JP4609017B2 - 液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、及び電子機器 - Google Patents
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Description
かかる液晶表示装置において、近年の画素設計の高精細化によるクロストークの問題を改善するために、液晶表示装置における素子基板として、図15(a)〜(b)に示すように、データ線622と、画素電極623との間に絶縁膜616が介在しており、データ線622と、画素電極623の一部とが重なり、電気接続されるように配置された素子基板がある(例えば、特許文献1参照)。かかる素子基板は、絶縁膜を備えることにより、データ線のピッチ間隔が狭い場合であっても、画素の開口率の低下を防ぐとともに、データ線と画素電極との電気絶縁性を確保して、表示される画像の表示特性の低下を防止することができる。
すなわち、本発明は、液晶表示装置において、コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を設けて、被覆層を形成する際の構成材料のはじき現象を防止することにより、対向する電極間でのショートの発生を低減した液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、そのような液晶表示装置の製造方法、さらに、そのような液晶表示装置を備えた電子機器を提供することである。
すなわち、コンタクトホールの上端に曲率部を設けることにより、コンタクトホールと重なるようにして層間絶縁膜上に形成される画素電極における、コンタクトホール上端に相当する箇所に曲率部を形成して、当該画素電極上に形成される被覆層を形成する際の構成材料の載り性を向上させることができる。したがって、被覆層の構成材料がコンタクトホール内に流れ込みにくくなり、画素電極上に形成される被覆層の膜厚の均一化を図ることができ、一対の基板間に異物が入り込んだ場合であっても、対向する電極間でのショートの発生を有効に防止することができる。
このように構成することにより、コンタクトホールと重ねて形成される画素電極と被覆層との間の密着性を向上させることができ、被覆層をより均一に形成することができる。また、同様に、層間絶縁膜と画素電極との間の密着性を向上させて、画素電極の断線等を防止することができる。
このように構成することにより、取り扱いや形成が容易であるとともに、硬化後においては所定の硬度や電気絶縁性が得られて、画素電極を異物等から確実に保護することができる。
このように構成することにより、曲率部における画素電極上への被覆層の載り性を向上させて、はじき現象を有効に防止することができるとともに、画素における有効表示面積を広く確保することができる。
このように構成することにより、層間絶縁膜と画素電極、及び画素電極と被覆層、それぞれの間の密着性を高めることができるとともに、画素における有効表示面積を広く確保することができる。
このように構成することにより、対向する電極間での電気絶縁性を確保するとともに、液晶表示装置の薄型化を図ることができる。
すなわち、層間絶縁膜を形成する際に、所定のパターンマスクを用いて、露光及び現像処理をすることにより、コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を容易に形成することができる。したがって、画素電極上に形成する被覆層の膜厚を均一にして、対向する電極間でのショートの発生を有効に防止した液晶表示装置を効率的に製造することができる。
このように実施することにより、コンタクトホールと重ねて形成される画素電極と被覆層との間の密着性を向上させて、形成する被覆層の膜厚の均一化を図った液晶表示装置を効率的に製造することができる。また、同様に、画素電極と層間絶縁膜との間の密着性を向上させて、画素電極の断線等を防止した液晶表示装置とすることができる。
すなわち、コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を設けた液晶表示装置を備えることにより、対向する電極間でのショートの発生を少なくした電子機器を効率的に提供することができる。
第1実施形態は、一対の基板間に液晶材料が狭持されてなる液晶表示装置において、一対の基板のうちの一方の基板上には、電気配線、及び当該電気配線に対してスイッチング素子を介して接続された画素電極と、電気配線及びスイッチング素子と画素電極との間に形成された層間絶縁膜と、画素電極上に形成された被覆層と、を備え、層間絶縁膜は、スイッチング素子と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを備えるとともに、当該コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を形成してあることを特徴とする。
以下、図1〜図6を適宜参照しながら、本発明の第1実施形態の液晶表示装置について、カラーフィルタ基板30、及び素子基板60を用いた液晶表示装置を例に採って説明する。
なお、本実施形態の液晶表示装置は、TFD素子(Thin Film Diode)を備えたアクティブマトリクス型構造の液晶表示装置であるが、これ以外に、TFT素子(Thin Film Transistor)を備えたアクティブマトリクス型構造の液晶表示装置であっても構わない。
まず、図1を参照して、本発明に係る第1実施形態の液晶表示装置10の基本構造、すなわち、セル構造や配線等について具体的に説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る液晶表示装置10の概略断面図である。
かかる液晶表示装置10は、スイッチング素子として、二端子型非線形素子であるTFD素子69を用いたアクティブマトリクス型構造を有する素子基板60を備えた液晶表示装置10であって、図示しないものの、バックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを必要に応じて適宜取付けて使用される。
また、液晶表示装置10は、ガラス基板を基体61とする素子基板60と、同様にガラス基板を基体31とするカラーフィルタ基板30と、が対向配置されるとともに接着剤等のシール材23を介して貼り合わせられている。また、素子基板60と、カラーフィルタ基板30とが形成する空間であって、シール材23の内側部分に対して、開口部(図示せず)を介して液晶材料21を注入した後、封止材(図示せず)にて封止されてなるセル構造を備えている。すなわち、素子基板60と、カラーフィルタ基板30との間に液晶材料21が充填されている。
そして、電気配線65又は引回し配線66が延設された端部には、液晶駆動回路等を内蔵した駆動用半導体素子(駆動用IC)91が実装されている。さらに、外部接続用端子67のうちの表示領域側の端部にも、駆動用半導体素子(駆動用IC)91が実装されているとともに、他方の端部には、フレキシブル基板93が実装されている。
カラーフィルタ基板30は、一例として、図1に示すように、ガラス基板等からなる基体31と、遮光膜39と、着色層37と、平坦化層41と、走査電極33と、から構成されている。また、走査電極33上には、液晶材料の配向性を制御するための配向膜45を備えるとともに、走査電極33等が形成されている面とは反対側の面に、鮮明な画像表示が認識できるように、位相差板(1/4波長板)47及び偏光板49が配置されている。
なお、図2に示すように、後述する素子基板60上の被覆層78と同様に、カラーフィルタ基板30上においても、走査電極33と配向膜45との間に、被覆層40が形成されていることが好ましい。この理由は、素子基板60上の被覆層78と相俟って、基板間に異物が入り込んだ場合であっても、対向する電極間でのショートをより確実に防止することができるためである。
また、着色層37の配列パターンとしては、ストライプ配列を採用することが多いが、このストライプ配列の他に、斜めモザイク配列や、デルタ配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
また、平坦化層41の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる走査電極33が形成されている。かかる走査電極33は、複数の透明電極が並列したストライプ状に構成されている。そして、この走査電極33の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜45が形成されている。
(1)基本構成
次に、図3〜図6を参照して、素子基板60についてさらに詳細に説明する。ここで、図3(a)は、素子基板の概略平面図を示し、図3(b)は、図3(a)中のYY断面を矢印方向に見た断面図を示している。また、図4〜図6は、素子基板60の要部を示す図である。さらに、それぞれの図中において、一部の部材を適宜省略してある。
素子基板60は、図3(a)〜(b)に示すように、基本的に、ガラス基板等からなる基体61と、電気配線65と、スイッチング素子としてのTFD素子69と、層間絶縁膜68と、画素電極63と、から構成されている。また、画素電極63上には、対向する基板間に異物が入り込んだ場合における、対向する電極間でのショートを防止するための被覆層78が形成されているとともに、当該被覆層78上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜75が形成されている。さらに、素子基板60の外面には、位相差板(1/4波長板)77及び偏光板79が配置されている。
なお、本実施形態にかかる液晶表示装置は、TFD素子69を備えた液晶表示装置10であり、電気配線65とは、データ線を意味する。
また、スイッチング素子としてのTFD素子69は、図4(a)〜(b)に示すように、電気配線65と画素電極63とを電気的に接続するための部材である。
かかるTFD素子69は、二端子型非線型素子の典型である。また、TFD素子69は、一般的に、タンタル(Ta)合金からなる素子第1電極71、酸化タンタル(Ta2O5)からなる絶縁膜72、およびクロム(Cr)からなる素子第2電極73、74が順次積層されたサンドイッチ構造を有している。そして、正負方向のダイオードスイッチング特性を示し、しきい値以上の電圧が、素子第1電極71及び素子第2電極73、74の両端子間に印加されると導通状態となるアクティブ素子である。
この理由は、このように構成することにより、印加する電圧波形として、正負対称なパルス波形を使用することができ、液晶表示装置等における液晶材料の劣化を防止することができるためである。すなわち、液晶材料の劣化を防止するために、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的であることが望まれ、二個のTFD素子を逆向きに直列接続することにより、正負対称なパルス波形を使用することができるためである。
また、図4(a)〜(b)に示すように、層間絶縁膜68は、電気配線65と、画素電極63との間に備えられ、それらの間の電気絶縁性を確保するための部材である。すなわち、本実施形態にかかる液晶表示装置10は、電気配線65と、画素電極63との間に、層間絶縁膜68が形成されるとともに、電気配線65と画素電極63とが層間絶縁膜68に設けられたコンタクトホール68aを介して接続された、いわゆるオーバーレイヤー構造の液晶表示装置10である。
したがって、画素設計が高精細となって、電気配線65のピッチ間隔が狭くなっている場合であっても、電気配線65と画素電極63との電気絶縁性を確保して、クロストークの問題が生じることを確実に防止することができる。また、電気配線65と画素電極63とを平面的に重ねて配置することができるために、電気配線65のピッチ間隔が狭くなっている場合であっても、画素面積を広く確保することができる。
より具体的には、図16に示すように、かかるコンタクトホール68aの上端に曲率部を形成しないで、角部が設けられている場合には、コンタクトホール68aと重なるように層間絶縁膜68上に設けられる画素電極63にも、角部が形成されることとなる。これにより、画素電極63上に被覆層78を形成するための構成材料を塗布した際に、角部付近では、構成材料の載り性が低下し、はじかれてしまうことによって、形成される被覆層78の膜厚が不均一となったり、被覆層78の非存在箇所が形成されたりする場合がある。かかる場合に、カラーフィルタ基板30と素子基板60との間に入り込んだ異物によって、膜厚が薄くなったか、あるいは被覆層78が形成されなかった箇所を介して、走査電極33と画素電極63との間にショートが発生してしまうこととなる。
したがって、図4(b)に示すように、コンタクトホール68aの壁面の上端に曲率部80を形成することにより、画素電極63上への被覆層78の構成材料の載り性を向上させて、コンタクトホール68a内への構成材料の流れ込みを抑えて、形成される被覆層78の膜厚の均一化を図ることができる。よって、基板間に異物等が入り込んだ場合であっても、走査電極33と画素電極63との間のショートの発生を少なくすることができる。
この理由は、曲率部80の曲率半径Rが150μm未満の値となると、被覆層78を形成する際に、曲率部80における画素電極63上への被覆層78の構成材料の載り性が低下して、被覆層78の膜厚にばらつきが生じる場合があるためである。一方、曲率部80の曲率半径Rが400μmを超えると、画素電極63の平坦部の面積が減少して、一つの画素における有効表示面積が小さくなる場合があるためである。
したがって、曲率部80の曲率半径Rを180〜380μmの範囲内の値とすることがより好ましく、200〜350μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、コンタクトホール68aと重ねて形成される画素電極63と被覆層78との間の密着性を向上させることができ、被覆層78の膜厚をより均一にすることができるためである。また、同様に、当該層間絶縁膜68の端部における画素電極63と層間絶縁膜68との間の密着性を向上させることもでき、画素電極63の断線等を防止することもできるためである。
この理由は、かかるテーパ角θが20°未満の値となると、画素電極63の平坦部の面積が減少して、一画素における有効表示面積が小さくなる場合があるためである。一方、かかるテーパ角θが45°を超えると、当該層間絶縁膜68の端部における層間絶縁膜68と画素電極63、及び画素電極63と被覆層78、それぞれの間の密着性が低下し、欠落等が発生する場合があるためである。
したがって、層間絶縁膜68の端部をテーパ状とする場合に、そのテーパ角θを22〜40°の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、層間絶縁膜68の膜厚が1,200nm未満の値となると、電気配線65及びスイッチング素子69と画素電極63との間の電気絶縁性を確保することができない場合があるためである。一方、層間絶縁膜68の膜厚が3,000nmを超えると、曲率部80の曲率半径や、コンタクトホール68aの壁面を含む層間絶縁膜68の端部のテーパ角にもよるが、画素電極63の平坦部の面積が減少して、一つの画素における有効表示面積が小さくなったり、液晶表示装置10の薄型化が困難になったりする場合があるためである。
したがって、層間絶縁膜68の膜厚を1,500〜2,900nmの範囲内の値とすることがより好ましく、2,000〜2,800nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図4(a)〜(b)に示すように、層間絶縁膜68上には、上述したコンタクトホール68aを介してスイッチング素子69と接続された画素電極63が形成されている。
かかる画素電極63は、ITO(インジウムスズ酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電性材料を用いて形成することができる一方、画素電極63に反射機能を持たせる場合には、アルミニウムや銀等を用いて形成することもできる。
また、本発明に係る液晶表示装置においては、コンタクトホール68aの壁面の上端に曲率部80が形成されているために、当該上端における画素電極63にも曲率部が形成されている。したがって、画素電極63に被覆層78を形成する際の構成材料の載り性の向上が図られ、膜厚が均一化された被覆層78を形成することが容易になる。
さらに、コンタクトホール68aの壁面を含む層間絶縁膜68の端部をテーパ状に形成した場合には、層間絶縁膜68と画素電極63との間の密着性が向上し、画素電極63の膜厚が均一化されていることとなる。
この理由は、画素電極63の膜厚が35nm未満の値となると、必要な抵抗値を確保することが困難になる場合があるためである。一方、画素電極63の膜厚が180nmを超えると、セルギャップにばらつきが生じやすくなる場合があるためである。
したがって、画素電極63の膜厚を38〜150nmの範囲内の値とすることがより好ましく、40〜100nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図4(a)〜(b)に示すように、画素電極63上には、基板間に異物等が入り込んだ場合に、走査電極33と画素電極63との間でショートが発生することを防止するための被覆層78が形成されている。すなわち、液晶表示装置の製造段階において、基板間に異物が入り込んだ場合には、当該異物が走査電極33や画素電極63上に形成された配向膜45、75を貫くなどして、走査電極33と画素電極63との間が導電状態になると、表示不良の原因になる場合がある。したがって、かかる被覆層78を設けることにより、異物等が入り込んだ場合であっても、走査電極33と画素電極63との間のショートを防止することができる。
この理由は、製造段階においては、膜厚を薄く形成することが容易である一方、形成後においては、所定の硬度を有するために、画素電極63を確実に保護して、走査電極33と画素電極63との間の電気絶縁性を確保することができるためである。
なお、アルキルシラン化合物やアルコキシシラン化合物等のうち、より反応性が高くかつ電気絶縁性に優れた被覆層が得られることから、具体的に、テトラメチルシラン、テトラメチルチタン、テトラメチルアルミニム、テトラエチルシラン、テトラエチルチタン、テトラエチルアルミニム、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロチタン、ジメチルジクロロアルミニム、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロチタン、ジフェニルジクロロアルミニム、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジクロロチタン、ジエチルジクロロアルミニム、ジフェニルジエチルシラン、ジフェニルジエチルチタン、ジフェニルジエチルアルミニム、メチルトリクロロシラン、メチルトリクロロチタン、メチルトリクロロシアルミニウム、トリフェニルメチルシラン、トリフェニルメチルチタン、トリフェニルメチルアルミニウム、ジメチルジエチルシラン、ジメチルジエチルチタン、ジメチルジエチルアルミニム等の一種単独または二種以上の組み合わせが好ましい。
したがって、被覆層78の膜厚のばらつきや欠落箇所が存在しないために、基板間に異物等が入り込んだ場合であっても、被覆層78によって、走査電極33と画素電極63との間のショートを確実に防止することができる。
この理由は、被覆層78の膜厚が50nm未満の値となると、基板間に異物等が入り込んだ場合に、当該異物等が被覆層78を貫通してしまい、走査電極33と画素電極63との間でのショートの発生を防ぐことが困難となる場合があるためである。一方、被覆層78の膜厚が200nmを超えると、素子基板60、ひいては液晶表示装置の薄型化を図ることが困難になる場合があるためである。
したがって、被覆層78の膜厚を60〜180nmの範囲内の値とすることがより好ましく、70〜150nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
本発明の第2実施形態は、一対の基板間に液晶材料が狭持されてなる液晶表示装置の製造方法である。そして、基板上に、電気配線、及びスイッチング素子を形成する工程と、電気配線及びスイッチング素子が形成された基板上の全面に透明樹脂層を形成する工程と、透明樹脂層に対して、ハーフトーンマスクを用いて露光するか、又は、異なるパターンマスクを用いて複数回露光した後、現像することにより、壁面の上端に曲率部を有するコンタクトホールを備えた層間絶縁膜を形成する工程と、層間絶縁膜が形成された基板上に、コンタクトホールを介してスイッチング素子と電気的に接続されるように、画素電極を形成する工程と、画素電極が形成された基板上に、被覆層を形成する工程と、被覆層の上に、配向膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
以下、第2実施形態にかかる液晶表示装置の製造方法として、第1実施形態の液晶表示装置の製造方法の一例を、図7〜図13を適宜参照しながら説明する。
なお、本実施形態においても、TFD素子(Thin Film Diode)を備えたアクティブマトリクス型構造の液晶表示装置の製造方法を例に採って説明するが、これ以外に、TFT素子(Thin Film Transistor)を備えたアクティブマトリクス型構造の液晶表示装置であっても構わない。
カラーフィルタ基板30は、図7(a)〜(e)に示すように、ガラス基板からなる基体31における、表示領域に相当する箇所に、遮光膜39、着色層37、平坦化膜41、及び走査電極33、配向膜45等を順次形成することにより製造することができる。これらの反射層35等の形成方法は特に制限されるものではなく、公知の方法により形成することができる。
また、図示しないが、走査電極33の形成後に、後述する素子基板60と同様に、被覆層を形成することが好ましい。この理由は、基板間に異物等が入り込んだ場合であっても、素子基板60上の被覆層78と相俟って、走査電極33と画素電極63との間のショートの発生をより確実に防止することができるためである。
(1)電気配線及びTFD素子の形成
素子基板60は、まず、図8(a)〜(b)に示すように、ガラス基板からなる基体61上に、素子第1電極71を形成する。この素子第1電極71は、例えば、タンタル合金から構成されており、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いて形成することができる。このとき、素子第1電極71の形成前に、第2のガラス基板61に対する素子第1電極71の密着力を著しく向上させることができるとともに、第2のガラス基板61から素子第1電極71への不純物の拡散を効率的に抑制することができることから、基体61上に酸化タンタル(Ta2O5)等からなる絶縁膜を形成することも好ましい。
次いで、再び、スパッタリング法等により、素子第1電極71を含む基板上に、全面的に金属膜を形成し、それをフォトリソグラフィ法によって、パターニングすることにより、図8(d)に示すように、素子第2電極73、74及び電気配線(図示せず。)を形成する。このようにして、TFD素子69及び電気配線(データ線)を形成することができる。
次いで、図9(a)又は図10(a)に示すように、TFD素子69及び電気配線(図示せず)を含む素子基板60上の全面に渡って、光硬化性樹脂を塗布することにより、透明樹脂層68Xを形成する。この光硬化性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は流動性を有する未硬化状態で、公知のスピンコート法や印刷法等を用いて、素子基板60上に塗布することができる。
次いで、図9(b)〜(c)又は図10(b)〜(e)に示すように、光硬化性樹脂からなる透明樹脂層68Xに対して、所定のハーフトーンマスク121、又はそれぞれ異なる形状のパターンを有するパターンマスク122a〜122cを用いて露光処理を施した後、現像することにより、壁面の上端に曲率部80を有するコンタクトホール68aを備えた層間絶縁膜68を形成する。すなわち、次工程においてコンタクトホール68aと重なるように形成される画素電極63においても曲率部を形成されるため、さらに画素電極63上に形成する被覆層78の構成材料を塗布する際の載り性を向上させて、膜厚の均一化を図ることができるためである。したがって、基板間に異物等が入り込んだ場合であっても、被覆層78によって、走査電極33と画素電極63との間で、異物等を介してショート等が発生することを確実に防止することができる。
なお、使用する光硬化性樹脂はポジ型又はネガ型のいずれであっても構わない。以下、ネガ型の光硬化性樹脂を使用した例について説明する。
この理由は、層間絶縁膜68と画素電極63、及び画素電極63と被覆層78、それぞれの密着性を向上させて、画素電極63及び被覆層78の欠落等を有効に防止することができる。したがって、対向する電極間でのショートの発生をさらに効果的に防止できるとともに、画素電極63の欠落等による表示不良の発生を防止した液晶表示装置を効率的に製造することができる。
次いで、層間絶縁膜68を含む基板上に、スパッタリング法等により、ITO(インジウムスズ酸化物等)等の透明導電体材料からなる透明導電層を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図13(a)に示すように、コンタクトホール68aを介してTFD素子69と電気的に接続された画素電極63を形成する。
このとき、コンタクトホール68aの壁面の上端に曲率部80が形成されているために、画素電極63においても曲率部が形成される。
次いで、図13(b)に示すように、画素電極63が形成された基板上に、アルコキシシラン等の透明絶縁性材料を塗布した後、硬化させることにより、被覆層78を形成する。このとき、上述したとおり、コンタクトホール68aの壁面の上端に曲率部80を形成してあることから、画素電極63にも曲率部が形成されているために、被覆層78の構成材料がコンタクトホール68aの上端ではじかれることなく保持され、コンタクトホール68a内に流れ込みにくくなり、均一な膜厚の被覆層78を形成することができる。
したがって、基板間に異物等が入り込んだ場合であっても、当該異物を介して走査電極33と画素電極63との間でショートが発生することを有効に防止することができる。
次いで、図13(c)に示すように、被覆層78が形成された素子基板60上に、ポリイミド樹脂等からなる配向膜75を形成することにより、素子基板60を製造することができる。
次いで、図示しないものの、カラーフィルタ基板又は素子基板のいずれか一方において、表示領域を囲むようにしてシール材を積層した後、他方の基板を重ね合わせて、加熱圧着することにより、カラーフィルタ基板及び素子基板を貼り合わせて、セル構造を形成する。
その後、セル内に、シール材の一部に設けられた注入口から液晶材料を注入した後、封止材等により封止する。
次いで、カラーフィルタ基板及び素子基板それぞれの外面に、位相差板(1/4λ板)及び偏光板を配置したり、ドライバを実装したりするとともに、バックライト等とともに筐体に組み込むことにより、液晶表示装置を製造することができる。
本発明に係る第3実施形態として、第1実施形態の液晶表示装置を備えた電子機器について具体的に説明する。
また、表示情報出力源201は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ204によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示処理回路202に供給するように構成されていることが好ましい。
そして、本実施形態の電子機器であれば、素子基板において、コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を形成した液晶表示装置を使用している。そのために、画素電極上に形成される被覆層の膜厚の均一化を図り、対向する電極間でのショートの発生を防止して、優れた画像表示を実現できる電子機器とすることができる。
Claims (9)
- 一対の基板間に液晶材料が狭持されてなる液晶表示装置において、前記一対の基板のうちの一方の基板上には、電気配線、及び当該電気配線に対してスイッチング素子を介して接続された画素電極と、前記電気配線及びスイッチング素子と前記画素電極との間に形成された層間絶縁膜と、前記画素電極上に形成された有機化合物より成る被覆層と、当該被覆層上に形成された配向膜と、を備え、前記層間絶縁膜は、前記スイッチング素子と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを備えるとともに、当該コンタクトホールの壁面の上端に曲率部を形成してあることを特徴とする液晶表示装置。
- 前記コンタクトホールの壁面を含む層間絶縁膜の端部をテーパ状とすることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記被覆層が、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、及び、アルコキシアルミニウム化合物のうちの少なくとも一つの化合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
- 前記曲率部における曲率半径を150〜400μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記コンタクトホールの壁面を含む層間絶縁膜の端部のテーパ角を20〜45°の範囲内の値とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記被覆層の膜厚を50〜200nmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 一対の基板間に液晶材料が狭持されてなる液晶表示装置において、
基板上に電気配線、及びスイッチング素子を形成する工程と、
前記電気配線及びスイッチング素子が形成された基板上の全面に透明樹脂層を形成する工程と、
前記透明樹脂層に対して、ハーフトーンマスクを用いて露光するか、又は、異なるパターンマスクを用いて複数回露光した後、現像することにより、壁面の上端に曲率部を有するコンタクトホールを備えた層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜が形成された基板上に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子と電気的に接続されるように、画素電極を形成する工程と、
前記画素電極が形成された基板上に、有機化合物より成る被覆層を形成する工程と、
前記被覆層の上に、配向層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 前記曲率部を形成する際に、同時に、前記透明樹脂層に対して、前記ハーフトーンマスクを用いて露光するか、又は、前記異なるパターンマスクを用いて複数回露光した後、現像することにより、前記コンタクトホールの壁面を含む前記層間絶縁膜の端部をテーパ状とすることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 請求項1〜6に記載されたいずれかの液晶表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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