JP4611928B2 - 石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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本発明は、石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、石炭ガス化工程において発生するガス洗浄排水中に含まれるシアン、金属類、COD成分などを効率よく除去し、水質の良好な処理水を得ることができる石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置に関する。
石炭をガス化して生成する水素、炭化水素、一酸化炭素などを含むガスを利用して、ガスタービンや燃料電池による発電が計画されている。石炭は、化石燃料の中で最も埋蔵量に富み、地球上における存在領域が広く、将来は火力発電用燃料の主力になると言われている。限られた化石燃料を有効に利用するために、従来型の火力発電に比べて効率の高いガスタービン発電と蒸気タービン発電を併用する石炭ガス化複合発電や、さらに燃料電池発電を組み入れた石炭ガス化燃料電池発電が注目されている。
石炭ガス化複合発電は、石炭を部分酸化することにより、一酸化炭素と水素を主成分とするガス燃料に変換する石炭ガス化炉、その生成ガスから煤塵、硫黄分などを除去するガス精製装置、その精製ガスを燃料とするガスタービン複合サイクル発電プラントを組み合わせた発電方式である。ガスタービン本体は、液化天然ガス焚きのガスタービンと同じものがそのまま使えることが石炭ガスに求められている。
図3は、石炭ガス化複合発電の一例の工程系統図である。この例においては、微粉炭搬送装置17から微粉炭が気流により搬送され、酸素とともに石炭ガス化炉18に送り込まれる。微粉炭は1,500〜1,800℃、2〜3MPaで部分酸化され、生成した一酸化炭素と水素を主成分とするガスは炉頂からシンガスクーラ19に送られる。発生したスラグは、炉底から排出される。ガスは、ダストフィルタ20を通過して煤塵が除去されたのち、水洗塔21において水により洗浄される。水洗塔で発生する排水は、排水処理装置22に送られる。水洗されたガスは、COS転換器23を経て脱硫塔24へ送られ、硫黄分が除去される。精製されたガスはガスタービン25に送られ、燃焼してタービンを駆動する。ガスタービンの排気は、排熱回収ボイラ26ヘ送られ、排熱が回収されて発生する蒸気により蒸気タービン27が駆動される。
水洗塔において発生する排水には、シアン、アンモニア、有機物などのCOD成分と、金属類が含まれるので、これらを除去して、放流可能な水質又は再利用可能な水質まで処理する必要がある。シアン化水素は猛毒であり、生物処理による除去は困難である。水洗塔の排水に含まれるCOD成分は、溶解状態で存在しているために、凝集沈澱や凝集加圧浮上処理などでは除去が困難である。次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤による処理では効率が悪く、COD成分の除去率は最大でも50%程度である。また、処理水に酸化剤が残留するために、後処理により残留する酸化剤を除去する必要が生ずる。水洗塔の排水に含まれるCOD成分は、活性炭にも極めて吸着されにくく、10〜20%程度の除去率にしか達しないために、実用的な処理法とは言えない。
処理装置の使用効率を向上させ、小型で処理能力の向上と省力化を図ることができ、設備コストと作業コストの低減が可能になるシアン廃液の処理方法として、シアン分解用圧力容器内に予熱したシアン廃液を連続的に供給し、この圧力容器内でシアン廃液を加熱加圧によって熱加水分解し、該圧力容器内から処理液を次工程へ連続的に取り出すシアン廃液の連続処理方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、シアンを連続的に処理することができるが、アンモニアやその他のCOD成分を分解することはできない。
アンモニアやCOD成分を分解する方法として、湿式触媒酸化がある。アンモニアとCOD成分を同時に除去することができ、操作が容易で実用上の経済性を備えた廃水の処理方法とて、アンモニア含有廃水を100〜370℃の温度かつ廃水が液相を保持する圧力に保ちつつ、ルテニウムなどをチタニア又はジルコニアに担持させた触媒の存在下かつ酸素を含有するガスの供給下に、廃水をpH8〜11.5で湿式酸化に供するとともに、湿式酸化後の液のpHが5〜8となるように湿式酸化反応系にアルカリ物質を供給するアンモニア含有廃水の処理方法が提案されている(特許文献2)。この方法では、石炭ガス化排水中に含まれる金属が、アンモニアやCOD成分の分解に伴って触媒表面上に付着し、触媒活性が低下する。
このために、石炭ガス化工程において、水洗塔で発生する排水を処理し、含まれるシアン、金属類、COD成分などを効率的に除去することができる石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置が求められていた。
特開平9−38632号公報(第2頁、図1) 特公昭59−29317号公報(第1−2頁、第1図)
本発明は、石炭ガス化工程において発生するガス洗浄排水中に含まれるシアン、金属類、COD成分などを効率よく除去し、水質の良好な処理水を得ることができる石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、シアン、金属類、COD成分などを含む石炭ガス化排水を、熱加水分解してシアンを分解し、シアノ錯体から分離析出した金属類を除去したのち、COD成分を湿式触媒酸化することにより、石炭ガス化排水を効率的に処理して無害化し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)石炭ガス化排水を、まず、凝集沈殿又はろ過により懸濁物質を除去し、次いで、アルカリ性条件において、101〜210℃に加熱して熱加水分解処理し、該熱加水分解処理で生成した懸濁性金属を加熱された状態で耐熱性ろ材を有するろ過器で除去し、次いで湿式触媒酸化することを特徴とする石炭ガス化排水の処理方法、
(2)ろ過がろ過充填剤層によるろ過である第1項記載の石炭ガス化排水の処理方法、
)アルカリ性条件が、pH10以上である第1項記載の石炭ガス化排水の処理方法、及び、
(4)凝集沈殿又はろ過により懸濁物質を除去した石炭ガス化排水を、アルカリ性条件において、101〜210℃で液相を保つ圧力下に保持する熱加水分解反応器、該熱加水分解反応器で排水中に生成した懸濁性金属を加熱された状態で除去する耐熱性ろ材を有する金属除去装置、及び、該金属除去装置から出た排水を酸化する湿式触媒酸化反応器を有することを特徴とする石炭ガス化排水の処理装置、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(5)石炭ガス化排水を、120〜180℃に加熱して熱加水分解処理する第1項記載の石炭ガス化排水の処理方法、及び、
(6)アルカリ性条件が、pH11以上である第項記載の石炭ガス化排水の処理方法、
を挙げることができる。
本発明の石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置によれば、石炭ガス化工程において発生するシアン、金属類、COD成分などを含む排水を、長期間にわたって安定的に処理し、無害化することができる。
本発明の石炭ガス化排水の処理方法においては、石炭ガス化排水を、アルカリ性条件において、101〜210℃に加熱して熱加水分解処理し、生成した懸濁性金属を除去し、次いで湿式触媒酸化する。
本発明方法を適用する石炭ガス化プロセスに特に制限はなく、例えば、移動床式のルルギ法、噴流床式のコッパース−トチェク法、流動床式のウィンクラー法、加圧流動床式のハイガス法、加圧噴流床式のテキサコ法などを挙げることができる。本発明方法は、大型の石炭ガス化装置が採用され、長期間の安定した運転が要求される石炭ガス化複合発電、石炭ガス化燃料電池発電などの石炭ガス化排水の処理に好適に適用することができる。
本発明方法の実施に先立って、石炭ガス化排水中に含まれる懸濁物質を除去することが好ましい。石炭ガス化排水は、通常黒色の微細な懸濁物質を含有するので、懸濁物質をあらかじめ除去することにより、生成した懸濁性金属を除去するためのろ材の寿命を延長することができる。懸濁物質の除去方法に特に制限はなく、例えば、凝集沈殿及びろ過により、懸濁物質を除去することができる。凝集沈殿に用いる凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄などの無機凝集剤、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムなどの高分子凝集剤などを挙げることができる。ろ過方法に特に制限はなく、例えば、重力ろ過法、真空ろ過法、遠心ろ過法などを挙げることができる。
本発明方法においては、石炭ガス化排水を、アルカリ性条件において、熱加水分解処理する。石炭ガス化排水を熱加水分解処理することにより、排水中に含まれるシアン化物イオンは、次式のように加水分解されて、アンモニアとギ酸イオンとなる。
CN- + 2H2O → NH3 + HCOO-
熱加水分解処理においては、排水中に存在する遊離のシアン化物イオンのみならず、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩などのシアノ錯体を形成しているシアン化物イオンも、同様に加水分解されて、アンモニアとギ酸イオンとなる。
本発明方法において、アルカリ性条件は、熱加水分解処理を開始するときの石炭ガス化排水のpHが9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることがさらに好ましい。本発明方法において、石炭ガス化排水をアルカリ性条件とする方法に特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を添加してpHを調整することができる。本発明方法において、石炭ガス化排水のpHが9未満であると、熱加水分解反応の速度が遅くなるおそれがある。
本発明方法においては、石炭ガス化排水を、101〜210℃、より好ましくは120〜180℃に加熱して熱加水分解処理を行う。熱加水分解処理は、被処理水が液相を保つ圧力に保持して行う。熱加水分解処理の温度が101℃未満であると、反応速度が遅く、熱加水分解処理に長時間を要するおそれがある。熱加水分解処理の温度が高いほど、加水分解反応は速やかに進行するが、熱加水分解処理の温度が210℃を超えると、2MPa以上の耐圧構造が必要となり、設備と運転管理の費用が嵩むおそれがある。熱加水分解処理の温度が180℃以下であると、1MPa以下の圧力で処理することができる。本発明方法において、熱加水分解処理の時間は、熱加水分解処理の温度に応じて適宜選択することができる。例えば、熱加水分解処理を160℃で連続的に行う場合、平均滞留時間は1時間以上であることが好ましい。
本発明方法においては、石炭ガス化排水を熱加水分解処理したのち、生成した懸濁性金属を除去し、次いで湿式触媒酸化する。石炭ガス化排水中に含まれる懸濁物質を前処理により除去しても、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩などのシアノ錯体となって排水中に溶解していた金属が、シアン化物イオンが加水分解されることにより配位子を失って、水酸化物となって水中に析出し、懸濁状態で存在するようになる。生成した懸濁性金属の除去方法に特に制限はなく、例えば、充填物を用いるろ過、焼結金属などの多孔質ろ材を用いるろ過、膜を用いる分離などを挙げることができる。生成した懸濁性金属を除去して被処理水中の金属濃度を低下させることにより、後段の湿式触媒酸化における触媒活性の低下を防止することができる。
本発明方法において、被処理水中に生成した懸濁性金属の除去は、冷却された状態で行うことができ、あるいは、加熱された状態で行うこともできる。熱加水分解処理は101〜210℃に加熱して行われ、後段の湿式触媒酸化も加熱された状態で行われるので、生成した懸濁性金属の除去を、加熱された状態で行うことにより、熱加水分解処理の終わった被処理水を冷却することなく継続して処理することができ、熱エネルギーを有効に利用することができる。懸濁性金属の除去を加熱された状態で行うときに用いるろ材は耐熱性を有することが好ましく、例えば、ステンレス鋼、ハステロイ、チタン、チタン合金などの金属材料、無機セラミックなどからなるろ材を挙げることができる。懸濁性金属を除去するためのろ過装置は、熱加水分解反応器内に設置することができ、あるいは、熱加水分解反応器と別に設けることもできる。ろ過装置を熱加水分解反応器内に設置することにより、被処理水からの放熱をほぼ完全に防いで、熱エネルギーを節減することができる。
本発明方法において、石炭ガス化排水を熱加水分解処理し、生成した懸濁性金属を除去した被処理水は、次いで湿式触媒酸化する。湿式触媒酸化においては、アンモニア、COD成分などを含む被処理水を、酸化剤の存在下に、高温において酸化触媒と接触させ、アンモニア、COD成分などを酸化分解する。使用する酸化剤に特に制限はなく、酸素ガス、酸素濃縮空気、空気、過酸化水素、次亜塩素酸塩などを挙げることができる。これらの中で、空気は、入手と取り扱いが容易なので、好適に用いることができる。酸化剤の添加量に特に制限はないが、アンモニア、COD成分などを酸化するために必要な理論量の1.1〜3倍であることが好ましく、1.5〜2.5倍であることがより好ましい。
本発明方法において、湿式触媒酸化の温度に特に制限はないが、101〜210℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。湿式触媒酸化においては、被処理水が液相を保つ圧力に加圧される。湿式触媒酸化の温度が101℃未満であると、酸化反応の速度が遅く、アンモニア、COD成分などの分解除去に長時間を要するおそれがある。湿式触媒酸化の温度が高いほど、酸化分解は速やかに進行するが、湿式触媒酸化の温度が210℃を超えると、2MPa以上の耐圧構造が必要となり、設備と運転管理の費用が嵩むおそれがある。
本発明方法において、湿式触媒酸化に用いる触媒に特に制限はなく、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、鉄、コバルト、ニッケル、銅、金、タングステンなどの金属、これらの金属の水不溶性又は水難溶性の化合物などを挙げることができる。これらの金属触媒又は金属化合物触媒は、担体に担持させて使用することが好ましい。担体としては、例えば、マグネシア、アルミナ、チタニア、シリカゲル、シリカ−アルミナ、ジルコニア、活性炭、珪藻土、コージェライトなどを挙げることができる。
本発明の石炭ガス化排水の処理方法においては、石炭ガス化排水を熱加水分解処理して溶解している金属を懸濁状態に析出させ、生成した懸濁性金属を除去したのち、湿式触媒酸化を行うので、金属はすでに高い効率で除去され、金属が酸化触媒に吸着され、あるいは、金属が酸化触媒に毒作用を及ぼして、触媒活性が低下し、あるいは、触媒が失活するおそれがない。そのために、湿式触媒酸化により、石炭ガス化排水を長期間にわたり、安定して処理することができる。石炭ガス化排水を湿式触媒酸化法で直接処理すると、排水中のアンモニアやCOD成分の分解にともなって、排水中の溶解性鉄やその他の金属が析出し、酸化触媒の活性を低下させる。
本発明の石炭ガス化排水の処理装置は、石炭ガス化排水を、101〜210℃で液相を保つ圧力下に保持する熱加水分解反応器、懸濁性金属除去装置、及び、湿式触媒酸化反応器を有する。図1は、本発明の石炭ガス化排水の処理装置の一態様の工程系統図である。石炭ガス化排水が、ポンプ1により処理装置に圧入される。石炭ガス化排水には、配管の途中でポンプ2によりpH調整剤が添加され、所定のpHに調整された原水となる。原水のpHは、pHセンサー3により測定され、信号が制御器4に送られ、ポンプ2により添加されるpH調整剤の量が制御される。原水は、熱交換器5において処理水と熱交換を行い、処理水の余熱が回収される。原水は、さらに加熱器6において所定の温度まで加熱され、熱加水分解反応器7に送られ、所定の温度で所定時間加熱される。熱加水分解反応器内で、原水中のシアン化物イオンが加水分解されてアンモニアとギ酸イオンとなり、シアノ錯体を形成していた金属は、金属水酸化物となって析出し、懸濁性金属が生成する。
生成した懸濁性金属を含む被処理水は、ろ材を充填したろ過器8に送られ、ろ過により懸濁性金属が除去される。懸濁性金属が除去された被処理水は、酸化触媒が充填された湿式触媒酸化反応器9に送られる。湿式触媒酸化反応器の底部には、ポンプ10により酸化剤が送り込まれる。湿式触媒酸化反応器内で、被処理水中に含まれるアンモニア、COD成分などが酸化分解され、無害な処理水となる。処理水は、熱交換器5において、原水と熱交換して余熱を放出し、さらに熱交換器11において冷却される。回収された処理水は、必要に応じて、二次処理が施され、放流又は再利用される。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、石炭処理量150t/日の石炭ガス化パイロットプラントの水洗排水の処理を行った。この排水の水質は、SS540mg/L、pH8.3、CODMn570mgO/Lであった。この排水に、硫酸バンド2,000mg/L及び高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフロックPA362]3mg/Lを添加して凝集沈殿処理を行い、ろ過により固液分離して原水とした。原水の水質は、SS10mg/L以下、pH7.0、鉄6.0mgFe/L、CODMn570mgO/L、アンモニア性窒素300mgN/L、全シアン14mgCN/Lであった。
なお、実施例及び比較例において、鉄はJIS K 0102 57.2フレーム原子吸光法、CODMnはJIS K 0102 19.100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量、アンモニア性窒素はJIS K 0102 42.4イオン電極法、全シアンはJIS K 0102 38.1.2及び38.3の方法にしたがって分析した。
参考例
原水100mLに希硫酸を加えてpH7.0に調整し、ステンレス鋼製耐圧容器に入れ、温度160℃、圧力0.9MPaで1時間熱加水分解処理した。室温まで冷却したのち、処理水をJIS P 3801に規定する定量分析用ろ紙5種Cを用いてろ過し、ろ液について鉄の分析を行った。ろ液の鉄濃度は、鉄2.0mgFe/Lであった。
原水に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した以外は、同じ操作を行った。ろ液の鉄濃度は、鉄1.0mgFe/Lであった。
原水のpHを11.0に調整した以外は、同じ操作を行った。ろ液の鉄濃度は、鉄0.5mgFe/Lであった。
結果を、第1表に示す。
Figure 0004611928
第1表に見られるように、反応開始時の原水のpHを11.0に調整することにより、水中の溶解性鉄を低濃度まで除去し得ることが分かった。
実施例2
図2は、使用した試験装置の工程系統図である。この試験装置は、ポンプ12、加熱器13、熱加水分解反応器14、湿式触媒酸化反応器15及び冷却器16を有する。熱加水分解反応器は、内径20mm、高さ125mmのステンレス鋼製筒状であり、ろ過充填剤として、底部に直径1.5mmのチタニア球10mLを充填した。湿式触媒酸化反応器は、内径20mm、高さ125mmのステンレス鋼製筒状であり、触媒として白金0.5重量%を担持した直径1.5mmのチタニア球30mLを充填した。
水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH11.0に調整した原水を、ポンプにより流量30mL/hで送り、加熱器で予熱し、温度160℃、圧力0.9MPaに保った熱加水分解反応器に送り込んだ。熱加水分解反応器におけるSVは、1h-1である。熱加水分解処理を受けた被処理水は、ろ過充填剤層において生成した懸濁性金属が除去され、湿式触媒酸化反応器に流入した。湿式触媒酸化反応器の底部から、図示しないポンプにより、被処理水中に存在するアンモニアとCOD成分の酸化に必要な理論量の2倍に相当する量の酸素を含む空気を、微細な気泡群として送り込んだ。湿式触媒酸化反応器は、温度170℃、圧力0.9MPaに保った。湿式触媒酸化反応器におけるSVは、1h-1である。湿式触媒酸化反応器から流出する処理水は、冷却器により30℃まで冷却した。
運転開始10時間後、処理水中に鉄は検出されず、CODMnは10mgO/Lであり、アンモニア性窒素は1mgN/L未満であり、全シアンは0.1mgCN/L未満であった。運転開始50時間後も、運転開始500時間後も、処理水の分析値に変化はなく、鉄は検出されず、CODMnは10mgO/Lであり、アンモニア性窒素は1mgN/L未満であり、全シアンは0.1mgCN/L未満であった。
比較例1
原水を熱加水分解処理を行うことなく、湿式触媒酸化反応器へ直接送り込んだ以外は、実施例2と同じ操作を行った。
水酸化ナトリウムを添加してpH11.0に調整した原水を、ポンプにより流量30mL/hで送り、加熱器で予熱し、温度170℃、圧力0.9MPaに保った湿式触媒酸化反応器に送り込んだ。また、湿式触媒酸化反応器の底部から、図示しないポンプにより、被処理水中に存在するシアンの分解により発生するアンモニアと、COD成分の酸化に必要な理論量の2倍に相当する量の酸素を含む空気を、微細な気泡群として送り込んだ。湿式触媒酸化反応器におけるSVは、1h-1である。湿式触媒酸化反応器から流出する処理水は、冷却器により30℃まで冷却した。
運転開始10時間後、処理水中の鉄1mgFe/Lであり、CODMnは10mgO/Lであり、アンモニア性窒素は1mgN/L未満であり、全シアンは0.1mgCN/L未満であった。運転開始50時間後は、鉄と全シアンの濃度に変化はなかったが、CODMnは140mgO/L、アンモニア性窒素は100mgN/Lに増加した。
実施例2及び比較例1の結果を、第2表に示す。
Figure 0004611928
第2表に見られるように、原水をアルカリ性条件下において熱加水分解処理し、生成した懸濁性金属をろ過により除去したのち、湿式触媒酸化した実施例2においては、運転開始500時間後の処理水も、運転開始10時間後の処理水と変わりなく、鉄、COD成分、アンモニア性窒素、全シアンが低濃度を維持している。これに対して、原水を熱加水分解処理することなく、湿式触媒酸化反応器に直接送り込んだ比較例1においては、運転開始50時間後に、すでに処理水中のCOD成分とアンモニア性窒素の量が急増している。
本発明の石炭ガス化排水の処理方法及び処理装置によれば、石炭ガス化複合発電や、石炭ガス化燃料電池発電などの石炭ガス化工程において発生するシアン、金属類、COD成分などを含有する石炭ガス化排水を処理し、長期間にわたり安定して、水質の良好な処理水を得ることが可能となる。
本発明の石炭ガス化排水の処理装置の一態様の工程系統図である。 実施例において使用した試験装置の工程系統図である。 石炭ガス化複合発電の一例の工程系統図である。
符号の説明
1 ポンプ
2 ポンプ
3 pHセンサー
4 制御器
5 熱交換器
6 加熱器
7 熱加水分解反応器
8 ろ過器
9 湿式触媒酸化反応器
10 ポンプ
11 熱交換器
12 ポンプ
13 加熱器
14 熱加水分解反応器
15 湿式触媒酸化反応器
16 冷却器
17 微粉炭搬送装置
18 石炭ガス化炉
19 シンガスクーラ
20 ダストフィルタ
21 水洗塔
22 排水処理装置
23 COS転換器
24 脱硫塔
25 ガスタービン
26 排熱回収ボイラ
27 蒸気タービン

Claims (4)

  1. 石炭ガス化排水を、まず、凝集沈殿又はろ過により懸濁物質を除去し、次いで、アルカリ性条件において、101〜210℃に加熱して熱加水分解処理し、該熱加水分解処理で生成した懸濁性金属を加熱された状態で耐熱性ろ材を有するろ過器で除去し、次いで湿式触媒酸化することを特徴とする石炭ガス化排水の処理方法。
  2. ろ過がろ過充填剤層によるろ過である請求項1記載の石炭ガス化排水の処理方法。
  3. アルカリ性条件が、pH10以上である請求項1記載の石炭ガス化排水の処理方法。
  4. 凝集沈殿又はろ過により懸濁物質を除去した石炭ガス化排水を、アルカリ性条件において、101〜210℃で液相を保つ圧力下に保持する熱加水分解反応器、該熱加水分解反応器で排水中に生成した懸濁性金属を加熱された状態で除去する耐熱性ろ材を有する金属除去装置、及び、該金属除去装置から出た排水を酸化する湿式触媒酸化反応器を有することを特徴とする石炭ガス化排水の処理装置。
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