JP4617544B2 - プリンタ及びプリンタヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ及びプリンタヘッドに関し、特にインクジェット方式によるラインプリンタに適用することができる。本発明は、用紙送り方向を横切るようにインク流路を形成し、このインク流路の両側に、インク流路側よりインクを導くように、交互にヘッドチップを配置することにより、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット方式のラインプリンタにおいては、用紙送りしながら、この用紙送り方向とほぼ直交する方向に順次配置したノズルより選択的にインク液滴を飛び出させて用紙に付着させることにより、所望の画像、文字等を印刷するようになされている。
【0003】
このようなラインプリンタのうちの、サーマル方式のプリンタにおいては、インク液室に保持したインクをヒーターにより加熱することにより、インク液滴をノズルより飛び出させるようになされており、このような複数ノズル分のヒーター等を1つの半導体基板上に作成したヘッドチップを使用してラインヘッドを作成することにより、全体構成を簡略化するようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのようなヘッドチップによるラインプリンタにおいては、印刷精度を高解像度化すると、ヘッドチップの作成、配置が困難になる問題がある。
【0005】
すなわち図15は、この種のプリンタにおけるヘッドチップの配置を示す平面図であり、ヘッドチップ1A及び1Bにおいては、ヘッドチップ1A及び1Bの並び方向に順次微小なノズル2が配置される。ヘッドチップ1A及び1Bは、所定のインク流路3を介して、各ノズル2のインク液室にインクが供給され、これら各インク液室に配置されたヒータの加熱によりノズル2からインク液滴を飛び出させる。
【0006】
このような配置において、印刷精度を高解像度化するためには、ノズル2の配置を高密度化することが必要になり、このためにはノズル2間の間隔tを小さくすることが必要になる。しかしながらヘッドチップ1A及び1Bの両端のノズル2A及び2Bにあっては、ヘッドチップ1A及び1Bの物理的な形状の制限により、またヘッドチップ1A及び1Bの配置の精度による制限等により、間隔Tを小さくすることが困難になる。因みに、このようにヘッドチップ1A及び1Bの両端のノズル2A及び2Bの間隔Tが他のノズル間の間隔tに対して差異があると、印刷結果においては、このノズル2A及び2Bの境界が印刷方向に縦縞となって不自然に表れることになる。
【0007】
この問題を解決する1つの方法として、図16に示すように、隣接するヘッドチップ1A及び1Bを印刷方向にずらして配置することにより、ノズル2の並び方向についてヘッドチップ1A及び1Bを密接して配置する方法が考えられる。ところがこのように隣接するヘッドチップ1A及び1Bを印刷方向にずらして配置してノズル2の並び方向にヘッドチップ1A及び1Bを密接して配置する場合、インク流路3A及び3Bをそれぞれヘッドチップ1A及び1B毎に作成することが必要になり、その分インク流路3A及び3Bの構成が複雑になる問題がある。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ヘッドチップによるサーマル方式等のラインプリンタについて、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができるプリンタ及びプリンタヘッドを提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1又は請求項4の発明においては、プリンタ又はプリンタヘッドに適用して、印刷対象の送り方向を横切るように、タンクよりインクを導くインク流路を形成し、対応するノズルよりインク液滴を飛び出させるインク吐出機構の少なくとも一部を順次配列してなるヘッドチップを、インク流路の両側に交互に、かつ各インク吐出機構に対して、インク流路側よりインクを導くように、配置する。
【0010】
プリンタ又はプリンタヘッドに適用して、印刷対象の送り方向を横切るように、タンクよりインクを導くインク流路を形成し、対応するノズルよりインク液滴を飛び出させるインク吐出機構の少なくとも一部を順次配列してなるヘッドチップを、インク流路の両側に交互に、配列すれば、ヘッドチップ間のノズルの間隔を小さくすることができ、これによりヘッドチップ間の境界における違和感を解消して高解像度の印刷結果を得ることができる。このとき各インク吐出機構に対して、インク流路側よりインクを導くように配置すれば、1つのインク流路を形成するだけで各ヘッドチップにインクを導くことができ、その分、全体構成を簡略化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態の構成
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るラインプリンタを示す斜視図である。このラインプリンタ11は、全体が長方体形状の筐体12に収納されて形成され、用紙14を収納した用紙トレイ13をこの筐体12の正面に形成されたトレイ出入口より装着することにより、用紙14を給紙できるようになされている。
【0013】
用紙トレイ13は、このようにトレイ出入口よりプリンタ11に装着されると、所定の機構により用紙14が給紙ローラー16に押し当てられ、この給紙ローラー16の回転により、矢印Aにより示すように、用紙14が用紙トレイ13より背面側に向かって送り出されるようになされている。ラインプリンタ11は、この用紙送りの側に反転ローラー17が配置され、この反転ローラー17の回転等により、矢印Bにより示すように、正面方向に用紙14の送り方向が切り換えられる。
【0014】
ラインプリンタ11は、このようにして用紙送り方向が切り換えられてなる用紙14が用紙トレイ13の上を横切るように拍車ローラー18等により搬送され、矢印Cにより示すように、正面側に配置された排出口より排出される。ラインプリンタ11は、この拍車ローラー18から排出口までの間に、矢印Dにより示すように、ヘッドカートリッジ20が交換可能に配置される。
【0015】
ヘッドカートリッジ20は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒色のラインヘッドを配置してなるヘッド21が所定形状によるホルダー22の下面側に配置され、このホルダー22に順次イエロー、マゼンタ、シアン、黒色のインクカートリッジY、M、C、Bを配置して形成されるようになされている。これによりラインプリンタ11は、これら各色のインクの液滴を対応するラインヘッドより用紙14に付着させて画像等を印刷できるようになされている。
【0016】
図3にこの図2と同一の方向より見た分解斜視図を示すように、ヘッド21は、例えば炭素系樹脂によるシート材にノズル等を作成してオリフィスプレート23が作成され、このオリフィスプレート23が図示しないフレームに保持される。ヘッド21は、同様の炭素系樹脂による所定形状のドライフィルム24がこのオリフィスプレート23上に配置され、その後ヘッドチップ25が順次配置される。
【0017】
ヘッド21は、このヘッドチップ25がイエロー、マゼンタ、シアン、黒色の印刷に対応するように、それぞれ用紙14を横切る方向に4列に配置されてラインヘッドが構成される。ヘッド21は、その後、このヘッドチップ25側の面に凹凸の加工が施され、かつインクカートリッジとの間でインクの流路を構成する金属板材26が配置された後、各ヘッドチップ25が接続されて形成される。
【0018】
図4は、このようにしてヘッド21に組み立てられるヘッドチップ25を周辺構成と共に示す断面図である。ヘッドチップ25は、集積回路技術によりシリコン基板27を加工して形成され、インクを加熱するヒーター28が順次並ぶように、またこれらヒーター28を駆動する駆動回路29が形成される。ヘッド21は、これら各ヒーター28の上に断面円形形状による開口が配置されるようにオリフィスプレート23が加工され、またドライフィルム24により各ヒーター28の隔壁等が形成され、これにより各ヒーター28にそれぞれインク液室30が作成され、またオリフィスプレート23によりインク液滴を飛び出させるノズル31が作成される。
【0019】
ヘッドチップ25は、このようなヒーター28が側面近傍に配置され、ドライフィルム24は、このヒーター28が配置された側面側にあっては、インク液室30が露出するように、櫛の歯状に隔壁が作成される。ヘッド21は、この露出する側よりインクカートリッジY、M、C、Bのインクを導くように、金属板材26及びドライフィルム24によりインク流路33が形成される。これによりヘッド21では、ヘッドチップ25の長手方向のエッジ側より各ヒータのインクをインク液室30に導くようになされている。
【0020】
なおヘッドチップ25は、ヒーター28を配置した側とは逆側の縁部に、パッド34が形成され、このパッド34にフレキシブル配線基板35を接続して駆動できるようになされている。これらによりこのヘッド21においては、ノズル31よりインク液滴を飛び出させるインク吐出機構が、ヒーター28、インク液室30、ノズル31により構成され、このインク吐出機構の一部であるヒーター28を順次配列してヘッドチップ25が構成されるようになされている。
【0021】
このようにして配置されるヘッドチップ25は、用紙14側よりヘッド21の一部を拡大して図1に示すように、インク流路33の両側に交互に、かつ各インク吐出機構に対して、インク流路33側よりインクを導くように配置される。すなわちヘッドチップ25は、用紙を横切る方向に、各ヘッドチップ25のノズル31が一定の間隔で並ぶように、またそれぞれヒーター28側の側面がインク流路33側となるように、インク流路33を間に挟んで交互に配置される。これによりヘッド21は、それぞれ各色で1系統のインク流路33で各ヘッドチップ25にインクを供給できるようになされ、その分、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができるようになされている。
【0022】
なおこのようにチップヘッド25を配置したことにより、この図面にて、インク流路33の上側のヘッドチップ25に対してインク流路33の下側のヘッドチップ25は、各ヘッドチップ25の駆動に対して印刷するドットの順序が逆転することになる。このためこの実施の形態では、それぞれインク流路33の上側及び下側のヘッドチップ25については、これら配置に対応する駆動回路29の設定により、又は駆動条件の変更により対応するようになされている。
【0023】
(1−2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、このラインプリンタ11は(図2)、用紙トレイ13に保持された用紙14が給紙ローラー16により引き出された後、反転ローラー17で送り方向が切り換えられ、正面側の排出口に向かって用紙送りされる。ラインプリンタ11は、このようにして排出口に用紙送りする際に、ヘッドカートリッジ20に保持された各イエロー、マゼンタ、シアン、黒色のインクカートリッジY、M、C、Bからヘッド21のラインヘッドにそれぞれ対応するインクが供給され、このインクが液滴により用紙14に付着して所望の画像が印刷される。
【0024】
すなわち各ラインヘッドにおいては(図4)、これらインクカートリッジY、M、C、Bからのインクがそれぞれ対応するインク流路33を介してインク液室30に導かれ、ここでヒーター28の加熱によって発生する気泡によりノズル31から飛び出し、用紙14に付着する。これによりラインプリンタ11では、このように用紙送りしながら所望の駆動回路によりこれらヒーター28を選択的に駆動することにより、所望の画像を印刷することができる。
【0025】
ラインヘッドでは(図1及び図4)、各色のインクをインクカートリッジY、M、C、Bから導くインク流路33が、用紙送り方向とほぼ直交するようにそれぞれ形成され、ヒーター28を順次配置してなるヘッドチップ25がこのインク流路33の両側に交互に配置されていることにより、用紙送り方向と直交する方向については、この交互の配置によりヘッドチップ25間でもノズルを一定の間隔で配置することができ、これによりヘッドチップ25間の違和感を有効に回避して印刷精度を高解像度化することができる。
【0026】
このとき各ヘッドチップ25は、ヒーター28の並びに沿ったエッジ側よりインクが供給されるように作成され、このエッジがインク流路33側となるように配置されていることにより、それぞれノズル31からインクを飛び出させるインク吐出機構に対して、インク流路33側よりインクを導くように配置され、これにより1つのインク流路33より各ヒーター28のインク液室30にインクを供給して、インク流路33の構成を簡略化することができる。これによりこの実施の形態では、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができる。
【0027】
(1−3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、用紙送り方向を横切るようにインク流路を形成し、このインク流路の両側に、インク流路側よりインクを導くように、交互にヘッドチップを配置することにより、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができる。
【0028】
(2)第2の実施の形態
図5は、図1との対比により本発明の第2の実施の形態に係るラインプリンタのヘッドの構成を示す平面図である。この実施の形態に係るラインプリンタにおいては、このヘッド41の構成が異なる点を除いて、第1の実施の形態に係るラインプリンタ11と同一に構成される。
【0029】
ここでこのヘッド41は、各インクのインク流路33の両側に、交互にヘッドチップ45A及び45Bを配置して構成される。また各ヘッドチップ45A及び45Bにおいては、それぞれこのインク流路33側よりインクを導くように構成され、これによりこの実施の形態においても、簡易な構成により印刷精度を高解像度化できるようになされている。
【0030】
ヘッド41は、連続する所定個数のノズル31をグループ化して、各ノズル31を用紙送り方向にシフトするように、オリフィスプレートが作成され、このオリフィスプレートの対応するように、ヘッドチップ45A及び45Bは、ヒーターの位置が、これら所定個数を単位にして用紙送り方向にシフトするように形成される。これによりヘッド41は、第1の実施の形態に係る構成に比して、用紙送り方向と直交する方向の解像度をさらに一段と向上できるようになされている。なお図5においては、この用紙送り方向のシフト量を誇張して示す。また以下の説明及び図面とでは、説明の簡略化のため、ノズル31を7個単位で3つのグループにグループ化した場合について説明する。
【0031】
インク流路33の上方側のヘッドチップ45A及び下方側のヘッドチップ45Bは、このようなノズルの配置に対応するように、用紙側より見て、インク流路33を基準にして対称形状によりヒーター等がレイアウトされるようになされている。またこのように用紙送り方向にシフトさせたノズルの配置によっても、例えば横一連のドットの配置による横線等を印刷できるようになされている。
【0032】
すなわち図6及び図7に示すように、この実施の形態では、このように区切った所定のノズル31を、用紙14の進入側のノズル31より順次フェーズ1〜フェーズ3の段階により管理する。なおこの図6及び図7においては、各フェーズに対応する番号をノズルに付して示す。すなわち図6(A)に示すように、用紙14が送られると、始めのフェーズ1により、最も用紙進入側のノズル1を駆動してドットD1を作成する。さらに続くノズル2までの分だけ用紙14が送られると(図6(B))、この続くノズル2を駆動してドットD2を作成し、順次このような用紙送りに同期したノズル3〜7の駆動により(図6(C)〜図7(G)順次ドットを作成する。これによりこの実施の形態では、1つのグループ内のノズル31については、タイミングをずらして駆動できるようになされ、また各グループ間の対応するノズル31については同時並列的に駆動できるようにになされている。
【0033】
図8は、このようなヒーターの配置に対応する駆動回路を示すブロック図である。ヘッドチップ45A及び45Bは、それぞれこの駆動回路49が配置され、この駆動回路49によりヒーター28を駆動する。
【0034】
ここで駆動回路49において、フェーズ発生回路50A〜50Cは、それぞれ上述した7個単位で区切ったヒーター駆動のタイミング信号P1〜P7を生成する。すなわちフェーズ発生回路50A〜50Cは、上述した隣接するノズルのインク吐出周期により繰り返されるフェーズクロックPCKを受け、このフェーズクロックPCKを例えばカウンタによりカウントすることにより、タイミング信号P1〜P7を生成し、またこのカウント値をリセット信号RSTによりリセットすることにより、続くライン等についてのタイミング信号P1〜P7を生成する。
【0035】
シリアル転送回路51は、ヒーター28を駆動する駆動データD1を各グループに振り分ける。すなわちシリアル転送回路51は、データ転送クロックDCKに同期したシリアルデータの形式により入力される駆動データD1を直列接続された3個のD−フリップフロップ(D−FF)51Aにより順次転送し、所定のラッチパルスLを基準にして、各D−フリップフロップ51Aの出力を各ブロックに対応するラッチ(L)51Bによりラッチする。これによりシリアル転送回路51は、シリアルデータにより入力される駆動データD1を各グループに振り分ける。
【0036】
スィッチング回路ブロック52A〜52Cは、それぞれ各グループに振り分けられた駆動データを各ヒーターに振り分け、さらに振り分けた駆動データにより各ヒーターのスィッチングトランジスタを駆動する。すなわちスィッチング回路ブロック52A〜52Cにおいて、選択回路53A〜53Hは、共通のタイミング信号T1及びT2を受け、シリアル転送回路51より振り分けられた駆動データに応じて選択出力する。なおここでタイミング信号T1及びT2は、それぞれインク液滴の吐出及び非吐出について、ヒーターを駆動する期間の間、信号レベルが立ち上がる信号の繰り返し信号であり、この実施の形態において、非吐出側のタイミング信号T2においては、ローレベルに維持される。これにより選択回路53A〜53Hは、シリアルデータにより入力される駆動データD1に対応して信号レベルが立ち上がる同一の選択出力を出力するようになされている。
【0037】
アンド回路54A〜54Hは、それぞれ対応する選択回路53A〜53Hの選択出力を、ストローブ信号SLが立ち上がっている期間の間、フェーズ発生回路50A〜50Cから出力される対応するタイミング信号P1〜P7を基準にして、それぞれトランジスタブロック(TRブロック)55A〜55Cに出力する。これによりアンド回路54A〜54Hは、それぞれ対応するヒーター1〜7を駆動する駆動信号を生成する。
【0038】
トランジスタブロック55A〜55Cは、それぞれ電界効果型トランジスタ56A〜56Hのゲートにアンド回路54A〜54Hの出力信号を受け、それぞれこの出力信号に応じて対応するヒーター1〜7を駆動する。これによりこの実施の形態においては、このフェーズに対応する駆動データD1の配列により、各ヘッドチップ45A、45Bによりヒーターを駆動して、図9により矢印により示す順序で順次インク液滴を各ノズルより飛び出させて、所望の画像等を印刷するようになされている。
【0039】
さらにこの実施の形態において、ヘッド41は、図10に示すように、1つのドットを複数の液滴により作成し、この1つのドットを作成する液滴の数を可変することによりドットの大きさを可変し、これにより階調を表現する。なおこの実施の形態では、1つのドットを最大で8個の液滴により作成するようになされている。これにより1つのドットを作成する液滴の繰り返し周期をt、各ラインの作成周期をTとして、図10との対比により図11に示すように、この実施の形態では、順次各フェーズのヒーターを駆動して高解像度であって、かつ高い階調数による印刷結果を得ることができるようになされている。
【0040】
以上の構成によれば、用紙送り方向にノズルをシフトさせるようにしてノズル間の間隔を小さくするようにしても、用紙送り方向を横切るようにインク流路を形成し、このインク流路の両側に、インク流路側よりインクを導くように、交互にヘッドチップを配置することにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(3)第3の実施の形態
図12は、図5との対比により本発明の第3の実施の形態に係るラインプリンタのヘッドの構成を示す平面図である。この実施の形態に係るラインプリンタにおいては、このヘッド61の構成が異なる点を除いて、第1の実施の形態に係るラインプリンタ11と同一に構成される。
【0042】
ここでこのヘッド61は、各インクのインク流路33の両側に、交互に同一構成によるヘッドチップ65を配置して構成される。また各ヘッドチップ65においては、それぞれこのインク流路33側よりインクを導くように、インク流路33の上下で、向きを180度回転させた状態で配置される。これによりこの実施の形態においても、簡易な構成により印刷精度を高解像度化できるようになされている。
【0043】
ヘッドチップ65は、このようにして180度回転して配置した場合でも、ノズルの並ぶ方向にはパッド34の位置が変化しないように、これらノズルの並ぶ方向のほぼ中央にパッド34が配置され、これによりヘッド61では、パッド34に接続するフレキシブル配線基板の一部への集中を防止するようになされている。
【0044】
ヘッド61は、第2の実施の形態について上述したヘッド41と同様に、図面にて左側より、連続する7個のノズル31を単位にして、各ノズル31がフェーズ1〜フェーズ7の管理に割り当てられ、各ヘッドチップ65は、これら7個のノズルが順次用紙送り方向にシフトするように形成されるようになされている。
【0045】
かくするにつき、このようにしてノズルをシフトさせた場合、インク流路33の上方及び下方に配置されるヘッドチップ65においては、駆動信号に対してヒーターの駆動順序が逆転することになる。この実施の形態において、各ヘッドチップ65は、このような駆動順序に対応するように、駆動回路における駆動順序を切り換えることができるように構成される。
【0046】
すなわち図13は、図8との対比によりこのヘッド61の駆動回路を示すブロック図である。この駆動回路49において、図8について上述した駆動回路と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。この駆動回路69においては、フェーズ発生回路70A〜70Cより出力されるタイミング信号PA〜PGが、選択信号SELに応じて、それぞれフェーズ1〜7に対応するように、又はこれとは逆にフェーズ7〜1に対応するように、切り換えることができるようになされている。
【0047】
すなわち図14に示すように、フェーズ発生回路70A〜70Cは、リセット信号RSTを基準にしてフェーズクロックPCKを順次カウントすることにより(図14(A)〜(B))、タイミング信号PA〜PHを出力する(図14(C1)〜(C7))。このときフェーズ発生回路70A〜70Cは、切り換え信号SEL(図14(D))の論理レベルに応じて、カウント値によるタイミング信号PA〜PHの出力を切り換える。すなわち切り換え信号SELの論理レベルがHレベルに保持されている場合には、インク流路33の上側に配置されて、図12において符号A〜Hにより示すノズルがそれぞれフェーズ1〜7に割り当てられている場合に対応するタイミング信号PA〜PHの出力する。またこれとは逆に、切り換え信号SELの論理レベルがLレベルに保持されている場合には、インク流路33の下側に配置されて、図12において符号H〜Aにより示すノズルがそれぞれフェーズ1〜7に割り当てられている場合に対応するタイミング信号PA〜PHの出力する。
【0048】
これにより駆動回路69においては、選択回路53A〜53Hの出力信号がそれぞれこれらタイミング信号PA〜PHによりアンド回路534〜54Hで選択され、それぞれ対応するフェーズに割り当てられたノズルA〜Hが駆動されるようになされている。
【0049】
以上の構成によれば、各ヘッドチップの向きに応じてヒーターの駆動を切り換えるようにして、用紙送り方向を横切るようにインク流路を形成し、このインク流路の両側に、インク流路側よりインクを導くように、交互にヘッドチップを配置することにより、同一構成によるヘッドチップを使用して、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、用紙送り方向と直交する方向について、隣接するヘッドチップ間でノズルが一定のピッチとなるように、ヘッドチップを配置する場合について述べてが、本発明はこれに限らず、一部ノズルが重なり合うように配置する場合にも広く適用することができる。
【0051】
また上述の実施の形態においては、ノズル及びインク液室の隔壁を複数のヘッドチップで共用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、個々のチップヘッドでこれらを独立に構成する場合等にも広く適用することができる。
【0052】
また上述の実施の形態においては、サーマル方式によるラインプリンタに本発明を適用する場合について述べてが、本発明はこれに限らず、ヒーターの駆動に代えて圧電素子の駆動による方式のラインプリンタ等に広く適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、用紙送り方向を横切るようにインク流路を形成し、このインク流路の両側に、インク流路側よりインクを導くように、交互にヘッドチップを配置することにより、簡易な構成により印刷精度を高解像度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るラインプリンタに適用されるヘッドチップの配置を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るラインプリンタを示す斜視図である。
【図3】図2のラインプリンタに適用されるヘッドを示す分解斜視図である。
【図4】図3のヘッドを詳細に示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るラインプリンタに適用されるヘッドチップの配置を示す平面図である。
【図6】図5のヘッドチップの駆動の説明に供する略線図である。
【図7】図6の続きを示す略線図である。
【図8】図5のヘッドチップの駆動回路を示すブロック図である。
【図9】図8の駆動回路によるヘッドチップの駆動の順序を示す平面である。
【図10】図8の駆動回路によるヘッドチップの駆動の説明に供する略線図である。
【図11】図8の駆動回路の動作の説明に供する信号波形図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るラインプリンタに適用されるヘッドチップの配置を示す平面図である。
【図13】図12のヘッドチップの駆動回路を示すブロック図である。
【図14】図13の駆動回路の動作の説明に供する信号波形図である。
【図15】ヘッドチップによるヘッドの構成を示す平面図である。
【図16】ヘッドチップを密に配置した場合に考えられる構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1A、1B、25、45A、45B、65……ヘッドチップ、2、31……ノズル、3、3A、3B、33……インク流路、11……ラインプリンタ、14……用紙、21……ヘッド、28……ヒーター、29、49、69……駆動回路
Claims (3)
- ヘッドに配置した複数のノズルより選択的にインク液滴を飛び出させて印刷対象に付着させ,1ドットを1以上の前記インク液滴で形成するプリンタにおいて,
前記印刷対象の送り方向を横切るように,タンクよりインクを導くインク流路を形成し,
対応する前記ノズルより前記インク液滴を飛び出させるインク吐出機構の少なくとも一部を順次配列してなるヘッドチップを,前記インク流路の両側に交互に,かつ前記各インク吐出機構に対して,前記インク流路側よりインクを導くように,配置し,
前記ヘッドチップは,所定個数のノズルを単位にして,前記ノズルの位置が所定の周期で前記印刷対象の送り方向に順次シフトするように形成され,
前記インク流路の一方に配置するヘッドチップと,他方に配置するヘッドチップとで,駆動順序が切り換えられることにより,少なくとも同一のヘッドチップにおける前記インク吐出機構の駆動タイミングが切り換えられることを特徴とするプリンタ。 - 前記インク流路の一方に配置するヘッドチップと,他方に配置するヘッドチップとで前記インク流路を間に挟んで前記インク吐出機構が対称形状により作成されたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 複数のノズルより選択的にインク液滴を飛び出させて印刷対象に付着させ,1ドットを1以上の前記インク液滴で形成するプリンタヘッドにおいて,
前記印刷対象の送り方向を横切るように,タンクよりインクを導くインク流路を形成し,対応する前記ノズルより前記インク液滴を飛び出させるインク吐出機構の少なくとも一部を順次配列してなるヘッドチップを,前記インク流路の両側に交互に,かつ前記各インク吐出機構に対して,前記インク流路側よりインクを導くように,配置し,
前記ヘッドチップは,
所定個数のノズルを単位にして,前記ノズルの位置が所定の周期で前記印刷対象の送り方向に順次シフトするように形成され,
前記インク流路の一方に配置するヘッドチップと,他方に配置するヘッドチップとで,駆動順序が切り換えられることにより,少なくとも同一のヘッドチップにおける前記インク吐出機構の駆動タイミングが切り換えられることを特徴とするプリンタヘッド。
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