JP4616678B2 - 包装容器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、請求項5または請求項6に記載の包装容器の製造方法によれば、飲料漏れの危険性を回避できる包装容器を、成形加工不良を発生させずに、また、容器内面への汚染やキズを発生させずに製造することができる。
図1に示すように、アルミニウム合金板からなる包装容器1は、缶胴部2と、ネック部3と、開口部4とを備え、さらに、缶胴部2は湾曲部5を備える構成とした。まず、包装容器1について詳細に説明する。
(アルミニウム合金板)
アルミニウム合金板は、板厚0.25〜0.5mmのものを使用することが好ましい。板厚0.25mm未満では包装容器の側壁強度が不足し、成形加工不良、および、流通段階での破損、液漏れ等が発生しやすく、板厚0.5mmを超えると包装容器の側壁が過剰に厚くなり経済的でない。また、合金板を構成するアルミニウム合金は、JIS規定の3000系アルミニウム合金が好ましく、3004または3104合金がより好ましく、Cu:0.05〜0.25質量%、Mg:0.8〜1.3質量%、Mn:0.8〜1.5質量%、Fe:0.3〜0.7質量%、Si:0.15〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金が最も好ましい。前記アルミニウム合金で構成されることによって、包装容器の成形加工性、および側壁強度が向上する。
缶胴部2は、有底筒状に構成され、好ましくは円筒状で、その外径(最大外径)D1は、飲料、食品用途に適した、例えば、51〜67mmである。そして、缶胴部2の側壁の一部に後記する湾曲部5を備える。また、缶胴部2は、その一端(下端)側に、缶底部8を一体に備えている。この缶底部8は、後記する製造方法において、DI缶作製の際に、側壁と連続して成形したものでもよい。
(ネック部)
ネック部3は、前記缶胴部2に連続して、缶胴部2の外径(最大外径)D1より小さい外径を有するように構成される。図1においては、缶胴部2の外径を多段階的に減少させているが、連続的に減少したテーパ状に構成してもよい。
(開口部)
開口部4は、前記ネック部3の端部に形成され、その外径D2は、前記缶胴部2の外径(最大外径)D1に対する絞り比R=((D1−D2)/D1)×100(%)によって設定される。そして、図1に示す包装容器1では、絞り比Rが一般的に9〜20%である。また、開口部4の端部にフランジ部7を備えてもよい。そして、包装容器1は、容器内に飲料が充填された後、缶蓋(図示せず)がフランジ部7に巻き締められる。
湾曲部5は、缶胴部2の所定範囲における側壁を径方向内側に湾曲させたもので、缶胴部2の周方向にわたって形成される。そして、缶胴部2の側壁の肉厚が最も薄くなる位置に、湾曲部5が形成されるように構成される。このように湾曲部5を形成することによって、側壁肉厚の最薄肉部が缶胴部2の最大外径部に存在しなくなる。その結果、包装容器の流通段階で容器同士、または突起物等が接触しても、最薄肉部に他の容器または突起物が接触することを極力防止でき、側壁が損傷する原因を回避できる。湾曲部5の径方向内側への深さhは、2〜10mmが好ましい。
(凹条部)
凹条部6は、湾曲部5の軸方向に向けて、湾曲部5の側壁に筋条に延在し、湾曲部5の径方向内側へ凹み(深さa)、湾曲部5の周方向に等間隔bに形成されている。図3に示すように、深さaは2〜8mm、間隔bは2〜35mmが好ましい。深さaが2mm未満または間隔bが2mm未満では、電磁成形の際、成形加工性が向上しにくく、かつ、飲料充填の際、軸荷重も向上しにくい。深さaが8mmを超える、または間隔bが35mmを超えると、凹条部6の形成が困難になりやすい。
次に、包装容器の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、有底筒状のDI缶を作製する第1工程と、前記DI缶を電磁成形することによって、前記構成の包装容器を作製する第2工程とを含むものである。
(第1工程)
アルミニウム合金板を絞り加工やしごき加工することによって有底筒状のDI缶を作製する。例えば、以下の手順でDI缶が作製される。
(2)図4(b)に示すように、ブランク材ALをドロー成形ないしリドロー成形を経て、カップ材を成形する(カッピング)。
(3)図4(c)に示すように、カップ材をDIプレスのタンデム式しごきダイに供給して、連続的に深絞り加工およびしごき加工を施して、DI缶2aを成形する(DI成形)。そして、図4(d1)に示すように、DI缶2a端部に形成された耳をトリミングにより除去する(トリミング)。
トリミング後、通例では洗浄・化成処理、外面印刷・焼付、内面塗装・焼付を行い、その後電磁成形を行う。ここで内面塗装・焼付は電磁成形後に行ってもよい。また、図4(d2)に示すように、内面塗装、焼付、ネッキング、フランジング加工をした後に電磁成形を行ってもよい。
図4(e)、(f)に示すように、前記第1工程で作製されたDI缶2aを電磁成形することによって、湾曲部5を備えた缶胴部2を成形すると同時に、ネック部3および開口部4を成形し、包装容器1を作製する(図1参照)。また、ネック部3、開口部4およびフランジ部7の成形加工を第2工程(電磁成形)の前後で行ってもよい。
(電磁成形)
電磁成形手順について、図5を参照して説明する。
(1)DI缶2aの内側に、通電コイル21を同軸に介挿する。
(2)DI缶2aの外側に、湾曲部5に対応した膨出部22aとネック部3に対応した傾斜部22bが形成された型面を有する一対の外型22、22を同軸に囲繞させる。
(1)DI缶2aの内側に、湾曲部5と対応した凹部23aとネック部3に対応した傾斜部23bとが形成された外周面を有する中子23を同軸に介挿する。
(2)DI缶2aの外側に、通電コイル21を同軸に囲繞させる。
(3)通電コイル21に通電する。前記と同様に、DI缶2aに、通電コイル21の磁場の変化を妨げる方向に誘導電流が流れ、電磁力が発生する。この電磁力は、図6の配置ではDI缶2aを縮径する方向に作用し、DI缶2aの側壁が中子23に押し付けられて、湾曲部5、ネック部3および開口部4が瞬間的に成形され、包装容器1が作製される(図1参照)。
2 缶胴部
2a DI缶
3 ネック部
4 開口部
5 湾曲部
6 凹条部
7 フランジ部
8 缶底部
D1 外径(最大外径)
D2、D3 外径
a、h 深さ
b 間隔
Claims (6)
- アルミニウム合金板からなり、有底筒状の缶胴部と、前記缶胴部に連続して当該缶胴部の最大外径より小さい外径を有するネック部と、このネック部の端部に形成された開口部とを備えた包装容器であって、
前記缶胴部は、その側壁の肉厚が最も薄くなる位置に、当該側壁が径方向内側に湾曲する湾曲部を周方向にわたって備えることを特徴とする包装容器。 - 前記湾曲部は、軸方向に平行な断面において、軸方向に平行な直線を含む曲線で形成される湾曲形状を有することを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
- 前記湾曲部は、その側壁に複数の凹条部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装容器。
- 前記アルミニウム合金板は、JIS規定の3000系アルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の包装容器。
- 請求項1ないし請求項4に記載の包装容器の製造方法であって、
アルミニウム合金板をしごき加工することによって、有底筒状のDI缶を作製する第1工程と、前記DI缶を電磁成形することによって、前記湾曲部を備えた前記缶胴部を成形し、包装容器を作製する第2工程とを含み、
前記電磁成形は、前記DI缶の内側に通電コイルを同軸に介挿すると共に、前記DI缶の外側に、前記湾曲部に対応した膨出部が形成された型面を有する外型を同軸に囲繞させ、前記通電コイルへの通電によって生じる電磁力により、前記DI缶を拡径し、その側壁を前記外型に押し付けて、包装容器を作製することを特徴とする包装容器の製造方法。 - 請求項1ないし請求項4に記載の包装容器の製造方法であって、
アルミニウム合金板をしごき加工することによって、有底筒状のDI缶を作製する第1工程と、前記DI缶を電磁成形することによって、前記湾曲部を備えた前記缶胴部を成形し、包装容器を作製する第2工程とを含み、
前記電磁成形は、前記DI缶の内側に、前記湾曲部と対応した凹部が形成された外周面を有する中子を同軸に介挿すると共に、前記DI缶の外側に通電コイルを同軸に囲繞させ、前記通電コイルへの通電によって生じる電磁力により、前記DI缶を縮径し、その側壁を前記中子に押し付けて、包装容器を作製することを特徴とする包装容器の製造方法。
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