JP4617649B2 - タイヤとタイヤ用部材との接着用プライマー組成物およびタイヤとタイヤ用部材との接着方法 - Google Patents
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Description
監視装置をタイヤに接着させる方法として、例えば、タイヤのインナーライナーの部分を選定し、インナーライナーの選定された部分の面を粗くし、監視装置と粗くされた部分との少なくも一方に接着剤を塗布し、インナーライナーの粗くされた部分に監視装置を置き、そして接着剤を硬化させる諸段階を含んだ方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また、上記した接着困難なブチル系ゴムと各種接着剤の接着に用いられる、有効なプライマーは知られていない。
また、本発明は、簡単で作業効率が高く、使用状況下における十分な接着性を発現するタイヤとタイヤ用部材との接着方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様において、前記p−アルキルスチレンとイソオレフィンの共重合体のハロゲン化物は、p−メチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物であるのが好ましい。また、アミノシランの配合量は共重合体のハロゲン化物100質量部に対して51質量部以上であるのが好ましく、55質量部以上であるのがより好ましく、60質量部以上であるのが特に好ましい。その上限は特に限定されないが、例えば、200質量部以下であるのが好ましい。
本発明においては、該接着方法として、(I)タイヤの内側表層に上記本発明の第1態様のプライマー組成物を塗布し、その上に接着剤を塗布した後、タイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法、および、(II)タイヤの内側表層に上記本発明の第1態様のプライマー組成物を塗布し、その上に、接着剤を塗布したタイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法が挙げられる。
また、本発明の第2態様により、簡単で作業効率が高く、使用状況下における十分な接着性を安定的に実現できる。
ハロゲン化共重合体は、p−アルキルスチレンとイソオレフィンのランダム共重合体(以下、単に「ランダム共重合体」という。)を構成するp−アルキルスチレン単位のアルキル基にハロゲン原子が結合(アルキル基の水素原子をハロゲン原子で置換)したものである。
ランダム共重合体を構成するp−アルキルスチレンは、特に限定されない。p−アルキルスチレンのアルキル基は、メチル、エチル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基であるのが好ましく、メチル基が特に好ましい。p−アルキルスチレンは、炭素数が異なるアルキル基を持つものを2種以上混合して用いてもよい。
ハロゲン化共重合体を構成するハロゲン化されたp−アルキルスチレン単位の含有量は、ハロゲン化共重合体(全モノマー単位)の0.3モル%以上、好ましくは0.7〜3モル%である。0.3モル%未満であると架橋密度が不十分なためバインダーとして十分な強度が得られない場合がある。
p−メチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物は、p−メチルスチレンとイソブチレンを共重合させた後、p−メチルスチレンのアルキル基をハロゲン原子で置換して製造しても、p−メチルスチレンのアルキル基をハロゲン原子で置換した後にイソブチレンと共重合させて製造してもよい。共重合方法、ハロゲン原子での置換方法等は定法にしたがって行うことができる。
上記臭素化物としては、例えば、EXXON CHEMICAL社が製造する「EXXPRO」等の市販品が挙げられる。
アミノシランは、アミノ基を含有するシランカップリング剤として知られるものである。アミノ基を含有するシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のγ−アミノプロピル基含有アルコキシシラン;N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を2個以上含有するアルコキシシラン;γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
好ましいのはアミノ基を1分子中に2個以上含有するアルコキシシランであり、特に好ましいのはN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
溶剤としては、上記成分を溶解できるものであれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、工業用ガソリン等が挙げられる。もちろん混合溶媒を使用することもできる。
本発明において、溶剤を用いる場合には、上記ハロゲン化共重合体の濃度を1〜10質量%にするのが好ましい。
充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、粘土、タルク、シリカ、ケイソウ土、これらを脂肪酸や脂肪酸エステルで処理したもの等が挙げられる。
着色剤としては、特に限定されず、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック等が挙げられる。
乾燥剤としては、特に限定されず、例えば、合成ゼオライト等が挙げられる。
本発明においては、接着方法として、(I)タイヤの内側表層に上記本発明の組成物を塗布し、その上に接着剤を塗布した後、タイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法、および、(II)タイヤの内側表層に上記本発明の組成物を塗布し、その上に、接着剤を塗布したタイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法が挙げられる。
なお、本発明の第2態様の接着方法は、上記した接着方法(I)および(II)に限定されず、タイヤとタイヤ用部材とを接着させる方法であれば、いかなる方法であってもよい。
接着方法(I)は、タイヤの内側表層に上記本発明の組成物を塗布し、その上に接着剤を塗布した後、タイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法である。
接着方法(I)においては、まず、タイヤの内側表層(内側表面)に、本発明の組成物、好ましくは、溶剤中で混合してなる本発明の組成物を定法にしたがって塗布する。塗布には、例えば、刷毛、スプレーガン等を用いることができる。塗布後、好ましくは、放置乾燥し溶剤を除去する。
その後、乾燥させた本発明の組成物の上に、接着剤を定法にしたがって塗布する。
該接着剤が硬化する前に、その上にタイヤ用部材を載置して、本発明の組成物および接着剤を硬化させる。
このような工程により、タイヤとタイヤ用部材とを接着させることができるが、上記した塗布手段、乾燥手段、硬化手段等は、定法にしたがい任意の手段・条件等を選択できる。また、上記した工程の他に、他の工程、例えば、タイヤの内側表層等を脱脂剤で脱脂する工程等を行ってもよい。
接着方法(II)は、タイヤの内側表層に上記本発明の組成物を塗布し、その上に、接着剤を塗布したタイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法である。
接着方法(II)において、タイヤの内側表層(内側表面)に、本発明の組成物を塗布する工程は上記接着方法(I)と同様に行う。
一方、タイヤ用部材のタイヤとの接着面に接着剤を定法にしたがって塗布する。
タイヤに塗布した本発明の組成物を乾燥させた後、タイヤ用部材に塗布した接着剤が硬化する前に、タイヤに塗布した本発明の組成物の上に、タイヤ用部材(接着剤を塗布した接着面)を載置して、本発明の組成物および接着剤を硬化させる。
このような工程により、タイヤとタイヤ用部材とを接着させることができるが、上記した塗布手段、乾燥手段、硬化手段等は、定法にしたがい任意の手段・条件等を選択できる。また、上記した工程の他に、他の工程、例えば、タイヤの内側表層等を脱脂剤で脱脂する工程等を行ってもよい。
また、タイヤとタイヤ用部材との接着面積は、接着位置によっても異なるが、一般的には3〜30cm2が好ましく、5〜20cm2が好ましい。
これらのタイヤは、ゴム製であれば、特に限定されないが、少なくとも、タイヤの内側表層(特にタイヤ用部材との接着面)が、ブチル系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含有するゴム組成物により形成されるのが好ましい。
ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤または変成シリコーン系接着剤としては、通常用いられるものを特に制限されずに使用できる。例えば、イソシアネート基を有するオリゴマーまたはポリマー、アルコキシシリル基を有するオリゴマーまたはポリマーを含む接着剤が挙げられる。
これらの接着剤として、例えば、WS−202、スーパーワン(いずれも横浜ゴム(株)製)、KE4866(信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
タイヤ用部材の大きさは、タイヤの内側表層に装着できる程度であれば特に限定されず、また、タイヤ用部材の質量も同様に特に限定されないが、一般的には10〜40g程度が好ましい。
<本発明の組成物の調製>
(実施例1)
p−メチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物(商品名:EXXPRO 90−10、EXXON CHEMICAL社製、ムーニー粘度(ML1+8,125℃)45、p−メチルスチレン含有量7.5質量%、臭素化p−メチルスチレン単位含有量1.2モル%)のトルエン溶液100g(濃度3.0質量%)と、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(A−1120、日本ユニカー(株)製)2g(上記共重合体の臭素化物100質量部に対してアミノシラン67質量部)とを容器に入れ、十分に攪拌混合してプライマー組成物1(トルエン溶液)を調製した。
このプライマー組成物1は、調製後ゲル化しなかった。
アミノシランの配合量を0.1g(共重合体の臭素化物100質量部に対してアミノシラン3.4質量部)とした以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物2(トルエン溶液)を調製した。
(比較例3)
アミノシランの配合量を0.5g(共重合体の臭素化物100質量部に対してアミノシラン17質量部)とした以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物3(トルエン溶液)を調製した。
なお、このプライマー組成物2および3は、調製後ゲル化しなかった。
(比較例4)
アミノシランの配合量を1.0g(共重合体の臭素化物100質量部に対してアミノシラン34質量部)とした以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物4(トルエン溶液)を調製した。このプライマー組成物4は、調製後6時間でゲル化した。
(実施例2)
自動車用タイヤのブチルゴム組成物により形成された部分を切り出してゴム試験片(縦10cm、横5cm)とした。タイヤ用部材として、PBT製の筐体(縦5.5cm、横2.5cm、高さ1.0cm)にセンサを内装したものを用いた。
上記ゴム試験片に、実施例1で得たプライマー組成物を、乾燥後の膜厚が7μmとなるように塗布して、室温で5分間放置して乾燥させ、その上に、ウレタン系接着剤(WS202、横浜ゴム(株)製)を、乾燥後の膜厚が1.0mmとなるように塗布した。その後、接着剤の上に上記タイヤ用部材を載置し手で押圧した。相対湿度60RH%の条件下、温度23℃で7日間、プライマー組成物および接着剤を養生(硬化)させ、ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
接着剤として、シリコーン系接着剤(KE−4866、信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例2と同様にして、ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
接着剤として、変成シリコーン系接着剤(スーパーワン、横浜ゴム(株)製)を用いた以外は、実施例2と同様にして、ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
ゴム試験片として、EPDM(エチレン含有量55質量%、ジエン含有量5.5質量%、Mw:380,000)により形成されたゴム試験片を用いた以外は、実施例2と同様にして、ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
プライマー組成物を塗布しなかった(第1表中、「−」で示す。)以外は、実施例2と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例6)
プライマー組成物を塗布しなかった以外は、実施例3と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例7)
プライマー組成物を塗布しなかった以外は、実施例4と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
プライマー組成物2を用いた以外は、実施例2と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例9)
プライマー組成物3を用いた以外は、実施例2と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例10)
プライマー組成物4を用いた以外は、実施例2と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
プライマー組成物2を用いた以外は、実施例5と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例12)
プライマー組成物3を用いた以外は、実施例5と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
プライマー組成物2を用いた以外は、実施例3と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
プライマー組成物として市販品1(プライマーNo.30、横浜ゴム(株)製)を用いた以外は、実施例2と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
(比較例15)
プライマー組成物として市販品2(プライマーNo.40、横浜ゴム(株)製)を用いた以外は、実施例3と同様にしてゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。
上記で得られた各ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた試験体のタイヤ用部材を取り除き、接着剤をナイフでカットし該カット部を手剥離して(手で摘んで引張り)、その剥離状態を確認(ナイフカットによる手剥離試験)した。その結果を第1表〜第3表に示す。
評価は、接着剤が凝集破壊した割合(%、第1表〜第3表中、「CF X%」と表記する。)で行った。
上記<タイヤとタイヤ用部材との接着>において、プライマー組成物および接着剤を、温度23℃で7日間養生させた後、さらに80℃で5日間養生(放置)し、ゴム試験片とタイヤ用部材を接着させた。上記剥離試験と同様にして、耐熱剥離試験を行い、使用状況下における接着性を評価した。その結果を第1表〜第3表に示す。
Claims (7)
- p−アルキルスチレンとイソオレフィンの共重合体のハロゲン化物100質量部と、アミノシラン50質量部超とを含有する、タイヤとタイヤ用部材との接着用プライマー組成物。
- 前記p−アルキルスチレンとイソオレフィンの共重合体のハロゲン化物が、p−メチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物である請求項1に記載のタイヤとタイヤ用部材との接着用プライマー組成物。
- タイヤの内側表層に請求項1または2に記載のプライマー組成物を塗布し、その上に接着剤を塗布した後、タイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法。
- タイヤの内側表層に請求項1または2に記載のプライマー組成物を塗布し、その上に、接着剤を塗布したタイヤ用部材を接着させる、タイヤとタイヤ用部材との接着方法。
- 前記接着剤が、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤および変成シリコーン系接着剤からなる群より選択される1種以上の接着剤である請求項3または4に記載のタイヤとタイヤ用部材との接着方法。
- 前記タイヤが、自動車用タイヤである請求項3〜5のいずれかに記載のタイヤとタイヤ用部材との接着方法。
- 前記タイヤが、少なくともその内側表層がブチル系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有するゴム組成物により形成されるタイヤである請求項3〜6のいずれかに記載のタイヤとタイヤ用部材との接着方法。
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