでの免疫機能の調節
9.1 方法
マウスに経口針(PBS 100 μl)によって、および/またはi.p.もしくはi.m.経路によってチャレンジを行った。動物を24時間後に屠殺して、血清をTNFα(実施例8.2.1を参照されたい)およびIFNγ(ELISA)に関してアッセイした。さらに、腹腔洗浄液を遠心して細胞を除去し、サイトカインレベルに関して同様にアッセイした。
9.2. 結果
これまでに記述された研究のほとんどにおいて、CLP-プール(1b/2p)をインビボで投与する場合は常に、i.p.、i.m.、またはi.v.注射を適用した。これらの分画が、経口投与のような他の投与経路による投与後に作用(局所および全身的に)を示すか否かを調べた。
9.2.1 インビボでCLP、LPS、およびその下部構造を含むHb間の相乗効果
サイトカイン誘導におけるFSLE、Hb構造およびLPS間の相乗作用の証拠を調べるために、TNFαおよびIFNγ細胞の間接的な刺激をインビボで調べた。マウスに、LPS 10 μgをipもしくは経口針(PBS 100 μl)によって、またはFSLE(300 μg/マウス)を経口針によって投与した。各調製物を単独または併用して投与した。動物を24時間後に屠殺して、心穿刺によって血液を採取した。10%FCSを含む暖かいMEM 2.0 mlを腹腔に注入して、腹腔洗浄液を無菌的に回収した。後者、および血清を図41に示すようにTNFαおよびIFNγ濃度を推定するために滴定した。この場合も、バイオアッセイからのデータのみを示す(ELISA-バイオアッセイにおいて同等のデータが得られ、Wehi 279細胞を用いてIFNγに関するデータを得た)。さらに、一つの血清濃度および洗浄液の一つの濃度(それぞれの場合において20 μl/200 μl試験ウェル)に関するデータのみを示す。図41に示すように、LPSを経口またはi.p.によって投与したかによらず、CLPの経口針による投与後に、TNFα(血清中)およびIFNγ(腹腔洗浄液)の相乗的な産生の増加を認めた。最適な相乗効果はFSLE/LPSの双方の経口針による投与後であるように思われた。
これまでの研究[Gorczynski, R.M.、1997;Gorczynski, R.M.、1998]において、本発明者らは、加齢マウスにインビボでCLPを慢性的に投与すると、これらの動物からの脾細胞をインビトロでCon Aによって刺激した場合に認められるサイトカイン産生の偏りを回復させるであろうと報告した。このように、若い動物(〜8週齢)からの細胞は一般的に、1型サイトカイン(IL-2、IFNγ)を主に産生するが、対照的に加齢マウス(>20ヶ月)からの細胞は、主に2型サイトカイン(IL-4、IL-10)を産生する。しかし、FSLEの慢性的な投与後では、本発明者らは、加齢マウスからの細胞でさえも、インビトロでConA活性化後に主に1型サイトカインを産生することを報告した。しかし、これらの系ではCLP1bおよびCLP2p、またはLPSとの相乗活性は分析していなかった。
本明細書において、本発明者らは、加齢細胞からのサイトカイン産生の偏りのこのような回復においてLPSとCLPの相乗効果が存在するか否かを調べた。マウス5匹の群にLPS(10 μg/マウス)またはFSLE(150 μg/マウス)を単独または併用して経口針によって試験の0日目および10日目に投与した。マウスは全て、20日目に屠殺して、個々の脾細胞調製物を作製して、細胞をCon A(5 μg/ml)によって40時間刺激した。上清をELISAおよびバイオアッセイ(それぞれ、CTLL-2またはCT4.Sの増殖の刺激)によってIL-2およびIL-4に関してアッセイした。ELISAアッセイのデータのみを図42に示す(群の算術平均−三つの試験の一つ)。
若いマウスからの細胞は、前処置にかかわらず(図42の右のデータ)主に1型サイトカインであるIL-2を産生する。対照的に、加齢マウス(無処置)は、IL-2(図42の一番左のデータ)よりむしろ2型サイトカイン(IL-4)を主に産生する。しかし、LPSおよびFSLEによる併用処置後、加齢マウスからのサイトカイン産生の顕著なシフトを認め、若い動物のようにIL-2産生が多数を占める。これは、用いた用量のFSLEまたはLPS単独の経口針による投与後では、より高い用量(300〜500 μg FSLE/マウス)、およびより頻繁な曝露(4×5日間隔)であっても認められず、FSLE単独でも類似の作用を生じる。
9.2.2 CLPおよびLPS、またはリピッドA部分構造、または精製ヘモグロビン鎖およびLPSを経口針によって投与後のインビボでのTNFαの誘導における相乗効果の分析
FSLE(またはヘモグロビンタンパク質鎖)とLPS(またはリピッドA分画)とのインビボでの相乗的相互作用を調べるために、以下の試験を行った。C57BL/6マウス5匹の群に、生理食塩液100 μlの経口針による投与によって少なくとも1回の刺激を行った。図43に示す実験では、他の刺激(LPSまたはリピッドA部分構造)を腹腔内投与した。図44に示す実験データでは、さらなる刺激(LPS)を経口針溶液に含めた。マウスは全て24時間後に屠殺して血清を採取し、ELISAによってサイトカインに関して1試料あたり3回ずつアッセイした。さらなる詳細を図の説明文に示す。
FSLEとLPS(またはリピッドA部分構造−図43を参照されたい)のあいだの相乗作用またはヘモグロビン鎖とLPS(図44)の相乗作用を調べたか否かによらず、少なくとも一つの刺激を経口針によって投与した場合に、TNFα産生増強の明確な証拠を認めたことは明らかである。実際に、図44に示すデータは、双方の刺激を経口針によって投与した場合でも相乗作用が存在することを示している(同様に図42を参照されたい)。
9.2.3 LPSおよびCLP1bの異なる適用
マウスに異なるプール(CLP1b/CLP2p)をi.v.、i.p.、またはi.m.注射のみならず経口針(滅菌PBS 0.2 ml)によって投与した。用量は0.5〜50 μg/マウスの範囲であった。動物を処置後様々な時間(1〜48時間)に屠殺した。場合によっては、様々な起源からのリンパ様細胞(脾臓;パイエル板(PP);腋かリンパ節;腸間膜リンパ節;腹腔細胞)をさらに刺激を行わずに24時間インキュベートして、細胞上清におけるサイトカインをアッセイした。CLP1bの経口針による投与後のPP細胞からのサイトカイン産生を示すデータを表7に示す。
表7において、CLP1bの経口針による投与後のPPに関するサイトカインデータのみを示す。しかし、本発明者らの複合データは、生物活性サイトカイン/ケモカインのmRNAおよび機能的産生が、CLP1bおよび/またはCLP2pの経口針による投与後に局所で刺激される(PPおよびMLNにおいて)が、i.m.、i.p.またはi.v.注射は全身的(腋かリンパ節、脾臓)に類似のケモカイン/サイトカインを誘導することを示している。表7はまた、経口針による投与後、定量的にCLP1bは、サイトカイン誘導によってアッセイした場合に「遊離の」LPSより活性が高いことを示している。データはまた、活性な胎児成分が消化管の酵素に対して抵抗性であり、CLP1bおよびCLP2pのプロテアーゼ抵抗性に関する知見と一致することを示している(実施例3.3.2を参照されたい)。
(表7)
Figure 0004619352
a C57BL/6マウス(8週齢)5匹の群に、屠殺の24時間前に経口針(PBS 0.2 ml)によってLPSまたはCLP1bを投与した。細胞の回収は全ての群において同じであった。それぞれの個体のパイエル板からの個々の細胞浮遊液(2×106個/ml)を、刺激を行わずに10%FCSを含むαMEMにおいて24時間培養した。上清を先と同じようにサイトカインに関してアッセイした。
b 異なるサイトカインに関する算術平均(全ての場合においてSD<15%)。
n.d. アッセイにおける検出下限を示す(検出不能)。
10.実施例10
CLPプールの免疫調節活性(パート1)
TLR4遺伝子欠損マウスを用いたTNFα産生、NO産生、および脾細胞増殖を含むCLPプール活性
10.1 方法
10.1.1 マウス
C57Bl/10 ScSnおよびBalb/cマウス(いずれもLPS反応体)およびC57Bl/10 ScCrマウス(LPS非反応体、TLR4遺伝子欠損マウス)を、ドイツ、フライブルクのマックスプランク免疫研究所から得た。マウスを3〜5匹ずつケージに収容して、飼料および水を自由に与えた。
10.1.2 脾細胞の調製
マウス(6〜8週齢)を断頭によって屠殺した。脾細胞を無菌的に採取して、ガラスホモジナイザー(Braun、メルスンゲン、ドイツ)を用いて組織を破壊した。得られた細胞浮遊液を、添加物を含まないRPMIを用いて2回洗浄して、10%FCS、100 U/mlペニシリン、および100 μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI(cRPMI)に浮遊させた。
10.1.3 脾細胞増殖の決定
脾細胞増殖は、DNAへの3H-チミジン取り込みを測定することによって決定した。培養を全量150 μl/ウェルで平底マイクロタイタープレートにおいて開始した。脾細胞3×105個およびCLP1b(100、20、4 μg/ml)、CLP2p(100、20、4 μg/ml)、またはLPS(1、0.1 μg/ml)を5%CO2でcRPMIにおいて培養した。対照培養には単純な培地を加えた。24時間後、3H-チミジン(23.125 KBq/ウェル)を添加して細胞を24時間パルスした。凍結融解後、DNAへの3H-チミジン取り込みを液体シンチレーション計数によって決定した。
10.1.4 TNFα産生の決定
刺激のために、骨髄由来マクロファージ(BMDM)(4×105個/ウェル)を全量600 μl/ウェルで24ウェルマイクロタイタープレート(Fa、Falcon、Becton Dickinsonヨーロッパ、Le Pont de Claix、フランス)において培養し、LPS(10 ng/ml〜0.01 ng/ml)および5 μg/ml FSLE(ロット072)によって刺激した。対照培養には通常の培地を加えた。培養物を37℃、5%CO2でインキュベートした。サイトカイン産生を測定するために、4または24時間後に上清を回収した。上清におけるサイトカイン濃度を、製造元の説明書に従ってELISAによって決定した(試薬は全て、Pharmingen、BD Biosciences、ハイデルベルク、ドイツから購入した)。
10.1.5 NO産生の測定
骨髄由来マクロファージ培養物の上清におけるNO産生の測定は、実施例3.1.1.4に記述した通りに行った。
10.2 結果
10.2.1 TLR4遺伝子欠損マウスを用いた脾細胞増殖の誘導
脾細胞増殖実験の結果を図45に示す。C57Bl/10 ScSnマウスからの細胞は、1および0.1 μg/ml LPSによる刺激後の3H-チミジン取り込みの顕著な増加によって認められうるように、LPSに対して正常な反応を示した。近縁のC57Bl/10 ScCrマウスは、第4染色体に存在するLPS遺伝子においてヌル変異を有する[Poltorak, A.、1998]。このために、本明細書において脾細胞に関して示されるように、それらの細胞はLPS刺激に対して非常に不応性である。LPS反応体マウスにおいて、CLP1bは、100、20、または4 μg/mlで3H-チミジン取り込みの顕著な増加を誘導し、最大活性は約100 μg/ml周辺で認められた。CLP1bの活性はCLP2pの活性を超えていた。LPS非反応体マウスにおいて、CLP1bおよびCLP2pは、100、20、または4 μg/mlでかなり低いが有意な3H-チミジン取り込みを誘導した。
10.2.2 TLR4遺伝子欠損マウスを用いたNO産生の誘導
TLR4遺伝子欠損マウスにおいて骨髄由来マクロファージを用いたNO産生の誘導に関する実験の結果を図46に示す。C57Bl/10 ScSn LPS反応体マウスからのBMDMは、用いた用量(0.8〜100μg/ml)のCLP1bおよびCLP2pによる48時間の刺激後酸化窒素放出の強い増強を示した。C57Bl/10 ScCr LPS非反応体、TLR4遺伝子欠損マウスにおいて、CLP1bおよびCLP2pははるかに低い程度の活性であった。この実験は、CLPプールの生物活性がLPSに依存的であるが、活性の一部は別の要因によって媒介されることを証明している。
11.実施例11
CLP-プールの免疫調節活性(パートII)
加齢関連免疫不均衡の回復
11.1 生物系(方法)
11.1.1 加齢関連実験におけるマウス系
若い(8週齢)および加齢(100〜115週齢)BALB/cNia、DBA/2Nia、およびC57BL/6Niaマウスをチャールスリバー研究所の国立老化研究所(ストニーリッジ、ニューヨーク州)から購入した。マウスを5匹ずつケージに収容して、飼料および水を自由に与えた。マウスは全て供給元からの到着後2週間以内に使用した。場合によっては、マウスに800 Radのγ線(137Cs源、線量率102 R/分)を照射して、脾細胞を尾静脈から注入して再構成した。
11.1.2 FSLEのプールによるマウスの処置
動物に、CLP1b/CLP2p 10〜100 μgのPBS溶液0.25 mlを3.5日毎に4回または6回(放射線を照射して脾細胞を再構成後)の腹腔内注射を行った。マウスを最後の注射の2日後に屠殺して、脾(またはパイエル板、リンパ節)細胞を採取した。場合によっては、マウスをインビボでヒツジ赤血球(SRBC)4×108個によって免疫するか、または致死量(900 Rad)の照射後同系骨髄細胞1×105個を投与した。実験によっては、いくつかの群にNG-メチル-L-アルギニン(L-NMMA)を30 mg/kgの用量で毎日静脈内注射した。
11.1.3 サイトカインの測定
サイトカイン産生を評価するために用いた培養において、反応体細胞5×105個をマイクロタイタープレートにおいて5 μg/ml Con Aによって、またはウェルを抗CD3-ε(100 ng/ml)によって予めコーティングしたプレートにおいて1試料あたり3個ずつ刺激した。40時間目に同等のウェルからの上清をプールして、ELISAアッセイにおいてリンフォカイン産生に関して1試料あたり3個ずつアッセイした。
IFNγアッセイに関して、平底96ウェルヌンクプレート(Gibco、BRL)を用いて、100 ng/ml R4-6A2をコーティングした。上清の容量を変化させて4℃で1試料あたり3個ずつ結合させて、3回洗浄し、ビオチン化抗-IFNγ(XMG1.2)を添加した。洗浄後、プレートをストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼと共にインキュベートして、適当な基質によって展開させて、ELISAプレートリーダーを用いてOD405を決定した。
捕獲抗体としてJES5-2A5および発色抗体としてビオチン化SXC-1を用いる類似のELISA系を用いて、IL-10をアッセイした。IL-2およびIL-4に関するELISAアッセイは、捕獲抗体としてJES6-1A12および11B11を用い、ビオチン化JES6-5H4またはBVD6-24G2を発色抗体として用いた。検出感度は、精製組み換え体材料を用いた試験において測定したところ、全てのサイトカインに関して10 pg/mlであった。
IL-1アッセイは、サイトカイン依存的細胞であるD10を用いたが、IL-6アッセイはB9細胞株を用いた。ミンク肺上皮細胞株(ATCC)の増殖阻害(40時間以上のインキュベーション)を用いてTGFβをアッセイした。TNFαも同様に、Wehi 1643細胞株(ATCC)の増殖阻害によってアッセイした。全ての場合において、組換え型材料を用いる標準化によって決定したところ、検出感度は30 pg/mlサイトカインであった。
36および50時間培養のあいだには、サイトカインレベルの差は検出されず、抗CD3-εおよびConA刺激細胞のあいだにも有意差を認めなかった。SRBCの抗体形成アッセイは、Cunningham[Gorczynski, R.M.、1978]によって改変された標準的なイエルネPFCアッセイであった;脾臓コロニー数は、放射線照射および骨髄再構成の12〜14日後に行った。
11.2 生物系(結果)
11.2.1 抗加齢成分としてのCLP1bおよびCLP2pの役割
加齢関連免疫反応性が大きく変化することは、今日まで研究された全ての哺乳類種について報告されている[Wechsler, M.E.、1992;McLachlan, J.A.、1995;Burns, E.A.、1997]。これらの変化は、免疫系のT細胞区画において最も顕著であるように思われる。多くの研究から、反応する細胞の頻度の普遍的な減少、年齢による細胞の反応能の機能的変化、および/または免疫系の全体的な機能を調節するサイトカイン、増殖因子およびホルモンの高度に調和されたネットワークの破壊[Miller, R.A.、1996]があるか否かを調べるために、年齢によるT細胞免疫のこのような脱調節に関して可能性がある説明に取り組んできた。以下の研究は、CLP1b/2pがマウスにおける加齢関連免疫変化を回復できることを明らかに証明している。
表8に示す実験において、若いまたは加齢DBA/2またはC57BL/6マウスに、SRBCによる免疫前にCLP2pまたは生理食塩液のみ(無処置)の注入を行った。抗SRBC脾臓IgG-PFCを免疫後7日目に決定した。加齢マウスにおいて認められたIgG-PFCの3倍減少が、免疫前にCLP2pを投与したマウスでは回復することは明白である。
(表8)CLP2p注射後の加齢DBA/2およびC57BL/6マウスにおける抗体産生の回復
Figure 0004619352
a 1群あたりマウス6匹を用いた。若いマウスは12週齢であり、加齢マウスは100〜120週齢であった。全てのマウスにヒツジ赤血球(SRBC)4×108個をPBS 0.5 mlにおいて静脈内注射した。
b マウスに、3日間隔でCLP2p(50 μg/マウス)を5回静脈内注射してから、SRBCによる免疫を行った。
c SRBC後7日目でのマウスにおけるPFC/脾細胞1×106個。平均的な細胞回収/脾臓は全ての群において同等であった(120×106±10×106個)。
第二のシリーズの研究は、造血再構成の手段であるCLP2pが致死的放射線照射後の骨髄からの脾臓コロニー形成を増強できるか否かという疑問に取り組んだ[Worton, R.G.、1969]。若いまたは加齢DBA/2マウス8匹/群に、生理食塩液またはCLP2pを静脈内注射(3回注射)してから、致死的放射線照射および若い(12週齢)DBA/2ドナーからの同系骨髄細胞1×105個による再構成を行った。動物を再構成後12日目に屠殺して、脾臓コロニーを計数した(表9)。
(表9)脾臓コロニーアッセイによって評価した場合、CLP2pは、放射線(900 Rad)を照射した若いDBA/2マウスの造血細胞再構成に対して作用を有する
Figure 0004619352
a 骨髄をドナー3匹/群からプールした。若いマウスは12週齢であり、加齢マウスは24ヶ月齢であった。
b マウスに、3日間隔でCLP2pの静脈内注射(50 mg/マウス/注射)を3回行ってから、放射線を照射した。
c マウスを12日目に屠殺して、脾臓コロニーを肉眼で計数した。データはマウス8匹/群の算術平均(+SD)である。
* 年齢をマッチさせた対照と比較してp<0.05。
これらのデータは、加齢マウスにおけるPFC(SRBCに対する)の減少をCLP2pが回復できること、そして致死的放射線照射および骨髄再構成後の脾臓コロニー形成(リンパ-造血系再生)を増加できることを示している(表9)。
11.2.2 CLP1bおよびCLP2pの加齢マウスにおけるサイトカイン産生の回復能
先に記述したように、免疫学の文献における最も重要な知見は、加齢が、刺激リンパ球からのサイトカイン産生の変化に関連しているという証拠である[Miller, R.A.、1996;Wechsler, M.E.、1992]。若い動物(およびヒト)は、主にIFNγおよびIL-2を産生するが、年齢と共にIL-4、IL-6、IL-10、およびTGFβの産生量が増加した。したがって、マウスに注射されたFSLE、特にCLPプール(CLP1bおよびCLP2p)が、加齢マウスにおけるサイトカイン産生プロフィールの変化を回復できるか否か、そしてこれらの効果が加齢動物における未刺激対メモリーリンパ球数の(既知の)変化によってどの程度説明されるかを評価するために、一連の試験を設計した(FSLEに関して[Gorczynski, R.M.、1998]を参照されたい)。
若いまたは加齢DBA/2マウスの群に、CLP1b(またはCLP2p)のi.m.注射を行ってから屠殺した。脾細胞をインビトロでConAによって刺激し、40時間目にサイトカイン産生を評価するために上清を回収した。そのような2回の試験からプールしたデータを表10に示す。
(表10)CLPプールは加齢マウスからの白血球における年齢関連サイトカイン産生を回復させる
Figure 0004619352
a ドナー4匹/群からの個々の脾細胞試料を試験した。反応体細胞5×105個をマイクロタイタープレートにおいて5 μg/ml ConAと共に1試料あたり3個ずつインキュベートして、上清を40時間目に回収した。マウスに50 μg/マウスCLp1b(またはCLP2p)を3日間隔で5回i.m.注射を行い、最後の注射の3日後にインビトロでサイトカイン産生のために脾細胞を用いた。対照(無処置)マウスには通常の生理食塩液(NS)のみを投与した。CLPプールに関する試験は、加齢マウスに限って示す。
b 若い(8週齢)または加齢(110週齢)DBA/2Niaマウスからの細胞培養を用いて1試料あたり3個ずつのアッセイからの3回の試験に関して平均したサイトカインレベルの算術平均(±SD)。
若いレシピエントからのサイトカイン産生に対するCLP-プール処置の有意な影響はなかった(最初の列と同等のデータ)。
* 対照と比較してp<0.05(最初の列)
# PBS単独を注射した年齢をマッチさせた対照マウスと比較してp<0.05。
これらのデータは、50 μg/マウスの濃度で注射したCLP1b/2pが、加齢個体からの刺激リンパ球を用いて認められたサイトカイン産生の変化を回復することを明らかに示している。
加齢関連免疫不均衡は、デヒドロピアンドロステロン(DHEA)およびそのスルフェート誘導体(DHEAS)によって反対に調節されうることがこれまで証明されている[Daynes, R.A.、1992;Daynes, R.A、1993]。CLP1bおよびCLP2pは、DHEAまたはDHEASを含まない。マウスにおいて有効であるCLPプールは、有害または望ましくない副作用を引き起こさないが、DHEAの臨床応用に関していくつかの警告が出された[Durgan, J.、1997]。
12.実施例12
CLPプールの免疫調節活性(パートIII)
CLP-プールの抗腫瘍活性
12.1 さらなるマウス系(方法)
12.1.1 マクロファージ/脾細胞媒介腫瘍細胞抑制の決定(増殖アッセイ)
マクロファージおよび脾細胞媒介細胞抑制を、エフェクターおよび標的細胞の同時培養において、3H-チミジン(メチル3H-TdR、比活性5 Ci=185 GBq/mMol、Amersham Buchler、ブランシュバイヒ、ドイツ)の腫瘍細胞DNAへの取り込みの減少によって決定した。培養を全量200 μlで平底マイクロタイタープレートにおいて行った。BMDMおよび/または脾細胞および様々な濃度のCLPプールと共に腫瘍細胞5×103個を、cDMEM(Abelson)またはcRPMI(Sp2/0)においてそれぞれ10%および5%CO2で1〜3日間培養した。25 μl=0.5 Ci3 H-TdR/ウェルを加えることによって、増殖細胞を最後の4時間標識した。標識培養物を凍結(-20℃)融解し、自動細胞ハーベスタ(Pharmacia LKB、フライブルク、ドイツ)によってガラス繊維フィルタープレートに回収した。組み入れられた放射活性は液体シンチレーション計数(βプレート、Pharmacia LKB)によって決定した。BMDMおよび/または脾細胞のみを含む対照培養を処置して、エフェクター細胞によって取り込まれた放射活性を補正するために、これらの培養物からのcpm値を共培養物のcpm値から差し引いた。
12.2 マウス系におけるFSLE/CLP-プールによる抗腫瘍活性の誘導
12.2.1 CLP1b/2pによって刺激したマクロファージおよび/または脾細胞による腫瘍細胞増殖阻害
CLP1b/2pを広い濃度範囲でTCGIアッセイに適用した。いずれのプールも強い用量依存的なマクロファージ活性化を誘導したが、その結果、約1 μg/mlまたはそれより低い濃度でAbelson 8-1腫瘍細胞増殖の強い阻害を誘導した(図47A)。脾細胞をマクロファージおよび腫瘍細胞の共培養物に加えると、CLP1bまたはCLP2pと共に行った培養物においてTCGI活性の顕著な増加が得られた(図47B)。
12.2.2 FSLEによる抗転移活性
原発腫瘍からの腫瘍の転移は、重要な医学的問題であり、その現象を研究するモデルは非常に重要である。C57Bl/6マウスにおいて自然発症した腫瘍であるLewis肺癌を用いた系[Seguira, S.、1955]は、それが肺に転移することから特に有用である。その高度の悪性度は、その低い免疫原性特性に関連している[De Wys, W.D.、1972]。
モデルは以下のように作用する[Berdel, W.E.、1981]:培地0.05 mlにおいて生存腫瘍細胞1,000,000個を各マウスの左後肢に皮下注射する。6〜10日以内に、注射された足は、腫瘍の増殖のために直径0.5〜0.6 cmに達する。原発腫瘍の移植後18〜21日目に、動物は肺転移のために死に始める。
臨床での状況を模倣して、原発腫瘍を腫瘍の移植後任意の所定の時間で外科的に切除することができる。さらなる治療を行って、または行わずに、動物の肺の微小転移数を調べて、これを染色後組織学的に計数する。手術を腫瘍移植後初期段階で行う場合に限って、転移を予防することができる。
この系を用いて、術後1日目から始めてFSLEの0.1 ml中に1 mgの皮下用量を1群10匹のマウスに注入し、これを2および4日後に2回繰り返した。対照には、塩化ナトリウム0.1 mlを投与した。動物を翌週観察した。予想されたように、対照動物は全て、図48に示すように、実験の18〜39日以内に肺転移のために死亡した。対照的に、39日までに抽出物処置群の8匹(80%)がなおも生存しており、それらは全てその後120日以内に死亡しなかった。組織学的対照から、生存動物が肺転移を有しないことが示された。10 μg/ml CLP2pの注射によっても類似の結果が得られている。
12.2.3 異なる発達段階のヒツジから調製した肝抽出物のマクロファージおよびリンパ球活性化能
異なる発達段階でのヒツジ肝抽出物またはプールにおけるマクロファージおよび脾細胞活性化因子のレベルを決定するために、新生児のみならず3〜4年齢の動物からの肝抽出物を調製して、Sephadex G-100(登録商標)において分離し、実施例2に記述されるように得られた分画をプールした。これらのプールをTCGI誘導活性に関する対応するCLPプールと比較して試験した。CLP2pプールにおいて主要な差が明らかとなった:胎児および新生児動物からのCLP2pは、成体動物から調製されたCLP2pよりマクロファージの刺激において100〜1000倍活性が高かった(図49)。それぞれの分離に関して最も活性の高いプール(胎児抽出物、新生児からの抽出物、および成体ヒツジからの抽出物)の活性を任意に100に設定して(図50を参照されたい)、異なる発達段階での抽出物から調製したプール1bおよび2pの相対的なTCGI活性と比較すると、CLP1bおよびCLP2pの相対活性が出生後減少していることは明らかである。これは、胎児生命の過程における刺激活性の消失によって、またはそれによって分離の際の化合物の異なる挙動が起こる、ヘモグロビンのような周産期の胎児活性成分の改変によって説明することができる。
このことは、本明細書に記述の生物活性成分が、好ましくは出生前または出生時に調製された肝組織から産生される可能性があることを示している(図49および50)。
12.3 ヒト系(方法)
12.3.1 末梢血からのヒトMNCの単離および単球の濃縮
血液試料を健康なヒトドナー(輸血内科、フライブルク大学病院)から得た。血液をPBSによって1:2希釈して、単核球(MNC)をフィコール・パック勾配(密度1.077 g/ml、Pharmacia、フライブルク)を用いて回収した。細胞をPBSによって4回洗浄して、ヒト自己血清を予めコーティングしたペトリ皿(MNC 1〜2×108個/RPMI 1640(F1215、Seromed Biochrom KG、ベルリン)20 ml)に加えた。細胞を1〜1.5時間インキュベートして、単球を接着させた。その後、非接着細胞を注意深く除去して、接着単球をセルスクレイパーによって優しく剥がした。細胞を1回洗浄して、細胞抑制アッセイにおいて直接用いるために10%FCS、1%非必須アミノ酸、100 U/mlペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640(cRPMI)に再浮遊させるか、またはインビトロでマクロファージにさらに分化させた(下記を参照されたい)。
12.3.2 単球による腫瘍の細胞抑制アッセイ
細胞抑制アッセイは、平底マイクロタイタープレート(Falcon 3075、Becton Dickinson、ハイデルベルク)においてcRPMI(上記を参照されたい)において行った。単離されたヒト単球(5×104個または2.5×105個/ウェル)をU937腫瘍細胞5×103個および様々な濃度の異なる刺激と共に全量200 μl/ウェルで37℃、5%CO2において72時間インキュベートした。同時培養の最後の4時間において、[3H]-チミジン(125 Bq=0.625 Ci/ウェル;比活性:185 GBq/mmol;Amersham Buchler、ブラウンシュバイヒ)を加えることによって増殖しつつある腫瘍細胞を標識した。凍結融解後、培養物を、自動細胞ハーベスター(タイプ1295-001、PharmaciaLKB、フライブルク)によってガラス繊維フィルター上で回収し、腫瘍細胞のDNAに取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンター(ベータプレート1205、Pharmacia LKB)において測定した。増殖の阻害、すなわち取り込まれた放射活性の減少を計算して、影響を受けない対照(0%阻害)としての非刺激単球の存在下においてインキュベートしたU937細胞を定義する。
単球由来可溶性因子の腫瘍細胞抑制活性を測定するために、単球5×105個/500 μl/ウェルを24ウェルプレートにおいて4〜48時間刺激した。上清を異なる時点で回収して、高速で遠心することによって如何なる細胞片も除去して、細胞抑制活性に関して試験した。これに、平底マイクロタイタープレートにおけるU937細胞5×103個に上清50 μlを加えた;全培養容積は200 μlであった。培養物を48時間維持し、最後の4時間、増殖しつつある細胞を[3H]-チミジンによって標識した。取り込まれた放射活性を決定して上記のように計算した。
12.3.3 CLP1bおよびCLP2pによるLAK細胞活性の誘導
フィコールにおける1400 ×gで20分の密度勾配遠心(密度、1.077 g/ml、PharmaciaLKB、フライブルク、ドイツ)によってヒトPBMCを得た。混入している血小板を除去するために、回収した細胞をリン酸緩衝生理食塩液(PBS)によって6回まで洗浄した。単球およびBリンパ球を37℃および5%CO2でプラスチックに1時間接着させることによって減少させた。非接着細胞を25 mM HEPES、2 mM L-グルタミン、1% NEAA、10%熱不活化仔ウシ胎児血清、100 U/mlペニシリン、50 μg/mlストレプトマイシン(全てSeromed Biochrom KG、ベルリン)を添加したRPMI 1640において培養した。細胞を濃度1×106個/mlで37℃、5%CO2において3〜4日間培養した。LAK細胞産生に関して、rhuIL-2(100 U/ml;Becton Dickinson、ハイデルベルク、ドイツ)またはCLP1bおよび2pの1:1混合物を対応する培養に加えた。
12.3.4 CLPプール誘導LAK細胞活性の決定
過塩素酸3,3'-ジオクタデシルオキサカルボシアニン(DIOC18(3)/「DIO」;2.5 mg/ml DMSO溶液;Molecular Probes、ユージン、オレゴン州、アメリカ)を、最終濃度10 μg/mlでRaji細胞(5×105個/ml)に直接加えた。標識は、標準的な培養条件で一晩行った。細胞障害アッセイを開始する前に、細胞を培養培地によって洗浄して遊離の標識を除去した。
予め標識した標的細胞1×105個/mlを培地に再浮遊させて、96ウェルマイクロタイタープレート(3077Becton Dickinson、ハイデルベルク、ドイツ;100 μg/ウェル)に分配した。エフェクター細胞も同様に培地に細胞密度1×106個/mlで再浮遊した;エフェクター細胞浮遊液100 μl、20μl、または3.3 μlを、最終的なエフェクター-標的比(E:T)が10:1、1:1、および0.3:1となるように、標的細胞培養に加えた。対照として、培地のみを標的細胞培養物に加えた。細胞のインキュベーションは、最終培養容積200 μlにおいて37℃、5%CO2で4時間行った。フローサイトメトリー分析に関して、各ウェルの細胞を再浮遊させて、丸底チューブ(2058、Becton Dickinson)に移した。FACSデータの獲得および分析は、励起波長488 nmのアルゴンイオンレーザーを備えたEPICS XL-MCLフローサイトメーター(Coulter)において行った。測定前、ヨウ化プロピジウム(PI、最終濃度:20 μg/ml)を試料に加えた。530×20 nmバンドパスフィルターを用いて緑色のチャンネル(FL1)においてDIO蛍光を記録し、PI蛍光は赤色のチャンネルにおいて測定した(FL3;630 nmロングパスフィルター)。蛍光は、チャンネル間の漏話を補償せずに対数尺度で記録したが、前方および直角散乱特徴を線形尺度で記録した。特異的溶解(%)の計算は、実験試料における標的細胞の%溶解から対照試料(%)における非特異的細胞死を差し引くことによって行い、これによって分析には、FL1-FL3二重陽性事象のみが含まれた:
Figure 0004619352
12.4 ヒト白血球における抗腫瘍活性の誘導(結果)
末梢血から濃縮されたヒト単球は、CLP1bまたはCLP2pによって用量依存的に腫瘍細胞抑制性にすることができた。細胞抑制は、U 937腫瘍標的細胞のDNAへの3H-チミジンの取り込みによって3日間同時培養後に測定した:双方のプールは、かなり強い細胞抑制活性を誘導した(図51)。
CLP1bまたはCLP2pによって刺激したヒト単球は、4時間のインキュベーション後で既に、可溶性細胞抑制因子の有意な量を放出した。因子誘導腫瘍細胞抑制を、U 937腫瘍標的細胞のDNAへの3H-チミジンの取り込みによって2日間培養後に決定した。この場合も双方のプールが活性であった(図52)。
他の実験において、CLPプールによるLAK(リンフォカイン活性化キラー)細胞活性の誘導を決定することができた。末梢血からのヒト単球枯渇リンパ球を、胎児、新生児、または成体(3〜4歳)動物(50〜80 μg/ml)から調製したCLP1bおよび2pの1:1混合物と共にインビトロで3日間刺激した。インキュベーション期間の終了時、Raji腫瘍細胞(ヒトB細胞リンパ腫)を標的として4時間の細胞溶解アッセイにおいて、細胞をLAK細胞活性に関して試験した。胎児および新生児起源のプールは、LAK-細胞活性誘導においてIL-2とほぼ同等に有効であったが、成体動物から調製したプールは陽性対照と比較して55%の活性を示したに過ぎなかった(図53)。これらのデータは、マウス系において得られた結果と一致し、成体動物から得たプールと比較して、胎児または新生児起源のCLP2pの白血球刺激活性がより高いことを示している。
12.5 ヒト単球による前立腺癌細胞に対する抗腫瘍活性の誘導
12.5.1 腫瘍細胞
ヒト転移性前立腺癌細胞株LNCaPを、10%熱不活化FCS、1%非必須アミノ酸(NEAA)、100 U/mlペニシリン、および100 μg/mlストレプトマイシン(全て、Seromed Biochrom KG、ベルリン、ドイツ)を添加したRPMI-1640培地(GIBCO BRL、エッゲンスタイン、ドイツ)において維持した。
12.5.2 末梢血からのヒト単核球(MNC)の単離および単球の濃縮
血液試料を健康なヒトドナー(輸血内科、フライブルク大学病院)から得た。血液をPBSによって1:2希釈して、単核球(MNC)をフィコール・パック勾配(密度1.077 g/ml、Pharmacia、フライブルク)を用いて回収した。細胞をPBSによって4回洗浄して、ヒト自己血清を予めコーティングしたペトリ皿(MNC 1〜2×108個/RPMI 1640(F1215、Seromed Biochrom KG、ベルリン)20 ml)に加えた。細胞を1〜1.5時間インキュベートして、単球を接着させた。その後、非接着細胞を注意深く除去して、接着単球をセルスクレイパーによって優しく剥がした。細胞を1回洗浄して、細胞抑制アッセイにおいて直接用いるために10%FCS、1%非必須アミノ酸、100 U/mlペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640(cRPMI)に再浮遊させた。
12.5.3 単球による腫瘍細胞抑制のアッセイ
細胞抑制アッセイは、平底マイクロタイタープレート(Falcon3072、Becton Dickinson、ハイデルベルク)においてcRPMI(上記を参照されたい)において行った。単離されたヒト単球(5×105個、2.5×105個、または5×104個/ウェル)を一晩インキュベートした。その後LNCaP腫瘍細胞5×104個および様々な濃度の異なる刺激を全量200 μl/ウェルで加えて、37℃、5%CO2において72時間インキュベートした。同時培養の最後の24時間に、[3H]-チミジン(23 125 Bq=0.625 μCi/ウェル;比活性:185 GBq/mmol;Amersham Buchler、ブラウンシュバイヒ)を加えることによって増殖しつつある腫瘍細胞を標識した。
凍結融解後、培養物を、自動細胞ハーベスター(タイプ1295-001、Pharmacia LKB、フライブルク)によってガラス繊維フィルター上で回収し、腫瘍細胞のDNAに取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンター(ベータプレート1205、Pharmacia LKB)において測定した。増殖の阻害、すなわち取り込まれた放射活性の減少を計算して、影響を受けない対照(0%阻害)としての非刺激単球の存在下においてインキュベートしたLNCaP細胞を定義する。
実験は、プールCLP1bおよび2pが、閾値用量約1〜5μg/ml(図54)で、および最大活性50〜100 μg/mlでヒト前立腺癌細胞に対する抗腫瘍活性に対してヒト濃縮単球を誘導できることを示している。同じ系において、純粋なLPSは10 ng/mlで活性が最大である(図55)。
13.実施例13
FSLE/CLP-プールによる骨髄系列の細胞におけるサイトカインおよび酸化窒素産生の誘導
13.1 マウスの系(方法)
13.1.1 樹状細胞/マクロファージの調製
上記のように各実験において異なる群の個々のマウスから脾細胞浮遊液を無菌的に調製した。細胞を樹状細胞/マクロファージの調製に用いる場合、組織をまず、コラゲナーゼ/ディスパーゼの混合液によって37℃で45分間消化してから、マウスリンフォパック(Cedarlane Labs、ホーンバイ、オンタリオ州、カナダ)に対して分離を行い、2-メルカプトエタノールおよび10%仔ウシ胎児血清(αF10)を添加したα-最小基本培地において細胞培養プレートに対して37℃で90分間接着させた。予め加温した培地25 mlによって3回洗浄後に非接着細胞を除去した。その後、一晩インキュベーション後に培養プレートを洗浄することによって、樹状細胞を非接着細胞として単離したが、粗マクロファージプールは、これらのプレートを剥がし取ることによって得られた細胞である。本発明者らの場合、この分離技法後のFITC-NLDC-145(抗DC)またはFITC-MAC-1(抗マクロファージ)によって脾細胞を通常に染色したところ、粗樹状細胞/マクロファージにおいて以下の染色パターンが得られた:それぞれ、85%±14%、12%±5%、および5%±3%、82%±16%。
13.1.2 血清亜硝酸塩/硝酸塩の測定
実施例3.1.1.5と比較されたい。
13.2 マウスの系(結果)
13.2.1 インビトロでCLP1b/2pによるマウスマクロファージ/樹状細胞におけるサイトカイン産生の誘導
第一に、若いまたは加齢マウスから上記のように単離され、CLP1b(CLP2p)と共にインビトロでインキュベートしたスペリング(spelling)マクロファージまたは樹状細胞からのサイトカイン産生をアッセイした。これらのデータを表11および12に示す。比較のために、同じ動物からの細胞を100 ng/ml LPSによって刺激した。
(表11)CLP1bおよびCLP2pはマウス脾臓組織マクロファージからのサイトカイン産生を誘導する
Figure 0004619352
a DBA/2Niaマウス4匹/群を用いて、各群における個々の脾臓試料をその後アッセイした。上記のように、組織マクロファージを各脾臓調製物に関して得た。細胞を表記のようにCLPプールと共に24時間インキュベートして、異なるサイトカインに関して上清を試験した。対照培養は、培地のみまたは100 ng/ml LPSと共にインキュベートした。
b 示したデータ(算術平均±SD)は、各サイトカインのアッセイに関して1試料あたり3個ずつの培養を用いた同一の試験4回からプールする。IL-6(pg/ml)を除き、サイトカインレベルをng/mlとして示す。
* p<0.05、培地単独(各ドナー群の最初の列)と共にインキュベートした年齢をマッチさせた対照細胞と比較して。
(表12)CLP1bおよびCLP2pは脾臓樹状細胞からのサイトカイン産生を誘導する
Figure 0004619352
a+b 表4と同じ。既に記述したように各脾臓調製物について樹状細胞を得た[実施例13.1.1を参照されたい]。示したデータ(算術平均±SD)は、各サイトカインのアッセイに関して1試料あたり3個の培養を用いて、5回の実験からプールする。
* p<0.05、培地単独(各ドナー群の最初の列)と共にインキュベートした年齢をマッチさせた対照細胞と比較して。
これらのデータは、マクロファージによるモノカイン/サイトカイン産生の調節が加齢プロセスにおいて重要な変数であること、および分画CLP1b(CLP2p)によってこの機能を操作すると、老齢個体における免疫コンピテンスの変化に関与する可能性があることを示唆している。IL-6産生に及ぼすCLPプールの影響は、IL-6自身が、活性化T細胞からの1型(IL-2、IFN-γ)および2型(IL-4、IL-10、TGFβ)サイトカイン産生の変化に関与する可能性があることが判明したことから、特に興味深い[Gorczynski, R.M.、1997;Rincon, M.、1997]。
13.2.2 インビボおよびインビトロでCLP誘導作用のメディエータとしてのマクロファージ由来酸化窒素
マクロファージによるNOの産生は、それらの細胞によって行われる免疫調節に関与している[Stuehr, D.J.、1989;Nathan, C.、1992]。CLPプールがNO産生を乱すことによって(iNOSの誘導/活性に影響を及ぼすことによって)、その作用のいくつかを誘導する可能性があるか否かを調べるために、加齢対若いマウスにおけるサイトカイン産生のインビボ調節に及ぼすCLP2pおよびiNOS阻害剤であるL-NMMAの同時投与の影響を調べた。そのような試験からのデータを表13に示す。刺激した脾細胞からの血清中亜硝酸塩/硝酸塩と共にConA誘導サイトカイン産生を上記のように測定した。
(表13)CLp2pによるサイトカイン産生の加齢関連変化の回復に及ぼすL-NMMAの影響
Figure 0004619352
a 若いまたは加齢(120週齢)C57BL/6Niaを用いた(1群4匹)。Nは、実験を通してL-NMMA(30 mg/kg)を毎日投与したことを指す。EはCLP2pの注射(100 μg/マウス、i.m.;3日間隔で4回投与)を示す。マウスをCLP2pまたは生理食塩液の最後の注射の3日後に屠殺した。
b 屠殺時のμMで表した血清中(亜硝酸塩+硝酸塩)の平均値(±SD)。
c 表11および12と同じ。
* p<0.05、第一の列と比較して。
# p<0.05、列4または6と比較して。
インビボでiNOSを(L-NMMAによって)阻害すると、CLP2pのインビボ注射によって誘導されるサイトカイン産生の加齢関連変化の回復が阻害されたのみならず、CLP2pによって生じた血清中亜硝酸塩/硝酸塩誘導が阻害された。異なる試験において、組織マクロファージをインビトロでCLP1b/2pによって直接刺激した場合、サイトカインまたはNO産生の刺激に必要な用量は0.02〜0.05 μg/mlの範囲であった。
13.2.3 マウスBMDMにおける酸化窒素放出の誘導
マウスBMDMをインビトロでCLP1bまたは2pによって42〜48時間刺激すると、NOの放出を用量依存的に誘導し、双方のプールは強力な誘導物質であった(図56)。双方のCLP1bおよび2pに関して、このプロセスの速度論を決定した(図56)。NOシンターゼの誘導型イソ型(iNOS)の関与は、L-NMMAを加えることによって証明することができた(図57)。さらに、CLP1b/2pは、iNOS活性化においてIFNγと相乗作用を示し(図58)、この作用はLPSについても認められた。CLPプールのNO放出誘導能は、BALB/cマウス近交系に限定されず、他のマウス近交系(例えば、C57Bl/6、C57Bl/10、129Sv)からのBMDMについても検出可能であった。
13.3 インビトロでのヒト系(方法)
13.3.1 サイトカイン誘導および決定
健康なドナーの採血したばかりの末梢血からの全血培養を5 ml試験管(Falcon、Becton Dickinson)に全量500 μlで加えた。それらは、全血50 μl、刺激物質50 μl(100 μg/ml PHA、または1:10希釈のCLP1b/2p)およびL-グルタミン(2 mM)および抗生物質を添加したRPMI 1640培地400 μlからなった。48時間後、培養物を遠心して、上清を回収して、そのサイトカイン含有量に関してELISAによって試験した。
ヒト末梢血単球(5×105個/500 μl/ウェル)の培養物を24ウェルプレートにおいてCLP1bまたは2pによって18〜72時間刺激した。上清を異なる時点で回収して、高速で遠心して如何なる細胞片も除去して、そのTNF-αおよびインターロイキン6(IL-6)含有量に関してELISA(R & D Systems、ヴィースバーデン)によって調べた。ELISAは製造元の説明書に従って実施した。
13.4 インビトロヒト系(結果)
13.4.1 CLP1b/2pによるヒト白血球および単離された単球の培養物におけるサイトカインの産生
全血培養物を行って、細胞をCLP1bおよびCLP2pにによって48時間刺激した。IL-1β、TNF-α、およびIL-6の放出をELISAによって決定した。双方のプールは三つ全てのサイトカインについて類似の放出を誘導した(図59)。
末梢血単球の培養を上記のように行って、CLP1bおよびCLP2pによって様々な時間刺激した。サイトカインTNF-αおよびIL-6の培養上清への放出を18、48、および72時間後にELISAによって決定した(図60)。結果は、全血培養物について得られた結果を確認した。TNF-αの放出は、18時間で最大値を示した。対照的に、IL-6は刺激48〜72時間のあいだにその最大に達した。
14.実施例14
マウスマクロファージにおけるCLP-プールの抗ウイルス作用
骨髄由来マクロファージ(緩衝液(DMEM)200 μl中に106個/ウェル)を異なる濃度でCLP-プールによって処理した(表14)。細胞を洗浄して、37℃で24時間維持した。上清(100 μl)をL929細胞に加えて、これをその後水疱性口内炎ウイルス(VSV)に感染させた。処置したL929細胞を48時間維持して、細胞の破壊を顕微鏡によって決定した。表14が示すように、CLP-プールは、おそらく(抗ウイルス性の)インターフェロンを誘導することによって、ウイルスの細胞抑制作用を阻害することができた。この抗ウイルス作用は、ヘルペス感染症がFSLEによる処置に感受性があることを示す臨床での知見によって確証される。Yokochi[Yokochi, S.、1977]は、IFNαと共に雄ブタの肝臓のフェノール抽出物が抗ウイルス作用を示すことを報告した。用いられた抽出物調製、生物学分析および試験系の方法が完全に異なることから、これらの知見は本発明にとって適切ではない。
(表14)
Figure 0004619352
*) +=インターフェロンの存在によるウイルス阻害
-=活性なウイルスによる細胞破壊(細胞変性効果)
15.実施例15
FSLEおよびCLP-プールの臨床局面
15.1 免疫調節
男女異なる年齢(45〜85歳)でインフォームドコンセントを提出した健康なボランティアの協力を得て、FSLEの筋肉内注射(300 mgタンパク質/単位注射)後の全血によるサイトカイン産生の動態に関する定方向試験を行った。
全ての実験群においてボランティア6〜8人のグループで行い、個々のデータを用いて数値の平均値を計算した。実験あたりの自発的な参加者数(6〜8人)は、当然小さすぎて信頼のおける統計的分析を行うことができず、すなわちサイトカイン産生の変化における傾向のみを認識することができる。さらに、個々のヒトの免疫パラメータは変化する可能性があり、最終的な結論は、実験あたりかなり多数の参加者を必要とすることは周知である。
1回注射および2〜7日間の間隔をあけて2回注射の影響を測定した。その目的に関して、注射前およびFSLEの注射後様々な時間(週、月)で採取した全血試料を、さらに活性化せずに、培養24、48、72、および96時間目にサイトカイン産生に関して分析した。
15.2 結果
これらの第一の試験から、FSLEの(i.m.)注射は数日から数週間以内にいくつかの関連するサイトカインの産生に波動様の変化を誘導し、1例のレベルは数ヶ月間変化したままであった。
FSLEのi.m.後、T細胞産物であって強力なマクロファージ活性化因子である[Robert, W.R.、1982;Vitteta, E.S.、1990]インターフェロン-γ(IFN-γ)の産生は、14〜21日後、最大で約5倍増加する。増加したIFN-γは、FSLEおよびプールCLP1b/2pについて認められた抗ウイルス効果を説明する可能性がある(実施例14を参照されたい)。
インターロイキン2(IL-2)は、未刺激のT細胞をTエフェクター細胞へと誘導する強力なT-細胞増殖刺激因子である[Janeway, Ch.A.、1995]。同様に、B-細胞増殖および分化が証明されている。さらに、IL-2は、新生物細胞における増殖阻害因子として機能することができる[Rosenberg, S.A.、1987;Hatakeyama, M.、1991]。抗腫瘍活性におけるIL-2およびIFN-γの相乗的協力が記述されている[Vitteta, E.S.、1990を参照されたい]。FSLEの(i.m.)投与後、IL-2産生は、2〜3週間後に最大で対照の平均値の2倍増加し、数ヶ月間にわたって上昇したままであった。
しかし、インターロイキン-6(IL-6)は、FSLE後減少する傾向を示す。特に2回注射(2または7日間隔)後に測定したほとんどの数値は、無処置対照の数値より低い。この作用は、マウスにおけるFSLE-注射が加齢関連サイトカイン不均衡を回復させ、上昇したIL-6産生を減少させる(実施例11.2.2および表10)という本明細書に記述の知見と一致する可能性があり、この効果は抗IL-6抗体を投与することによっても誘導されうる[Gorczynski, R.M.、1997]。老齢のヒトはIL-6血清レベルが上昇していることが知られている。
マクロファージ活性の多面発現性抗炎症調節因子として知られるインターロイキン-10(IL-10)の動態は興味深い[Marchant, A.、1999;Moore, K.W.、1993]。1週間の間隔をあけてFSLEを2回注射した後、IL-10産生は14〜21日後に最大で約4〜5倍増加し、1〜2ヶ月のあいだに正常値に徐々に回復する。
これらの実験から、FSLEは、「天然の」平衡において炎症性のアップおよびダウンレギュレート因子の産生を刺激するように思われ、この事実は注射の良好な認容性およびマクロファージの任意の望ましくないより長く持続する(過剰)活性化の防止を説明する可能性がある[D'Andrea, A.、1993を参照されたい]。2日間隔でFSLEの2回連続注射を行うと、インビボで持続の短い部分的「寛容」状態が起こる可能性がある(インビトロ:実施例8.9を参照されたい)ことに言及すべきであり;その誘導、または予防は臨床的に重要である可能性がある。
15.3. 要約
要約すると、インビボFSLEおよびCLP1bおよびCLP2pは、協調して臨床的に重要な免疫アップおよびダウンレギュレート因子のカスケードを誘導する。さらに、ヒトボランティアにおける胎児肝抽出物についての臨床結果は、先に示した実施例においてインビトロおよびインビボでなされた知見を明らかに確認し、主に、前立腺のヒト腺癌細胞およびヒト単球を用いた知見、および同様に加齢マウスのサイトカインパターンの回復を記述した実験を確認する。近年、患者約100人を、腫瘍学目的、または慢性再発性もしくは慢性ウイルス疾患(ヘルペスならびにB型肝炎およびC型肝炎)のために治療した。前立腺癌の治療のために放射線治療を受ける多くの患者が、放射線治療がその効果を発揮し始めるかなり前にPSA(前立腺特異抗原)値を正常値まで低下させることによって、FSLEに対する即時型反応を示していた。再発性のヘルペスウイルスを有する多くの患者が、全く再発しないか、またははるかに再発の頻度が低い。B型およびC型肝炎の非反応体の数例は、疾患活動度のレベルより低いウイルス負荷で制御され続けており、おそらくインターフェロン産生の刺激に関連している。
要約すると、CLP1bおよびCLP2pに含まれるFSLEの構成成分は現在さらなる臨床試験中であり、多数のボランティアおよび患者での臨床知見は、その良好な認容性、および約18〜24ヶ月持続して、臨床での幸福および免疫応答によってモニターされる作用を確認する。
参考文献
Figure 0004619352
Figure 0004619352
Figure 0004619352
Figure 0004619352
Figure 0004619352
Figure 0004619352
Figure 0004619352
サルモネラ・エンテリカ野生型およびラフ型変異体リポ多糖類(LPS)の構造の略図を示す。化学、生合成、生物的および遺伝的基準に応じて、LPSは、三つの領域に分類することができる:O-特異的鎖、コアオリゴ糖、およびリピッドA。O-特異的鎖は、それぞれの細菌株の特徴である反復オリゴ糖単位のポリマーである。Ra-Reという用語は、遺伝的欠損のために切断型コアオリゴ糖を合成し、したがってO-特異的鎖を欠損するラフ型(R)変異体からのLPSの構造を示す。なお生存しているサルモネラ・エンテリカ株において認められうる最小のLPS構造は、リピッドAと二つのKdo-残基(Re-変異体)とからなる。糖基は、六角形で示し、破線は、非化学量論的置換を表す。GlcN、D-グルコサミン;Kdo、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソン酸(2-ケト-3-デオキシ-D-マンノオクトン酸);Hep、L-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース;Glc、D-グルコース;Gal、D-ガラクトース;GlcNAc、N-アセチル-D-グルコサミン;P、ホスフェート。 大腸菌Re変異体(株F515)のLPSから単離されたヘキサ-アシルモノホスホリルリピッドA(MPLAhexa)の構造を示す。a〜dの文字は、一級[14:O(3-OH)]を表し、c'〜d'は、二級脂肪酸(12:0および14:0)を示す。モノホスホリルヘキサ-アシルリピッドA構造の完全なプロトン化型を示す。 マクロファージによる腫瘍細胞増殖阻害を誘導するためのFSLEの異なるバッチによるマウス脾細胞のインビボ活性化を示す。 透析後のセファデックスG-100(登録商標)クロマトグラフィーによるFSLEの分画を示す。 35 kDaのカットオフによる透析前後でのCLP2pの生物活性(腫瘍細胞増殖阻害)を示す。マウスBMDMを透析および非透析材料から調製したCLP2pによって刺激して、Abelson 8-1腫瘍細胞に及ぼすTCGI-活性に関して試験した。 CLP1bおよびCLP2pに存在する抗腫瘍マクロファージ活性化因子の異なるpH値での熱安定性を示す。CLP1bおよびCLP2pの凍結乾燥調製物(0.25 mg)をそれぞれ、pH 5.8の発熱物質不含水(上のパネル)またはpH 4.7の20 mM酢酸ナトリウム緩衝液(下のパネル)において可溶化した。試料を4℃(対照、灰色のバー)または100℃(黒色のバー)で60分間インキュベートした。熱処理および対照試料によるマウスBMDMの抗腫瘍活性化を、TCGI-アッセイにおいて表記の最終濃度で調べた。 CLP1bおよびCLP2pに存在するTCGI-誘導活性のプロテアーゼ抵抗性を示す。CLP1b(A)およびCLP2p(B)に、表記のプロテアーゼによる処置を酵素対総タンパク質比1:10(w/w)で37℃で21時間行った後に、プロテアーゼを熱不活化するために100℃で30分間さらにインキュベートした。プロテアーゼ処置試料および対応する対照のマクロファージ媒介抗腫瘍活性を、表記の最終濃度でTCGIアッセイにおいて調べた。 CLP2bに存在するマクロファージ活性化成分の軽度の過ヨウ素酸ナトリウム処置に対する感受性を示す。 抗腫瘍マクロファージ活性化因子のAffiPrep(登録商標)ポリミキシンによる吸着を示す。CLP2pを、Affi-Prep(登録商標)ポリミキシンの非存在下(灰色のバー)または存在下(黒色のバー)において4℃で14時間プレインキュベートした。アフィニティ樹脂を除去後、試料を表記の濃度でTCGIアッセイにおいて分析した。 LPSまたはCLPプールによるLPS反応体(C57BL/10 ScSn)およびLPS非反応体(C57Bl/10 ScCr)マウスからのBMDMにおける酸化窒素放出の誘導を示す。LPS反応体(C57Bl/10 ScSn、灰色のバー)またはLPS非反応体(C57Bl/10 ScCr、黒色のバー)マウスからのBMDMを、表記の濃度のLPSまたはCLP-プールの一つによって刺激した。細胞によって放出された酸化窒素を培養上清中の硝酸塩として48時間後に決定した。 CLP1bおよびCLP2pのSDS-PAGE分析を示す。CLP1b(レーン1)およびCLP2p(レーン2)の0.02 mgをSDS-PAGEおよびその後の銀染色によって分析した。対応する見かけの分子量に従って指定された個々のタンパク質バンドの位置を示す。 FSLEの2-DE分析を示す。ヒツジ胎児肝抽出物の総蛋白質組成を、材料および方法の章に記述するように高解像度二次元電気泳動(2-DE)および銀染色によって分析した。 ヒツジ胎児肝抽出物からのCLP1bの2-DE分析を示す。ヒツジ胎児肝抽出物に由来するCLP1bのタンパク質組成を、材料および方法の章に記述するように高解像度二次元電気泳動(2-DE)および銀染色によって分析した。2-DE-ゲルにおける選択したタンパク質を、銀染色ゲルにおける対応するスポットのゲル内トリプシン消化およびペプチド混合物のその後の質量分析によって同定した。さらに、クーマシーブリリアントブルー染色スポットのイモビロンPVDFメンブレンへの転写およびN-末端エドマンシークエンシングを、CLP1bにおけるタンパク質同定のために用いた。CLP1bにおけるタンパク質の全体的な2DEパターンおよび同定された単一のスポットの系統的な番号づけを示す。パネルBにおいて、表2においてより詳細に記述されるように、同定されたタンパク質の対応する割付をさらに示す。 ヒツジ胎児肝抽出物からのCLP2pの2-DE分析を示す。CLP2pのタンパク質組成を、高解像度二次元電気泳動(2-DE)および銀染色を用いてCLP1bと同様に分析した(図13)。CLP2pの銀染色を施した2-DEゲルにおける個々のスポットを、ソフトウェアパッケージデルタ2D(DECODON GmbH;グライフスワルド)を適用することによって、CLP1bにおいて同定されたタンパク質に従って割付した。 成体ヒツジ肝抽出物からのCLP1bの2-DE分析を示す。成体ヒツジ肝からのCLP1b調製物のタンパク質組成を、胎児CLP1bおよびCLP2p調製物(図13および14)の場合と同様に、高解像度二次元電気泳動(2-DE)および銀染色を用いて分析した。成体CLP1b試料の銀染色を施した2-DEゲルにおける個々のスポットは、ソフトウェアパッケージデルタ2D(DECODON GmbH;グライフスワルド)を適用することによって、胎児CLP1bにおいて同定されたタンパク質に従って割付することができるであろう。胎児および成体CLP1b調製物の2-DEタンパク質パターンの対応するソフトウェア計算オーバーレイを図13に示す。 胎児および成体ヒツジ肝からのCLP1bの2-DE-パターンのオーバーレイ分析を示す。胎児対成体CLP1b調製物の2-DEタンパク質パターンにおける主要な差を、ソフトウェアパッケージデルタ2D(DECODON GmbH;グライフスワルド)を適用して、銀染色した2-DEゲルのソフトウェア最適化オーバーレイによって検出した。胎児およびヒツジCLP1b調製物に対して特異的なタンパク質スポットをそれぞれ、緑および赤色で示し、胎児および成体試料に対して共通のスポットシグナルを黄色で示す。 S-型LPSに対するCLP1bの12 kDaタンパク質の選択的吸着を示す。LPSおよびリピッドA-結合タンパク質に関するヒツジ胎児肝に由来するスクリーニングに関して、サルモネラ・エンテリカ血清型ミネソタ188233からのS-型LPS(方法を参照されたい)によってポリ塩化ビニル96-ウェルマイクロタイタープレートの初回コーティングに基づく吸着アッセイを行った(方法を参照されたい)。SDS PAGEによる洗浄上清および残留吸着タンパク質の最終的な分析から、見かけの分子量約12(±1)kDaを示す単一のタンパク質バンドのS-型LPS依存的濃縮が示された。 Re-LPSに対するCLP1bの12 kDaタンパク質の選択的吸着を示す。コーティング材料として大腸菌株F515からのRe-LPSによって行った吸着アッセイにおいて(方法を参照されたい)、CLP1bからの単一の12(±1)kDaタンパク質バンドのLPS依存的濃縮が得られた。 リピッドAに対するCLP1bの12 kDaタンパク質の選択的吸着を示す。吸着アッセイ(方法を参照されたい)におけるコーティング材料として大腸菌Re LPSに由来する遊離のリピッドAを用いると、CLP1bからの単一の12(±1)kDaタンパク質バンドのLPS依存的濃縮が得られた。 CLP1bにおける主要なLPS/リピッドA結合12 kDaタンパク質の同定を示す。コーティング材料としてRe-LPSを用いて調製的規模でCLP1bに関する吸着アッセイを行った後に、12 kDaタンパク質バンドのゲル内トリプシン消化およびタンデム質量分析を行うことによって、このLPS/リピッドA-特異的タンパク質バンドの主成分が、ヒツジヘモグロビンα鎖(Hb-α)であると同定された。二つのトリプシン溶解ペプチドおよび様々な動物種のHb α鎖アミノ酸配列を示す。 ヒトハプトグロビンによるCLP1bの前処置によるヒツジ胎児ヘモグロビンのLPS-特異的吸着の減少を示す。CLP1bにおける主要なLPS/リピッドA結合タンパク質をヒツジ胎児型ヘモグロビンとして割付することは、吸着試験を行う前に、進化的に非常に保存された高親和性ヘモグロビン結合試薬であるヒトハプトグロビン(表現型1-1)と共にCLP調製物をプレインキュベートすることによってさらに確認した。コーティングしたLPSに対するHbの会合のハプトグロビンによる阻害を示す。 ヒツジヘモグロビンαおよびγ鎖の一次構造を示す。ヒツジヘモグロビンα(A)およびγ鎖(B)のアミノ酸配列を、SWIS-PROTデータベースから検索してそれぞれ、エントリーHBBF_SHEEPおよびHBA_CAPHIとして示す。上のパネル(A)においてヒツジHbα1変種の配列を示す。ヒツジヘモグロビンα鎖のさらなるイソ型において認められた一残基の差を太字で示す。Hb-α1変種では、75位のAspがTyr残基に置換されているが、Hbα2変種ではGly-19、Leu-113、およびAsn-115がそれぞれ、Ser、His、およびSerに置換されている。さらにヒツジα-D対立遺伝子は、Gly-15がAsp残基に置換されているという点においてα-A対立遺伝子とは異なる。 ヒツジ胎児ヘモグロビンのDE52イオン交換クロマトグラフィーを示す。セファデックスG100クロマトグラフィー後に得られた70 kDaの材料を適用した。 DE52-クロマトグラフィーによって得られた材料のSDS-PAGE(図23を参照されたい)を示す。左のレーン、精製ヒツジ胎児ヘモグロビン(10 μg/ml)、非還元条件;右のレーン、還元(20 mM DL-ジチオスレイトール)後の同じヘモグロビン試料。中央のレーンは分子量マーカーである。 ヘム不含HbのSDS-PAGEを示す。レーン2、非還元条件での精製ヘム不含グロビン(10 μg/ml);レーン4および5、還元(20 mM DL-ジチオスレイトール)後の同じグロビン試料(それぞれ、10および5 μg/ml);レーン7および8、陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて分離後のヘム不含グロビンの二つの分画(かすかなバンドはタンパク質の溶解度が低いことによる);右のレーン、分子量マーカー。 HMBによって処置したHbのUNO-S(登録商標)陽イオン交換クロマトグラフィーを示す。ピーク1は、未変性の(四量体)Hbを含み、ピーク2は単量体Hb鎖(分子量=17 kDa)を含む。 単量体Hb鎖(図26のピーク2)のSuperdex S75(登録商標)クロマトグラフィーを示す。 陰イオン交換クロマトグラフィー(UNO-Q)による単量体Hb鎖(図27を参照されたい)の精製を示す。 大腸菌株F515のRe-LPSから単離された粗モノホスホリルリピッドA(MPLA、レーン2)のTLC分析を示す。参照として精製ペンタアシルMPLA(Rf=0.71、レーン1)も同様に、微量のヘキサアシルMPLA(Rf=0.77)を含む。参照ヘキサアシルMPLA(レーン4)は、微量の混入14:0(3-OH)(Rf=0.82)を含む。 モノホスホリルリピッドA(MPLAhexa)の陰イオンモードMALDI-TOF質量分析(計算分子量m/z 17617.21)を示す。小さいピークは、M-(14:0)およびM-[14:0(3-OH)]およびM-[14:0-14:0(3-OH)]によるMPLAhexa断片に属する。 MPLAhexa1H,1H-COSYスペクトルの輪郭スポット(600 MHz、クロロホルム-d:メタノール-d4、300 K)を示す。GlcN1(H-1〜H-6a、b)およびGlcN II(H-1'〜H-6a,b')および脂肪酸2a、2b、2c、2d、2c'、2d'等に割付されたプロトンを、1D 1H-NMRスペクトルの上部のF2-突起部に示す。 ヒツジ胎児ヘモグロビンによるLPS凝集解離の誘導を示す。精製ヒツジ胎児ヘモグロビン(s-HbF)による、大腸菌F515からのRe-LPS(左のパネル)およびサルモネラ・エンテリカ血清型ミネソタ188233からのS-型LPS(右のパネル)の天然の高分子量凝集体微細構造の調節を、PhastSystem(商標)装置(Amersham Pharmacia Biotech)を用いる自動天然PAGEアッセイによって分析した。非変性電気泳動を行う前に、試料を37℃で30分間インキュベートした。比較のために、成体ヒトおよびヒツジヘモグロビン調製物(h-HbAおよびs-HbA)を調べて、その後のSDS PAGEによってヘモグロビン調製物の完全性をさらに確認した(下のパネル)。以下の試料を未変性(上のパネル)およびSDS Phast(商標)ゲル(下のパネル)に適用した:レーン1および8:LPS(Re-LPSまたはS-型LPS);レーン2:ヒトHbA;レーン3:LPA+ヒトHbA;レーン4:ヒツジHbA;レーン5:LPS+ヒツジHbA;レーン6:ヒツジHbF;レーン7:LPS+ヒツジHbF。 ヘム不含ヒツジ胎児ヘモグロビンによるLPS凝集解離の誘導を示す。ヒツジ胎児ヘモグロビンのヘム不含調製物(s-HbF/ヘム不含)を、自動未変性Phast(商標)PAGEアッセイにおいてLPS凝集解離活性に関して、成体s-HbAおよび当初のヘム-鉄含有s-HbF調製物と比較して分析した。ヘモグロビン調製物の完全性は、その後のSDS PAGEによって確認した(下のパネル)。以下の試料を未変性(上のパネル)およびSDS Phast(商標)ゲル(下のパネル)に適用した:レーン1および8:LPS(Re-LPSまたはS-型LPS);レーン2:ヒツジHbA;レーン3:LPS+ヒツジHbA;レーン4:ヒツジHbF;レーン5:LPS+ヒツジHbF;レーン6:ヒツジヘム不含HbF;レーン7:LPS+ヒツジヘム不含HbF。 Re-LPSおよびヒツジHbF(a:30 μg/ml;b:10 μg/ml)の相乗効果(NO産生)を示す。 Re-LPSおよびヘム枯渇ヒツジHbF(a:30 μg/ml;b:10 μg/ml)の相乗効果(NO産生)を示す。 モノホスホリルリピッドAおよびヘム枯渇ヒツジHbF(a:30 μg/ml;b:10 μg/ml)の相乗効果を示す。 LPSおよび成体または胎児Hbによるマウス脾細胞によるTNFα産生の相乗効果を示す。C57BL/6ドナーマウス(8週齢雄性)3匹から脾細胞をプールした。細胞を1×106個/mlの濃度で培地(10%仔ウシ胎児血清および200 ng/ml LPS)2 mlにおいて1試料あたり3本ずつインキュベートした。培地はさらに、示された様々な濃度での成体または胎児(ヒツジ)ヘモグロビンを含んだ。上清を24時間後に回収してELISAによってTNFαに関して1試料あたり3個ずつアッセイした。データは算術平均(±SD)を示す。対照培養(LPSを含まない、LPSのみ、または胎児/成体Hbのみ)はそれぞれ、<50 ng/ml、<70 ng/ml、または50 ng/mlを示す。 LPSおよび成体/胎児Hbによるマウス脾細胞によるIL-6産生の相乗効果を示す。C57BL/6ドナーマウス(8週齢雄性)3匹から脾細胞をプールした。細胞を1×106個/mlの濃度で培地(10%仔ウシ胎児血清および200 ng/ml LPS)2 mlにおいて1試料あたり3本ずつインキュベートした。培地はさらに、示された様々な濃度での成体または胎児(ヒツジ)ヘモグロビンを含んだ。上清を24時間後に回収してELISAによってIL-6に関して1試料あたり3個ずつアッセイした。データは算術平均(±SD)を示す。対照培養(LPSを含まない、LPSのみ、または胎児/成体Hbのみ)はそれぞれ、<100 ng/ml、<120 ng/ml、または100 ng/mlを示す。 LPSおよび成体または胎児HbによるヒトPBLによるTNFα産生の相乗効果を示す。PBLをボランティアからのフィコール-ハイパック精製によって得た。細胞を1×106個/mlの濃度で培地(10%市販のヒトAB血清および200 ng/ml LPS)2 mlにおいて1試料あたり3本ずつインキュベートした。培地はさらに、示された様々な濃度での成体または胎児(ヒツジ)ヘモグロビンを含んだ。上清を24時間後に回収してELISAによってTNFαに関して1試料あたり3個ずつアッセイした。データは算術平均(±SD)を示す。対照培養(LPSを含まない、LPSのみ、または胎児/成体Hbのみ)はそれぞれ、<50 ng/ml、<100 ng/ml、または65 ng/mlを示す。 LPSおよび成体またはヒツジ胎児HbによるインビトロヒトPBLによるTNFα産生の相乗効果を示す。PBLをボランティアからのフィコール-ハイパック精製によって得た。細胞を培地(10%市販のヒトAB血清)2 mlにおいてインキュベートした。細胞を500 ng/ml成体またはヒツジ胎児ヘモグロビンαまたはγ鎖の存在下/非存在下でインキュベートした。対照細胞を、ヘモグロビンタンパク質の非存在下でインキュベートした(図の一番左)。さらに、各群を、さらなる材料を加えない群(白いバー)、または200 ng/ml LPSを投与する群(黒いバー)に1試料あたり3個ずつ分けた。上清を24時間後に回収してELISAによってTNFαに関して(1試料あたり3個ずつ)アッセイした。パネルAおよびBのデータは、異なるボランティアドナーを用いた独立した実験(平均値±SD)である。パネルaおよびbは、異なるヒトPBLドナー2人について得たデータを示す。 HbとLPSとの相乗効果はHbγ鎖によって媒介される。本実験において、ヒツジHbのクローニングしたγおよびβ鎖をLPS(100 ng/ml)と共にCHO抽出物(20 μg/ml)としてアッセイして、インビトロでTNFαの産生に関してマウス脾細胞を刺激した(24時間でELISAによって検出)。 ヒト末梢単核球のTNFα産生によって決定したMPLAとヒツジ胎児Hbの生化学的精製γ鎖との相乗効果を示す。 マウス脾細胞のTGFβ放出によって決定したヒツジ胎児ヘモグロビン(sHbF)およびその下部構造(単離鎖)とLPSとの相乗効果に関するCLP1bおよびCLP2pの増強効果を示す。詳細に関しては第8.4.2章を参照されたい。下のパネル(破線)は、CLPによるLPSからのサイトカイン産生を示す。この線を超えて産生されると、Hb分画とのさらなる相乗効果が存在することを示し、LPS、Hb分画、およびCLPプールのあいだに「3方向の」相乗効果が存在する証拠であることを明らかに示している。 ヒト末梢単球のsHbF/LPS誘導TNFα放出に及ぼすCLP2pの増強作用を示す。 FSLEおよびLPS単独または併用を経口針によって投与した後の血清中TNFαIFNγ産生における相乗効果を示す。1群5匹のマウスに生理食塩液単独100 μlまたはFSLE 300μgを含む生理食塩液100 μlを経口針によって与え、またはLPS(10 μg/マウス)を腹腔内投与もしくは経口針によって与えた。異なる2群にFSLEを経口針によって投与すると共に、LPSを経口針またはipによって投与した。マウスを全て24時間で屠殺して、心穿刺によって血液を採取した。血液を4℃で4時間保存した後、高速遠心(10,000 rpmで20分間)後に血清を採取した。10%仔ウシ胎児血清を含む暖かい培地2 mlを注入することによって腹腔洗浄液を個々のマウスから回収し、細胞を遠心(4℃、1500 rpmで10分間)して除去し、培地をサイトカインアッセイに用いた。TNFαおよびIFNγは、ELISAおよびバイオアッセイによって各試料に関して1試料あたり3個ずつアッセイした(ELISAアッセイに関してはGorczynskiら、2001を参照されたい)。バイオアッセイは、Wehi 279細胞(IFNγ)またはWehi 1640細胞(TNFα)の増殖阻害を測定した。各アッセイを用いて同等のデータを認めた。データは、培地200 μl(腹腔洗浄液の10%)または血清20 μlを用いて、マウス5匹/群の平均値(±SD)を示す。 FSLEまたはLPSの経口針による投与後の加齢マウスにおける2型サイトカイン産生刺激の阻害を示す。>20ヶ月齢または10週齢の1群5匹のC57BL/6マウスに、0日目および10日目に生理食塩液100 μl単独、またはFSLE150 μgもしくはLPS(10 μg/マウス)を含む生理食塩液100 μlを、単独または併用して投与した。マウスは全て20日目に屠殺して脾細胞を採取し、細胞を1×106個/mlの濃度で10%仔ウシ胎児血清および5 μg/mlコンカナバリンA(ConA)を含む培地2 mlと共にインビトロで刺激した。上清を40時間目に回収してサイトカイン(IL-2(白いバー)/IL-4(黒いバー))をELISAによって測定した[Gorczynskiら、2001]。データは、算術平均(±SD)を示す。対照培養(Con A刺激なし)は、全ての群に関して<50 pg/mlのIL-2およびIL-4レベルを産生した(データは示していない)。データはマウス5匹/群の平均値(±SD)を示す。 FSLEおよびLPSの経口針による投与またはモノホスホリルリピッドA調製物のip投与後の血清中TNFα産生の相乗効果を示す。1群5匹のマウスに生理食塩液100 μl(図の一番右のバー)またはCLPロット072 150 μg(図の一番左のバー)のいずれかを経口針によって投与した。15分以内に、示した異なる群のマウスにさらに何も加えない生理食塩液100 μl、100 μg/ml LPS、または表記の異なるリピッドA部分構造(ヘキサ、ペンタ、およびテトラアシル)30 μg/mlを投与した。マウスは全て24時間で屠殺して、心穿刺によって血液を採取した。血液を4℃で4時間保存して、高速遠心(10,000 rpmで20分間)後血清を採取した。TNFαをELISAによって各試料について3個ずつアッセイした[Gorczynskiら、2001]。データは1群5匹のマウスの平均値(±SD)を示す。 HbおよびLPSの単独または併用を経口針による投与後の血清中TNFα産生における相乗効果を示す。1群10匹のマウスに生理食塩液100 μl単独または精製成体(または胎児)ヘモグロビンタンパク質鎖(αβまたはαγ)1 mgを含む生理食塩液100 μlのいずれかを経口針によって投与した。各群5匹のマウスに関して容量100 μlは同様にLPS(500 ng)を含んだ。マウスを全て24時間で屠殺して、心穿刺によって血液を採取した。血液を4℃で4時間保存して、高速遠心(10,000 rpmで20分間)後血清を採取した。TNFαをELISAによって各試料について3個ずつアッセイした[Gorczynskiら、2001]。データは1群5匹のマウスの平均値(±SD)を示す。 LPS反応体(C57BR/10 ScSn)およびLPS非反応体(C57Bl/10 ScSr)マウスにおけるCLP1b、CLP2pおよびLPSによる刺激後のマウス脾細胞の増殖を示す。 LPS反応体(a)および非反応体(b)マウスにおけるCLP1bおよびCLP2pのNO誘導活性を示す。 CLP1bおよびCLP2pによるマウスBMDMにおけるTCGI活性の誘導を示す。マウスBMDMを同系脾細胞の存在下(A)または非存在下(B)で、表記の濃度のCLP1bまたはCLP2pによって刺激し、実施例12に記述するようにAbelson 8-1腫瘍細胞に対するそのTCGI活性に関して試験した。 マウスにおける3-Lewis肺癌の転移に及ぼすFSLEの影響を示す。 異なる発達段階の動物に由来するCLP2pのマクロファージ媒介抗腫瘍活性を示す。異なる発達段階の動物に由来する肝抽出物からCLP2pプールを調製して、実施例12に記述するようにマウスBMDMにおけるそのTCGI誘導活性に関して試験した。 発達段階の関数としてのCLP1bおよびCLP2pの相対活性を示す。異なる発達段階の動物に由来する肝抽出物をSephadex G-100(登録商標)によって分離して、図3に示すプール5個を得た。それらを、実施例3.1.1.3に記述するように、マウスBMDMにおけるそのTCGI誘導活性に関して試験した。各分子の最も活性の高いプールの活性を任意に100に設定して、CLP1bおよびCLP2pの活性をそれに関連させて設定した。 CLP1bおよびCLP2pによって刺激したヒト単球によって誘導された腫瘍の細胞抑制を示す。ヒト末梢血単球をCLP1bまたはCLP2pによって刺激して、U 937細胞に及ぼすその腫瘍細胞抑制活性を10:1の比で試験した。保存液の濃度はCLP1bおよびCLP2pに関してそれぞれ、20 mg/mlおよび10 mg/mlであった。 CLP1bまたはCLP2pによって刺激したヒト単球から放出された腫瘍細胞抑制メディエータを示す。ヒト末梢血単球をCLP1b[200 μg/ml]またはCLP2p[100 μg/ml]によって刺激するか、または表記の時間培地と共にインキュベートして、U937腫瘍細胞に及ぼすその腫瘍細胞抑制活性に関して上清を試験した。無処置の腫瘍細胞(対照)の増殖を参照として示す。 異なる発達段階の動物に由来するCLPプールによるヒトリンパ球におけるLAK細胞活性の誘導を示す。末梢血から単離したヒトリンパ球を、胎児、新生児、または成体動物に由来するCLP1bおよびCLP2pの1:1混合物[50〜80 μg/ml]またはIL-2[100 U/ml]によって3日間刺激して、Raji腫瘍細胞に対するLAK-細胞活性に関して試験した。 CLP1b/CLP2pによって活性化されたヒト単球の腫瘍細胞株LNCaPに対する細胞抑制活性を示す。(E:T=エフェクター:標的細胞数=1:2)。 LPSによって活性化されたヒト単球の腫瘍細胞株LNCaPに対する細胞抑制活性を示す。(E:T=エフェクター:標的細胞数=1:1)。 CLP1bおよびCLP2pによるマウスBMDMにおける酸化窒素放出誘導の速度論を示す。マウスBMDMを、CLP1bまたはCLP2p保存液(CLP1bおよびCLP2pに関してそれぞれ、40 mg/mlおよび17 mg/ml)の様々な希釈液によって刺激した。酸化窒素の放出は、表記の時点での培養上清における亜硝酸塩濃度として決定した。用いた希釈は、100倍希釈(菱形)、1000倍希釈(下向き三角)および10000倍希釈(上向き三角)であった。培地(丸)において培養したマクロファージを対照として用いた。 iNOS阻害剤L-NMMAを添加することによるCLP1bまたはCLP2pによって誘導された酸化窒素の阻害を示す。マウスBMDMを、表記の濃度のiNOS阻害剤L-NMMAの非存在下または存在下でCLP1bまたはCLP2pの様々な濃度によって刺激した。参加窒素の放出を48時間後に決定した。 マウスBMDMにおいてCLP1bまたはCLP2pによって誘導された酸化窒素放出のIFN-γによる増強を示す。マウスBMDMを、0.5 U/ml組換え型mIFN-γの非存在下または存在下で様々な濃度のCLP1b(550、55、5.5 μg/ml)またはCLP2p(290、29、2.9 μg/ml)によって刺激した。酸化窒素の放出を48時間後に決定した。 CLP1bまたはCLP2pによって刺激したヒト白血球によるサイトカインの放出を示す。ヒト全血培養物を調製して、CLP1b[200 μg/ml]またはCLP2p[100 μg/ml]によって48時間刺激した。PHA[10 μg/ml]を陽性対照として用いた。上清に放出されたサイトカインをELISAによって検出した。 CLP1bまたはCLP2pによって刺激したヒト末梢血単球によるサイトカインの放出を示す。末梢血から単離したヒト単球を、CLP1b[140 μg/ml]またはCLP2p[120 μg/ml]によって刺激した。培養上清に放出されたサイトカインを表記の時点でELISAによって検出した。

Claims (21)

  1. 細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物、および任意で賦形剤からなる;または
    細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物、薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤を含む、
    癌を治療するため、感染症を予防または治療するため、加齢に関連して起こるサイトカイン/ケモカイン産生の変化を回復させるため、および/または放射線照射の有害な副作用を緩和するための、薬学的組成物。
  2. 胎児ヘモグロビンもしくは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、またはさらなる化合物が非ヒト胎児組織に由来する、請求項1記載の薬学的組成物。
  3. 非ヒト胎児組織がヒツジ、ヤギ、ウマ、またはウシに由来する、請求項2記載の薬学的組成物。
  4. さらなる化合物が胎児肝(糖)ペプチドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  5. 鎖の組み合わせが胎児ヘモグロビンのα、γ二量体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  6. 鎖の組み合わせがヘムを含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  7. 前記細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)の活性な成分が、LPS由来多糖類不含リピッドA成分である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  8. 前記細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)が天然または合成のペンタおよび/またはヘキサアシル-リピッドAである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  9. 前記細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)が天然または合成のペンタおよび/またはヘキサアシル-リピッドAモノホスフェートである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  10. 胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ対細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分の組成物の重量比が、1:1〜1000:1の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  11. 胎児肝(糖)ペプチドがホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質(PBP)、ペプチジル-プロリル-シス-トランス-イソメラーゼA(PPlase A)、チオレドキシン、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、ユビキチン、アルドース1-エピメラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、プロスタグランジン-Fシンターゼ(PGF)、プロスタグランジン-Fシンターゼ2(PGF2)、レグカルシン(RGN)、チオスルフェートスルフトランスフェラーゼ(TST)、カルボニルレダクターゼ1(CBR1)、3-ヒドロキシアントラニレート3,4-ジオキシゲナーゼ(3-HAO)、グアニジノアセテート-N-メチルトランスフェラーゼ(GAMT)、炭酸脱水素酵素III(CA-III)、炭酸脱水素酵素II(CA-II)、可溶性イソ型のカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(S-COMT)、シクロフィリンA(CypA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、細胞レチノール結合タンパク質I(cRBP I)、グリシン切断系Hタンパク質(GCSH)、ヘモグロビンγ鎖(Hb-γ)、ヘモグロビンα鎖(Hb-α)、肝臓脂肪酸結合タンパク質、およびアシル-CoA結合タンパク質(ACBP)からなる群より選択される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  12. 経口投与のために調製された請求項1〜11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  13. 胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ0.1〜10 mg、ならびに細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分0.01〜1000 μgを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  14. 癌を治療する組成物を調製するための、
    細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物の使用。
  15. 感染症を予防または治療する組成物を調製するための、
    細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物の使用。
  16. 加齢に関連して起こるサイトカイン/ケモカイン産生の変化を回復させる組成物を調製するための、
    細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物の使用。
  17. 放射線照射の有害な副作用を緩和する組成物を調製するための、
    細菌のS-もしくはR-型リポ多糖類(LPS)またはその活性な部分、
    胎児ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビンのα鎖およびγ鎖を含む組み合わせ、ならびに
    任意でさらなる化合物の使用。
  18. 癌が、前立腺癌、乳癌、子宮頚部扁平上皮癌、および膵臓腺癌から選択される、請求項14記載の使用。
  19. 感染症が慢性ウイルス性感染症である、請求項15記載の使用。
  20. 加齢関連免疫不均衡を回復させることが、マクロファージの活性化に関連する、請求項16記載の使用。
  21. 調製物が経口投与のために調製される、請求項14〜20のいずれか一項に記載の使用。
JP2006501878A 2003-02-18 2004-02-18 胎児ヘモグロビン、細菌エンドトキシン、および任意でさらなる胎児肝成分を含む組成物 Expired - Lifetime JP4619352B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP03003687A EP1449535B1 (en) 2003-02-18 2003-02-18 Compositions comprising fetal hemoglobin and bacterial endotoxin and optionally additional fetal liver components
PCT/EP2004/001553 WO2004073728A2 (en) 2003-02-18 2004-02-18 Compositions comprising fetal hemoglobin and bacterial endotoxin and optionally additional fetal liver components

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006518350A JP2006518350A (ja) 2006-08-10
JP4619352B2 true JP4619352B2 (ja) 2011-01-26

Family

ID=32731533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006501878A Expired - Lifetime JP4619352B2 (ja) 2003-02-18 2004-02-18 胎児ヘモグロビン、細菌エンドトキシン、および任意でさらなる胎児肝成分を含む組成物

Country Status (20)

Country Link
US (1) US7968103B2 (ja)
EP (2) EP1449535B1 (ja)
JP (1) JP4619352B2 (ja)
KR (1) KR101102481B1 (ja)
CN (1) CN1750840A (ja)
AT (1) ATE324903T1 (ja)
AU (1) AU2004212703C1 (ja)
BR (1) BRPI0407311B8 (ja)
CA (1) CA2514485C (ja)
DE (1) DE60304989T2 (ja)
DK (1) DK1449535T3 (ja)
ES (1) ES2263859T3 (ja)
IL (1) IL169760A (ja)
IS (1) IS2294B (ja)
MX (1) MXPA05008797A (ja)
NO (1) NO334003B1 (ja)
NZ (1) NZ541417A (ja)
PL (1) PL211789B1 (ja)
RU (1) RU2366449C2 (ja)
WO (1) WO2004073728A2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007103427A2 (en) * 2006-03-06 2007-09-13 Wang Xiang H Medical use of bilirubin and its structural analogues
US20090181078A1 (en) * 2006-09-26 2009-07-16 Infectious Disease Research Institute Vaccine composition containing synthetic adjuvant
WO2010006200A2 (en) * 2008-07-09 2010-01-14 Board Of Regents, The University Of Texas System Triggered release of drugs from polymer particles
KR101742332B1 (ko) * 2009-04-20 2017-05-31 갈렌바이오 인코포레이티드 생체분자로 세포를 형질감염시키기 위한 조성물
EP2789343A1 (en) * 2013-04-11 2014-10-15 Clinique La Prairie Novel hemoglobin-derived peptide based pharmaceutical compositions
US20150079061A1 (en) * 2013-07-12 2015-03-19 Patrick J. Casey Method for the harvesting, processing, and storage of proteins from the mammalian feto-placental unit and use of such proteins in compositions and medical treatment

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4473647A (en) * 1981-02-27 1984-09-25 Amf Inc. Tissue culture medium
US4987237A (en) 1983-08-26 1991-01-22 Ribi Immunochem Research, Inc. Derivatives of monophosphoryl lipid A
WO1987006830A1 (en) 1986-05-09 1987-11-19 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research Lipopolysaccharide and natural factor compositions for anti-tumor therapy and method of treatment
EP0405315B1 (en) 1989-06-30 1995-08-23 American Cyanamid Company Use of a phagocyte-activating agent : LPS or IL-2 for the manufacture of a medicament for treating staphylococcus aureus infection in cows
CA2049533A1 (en) 1990-08-20 1992-02-21 Gen-Ichiro Soma Lps-containing analgesics and veterinary analgesics
JPH0690745A (ja) * 1990-08-20 1994-04-05 Chiba Seifun Kk Lps産生菌、lps、lpsを含む医薬及び動物薬
JPH0499481A (ja) * 1990-08-20 1992-03-31 Chiba Seifun Kk 新規細菌、新規lps、新規免疫機能活性化剤、新規動物用免疫機能活性化剤
JPH04187640A (ja) * 1990-11-22 1992-07-06 Chiba Seifun Kk 経口・経皮免疫機能促進剤、動物用経口・経皮免疫機能促進剤
EP0539610A1 (en) * 1991-10-26 1993-05-05 Torf Establishment Method and composition for determining the immunological activity of solutions containing active substances
JP3199081B2 (ja) * 1992-11-13 2001-08-13 味の素株式会社 抗腫瘍剤
DE4338812A1 (de) * 1993-11-15 1995-05-18 Braun Melsungen Ag Verwendung von Lösungen von vernetztem Hämoglobin zur Bekämpfung des septischen und hämorrhagischen Schocks bei Säugetieren
US5648343A (en) 1994-02-28 1997-07-15 The University Of Georgia Research Foundation Method for treating LPS-mediated disorders
US5580724A (en) 1994-03-25 1996-12-03 Board Of Regents, The University Of Texas System Differential expansion of fetal stem cells in maternal circulation for use in prenatal genetic analysis
US20020065211A1 (en) * 1995-03-23 2002-05-30 Biopure Corporation Increasing function of organs having reduced red blood cell flow
KR19990063988A (ko) 1995-10-06 1999-07-26 버텍스 파마슈티칼스 인코포레이티드 락트산의 부티레이트 프로드럭
WO1997025061A1 (en) * 1996-01-09 1997-07-17 Bristol-Myers Squibb Company De-myristolated lipopolysaccharide of gram-negative bacteria
EP0856592A1 (en) 1997-02-04 1998-08-05 N.V. Bekaert S.A. A coating comprising layers of diamond like carbon and diamond like nanocomposite compositions
US6228471B1 (en) * 1997-02-04 2001-05-08 N.V. Bekaert S.A. Coating comprising layers of diamond like carbon and diamond like nanocomposite compositions
AU784195B2 (en) * 1999-11-12 2006-02-16 Baxter Biotech Technology S.A.R.L. Reduced side-effect hemoglobin compositions
EP1234181A4 (en) * 1999-12-03 2005-01-26 Baxter Int PYROGENICITY TEST FOR USE WITH AUTOMATED IMMUNOLOGICAL ASSAY SYSTEMS
JP2004504264A (ja) 2000-01-07 2004-02-12 ユニバーシティ オブ シンシナティ Th1又はth2リンパ球に制御される免疫応答の選択的活性化
WO2002017965A1 (fr) * 2000-08-28 2002-03-07 Akira Awaya Compositions medicinales
DE10103211C1 (de) * 2001-01-24 2002-07-18 Ursula Kastner Kulturmedium

Also Published As

Publication number Publication date
CA2514485A1 (en) 2004-09-02
WO2004073728A3 (en) 2004-10-07
ATE324903T1 (de) 2006-06-15
US20080075742A1 (en) 2008-03-27
RU2366449C2 (ru) 2009-09-10
AU2004212703C1 (en) 2009-05-21
AU2004212703B2 (en) 2008-10-30
MXPA05008797A (es) 2006-05-25
DE60304989T2 (de) 2007-03-29
EP1601371A2 (en) 2005-12-07
BRPI0407311A (pt) 2006-02-21
BRPI0407311B8 (pt) 2021-05-25
DE60304989D1 (de) 2006-06-08
NO334003B1 (no) 2013-11-11
BRPI0407311B1 (pt) 2020-12-29
IL169760A (en) 2012-09-24
CN1750840A (zh) 2006-03-22
IS2294B (is) 2007-10-15
PL378573A1 (pl) 2006-05-02
EP1449535B1 (en) 2006-05-03
CA2514485C (en) 2013-11-05
KR20050111596A (ko) 2005-11-25
JP2006518350A (ja) 2006-08-10
PL211789B1 (pl) 2012-06-29
WO2004073728A2 (en) 2004-09-02
IS7940A (is) 2005-07-18
NO20054087D0 (no) 2005-09-02
KR101102481B1 (ko) 2012-01-05
RU2005126141A (ru) 2006-01-27
NO20054087L (no) 2005-11-08
US7968103B2 (en) 2011-06-28
DK1449535T3 (da) 2006-09-11
NZ541417A (en) 2008-08-29
AU2004212703A1 (en) 2004-09-02
EP1449535A1 (en) 2004-08-25
ES2263859T3 (es) 2006-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
de Belder Dextran
JP3714426B2 (ja) フコイダンオリゴ糖組成物含有癌転移抑制剤
AU2017341663B2 (en) Composition for preventing or treating hepatitis containing monoacetyl diacylglycerol compound
SK5272002A3 (en) Novel oligosaccharides, preparation method and pharmaceutical compositions containing same
JP4826696B2 (ja) 血管新生阻害剤
JP2018516867A (ja) 舌下投与用グルコピラノシル脂質a及びアレルゲン製剤
JPH11286497A (ja) グリコシル−l−アスコルビン酸のアシル化誘導体
IL169760A (en) Preparations containing fetal hemoglobin and bacterial endotoxin and alternatively fetal liver components
JP3174611B2 (ja) 免疫賦活組成物
JP6693654B2 (ja) 生体防御用組成物及びその用途
WO2015197652A1 (fr) Mannosylglycerate et ses derives pour utilisation en tant qu'agent immunostimulant
WO1998006424A1 (fr) Inhibiteurs des metastases cancereuses administres par voie orale
JP7152733B2 (ja) がん転移抑制剤
JP2010099094A (ja) メチオニナーゼの産生法
JPS63126827A (ja) マクロフア−ジ活性化剤
KR102511613B1 (ko) 키토산을 포함하는 면역억제용 조성물 및 이의 용도
JP2000290194A (ja) 病原性細菌およびウイルス感染防御剤
JPH02174718A (ja) 免疫賦活剤
JPS62249927A (ja) 蛋白物質および抗腫瘍剤
JPS6289624A (ja) 播種性血管内凝固症候群予防・治療剤
WO2005035571A1 (ja) 新規の糖タンパク質及びそれを含有する医薬組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091015

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100113

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100708

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100929

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101026

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4619352

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250