しかしながら、上記特許文献1または特許文献2に開示されたデバイス構造では、MOSTのチャネルが形成される領域とBJTのベース領域とが別々に設けられているため、単位デバイスの面積が大きくなるという欠点がある。また、従来の融合デバイスでは、ウェハ表面に対して平行な方向で電圧を担持するため、設計耐圧値が高くなるほど、単位デバイスの寸法が大きくなってしまう。そのため、高耐圧で大電流用途のデバイスでは、チップ面積が大きくなるという欠点がある。また、上記特許文献3に開示されたデバイス構造では、耐圧が高くなるのに伴って、コンタクト部とドリフト領域とを隔離するための絶縁層が厚くなるため、デバイスセルピッチが増大するという欠点と、単位セル(チャネル)でしか配置できないという欠点がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、高耐圧で、大電流での駆動が可能であり、かつ短絡耐量が高く、ターンオフ時間が短く、単位面積あたりのオン抵抗が低い小型の融合デバイス、またはその融合デバイスとMOSTとを集積したデバイスを提供するとともに、それらのデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、支持基板上に絶縁層を介して第1導電型の半導体層が設けられ、該半導体層上に、同半導体層よりも抵抗率の高い第1導電型の第1の半導体領域が設けられたSOI基板と、前記第1の半導体領域の表面層の一部に設けられた1以上の第2導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面近傍の領域に設けられた第1導電型の第1の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域を挟んで、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面の反対側の領域に、前記第1の低抵抗領域に接して設けられた第2導電型の第2の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域および前記第2の低抵抗領域から離れた領域に設けられた第1導電型の第3の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に設けられた第2導電型の第4の低抵抗領域と、前記第1の低抵抗領域と前記第2の低抵抗領域とを短絡する第1の導電体と、前記第3の低抵抗領域に電気的に接続する第1の電極と、前記第4の低抵抗領域に接続する第2の導電体と、前記第2の半導体領域上に絶縁膜を介して設けられ、かつ前記第1の電極および前記第2の導電体に電気的に接続する抵抗体と、前記第1の低抵抗領域と、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面との間の、前記第2の半導体領域の表面上に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、前記SOI基板の表面から該基板の深さ方向に伸びて前記半導体層に電気的に接続する引き出し電極と、前記引き出し電極と前記第1の半導体領域および前記第2の半導体領域との間に設けられた絶縁領域と、前記引き出し電極に電気的に接続する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板深さ方向における端部との界面の位置よりも浅い位置から深い位置まで、前記絶縁領域中に導電性領域が設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項2に記載の発明において、前記導電性領域は、ポリシリコンでできていることを特徴とする。
請求項4の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記引き出し電極は、第1導電型の第5の低抵抗領域を介して前記半導体層に電気的に接続していることを特徴とする。
請求項5の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項4に記載の発明において、前記引き出し電極と前記第5の低抵抗領域との接触面積は、内部に前記引き出し電極を設けるために前記SOI基板に形成したトレンチ内に絶縁膜を充填し、該絶縁膜の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、当該トレンチ底に露出した半導体領域の面積で決まることを特徴とする。
請求項6の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、さらに、複数の前記第2の半導体領域のうちの1以上の別の第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第6の低抵抗領域と、前記別の第2の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第7の低抵抗領域と、前記第6の低抵抗領域および前記第7の低抵抗領域に電気的に接続する第3の電極と、前記第6の低抵抗領域と、前記第1の半導体領域と前記別の第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面との間の、前記別の第2の半導体領域の表面上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に設けられた第2のゲート電極と、を備えることを特徴とする。
請求項7の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、支持基板上に絶縁層を介して第1導電型の半導体層が設けられ、該半導体層上に、同半導体層よりも抵抗率の高い第1導電型の第1の半導体領域が設けられたSOI基板と、前記第1の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第2の半導体領域と、前記SOI基板の表面から前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達するトレンチの内面に設けられたゲート絶縁膜と、前記トレンチの、前記ゲート絶縁膜の内側を埋めるゲート電極と、前記トレンチに接し、かつ前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第1の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域を挟んで、前記トレンチの反対側の領域に、前記第1の低抵抗領域に接して設けられた第2導電型の第2の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域および前記第2の低抵抗領域から離れた領域に設けられた第1導電型の第3の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に設けられた第2導電型の第4の低抵抗領域と、前記第1の低抵抗領域と前記第2の低抵抗領域とを短絡する第1の導電体と、前記第3の低抵抗領域に電気的に接続する第1の電極と、前記第4の低抵抗領域に接続する第2の導電体と、前記第2の半導体領域上に絶縁膜を介して設けられ、かつ前記第1の電極および前記第2の導電体に電気的に接続する抵抗体と、前記SOI基板の表面から該基板の深さ方向に伸びて前記半導体層に電気的に接続する引き出し電極と、前記引き出し電極と前記第1の半導体領域および前記第2の半導体領域との間に設けられた絶縁領域と、前記引き出し電極に電気的に接続する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
請求項8の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項7に記載の発明において、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板深さ方向における端部との界面の位置よりも浅い位置から深い位置まで、前記絶縁領域中に導電性領域が設けられていることを特徴とする。
請求項9の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項8に記載の発明において、前記導電性領域は、ポリシリコンでできていることを特徴とする。
請求項10の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項7〜9のいずれか一つに記載の発明において、前記引き出し電極は、第1導電型の第5の低抵抗領域を介して前記半導体層に電気的に接続していることを特徴とする。
請求項11の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項10に記載の発明において、前記引き出し電極と前記第5の低抵抗領域との接触面積は、内部に前記引き出し電極を設けるために前記SOI基板に形成したトレンチ内に絶縁膜を充填し、該絶縁膜の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、当該トレンチ底に露出した半導体領域の面積で決まることを特徴とする。
請求項12の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項7〜11のいずれか一つに記載の発明において、さらに、前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第6の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第7の低抵抗領域と、前記第6の低抵抗領域および前記第7の低抵抗領域に電気的に接続する第3の電極と、前記第6の低抵抗領域に接し、かつ前記SOI基板の表面から前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達するトレンチの内面に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記トレンチの、前記第2のゲート絶縁膜の内側を埋める第2のゲート電極と、を備えることを特徴とする。
請求項13の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、支持基板上に絶縁層を介して第1導電型の半導体層が設けられ、該半導体層上に、同半導体層よりも抵抗率の高い第1導電型の第1の半導体領域が設けられたSOI基板と、前記第1の半導体領域の表面層の一部に設けられた1以上の第2導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面近傍の領域に設けられた第1導電型の第1の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域を挟んで、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面の反対側の領域に、前記第1の低抵抗領域に接して設けられた第2導電型の第2の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域および前記第2の低抵抗領域から離れた領域に設けられた第1導電型の第3の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に設けられた第2導電型の第4の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に、前記第4の低抵抗領域に接して設けられた第1導電型の第8の低抵抗領域と、前記第1の低抵抗領域と前記第2の低抵抗領域とを短絡する第1の導電体と、前記第3の低抵抗領域に電気的に接続する第1の電極と、前記第4の低抵抗領域と前記第8の低抵抗領域とを短絡する第2の導電体と、前記第1の低抵抗領域と、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面との間の、前記第2の半導体領域の表面上に設けられた第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に設けられた第1のゲート電極と、前記第3の低抵抗領域と前記第8の低抵抗領域との間の、前記第2の半導体領域の表面上に設けられた第3のゲート絶縁膜と、前記第3のゲート絶縁膜上に設けられた第3のゲート電極と、前記SOI基板の表面から該基板の深さ方向に伸びて前記半導体層に電気的に接続する引き出し電極と、前記引き出し電極と前記第1の半導体領域および前記第2の半導体領域との間に設けられた絶縁領域と、前記引き出し電極に電気的に接続する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
請求項14の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項13に記載の発明において、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板深さ方向における端部との界面の位置よりも浅い位置から深い位置まで、前記絶縁領域中に導電性領域が設けられていることを特徴とする。
請求項15の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項14に記載の発明において、前記導電性領域は、ポリシリコンでできていることを特徴とする。
請求項16の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項13〜15のいずれか一つに記載の発明において、前記引き出し電極は、第1導電型の第5の低抵抗領域を介して前記半導体層に電気的に接続していることを特徴とする。
請求項17の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項16に記載の発明において、前記引き出し電極と前記第5の低抵抗領域との接触面積は、内部に前記引き出し電極を設けるために前記SOI基板に形成したトレンチ内に絶縁膜を充填し、該絶縁膜の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、当該トレンチ底に露出した半導体領域の面積で決まることを特徴とする。
請求項18の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項13〜17のいずれか一つに記載の発明において、さらに、複数の前記第2の半導体領域のうちの1以上の別の第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第6の低抵抗領域と、前記別の第2の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第7の低抵抗領域と、前記第6の低抵抗領域および前記第7の低抵抗領域に電気的に接続する第3の電極と、前記第6の低抵抗領域と、前記第1の半導体領域と前記別の第2の半導体領域の基板表面に水平な方向における端部との界面との間の、前記別の第2の半導体領域の表面上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に設けられた第2のゲート電極と、を備えることを特徴とする。
請求項19の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、支持基板上に絶縁層を介して第1導電型の半導体層が設けられ、該半導体層上に、同半導体層よりも抵抗率の高い第1導電型の第1の半導体領域が設けられたSOI基板と、前記第1の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第2の半導体領域と、前記SOI基板の表面から前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達するトレンチの内面に設けられた第1のゲート絶縁膜と、前記トレンチの、前記第1のゲート絶縁膜の内側を埋める第1のゲート電極と、前記トレンチに接し、かつ前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第1の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域を挟んで、前記トレンチの反対側の領域に、前記第1の低抵抗領域に接して設けられた第2導電型の第2の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域および前記第2の低抵抗領域から離れた領域に設けられた第1導電型の第3の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に設けられた第2導電型の第4の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層の、前記第1の低抵抗領域、前記第2の低抵抗領域および前記第3の低抵抗領域のいずれからも離れた領域に、前記第4の低抵抗領域に接して設けられた第1導電型の第8の低抵抗領域と、前記第1の低抵抗領域と前記第2の低抵抗領域とを短絡する第1の導電体と、前記第3の低抵抗領域に電気的に接続する第1の電極と、前記第4の低抵抗領域と前記第8の低抵抗領域とを短絡する第2の導電体と、前記第3の低抵抗領域と前記第8の低抵抗領域との間の、前記第2の半導体領域の表面上に設けられた第3のゲート絶縁膜と、前記第3のゲート絶縁膜上に設けられた第3のゲート電極と、前記SOI基板の表面から該基板の深さ方向に伸びて前記半導体層に電気的に接続する引き出し電極と、前記引き出し電極と前記第1の半導体領域および前記第2の半導体領域との間に設けられた絶縁領域と、前記引き出し電極に電気的に接続する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
請求項20の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項19に記載の発明において、前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域の基板深さ方向における端部との界面の位置よりも浅い位置から深い位置まで、前記絶縁領域中に導電性領域が設けられていることを特徴とする。
請求項21の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項20に記載の発明において、前記導電性領域は、ポリシリコンでできていることを特徴とする。
請求項22の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項19〜21のいずれか一つに記載の発明において、前記引き出し電極は、第1導電型の第5の低抵抗領域を介して前記半導体層に電気的に接続していることを特徴とする。
請求項23の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項22に記載の発明において、前記引き出し電極と前記第5の低抵抗領域との接触面積は、内部に前記引き出し電極を設けるために前記SOI基板に形成したトレンチ内に絶縁膜を充填し、該絶縁膜の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、当該トレンチ底に露出した半導体領域の面積で決まることを特徴とする。
請求項24の発明にかかるトレンチ横型半導体装置は、請求項19〜23のいずれか一つに記載の発明において、さらに、前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第1導電型の第6の低抵抗領域と、前記第2の半導体領域の表面層に設けられた第2導電型の第7の低抵抗領域と、前記第6の低抵抗領域および前記第7の低抵抗領域に電気的に接続する第3の電極と、前記第6の低抵抗領域に接し、かつ前記SOI基板の表面から前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達するトレンチの内面に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記トレンチの、前記第2のゲート絶縁膜の内側を埋める第2のゲート電極と、を備えることを特徴とする。
請求項25の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項2〜6のいずれか一つに記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、前記SOI基板の表面から前記第1の半導体領域に達するトレンチを形成した後、該トレンチ内に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜の内側に導電膜を堆積し、該導電膜および前記絶縁膜を、同導電膜の上端が前記SOI基板の表面よりも低くなるまで異方性エッチングによる自己整合エッチングを行って、前記導電性領域を形成することを特徴とする。
請求項26の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、請求項25に記載の発明において、前記導電性領域を形成した後、同導電性領域の内側に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜を、前記導電性領域を被覆するように自己整合エッチングし、残った絶縁膜をマスクとしてトレンチ底にさらに深いトレンチを形成することを特徴とする。
請求項27の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項1〜6のいずれか一つに記載された記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の半導体ウェハの表面層に同半導体ウェハよりも抵抗率の低い第1導電型の半導体層を形成することによって、第1のウェハを作製する工程と、支持ウェハの表面に絶縁層を形成することによって、第2のウェハを作製する工程と、前記第2のウェハの前記絶縁層の表面に、前記第1のウェハの前記半導体層の表面を張り合わせて、前記第1のウェハと前記第2のウェハを一体化する工程と、前記第1のウェハの裏面を研磨する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項28の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項8〜12のいずれか一つに記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、前記SOI基板の表面から前記第1の半導体領域に達するトレンチを形成した後、該トレンチ内に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜の内側に導電膜を堆積し、該導電膜および前記絶縁膜を、同導電膜の上端が前記SOI基板の表面よりも低くなるまで異方性エッチングによる自己整合エッチングを行って、前記導電性領域を形成することを特徴とする。
請求項29の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、請求項28に記載の発明において、前記導電性領域を形成した後、同導電性領域の内側に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜を、前記導電性領域を被覆するように自己整合エッチングし、残った絶縁膜をマスクとしてトレンチ底にさらに深いトレンチを形成することを特徴とする。
請求項30の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項7〜12のいずれか一つに記載された記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の半導体ウェハの表面層に同半導体ウェハよりも抵抗率の低い第1導電型の半導体層を形成することによって、第1のウェハを作製する工程と、支持ウェハの表面に絶縁層を形成することによって、第2のウェハを作製する工程と、前記第2のウェハの前記絶縁層の表面に、前記第1のウェハの前記半導体層の表面を張り合わせて、前記第1のウェハと前記第2のウェハを一体化する工程と、前記第1のウェハの裏面を研磨する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項31の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項14〜18のいずれか一つに記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、前記SOI基板の表面から前記第1の半導体領域に達するトレンチを形成した後、該トレンチ内に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜の内側に導電膜を堆積し、該導電膜および前記絶縁膜を、同導電膜の上端が前記SOI基板の表面よりも低くなるまで異方性エッチングによる自己整合エッチングを行って、前記導電性領域を形成することを特徴とする。
請求項32の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、請求項31に記載の発明において、前記導電性領域を形成した後、同導電性領域の内側に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜を、前記導電性領域を被覆するように自己整合エッチングし、残った絶縁膜をマスクとしてトレンチ底にさらに深いトレンチを形成することを特徴とする。
請求項33の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項13〜18のいずれか一つに記載された記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の半導体ウェハの表面層に同半導体ウェハよりも抵抗率の低い第1導電型の半導体層を形成することによって、第1のウェハを作製する工程と、支持ウェハの表面に絶縁層を形成することによって、第2のウェハを作製する工程と、前記第2のウェハの前記絶縁層の表面に、前記第1のウェハの前記半導体層の表面を張り合わせて、前記第1のウェハと前記第2のウェハを一体化する工程と、前記第1のウェハの裏面を研磨する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項34の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項20〜24のいずれか一つに記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、前記SOI基板の表面から前記第1の半導体領域に達するトレンチを形成した後、該トレンチ内に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜の内側に導電膜を堆積し、該導電膜および前記絶縁膜を、同導電膜の上端が前記SOI基板の表面よりも低くなるまで異方性エッチングによる自己整合エッチングを行って、前記導電性領域を形成することを特徴とする。
請求項35の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、請求項34に記載の発明において、前記導電性領域を形成した後、同導電性領域の内側に絶縁膜を堆積し、該絶縁膜を、前記導電性領域を被覆するように自己整合エッチングし、残った絶縁膜をマスクとしてトレンチ底にさらに深いトレンチを形成することを特徴とする。
請求項36の発明にかかるトレンチ横型半導体装置の製造方法は、上記請求項19〜24のいずれか一つに記載された記載されたトレンチ横型半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の半導体ウェハの表面層に同半導体ウェハよりも抵抗率の低い第1導電型の半導体層を形成することによって、第1のウェハを作製する工程と、支持ウェハの表面に絶縁層を形成することによって、第2のウェハを作製する工程と、前記第2のウェハの前記絶縁層の表面に、前記第1のウェハの前記半導体層の表面を張り合わせて、前記第1のウェハと前記第2のウェハを一体化する工程と、前記第1のウェハの裏面を研磨する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項1、7、13または19の発明によれば、第1の低抵抗領域と第2の半導体領域と第1の半導体領域とからなるMOSTと、第3の低抵抗領域と第2の半導体領域と第1の半導体領域とからなるBJTとを融合したIBTが構成されている。そして、第2の半導体領域が、MOSTのチャネルが形成される領域と、BJTのベース領域とを兼ねているので、単位デバイスの面積が小さくなる。
また、耐圧を保持する部分が半導体装置の深さ方向に設けられており、第2の電極が、SOI基板の表面から半導体装置の深さ方向に伸びる引き出し電極を介して、半導体装置の深い位置に設けられた半導体層に電気的に接続する構成となっていることにより、単位セルの占有面積を従来の横型IGBTよりも小さくすることができる。従って、単位面積あたりのオン抵抗を低減することができる。例えば、上記非特許文献3に記載されているプラズマディスプレイパネル用スキャンデバイスと比較すると、セルピッチは半分になる。
ここで、引き出し電極は、個々のセルに一つずつ設けられていてもよいし、複数のセルが一つの引き出し電極を共用する構成としてもよい。複数のセルが共用する場合には、単位セルの面積がさらに小さくなるので、単位面積あたりのオン抵抗をより一層、低減することができる。また、引き出し電極は、基板にトレンチを形成し、そのトレンチ内に導電材を堆積させることにより形成される。引き出し電極が複数のセルにより共用される構成であれば、ウェハに形成するトレンチの数が減り、ウェハ表面の全面積に対する全トレンチの開口面積の比(トレンチ開口率)が小さくなる。従って、エッチング時のマイクロローディング効果を低減することができる。
引き出し電極の導電材として、メタルまたは第1導電型の低抵抗ポリシリコンを用いることができる。引き出し電極を形成するためのトレンチが深い場合や、トレンチのアスペクト比が高い場合には、メタルよりもポリシリコンの方がトレンチ内に堆積させやすいので、ポリシリコンを用いることによって、引き出し電極の作製が容易となる。また、ポリシリコンを用いると、メタルを用いる場合よりもウェハの反りが小さくなる。さらに、ポリシリコンよりなる引き出し電極は、ゲート絶縁膜を形成する前に作製されるので、トレンチエッチングによるゲート絶縁膜に対するプラズマダメージを回避することができる。
請求項1または7の発明では、BJTのベース−エミッタ間に接続されるベース抵抗RBは、第2の半導体領域上に絶縁膜を介して形成された抵抗体により実現される。この抵抗体は、ポリシリコンまたはメタルにより構成される。一方、請求項13または19の発明では、ベース抵抗RBは、第3の低抵抗領域と第8の低抵抗領域との間のMOSTを常時、オン状態としたときのチャネル抵抗により実現される。この構成は、抵抗となるMOSTのゲート電極と、IBTを構成するMOSTのゲート電極とを、1回のポリシリコンの堆積とそのパターニングにより同時に形成する、いわゆるシングルポリプロセスに適している。
請求項2、8、14または20の発明によれば、引き出し電極と第1の半導体領域および第2の半導体領域との間に、導電性領域が絶縁膜により挟まれた構成の複合領域が設けられているので、この導電性領域を電気的にフローティングにしてフィールドプレートとする。このフィールドプレートによって、デバイスが逆バイアスされたときに、引き出し電極からくる基板表面に平行な電界が遮蔽される。それによって、第1の半導体領域と第2の半導体領域との界面で形成される、基板表面に平行なPN接合(以下、PN接合Aとする)の引き出し電極側に生じる、基板表面に平行な高電界を緩和することができる。従って、前記PN接合Aが保護され、耐圧が向上する。
フィールドプレートがない場合には、引き出し電極からくる基板表面に平行な高電界が緩和されないので、デバイスが逆バイアスされたときに、前記PN接合Aにおける全電界が極めて大きくなり、PN接合Aが破壊しやすい。なお、前記複合領域を設ける場合よりも低い耐圧でよい場合には、複合領域の代わりに、厚い絶縁膜を設けてもよい。すなわち、絶縁領域中に導電性領域を設けなくても、同等の効果が得られる。
また、第1の半導体領域と引き出し電極とその間の絶縁領域は、MOSキャパシタを構成しており、引き出し電極に印加される電圧の増加に伴って、第1の半導体領域と絶縁領域との界面に蓄積層が形成される。蓄積層の形成は、ドリフト領域の電界集中を招き、耐圧を低下させる。これに対して、請求項2、8、14または20の発明によれば、電気的にフローティングな導電性領域が設けられていることにより、蓄積層の形成が抑制されるので、耐圧が向上する。
ここで、フィールドプレートとなる導電性領域をフローティングにする理由は、次の通りである。すなわち、導電性領域を接地電位に固定してしまうと、導電性領域は、接地電位とされる第1の電極と同じ電位になる。そうすると、デバイスがオン状態のときに、導電性領域と第1の半導体領域とが、絶縁領域の一部である絶縁膜を挟むことにより構成される比較的に大きい容量が、素子に並列に接続された寄生容量となり、スイッチングの寄生容量となるため、素子の有効スイッチング電流能力を低下させてしまう。これを避けるため、導電性領域は、フローティングであるのが望ましい。
請求項6または12の発明によれば、第6の低抵抗領域と第2の半導体領域と第1の半導体領域とからなるMOSTと、IBTとが並列に接続されている。また、請求項18または24の発明によれば、第6の低抵抗領域と第2の半導体領域と第1の半導体領域とからなるMOSTと、IBTとが並列に接続されている。IBTでは、同等耐圧のLDMOS(横型ダブルディフューズドMOS)トランジスタの電流がBJTで増幅されるので、オン抵抗がLDMOSTに比べると低くなる。ただし、バイポーラ動作には一定のオン電圧が必要であるので、IGBTと同様に、電流は、一定のアノード電圧以上(ダイオードオン電圧VCE0≒0.7V)で流れる。
プラズマディスプレイパネル用スキャンデバイスのように、耐圧が200V以下である場合、このVCE0がオン抵抗に及ぼす影響を無視することはできない。そこで、MOSTとIBTを並列に接続して、VCE0をゼロにするのが望ましい。プラズマディスプレイパネル用スキャンデバイスに限らず、MOSTに比べてIGBTの利点があまり顕著ではないとされる250V耐圧以下のデバイスにおいて、IBTとMOSTを組み合わせることは、ラッチアップフリーと高速低損失の特性が得られるので、有効である。
また、プラズマディスプレイパネル用ドライバICに使われる出力段パワー素子には、高い電流能力(Jsat)と低いコレクタ−エミッタ間飽和電圧(VCEsat)が要求される。オン抵抗が低くJsatが低いMOSTと、VCE0(約0.7V)以上でJsatが高いIBTとが並列に接続されることにより、IGBTと同程度のJsatを有し、かつIGBTよりもVCEsatを低くすることができる。図8に、IBTとMOSTの並列素子(IBT//MOSTと表記)、IBTおよびMOSTのコレクタ電流電圧関係を概念的に示す。
請求項27の発明によれば、第1のウェハの半導体層をイオン注入と熱拡散により形成することによって、その半導体層が金属汚染に対するゲッタ層となるので、金属汚染に対するゲッタリング効果が得られる。従って、ゲート絶縁膜の信頼性が向上する。
また、適切なイオン注入と熱処理条件を選択することにより、張り合わせSOIウェハを作製する際のウェハ同士の結合に必要なミラー品質のウェハ表面が得られる。シリコンウェハ同士を張り合わせる際には、まず、ウェハ同士が、互いの表面の「Si−OH−」に吸着されるH2Oを介して、一体となる。そして、200℃以上に加熱されると、水分子がテトラマークラスターとなる。ついで、700℃以上に加熱されると水クラスターが蒸発し、「Si−O−Si」を介してウェハ同士が結合される。さらに、1100℃で加熱されると、SOIウェハの絶縁層(埋込酸化膜層)がリフローして、ウェハ同士の結合強度が一層高くなる。
ウェハ同士の結合は、その結合前のミラー品質のウェハ表面に水酸基(「−OH」)があれば可能である。デバイスの形成に供されるウェハ(以下、デバイスウェハとする)を、その表面に存在する自然酸化膜を介して、絶縁層が形成されたウェハ(以下、ハンドルウェハとする)と結合させることができる。あるいは、デバイスウェハを高濃度フッ酸で処理した直後に脱イオン化水に浸して、デバイスウェハの表面に付着している面密度の高い「−F」を「−OH」に置換してから、デバイスウェハをハンドルウェハと結合させることも可能である。
本発明によれば、高耐圧で、大電流での駆動が可能であり、かつ短絡耐量が高く、ターンオフ時間が短く、単位面積あたりのオン抵抗が低い小型の融合デバイスが得られるという効果を奏する。また、その融合デバイスとMOSTとを集積したデバイスが得られるという効果を奏する。また、SOI基板を用いることにより、容易にCMOSデバイスと集積することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるトレンチ横型半導体装置およびその製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明およびすべての添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書および添付図面において、nまたはpを冠記した半導体は、それぞれ電子または正孔がキャリアであることを意味する。また、n+やn-などのように、nやpに付す+または-は、それぞれそれらが付されていない半導体の不純物濃度よりも比較的高不純物濃度または比較的低不純物濃度であることを表す。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の半導体装置を示す断面図である。図1に示すように、融合デバイスであるIBTは、SOI基板を用いて作製されている。SOI基板は、例えばp半導体でできた支持基板1の上に、酸化膜等からなる絶縁層2、n+半導体からなるドレイン・コレクタ層11a、およびn-半導体からなるドリフト領域3aを、この順に積層した構成となっている。ドレイン・コレクタ層11aは、金属イオン汚染に対するゲッタリング効果を有しており、ゲッター層を兼ねている。ドレイン・コレクタ層11aは、支持基板1上に絶縁層2を介して設けられた半導体層に相当する。
ドリフト領域3aの表面層には、p半導体からなる複数のベース領域4aが互いに離れて設けられている。隣り合うベース領域4aの間は、n半導体からなるドリフト領域3bとなっている。このように、デバイス構造がパンチスルー構造となっていることによって、最小限の厚さのドリフト領域3a,3bで耐圧を確保することができる。
また、基板表面側のドリフト領域3bのドーパント濃度は、ドリフト領域3aよりも高くなっている。それによって、隣り合うベース領域4aで発生するJFET効果が抑制されるので、オン抵抗が低減する。ドリフト領域3bの幅は、隣り合うベース領域4aが互いにガードリングとなるように、設定されている。ドリフト領域3a,3bは、第1の半導体領域に相当し、ベース領域4aは、第1の半導体領域の表面層に設けられた第2の半導体領域に相当する。
ベース領域4aの表面層には、n+半導体からなるソース領域5a、p+半導体からなるキャリア変化領域6、n+半導体からなるエミッタ領域8、およびp+半導体からなるボディコンタクト領域9が設けられている。ソース領域5aは、ベース領域4aとドリフト領域3bとの界面近傍に設けられている。キャリア変化領域6は、ソース領域5aを挟んで、ベース領域4aとドリフト領域3bとの界面の反対側の領域に、ソース領域5aに接して設けられている。
エミッタ領域8は、ソース領域5aおよびキャリア変化領域6から離れた領域に設けられている。ボディコンタクト領域9は、ソース領域5a、キャリア変化領域6およびエミッタ領域8のいずれからも離れた領域に設けられている。ソース領域5a、キャリア変化領域6、エミッタ領域8およびボディコンタクト領域9は、それぞれ第1の低抵抗領域、第2の低抵抗領域、第3の低抵抗領域および第4の低抵抗領域に相当する。
SOI基板の表面上には、メタル層のパターニングにより形成されたフローティングオーミックコンタクトメタル(FOC)14、エミッタ・カソード電極(E)12aおよびインタコネクタメタル13が、絶縁膜15aにより互いに絶縁されて設けられている。フローティングオーミックコンタクトメタル14は、ソース領域5aおよびキャリア変化領域6に電気的に接続している。つまり、ソース領域5aとキャリア変化領域6は、メタルで短絡されており、フローティングオーミックコンタクトとなっている。
エミッタ・カソード電極12aは、エミッタ領域8に電気的に接続している。インタコネクタメタル13は、ボディコンタクト領域9に電気的に接続している。フローティングオーミックコンタクトメタル14、エミッタ・カソード電極12aおよびインタコネクタメタル13は、それぞれ第1の導電体、第1の電極および第2の導電体に相当する。
また、エミッタ・カソード電極12aとインタコネクタメタル13との間には、ポリシリコン層16が設けられている。ポリシリコン層16の一端は、エミッタ・カソード電極12aに電気的に接続されている。ポリシリコン層16の他端は、インタコネクタメタル13に電気的に接続している。ポリシリコン層16は、基板表面上の絶縁膜15aにより、ベース領域4aから絶縁されている。ポリシリコン層16は、第1の電極および第2の導電体に電気的に接続する抵抗体に相当する。なお、この抵抗体は、メタルで形成されていてもよい。
また、ソース領域5aと、ドリフト領域3bとベース領域4aとの界面との間の、ベース領域4aの表面上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜15bを介してポリシリコン等からなるゲート電極(G)10aが設けられている。このプレーナゲート部から離れた位置には、SOI基板の表面からベース領域4aを貫通してドリフト領域3aの比較的浅い位置にまで達する第1のトレンチ22が設けれている。第1のトレンチ22の側面には、シリコン酸化膜等からなる第1の絶縁膜17が設けられている。
第1の絶縁膜17の内側には、ポリシリコンまたはその他の導電材よりなる導電性領域18が、ベース領域4aとドリフト領域3aとから形成される、基板表面に平行なPN接合面(前記PN接合面A)よりも浅い位置から深い位置まで設けられている。この導電性領域18は、第1の絶縁膜17および後述する第2の絶縁膜19よりなる絶縁領域中に埋め込まれており、他の半導体部分や電極等から絶縁されている。つまり、導電性領域18は、電気的にフローティング状態となっており、フィールドプレートとして働く。
第1のトレンチ22の、導電性領域18を除く底面からは、さらにドリフト領域3aの深い位置にまで達する第2のトレンチ23が形成されている。第1のトレンチ22および第2のトレンチ23の内側には、SOI基板の表面から第2のトレンチ23の底面に至るまで、シリコン酸化膜等からなる第2の絶縁膜19が設けられている。
その第2の絶縁膜19の内側には、SOI基板の表面から第2のトレンチ23の底面に至るまで、引き出し電極が設けられている。引き出し電極は、第2の絶縁膜19の内側領域において、下半部に埋め込まれた低抵抗のn型ポリシリコンやメタルなどからなる第1のプラグ20aと、その第1のプラグ20aよりも上の部分を埋める低抵抗のn型ポリシリコンやメタルなどからなる第2のプラグ20bとから構成されている。
第2のトレンチ23の底面とドレイン・コレクタ層11aとの間には、n+半導体からなるドレイン・コレクタ領域11bが設けられている。ドレイン・コレクタ領域11bは、第2のトレンチ23の底面において第1のプラグ20aに接触している。つまり、引き出し電極は、ドレイン・コレクタ領域11bを介してドレイン・コレクタ層11aに電気的に接続している。ドレイン・コレクタ領域11bは、第5の低抵抗領域に相当する。
後述する実施の形態2において説明する製造プロセスより明らかなように、第1のプラグ20aとドレイン・コレクタ領域11bとの接触面積は、第1のトレンチ22および第2のトレンチ23の内側に第2の絶縁膜19を充填し、その第2の絶縁膜19の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、第2のトレンチ23の底に露出したドレイン・コレクタ領域11bの面積で決まる。なお、第2のトレンチ23の底がドレイン・コレクタ層11aに達するようにすれば、ドレイン・コレクタ領域11bを設けない構成とすることもできるが、製造上の信頼性を高めるには、ドレイン・コレクタ領域11bを有する構成とするのが望ましい。
第2のプラグ20bには、メタル層のパターニングによりSOI基板の表面上に形成されたコレクタ・アノード電極(C)21が電気的に接続している。コレクタ・アノード電極21は、絶縁膜15aによりエミッタ・カソード電極12aやインタコネクタメタル13やフローティングオーミックコンタクトメタル14から絶縁されている。コレクタ・アノード電極21は、第2の電極に相当する。
以上の構成において、ソース領域5a、ベース領域4a、ドリフト領域3a,3b、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bは、MOSTを構成する。ゲート電極10aに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ソース領域5aとドリフト領域3bとの間の、ベース領域4aとゲート絶縁膜15bとの界面に形成される。また、エミッタ領域8、ベース領域4a、ドリフト領域3a,3b、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bは、BJTを構成する。このように、本実施の形態では、MOSTのチャネルが形成される領域と、BJTのベース領域4aとが共通になっている。
上述した構成のIBTの等価回路は、図47に示す回路と同じである。そして、エミッタ・カソード電極12aとインタコネクタメタル13との間に設けられたポリシリコン層16は、BJTのベース−エミッタ間のベース抵抗(図47のRB)に相当する。なお、図1に示すデバイスの製造プロセスについては、一部を除いて後述する実施の形態2と同じであるので、実施の形態2において説明する。
次に、図1に示すIBTの動作について説明する。コレクタ・アノード電極21に電圧を印加し、ゲート電極10aに閾値電圧を超える電圧を印加すると、ベース領域4aにチャネルが形成され、MOSTがオン状態となる。電子は、ソース領域5aからチャネル、ドリフト領域3a,3b、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bを通って、第1および第2のプラグ20a,20bよりなる引き出し電極に至り、コレクタ・アノード電極21に到達する。
一方、ソース領域5aとキャリア変化領域6は、フローティングオーミックコンタクトとなっているので、電子と同じ数のホールが、キャリア変化領域6からベース領域4aの、エミッタ領域8の下の部分を通過して、ボディコンタクト領域9に至り、インタコネクタメタル13およびポリシリコン層16を通ってエミッタ・カソード電極12aに至る。このホール電流が一定の閾値を超えると、そのホールパスの電圧降下により、ベース領域4aとエミッタ領域8との間にダイオードオン電圧よりも高い電位差が生じ、BJTがオン状態となる。
そして、MOSTのチャネル電流は、BJTにより増幅される。従って、BJTのコレクタ電流は、チャネル電流のβeff倍となり、素子全体はIBTとして動作する。ここで、BJTの電流増幅因子をβとすると、BJTの実効電流増幅因子βeffは、(1−0.7/(RB・IB))×βである。
ここで、一例として、上述した構成のIBTと従来のIGBTとで電流駆動能力を比較した結果について説明する。上記非特許文献3によれば、MOSTとIGBTを、コレクタのみを変えて同じレイアウトで作製し、それらの電流駆動能力を比べると、IGBTの電流は、MOSTの電流の約4.4倍になる。本実施の形態において、IBT中のBJTの実効電流増幅因子βeffを4以上にすれば、単位ゲート幅のIBT電流はIGBTの電流と同等になる。
回路設計ルールが0.6μmである場合、本実施の形態のデバイスの最大セルピッチは、図2に示すように、14.2μmとなる。図2においては、デバイスの上方に、基準となる位置を「0」とし、その基準位置から各部の位置までの距離(μm)を「2.8」、「4.7」、「5.9」、「7.7」、「8.9」、「10.1」、「10.7」、「13.2」および「14.2」として示した。なお、セル毎に引き出し電極を配置したときに最大セルピッチとなる。
それに対して、SOI基板に作製した横型IGBTのセルピッチは25μmである。従って、図2に示すデバイスのセルピッチは、この横型IGBTのセルピッチのおおよそ半分である。本実施の形態のIBTと従来の横型IGBTとで、コレクタ−エミッタ間飽和電圧VCEsatが同等であるとすれば、図2に示す寸法のデバイスでは、単位面積あたりのオン抵抗が250mΩ・mm2程度になる。これは、上記非特許文献3のデバイスのオン抵抗(500mΩ・mm2)の約半分である。
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の半導体装置を示す断面図である。図3に示すように、実施の形態2は、IBTとMOSTを同一のSOI基板上に集積し、それらを並列に接続したものである。MOSTは、例えばDMOSTである。IBTは、実施の形態1のIBTと同じものである。以下、異なる構成についてのみ説明する。
実施の形態1において説明したように、ドリフト領域3aの表面層には、第2の半導体領域として複数のベース領域が設けられている。そのうち、いくつかのベース領域4aには、IBTを構成するMOSTとBJTの表面構造が形成されている。実施の形態2のDMOSTは、残りのいくつかのベース領域4bに形成されている。このベース領域4bの表面層には、n+半導体からなるソース領域5b、およびp+半導体からなるボディコンタクト領域7が設けられている。
ソース領域5bは、ベース領域4bとドリフト領域3bとの界面近傍に設けられている。ボディコンタクト領域7は、ソース領域5bに接して設けられている。ソース領域5bおよびボディコンタクト領域7には、メタル層のパターニングによりSOI基板の表面上に形成されたエミッタ電極12bが電気的に接続している。このエミッタ電極12bは、IBTのエミッタ・カソード電極12aにつながっている。ソース領域5b、ボディコンタクト領域7およびエミッタ電極12bは、それぞれ第6の低抵抗領域、第7の低抵抗領域および第3の電極に相当する。
ソース領域5bと、ドリフト領域3bとベース領域4bとの界面との間の、ベース領域4bの表面上には、シリコン酸化膜等からなる第2のゲート絶縁膜15cを介してポリシリコン等からなる第2のゲート電極(G)10bが設けられている。特に限定しないが、DMOSTの第2のゲート電極10bおよび第2のゲート絶縁膜15cは、それぞれIBTを構成するMOSTのゲート電極10aおよびゲート絶縁膜15bと共通になっている。
DMOSTは、ソース領域5b、ベース領域4b、ドリフト領域3a,3b、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bにより構成される。そして、第2のゲート電極10bに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ソース領域5bとドリフト領域3bとの間の、ベース領域4bと第2のゲート絶縁膜15cとの界面に形成される。上述した構成のDMOSTは、全チャネル幅に対して一定の割合を占めるように設けられる。IBTの動作は、実施の形態1において説明した通りである。
回路設計ルールが0.6μmである場合、DMOSTのセルピッチは、図4に示すように、4.2μmとなる。IBTの最大セルピッチは、実施の形態1と同じ14.2μmである。図4においても図2と同様に、デバイスの上方に、DMOSTについては、基準となる位置を「0」とし、その基準位置から各部の位置までの距離(μm)を「2.2」、「2.8」、「3.6」「4.2」として示した。また、IBTについては、基準となる位置を「0」とし、その基準位置から各部の位置までの距離(μm)を「2.8」、「4.7」、「5.9」、「7.7」、「8.9」、「10.1」、「10.7」、「13.2」および「14.2」として示した。
ところで、複数のゲートが一つの引き出し電極(20a,20b)を共用する場合には、ドレイン・コレクタ層11aの抵抗を考慮する必要がある。図5は、ドレイン・コレクタ層11aの有効抵抗を導出するための説明図である。図5に示すように、ドレイン・コレクタ層11aからドリフト領域3aに均一な電流密度jの電流が流れるとする。なお、図5において、Lは、一つの引き出し電極(20a,20b)あたりのドレイン・コレクタ層11aの長さである。距離Lにおけるチャネル数をNとし、そのNのチャネル数のうち、IBTチャネルの割合をxとする。また、ΔLI毎にIBTチャネルが増え、ΔLD毎にDMOSTチャネルが増えるものとする。
この場合、Lは、次の(1)式で表される。また、ドレイン・コレクタ層11aの抵抗Rn+は、次の(2)式で表される。
ただし、(2)式において、Wは、図3の図面に垂直な方向のゲート幅である。ρshは、ドレイン・コレクタ層11aのシート抵抗である。従って、次の(3)式が得られる。
ただし、(3)式において、Aは、デバイスの表面積である。また、ドレイン・コレクタ領域11bと第1のプラグ20aとのコンタクト抵抗Rcは、次の(4)式で表される。その(4)式より(5)式が得られる。
ただし、(4)式および(5)式において、ρcは、比コンタクト抵抗または単位面積あたりのコンタクト抵抗であり、Wcは、図3に示す第1のプラグ20aの幅である。第1のプラグ20aの周囲を被う図示しないバリアメタルのバリア層をTi/TiNとすると、そのRbarrierAは、次の(6)式となる。
ただし、(6)式において、TTiおよびTTiNは、それぞれTiおよびTiNの厚さである。ρTiおよびρTiNは、それぞれTiおよびTiNの抵抗率である。第1のプラグ20aおよび第2のプラグ20bの材料をn+ポリシリコンとすると、そのRCollectorAは、次の(7)式となる。
ただし、(7)式において、ρN+Polyは、n+ポリシリコンの抵抗率である。Dは、第1のトレンチ22と第2のトレンチ23の深さの和である(図3参照)。
一方、Lが長くなるのに伴って、図4に示すセルピッチよりも短い距離でデバイスチャネルができるので、電流を増大することができる。それゆえ、デバイス自身のオン抵抗RonAが小さくなる。ここで、Ronがデバイスのチャネル数に反比例すると仮定する。図4に示すIBTのセルピッチをLpとし、そのRonAを(RonA)Iとする。また、DMOSTのRonAを(RonA)Dとすると、素子固有のRDeviceAは、次の(8)式で表される。
図3に示す素子全体の(RonA)Tは、次の(9)式で表される。
上記(9)式の極小値が得られるときのチャネル数およびIBTの割合をそれぞれNoptおよびxoptとすると、最適なセルピッチLcell optは、次の(10)式で表される。
ここで、ドレイン・コレクタ層11aの厚さTを1μmとし、シリコンの抵抗率ρSiを5×10-4Ω・cmとする。上記(4)式において、Wc=1.4μm、ρc=1×10-6Ω・cm2とする。上記(5)式において、ρTi=65μΩ・cm、ρTiN=160μΩ・cm、TTi=0.1μm、TTiN=0.2μmとする。上記(7)式において、ρN+Poly=600μΩ・cm、D=13μmとする。また、(RonA)I=250mΩ・mm2、Lp=14.2μm、ΔLI=10μm、(RonA)D=2000mΩ・mm2、ΔLD=4.2μm、LD=25μmとする。これは、非特許文献3において、IGBTのコレクタをMOSTのドレインに変更する場合の素子のRonAである。
図6または図7は、このような条件における上記(9)式を図示したものである。図7は、図6を別の視点から見たものである。図6より、最適チャネル数Noptは約10であることがわかる。また、図7より、RonAの極小値に対応する最適なIBTの割合xoptは、0〜1の範囲内に存在しないことがわかる。すなわち、本数値例における(RonA)Iが(RonA)Dより遥かに低いので、IBTとMOSTとを並列することによりRonAは小さくならない。従って、低いVCE0が必要な場合、xoptの値は、飽和駆動電流であるJCEsatの要求によって決まる。
なお、上記各数値において、ρSiについては、S. M. Szeの「Physics of Semiconductor Devices」(2nd ed.,Wiley,1982. P. 32.)による。ただし、n+シリコンのドーパント濃度を4×1020cm-3とする。ρcについては、D. K. Schroderの「Semiconductor Material and Device Characterization」(2nd ed.,Wiley,1998. P. 141.)による。ただし、ドーパントをリンとし、その濃度を4×1020cm-3とする。ρTiNについては、C. Y. Changらの「ULSI Technology」(McGraw Hill,1996. P. 384.)による。ρN+Polyについては、Ted Kaminの「Polycrystalline Silicon for Integrated Circuits and Displays」(2nd ed.,Kluwer Academics,TK. 7871. 15 S55K36,1998. pp. 231.)による。
次に、図3に示す構成のデバイスの製造プロセスについて、図9〜図31を参照しながら説明する。まず、図9に示すように、ドリフト領域3aとなるn-半導体でできたウェハの表面にスクリーン酸化膜31を形成し、n型不純物であるAs(ヒ素)またはアンチモン(Sb)をイオン注入して、図10に示すように、ウェハ表面にドレイン・コレクタ層11aを形成する。ついで、図11に示すように、スクリーン酸化膜31を除去する。ここまでで、第1のウェハであるデバイスウェハができあがる。
一方、図12に示すように、支持基板1を用意する。そして、図13に示すように、支持基板1の表面に酸化膜等の絶縁層2を形成し、第2のウェハであるハンドルウェハとする。ついで、図14に示すように、ハンドルウェハの絶縁層2の表面と、デバイスウェハのドレイン・コレクタ層11aの表面とを張り合わせる。その際、デバイスウェハの表面の自然酸化膜を介して、デバイスウェハとハンドルウェハが結合され、一体化される。そして、図15に示すように、一体化されたSOIウェハのドリフト領域3aを所定の厚さまで研磨し、SOIウェハが完成する。
ついで、図16に示すように、SOIウェハの表面、すなわちドリフト領域3aの表面にスクリーン酸化膜32を形成する。そして、ドリフト領域3aの表面にリンをイオン注入して、図17に示すように、ドリフト領域3bを形成する。スクリーン酸化膜32を除去した後、図18に示すように、ドリフト領域3aの表面に酸化膜33を堆積する。フォトリソグラフィにより、この酸化膜33をパターニングしてトレンチエッチングのマスクを形成する。そして、異方性エッチングを行って、第1のトレンチ22を形成する。
ついで、犠牲酸化等によりトレンチエッチングのダメージを除去した後、図19に示すように、ウェハ全面に絶縁膜34とポリシリコン等よりなる導電膜35を順次堆積する。これら導電膜35と絶縁膜34を、導電膜35の上端がウェハ表面よりも低くなるまで、自己整合エッチングにより順次エッチングする。それによって、図20に示すように、第1のトレンチ22の側壁に、第1の絶縁膜17を介して導電性領域18が形成される。
ついで、図21に示すように、第1のトレンチ22に酸化膜等の絶縁膜を堆積し、この絶縁膜を自己整合エッチングによりエッチングして、導電性領域18の上側および内側を覆う絶縁膜36を形成する。そして、この絶縁膜36をトレンチエッチングのマスクとして異方性エッチングを行い、第1のトレンチ22の底に第2のトレンチ23を形成する。犠牲酸化等によりエッチングダメージを除去した後、Asをイオン注入して、第2のトレンチ23の底にドレイン・コレクタ領域11bを形成する。
ついで、図22に示すように、全面に絶縁膜を堆積し、この絶縁膜を自己整合エッチングによりエッチングする。そして、第1のトレンチ22内の絶縁膜36の内側および第2のトレンチ23の側壁に、第2の絶縁膜19を残すとともに、第2のトレンチ23の底に、絶縁膜19により被われていたドレイン・コレクタ領域11bを露出させる。
ついで、図23に示すように、ウェハ全面にn型の低抵抗ポリシリコンを堆積し、この低抵抗ポリシリコンで第1のトレンチ22および第2のトレンチ23を埋める。そして、ウェハ表面の低抵抗ポリシリコンをエッチバックして除去する。それによって、第1のトレンチ22および第2のトレンチ23内の第2の絶縁膜19の内側が、ウェハ表面よりも低い位置から第2のトレンチ23の底まで、第1のプラグ20aで埋まる。
ついで、図24に示すように、ウェハ全面に酸化膜37を堆積し、CMP(化学的機械研磨)により上面を平坦化する。その平坦化した酸化膜37上にフォトレジスト38を塗布する。そして、フォトリソグラフィによりフォトレジスト38にエッチングパターンを作成する。
ついで、図25に示すように、残ったフォトレジスト38をマスクとして酸化膜37をエッチングし、第1のプラグ20aの上にコンタクトホールを開口する。フォトレジスト38を除去した後、ウェハ全面に第1のプラグ20aと同様のn型の低抵抗ポリシリコンを堆積する。そして、ウェハ表面の低抵抗ポリシリコンをエッチバックして除去する。それによって、第1のプラグ20a上のコンタクトホールが第2のプラグ20bで埋まる。
ついで、図26に示すように、ウェハ表面の酸化膜37を除去した後、ウェハ表面に酸化膜等の絶縁膜39を成長させ、その絶縁膜39の上にドープトポリシリコン等の導電膜40を堆積する。そして、図27に示すように、導電膜40および絶縁膜39をエッチングして、ゲート電極10a,10bおよびゲート絶縁膜15b,15cよりなるゲートスタック構造を形成する。つづいて、第1のトレンチ22の上をフォトレジスト41で被い、このフォトレジスト41およびゲートスタック構造をマスクとしてボロンのイオン注入を行う。
つづいて、熱拡散を行い、図28に示すように、ベース領域4a,4bを形成する。フォトレジスト41を除去した後、ウェハ表面にフォトレジスト42を塗布し、フォトリソグラフィによりベース領域4a,4bの一部を露出させる。その後、Asのイオン注入を行い、図29に示すように、ソース領域5a,5bとエミッタ領域8を形成する。フォトレジスト42を除去した後、ウェハ表面にフォトレジスト43を塗布し、フォトリソグラフィによりベース領域4a,4bの一部を露出させる。そして、ボロンのイオン注入を行い、図30に示すように、キャリア変化領域6とボディコンタクト領域7,9を形成する。
フォトレジスト43を除去した後、ウェハ全面に絶縁膜15aを堆積し、さらにその上に高抵抗のポリシリコン膜44を堆積する。図31に示すように、このポリシリコン膜44をフォトリソグラフィにより所望のパターンに形成し、ポリシリコン層16よりなる抵抗体とする。ついで、絶縁膜15aにコンタクトホールを開口し、ウェハ全面にメタルをスパッタした後、このメタルをエッチングして、エミッタ・カソード電極12a、エミッタ電極12b、インタコネクタメタル13、フローティングオーミックコンタクトメタル14およびコレクタ・アノード電極21を形成して、フロントエンド工程を完了する。この状態が、図3に示す状態である。
なお、上述した実施の形態2の製造プロセスにおいて、第2のゲート電極10b、第2のゲート絶縁膜15c、ベース領域4b、ソース領域5b、ボディコンタクト領域7およびエミッタ電極12bを作製しなければ、実施の形態1の製造プロセスとなる。
実施の形態3.
図32は、実施の形態3の半導体装置を示す断面図である。図32に示すように、実施の形態3は、実施の形態1のプレーナゲート型MOSTに代えて、トレンチゲート型MOSTをBJTと融合したものである。トレンチゲート構造は、SOI基板表面から、p半導体からなるベース領域4cを貫通して、ドリフト領域3aに達する第3のトレンチ26の内面に、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜15dを有する。第3のトレンチ26の、ゲート絶縁膜15dの内側には、ポリシリコン等からなるゲート電極10cが埋め込まれている。
ベース領域4cは、ゲート絶縁膜15dに接している。つまり、実施の形態3では、実施の形態1において設けられていたドリフト領域3bは存在しない。従って、第1の半導体領域は、ドリフト領域3aのみで構成されている。また、n+半導体からなるソース領域5cは、ゲート絶縁膜15dに接して設けられている。ベース領域4cおよびソース領域5cは、それぞれ第2の半導体領域および第1の低抵抗領域に相当する。
以上の構成において、ソース領域5c、ベース領域4c、ドリフト領域3a、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bは、MOSTを構成する。ゲート電極10cに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ベース領域4cとゲート絶縁膜15dとの界面に形成される。また、エミッタ領域8、ベース領域4c、ドリフト領域3a、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bは、BJTを構成する。このように、本実施の形態では、MOSTのチャネルが形成される領域と、BJTのベース領域4cとが共通になっている。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。また、IBTの動作は、実施の形態1において説明した通りである。なお、図32に示すデバイスの製造プロセスについては、一部を除いて後述する実施の形態4と同じであるので、実施の形態4において説明する。
実施の形態4.
図33は、実施の形態4の半導体装置を示す断面図である。図33に示すように、実施の形態4は、IBTとMOSTを同一のSOI基板上に集積し、それらを並列に接続したものである。MOSTは、例えばトレンチゲート型MOSTである。IBTは、実施の形態3のIBTと同じものである。以下、異なる構成についてのみ説明する。
実施の形態3において説明したように、ドリフト領域3aの表面層には、第2の半導体領域であるベース領域が設けられている。そして、このベース領域は、第3のトレンチ26および第1のトレンチ22により、独立した複数の領域に別れている。その複数の領域のうち、いくつかのベース領域4cには、実施の形態3のIBTを構成するMOSTとBJTの表面構造が形成されており、残りのいくつかのベース領域4dに、実施の形態4において追加されたトレンチゲート型MOSTが形成されている。
この追加されたトレンチゲート型MOSTのゲート構造は、SOI基板表面から、p半導体からなるベース領域4c,4dを貫通して、ドリフト領域3aに達するトレンチの内面に、シリコン酸化膜等からなる第2のゲート絶縁膜15eを有し、さらにそのトレンチの、第2のゲート絶縁膜15eの内側に、ポリシリコン等からなる第2のゲート電極10dを埋め込んだ構成となっている。特に限定しないが、追加されたトレンチゲート型MOSTの第2のゲート電極10dおよび第2のゲート絶縁膜15eは、それぞれIBTを構成するトレンチゲート型MOSTのゲート電極10cおよびゲート絶縁膜15dと共通になっている。
また、ベース領域4dは、第2のゲート絶縁膜15eに接して設けられており、その表面層には、n+半導体からなるソース領域5d、およびp+半導体からなるボディコンタクト領域7が設けられている。ソース領域5dは、第2のゲート絶縁膜15eに接している。ソース領域5dおよびボディコンタクト領域7には、エミッタ電極12bが電気的に接続している。このエミッタ電極12bは、IBTのエミッタ・カソード電極12aにつながっている。ソース領域5dは、第6の低抵抗領域に相当する。
追加されたトレンチゲート型MOSTは、ソース領域5d、ベース領域4d、ドリフト領域3a、ドレイン・コレクタ層11aおよびドレイン・コレクタ領域11bにより構成される。そして、第2のゲート電極10dに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ベース領域4dと第2のゲート絶縁膜15eとの界面に形成される。このトレンチゲート型MOSTは、全チャネル幅に対して一定の割合を占めるように設けられる。その他の構成は、実施の形態3と同様である。また、IBTの動作は、実施の形態1において説明した通りである。
次に、図33に示す構成のデバイスの製造プロセスについて、図34〜図40を参照しながら説明する。まず、実施の形態2において説明した図9〜図15の手順に従って、SOIウェハを作製する。ついで、図34に示すように、SOIウェハの表面、すなわちドリフト領域3aの表面にスクリーン酸化膜51を形成する。そして、ドリフト領域3aの表面にボロンをイオン注入して、図35に示すように、ベース領域4c,4dを形成し、スクリーン酸化膜51を除去する。
ついで、図18〜図25の手順に従って、第1の絶縁膜17、導電性領域18、第2の絶縁膜19、第1のプラグ20aおよび第2のプラグ20bを形成する。その後、図36に示すように、ドリフト領域3aの表面に酸化膜52を堆積し、フォトリソグラフィにより、この酸化膜52をパターニングしてトレンチエッチングのマスクを形成する。そして、異方性エッチングを行って、第3のトレンチ26を形成する。
ついで、犠牲酸化等によりトレンチエッチングのダメージを除去した後、図37に示すように、ウェハ表面に酸化膜等の絶縁膜とドープトポリシリコン等の導電膜を順次堆積し、これらをエッチバックして、ゲート絶縁膜15d,15eおよびゲート電極10c,10dを形成する。つづいて、ウェハ表面にフォトレジスト53を塗布し、フォトリソグラフィによりベース領域4c,4dの一部を露出させる。
その後、Asのイオン注入を行い、図38に示すように、ソース領域5c,5dとエミッタ領域8を形成する。フォトレジスト53を除去した後、ウェハ表面にフォトレジスト54を塗布し、フォトリソグラフィによりベース領域4c,4dの一部を露出させる。そして、ボロンのイオン注入を行い、図39に示すように、キャリア変化領域6とボディコンタクト領域7,9を形成する。
フォトレジスト54を除去した後、ウェハ全面に絶縁膜15aを堆積し、さらにその上に高抵抗のポリシリコン膜55を堆積する。図40に示すように、このポリシリコン膜55をフォトリソグラフィにより所望のパターンに形成し、ポリシリコン層16よりなる抵抗体とする。ついで、絶縁膜15aにコンタクトホールを開口し、ウェハ全面にメタルをスパッタした後、このメタルをエッチングして、エミッタ・カソード電極12a、エミッタ電極12b、インタコネクタメタル13、フローティングオーミックコンタクトメタル14およびコレクタ・アノード電極21を形成して、フロントエンド工程を完了する。この状態が、図33に示す状態である。
なお、上述した実施の形態4の製造プロセスにおいて、第2のゲート電極10d、第2のゲート絶縁膜15e、ベース領域4d、ソース領域5d、ボディコンタクト領域7およびエミッタ電極12bを作製しなければ、実施の形態3の製造プロセスとなる。
実施の形態5.
図41は、実施の形態5の半導体装置を示す断面図である。図41に示すように、融合デバイスであるIBTは、SOI基板を用いて作製されている。SOI基板は、例えばp半導体でできた支持基板61の上に、酸化膜等からなる絶縁層62、n+半導体からなるドレイン・コレクタ層71a、およびn-半導体からなるドリフト領域63aを、この順に積層した構成となっている。ドレイン・コレクタ層71aは、金属イオン汚染に対するゲッタリング効果を有しており、ゲッター層を兼ねている。ドレイン・コレクタ層71aは、支持基板61上に絶縁層62を介して設けられた半導体層に相当する。
ドリフト領域63aの表面層には、p半導体からなる複数のベース領域64aが互いに離れて設けられている。隣り合うベース領域64aの間は、n半導体からなるドリフト領域63bとなっている。このように、デバイス構造がパンチスルー構造となっていることによって、最小限の厚さのドリフト領域63a,63bで耐圧を確保することができる。
また、基板表面側のドリフト領域63bのドーパント濃度は、ドリフト領域63aよりも高くなっている。それによって、隣り合うベース領域64aで発生するJFET効果が抑制されるので、オン抵抗が低減する。ドリフト領域63bの幅は、隣り合うベース領域64aが互いにガードリングとなるように、設定されている。ドリフト領域63a,63bは、第1の半導体領域に相当し、ベース領域64aは、第1の半導体領域の表面層に設けられた第2の半導体領域に相当する。
ベース領域64aの表面層には、n+半導体からなるソース領域65a,65e、p+半導体からなるキャリア変化領域66a,66b、およびn+半導体からなるエミッタ領域68が設けられている。ソース領域65aは、ベース領域64aとドリフト領域63bとの界面近傍に設けられている。キャリア変化領域66aは、ソース領域65aを挟んで、ベース領域64aとドリフト領域63bとの界面の反対側の領域に、ソース領域65aに接して設けられている。
エミッタ領域68は、ソース領域65aおよびキャリア変化領域66aから離れた領域に設けられている。ソース領域65eは、ソース領域65a、キャリア変化領域66aおよびエミッタ領域68のいずれからも離れた領域に設けられている。キャリア変化領域66bは、ソース領域65a、キャリア変化領域66aおよびエミッタ領域68のいずれからも離れた領域に、ソース領域65eに接して設けられている。ソース領域65a、キャリア変化領域66a、エミッタ領域68、キャリア変化領域66bおよびソース領域65eは、それぞれ第1の低抵抗領域、第2の低抵抗領域、第3の低抵抗領域、第4の低抵抗領域および第8の低抵抗領域に相当する。
SOI基板の表面上には、メタル層のパターニングにより形成されたフローティングオーミックコンタクトメタル(FOC1)74a、エミッタ・カソード電極(E)72aおよびフローティングオーミックコンタクトメタル(FOC2)74bが、絶縁膜75aにより互いに絶縁されて設けられている。フローティングオーミックコンタクトメタル74aは、ソース領域65aおよびキャリア変化領域66aに電気的に接続している。つまり、ソース領域65aとキャリア変化領域66aは、メタルで短絡されており、フローティングオーミックコンタクトとなっている。
エミッタ・カソード電極72aは、エミッタ領域68に電気的に接続している。フローティングオーミックコンタクトメタル74bは、ソース領域65eおよびキャリア変化領域66bに電気的に接続している。つまり、ソース領域65eとキャリア変化領域66bは、メタルで短絡されており、フローティングオーミックコンタクトとなっている。フローティングオーミックコンタクトメタル74a、エミッタ・カソード電極72aおよびフローティングオーミックコンタクトメタル74bは、それぞれ第1の導電体、第1の電極および第2の導電体に相当する。
また、ソース領域65aと、ドリフト領域63bとベース領域64aとの界面との間の、ベース領域64aの表面上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜75bを介してポリシリコン等からなるゲート電極(G)70aが設けられている。エミッタ領域68とソース領域65eとの間の、ベース領域64aの表面上には、シリコン酸化膜等からなる第3のゲート絶縁膜75fを介してポリシリコン等からなる第3のゲート電極70eが設けられている。
ゲート電極70aおよびゲート絶縁膜75b、並びに第3のゲート電極70eおよび第3のゲート絶縁膜75fよりなる各プレーナゲート部から離れた位置には、SOI基板の表面からベース領域64aを貫通してドリフト領域63aの比較的浅い位置にまで達する第1のトレンチ82が設けれている。第1のトレンチ82の側面には、シリコン酸化膜等からなる第1の絶縁膜77が設けられている。
第1の絶縁膜77の内側には、ポリシリコンまたはその他の導電材よりなる導電性領域78が、ベース領域64aとドリフト領域63aとから形成される、基板表面に平行なPN接合面(前記PN接合面A)よりも浅い位置から深い位置まで設けられている。この導電性領域78は、第1の絶縁膜77および後述する第2の絶縁膜79よりなる絶縁領域中に埋め込まれており、他の半導体部分や電極等から絶縁されている。つまり、導電性領域78は、電気的にフローティング状態となっており、フィールドプレートとして働く。
第1のトレンチ82の、導電性領域78を除く底面からは、さらにドリフト領域63aの深い位置にまで達する第2のトレンチ83が形成されている。第1のトレンチ82および第2のトレンチ83の内側には、SOI基板の表面から第2のトレンチ83の底面に至るまで、シリコン酸化膜等からなる第2の絶縁膜79が設けられている。
その第2の絶縁膜79の内側には、SOI基板の表面から第2のトレンチ83の底面に至るまで、引き出し電極が設けられている。引き出し電極は、第2の絶縁膜79の内側領域において、下半部に埋め込まれた低抵抗のn型ポリシリコンやメタルなどからなる第1のプラグ80aと、その第1のプラグ80aよりも上の部分を埋める低抵抗のn型ポリシリコンやメタルなどからなる第2のプラグ80bとから構成されている。
第2のトレンチ83の底面とドレイン・コレクタ層71aとの間には、n+半導体からなるドレイン・コレクタ領域71bが設けられている。ドレイン・コレクタ領域71bは、第2のトレンチ83の底面において第1のプラグ80aに接触している。つまり、引き出し電極は、ドレイン・コレクタ領域71bを介してドレイン・コレクタ層71aに電気的に接続している。ドレイン・コレクタ領域71bは、第5の低抵抗領域に相当する。
第1のプラグ80aとドレイン・コレクタ領域71bとの接触面積は、第1のトレンチ82および第2のトレンチ83の内側に第2の絶縁膜79を充填し、その第2の絶縁膜79の中央部分を自己整合エッチングにより除去した際に、第2のトレンチ83の底に露出したドレイン・コレクタ領域71bの面積で決まる。なお、第2のトレンチ83の底がドレイン・コレクタ層71aに達するようにすれば、ドレイン・コレクタ領域71bを設けない構成とすることもできるが、製造上の信頼性を高めるには、ドレイン・コレクタ領域71bを有する構成とするのが望ましい。
第2のプラグ80bには、メタル層のパターニングによりSOI基板の表面上に形成されたコレクタ・アノード電極(C)81が電気的に接続している。コレクタ・アノード電極81は、絶縁膜75aによりエミッタ・カソード電極72aやフローティングオーミックコンタクトメタル74bやフローティングオーミックコンタクトメタル74aから絶縁されている。コレクタ・アノード電極81は、第2の電極に相当する。
以上の構成において、ソース領域65a、ベース領域64a、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bは、MOSTを構成する。ゲート電極70aに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ソース領域65aとドリフト領域63bとの間の、ベース領域64aとゲート絶縁膜75bとの界面に形成される。また、エミッタ領域68、ベース領域64a、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bは、BJTを構成する。このように、本実施の形態では、MOSTのチャネルが形成される領域と、BJTのベース領域64aとが共通になっている。
エミッタ領域68、ベース領域64aおよびソース領域65eは、MOSTを構成している。このMOSTの第3のゲート電極70eには、一定の電圧VRが印加される。それによって、ベース領域64aと第3のゲート絶縁膜75fとの界面に、チャネルが形成される。このチャネルの抵抗が後述するBJTのベース抵抗となる。
上述した構成のIBTの等価回路を図42に示す。図42において、MOST91は、上述したソース領域65a、ベース領域64a、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bよりなるMOSTに相当する。また、BJT92は、エミッタ領域68、ベース領域64a、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bよりなるBJTに相当する。MOST93は、エミッタ領域68、ベース領域64aおよびソース領域65eよりなる抵抗として機能するMOSTに相当する。
次に、図41に示すIBTの動作について説明する。コレクタ・アノード電極81に電圧を印加し、ゲート電極70aに閾値電圧を超える電圧を印加すると、ベース領域64aにチャネルが形成され、IBTのMOSTがオン状態となる。電子は、ソース領域65aからチャネル、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bを通って、第1および第2のプラグ80a,80bよりなる引き出し電極に至り、コレクタ・アノード電極81に到達する。
一方、ソース領域65aとキャリア変化領域66aは、フローティングオーミックコンタクトとなっているので、電子と同じ数のホールが、キャリア変化領域66aからベース領域64aの、エミッタ領域68の下の部分を通過して、キャリア変化領域66bに至る。そして、ソース領域65eにおいて電子に変換され、変換により生じた電子は、抵抗となるMOSTのチャネルを通ってエミッタ領域68に到達する。これによって、ベース領域64aの電位は、MOSTのチャネル抵抗の電圧降下分程度だけ上昇する。ベース領域64aを流れるホール電流が比較的低い閾値を超えると、ベース領域64aとエミッタ領域68との間にダイオードオン電圧よりも高い電位差が生じ、BJTがオン状態となる。
そして、IBTを構成するMOSTのチャネル電流は、BJTにより増幅される。従って、BJTのコレクタ電流は、チャネル電流のβeff倍となり、素子全体はIBTとして動作する。ここで、BJTの電流増幅因子をβとすると、BJTの実効電流増幅因子βeffは、(1−0.7/(RS・IB))×βである。なお、RSは、図42に示すMOST93のチャネル抵抗である。
なお、図41に示すデバイスの製造プロセスについては、ポリシリコン層16を形成しないことと、第3のゲート電極70eおよび第3のゲート絶縁膜75fよりなるゲートスタック構造を、エッチングパターンのパターニングにより、ゲート電極70aおよびゲート絶縁膜75bよりなるゲートスタック構造と同時に形成することを除いて、実施の形態1と同様である。従って、実施の形態の製造プロセスの説明を省略する。
ただし、実施の形態2中の製造プロセスの説明において、支持基板1を支持基板61、絶縁層2を絶縁層62、ドレイン・コレクタ層11aをドレイン・コレクタ層71a、ドリフト領域3aをドリフト領域63aと読み替えるものとする。また、ドリフト領域3bをドリフト領域63b、ベース領域4aをベース領域64a、ソース領域5aをソース領域65a、キャリア変化領域6をキャリア変化領域66a、エミッタ領域8をエミッタ領域68、ボディコンタクト領域9をキャリア変化領域66bと読み替えるものとする。
さらに、エミッタ・カソード電極12aをエミッタ・カソード電極72a、インタコネクタメタル13をフローティングオーミックコンタクトメタル74b、フローティングオーミックコンタクトメタル14をフローティングオーミックコンタクトメタル74a、絶縁膜15aを絶縁膜75a、ゲート電極10aをゲート電極70a、ゲート絶縁膜15bをゲート絶縁膜75bと読み替えるものとする。また、第1のトレンチ22を第1のトレンチ82、第1の絶縁膜17を第1の絶縁膜77、導電性領域18を導電性領域78、第2の絶縁膜19を第2の絶縁膜79、第2のトレンチ23を第2のトレンチ83、第1のプラグ20aを第1のプラグ80a、第2のプラグ20bを第2のプラグ80b、ドレイン・コレクタ領域11bをドレイン・コレクタ領域71b、コレクタ・アノード電極21をコレクタ・アノード電極81と読み替えるものとする。
実施の形態6.
図43は、実施の形態6の半導体装置を示す断面図である。図43に示すように、実施の形態6は、IBTとMOSTを同一のSOI基板上に集積し、それらを並列に接続したものである。MOSTは、例えばDMOSTである。IBTは、実施の形態5のIBTと同じものである。以下、異なる構成についてのみ説明する。
実施の形態5において説明したように、ドリフト領域63aの表面層には、第2の半導体領域として複数のベース領域が設けられている。そのうち、いくつかのベース領域64aには、IBTを構成するMOSTとBJTの表面構造が形成されている。実施の形態6のDMOSTは、残りのいくつかのベース領域64bに形成されている。このベース領域64bの表面層には、n+半導体からなるソース領域65b、およびp+半導体からなるボディコンタクト領域67が設けられている。
ソース領域65bは、ベース領域64bとドリフト領域63bとの界面近傍に設けられている。ボディコンタクト領域67は、ソース領域65bに接して設けられている。ソース領域65bおよびボディコンタクト領域67には、メタル層のパターニングによりSOI基板の表面上に形成されたエミッタ電極72bが電気的に接続している。このエミッタ電極72bは、IBTのエミッタ・カソード電極72aにつながっている。ソース領域65b、ボディコンタクト領域67およびエミッタ電極72bは、それぞれ第6の低抵抗領域、第7の低抵抗領域および第3の電極に相当する。
ソース領域65bと、ドリフト領域63bとベース領域64bとの界面との間の、ベース領域64bの表面上には、シリコン酸化膜等からなる第2のゲート絶縁膜75cを介してポリシリコン等からなる第2のゲート電極(G)70bが設けられている。特に限定しないが、DMOSTの第2のゲート電極70bおよび第2のゲート絶縁膜75cは、それぞれIBTを構成するMOSTのゲート電極70aおよびゲート絶縁膜75bと共通になっている。
DMOSTは、ソース領域65b、ベース領域64b、ドリフト領域63a,63b、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bにより構成される。そして、第2のゲート電極70bに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ソース領域65bとドリフト領域63bとの間の、ベース領域64bと第2のゲート絶縁膜75cとの界面に形成される。上述した構成のDMOSTは、全チャネル幅に対して一定の割合を占めるように設けられる。IBTの動作は、実施の形態5において説明した通りである。
なお、図43に示すデバイスの製造プロセスについては、ポリシリコン層16を形成しないことと、第3のゲート電極70eおよび第3のゲート絶縁膜75fよりなるゲートスタック構造を、エッチングパターンのパターニングにより、ゲート電極70aおよびゲート絶縁膜75bよりなるゲートスタック構造と同時に形成することを除いて、実施の形態2と同様である。従って、実施の形態の製造プロセスの説明を省略する。
ただし、実施の形態2中の製造プロセスの説明において、実施の形態5で指摘した読み替えに加えて、ベース領域4bをベース領域64b、ソース領域5bをソース領域65b、ボディコンタクト領域7をボディコンタクト領域67、エミッタ電極12bをエミッタ電極72b、第2のゲート絶縁膜15cを第2のゲート絶縁膜75c、第2のゲート電極10bを第2のゲート電極70bと読み替えるものとする。
実施の形態7.
図44は、実施の形態7の半導体装置を示す断面図である。図44に示すように、実施の形態7は、実施の形態5のプレーナゲート型MOSTに代えて、トレンチゲート型MOSTをBJTと融合したものである。トレンチゲート構造は、SOI基板表面から、p半導体からなるベース領域64cを貫通して、ドリフト領域63aに達する第3のトレンチ86の内面に、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜75dを有する。第3のトレンチ86の、ゲート絶縁膜75dの内側には、ポリシリコン等からなるゲート電極70cが埋め込まれている。
ベース領域64cは、ゲート絶縁膜75dに接している。つまり、実施の形態7では、実施の形態5において設けられていたドリフト領域63bは存在しない。従って、第1の半導体領域は、ドリフト領域63aのみで構成されている。また、n+半導体からなるソース領域65cは、ゲート絶縁膜75dに接して設けられている。ベース領域64cおよびソース領域65cは、それぞれ第2の半導体領域および第1の低抵抗領域に相当する。
以上の構成において、ソース領域65c、ベース領域64c、ドリフト領域63a、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bは、MOSTを構成する。ゲート電極70cに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ベース領域64cとゲート絶縁膜75dとの界面に形成される。また、エミッタ領域68、ベース領域64c、ドリフト領域63a、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bは、BJTを構成する。このように、本実施の形態では、MOSTのチャネルが形成される領域と、BJTのベース領域64cとが共通になっている。
その他の構成は、実施の形態5と同様である。また、IBTの動作は、実施の形態5において説明した通りである。なお、図44に示すデバイスの製造プロセスについては、ポリシリコン層16を形成しないことと、第3のゲート電極70eおよび第3のゲート絶縁膜75fよりなるゲートスタック構造を形成することを除いて、実施の形態3と同様である。従って、実施の形態の製造プロセスの説明を省略する。
ただし、実施の形態3中の製造プロセスの説明において、実施の形態5および実施の形態6でそれぞれ指摘した読み替えに加えて、ベース領域4cをベース領域64c、ソース領域5cをソース領域65c、第3のトレンチ26を第3のトレンチ86、ゲート電極10cをゲート電極70c、ゲート絶縁膜15dをゲート絶縁膜75dと読み替えるものとする。
実施の形態8.
図45は、実施の形態8の半導体装置を示す断面図である。図45に示すように、実施の形態8は、IBTとMOSTを同一のSOI基板上に集積し、それらを並列に接続したものである。MOSTは、例えばトレンチゲート型MOSTである。IBTは、実施の形態7のIBTと同じものである。以下、異なる構成についてのみ説明する。
実施の形態7において説明したように、ドリフト領域63aの表面層には、第2の半導体領域であるベース領域が設けられている。そして、このベース領域は、第3のトレンチ86および第1のトレンチ82により、独立した複数の領域に別れている。その複数の領域のうち、いくつかのベース領域64cには、実施の形態7のIBTを構成するMOSTとBJTの表面構造が形成されており、残りのいくつかのベース領域64dに、実施の形態8において追加されたトレンチゲート型MOSTが形成されている。
この追加されたトレンチゲート型MOSTのゲート構造は、SOI基板表面から、p半導体からなるベース領域64c,64dを貫通して、ドリフト領域63aに達するトレンチの内面に、シリコン酸化膜等からなる第2のゲート絶縁膜75eを有し、さらにそのトレンチの、第2のゲート絶縁膜75eの内側に、ポリシリコン等からなる第2のゲート電極70dを埋め込んだ構成となっている。特に限定しないが、追加されたトレンチゲート型MOSTの第2のゲート電極70dおよび第2のゲート絶縁膜75eは、それぞれIBTを構成するトレンチゲート型MOSTのゲート電極70cおよびゲート絶縁膜75dと共通になっている。
また、ベース領域64dは、第2のゲート絶縁膜75eに接して設けられており、その表面層には、n+半導体からなるソース領域65d、およびp+半導体からなるボディコンタクト領域67が設けられている。ソース領域65dは、第2のゲート絶縁膜75eに接している。ソース領域65dおよびボディコンタクト領域67には、エミッタ電極72bが電気的に接続している。このエミッタ電極72bは、IBTのエミッタ・カソード電極72aにつながっている。ソース領域65dは、第6の低抵抗領域に相当する。
追加されたトレンチゲート型MOSTは、ソース領域65d、ベース領域64d、ドリフト領域63a、ドレイン・コレクタ層71aおよびドレイン・コレクタ領域71bにより構成される。そして、第2のゲート電極70dに印加されるゲート電圧が閾値電圧を超えると、チャネルが、ベース領域64dと第2のゲート絶縁膜75eとの界面に形成される。このトレンチゲート型MOSTは、全チャネル幅に対して一定の割合を占めるように設けられる。その他の構成は、実施の形態7と同様である。また、IBTの動作は、実施の形態5において説明した通りである。
なお、図45に示すデバイスの製造プロセスについては、ポリシリコン層16を形成しないことと、第3のゲート電極70eおよび第3のゲート絶縁膜75fよりなるゲートスタック構造を形成することを除いて、実施の形態4と同様である。従って、実施の形態の製造プロセスの説明を省略する。
ただし、実施の形態4中の製造プロセスの説明において、実施の形態5、実施の形態6および実施の形態7でそれぞれ指摘した読み替えに加えて、ベース領域4dをベース領域64d、ソース領域5dをソース領域65d、第2のゲート電極10dを第2のゲート電極70d、第2のゲート絶縁膜15eを第2のゲート絶縁膜75eと読み替えるものとする。
以上説明したように、各実施の形態のIBTでは、MOSTのチャネルが形成される領域とBJTのベース領域とが共通になっているので、小型のIBTが得られるという効果を奏する。また、耐圧を保持する部分がIBTの深さ方向に設けられているので、単位セルの占有面積を従来の横型IGBTよりも小さくすることができる。従って、単位面積あたりのオン抵抗を低減することができる。
また、複数のセルが一つの引き出し電極を共用する構成の場合には、単位セルの面積がさらに小さくなるので、単位面積あたりのオン抵抗をより一層、低減することができる。さらに、ウェハ表面の全面積に対する全トレンチの開口面積の比(トレンチ開口率)が小さくなるので、トレンチエッチング時のマイクロローディング効果を低減することができる。
また、引き出し電極をポリシリコンで形成することによって、引き出し電極を形成するためのトレンチが深い場合やトレンチのアスペクト比が高い場合でも、引き出し電極を容易に作製することができる。さらに、引き出し電極をメタルで形成する場合よりもウェハの反りが小さくなる。さらにまた、引き出し電極を形成してから、ゲート絶縁膜が形成されるので、引き出し電極を形成するためのトレンチエッチングによるプラズマダメージがゲート絶縁膜に及ぶのを回避することができる。
また、ドレイン・コレクタ層11aが金属汚染に対するゲッタリング効果を有しているので、ゲート絶縁膜の信頼性が向上する。また、BJTのベース−エミッタ間にポリシリコン層よりなる抵抗体を接続する構成の場合には、その抵抗体を小型化することができるとともに、ホール電流の経路がエミッタ領域を囲んでいるので、デバイスがオン状態となるときにすべてのエミッタ領域が活性(オン)状態となるという利点がある。それに対して、BJTのベース抵抗にベース領域の抵抗を利用する構成とした場合には、レイアウト面積が大きくなるという不具合や、BJTのベース電流の集中により、デバイスがオン状態となるときにエミッタ領域の一部が不活性になるという不具合が生じるので、好ましくない。
一方、BJTのベース抵抗に、常時、オン状態のMOSTのチャネル抵抗を利用する構成とした場合には、抵抗となるMOSTのゲート電極と、IBTを構成するMOSTのゲート電極とを、1回のポリシリコンの堆積とそのパターニングにより同時に形成することができる。すなわち、シングルポリプロセスに適しているという利点がある。
また、引き出し電極とドリフト領域およびベース領域との間に設けられている電気的にフローティングなフィールドプレートによって、逆バイアス時に引き出し電極からくる基板表面に平行な電界が遮蔽されるので、ドリフト領域とベース領域との界面で形成されるPN接合を保護することができる。また、ドリフト領域と、ドリフト領域と引き出し電極との間の絶縁領域との界面に、蓄積層が形成されるのを抑制することができる。従って、耐圧が向上する。
また、IBTにMOSTを並列に接続した構成の場合には、MOSTが、オン抵抗が低くJsatが低いという特性を有し、IBTが、VCE0(約0.7V)以上でJsatが高いという特性を有するので、IGBTと同程度のJsatを有し、かつIGBTよりもVCEsatを低くすることができる。また、IBTとMOSTの組み合わせは、特に250V耐圧以下のデバイスにおいて、ラッチアップフリーと高速低損失の特性が得られるので、有効である。
また、トレンチゲート構造を適用した構成の場合には、プレーナゲート構造を適用した場合に比べて、セルピッチがより小さくなる。従って、より一層、小型のIBT、あるいはIBTとMOSTとを組み合わせたデバイスが得られる。
以上において、本発明は、上述した各実施の形態に限らず、種々変更可能である。また、上述した各実施の形態では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。