JP2007105181A - 医療用複室容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 排出口手前に弱シールを備える空間部を設ける必要もなく、また、薬液と薬剤とを混合した後でないと、排出口からの薬液の排出ができない構成の医療用複室容器を提供することである。
【解決手段】 薬液または薬剤が収納される複数の収納部を仕切ると共に外部から圧力により容易に剥離し得る弱シール部4と、一方の収納部の端部に連接される排出口6とを備える医療用複室容器の前記排出口6を覆って刺通針の装着を禁止するカバー部材5を配設し、前記カバー部材5に、該カバー部材の閉止状態を保持すると共に前記圧力により開放されるロック手段52を設ける構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薬液と、粉末製剤、固形製剤などの薬剤を別個に収容しておき、必要時に混合して使用することのできる医療用複室容器に関する。
従来、混合した状態で保管しておくと、変質などによって保存性が悪くなる薬剤や薬液を使用直前に無菌混合させるべく、医療用複室容器が用いられている。これは、容易に剥離可能な弱シール部によって区画される複数の収容室内に複数の内容物を別々に保存しておき、使用の直前に容器を手で圧縮するなどして弱シール部を剥離させ、複数の室を連通させて内容物を無菌状態で混合あるいは溶解させるというものである。
また、通常の医療用複室容器は、全て薬液収容室に排出口が設けられている。これは、凍結乾燥製剤等の粉末薬剤は水分を嫌うものが多いため、粉末薬剤収容室に排出口を設けた場合、排出口を通して水分が内部に浸入するおそれがあり、また、排出口内部に粉末薬剤が付着した場合、溶け残りを生じるおそれもあるといった欠点があることや、薬液収容室に排出口を設けることにより、製造時に排出口から薬液の充填が可能となり、また通常、薬液収容室は透明であるので、使用時に液面を視認可能であるといった利点があるからである。
しかし、薬液収容室に排出口を設けた従来の医療用複室容器では、医療現場において使用者が薬液収容室と粉末薬剤との連通を失念した場合、排出口に刺入する薬剤排出用針を介して薬液のみが患者に投与されてしまうという問題がある。
そのために、排出口の手前に、別に設ける弱シール部を介した空間部を設け、使用時に薬液収容室を押圧した際に、まず粉末薬剤収容室と薬液収容室との間の弱シール部が連通し、次いで注排口の手前の弱シール部が連通するようにした医療用容器が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
さらには排出口に設ける栓体に、前記弱シール部に相当する閉鎖手段や隔壁と空間部を設けて、前記閉鎖手段や隔壁が収容室間の仕切り部を剥離する以上の圧力で開通可能となる医療用複室容器も既に提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
特開平9−327498号公報 特開2002−136570号公報 特開2005−28036号公報 特開2004−248892号公報
しかしながら、前記特許文献1、2に記載の医療用容器では、排出口の手前の空間部には全く水分がないため、高圧蒸気滅菌を行ってもこの空間内部及び注排口内部は滅菌することができない。さらに、この空間部には生理食塩水などを入れておくと、空間部への薬液以外の液体の充填工程が必要となり、製造工程が煩雑となる。
また、このような空間部を設けることにより容器が長くなり、保管時に邪魔になる場合がある。特に弱シール部は保管時の不意な連通を防ぐ目的で、通常、この弱シール部で折り畳まれて包装される。従って、排出口の手前に別に設ける弱シール部も折り畳まねばならず包装工程が煩雑となり、包装後のサイズ(特に厚さ)が大きくなってしまうという問題がある。
さらに、通常の製造では、排出口から薬剤を充填することが多いことから、充填口の確保が困難であるという問題も生じる。
前記特許文献3、4に記載の容器でも、閉鎖手段や隔壁を有する空間部の滅菌が困難となり、同様な問題を有している。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、排出口手前に弱シールを備える空間部を設ける必要もなく、また、薬液と薬剤とを混合した後でないと、排出口からの薬液の排出ができない構成の医療用複室容器を提供することである。
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、薬液または薬剤が収容された複数の収容室を有する容器本体と、前記収容室を仕切ると共に外部から圧力により容易に剥離し得る弱シール部と、一方の収容室の端部に連接される排出口とを備える医療用複室容器であって、前記排出口に、該排出口を覆って刺通針の装着を禁止するカバー部材を配設し、前記カバー部材に、該カバー部材の閉止状態を保持するロック手段を設けたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、排出口を覆っているカバー部材を取り外さないと、排出口に刺通針を装着することができず、所定の薬液や薬剤等が確実に混合されたと確認することが可能となる。
請求項2に係る発明は、前記ロック手段が、前記弱シール部を剥離するために付加される圧力により開放される構成としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、複数の薬液や薬剤等を混合した後でないと、カバー部材を取り外すことができないので、使用者が薬液収容室と薬剤収容室との連通を失念することもなく、薬剤と混合されていない薬液のみが患者に投与される虞もない。
請求項3に係る発明は、前記カバー部材が、円筒状の本体部をその軸方向に二分割したそれぞれ樋状の上部材と下部材との一方の端部を屈曲自在に接続して前記排出口を覆う蓋部とし、他方の端部が開閉自在な構成であり閉止して前記一方の収容室を挟持すると共に、前記上部材と下部材とを閉止した位置に固定する前記ロック手段を円筒状本体部の中間位置に設けたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、排出口を覆う程度の大きさの円筒状のカバー部材を用いて、排出口の刺通部を蓋部で被覆することで、刺通針の装着を確実に禁止することができる。
請求項4に係る発明は、前記ロック手段を、前記上部材に設ける係止爪と前記下部材に設ける係止爪とが着脱自在に係合する嵌合式としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、カバー部材が開閉自在な構成となるので、カバー部材を繰り返し使用することができる。
請求項5に係る発明は、前記ロック手段を、前記上部材と前記下部材とを閉止位置に固定すると共に前記圧力により破断する部材を装着する破断式としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、テープやシール等を巻付けて、あるいは固着部材を装着したロック手段としても、弱シール部を剥離する圧力により破断させてカバー部材を容易に開放することができる。
請求項6に係る発明は、前記容器本体が熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記弱シール部を前記フィルムの上下の内面同士を熱接着させた構成としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、薬液や薬剤等を収容する複数の収容室を容易に生成可能であると共に、外部からの圧力により容易に剥離し得る弱シール部を生成することができる。
請求項7に係る発明は、前記容器本体を吊り下げるための吊孔を前記排出口の反対側の端部に設けたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、排出口が最下部に位置するように容器本体を吊り下げることで、混合された薬液や薬剤を容易に排出可能となり、使い勝手の良い医療用複室容器とすることができる。
本発明によれば、排出口を覆って刺通針の装着を禁止するカバー部材を配設して、薬液や薬剤等の収容室を区切っている弱シール部を剥離するために付加される圧力により前記カバー部材を開放する構成としたので、薬液や薬剤等を確実に混合した後でないと、排出口からの薬液の排出ができない構成の医療用複室容器を得ることができる。
以下、本発明に係る医療用複室容器の実施の形態について、図1から図6に基づいて詳細に説明する。
図1に示す医療用複室容器1は、第一収容室2と第二収容室3とそれらの収容室を区切っている仕切部となる弱シール部4を備えており、それぞれの収容室には所定の薬液や薬剤等が収容されている。
また、前記第一収容室2の端部には刺通針を装着して薬液を排出する排出口6が連接されており、他方の第二収容室3の端部には、容器本体を吊り下げるための吊孔7が設けられている。
5は排出口6を覆うカバー部材であり、このカバー部材5を取り外さないと、排出口の刺通針装着部が露出せずに、刺通針の装着が禁止されて、混合されていない薬液や薬剤の注入を防止する構成とされている。
医療用複室容器1は、容器本体が熱可塑性樹脂フィルムからなる袋体であって、前記弱シール部4は、前記フィルムの上下の内面同士を熱接着させた構成としている。また、前記弱シール部4を、前記フィルムに熱シール可能な別のフィルムシートを介して互いに溶着した構成とすることも可能である。
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂及びこれらの混合物から生成されるフィルムが挙げられる。また、これらの材料の積層体など医療用容器の材質として使用されるものであれば、特に限定はされないが、一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物が好適に採用可能である。
上記したように、第一および第二の収容室2、3は熱可塑性樹脂フィルムからなる袋体であるので、薬液や薬剤を充填して膨らんでいる袋体を外から圧迫して内圧を高めることができる。そのために、所定の圧力以上の力で圧迫すると、収容室間の仕切部である前記弱シール部4が剥離する。
図2には所定の圧力を付加して弱シール部4を剥離した状態を示している。弱シール部4を剥離すると、例えば、第一収容室2に充填されている薬液と、第二収容室に充填されている薬剤とを混合することができる。また、前記カバー部材5の閉止状態を保持するロック手段が、前記弱シール部4を剥離するために付加される圧力により開放される構成としたので、前記弱シール部4が剥離すると同時に前記カバー部材5も開放され、取り外すことが可能となる。
つまり、所定の圧力以上の力で圧迫して初めて、薬液や薬剤の混合と排出が可能となる構成である。
カバー部材5は、図4に示すように、円筒状の本体部をその軸方向に二分割したそれぞれ樋状の半円筒形の上部材5Aと下部材5Bとの一方の端部を屈曲自在に接続して前記排出口を覆う蓋部51とし、他方の端部53が開閉自在な構成としている。そのために、屈曲自在な前記蓋部51を支点として、端部53側の上部材5Aと下部材5Bとが接離自在に開閉することができる。また、前記上部材5Aと下部材5Bとを閉止して前記一方の収容室(例えば第一収容室2)を挟持すると共に、前記上部材5Aと下部材5Bとを組み合わせて円筒状に閉止した位置に固定するロック手段52を、円筒状本体部の中間位置に設けた構成としている。
そのために、カバー部材5は、図6(a)に示すように、上部材5Aと下部材5Bとが大きく開いた状態から、図6(b)〜図6(d)に示すような蓋部51をヒンジ部とする円筒状の閉止状態まで屈曲自在である。前記閉止状態を保持するロック手段52は、例えば図6(b)に示すように、前記上部材5Aに設ける係止爪52aと前記下部材5Bに設ける係止爪52bとが着脱自在に係合する嵌合式の構成とすることができる。また、着脱自在として複数回使用可能な構成ではなく、図6(c)のように、テープやシール等を巻き付けて固着したテープ破断式ロック部9Aとして、単一使用な構成としてもよい。さらには、テープやシールに替えて、図6(d)のように硬質プラスチックからなる固着部材を装着したパーツ破断式ロック部9Bとすることも可能である。
前記破断式ロック部9A、9Bは、いずれも前記上部材5Aと前記下部材5Bとを閉止状態に固定すると共に、前記弱シール部4を剥離する所定圧力により破断する部材を装着する構成としているので、所定圧以上の圧迫力で第一収容室2もしくは第二収容室3を押圧すると、弱シール部4が剥離すると同時に、それぞれのロック部を破断しカバー部材5を開放することができる。
次に図5に示す側面図より分離された薬液や薬剤を混合する手順について説明する。図5(a)には、カバー部材5が装着され、弱シール部4が未だ剥離されていない状態を示し、図5(b)には、第一収容室2を圧力Fで圧迫して、弱シール部を剥離した状態を示し、図5(c)には、カバー部材5を取り外した状態を示す。
主に薬液が充填される第一収容室2を圧力Fで圧迫すると、増加する内圧により、弱シール部4が剥離すると同時に、前記第一収容室2を挟持している端部53を開放する力が作用して、カバー部材5のロック手段52が開放される。そのために、上部材5Aと下部材5Bとの一方の端部を屈曲自在に接続している蓋部51の弾性力により、端部53が開放され、そのままカバー部材5を取り外すことができる。
カバー部材5を取り外すと、初めて排出口6が露出し、刺通針の装着が可能となる。つまり、所定の圧力以上の圧迫力を付加しないと刺通針の装着が不可能であり、医療現場において使用者が薬液収容室と薬剤収容室との連通を失念することもなく、排出口に刺入する薬剤排出用針を介して、所定の薬剤が混合されていない薬液のみが患者に投与されてしまうという問題も確実に防止することができる。
前述したように、カバー部材5の開閉側端部53は、第一収容室2を挟持する位置から、前記第一収容室に付加される圧迫力により開くよう、上下の部材が近接した状態で前記カバー部材5を閉止する構成としておくことが肝要である。そのために、端部53の、上部材5Aと下部材5Bのそれぞれの部材離間距離は、袋状の容器本体の上下2枚のフィルム厚より僅かに大きな寸法としている。また、この挟持する部分を図3に示すような弱シール部10として、圧迫力Fにより剥離する構成としてもよい。
上記の構成であれば、薬液を充填した後で前記カバー部材5を装着する際に、弱シール部10に端部53が接触して押圧する構成としても、この当接部分には薬液は存在しないので容器本体が破れることがなく、薬液が漏れ出すこともなく好適である。
所定の圧迫力Fを付加して弱シール部4を剥離すると同時にカバー部材5を取り外し、薬液や薬剤が混合したことを確認した後で、前述した吊孔7を用いて容器本体を吊り下げた状態とし、排出口6を下側として該排出口6に装着する刺通針を介して、所定の薬液や薬剤が混合された処置剤を患者に投与する。
上記したように、本発明に係る医療用複室容器1は、排出口6を覆って刺通針の装着を禁止するカバー部材5を配設すると共に、薬液や薬剤等の収容室を区切っている弱シール部4を剥離するために付加される圧力により前記カバー部材5を開放する構成としたので、薬液や薬剤等を確実に混合した後でないと、排出口6からの薬液の排出ができない構成となる。
さらに、本発明に係るカバー部材5は、各収容室に所定の薬液や薬剤等を充填して予め製造した医療用複室容器に、後で装着することができるので、製造工程の最終工程に組み入れることができるものである。また、そのために、最終工程としてカバー部材を装着する設備を設置するだけで、従来の製造ラインをそのまま利用可能となるという効果をも有する。
本発明に係るカバー部材を備える医療用複室容器の正面図である。 弱シール部を剥離しカバー部材を取り外した状態を示す正面図である。 第二の弱シール部を備える医療用複室容器の正面図である。 本発明に係るカバー部材を備える医療用複室容器の側面図である。 医療用複室容器の側面図であり、(a)はカバー部材が装着され、弱シール部が剥離されていない状態を示し、(b)は、弱シール部を剥離した状態を示し、(c)には、カバー部材を取り外した状態を示している。 本発明に係るカバー部材を示す概略説明図であり、(a)は開放した状態を示し、(b)は係止爪部を係合する嵌合式のロック手段を有するカバー部材、(c)はテープを巻きつけたテープ破断式ロック手段を有するカバー部材、(d)は固着部材を装着したパーツ破断式ロック手段を有するカバー部材である。
符号の説明
1 医療用複室容器
2 第一の収容室
3 第二の収容室
4 弱シール部
5 カバー部材
5A 上部材
5B 下部材
6 排出口
7 吊孔
51 蓋部
52 ロック手段
52a、52b 係止爪

Claims (7)

  1. 薬液または薬剤が収容された複数の収容室を有する容器本体と、前記収容室を仕切ると共に外部から圧力により容易に剥離し得る弱シール部と、一方の収容室の端部に連接される排出口とを備える医療用複室容器であって、前記排出口に、該排出口を覆って刺通針の装着を禁止するカバー部材を配設し、前記カバー部材に、該カバー部材の閉止状態を保持するロック手段を設けたことを特徴とする医療用複室容器。
  2. 前記ロック手段が、前記弱シール部を剥離するために付加される圧力により開放される構成としたことを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
  3. 前記カバー部材が、円筒状の本体部をその軸方向に二分割したそれぞれ樋状の上部材と下部材との一方の端部を屈曲自在に接続して前記排出口を覆う蓋部とし、他方の端部が開閉自在な構成であり閉止して前記一方の収容室を挟持すると共に、前記上部材と下部材とを閉止した位置に固定する前記ロック手段を円筒状本体部の中間位置に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用複室容器。
  4. 前記ロック手段を、前記上部材に設ける係止爪と前記下部材に設ける係止爪とが着脱自在に係合する嵌合式としたことを特徴とする請求項3に記載の医療用複室容器。
  5. 前記ロック手段を、前記上部材と前記下部材とを閉止位置に固定すると共に前記圧力により破断する部材を装着する破断式としたことを特徴とする請求項3に記載の医療用複室容器。
  6. 前記容器本体が熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記弱シール部を前記フィルムの上下の内面同士を熱接着させた構成としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の医療用複室容器。
  7. 前記容器本体を吊り下げるための吊孔を前記排出口の反対側の端部に設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の医療用複室容器。
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