JPH048302Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、自動車エンジン等の内燃エンジン
の給気マニホルドを、エンジンのシリンダヘツド
に取付けるための給気マニホルドの取付構造に関
するものである。

（従来の技術） はじめに、自動車用Ｖ型６気筒エンジンにおけ
る従来の給気マニホルドの一般的な取付構造につ
き、第４図ないし第７図を参照して説明する。

左右夫々３気筒の対称形の各シリンダヘツド
１，１は、シリンダブロツク２の上端からＶ型に
組付けられると共に、各シリンダヘツド１，１の
互に対向する内向き側面には、給気マニホルド４
を取付けるためのフランジ面３が形成されてい
て、かつ、そのフランジ面３には、シリンダヘツ
ド１の吸入ポート１ａが開口している。

一方、両側のフランジ面３に取付けられる給気
マニホルド４は、左右各３本の分岐管５と、各分
岐管５の開口端に連通する左右の各フランジ６と
により形成されていて、かつ、そのフランジ６の
４箇所、すなわち前後の両端と分岐管５の中間位
置には、長手の締着ボルト７が斜めに差入れられ
るステム８が突設されている。

なお、分岐管５の内孔５ａは給気通路をなして
おり、また、シリンダヘツド１のフランジ面３に
は、斜め方向にねじ孔１ｂが明られている。

次に、給気マニホルド４のフランジ端面６ａと
シリンダヘツド１のフランジ面３との接合面に
は、ガスケツト９（第７図参照）が介通されてい
て、このガスケツト９の板面には、３箇所の連通
穴９ａ、すなわち給気通路５ａと吸入ポート１ａ
とを連通させる穴と、４箇所のボルト孔９ｂ、す
なわち、締結ボルト７が貫通する孔とが明けられ
ている。

なお、第７図では、ガスケツト９を単体として
平面的に見た形状で表記したが、装着された状態
の実物の正確な平面形状では、外形が図面の上下
方向に縮んだ形状を成すと共に、連通穴９ａとボ
ルト孔９ｂとは、長円形状を成している。

次に、給気マニホルド４を両側のシリンダヘツ
ド１，１のフランジ面３に取付けるには、フラン
ジ面３にガスケツト９を重ねた上で、給気マニホ
ルド４のフランジ端面６ａをガスケツト９に接合
させ、その状態で、ステム８の内孔に締着ボルト
７を差込んでシリンダヘツド１のねじ孔１ｂに螺
合、緊締させ、これにより給気マニホルド４をシ
リンダヘツド１，１に締結させる。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、このような従来の取付構造によると、
給気マニホルド４の締結に当つて締着ボルト７を
緊締操作した際に、第６図の右下部に付記したよ
うに、螺合による下向き圧力Ａが、接合面を圧締
させる圧締力Ｂと、ガスケツト９を斜め下方にず
り落す摺動圧Ｃとに分解されて作用することと、
エンジンの振動によつてガスケツト摺動面の摩擦
反力が弱められることとが相乗して、ガスケツト
９に強い下ずれ応力がかかる。

その結果、ガスケツト９の連通穴９ａと、給気
通路５ａまたは吸入ポート１ａとの間に大きな位
置ずれが生じて、給気作動を低下させたり、ある
いは、ガスケツト９が局部的に千切られて給気流
にリークを生じさせるなどの不具合があつた。

そこで、本考案は、給気マニホルドをシリンダ
ヘツドに緊締、締結させる際に、ガスケツトに位
置ずれを起こさせないようにした給気マニホルド
の取付構造を提供することを目的としている。

（問題を解決するための手段） その目的を達成するため、本考案の構成におい
ては、ボルトの締め付け方向とガスケツトの設置
面とが斜めに交差する給気マニホルドの取付構造
において、シリンダヘツド側面のフランジ面と給
気マニホルドのフランジ端面との中、少くとも何
れか一方の面の所要部分に、圧締されたガスケツ
トが食い込むためのずれ止め溝が凹入成形された
構造を採つている。

（考案の作用） このような構造から、本考案の取付構造による
と、締着ボルトを緊締操作した際には、接合面の
圧締力Ｂによつて、ガスケツトの板面のずれ止め
溝に対接する部分が変形して、該ずれ止め溝内に
食い込む。

（実施例） 以下、第１図ないし第３図に示す一実施例に基
づき、本考案の構成を具体的に述べる。

第１図は、実施例のシリンダヘツド１０の内向
き側面を、同側面に垂直な方向から見た斜め側面
図であつて、同シリンダヘツド１０の側面に成形
されたフランジ面１１は、上述した従来のシリン
ダヘツド１のフランジ面３と同様な形状をなし、
すなわち長手方向の３箇所に吸入ポート１０ａが
開口すると共に、長手方向の４箇所には、上述し
た締着ボルト７が螺合するねじ孔１０ｂが形成さ
れている。

更に、このフランジ面１１の場合には、フラン
ジ面１１の下縁に沿つて、蛇行する長手のずれ止
め溝１１ａが堀込まれている。

一方、このシリンダヘツド１０に取付けられる
給気マニホルドの形成態は、上述した従来の給気
マニホルド４と全く同様であつて、すなわち、各
分岐管５の先端を連通するフランジ６の４箇所に
は、内孔を有するステム８が突設されている。

なお、第２図は、前記第６図に相当する図であ
る。ただし、この図の場合は、分岐管５の中心軸
線で切断して表記してある。

このように構成された実施例の取付構造によつ
て給気マニホルド４をシリンダヘツド１０に取付
けるには、従来と同じガスケツト９を用いて組付
けるもので、すなわち、シリンダヘツド１０のフ
ランジ面１１にガスケツト９を重ねた上で、給気
マニホルド４のフランジ端面６ａをガスケツト９
に接合させ、その状態で締結ボルト７をシリンダ
ヘツド１０のねじ孔１０ｂに螺合、緊締させる。

ところで、このようにして給気マニホルド４を
締結させる場合においては、締着ボルト７を緊締
操作した際に、接合面の圧締力Ｂ（第６図に表記）
によつて、ガスケツト９の板面のずれ止め溝１１
ａに対接する部分が変形して、第３図に符号９ａ
で示すように、同溝１１ａ内に食い込むことか
ら、摺動圧Ｃ（第６図に表記）に抗してガスケツ
ト９のずり落ちが妨げられ、かつ、この時、ずれ
止め溝１１ａの方向が、ずれ落ち方向（下方）に
対して直交する方向になつていることから強い抵
抗力が生じ、これにより確実にガスケツト９のず
り落ちが防止される。ずれ止め溝１１ａのエツジ
特にずり落ち方向下流に位置するエツジには、鈍
角にならないように形成すると効果的である。

なお、実施例の構成において、ずれ止め溝の凹
入成形箇所を、フランジ面１１の上縁寄りと下縁
寄りの２列に成形させても良く、また、ずれ止め
溝を、上述したフランジ面１１に代えて給気マニ
ホルド４のフランジ端面６ａに成形するか、ある
いはフランジ面１１とフランジ端面６ａの両面に
成形しても良い。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案に係る給気マニホル
ドの取付構造によれば、給気マニホルドのフラン
ジ面の所要部分に、ガスケツトが食い込むための
ずれ止め溝を凹入成形させ、これによりガスケツ
トのずれ落ちを阻止させるようにしたので、ガス
ケツトのずれ移動に起因する作動障害が解消さ
れ、すなわち給気作動の信頼性と給気のシール性
とを向上させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す給気マニホ
ルドの取付装置のシリンダヘツド部分の側面図、
第２図は、同取付装置の前断面図、第３図は、第
２図の部分拡大図、第４図は、従来の取付装置の
前面図、第５図は、第４図の−線における拡
大断面図、第６図は、第４図の部分の前断面
図、第７図は、ガスケツトの斜め平面図である。 ４……給気マニホルド、６ａ……フランジ端
面、７……締着ボルト、９……ガスケツト、１０
……シリンダヘツド、１０ａ……ずれ止め溝、１
１……フランジ面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内燃エンジンの給気マニホルドを、ガスケツト
   を介置させた状態でエンジンのシリンダヘツドに
   対して、締め付け方向が上記ガスケツトの設置面
   と斜めに交差するボルトにて締着させるようにし
   た給気マニホルドの取付構造において、 シリンダヘツド側面のフランジ面と給気マニホ
   ルドのフランジ端面との中、少くとも何れか一方
   の面の所要部分に、圧締された上記ガスケツトが
   食い込むためのずれ止め溝が凹入成形されている
   ことを特徴とする給気マニホルドの取付構造。