JP4614755B2 - ミシン - Google Patents
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Description
また、第2の方法においては、縫製終了後に縫い針を強制的に上昇させると、図15に示すように、縫い目に張力を付与する天秤503が下降し、この天秤503と縫い針504とに掛け渡された糸505が弛んでしまう(図15の二点鎖線にて図示)。これにより、ワイパーで縫製物から糸505を抜こうとしてもワイパーが糸505を引く力は弛んだ糸505を縫い針504の針先から引き出すために使われてしまい、縫製物から糸505を確実に抜くことができなかった。また、針先から引き出された糸505が邪魔となって縫製物のセットがしにくかった。さらに、図16に示すように、縫製開始時に天秤503が下降した分上昇して糸505を引き上げることにより、糸505が縫い針504から抜けてしまう(図16の二点鎖線にて図示)という問題があった。
ここで、所定高さとは、縫い針と中押えの間をワイパーが横切ることができる中押えの針板からの高さをいう。
また、請求項1に記載の発明によれば、駆動制御手段により、駆動装置は、中押えの初期位置が縫い針と中押えの間にワイパーが横切ることができる必要最小限の間隔が形成される基準高さを超えている場合に中押えを下降させるので、中押えの初期位置が基準高さよりも低い位置にあれば、駆動装置は中押えを下降させない。これにより、縫い針と中押えの間にワイパーが横切ることができる間隔を形成することが必要な場合だけ中押えを駆動させるので、中押えの無駄な動作を無くすことができ、縫製サイクルを短縮することができる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、縫い針と中押えの間にワイパーが横切ることができる間隔を形成することが必要な場合だけ中押えを駆動させるので、中押えの無駄な動作を無くすことができ、縫製サイクルを短縮することができる。
<ミシンの構成>
ミシンMは、図1〜図6に示すように、中押さえ装置100と、ワイパー装置200とを備えている。
(1)中押え装置の構成
中押え装置100は、図1〜図3に示すように、先端に縫い針1が設けられた針棒1bを上下方向に駆動させる上軸2に設けられている。上軸2には偏心カム3が固定され、この偏心カム3には接続リンク4が連結されている。接続リンク4には揺動軸抱き5が連結され、揺動軸抱き5には揺動軸6の一端部が連結されている。
揺動軸6の他端部には中押え29の上下方向D1の移動量を調節する中押え調節腕7の基端部が固定されている。中押え調節腕7には溝カム7aが形成されている。この溝カム7aは弧状の長孔になっており、この溝カム7aの所望の位置と第1リンク8の一端部とが調節ナット9と段ねじ10により回動自在に固定される。この固定位置は揺動軸6の軸芯線と交差する位置からこの交差位置より中押え調節腕7の一端側の所定位置の範囲までの間に形成され、この範囲内で所望に調節することができる。
位置決めリンク13は、その中央部近傍で段ねじ14によりミシンフレーム15に回動自在に取り付けられ、段ねじ14の位置は、中押え29が下死点にあるときの段ねじ12の位置と一致する。
第4リンク22の他端部には、リンク中継板25が段ねじ26により連結されている。リンク中継板25には中押え棒抱き27が固定されており、中押え棒抱き27には上下方向に延びる中押え棒28が保持されている。中押え棒28の下端部には、縫い針1を縫製物から抜く際に縫製物を針板に向けて押さえ付ける中押え29が取り付けられている。中押え棒28の上端部にはコイルばね30が設けられており、ボルト31及びナット32により中押え棒抱き27に取り付けられている。
角駒33は、段ねじ23と、第3リンク20と第4リンク22の連結部P3との隙間をうめるスペーサの役割を果たしており、各リンクのがたつきを防ぎ、各部材を円滑に駆動させる。
中押え昇降カム45は、図4〜図6に示すように、回動中心を通る中心線を境に一方は、回動中心から外周面までの距離がほぼ同一の円弧状に形成され(以下、維持部45aという。)、他方は、回動中心から外周面までの距離が、維持部45aにおける回動中心から外周面までの距離よりも大きく、かつ、滑らかに変化する形状(以下、変化部45bという。)とされている。
ワイパー装置200は、図1,図7〜図10に示すように、ミシンフレーム15内に設けられたソレノイド(図示略)と、このソレノイドに連結された複数の連結リンク201と、この連結リンク201の先端に連結された揺動リンク202と、揺動リンク202に連結されたカム部材203と、カム部材203を回転させる軸部材204と、軸部材204に基端部が連結されたワイパー205とを備えている。
すなわち、ソレノイドの駆動が連結リンク201を介して揺動リンク202に伝達されると、揺動リンク202は上下方向に揺動し、揺動リンク202の上下方向への揺動がカム部材203により回転運動に変換され、軸部材204を回転させる。軸部材204の回転により、ワイパー205は、図8に示すように、基端部を回動中心として先端部が回動する。ワイパー205の先端部には、図9に示すように、鉤状に形成された糸払部205aが形成され、この糸払部205aは未使用時に中押え29と縫い針1との間の糸Tの側方に位置し、揺動リンク202が揺動してワイパー205を使用する際には、図8及び図10に示すように、その先端部が中押え29と縫い針1の間を横切って上昇するようになっている。ワイパー205の先端部が中押え29と縫い針1の間を横切るとともに上方に回動することにより、鉤状に形成された糸払部205aが、中押え29に挿通された糸Tを引き上げて抜くことができるようになっている。
図11に示すように、ミシンMは、駆動制御手段としての制御装置300によって縫製動作、中押え29の下降動作等が制御される。制御装置300は、各種処理を行うCPU301と、プログラムやデータが記憶されたメモリ302と、を備えている。
メモリ302には、CPU301が処理を行う作業エリア303と、処理に用いるデータを記録するデータエリア304と、中押え装置100に各動作をさせるためのプログラムが記憶されたプログラムエリア305と、が形成されている。
データエリア304には、縫製を制御するための縫製データ304aが記憶されており、この縫製データ304aには針板からの縫い針1と中押え29の間をワイパー205が横切ることができる中押え29の針板からの高さデータが含まれている。具体的には、記憶されている高さは、縫い針1と中押え29の間にワイパー205が横切ることができる必要最小限の間隔が形成される基準高さデータが記憶されている。
プログラムエリア305には、縫製終了後に中押え29が基準高さよりも高い位置にある場合に中押え29を基準高さを超えた分だけ下降させる機能を実現する駆動制御プログラム305aが記憶されている。言い換えると、駆動制御プログラム305aは、縫製終了後に中押え29が基準高さよりも高い位置にあるときだけ中押え29を基準高さまで下降させる機能を実現させる。なお、縫製終了後の中押え29の高さも縫製データ304aに中押え高さデータとして記憶されており、CPU301は縫製データ304aから基準高さデータと中押え高さデータを読み取ることにより、両データの比較を行うことができるようになっている。
次に、上述の構成を有する中押え装置100の動作について説明する。
上軸モータ(図示略)を駆動させて偏心カム3を回動させると、接続リンク4の先端は上軸2の軸線に略直交する方向(第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3)に揺動し、接続リンク4に連結された揺動軸抱き5も同方向に揺動する。揺動軸抱き5が揺動することにより、揺動軸6も揺動するため、第1リンク8の一端部が揺動支点となって第1リンク8の他端部が揺動軸6の軸線に略直交する方向(第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3)に揺動する。第1リンク8の他端部の揺動に伴い、第2リンク11の他端部は第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に揺動し、第2リンク11の他端部に連結された第3リンク20及び第4リンク22は、その直列方向(上下方向)D2に揺動する。第3リンク20及び第4リンク22の揺動に伴い、第4リンク22に連結された中押え棒28は上下方向D1に沿って下方に移動するため、中押え29も上下方向に移動する。
次に、ワイパー装置200を用いて中押え29に挿通された糸を抜く動作について説明する。
図12に示すように、縫製物の縫製が終了して糸が切断されると(ステップS1)、糸の切断から少し遅れて上軸2が停止し、縫い針1及び中押え29の駆動が停止する(ステップS2)。すると、CPU301は、駆動制御プログラム305aを実行することにより、CPU301はデータエリア304に記憶された縫製データ304aを読み取り、縫製終了後の中押えデータと基準高さデータを比較し、中押え高さが基準高さ(例えば、針板からの高さが2mm)よりも高いか否かを判断する(ステップS3)。ここで、中押え高さが基準高さよりも高い位置にある場合(ステップS3:YES)、CPU301は、中押え高さと基準高さの差分だけ中押え29を下降させる駆動信号をモータ42に送信する。そして、モータ42は、受信した駆動信号に基づいて中押え29を下降させる(ステップS4)。一方、中押え高さが基準高さよりも低い位置にある場合(ステップS3:NO)、CPU301は、モータ42に対して駆動信号を送信することはなく、ステップS5の処理に移る。
このような手法で、中押え29を基準高さとなる位置に移動させた後、CPU301はソレノイドに駆動信号を送信する(ステップS5)。ソレノイドは、受信した駆動信号に基づいて連結リンク201を駆動させ、連結リンク201の駆動により揺動リンク202は揺動し、揺動リンク202の揺動によりカム部材203が回転する。カム部材203の回転により、軸部材204は回転し、軸部材204の回転に伴い、ワイパー205は基端部を回動中心として先端部に形成された糸払部205aが中押え29と縫い針1の間を横切るように移動し、糸Tを縫い針1の上下方向に略直交する方向に引く。そして、ワイパー205が所定量以上移動することにより、中押え29に挿通された糸Tが抜かれる。
実施形態におけるミシンの中押え装置1によれば、CPU301が駆動制御プログラム305aを実行することにより、モータ42は縫製終了後に中押え29を基準高さまで下降させる。これにより、ワイパー205が中押え29に挿通された糸Tを抜く際に、縫い針1と中押え29との間を確実に横切ることができ、従来のように中押え29で糸Tを押さえ付けて縫い目の品質が低下したり、縫い針1に通された糸Tが弛んだり、縫製物からの糸抜きができなかったり、縫い針1から糸Tが抜けることがない。よって、縫い目の品質や縫製の作業性に悪影響を与えることなく、ワイパー205により糸Tを確実に中押え29から抜くことができる。また、基準高さを変えることにより、縫製物の厚さが変化しても柔軟に対応できる。
また、駆動制御プログラムによるモータの制御は、中押えを基準高さまで下降させるように構成しているが、基準高さよりも低い高さまで下降させるようにしてもよい。
また、中押えを下降させる時期は、縫製終了後及び縫製の最終縫い目開始時に限らず、縫製の最終縫い目開始時からワイパーの動作開始時までの間であればいつであってもよい。
また、ソレノイドによるワイパーの駆動機構、リンクの数等も自由に変更可能であり、中押えを下降させる際の基準高さも、ミシンの種類やワイパーの大きさ、機構によって自由に変更可能である。
29 中押え
42 モータ(駆動装置)
100 中押え装置
200 ワイパー装置
205 ワイパー
300 制御装置(駆動制御手段)
M ミシン
T 糸
Claims (4)
- 縫い針を縫製物から抜く際に縫製物を針板に向けて押さえ付ける中押えと、
縫製が終了して糸が切られた後に前記縫い針と前記中押えとの間を横切って前記中押えに挿通された糸を抜くワイパーと、
縫製時に前記中押えを上下動させる上軸モータと、
上下方向に沿った状態で一端部と他端部とが連結された、前記中押えに上下動を伝えるための二つのリンク体の連結部を上下方向を横切る方向に移動させることで前記中押えを上下動させる前記上軸モータとは別の駆動装置と、
縫製の最終縫い目開始時から前記ワイパーの動作開始時までの間に、前記中押えの初期位置が前記縫い針と前記中押えの間に前記ワイパーが横切ることができる必要最小限の間隔が形成される基準高さを超えている場合に、前記中押えを下降させるように前記駆動装置を制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とするミシン。 - 前記駆動制御手段は、縫製終了後に前記中押えを前記所定高さまで下降させるように前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
- 前記駆動制御手段は、縫製の最終縫い目開始時に前記中押えを前記所定高さまで下降させるように前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
- 前記駆動制御手段は、前記中押えの初期位置が前記縫い針と前記中押えの間に前記ワイパーが横切ることができる必要最小限の間隔が形成される基準高さを超えている場合に、当該基準高さを超えた分だけ前記中押えを下降させるように前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項3に記載のミシン。
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