JP4615752B2 - 断熱pcコンクリート板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外断熱を考慮した共同住宅、病院等の建築物の壁、柱、梁などに取り付けられる断熱PC(プレキャスト)コンクリート板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬場、壁がじっとり濡れる結露に悩まされる住宅は多い。目に見えない壁内部の結露も、かびの発生やアレルギーにつながるため、これらを防ぐための外断熱工法が注目を集めている。住宅、病院等の建築物の壁などをすっぽり断熱材で外側からくるむため、建物を長持ちさせる効果がある。このような外断熱工法として、予め工場で製造された断熱PC板を建物の壁等に取り付ける技術が種々提案されている。
【0003】
従来、2層式断熱PC板は、通常、1層目のコンクリートを打設した後、フレッシュコンクリートの上に直接、溝付き断熱材を敷設して2層目のコンクリートを打設している。これにより、建物の外板となるPC板、通気層、断熱材、及び建物側に位置する内板となるPC板をこの順序で積層したものが形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の2層式断熱PC板の製造方法は、断熱材が2層目のコンクリート打設の際に圧縮されるため、断熱層の性能が低下する。また、溝により通気層は形成されるものの、部分的であり、全面通気層には通気性の点で大きく劣る。更に、断熱材の縮みにより2層目のコンクリートの厚みが厚くなり易く、寸法精度の確保や重量管理が不十分となる。
【0005】
従って、本発明の目的は、断熱材が圧縮されることがなく、且つ全面通気層を確保できるため、結露が起こらない寸法精度の高い断熱PCコンクリート板を提供するものであり、また、断熱材を圧縮することなく、全面通気層を確保しながら、PC工場での作業を簡略化でき、工期の短縮が可能な断熱PCコンクリート板の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであって、高さが外板の厚みと同じで座部を内側とする腰掛け具を配する外板プレキャストコンクリート板、通気層、断熱材、断熱材を接着する穴空き板及び内板プレキャストコンクリート板をこの順序で積層してなり、前記穴空き板には、連結具貫通穴と多機能穴が形成され、前記外板プレキャストコンクリート板と前記内板プレキャストコンクリート板は前記連結貫通穴を通る連結具で固定され、前記穴空き板は、該穴空き板の多機能穴に一端が固定され、他端が断熱材を貫通して通気層分が突出したスペーサーボルトの先端を前記腰掛け具の座部に当接させることで設置される断熱PCコンクリート板を提供するものである。この断熱PCコンクリート板は穴空き板とスペーサーボルトで該穴空き板と外板PC板との間に断熱材層と通気層を形成するため、断熱材が圧縮されることがなく、安価で高性能の軟質断熱材を使用することができ、且つ全面通気層を確保できるため、結露が起こらず、寸法精度も高い。また、外板と内板の結合は4〜8個程度の連結具のみであり、ヒートブリッジによる熱損失を最小限にすることができる。
【0007】
また、本発明は、上方が開放された箱状の型枠の底部の所定位置に、腰掛け具、連結具及びメッシュ状の外板壁筋を配置し、その後コンクリートの打設を行い外板を形成する第1工程、第1工程で形成された外板上に、予め、断熱材を外側の面に接着し、更に、断熱材を貫通して通気層分が外側に突出したスペーサーボルトを固定し、且つ連結具貫通穴を形成した穴空き板を、前記連結具貫通穴に前記連結具を挿通しつつ、前記腰掛け具の座部に前記スペーサーボルトの先端が当接するように配置する第2工程、前記穴空き板の上方の所定位置にメッシュ状の内板壁筋を配置し、該メッシュ状の内板壁筋と前記連結具を固定し、その後コンクリートの打設を行い内板を形成する第3工程、を行う断熱PCコンクリート板の製造方法を提供するものである。この方法によれば、予め、断熱材を接着した穴空き板を使用するため、製造工程を簡素化し、1日1サイクルの製造が可能となり、製作コストを削減することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態における断熱PCコンクリート板を図1〜図5を参照して説明する。図1は本例の断熱PCコンクリート板の一部を切り欠いて示す断面図、図2は腰掛け具の斜視図、図3は断熱材が接着された穴空き板の裏面から見た斜視図、図4は連結具の設置状態図、図5は吊り金具の分解斜視図をそれぞれ示す。図1中、断熱PCコンクリート板10は、高さが外板1の厚みと同じで座部91を内側とする腰掛け具9を配する外板プレキャストコンクリート板1、通気層2、断熱材3、断熱材3を接着する穴空き板6及び内板プレキャストコンクリート板4をこの順序で積層してなり、穴空き板6には、連結具貫通穴8と多機能穴15が形成され、外板プレキャストコンクリート板1と内板プレキャストコンクリート板4は連結貫通穴8を通る連結具5で固定され、穴空き板6は、穴空き板6の多機能穴15に固定され、断熱材3を貫通して通気層分が突出したスペーサーボルト7の先端72を腰掛け具9の座部91に当接させることで設置されるものである。また、建物の外板となるPC板1の外側面には、必要に応じて配置されるタイル等18が付設されている。
【0009】
腰掛け具9は板状の座部91と先端部に切り欠きを設けて当接部を極力小さくした脚部92、92からなるものであれば、特に制限されず、長椅子状や短椅子状のものが組み合わせて使用される。腰掛け具9の高さは外板PC板1の厚みと同じ寸法とし、外板PC板1を打設する際の定規となるものであり、且つ後述する穴空き板6を設置する際、スペーサーボルト7の先端72が当接する部分93を形成するものである。スペーサーボルト7の先端が当接する部分は、本例では座部91と、脚部92を接合するリベットの上面であるが、これに限定されず、座部91の上面ならいずれの箇所であってもよい。
【0010】
穴空き板6は、平板に連結具5を遊嵌する貫通穴8と、スペーサーボルト7や吊り金具16が固定される多機能穴15を備え、ぞれぞれ複数個数備えるものである。穴空き板6の外側の面には断熱材3が接着剤等で接着されると共に、多機能穴15に一端がナット締めされ、他端が断熱材3を貫通して通気層分71が突出したスペーサーボルト7が付設される。また、多機能穴15には、後述する穴空き板6のレベルを調整するための吊り金具16が取り付けられていてもよい。吊り金具16は例えば、図5に示すように、袋ナット部163を付設した天板162と、先端に雄螺子を形成した棒部材161からなり、穴空き板6の外側から袋ナット部163を多機能穴15に通し、穴空き板6の内側から棒部材161を螺合にて固定されてなる。多機能穴15は、穴空き板6に多数形成され、スペーサーボルト7や吊り金具16が設置されない場合、該穴は内部からの湿気を逃がす通気穴として機能し、更にコンクリートとの接着性を高める機能を有する。スペーサーボルト7の設置数は、適宜決定されるが、余り多すぎると、寸法精度は高められるが、断熱効果が弱まり、余り少なすぎると、熱損失は抑制できるものの、穴空き板6を支持する強度が弱まり、吊り金具16を設置することになる。穴空き板6の材質としては、特に制限されないが、モルタル板が使用できる。
【0011】
穴空き板6に一端が固定され、他端が断熱材3を貫通して通気層分71が突出したスペーサーボルト7の先端を腰掛け具9の座部93に当接させることで、断熱材3と外板PC板1間に通気層2が形成される。このような構造を採れば、断熱材が圧縮されることがなく、安価で高性能の軟質断熱材を使用することができる。また、外板PC板1と断熱材3の間はほぼ完全に離間させた全面通気層を確保できるため、結露が起こらず、結露に起因するカビの発生に伴う外装材の汚損などを防止することができる。更に、寸法精度も高くなる。
【0012】
連結具5は、穴空き板の貫通穴8を通って、外板PC板1と内板PC板4をそれぞれ固定するものである。本例ではステンレス又は炭素繊維の中空角材が使用され、外板PC板1内では予め連結具5に接合されたアンカー筋17aとメッシュ状壁筋12が結束され、内板PC板4内で後付けアンカー筋17bとメッシュ状壁筋13aが結束により固定されている。図1の断熱PC板は、内板PC板4に厚みがあるため、2枚のメッシュ状壁筋13a、13bを敷設しているが、アンカー筋17bとの接合は他方のメッシュ状壁筋13bであってもよい。また、連結具5の中空部はコンクリートであっても、断熱材であってもよいが、周りの断熱材3と対応するレベルには断熱材を挿入したものが断熱効果を高める点で好ましい。また、連結具5と穴空き板6の隙間は、内周形状がほぼ連結具5の外周形状と同じ首巻き型枠14で封止することが、コンクリート打設時のノロ漏れを防止できる点で好ましい。また、連結具5の外側端面には、モルタルスペーサ51を設置しておくことが、外部の熱が連結具5へ伝わることを防止できると共に、耐火のためのかぶり厚さを確保できる点で好ましい。
【0013】
次に、本例の断熱PCコンクリート板の製造方法について図を参照して説明する。本例の断熱PCコンクリート板は次の第1工程から第3工程を実施することで製造することができる。すなわち、第1工程は、上方が開放された箱状の型枠11の底部の所定位置に、腰掛け具9、連結具5及びメッシュ状の外板壁筋12を配置し、その後コンクリートの打設を行い外板1を形成する工程である。型枠11の底部への腰掛け具9の配置は、例えば、図6に示すように、脚部92を底部に付け縦方向に隙間無く並べ、これを所定の間隔で複数列配置する形態のものが使用できる。該縦配列内に、連結具5が入る場合には、当該連結具5のスペースを開けて配置される。腰掛け具9とメッシュ状の外板壁筋12とが交差する場合、メッシュ状の外板壁筋12を腰掛け具9の下に潜り込ませる。連結具5は上方のアンカー筋17bが外された状態でモルタルスペーサ51の上に設置され、下方で予め連結具5に接合されたアンカー筋17aとメッシュ状の外板壁筋12とが結束される。コンクリートの打設は、腰掛け具9の高さまで行われ、腰掛け具9が一種の定規の役割を果たすことから、外板の正確な厚さを確保することができる。従来、コンクリートの打設後、蒸気養生を行いコンクリートの硬化を待って、次工程に移っていたが、本例では穴空き板に固定されたスペーサボルトが腰掛け具と当接するため、コンクリートが生乾きの状態であっても次工程に移れ、製作時間が一層短縮できる。第1工程において、外板1の外側にタイルを付設する場合、型枠11の底部に予めタイルを敷いておき、その後、腰掛け具9やメッシュ状の外板壁筋8を配置すればよい。
【0014】
第2工程は、第1工程で作成された外板1上に、予め、断熱材3を外側の面に接着し、且つスペーサーボルト7の一端を固定し、他端を突出させた穴空き板6を、穴空き板6の連結具貫通穴8に連結具5を挿通しつつ、腰掛け具9の座部91にスペーサーボルト7の先端72が当接するように配置して、断熱材3と通気層2を同時に形成する工程である。穴空き板6は、前述した通りのものが使用される。すなわち、穴空き板6の外側の面には断熱材3が接着剤等で接着されると共に、多機能穴15に一端がナット締めされ、他端が断熱材3を貫通して通気層分71が突出したスペーサーボルト7が付設される。このような構造を有する穴空き板6は型枠の機能を奏するものであるが、スペーサーボルト7の支持間隔が広い場合には、吊り金具16を用いて穴空き板6を吊り上げ、コンクリート打設に伴う穴空き板6の撓みを防止する。すなわち、断熱材3を接着する前に、吊り金具16を多機能穴15に取り付け、スペーサーボルト7付き穴空き板6をセットした後、吊り金具16を型枠の外の固定装置に留めればよい。次いで、穴空き板6と連結具5の間に生じた隙間81を埋めるため、首巻き型枠14を連結具5上方から入れ込んで設置する。首巻き型枠14は矩形状の鍔であるため、そのままの設置でよく、溶接などは不要である。
【0015】
第3工程は、穴空き板6の上方の所定位置にメッシュ状の内板壁筋13a、13bを配置し、メッシュ状の内板壁筋13aと連結具5を固定し、その後コンクリートの打設を行い内板を形成する工程である。この第3工程で、連結具5のアンカー筋17bを取付け、このアンカー筋17bとメッシュ状の内板壁筋13aを結束することにより、連結具5を固定する。連結具5の上部アンカー筋17bは当初外してあるので、メッシュ状の内板壁筋13a、13bの取付けが容易である。コンクリートの打設後、蒸気養生を行うことが、硬化を促進し製造時間を短縮できる点で好ましい。蒸気養生は型枠11の上面をシートで覆い、コンクリート周りを蒸気雰囲気に数時間保持するようにすればよい。最後に外板PC板から突出する吊り金具の不要部分を切断する。
【0016】
図7に外断熱用外壁断熱PCコンクリート板の製作工程表を示すが、脱型から型枠のセットまで約2時間弱かかり、外板PC板の製作で約4時間強かかる。この外板PC板の製作工程では、別途並行して、穴空き板にスペーサーボルト、吊り金具及び断熱材を付設することができる。そして、次工程の内板PC板の製作工程は約3時間半かかり、その後、翌朝まで養生工程が入る。このように、断熱PCコンクリート板の製造は、PC工場内で製造日数が1日と比較的簡易に且つ短期間で行える。上記方法で製造された断熱PCコンクリート板は、例えば、高さ及び幅寸法が共に、3〜4m の大きさであり、これを複数製造し現場に搬入して、外断熱を考慮した共同住宅、病院等の建築物の壁、柱、梁等に取り付ける。
【0017】
【発明の効果】
本発明の断熱PCコンクリート板は、穴空き板とスペーサーボルトで該穴空き板と外板PC板との間に断熱材層と通気層を形成するため、断熱材が圧縮されることがなく、安価で高性能の軟質断熱材を使用することができ、且つ全面通気層を確保できるため、結露が起こらなず、寸法精度も高い。また、外板と内板の結合は連結具のみであり、ヒートブリッジによる熱損失を最小限にすることができる。また、本発明の断熱PCコンクリート板の製造方法によれば、予め、断熱材を接着した穴空き板を使用するため、製造工程を簡素化し、1日1サイクルの製造が可能となり、製作コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本例の断熱PCコンクリート板の一部を切り欠いて示す断面図である。
【図2】腰掛け具の斜視図である。
【図3】断熱材が接着された穴空き板の裏面から見た斜視図である。
【図4】連結具の設置状態図である。
【図5】吊り金具の分解斜視図である。
【図6】枠体に腰掛け具を配置する状態を示した図である。
【図7】外断熱用外壁断熱PCコンクリート板の製作工程表である。
【符号の説明】
1 外板であるPCコンクリート板
2 通気層
3 断熱材
4 内板であるPCコンクリート板
5 連結具
6 穴空き板
7 スペーサーボルト
8 貫通穴
9 腰掛け具
10 断熱PCコンクリート板
11 型枠
12 外板壁筋
13a、13b 内板壁筋
14 首巻き枠体
15 多機能穴
16 吊り金具
17 アンカー筋
18 タイル
71 スペーサーボルトの突出部(通気層分)
72 スペーサーボルトの先端
91 座部

Claims (4)

  1. 高さが外板の厚みと同じで座部を内側とする腰掛け具を配する外板プレキャストコンクリート板、通気層、断熱材、断熱材を接着する穴空き板及び内板プレキャストコンクリート板をこの順序で積層してなり、前記穴空き板には、連結具貫通穴と多機能穴が形成され、前記外板プレキャストコンクリート板と前記内板プレキャストコンクリート板は前記連結貫通穴を通る連結具で固定され、前記穴空き板は、一端が該穴空き板の多機能穴に固定され、他端が断熱材を貫通して通気層分が突出したスペーサーボルトの先端を前記腰掛け具の座部に当接させることで設置されることを特徴とする断熱PCコンクリート板。
  2. 前記連結具は中空の角材であり、前記外板のプレキャストコンクリート板の壁筋と、前記内板のプレキャストコンクリート板の壁筋に固定されることを特徴とする請求項1記載の断熱PCコンクリート板。
  3. 上方が開放された箱状の型枠の底部の所定位置に、腰掛け具、連結具及びメッシュ状の外板壁筋を配置し、その後コンクリートの打設を行い外板を形成する第1工程、
    第1工程で形成された外板上に、予め、断熱材を外側の面に接着し、更に、断熱材を貫通して通気層分が外側に突出したスペーサーボルトを固定し、且つ連結具貫通穴を形成した穴空き板を、前記連結具貫通穴に前記連結具を挿通しつつ、前記腰掛け具の座部に前記スペーサーボルトの先端が当接するように配置する第2工程、
    前記穴空き板の上方の所定位置にメッシュ状の内板壁筋を配置し、該メッシュ状の内板壁筋と前記連結具を固定し、その後コンクリートの打設を行い内板を形成する第3工程、を行うことを特徴とする断熱PCコンクリート板の製造方法。
  4. 前記穴空き板に断熱材を接着する前に、該穴空き板に吊り金具を該吊り金具の先端が内側に突出するように固定しておき、前記第2工程の後に、前記吊り金具を外部の固定装置に留め、次いで、第3工程を行うことを特徴とする請求項3記載の断熱PCコンクリート板の製造方法。
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