JP4609791B2 - 複室容器 - Google Patents

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Description

この発明は、連通可能な仕切部により複数の収容室が区画され、この複数の収容室に、収容物がそれぞれ収容され、使用時に仕切部を連通させて収容物を混合した後、所定の排出部から排出することができる複室容器に関する。
連通可能な仕切部により複数の収容室が区画され、それぞれの収容室に収容物が隔離された状態で収容されていて、仕切部を連通させることにより、各収容室に収容された収容物を混合してから、所定の排出部から排出することができる複室容器が知られている。このような複室容器は、予め混合した状態では保存し難いと共に、使用時には混合される複数の収容物を収容するために用いられている。
例えば、医療用容器の場合、アミノ酸輸液とブドウ糖輸液とを収容する容器、脂肪乳剤と電解質溶液とを収容する容器、リン酸含有液とカルシウム含有液とを収容する容器、抗生物質と水溶液とを収容する容器などに利用される。これらは、何れも混合した状態で保存すると変質などを生じるため、隔離した状態で保存される必要があり、使用される際には、混合した状態で患者に投与されている。
このような複数の収容物を、一つの容器に連通可能な仕切手段により区画された複数の収容室に収容した場合、仕切手段を連通させる前に、所定の排出部を開口させると、排出部と接している一部の収容室の収容物のみが、他の収容物と混合されることなく排出されるおそれがある。特に、医療用複室容器の場合、一部の収容物だけが投与されることは、極めて好ましくない。
このような複数の収容物の一部だけが誤って投与されることを防止するために、下記特許文献1では、複数の収容室間を区画する弱シール部からなる連通可能な仕切手段の他に、排出部を他の弱シール部により閉塞し、収容室間の弱シール部より排出部の弱シール部を高いシール強度に形成している。
このような構成によれば、排出部から排出させるためには、排出部の弱シールを連通させなければならず、この排出部の弱シールより収容室間の弱シール部のシール強度が低いため、排出部の弱シール部を連通させる前に収容室間の弱シールを連通させることができる。そのため、排出部の弱シール部を連通させて、排出部を開通させれば、収容室間を連通させることができ、各収容室内の収容物を混合した状態で排出させることが可能である。
特開2002−136570号公報
しかしながら、上記のような収容室間を区画する弱シール部の他に、排出部にも弱シール部を設けた複室容器では、収容室間の弱シール部のシール強度と排出部の弱シール部のシール強度に差を設けなければならず、その差が小さい場合には、設定した通りのシール強度の差で安定して製造することが容易でなく、収容室間が連通する前に排出部が連通されることが起こり易い。
また、シール強度の差を大きくすれば、収容室間の弱シール部のシール強度を所定の強度に確保する結果、排出部側の弱シール部の強度が過剰に強くなり、排出部を開通させ難い。しかも、収容室間の弱シール部を連通させると、容器全体の容積が大きくなるため、排出部の弱シール部を連通させ難く、排出部を開通させることが容易でないという問題点があった。
そこで、この発明は、容器内に隔離して収容された収容物を混合せずに排出することを確実に防止できると共に、混合後に容易に排出部から排出させることができる複室容器を提供することを課題とする。
請求項1に記載の複室容器は、変形可能な容器壁の内部が連通可能な仕切手段により上下に仕切られて複数の収容室に区画され、前記容器壁の下端側に密封された排出部を備えた容器本体と、前記容器本体の前記排出部を外側から保護する保護部材とを有する複室容器であって、前記複数の収容室には混合して前記排出部から排出される収容物がそれぞれ収容され、前記容器壁は熱可塑性樹脂からなると共に前記仕切手段は対向する該容器壁を剥離可能に溶着して構成され、前記仕切手段の側方となる前記容器壁の側縁に凹部が形成されることで、前記仕切手段及び凹部の位置における前記容器壁の外周からなる第1の部位と、該第1の部位より前記排出部側に配置された前記収容室周囲における前記容器壁の外周からなり、前記第1の部位より長い外周長を有する第2の部位とが設けられ、前記保護部材は、前記排出部を開口不能に外側から覆う被覆部と、前記第1の部位を囲んで前記容器本体に非接合状態で係止される係止部とを有し、該係止部の内周長が前記第2の部位の外周長より短く形成され、前記第2の部位を変形させることで前記係止部が該第2の部位の外周を経由して取外し可能に構成され、前記仕切手段の連通前には、前記第2の部位に対応する第2の収容室には前記収容物が実質的に前記容器壁の前記第2の部位が変形不能となるように収容されることで前記第2の部位が前記係止部より大きい外周形状で維持され、前記仕切手段の連通後には、前記第2の収容室に収容された前記収容物を前記第2の部位に対応しない第1の収容室に移動させた後、前記第2の部位が前記係止部より小さい外周形状に変形可能となることで前記保護部材が前記容器本体から取り外し可能となることを特徴とする。
請求項2に記載の複室容器は、変形可能な容器壁の内部が連通可能な仕切手段により上下に仕切られて複数の収容室に区画され、前記容器壁の下端側に密封された排出部を備え且つ前記容器壁の上端側に懸垂部を備えた容器本体と、前記容器本体の前記懸垂部を外側から保護する保護部材とを有する複室容器であって、前記複数の収容室には混合して前記排出部から排出される収容物がそれぞれ収容され、前記容器壁は熱可塑性樹脂からなると共に前記仕切手段は対向する該容器壁を剥離可能に溶着して構成され、前記仕切手段の側方となる前記容器壁の側縁に凹部が形成されることで、前記仕切手段及び凹部の位置における前記容器壁の外周からなる第1の部位と、該第1の部位より前記懸垂部側に配置された前記収容室周囲における前記容器壁の外周からなり、前記第1の部位より長い外周長を有する第2の部位とが設けられ、前記保護部材は前記懸垂部を開口不能に外側から覆う被覆部と、前記第1の部位を囲んで前記容器本体に非接合状態で係止される係止部とを有し、該係止部の内周長が前記第2の部位の外周長より短く形成され、前記第2の部位を変形させることで前記係止部が該第2の部位の外周を経由して取外し可能に構成され、前記仕切手段の連通前には、前記第2の部位に対応する第1の収容室には前記収容物が実質的に前記容器壁の前記第2の部位が変形不能となるように収容されることで前記第2の部位が前記係止部より大きい外周形状で維持され、前記仕切手段の連通後には、前記第1の収容室に収容された前記収容物を前記第2の部位に対応しない第2の収容室に移動させた後、前記第2の部位が前記係止部より小さい外周形状に変形可能となることで前記保護部材が前記容器本体から取り外し可能となることを特徴とする。
請求項3に記載の複室容器は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記容器壁は両側縁に溶着部を有し、前記凹部が前記溶着部に形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の複室容器は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成に加え、前記保護部材は、一端が開口した袋状体からなると共に、前記排出部及び前記第2の部位の容器壁を覆う被覆部と、該被覆部より前記一端側に設けられた前記係止部とを備え、該係止部の内周長は前記被覆部の内周長より短く形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の複室容器は、請求項4に記載の構成に加え、前記袋状体が熱可塑性樹脂からなり、前記開口側の一部が溶着されて前記係止部が形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の複室容器によれば、排出部を開口不能に外側から保護する保護部材の係止部が、第1の部位の外周に係止されると共に、第1の部位より排出部側の第2の部位を経由して取外すものであって、仕切手段の連通前には、第2の部位が係止部より大きい外周形状を有するので、仕切手段を連通させる前には、係止部が第2の部位を通過することができず、保護部材を取外すことができない。
そして、仕切手段の連通後には、第2の部位を係止部より小さい外周形状に変形させることができるので、仕切手段を連通させた後は、第2の部位を変形させることにより係止部が第2の部位を通過することができ、保護部材を取り外すことができる。
そのため、仕切部を連通させることにより、複数の収容室内に収容された収容物を混合した後でなければ、排出部から収容物を排出させることができず、誤って一部の収容室の収容物だけを混合せずに排出させることを確実に防止でき、また、混合後には容易に排出することが可能である。
請求項2に記載の複室容器によれば、懸垂部を懸垂不能に外側から保護する保護部材の系止部が、第1の部位の外周に係止されると共に、第1の部位より排出部側の第2の部位を経由して取外すものであって、仕切手段の連通前には、第2の部位が係止部より大きい外周形状を有するので、仕切手段を連通させる前には、係止部が第2の部位を通過することができず、保護部材を取外すことができない。
そして、仕切手段の連通後には、第2の部位を係止部より小さい外周形状に変形させることができるので、仕切手段を連通させた後は、第2の部位を変形させることにより係止部が第2の部位を通過することができ、保護部材を取外すことができる。
そのため、仕切部を連通させることにより、複数の収容室内に収容された収容物を混合した後でなければ、懸垂部により懸垂させることができず、懸垂部を懸垂させて排出部から収容物を排出させることができない。従って、誤って一部の収容室の収容物だけを混合せずに排出させることを防止できる。
請求項3又は4に記載の複室容器によれば、第2の部位が少なくとも一つの収容室の周囲の容器壁に設けられているので、仕切部の連通前後で変形量を大きく確保し易く、保護部材の係止及び取り外しをより確実に行うことができる。
請求項5に記載の複室容器によれば、第1の部位が容器壁の外周に一部に形成された凹部を有するので、簡単な構成で第1の部位の外周形状と第2の部位の外周形状の差を大きく形成し易く、保持部材の係止部をより確実に係止させ易い。
請求項6に記載の複室容器によれば、容器壁が熱可塑性樹脂からなると共に両側縁に溶着部を有し、凹部がこの溶着部に形成されているので、容器壁に容易に凹部を形成することができ、製造が容易である。
請求項7に記載の複室容器によれば、仕切部が溶着部間の対向する容器壁を剥離可能に溶着して構成され、この仕切部の両側縁の溶着部に凹部が形成されているので、仕切部に沿って保護部材の係止部を配置することができて外観品質を向上させることができる。
請求項8に記載の複室容器によれば、保護部材が袋状体からなり、排出部及び第2の部位の容器壁を覆う被覆部と、被覆部より一端の開口側に、被覆部より内周長が短い係止部とを備えているので、袋状体の開口した一端側の内周長を短く形成するだけで保護部材が得られ、保護部材を簡単な構成にすることができ、製造が容易である。
請求項9に記載の複室容器によれば、袋状体が熱可塑性樹脂からなり、開口側の一部が溶着されて係止部が形成されているので、保護部材及びその係止部を極めて容易に形成することができる。
[実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態について、図1乃至図5を用いて説明する。
図1及び図2において、複室容器1は、粉末或いは液体の薬剤を収容する医療用容器であり、第1の収容室11及び第2の収容室12を有すると共に、第2の収容室12に配設された排出部13を有する容器本体10と、容器本体10の排出部13及び第2の収容室12の周囲を覆う袋状体からなる保護部材20とを備えている。
容器本体10は、変形可能な一対の容器壁15a、15bを有している。この容器壁15a、15bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂により単層又は多層に形成されたフィルム或いは成形体を使用することができ、ここでは、一対の容器壁15a、15bが両側縁で連結されたチューブ状のフィルムを用いている。
容器本体10の上端及び下端には、それぞれ一対の容器壁15a、15b間が剥離不能に溶着された溶着部16a、16bが設けられている。上端の溶着部16aには貫通孔からなる懸垂口17が設けられている。下端の溶着部16bには、熱可塑性樹脂により立体的に形成された排出部13が一対の容器壁15a、15b間に液密に配置されて一体に溶着されている。この排出部13は、ゴム栓体13aにより密封されている。
上下方向中間位置には、両側縁のそれぞれに一対の容器壁15a、15b間が剥離不能に溶着された中間溶着部16cが設けられ、両側の中間溶着部16c、16c間の全幅において、一対の容器壁15a、15b間が剥離可能に溶着された弱シール部18が形成されている。この弱シール部17により、一対の容器壁15a、15b間の内部に第1の収容室11と第2の収容室12とが液密に区画されている。また、中間位置の両側縁に設けられた中間溶着部16cには、それぞれ容器壁15a、15bを切除して形成された凹部19が設けられている。
これらの第1の収容室11及び第2の収容室12には、それぞれ予め混合して保存することが好ましくない薬剤a、bが、弱シール部18により隔離された状態で収容されている。これらの収容室11、12には薬剤a、bと共に気体が収容されていてもよい。そして、第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bは、図2に示すように、第2の収容室12の中間部分が互いに十分に離間した立体的形状となっており、ここでは、実質的に変形不能となっている。即ち、第2の収容室12内の薬剤bや気体の存在により、容器壁15a、15bが後述する保護部材20の係止部24より小さく変形できない。
一方、保護部材20は、容器本体10の材料と同等の強度又は軟質の材料から上端が開口した袋状体からなる。この材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
保護部材20は排出部13及びそのゴム栓体13aの外側全体を一対の保護壁22a、22bにより覆う被覆部21と、被覆部21より上端側の両側縁において、対向する保護壁22a、22b間を剥離不能に溶着して形成された溶着部23と、この両側縁の溶着部23間の開口部分からなる係止部24とを備えている。
この保護部材20では、溶着部23により、係止部24の内周長は被覆部21の内周長より短く形成されている。この係止部24は容器本体10の容器壁15a、15bの第1の部位である中間溶着部16c及び凹部19並びに弱シール部18の外周に、これらと非接合状態で配置されて係止されている。ここでは、係止部24の内周長は、中間溶着部16c及び凹部19並びに弱シール部18からなる平面状の外周形状の外周長より長く形成されている。
また、この保護部材20の係止部24の内周長は、弱シール部18により区画されて薬剤bが収容された状態の第2の部位としての第2の収容室12周囲の容器壁15a、15bの外周長より短く形成されている。
そのため、この係止部24は第2の収容室12周囲の容器壁15a、15bを越えて排出部13側に移動することができない状態となっており、保護部材20が排出部13及びゴム栓体13aの外周を完全に被覆した状態で維持されている。
このような複室容器1を製造するには、下端に排出部13を開口した状態で装着して溶着部16bを形成すると共に、上端の一部を開口させた状態で溶着部16aを形成し、更に、中間部分に中間溶着部16c及び弱シール部18を形成して、両端が開口した空の容器本体10を形成する。このとき、溶着部16aに懸垂口17を設けると共に、中間溶着部16cの範囲内に凹部19を設ける。
その後、上端の溶着部16aの開口部分から薬剤aを第1の収容室11に充填して、溶着部16aを密封する。また、下端の排出部13から薬剤bを第2の収容室12に充填して、排出部13をゴム栓体13aにより密封する。
充填後、薬剤a、bが充填された容器本体10をオートクレーブ滅菌を施した後、保護部材20を容器本体10に装着する。予め一方を開口させて形成された袋状体に、排出部13及び第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを挿入し、容器本体10の凹部19に対応する保護壁22a、22bを、容器本体10と非接合状態で溶着し、溶着部23及び係止部24を形成することにより、複室容器1を製造することができる。
なお、容器本体10に薬剤bを充填する前に、保護部材20を装着する場合には、予め形成された両端が開口する袋状体に、空の容器本体10の排出部13及び第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを挿入し、容器本体10の凹部19に対応する保護壁22a、22bを、容器本体10と非接合状態で溶着し、溶着部23及び係止部24を形成する。その後、袋状体の下端を開口させた状態で、排出部13から薬剤bを第2の収容室12に充填して、ゴム栓体13aで密封し、袋状体の下端を密封する。そして、この複室容器1をオートクレーブ滅菌を施すことにより、複室容器1を製造してもよい。
次に、このような複室容器10の使用方法を説明する。
この複室容器10は、製造後、輸送或いは保管される間は、薬剤aと薬剤bとが各収容室11、12に収容され、弱シール部18により完全に隔離した状態で維持される。そのため、これらが混合されることがなく、混合による変質が確実に防止される。
また、第2の収容室12の容器壁15a、15bの外周形状が保護部材20の係止部24より大きい形状が維持されているため、保護部材20により排出部13が被覆された状態で維持される。
そして、使用時には、保護部材20の外側から、第2の収容室12の容器壁15a、15bを押圧することにより、第2の収容室12の内圧により弱シール部18を剥離し、第1の収容室11と第2の収容室12とを連通させる。これにより、薬剤aと薬剤bとが混合される。このとき、中間溶着部16cは剥離されないため、凹部19が各収容室11、12と連通されることはない。
そして、図3に示すように、弱シール部18が剥離されると、容器壁15a、15bの内部の全体の容積が増加するため、薬剤aと薬剤bとの混合物が容器内部で自由に流動可能となる。また、第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを大きく変形させることが可能となる。
この状態で、図4及び図5に示すように、第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを任意に変形させ、保護部材20の係止部24に沿う方向の外周形状を、係止部24の内周形状より小さく変形させる。
すると、係止部材24が弱シール部18並びに中間溶着部16c及び凹部19の位置から、排出部側の第2の収容室の周囲の容器壁15a、15bの外周を経由して取り外すことが可能となり、保護部材20を容器本体10から取り外すことができる。
これにより、排出部13を外部に露出させることができ、排出部13のゴム栓体13aに、図示しない排出具の針を刺通し、懸垂口17により吊り下げ、内部の混合物を排出具から排出させて、患者に投与することができる。
このような複室容器1によれば、排出部13を開口不能に外側から保護する保護部材20の係止部24が、容器本体10の弱シール部18並びに凹部19及び中間溶着部16cの外周に係止されると共に、この係止された位置より排出部13側の第2の収容室12の容器壁15a、15bの外周を経由して取外すものであって、弱シール部18の剥離前には、第2の収容室12の容器壁15a、15bの外周が、保護部材20の係止部24より大きい外周形状を有するので、弱シールを剥離させる前には、保護部材20を取外すことができない。一方、剥離後には、第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを小さい外周形状に変形させることができるので、保護部材20を取り外すことができる。
そのため、弱シール部18を剥離させることなく、誤って第2の収容室12の薬剤bだけを排出させるようなことを確実に防止できる。
また、第2の収容室12の容器壁15a、15bを変形させるため、他の部分に係止する場合に比べて、弱シール部18の剥離前後における変形量の差をより大きく確保でき、保護部材20の係止及び取り外しをより確実に行い易い。
更に、容器壁15a、15bの外周の一部に形成された凹部19を有するので、簡単な構成で弱シール部18及びその周囲の外周形状と第2の収容室12の容器壁15a、15bの外周形状の差を大きく形成でき、保持部材20の係止部24をより確実に係止することができる。
また、容器壁15a、15bが熱可塑性樹脂からなると共に、両側縁に中間溶着部16cを有し、凹部19がこの中間溶着部16cに形成されているので、容器壁15a、15bに容易に凹部19を形成することができ、容器本体10の製造が容易である。
更に、弱シール部18により2つの収容室11、12が区画され、この弱シール部18の両側縁の中間溶着部16cに凹部19が形成されているので、弱シール部18に沿って保護部材20の係止部24を配置することができ、外観品質を向上させることができる。
また、保護部材20が袋状体からなり、排出部13及び第2の収容室12の周囲の容器壁15a、15bを覆う被覆部21と、被覆部21より上端の開口側に、被覆部21より内周長が短い係止部24とを備えているので、袋状体の開口した上端の内周長を短く形成するだけで保護部材20が得られ、保護部材20を簡単な構成にすることができ、製造が容易である。
更に、保護部材20の袋状体が熱可塑性樹脂からなり、開口側の保護壁22a、22bが溶着されて係止部24が形成されているので、保護部材20及びその係止部24を極めて容易に形成することができる。
なお、上記実施の形態では、弱シール部18の位置に凹部を設けたが、第2の収容室12周囲の容器壁15a、15bに設けることも可能である。その場合、第2の収容室12周囲の容器壁15a、15bに溶着部を設け、この溶着部に凹部を形成したり、容器壁15a、15b自体の形状を凹み形状に形成してもよい。
また、上記では、容器本体10に凹部18を設けたが、凹部18を設けることなく、第2の収容室12周囲の容器壁15a、15bの形状の一部或いは全部を拡幅させてもよい。
更に、上記実施の形態では、連通可能な仕切手段として、剥離可能に溶着された弱シールの例について説明したが、特に限定されるものではなく、例えば、容器壁15a、15b間にインサートフィルムを挟んだ状態で溶着することにより、剥離可能に溶着したものであってもよく、破断することにより連通可能なパイプにより第1の収容室11と第2の収容室12とを接続したものであってもよく、更に、取り外し可能なクリップで第1の収容室11と第2の収容室12との間の可撓性シートを挟持したものであってもよく、第1の収容室11と第2の収容室12との間を隔膜で仕切り、連通針で開封するものであってもよい。
また、上記では、2つの収容室を有する複室容器の例について説明したが、複室容器の収容室の数は、何ら限定されるものではなく、適宜選択可能である。
チューブ状の材料から形成した例について説明したが、一対の容器壁15a、15bが独立し、容器本体10の正面視における全周囲が、剥離不能に溶着されていてもよい。
[実施の形態2]
図6は、この実施の形態2の複室容器を示している。
この複室容器1では、保護部材20により第1の収容室11及び懸垂口17の周囲が覆われている。
このような複室容器1によれば、排出部13が保護部材20により覆われていないものの、薬剤a、bの排出時に使用される懸垂口17が保護部材20により覆われているため、保護部材20を容器本体10から取外さない限り、懸垂口17により容器本体10を懸垂させることができない。その結果、弱シール部18を剥離させること無く、誤って第2の収容室12の薬剤bだけを排出部13から排出させることを防止できる。
その他は、実施の形態1と同一の構成であり、同様の効果が得られる。
この発明の実施の形態の複室容器の正面図である。 同実施の形態の複室容器の縦断面図である。 同実施の形態の複室容器の弱シール部を剥離した状態を示し、一部を断面で示す側面図である。 同実施の形態の複室容器の弱シール部を剥離した状態を示す正面図である。 同実施の形態の複室容器の弱シール部を剥離した状態を示す横断面図である。 この発明の実施の形態2の複室容器の正面図である。
符号の説明
1 複室容器
10 容器本体
11 第1の収容室
12 第2の収容室
13 排出部
15a、15b 容器壁
16c 中間溶着部
18 弱シール部
19 凹部
20 保護部材
21 被覆部
24 係止部

Claims (5)

  1. 変形可能な容器壁の内部が連通可能な仕切手段により上下に仕切られて複数の収容室に区画され、前記容器壁の下端側に密封された排出部を備えた容器本体と、前記容器本体の前記排出部を外側から保護する保護部材とを有する複室容器であって、
    前記複数の収容室には混合して前記排出部から排出される収容物がそれぞれ収容され、
    前記容器壁は熱可塑性樹脂からなると共に前記仕切手段は対向する該容器壁を剥離可能に溶着して構成され、
    前記仕切手段の側方となる前記容器壁の側縁に凹部が形成されることで、前記仕切手段及び凹部の位置における前記容器壁の外周からなる第1の部位と、該第1の部位より前記排出部側に配置された前記収容室周囲における前記容器壁の外周からなり、前記第1の部位より長い外周長を有する第2の部位とが設けられ、
    前記保護部材は、前記排出部を開口不能に外側から覆う被覆部と、前記第1の部位を囲んで前記容器本体に非接合状態で係止される係止部とを有し、該係止部の内周長が前記第2の部位の外周長より短く形成され、前記第2の部位を変形させることで前記係止部が該第2の部位の外周を経由して取外し可能に構成され、
    前記仕切手段の連通前には、前記第2の部位に対応する第2の収容室には前記収容物が実質的に前記容器壁の前記第2の部位が変形不能となるように収容されることで前記第2の部位が前記係止部より大きい外周形状で維持され、
    前記仕切手段の連通後には、前記第2の収容室に収容された前記収容物を前記第2の部位に対応しない第1の収容室に移動させた後、前記第2の部位が前記係止部より小さい外周形状に変形可能となることで前記保護部材が前記容器本体から取り外し可能となる、ことを特徴とする複室容器。
  2. 変形可能な容器壁の内部が連通可能な仕切手段により上下に仕切られて複数の収容室に区画され、前記容器壁の下端側に密封された排出部を備え且つ前記容器壁の上端側に懸垂部を備えた容器本体と、前記容器本体の前記懸垂部を外側から保護する保護部材とを有する複室容器であって、
    前記複数の収容室には混合して前記排出部から排出される収容物がそれぞれ収容され、
    前記容器壁は熱可塑性樹脂からなると共に前記仕切手段は対向する該容器壁を剥離可能に溶着して構成され、
    前記仕切手段の側方となる前記容器壁の側縁に凹部が形成されることで、前記仕切手段及び凹部の位置における前記容器壁の外周からなる第1の部位と、該第1の部位より前記懸垂部側に配置された前記収容室周囲における前記容器壁の外周からなり、前記第1の部位より長い外周長を有する第2の部位とが設けられ、
    前記保護部材は、前記懸垂部を開口不能に外側から覆う被覆部と、前記第1の部位を囲んで前記容器本体に非接合状態で係止される係止部とを有し、該係止部の内周長が前記第2の部位の外周長より短く形成され、前記第2の部位を変形させることで前記係止部が該第2の部位の外周を経由して取外し可能に構成され、
    前記仕切手段の連通前には、前記第2の部位に対応する第1の収容室には前記収容物が実質的に前記容器壁の前記第2の部位が変形不能となるように収容されることで前記第2の部位が前記係止部より大きい外周形状で維持され、
    前記仕切手段の連通後には、前記第1の収容室に収容された前記収容物を前記第2の部位に対応しない第2の収容室に移動させた後、前記第2の部位が前記係止部より小さい外周形状に変形可能となることで前記保護部材が前記容器本体から取り外し可能となる、ことを特徴とする複室容器。
  3. 前記容器壁の両側縁に溶着部を有し、前記凹部が前記溶着部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複室容器。
  4. 前記保護部材は、一端が開口した袋状体からなると共に、前記被覆部は前記排出部及び前記第2の部位の容器壁を覆い、前記被覆部より前記一端側に前記係止部が設けられ、該係止部の内周長は前記被覆部の内周長より短く形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の複室容器。
  5. 前記袋状体が熱可塑性樹脂からなり、前記開口側の一部が溶着されて前記係止部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の複室容器。
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