JP4616376B2 - 自動変速機における筒状部材の支持構造 - Google Patents

自動変速機における筒状部材の支持構造 Download PDF

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Description

本発明は、自動変速機における筒状部材の支持構造に関する。
アシストモータを組み入れた自動変速機において、入力軸に設けた筒状部材で、回転をオイルポンプのインナギヤに伝達して、オイルポンプを駆動させるようにしたものがある(例えば特許文献1)。
特開平7−76229公報
この従来例にかかる装置では、筒状部材とオイルポンプのインナギヤとの接続部に、インナギヤの回転に伴う回転振動が直接伝わるため、筒状部材が振動して異音の発生源となるおそれがある。
そこで、本発明は、入力軸に設けた筒状部材でオイルポンプを駆動させるようにした自動変速機において、筒状部材の振動を抑えて異音を発生させないようにすることを目的とする。
本発明は、駆動用モータとオイルポンプと同駆動用モータに連結された変速機とが軸方向に沿って順に隣接して配置された自動変速機において、前記駆動用モータのロータ部材と前記変速機の入力部材とを連結する入力軸と、前記ロータ部材の前記入力軸との連結部近傍から前記オイルポンプ方向に前記ロータ部材に一体的に突設され外周側をベアリングにて支持された円筒部と、前記入力軸と前記円筒部との間に挿入され、前記駆動用モータ側の端部の内周面が前記入力軸に連結されると共に外周面が前記ロータ部材の内周面に支持され、前記変速機側端部の外周面がオイルポンプのインナギヤに連結され、さらに前記変速機側端部の近傍の外周面がオイルポンプハウジングの内周面に相対回転可能に支持された筒状部材と、を備え、前記筒状部材は、前記ロータ部材の内周面に支持された支持部と、前記変速機側の前記オイルポンプハウジングによる支持部との間の略中間位置に設けた弾性部材を介して、前記円筒部の内周面で支持されている構成とした。
弾性部材により振動が吸収されるので筒状部材の振動が抑えられると共に、筒状部材の外側に配置された部材への振動伝達が防止されるので、異音の発生を防止できる。
以下、本発明に係る自動変速機における筒状部材の支持構造を、入力軸の回転をオイルポンプのインナギヤに伝達する円筒形状のオイルポンプ駆動シャフトに適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施形態に係る支持構造を採用した自動変速機の部分拡大図である。図2は、オイルポンプ駆動シャフトに作用する応力を説明する図である。
自動変速機1では、自動変速機1の入力軸10の軸方向に沿って、図中左側(図示しないエンジン側)から順に、モータMと、オイルポンプOPとが隣接して設けられており、オイルポンプ駆動シャフト70は、入力軸10に外挿されている。
モータMは、変速機ケースの図示しない内周面に設けられたステータ21と、ステータ21と対面配置されたロータ22とから構成され、ロータ22は、ロータ支持部23と後記する伝達シャフト12とを介して、入力軸10と一体回転可能に連結されている。
ロータ支持部23は、オイルポンプ駆動シャフト70に外挿された回転軸部24と、回転軸部24のオイルポンプOP側の端部から径方向外側に延びる延出部25と、ロータ22が固定された支持部26とから構成される。
回転軸部24は、オイルポンプOP側に延びる延出部27と、延出部27とは反対側の端部から径方向内側に延びる延出部28とを備え、延出部28は、その内周面でオイルポンプ駆動シャフト70の外周面とインロー嵌合している。
延出部27の外周面27aは、ラジアルベアリング35を介して、仕切壁30の内径側の支持部31で回転可能に支持されている。内周面27bは、オイルポンプ駆動シャフト70の外周面との間に微細な隙間をあけて配置されている。
仕切壁30のオイルポンプOP側の面には、入力軸10の軸心Oを中心とするリング形状の突出部32が設けられており、突出部32の先端側は、後記するオイルポンプOPのオイルポンプハウジング50の外周面51と全周に亘ってインロー嵌合している。
仕切壁30において、支持部31から、突出部32のオイルポンプハウジング50の外周面51とインロー嵌合する先端部まで範囲は、薄肉かつ均一な厚みで形成されており、弾性変形可能とされている。
特に、仕切壁30の支持部31から突出部32までの薄肉部33は、支持部31から入力軸10の径方向に延出すると共に、途中位置の屈曲部33aでモータMから離れる方向に折り曲げられており、この屈曲部33aを挟む薄肉部33全体の距離を長くすることで、より容易に弾性変形するようになっている。
オイルポンプOPは、モータM側のオイルポンプハウジング50とオイルポンプカバー40との間に形成されたギヤポンプであり、インナギヤ60とアウタギヤ61とが偏心した状態で噛み合うことで油圧を発生するようになっている。
オイルポンプカバー40は、軸方向から見て円盤形状を有しており、外周面に設けた嵌合部41を、変速機ケース11に内嵌させて設けられている。
オイルポンプカバー40の中央部には、自動変速機1の入力軸10を挿通させる開口42が設けられており、オイルポンプカバー40のモータM側の面には、入力軸10の軸心Oを中心とするリング形状の周壁部43が設けられている。
周壁部43の内径は、オイルポンプハウジング50の外径と整合する大きさとされており、オイルポンプハウジング50は、外周面51を周壁部43に内嵌させて、オイルポンプカバー40に組み付けられている。
オイルポンプハウジング50の中央部には、オイルポンプ駆動シャフト70を挿通する開口54が設けられており、この開口54よりもモータM側の拡径部55内には、オイルシール63が挿入されている。
図2に示すように、オイルポンプ駆動シャフト70は、入力軸10に外挿されて、モータMの回転軸部24と重なる位置からインナギヤ60と噛み合う位置までの範囲に設けられている。
オイルポンプ駆動シャフト70の一端側の連結部71は、外周面71aをインナギヤ60の内周面60aと二面幅嵌合させており、オイルポンプ駆動シャフト70は、インナギヤ60と一体に入力軸10の軸心O(図1参照)周りに回転可能とされている。
オイルポンプ駆動シャフト70の他端側の縮径部72は、その端部側の内周面72aで、入力軸10の外周面とスプライン嵌合しており、オイルポンプ駆動シャフト70は入力軸10と一体に、入力軸10の軸心O(図1参照)周りに回転可能とされている。
オイルポンプ駆動シャフト70の軸方向の中央部73の外周面には、周方向の全周に亘って凹溝74が形成されている。凹溝74内には、Oリング64が一部を中央部73の表面に露出させた状態で配置されており、中央部73のOリング64近傍領域と、回転軸部24の延出部27との間には、微細な隙間が設けられている。
オイルポンプ駆動シャフト70は、軸心ぶれを防止するために、連結部71から縮径部72までの間に設けた少なくとも2カ所の支持点で支持されている。
具体的には、オイルポンプ駆動シャフト70は、連結部71に隣接する被支持部75が、ブッシュ62を介してオイルポンプハウジング50で支持されていると共に、縮径部72の端部側の外周面72bが、回転軸部24の延出部28とインロー嵌合して支持されている。
ここで、インナギヤ60の回転に伴う回転振動は連結部71に入力されるので、インナギヤ60と連結部71との連結部分をオイルポンプOP側から入力される振動の作用点Cとすると、オイルポンプ駆動シャフト70の二つの支持点S1、S2(延出部28にインロー嵌合で支持された部分S1と、ブッシュ62で支持された部分S2)が節となる。
この場合、作用点Cに径方向(矢印Xで示す)に向かう振動が作用すると、二つの支持点S1、S2の間の部分Y(中央部73)にたわみが生じ、この部分Yに径方向に向かう振動が生じる。その結果、中央部73が、オイルポンプ駆動シャフト70の外側に配置された回転軸部24の延出部27と接触して、異音を発生するようになる。
本実施形態では、オイルポンプ駆動シャフト70の軸方向で、二つの支持点S1、S2の間の振幅が最大となる位置であって、外側に配置された回転軸部24の延出部27に対向する位置Yに、Oリング64(弾性部材)を設けて振動を緩衝させることで、振動の回転軸部24側への伝達と、異音の発生を防止するようにしている。
図1に示すように、入力軸10は、エンジンまたはモータMから入力される回転を、図示しない変速機構部側に伝達するために、オイルポンプカバー40の開口42と、オイルポンプハウジング50の開口54とを貫通して設けられており、エンジン側の突出部10aは、オイルポンプ駆動シャフト70よりも、エンジン側に突出している。
この入力軸10の突出部10aには、エンジン側から入力される回転を入力軸10に伝達する伝達シャフト12の内周面がスプライン嵌合されている。
回転軸部24のエンジン側の周縁は、エンジン側に延出させて、周壁部29とされており、入力軸10と周壁部29の間に挿入されたフランジ部12bは、周壁部29との接続部で溶接により接合されている。
伝達シャフト12の外周面12aは、ラジアルベアリング36を介して変速機ケースの固定部材13で回転可能に支持されている。
ここで、実施形態におけるオイルポンプ駆動シャフト70が発明における筒状部材に相当し、Oリング64が弾性部材に相当する。
以上の通り、本実施形態では、駆動用モータMとオイルポンプOPと駆動用モータMに連結された変速機とが軸方向に沿って順に隣接して配置された自動変速機1において、駆動用モータMのロータ部材22と変速機の入力部材とを連結する入力軸10と、ロータ部材22に一体的に形成されると共にロータ部材22の入力軸10との連結部近傍からオイルポンプOP方向に突設されて外周側をベアリング35にて支持された円筒状の延出部27と、入力軸10と延出部27との間に挿入され、駆動用モータM側の端部72の内周面72aが入力軸10に連結されると共に外周面72bがロータ部材22の内周面に支持され、変速機側端部71の外周面71aがオイルポンプOPのインナギヤ60に連結され、さらに変速機側端部71の近傍の外周面がオイルポンプハウジング50の内周面に相対回転可能に支持された筒状部材であるオイルポンプ駆動シャフト70と、を備え、オイルポンプ駆動シャフト70は、ロータ部材22の内周面に支持された支持部S1と、変速機側のオイルポンプハウジング50による支持部S2との略中間位置Yに設けた弾性部材であるOリング64を介して、円筒状の延出部27の内周面27bで支持されている構成とした。
インナギヤ60の回転に伴う回転振動がオイルポンプ駆動シャフト70の一端側の連結部71に入力された際に、オイルポンプ駆動シャフト70の軸方向において、入力された振動により振幅が最大となる位置YにOリング64が設けられていることになるので、オイルポンプ駆動シャフト70の振動がOリング64により吸収される。よって、オイルポンプ駆動シャフト70の外側に配置された回転軸部24側への振動伝達を抑えて、異音の発生を防止することができる。これにより、異音対策用の防振ゴムを別途設けること成しに防振対策が行えるようになる。また、Oリング64が回転軸部24の延出部27側に付勢されて、Oリング64がオイルシールとしての役割を担うことができる。

前記実施形態では、入力軸の軸方向に沿ってモータとオイルポンプとが設けられた自動変速機の場合を例に挙げて説明をしたが、本発明に係る支持構造は、オイルポンプのインナギヤに回転を伝達するための筒状部材が設けられた自動変速機であれば、実施形態に記載された構成の自動変速機のみに限定されず、種々の自動変速機に適用可能である。
実施形態の支持構造を採用した自動変速機の要部断面図である。 オイルポンプ側から入力される振動により振動振幅が最大となる位置を説明する図である。
符号の説明
1 自動変速機
10 入力軸
11 変速機ケース
12 伝達シャフト
13 固定部材
24 回転軸部
31 支持部
32 突出部
35 ラジアルベアリング
36 ラジアルベアリング
40 オイルポンプカバー
50 オイルポンプハウジング
60 インナギヤ
61 アウタギヤ
62 ブッシュ
64 Oリング(弾性部材)
70 オイルポンプ駆動シャフト(筒状部材)
71 連結部
72 縮径部
73 中央部
74 凹溝(溝部)
75 被支持部
M モータ
OP オイルポンプ

Claims (2)

  1. 駆動用モータとオイルポンプと同駆動用モータに連結された変速機とが軸方向に沿って順に隣接して配置された自動変速機において、
    前記駆動用モータのロータ部材と前記変速機の入力部材とを連結する入力軸と、
    前記ロータ部材の前記入力軸との連結部近傍から前記オイルポンプ方向に前記ロータに一体的に突設され外周側をベアリングにて支持された円筒部と、
    前記入力軸と前記円筒部との間に挿入され、前記駆動用モータ側の端部の内周面が前記入力軸に連結されると共に外周面が前記ロータ部材の内周面に支持され、前記変速機側端部の外周面がオイルポンプのインナギヤに連結され、さらに前記変速機側端部の近傍の外周面がオイルポンプハウジングの内周面に相対回転可能に支持された筒状部材と、を備え、
    前記筒状部材は、前記ロータ部材の内周面に支持された支持部と、前記変速機側の前記オイルポンプハウジングによる支持部との間の略中間位置に設けた弾性部材を介して、前記円筒部の内周面で支持されていることを特徴とする自動変速機における筒状部材の支持構造
  2. 前記弾性部材は、前記筒状部材の外周面に周方向に沿って設けたOリングであることを
    特徴とする請求項1に記載の自動変速機における筒状部材の支持構造。
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