JP4611544B2 - ガスケットの装着構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車等に搭載されたエンジンにおけるカバー部材と相手部材との密封をなす密封材に関し、具体的には該密封材と剛性の高いインサート材から形成されたガスケットの装着構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等に搭載されたエンジンのヘッドカバーとかオイルパン等のカバー部材を密封するガスケットは、合成ゴム、コルクあるいは合成樹脂等の弾性体で形成された角あるいは丸形状等の断面形状を持つ環状ガスケットが用いられることが知られている。
これらの環状ガスケットはカバー部材と相手部材との間にボルト等の締付け具によって締付け圧装着され、その圧縮弾性変形をもって互いの部材に密着し求められる密封作用を働かせている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような環状ガスケットは昨今の耐熱性とか軽量化要求あるいは装着の簡便性など諸要求に対応出来得ない。
すなわち、充分な質量をもって変形密着性を高めた材料からなる前記ガスケットはその軟質・多質量から圧縮を受けると正確な形状が保てず異常変形を起こし易く、また、取り扱い性、例えば搬送あるいはカバー部材への装着作業性にも大きな難点を持ち、自動車組立ラインではカバー部材に取付けた後該カバー部材を反転せしめて組付けるためガスケットの脱落、ズレによるシール不良、あるいはもっと重大な破損に至る場合も有り、作業性が簡便で確実な装着構造が求められていた。
さらに昨今では前記事態から一歩進み、エンジン組立ラインにおいてガスケットを取付け作業ロボットなどを用いてカバー部材へ自動装着する要求さえ起きており、形状維持性の悪い軟質ガスケットではこれに対処することができない。
以下、図面を参照しつつ詳述する。
【0004】
このような状況にあって、その取扱性を向上せしめるために図4に示す実開平2−31960号公報で示されたような、ガスケット本体5の非シール部分にインサート板材6を埋め込んで、ある程度の剛性を付与せしめたガスケットが提案されている。
しかしながら、このガスケットはインサート板材6の埋め込みによってその剛性を高め形状の維持をなさしめる他には有用な作用を発揮し得ず、配置形状あるいはシール材料によっては締込みによる圧縮変形時に埋設縁部から亀裂を起こしシール作用に悪影響を及ぼす大きな欠点を有するものであった。
本発明はこのような欠点に鑑み、その取扱性を向上せしめると共にシール性能をも高めたガスケットの装着構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明を図面に基づいて説明すると、図2に示すように、自動車用エンジン等のカバー部材1と相手部材2との間に装着され、該両部材1、2間の密封をなす弾性体例えば合成ゴムあるいは合成樹脂等のシール部3と金属材あるいは硬質合成樹脂材等の強剛性を有するインサート材4からなったガスケットの装着構造であって、図1に示すように前記カバー部材1のガスケット装着部aの片方の周縁部へ延出部1aを垂下形成せしめ、前記インサート材4には前記延出部1aの側に位置するフランジ部42と他方側に位置する立上り部41を形成し、前記フランジ部42の上下にシール部3を総高さ寸法hで前記立上り部41の高さ寸法h1より高く配設せしめたことを特徴としている。
【0006】
【作用】
本発明は、上記した構造をもって下記に示す優れた作用をなす。
すなわち、本発明のガスケットの装着構造は前記したように平板状のフランジ部42と直立状の立上り部41からなるインサート材4と、シール部3とを一体化してなるガスケットを、延出部1aを持つカバー部材1のガスケット装着部aへ装着せしめるものであり、図2に示すように前記カバー部材1を締付けることによって立上り部41より高いシール部3がまず圧縮され弾性変形する。この弾性変形によってガスケット装着部aと相手部材2は前記立上り部41の高さ寸法h1にまで達し、これが図3に示すように接触するとその剛性でそれ以上の締込みを制限する。
この状態でのシール部3は図3に示すようにカバー部材1の延出部1aと直立状の立上り部41とによって両側から挟み込まれており、この挟み込み効果はシール部3の倒れ込みあるいは変形不良、圧縮偏り、横流れ、の全ての不備を解消し圧縮量を均一に保つものとなる。
【0007】
【実施例】
本発明を実施するに、インサート材4における立上り部41とフランジ部42の配置関係は、図1で示すようにカバー部材1の延出部1aと立上り部41でのシール部3の挟み込み効果を期待するものであるからフランジ部42(シール部3)を挟んで対峙する配置が肝要であり、この位置関係によって立上り部41が締付ける寸法を規制すると共に、シール部3は両側面を剛性材に囲い込まれ良好な圧縮状態に置かれるものとなる。
ここでは前記囲い込まれるシール部3の充填量を調整することによって圧縮された反力の最適値を得ることができる。
【0008】
また前記インサート材4における立上り部41の高さ寸法h1と上下のシール部3の総高さ寸法hとの関係は、前記シール部3の総高さ寸法h(フランジ部42の高さ寸法を含む)を前記立上り部41の高さ寸法h1より高く配設せしめ圧縮量を確保しなければならないが、ここではシール部3の圧縮量が最適となる寸法に配することができるので多大な締込み作業を必要とせずその締付け作業性も極めて簡便なものとなる。
【0009】
このようなシール部3を形成する弾性体の材料としては、ブチルゴム、スチレンーブタジエン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどを採用することができるが、その上下のシール部3を同材質に設けることなくそれぞれを異材質に配することも可能であり、要求される性能に応じて対処すればよい。
【0010】
本発明のガスケットの装着においては、自動組付け装置にてインサート材4を掴みガスケット全体を移送せしめてカバー部材1へ自動装着することが可能となり、その装着の良好な結着性を得るために、図1、図2、及び図3に示すように前記カバー部材1の延出部1aへ前記インサート材4のフランジ部42の端部と係合する係合部11a(ここでは凹み形状としてフランジ部42の端部と係合している。)を設けることができる。
【0011】
またその装着箇所としては、多くの場合エンジンのシリンダヘッドカバー、インテークマニホルドなどに採用されるが、他にチェーンカバー、オイルパン等の取付け部にも装着が可能である。
【0012】
また、インサート材4の形成においては、硬質な合成樹脂あるいは合成ゴム等の材料から造形するのが成型性及び価格的に有利となるが、軽量な無機質材料あるいは木質材料さらには金属材料などからも形成することもでき、求められる性能によって種々対応することが可能である。
【0013】
【発明の効果】
本発明によると、前記ガスケットに設けたインサート材4はその強大な剛性によりシール部3の形状を正確に維持せしめ、さらに剛性のある立上り部41を備えているので確実な締付け規制をなさしめるものであり、該立インサート材4を掴めばエンジンの組立ラインでのカバー部材1への自動機械組付けを容易とする。このガスケットはカバー部材1の延出部1aによって正確にカバー部材1に取付け固着されるから、カバー部材1そのものも相手部材2へ機械移送手段による自動装着が可能となる。
前記のようにして取付けられたガスケットのシール部3は延出部1aと立上り部41とによって両側から挟み込まれ正確な位置をもって締め付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装着前の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の装着状態を示す断面図である。
【図3】本発明の装着した状態を示す断面図である。
【図4】本発明を使用しない従来の構造の断面図である。
【符号の説明】
1 カバー部材
1a 延出部
2 相手部材
3 シール部
4 インサート材
41 立上り部
42 フランジ部
5 ガスケット本体
6 インサート板材
a ガスケット装着部
h シール部の総高さ寸法
h1 立上り部の高さ寸法

Claims (2)

  1. カバー部材と相手部材との間に装着され、該両部材によって圧縮される弾性体からなったシール部と強剛性を有するインサート材とを一体化したガスケットの装着構造であって、
    前記カバー部材におけるガスケット装着部の片方の周縁部へ延出部を垂下形成せしめ、
    前記インサート材には前記延出部の側に位置するフランジ部と他方側に位置する立上り部を形成し、
    前記フランジ部の上下にシール部を総高さ寸法で前記立上り部の高さ寸法より高く配設せしめ
    前記インサート材のフランジ部の端部が前記カバー部材の延出部に設けられた係合部に係合したことを特徴とするガスケットの装着構造。
  2. 前記フランジ部に設けるシール部の弾性体を上下異材質に配したことを特徴とする請求項1のガスケットの装着構造。
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