JP4608026B2 - 画像形成装置及びカラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多値の入力画像データをディザ処理して、より小さい階調数の画像データに変換するプリンタ、複写機、ファクシミリ、MFP(Multi-Function Peripheral)等に使用される画像形成装置及びカラー画像形成装置に関する。
従来、ラインLED(発光ダイオード)ヘッド、ラインサーマルヘッド、ラインインクジェットヘッド等ラインヘッドを用いたプリンタなどの画像形成装置では、ヘッドが有する分解能のまま同じ大きさのドットを記録紙上に印刷することにより2値の画像を形成していた。すなわち、ラインLEDヘッドの場合は、ライン状に配列された複数の記録素子である複数のLEDのラスタ方向の間隔のまま同じ大きさのドットを記録紙上に印刷し、ラインサーマルヘッドの場合は、ライン状に配列された複数の記録素子である複数の発熱抵抗体のラスタ方向の間隔のまま同じ大きさのドットを記録紙上に印刷し、ラインインクジェットヘッドの場合は、ライン状に配列された複数の記録素子である複数のインク吐出口のラスタ方向の間隔のまま同じ大きさのドットを記録紙上に印刷して2値の画像を形成していた。また、これらのヘッドを複数回走査する事により素子の間隔以上の解像度に対応することも一般的に行われている。
このような記録ヘッドを備えた画像形成装置においては、文字/線画画像は、単純にヘッドの分解能分あるいは走査間隔分の2値画像として再現し、グラフィック/写真画像は、組織的ディザ法、あるいは誤差拡散法といった擬似階調処理により画像を再現していた。この場合の擬似階調処理においては、高解像度の保持と高階調の再現の両立は非常に難しく、特に組織的ディザ処理では、解像度と階調性は相反する特性を有していた。なお、色文字や濃淡文字等にも擬似階調処理は使用されている。
一方、このような記録ヘッドを備えた画像形成装置において、さらに、入力画像データを多値ディザ処理により生成した多値の画像データを用い、1画素内の出力面積を変調することによって1画素内を数段階の階調で表現できるような画像形成装置も出現してきている。これら装置に使われる複数の記録素子から構成される記録ヘッドと出力されたドットの状態例を図40に示す。図中1は記録ヘッド、2はインク吐出口である。また、3は出力ドットを示している。
この図40においては簡単のため1画素を白を含めた3値で表すことができる画像形成装置のドット出力例を示している。また、これらのライン状の記録素子を4つ、あるいは3つ並列に配置することでC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のカラー画像、あるいはCMYのカラー画像を記録することができる。
このような多値の画像データを印字できる画像形成装置においては、色変換処理やUCR(下色除去)処理、あるいはガンマ補正といった各種画像処理を施した後に、プリンタエンジン固有の規定の階調数を再現するために、各色毎にスクリーン角を用いた多値ディザ処理、あるいは多値誤差拡散処理といった多値の擬似階調処理を行い1画素数ビットの多値画像データを得ている。そして、1画素により多くの情報量を集中させて画像再現性の向上を図っている。
一般的に組織的ディザ処理は処理が軽く、構成の自由度も高く、高速性がありコストも抑えることができる。ただし、画質的には誤差拡散処理の方が優れていると言われている。組織的ディザ処理は閾値処理による量子化誤差をそのまま切り捨てているのに対し、誤差拡散処理では量子化誤差を周辺画素に保存している点がアルゴリズム的な大きな違いである。この結果として出力特性から見れば最適化された誤差拡散処理では人間の視覚特性上から出力パターンが最も目立ちにくい高周波特性を持った出力パターンとなり、エッジ保存効果も大きいことが組織的ディザ処理に対して画質的に有利な点となっている。
一方、多値の擬似中間調処理の場合は、2値の場合ほどその画質に差は生じないことも判っている。これは、多値化による効果として多値化のレベルを増やすほど2値化の場合に比べて切り捨てられる量子化誤差が格段に小さくなるためである。特に高解像度時に於ける1画素で表現できる階調数が多いほどその画質には差は無くなってくる。
さらに、最近ではストカスティックディザやクラスタを改良した固定マスクディザを用いることによって、誤差拡散処理並みの出力特性を組織的ディザ処理と同じ高速処理で実現する方法も開発されてきている。
ところで、一般的な2値のディザ処理は、基本的には単独1プレーンのディザマトリクスの閾値配列のみ考慮すれば良く、入力画素と対応する位置のディザマトリクスの閾値との画素対画素比較により2値の出力画像を得ている。この様子を図41に示す。この図41では既に公知の4×4Bayer型ディザマトリクスを使用した場合の模式図である。ここでは説明の簡略化のため、入力4bitに対応したディザマトリクスの閾値と入力画像との比較がなされ、例えば、入力画素値が対応するディザマトリクスの閾値よりも大きければ1(黒)、小さければ0(白)を出力し、全体として1あるいは0の組み合わせを持つ2値化出力状態を得る場合を示している。
ここでディザマトリクスは図41に示すように、その基本ディザマトリクス(基準閾値配列)サイズ周期でタイル上に繰り返し使用され、入力全画素に対して上述した処理を同様に行う構成となっている。また、一般的なプリンタ等の出力装置においてはデジタル的な正方格子で画素を構成できることはなく、各出力デバイスのプロセス上の制限から円形に近い形の出力となることが多い。この場合の出力の様子を図42に示す。この図42のドットサイズに示すように一般的にベタ画像を印字した場合、隙間が発生しない様に印字画素の形状は理想正方ピクセルを完全に覆う形、すなわち、解像度ピッチの√2倍以上の直径を持つ円となるように設計される。
一方、多値ディザ処理においては、上記した基本となるディザマトリクス配列の他に、深さ(画素レベル)方向への考慮も必要となる。例えばD値の多値ディザ処理を行う場合は(D−1)個分の閾値プレーンが必要となり、個々の閾値プレーンのディザ閾値と入力画像との比較がされ、D値の出力画像を得る。この場合の多値ディザ処理の概略模式図を図43に示し、出力の様子を図44に示す。図43は0(白)を含め8値の多値出力を示す模式図になっている。
このとき一般的にディザ処理では各閾値プレーン間において何らかの相関性を持たせた方が画質的に優れるため、この基準閾値配列を基に(D−1)個分のディザマトリクスの閾値を自動的に算出することが多い。
この各プレーン間の相関性を考慮した多値ディザ処理としては、各プレーンに跨る閾値配列の振り分け方により大きく分けて、図45の(a)、(b)に示す2つのシーケンスがある。この図45においては説明を簡単にするために、入力8bitの画像データを2×2の基本閾値配列を使って1画素4値(2bit)の画像に変換する多値ディザ処理を示している。
図45の(a)のシーケンス方法は、閾値を小さい順に各プレーン単位に埋めていく方法であり、インクジェットプリンタ等、隣接画素のドットの出現状態に基本的に影響され難く、単独画素毎での画像形成が安定して再現する事ができるプリンタに使用されるディザ処理である。解像度は、ほぼエンジンの解像性能に匹敵し、非常に高く、ドット密度が高くなる場合であり、面積変調で画像を再現する場合の理想的な方法である。ただし、同一サイズ及び近接サイズの画素で画面が埋められ易いため、印字精度の影響を受け易い。
図45の(b)のシーケンス方法は、閾値を小さい順に処理対象となる任意の1つの画素に対して順に埋めていく方法であり、レーザプリンタあるいはサーマルプリンタ等、隣接画素のドットの出現状態に影響され易く、単独画素での画素形成が困難且つ不安定なプリンタに多用されるディザ処理である。解像度は低く、ドット密度が粗くなる場合であり、このディザの閾値配列をドット集中型にすると網点と呼ばれる画像が形成される。解像度が低いため画素単位の微小な印字精度ムラは吸収される。
なお、この2例はどちらも1つの基準閾値プレーンと深さ方向への画素成長順序の定義をすれば自動的に全閾値が導き出される。
一方、記録ヘッド1を用いたプリンタにおいて、これら装置に使われる記録素子から構成される記録ヘッドと印字位置及び印字サイズ等の印字精度の関係であるが、例えばインクジェットプリンタの場合は記録素子であるノズルから吐出されるインク体積や方向は一般的に個々のノズル毎にばらついてしまうことが多い。この印字精度を問題の生じない程度の一定値以下に抑えることは不可能ではないが、製造コストが非常に高くなってしまう。
また、このプリントヘッドを複数回走査してヘッドの素子ピッチより高い解像度の画像を形成する場合などは、走査ごとの書き出し位置がずれてしまう可能性もあり、これを完全に補正するためには非常に高度なメカ制御が必要となり、これもまたコスト的に問題となってくる。
このようにノズル毎にばらつくと、図46に示すように、ドットが大きいノズルや隣接ドットが近くなってしまっている箇所などは他の部分に比べて濃度が高く、黒スジが発生してしまい、またドットが小さいノズルや隣接ドットとの距離が離れてしまっている箇所は他の部分に比べて濃度が低下し白スジが発生するといった濃度ムラが発生し画質劣化を生じてしまう。
そこでこの対策としては市松状の間引き印刷など同一ラインを同じノズルで印字させずに複数のノズルで交互に印字させ、これら濃度ムラやスジの影響を低減させる手法等が用いられている。
この手法によればスジ状の濃度ムラは何も対策しないときよりも低減されることが期待できるが、印字速度はその印字方法の複雑さに比例して遅くなってしまうという問題がある。
また、多値の画像データを用い1画素内の印字面積を変調することによって1画素内を数段階の階調で表現できるような画像形成装置の場合には、比較的ハイライト部では印字精度による濃度ムラは目立たないが、隣接ドットが接するかどうかという程度の中間サイズ以上のドットで一面平坦な階調画像を再現した場合にはスジ状の濃度ムラは特に強く視覚に目立ってしまう。特に人間の視覚特性からすると、水平方向および垂直方向に対する視覚感度が非常に高いために、わずかな位置ズレでもスジ状の濃度ムラとして認識してしまう可能性が高い。
さらに、カラーの画像形成について述べると、最近のプリンタの画質設計においては、特にハイライト部を含めた写真画質並の階調再現性の重要性が増している。特に粒状性をより向上させる階調再現手法が1つの重要な技術的課題となっている。
この粒状性を満足させるための技術として、標準のC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクの他に淡いインクを使って、例えば、ライトシアンやライトマゼンタ等のインクを組み合わせてハイライト部の粒状性を向上させる方法等がある。但し、追加されたインクの数だけ記録ヘッドや駆動機構が増える。また、記録ヘッドが各色共ラインヘッド並みのノズル数を持ったヘッドの場合にはコスト的にも大きな重荷となる。また、カラーの場合は、さらにC、M、Y、Kの各色のドットの微妙な重なり方の変動から発生する色ムラの問題がある。
そこで、C、M、Y、Kの4色の場合について考えてみると、多値ディザ処理としては、スクリーン角を用いた網点ディザやBayerに代表される分散系ディザ、あるいはその中間のクラスターディザ等の方式が既に種々開発されている。
しかし、これらのディザ処理においては多くの問題点を含んでいる。例えば、スクリーン角を用いた網点をディザ処理に適用すると、各色間の干渉によりロゼッタ等のモアレが発生してしまう。また、従来のBayer型のような分散系のディザマトリクスを使用するとドット配置の自由度が少ないため特定の階調部で視覚に目立つテクスチャーが発生してしまう。このように全色、全階調にわたって最適な出力特性を得るには解決する問題は多い。
これらは2値に限らず、多値に適用したとしても同様の現象が発生する。特に、図45の(b)に示すシーケンスのディザ処理においては顕著に発生するが、図45の(a)のシーケンスのディザ処理においても完全に消えるわけではない。
さらに、クラスタータイプも含めて、これらの組織的ディザ処理全般に言えることは、入力全階調域にわたって周期性が視覚に目立ち易いと言う問題である。特に、プリンタのような比較的解像度の低い出力装置の場合は、その周期性がきわめて視覚に目立ってしまい易いと言う問題点がある。
このように従来の固定周期型ディザにおいては、現時点でも各種問題点を含んでおり、さらに様々な出力装置毎に異なる特徴を持った各々の出力特性を考慮した基準閾値配列の設計についても改良する余地がある。
最近ではストカスティックディザやクラスタを改良した固定マスクディザを用いることによって、誤差拡散処理並みの出力特性を組織的ディザ処理と同じ高速処理で実現する方法も開発されてきている。この好適な一例として、Robert Unichney著の「The Void-and-Cluster Method for Dither Array Generation」(SPIE/IS&T Symposium on Electronic Imaging Science and Technology,San Jose,CA,February,1993)等がある。しかし、これらの処理は、理想系での理論的な出力特性しか考えられていないため、せいぜい2値プリンタのドットオーバーラップモデルでの出力特性が考慮されている程度である。
従って、固有の各出力装置のもつ実際の精度的な出力特性等は考慮されていなく、さらに、マルチレベルの出力装置に対してもその実特性はほとんど配慮されていない。
そこで、本発明は、2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置の出力精度に起因した濃度ムラやスジの発生により階調再現性が低下することがない画像形成装置及びカラー画像形成装置を提供する。
本発明は、1画素M階調の入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置において、インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつインクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定した画像形成装置にある。
また、本発明は、1画素M階調の入力階調画像データを画像変換手段により基準閾値配列を用いてK(K≧2)画素N(N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置において、インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、画像変換手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつインクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定した画像形成装置にある。
また、本発明は、1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対する基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつインクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定したカラー画像形成装置にある。
また、本発明は、1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対しては規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつインクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第1のディザ処理機能と、残りの色成分に対しては局所的に周期的で、かつ規則的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第2のディザ処理機能とを備えたカラー画像形成装置にある。
また、本発明は、1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対しては規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつインクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第1のディザ処理機能と、残りの色成分に対しては誤差拡散処理によりディザ処理を行う第2のディザ処理機能とを備えたカラー画像形成装置にある。
本発明によれば、2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置の出力精度に起因した濃度ムラやスジの発生を抑えることができ、階調再現性の低下を防止できる。
本発明の実施の形態における全体のハードウェア構成を示すブロック図。 同実施の形態における画像処理部の構成を示すブロック図。 同実施の形態におけるプリンタエンジンの構成を示すブロック図。 同実施の形態における各階調の画素サイズを示す図。 同実施の形態における擬似階調処理部の構成を示すブロック図。 同実施の形態におけるディザ基準閾値配列を示す図。 同実施の形態における閾値プレーンにおけるシーケンスの一例を示す図。 図7の多値ディザ処理による各出力例を示す図。 図7の(a)のシーケンスにおける画素成長例を示す図。 多値ディザ処理の基本階調特性を示すグラフ。 同実施の形態における基準閾値配列を示す図。 同実施の形態における閾値生成処理を示す流れ図。 同実施の形態における各基本ディザ閾値におけるドット再現を示す図。 同実施の形態における他の基準閾値配列を示す図。 同実施の形態における他の基準閾値配列を示す図。 同実施の形態における各シーケンスの画素成長例を示す図。 同実施の形態における各シーケンスの他の画素成長例を示す図。 同実施の形態におけるシーケンスの一例を示す図。 図18に示すシーケンスの変更例を示す図。 同実施の形態におけるシーケンスの他の例を示す図。 同実施の形態におけるシーケンスの他の例を示す図。 同実施の形態における基本ディザ閾値におけるドット再現を示す図。 印字ムラを含んだ各シーケンスにおける出力パターンを示す図。 ガンマ特性及びその補正を説明するための図。 通常のテーブル変換によるガンマ変換を示す図。 同実施の形態におけるガンマ補正を組込んだ全閾値プレーン間のディザ閾値を決定する処理を示す流れ図。 同実施の形態において全閾値プレーン間の優先順位を求める操作を説明するための図。 同実施の形態における各色間の低階調部のドットの配置関係を示す図。 カラープリンタによる各色の印字位置関係を示す図。 周知のスクリーン角処理を説明するための図。 2次色間の色ズレドット配置パターン例を示す図。 2色間の色ズレドット配置パターン例を示す図。 同実施の形態における2色間の色ズレドット配置パターン例を示す図。 均一ドットによってベタ印字したときの粒状性特性を示すグラフ。 任意ドットサイズの均一ベタ付近の印字パターンの例を示す図。 任意ドットサイズの均一ベタ付近の印字パターンの例を示す図。 同実施の形態における多値ディサ処理のシーケンスの他の例を示す図。 同実施の形態における他のドット配置パターン例を示す図。 同実施の形態における多値ディサ処理のシーケンスの他の例を示す図。 ライン記録ヘッド及びその印字例を示す図。 2値ディザ処理のアルゴリズムを示す図。 図41の2値ディザ処理による印字出力例を示す図。 多値ディザ処理のアルゴリズムを示す図。 図43の多値ディザ処理による印字出力例を示す図。 多値ディザ処理のシーケンスを示す図。 従来におけるライン記録ヘッドによる印字ムラの例を示す図。
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は本発明をカラーインクジェットプリンタに適用したものについて述べる。
図1は、全体のハードウェア構成を示すブロック図で、ホストコンピュータ11からプリンタ12に対して1画素M階調のカラー画像データを転送するようになっている。すなわち、ホストコンピュータ11はプリンタ12とのインターフェース特性に合わせて、ドライバ111からプリンタ12のプリンタコントローラ121にコードあるいはラスタのデータを転送するようになっている。
前記プリンタ12は、前記プリンタコントローラ121により、プリンタエンジン122を駆動制御するようになっている。前記プリンタコントローラ121は、前記ホストコンピュータ11から送られてきたコード化された画像データ、例えばPDL等のページ記述言語をビットマップに展開し、かつ、各画像処理を行った後、内蔵しているイメージメモリに格納するようになっている。
前記プリンタエンジン122は、前記プリンタコントローラ121からのビットマップの画像データを駆動信号に変換し、用紙の搬送やカラーインクジェットヘッドの駆動等を行って印字動作を行うようになっている。
なお、前記ホストコンピュータ11とプリンタ12との関係は必ずしも1対1である必要はなく、最近普及しているネットワークにネットワークプリンタとして使用しても良く、この場合は複数対1の関係になる。また、前記プリンタコントローラ121とプリンタエンジン122とのインターフェースは、基本的にプリンタのアーキテクチャに依存するものであり規定化されるものではない。
図2は、前記プリンタコントローラ121内の画像処理部の一構成例を示すブロック図で、色変換処理部21、BG/UCR処理部22、ガンマ(γ)補正部23、擬似階調処理部24からなり、例えば、入力された各色8bitのモニターなどで標準的なRGB色信号を、先ず、色変換処理部21で、プリンタでの色再現色のCMY色に変換してBG/UCR処理部22に供給する。なお、R,G,Bはレッド、グリーン、ブルーの各色を示し、C,M,Yはシアン、マゼンタ、イエローの各色を示している。
前記BG/UCR処理部22は、CMY色から墨成分を抽出し、且つ、その後のCMY色を決定し、最終的にCMYK色に変換してガンマ補正部23に供給する。なお、Kはブラックを示している。
前記ガンマ補正部23は、CMYK色に対してプリンタの実質出力特性に応じた濃度補正を行って擬似階調処理部24に供給する。そして、前記擬似階調処理部24は、各色毎に多値ディザ処理により1画素のデータをプリンタ12の印字能力に合わせた各色2〜4bit程度の、より小さい階調数の多値画像データに変換するようになっている。
図3は前記プリンタエンジン122のハードウェア構成を示すブロック図で、コントロール部31を備え、各色数bitの多値画像データにより前記コントロール部31は前記プリンタコントローラ121からの画像データによりシアンインクジェットヘッド32、マゼンタインクジェットヘッド33、イエローインクジェットヘッド34、ブラックインクジェットヘッド35をそれぞれ駆動制御するとともに、前記各ヘッド32〜35を回転ドラムの回転軸方向に往復移動制御するヘッド移動用装置36、印字用紙を回転ドラムに搬送する用紙搬送モータ37、回転ドラムを回転駆動するドラム用モータ38、回転ドラムに巻き付けた印字用紙を帯電固定する帯電ローラを備えた用紙固定装置39をそれぞれ駆動制御するようになっている。
前記プリンタエンジン122は回転ドラムの回転軸方向に沿って前記各ヘッド32〜35を並べて搭載した往復移動機構を設け、前記用紙搬送用モータ37により搬送される印字用紙を前記回転ドラムに巻き付けるとともにこの巻き付けた印字用紙を用紙固定装置39で帯電固定し、その後、ドラム用モータ38により回転ドラムを回転させるとともに前記各インクジェットヘッド32〜35を印字データに基づいて駆動し、さらに、ヘッド移動用装置36により往復移動機構を駆動し、回転ドラムが1回転したときに各インクジェットヘッド32〜35がそのインク吐出口間隔の1/2だけ移動し、さらに続けて前記各インクジェットヘッド32〜35を印字データに基づいて駆動し、回転ドラムが2回転したときに1枚の印字用紙に対する印字が終了し、これにより、印字用紙に対して各インクジェットヘッド32〜35のインク吐出間隔の2倍の解像度で印字できるようになっている。
前記擬似階調処理部24は本発明の要部を構成するのもので、この処理部の機能について、例えば8bit、256階調(0:白、255:黒)の入力階調画像データを擬似中間調処理して各色3bit、8階調(0:白、7:黒)に変換する場合を例として説明する。なお、入力、出力とも上記階調数に限定されるものではなく、任意の階調数に変更できることは、以下の実施例から容易に察することができる。
プリンタの能力として各色3bitの画像が扱える場合、例えば、擬似階調処理によって各色3bitの多値の画像データを得ることができる。これは、図4に示すように1画素につき各色7種類の可変ドットサイズを用いて、白を含め計8階調の階調を1画素内で再現できる。なお、これを基本8階調特性と呼ぶ。
また、一般的に各階調の各ドットのサイズは、できれば濃度的にリニアな特性になるように各色毎に予めサイズが調整されていることが望ましいが、プロセス上の制限から完全に合わせ込むことは不可能に近い。例えば、このインクジェットプリンタについて言えば、輝度や濃度をリニアに持っていくよりもインク吐出体積を各ドロップ毎に線形な特性に持っていくことの方が比較的実現は容易である。
また、各階調のインクドロップ数や駆動波形を調整にしてターゲット特性を合わせることもできなくはないが、この場合駆動波形が複雑になり、冗長的な処理になり易い。また、この基本8階調特性をターゲット特性に合わせ込んでも擬似中間調処理による全256階調再現時においてはターゲットとした理想階調カーブからのずれが生ずるのは必至である。また、これらの特性は使用する用紙の特性がわずかに異なっても大きく影響を受ける。
従って、設計上は階調特性が大きく歪まない程度にできるだけシンプルな構成とし、ガンマ補正等の処理でエンジンの印字特性を補正することが最も簡単な手法である。但し、少なくとも最大階調値のドットサイズは、エンジンの持つ純解像度の正方ピクセルに対してこれを完全に覆う以上の径で円を形成することが一般的である。
前記擬似階調処理部24は多値ディザ処理を行うもので、その基本的なハードウェア構成を図5に基づいて述べる。なお、多値ディザ処理の実現構成は、基本的にどの様な実現方法をとっても良いが、この図5はその一例である。
51は主カウンタであり、主走査方向に任意の一定数で周期的にカウントするものである。そのサイズは、ここでは主走査方向128画素カウントまでの周期に対応している。52は副カウンタであり、副走査方向に任意の一定数で周期的にカウントするものである。そのサイズは、ここでは副走査方向128画素カウントまでの周期に対応している。
53はエンコード部で、このエンコード部53は前記主カウンタ51及び副カウンタ52から入力されるカウンタ値から、その位置に対応する多プレーンのディザ閾値配列に基づいて、あるエンコードされたMAX6bitのコードを出力する。ここで、MAX6bitにしたことは、入力画像データが8bit、256階調、擬似階調処理後3bit、8階調になるとしたとき、多値ディザ処理で256階調を超えない最大再現階調数を実現することができる閾値の最大個数xは、
256/{x*(8−1)+1}≧1 ゆえに、x≦36
となり、従って、MAX6bitあれば多値ディザ処理で必要十分な256階調までの擬似階調処理の再現が網羅できることに基づいている。基本的なハードウェア構成はRAM等で簡単に実現できる。
54はLUT(Look Up Table)部で、これもRAM等からなり、コード化されたMAX6bitのデータと8bit、256階調の入力画像データに基づいて実際の多値ディザ処理による変換結果を、3bit、8階調で出力するものである。
このような構成の擬似階調処理部24は、1画素8bit、256階調の入力画像データを、多値ディザ処理により1画素3bit、8階調且つ256階調までの擬似階調表現が可能となる。また、前記エンコード部53、LUT部54がRAM等で構成されているときは、擬似階調処理する以前に、RAMの中身である図6に示したディザ基準閾値配列や図7に示したプレーン間にまたがる多値閾値配列のシーケンスをもとに計算し、テーブル化したデータを各セレクタ55、56、57を介して初期ロードすることにより、任意のシーケンスに変更できる多値ディザ処理が可能になる。
次に多値ディザ処理のアルゴリズムの具体的構成について説明する。
図6、7に多値ディザ処理のシーケンスアルゴリズムの構成例を示す。説明を簡略化するために非常に小さなサイズのディザ閾値配列で説明をする。
図6は基準閾値配列であり、ここでは45度のスクリーン角を持つスクリュー型のディザマトリクスである。この場合、1画素8値の擬似階調再現数は、8×(8−1)+1=57階調であり、本来からすれば階調数が少ないが、説明を簡単化するためこの57階調の構成で説明する。尚、階調数が増えても基本的な処理の構成は何ら変わらない。
図6の基準閾値配列の場合は図5における主カウンタ51及び副カウンタ52のbit数は共に2bitであり、これをエンコード部53でエンコードした3bitのデータと入力画像データとからLUT部54で多値ディザ処理を行い3bitの画像データとして出力する。
この図6を基準閾値配列として用いた場合の、深さ方向、すなわち、画素レベル方向の閾値配列のシーケンスを図7の(a)、(b)、(c)に示す。この閾値は0〜255で正規化しておらず単純な閾値の大小の連番で表わしている。なお、図7において横方向の軸項目は基準閾値を表しており、縦方向の軸項目は多値プレーンのレベル番号を示している。
先ず、図7の(a)の閾値配列のシーケンスは、図45の(a)と同じ閾値配列構成であり、理想的な閾値配置ではあるが、印字精度の影響を受け易く濃度ムラや縦スジの問題が発生する。また、図7の(b)の閾値配列のシーケンスは、図45の(b)と同じ閾値配列構成であり、エンジン精度からくる濃度ムラや縦スジの問題は目立ちにくくなるが解像度が落ちるという問題が発生する。また、図7の(c)の閾値配列のシーケンスは、その中間特性を示す閾値配列構成例である。図8に一面均一な中間階調で図6の基準閾値配列を使用したときの上記3種類の多値ディザ処理による印字例を示す。図8の(a)は、図7の(a)による印字結果であり、図8の(b)は、図7の(b)による印字結果であり、図8の(c)は図7の(c)による印字結果である。
以上のような多値ディザ処理の構成において、上記ディザ基準閾値配列と複数の多値ディザ閾値プレーン間のシーケンスの両面に関してこれらを組み合わせてプリンタに最適な画像再現性を実現する手法について以下に述べる。なお、これら2つの基本構成は、画質的な観点から図7に示すようにお互いに何らかの相関性を持っている。
また、もう一つ多値ディザ処理の特徴として、説明の簡略化のため図7の(a)のシーケンスを例にとって説明する。
図9に示すように、多値ディザ処理の出力において2値ディザ処理の出力と同じように印字される画素がオンかオフ(ベタ白)の状態をとるのは閾値的に第1閾値プレーンのみが対象となる低階調部、すなわち、ハイライト部だけである。第1閾値プレーンでの閾値比較がすべてオンになる、より高い階調部ではすべての画素に何らかサイズのドットが埋まっている状態となり、どちらかと言えば非常に空間周波数の高いAM変調的な出力特性となる。この場合、各画素が1つの網点に相当し、この各網点が徐々に成長していくようなイメージとなる。なお、網点自体の再現レベル数は少ない。
このようなドット形成行程は、同じ解像度であれば2値のオンかオフの状態をとるドット再現方式よりも、特に、粒状性の点においてはるかに高画質な画像を得られることが判っている。さらに、2値ディザ出力と同じFM変調的に再現される第1閾値プレーン中において処理される程度の低階調部においては、通常の2値のプリンタに比べてプリンタのもつ解像度ピッチに対する用紙上に形成されるドットが非常に小さいため粒状性の良い画像を得ることができる。
また、多値ディザ処理の場合、各閾値プレーン毎に再現しなければならない階調数は、上記シーケンスを例に取れば単純にプレーン枚数分に分割できるため、例えば、8値の多値ディザ処理の場合は、256/(8−1)≒36階調分で済み、この階調再現を7閾値プレーン分繰り返し行うだけである。従って、36階調分だけのパターン設計の最適化を行えば済むので、2値のように全256階調分において周期性が無く、さらに、テクスチャを発生させないようにしなければならない閾値設計に比べ比較的簡単に最適化が行える。
この例のように、多値の画素を形成できる出力装置である場合、最小ドロップ、つまり第1基本階調ドットから第数基本階調ドット(なお、これは用紙や印字精度によって異なる。)のドットサイズは、そのプリンタのもつ解像度ピッチに対して図4にも示すように、より小さいため、隣接するドット同士は接触しない。このような場合はできるだけ各ドットが分散するようなパターンの設計ができ、その方が視覚的にも好ましい。また、この時さらにディザ閾値配列が視覚上強調的に繰り返し周期が見えないような設計をした方が好ましい。
このような多値ディザ画像を形成できるプリンタである場合、ドットをなるべく分散させたディザ閾値配列を設計することができるが、一方、実際のプリンタにおいては、主/副走査方向の2次元平面上の両走査方向に対して物理的な精度が全く同じとなることは希であり、通常、プリンタのアーキテクチャによりどちらか一方の精度が落ちることが普通である。インクジェットプリンタの場合は、記録素子であるインク吐出口から吐出されるインク体積や方向のばらつきにより、主走査方向に精度が落ちることになる。
この時、なるべく全方位にわたって等方的に分散するドットを再現するディザ処理では、印字精度に偏りがあるにもかかわらず等価的な処理が行われるため、印字精度の補償が実質的に行われていないことになる。実印字上の濃度ムラやスジに起因する不必要なノイズ周波数成分がうまく打ち消されない。但し、基本解像度ピッチに対して隣接ドットが離れているような低階調部の場合はこの濃度ムラやスジは視覚に比較的目立ち難く、ちょうど隣接ドットが接するか接しないか程度の中間から高階調部のドットサイズの場合に最も目立つようになる。
さらに、このような多値のプリンタの場合、基本階調特性にもよるが大抵の場合において低階調部においては微小ドットが局所的に非周期的なランダムに分散されたドットパターンよりも周期的に規則的に分散された組織的ディザによるドットパターンの方が視覚的に好ましい滑らかな出力を得る。但し、人間の視覚特性は水平方向及び垂直方向に強い感度を示すため、隣り合うドットが斜め方向に並んでいる方が更に高画質を得ることができる。
また、用紙上に形成する最大の第7基本階調ドットを少なくとも基本解像度の正方ピクセルを完全に覆うサイズに設定した場合、他の各基本階調ドット特性は一般的に図10のようになる。なお、図10は、適当な用紙上に各基本階調毎にその同一サイズドットを一面に印字した場合の各濃度を測定したものである。この図から判ることは、第0基本階調濃度、つまり用紙のベタ白濃度から第1ドロップにより全体を埋め尽くされた第1基本階調濃度の差は、他の隣接基本階調間の濃度差よりも大きくなるということである。従って階調再現上非常に重要な低階調部の再現において単純な多値ディザ閾値シーケンスでは低階調部での階調分解能が低くなり、各階調間の濃度変化が大きく、階調ジャンプが視覚に目立ちや易くなる可能性もある。
上記点を考慮し、図11を用いて、8bit、256階調(0:白、255:黒)の入力階調画像データを擬似中間調処理して各色3bit、8階調(0:白、7:黒)に変換する場合を具体的に説明する。図11のA2は基準閾値配列を示し、マトリクスサイズは30×30である。
ここで、多値ディザ処理で256階調を超えない最大再現階調数を実現することが可能な異なる閾値の最大個数xは、
256/{x*(8−1)+1}≧1 ゆえに、x≦36
である。これは言い換えると7プレーンある閾値配列のうち各閾値プレーンが担当する階調数は36階調分と言うことである。つまり、1プレーン中36階調分の出力パターンが存在することになる。因みに、この時全閾値プレーンでは36*7+1=253階調の階調が再現できる。
この36階調分を最小単位のマトリクスで構成した場合6×6となり、この各6×6の閾値マトリクス内の任意画素を1つずつオンすることによって36階調分の階調を再現できる。ここで、図11に示すように6×6の閾値配列A1を最小ディザ単位とすると、30×30の全閾値配列A2は、A1の最小閾値配列が主走査方向に5つ、副走査方向に5つの計25個がちょうど収まるサイズである。このようにマトリクスサイズを最小ディザ単位の整数倍にすれば、組織的ディザによる繰り返し処理の繋ぎ目もスムーズに移行でき都合がよい。
次に基準閾値の配置の仕方であるが、図11の各閾値マトリクス内に記されている数値をもって説明する。なお、閾値マトリクスが空白な部分は5以上の数値が埋められることを意味している。また、ディザ処理は、閾値の小さい順に入力階調が大きくなるに従って出力画素がオンになっていく。
低階調部においては、図11に示すように、各閾値が1〜4まで順番にオンされていくがこの閾値配列を見れば判るように、低階調部では局所的に周期的な(6×6単位マトリクス)ディザの閾値配列としている。さらに、この周期的な組織的ディザの閾値配列は、近接画素間で水平あるいは垂直方向に配置されることがないように工夫されている。これにより低階調部では周期的かつ視覚に目立たない滑らかな階調再現が実現される。また、実験によりこの周期的なディザ配列となる隣接する画素の間隔は、2画素より間隔が開いている。すなわち、水平方向あるいは、垂直方向に1つおきの配置にならないようになっている。このようにすれば低階調部の粒状性は低下しない。
次に、空白部へ閾値を埋めていく処理を行うが、基本的には各最小ディザ単位の内の1画素が入力階調毎にそれぞれ1つずつオンしていけば全36階調が再現できるわけである。
低階調部での周期的な組織的ディザの閾値配置から、次に相対的に中階調部から高階調部にかけて(この例では、閾値5〜36の範囲)は、隣接最小ディザブロック間で局所的に非周期である出力パターンとなるような閾値構成を実現させる。
これを実現させる最も簡単な方法は、乱数により、残りの未閾値化部分である閾値5〜36の範囲を決定していく方法である。つまり、個々の最小ディザ単位毎にランダムに次の階調値部分を選択していき、この選択した部分に小さい順に閾値を割り当てる。これにより全マトリクスサイズにわたって、1〜36の閾値を割り振ることができる。
一般的に、乱数により決定された閾値パターンは均一階調面を処理した場合、視覚に不快な連続面を構成することによる障害が生じノイジーとなることが判っているが、ここでは低階調部において最も均質に分散された組織的な閾値配列としていること、さらに、マルチレベルによるプリンタにおいては低い基本階調ドットでは隣接するドット同士は接触しないため、2値の場合に比べて視覚に不快な黒塊が認識しにくい。従って、乱数によって残りの閾値を生成しても視覚に不快なテクスチャは発生しない。
一方、さらに好適な閾値の求め方は、各基本ディザ単位内で最も分散性が良くなる部分を周辺の最小ディザ単位をも参照しながら畳込みフィルタ処理により算出していく方法である。この処理を図12の流れ図に示す。
先ず、ステップS1にて、図11の数値1〜4で示された閾値の個所がオンになった状態を想定し、このオンの部分を1、残りの部分を0としたサイズ30×30のパターンを初期パターンとする。次に、ステップS2にて、この初期パターンに対して、畳込みフィルタ処理を行い、値が0である位置のパターン内で最も疎になる部分、すなわち、フィルタの演算の結果、最小の値をとる部分を検出する。この時、好適なフィルタの一例として下記式の形状のフィルタを使用すると、優れた出力パターンを得られることが判った。
Figure 0004608026
なお、ここで、iは主走査方向の畳み込み変数、jは副走査方向の畳み込み変数、ki,kj、nは任意の定数である。
そして、ki,kjは実際に印字されるドット径(最小ドット径)及びピッチ間隔によって最適な値が決まり、指数部nはドット形状、特にドットのエッジ形状によって最適な値が決まるようになっている。本式は用紙上に印字されるインクドットの光学的特性をパターン化した近似計算モデルである。
この時同じ値をとる位置が複数ある場合が想定される。これは初期パターンが周期的な組織的ディザであるがため起り易いが、この時どの位置を選択するかをランダムに選択しても最初に得られた位置としても好適な結果が得られる。
続いてステップS3にて、この検出された位置の画素に対してその順位を保存し(この場合は、対象が最小ディザ周期単位ではなく、全マトリクスサイズでの一連の順位が決定される。)、さらに、その位置のビットを0から1に変更したパターンを生成する。これを0のビットパターンが無くなるまで繰り返し行い、全30×30画素の優先順位を決定する。なお、優先順位の割り当ては、既に周期的なパターンで再現する部分(25×4=100個)を予め最初の順位割り振っておくと、計算行程では101〜900までの優先順位が得られ、これを5〜36の閾値に割り振ることにより行う。
この優先順位に従って、閾値を割り当てていく。サイズ30×30のマトリクスの場合は、25個の画素づつ閾値が1つづつ増加していくような割り当てとなる。これにより残りの5〜36の閾値を持つ画素の位置が決定され、最終的に30×30のマトリクス内全ての閾値が埋まる。これが30×30サイズのディザ基準閾値配列となる。
この時、さらに相対的に印字精度の低い方向にドットが連なるように閾値を生成するように、フィルタ演算の重みを主走査方向と副走査方向で相対的に変える。つまり上記数1式のki、kjの値に重みを持たせる。詳しくは、ki<kjとすることにより、印字精度が低い主走査方向に連結し易いパターンを生成することができる。なお、この連結の強度は、ki、kjの比率を変えることにより、図13に示すように印字精度に応じて最適に設定することが望ましい。
これにより多値のプリンタの場合、非等方に生成される基準閾値配列は、単独では印字精度に対して大きな補正効果を持つことはないが、各閾値プレーン間のシーケンスと組み合わせることで、濃度ムラやスジといった印字誤差を大きく緩和する作用を持てるようになる。なお、2値のプリンタで2値ディザ処理を行う場合は、最初から解像度ピッチに対して大きなドットが隣接画素間で連結するため濃度ムラやスジに対して強くなる。従って、この基準閾値配列のみで効果を有する。
なお、この周期的な組織的ディザによる閾値の配置と、局所的に非周期的なディザ閾値の配置との切り替わりは、基本ディザ単位内の画素数のおよそ1/10程度が良いことが分かった。これはあまり多くの画素を組織的ディザの閾値で固定してしまうと、空いている領域の自由度が著しく低くなってしまうために、特定階調で逆に不自然なテクスチャ等が発生してしまう可能性があるからである。実験的には、周期的な組織的ディザで構成する範囲は、基準閾値範囲の0〜20%程度までが良い結果を得ている。
また、マトリクスサイズであるが、このサイズが余りにも小さいと周期性あるいは不要なテクスチャが見えてしまうので、冗長的ではない適当なサイズが必要である。この最適サイズは、各ドットの基本特性及び用紙との相性により変化する。各基本階調画素のドット設計上、極端に大きな非線型性を示すことが無いようであれば、1画素M階調の入力階調画像データを、多値ディザ処理して1画素N(M>N>2)階調のより小さい階調数の画像データへ変換する場合には、多値ディザ処理のマトリクスサイズをK×L、多値化した後の出力階調数をN階調とおくと、下記式の範囲の整数となるようにKとLを設定する。
Figure 0004608026
また特に正方マトリクス(L×L)の場合には、下記式の範囲の整数となるように設定する。
Figure 0004608026
そうすれば周期性及びテクスチャの発生を押さえることができる。この最小限界値の方は視覚的な我慢限界を示し、最大限界値の方は冗長的なサイズにならない限界を示す。なお、これによって導き出されるマトリクスサイズは、2値のストカスティックディザ一般にいわれている128×128以上の好適サイズに対して、もはや大規模マトリクスサイズとは呼べない小さなサイズとなり、より小さなハードウェア構成で実現することができる。
さらに、組織的ディザの基本周期で割り切れる整数値をとることを考えると、上記2つのマトリクスサイズの条件を満たす、例えば、図11の右側に示すように30×24等の非正方のマトリクスでも良い。
ここでは最小ディザ単位を正方マトリクスとした例について述べたが、図14に示すように最小ディザ単位を長方マトリクスにしても良い。図14においては、8bit、256階調(0:白、255:黒)の入力階調画像データを擬似中間調処理して各色2bit、4階調(0:白、3:黒)に変換する場合を例として説明する。
この場合、多値ディザ処理で256階調を超えない最大再現階調数を実現することが可能な異なる閾値の最大個数xは、
256/{x*(4−1)+1}≧1 ゆえにx≦85
である。これは言い換えると3プレーンある閾値配列のうち各閾値プレーンが担当する階調数は85階調分と言うことである。なお、必ずしも85階調にする必要はなく、説明をわかりやすくするために、今回は80階調分の出力パターンを各閾値プレーンが担当するようにしている。因みに、この時全閾値プレーンでは80*3+1=241階調の階調が再現できる。
この80階調分を最小単位のマトリクスで構成した場合10×8となり、この10×8の閾値マトリクスの任意画素を1つずつオンすることによって80階調分の階調を再現できる。ここで、図14に示すように10×8の閾値配列B1を最小ディザ単位とすると、40×40の全閾値配列B2は、B1の最小閾値配列が主走査方向に4つ、副走査方向に5つの計20個がちょうど収まるサイズである。
このようにマトリクスサイズを最小ディザ単位の整数倍にすれば、組織的ディザによる繰り返し処理の繋ぎ目もスムーズに移行でき都合がよい。なお、図14では主走査方向に10画素、副走査方向に8画素として最小ディザ単位を構成しているが、この割り振り方を主/副走査方向に入れ替えても別に差し支えない。
また、前記ディザマトリクスのサイズは、以下の条件にも合致していれば、下記式により、例えば、40×48等の非正方のマトリクスサイズとしても良い。
Figure 0004608026
図11、及び図14の例では、最小画素数構成のディザマトリクスに対して強制的に斜め成分を持たせる構成とした例であるが、上述した手法を使えば、例えば、図15に示すように、適当な階調数、適当な角度、適当なマトリクスサイズを持つスクリーンディザマトリクスに関して、この低階調部のパターンのみ使って同様に全マトリクス内の閾値を生成できる。この場合も当然前記2つの各マトリクスサイズの条件は満足する。
また、再現する全階調数は常に256階調にする必要はなく、スクリーンディザを使用する場合でも固有の階調再現数が決定されてしまうので、視覚を満足させる適当な階調数を再現できれば良い。
このように低階調部においては、周期的な組織的ディザの法則に沿ったパターンを用いて基準閾値配列を算出することになる。
次に、他の好適な例について述べると、低階調部においては局所的に非周期的なランダムな出力特性を持つパターンとなるように、ディザの基準閾値配列を設定し、中間階調部から高階調部にかけては、相対的に印字精度が低い走査方向にドットが優先的に連なる非等方的な出力パターンとなるようにディザの基準閾値配列を設定する。
これは低階調部において、周期的にドットを再現させるよりも、局所的に非周期的に分散させてドットを再現させた方が視覚特性上奇麗な出力が得られる場合が当てはまる。この場合も基準閾値配列の0〜20%の範囲が、印字精度によって中間階調部から高階調部での出力特性とは異なる特性を示す範囲となる。すなわち、中間階調部から高階調部では、印字精度に関わらず濃度ムラやスジが常に見え易いが、低階調部では印字精度によって相対的に濃度ムラやスジが見えにくい状態が発生しやすいという特性がある。
ここで実際に印字精度の変動による濃度ムラやスジが比較的目立たない低階調部においても、プリンタにより印字された出力の見え具合により、以下に示すように低階調部の閾値の設定を切り替えても良い。
すなわち、低濃度部において印字ムラやスジが目立たないプリンタの特性の場合での閾値設定は、図11に示すパターンの代わりに、完全に等方的で、確率統計的にマトリクスの主走査方向/副走査方向の各行/各列に均一数の出力ドットが発生するような出力パターンを求めこれを初期パターンとして用いても良いし、低階調領域の任意の均一階調を、最適化した誤差拡散アルゴリズムで処理して得られたパターンを初期パターンとして用いても良い。
そしてこの初期パターンを用いて、それ以上の高階調部の閾値をランダムに作成するか、畳込みフィルタを使って、相対的に印字精度が低い走査方向にドットが優先的に連なる非等方的な出力パターンとなる閾値を求める。また同様に、この中間階調部から高階調部にかけての連結強度は、印字精度に応じて最適に設定することが望ましい。また、低階調部側での閾値の割り振りは、組織的ディザのパターンのように最初から順序が決定されているわけではないので、予め順序を確率統計的に各低階調部においてマトリクスの各行/各列に均一数の出力ドットが得られる閾値を求めても良いし、高階調側の閾値算出手法を低階調側に当てはめて算出しても良い。マトリクスサイズも比較的小さく、低階調側の階調数はたかだか知れているので手動で最適化を行うことも容易である。
また、低階調部においても実際に比較的濃度ムラやスジが目立てしまうプリンタの特性の場合は、低階調部から率先して相対的に印字精度が低い走査方向にドットが優先的に連なる非等方的な出力パターンとなるようにディザの基準閾値配列を設定する。この場合の閾値設定は、図11に示すパターンの代わりに、完全に非等方的で、強制的にマトリクスの主走査方向に連なる出力ドットが発生するような出力パターンを求め、これを初期パターンとして用いても良いし、任意の均一階調を主走査方向に出力が連続するように誤差拡散マトリクスの係数を最適化した誤差拡散で処理した出力パターンを初期パターンとして用いても良い。なお、初期パターンとして、別に低階調部において主走査方向に連結する特性を示す組織的ディザの閾値配列を用いても良い。そしてこの初期パターンを用いて、それ以上の高階調部の閾値を前記手法と同様に求める。
これにより低階調部において、周期的にドットを再現させるよりも、局所的に非周期的にドットを再現させた方が視覚特性上好ましい場合においても、全階調域で最適な出力が得られるようになる基準ディザ閾値が求められる。また、中間階調部から高階調部では印字ムラやスジを目立たなくさせるために非等方的なパターンとなる基準ディザ閾値を得ることが出来る。
先に述べたように、これにより生成した基準閾値配列の各種は、多値のプリンタでは印字精度に対して単独では大きな補正効果を持つことはないが、次に述べる各閾値プレーン間のシーケンスと組み合わせることで、濃度ムラやスジといった印字誤差を大きく緩和する作用を持てるようになる。
上記では基準閾値配列について述べたが、次に上記で得られた基準閾値配列を各マルチレベルプレーン方向に展開する手法について述べる。
先に説明したように、多値ディザ処理のシーケンスにより、面積変調で階調を再現するプリンタではそのドット出力特性は大きく異なってくる。
上記2つの基本構成(基準閾値配列と閾値プレーン間のシーケンス)において、印字ムラ、スジ等の印字精度の補償に関して言えば、複数の多値ディザ閾値プレーン間のシーケンスを変更することによる画質改善効果の方が大きい。
プリンタのアーキテクチャにより閾値シーケンスが限られてくる場合とは異なり、本実施の形態のようなプリンタでは比較的容易に閾値プレーン間のシーケンスを変更できる。但し、基本的に閾値プレーン間のシーケンスを変更することにより、印字精度からくる印字ムラやスジ等を比較的容易に抑制する効果を持つ反面、解像度と階調再現性に対して大きく影響を及ぼすため、注意深く設計されていなければならない。
また、ここでは閾値シーケンスに関して大きく2つの最適化のための工夫を取り入れている。
先ず、1つ目の最適化として、図10を用いて説明する。図10は先に説明したように、面積変調で画像を再現する出力装置の一般的な出力濃度特性であり、中間階調部から高階調部に比べて低階調部の再現分解能が低い。これは低階調部において、基本1階調の同一サイズのドットを用紙の白地部に階調が1ステップあがる毎に基準閾値配列に従って順番に配置していくよりも、第1基本階調のみでなく、第2基本階調以降のドットを適度に織り交ぜて印字した場合の方が階調再現上滑らかな隣接階調間の濃度変化を得られやすい場合があると言うことを意味することになる。
この様子を図16に示す。図16の(a)は、図7の(a)と同じ、解像度を最も高くする場合のシーケンスによるドット成長行程である。一方、図16の(b)に示すように、最小ドットのみの構成でなく、別のサイズのドットを織り交ぜてやることでも理論上は同じ濃度の出力を得ることができる。ここで図10の出力特性から考えると、濃度的な変化は、図16の(b)の成長行程の方が各隣接階調間では滑らかな濃度変化が得られる場合があると言うことである。但し、この場合、基本1階調ドットより大きなドットを低階調部に出力させるわけであるから、視覚上その大小の不快なパターンが見えないことが前提である。
ここで最適なドット出力パターンを得るための好適な方法としては、図17の(a)に示すような成長を示す基本1階調のドットのみを埋めていく出力パターンの代わりに、図17の(b)に示すように、周期的な組織的ディザの出力パターンを示す階調までの部分のみ、つまり第1基本階調のドットを全体に配置する前に、数基本階調分、先にドットを成長させることである。このドットが視覚に大きく認識できない程度の基本階調であれば、図17の(a)に示す出力パターンより遥かに滑らかな階調となって見えるわけである。
この図17の(b)の出力パターンに従った閾値シーケンスを図18に示す。この例では、周期的な組織的ディザの出力を示す基準閾値は4までであり、この対応する位置に対して基本3階調までのドットを優先的に出力させている。なお、この処理は、出力パターン自体を視覚に対して好適なものにする効果の他、隣接ドット間が離れているため印字精度等にも強い出力パターンが得られると言う点においても有効である。この有効範囲は全入力画像データが取りうる階調範囲のうち、その値がおよそ0から10%の範囲であると、効果がより発揮される。
上記においては、周期的な出力パターンに対して、基本3階調までのドットを優先的に出力させる場合について述べたが、実際、このシーケンスの設定は、基本階調特性のドット径によって大きく左右される。つまりプリンタのもつ純解像度によって基本ドットサイズは決定されるが、例えば、同じ出力階調数でも300dpi/600dpiでは基本となる最小ドットのサイズ及びピッチは異なる。また、解像度が高くなればその実質的な設計の難易度により、理想ドット径に対して実測されるドットの特性は大きくずれた非線形的なものになってしまう。
従って、これら様々な要因による異なる基本階調特性(特にドット径)によってシーケンスの設定は上記した規則に従って図19の(a)、(b)に示すように任意最適化される。また、このシーケンスの設定は同様に印字精度により上記した規則に従って図19の(a)、(b)に示すように任意最適化される。
一方、シーケンスに関するもう一つの好適な例、例えば、第1基本階調において均一にドットを割り振った場合において第1基本階調のドットサイズが極めて微小で良好な特性をもつもので、周期的な組織的ディザ配列よりも視覚に満足する出力が得られる場合について述べると、経験的に入力画像の低階調側の0〜20%で再現される画像に対しては、隣接の画素ピッチ間隔に対して、構成される画素のサイズが小さいため、濃度ムラや縦スジ等が目立たないことを利用して、この範囲にある入力画像に対しては空間周波数を上げるようにディザ閾値配列を与える。図20に一例を示す。
これにより入力画像データが低階調部のときに変換した多値画像データにより出現するドットサイズの種類は実質的により少なく、入力画像データが中間階調部から高階調部にかけての範囲のデータのときには、変換した多値画像データにより出現するドットパターンの種類が低階調部に比べて実質的に多くなる。
これによりプリンタの階調再現では非常に重要な要素である低階調部での画素を目立たなくし、階調再現性を向上し、濃度ムラやスジが目立ちやすい部分は、ドットの種類を分散して濃度ムラやスジを目立たなくさせることができる。また、ランダムに閾値を配置させる場合とは異なり、各閾値プレーン間に相関があるため基本ディザマトリクスから各プレーンの閾値を自動的に求めることができ、ハードウェアの簡素化も期待できる。
さらに、様々な要因による異なる基本階調特性(特にドット径)によってシーケンスの設定は、上記した規則に従って図21の(a)、(b)に示すように任意最適化されるものである。また、このシーケンスの設定は、同様に印字精度により上記した規則に従って図21の(a)、(b)に示すように任意最適化されるものでもある。なお、閾値シーケンスに関する例は、これもまた先に説明した基準閾値配列の最適化と組み合わせた場合さらに効果を発揮する。
図22の(a)は、通常の局所的に非周期的で均一に分散化された基準閾値配列だけに着目した場合についてのおよそ中間階調部での閾値のオン/オフ特性を示す。また、図22の(b)は、相対的に印字精度が低い走査方向にドットが優先的に連なる非等方的な出力特性を示すパターンとなるように生成した基準閾値配列によるおよそ中間階調部での閾値のオン/オフ特性を示す。
一方、図23の各パターンは模式的にさまざまな多値ディザ処理で実際に用紙上に印字した場合の出力パターンの様子を示す図であるが、図中点線C−Cで示された部分に相当する画素が、例えばインクヘッドのミスディレクション等の影響で右方向にずれている。なお、図23の(a)〜(c)はそれぞれ図7の(a)〜(c)のシーケンスにそれぞれ対応している。また、図23の(c)は、基準閾値配列的には、図22の(a)のように等方的規則に沿ったものである。
一方、図23の(d)はこの実施の形態による出力パターンの様子を示す図であり、基準閾値配列は、図22の(b)の非等方的にしたものに相当する。図23の(d)の場合においては基準閾値配列を横方向に優先的に連結させている。つまり、横方向の隣接画素間の閾値が相対的に近傍の値を取り易くなっており、横方向に優先的にドットが成長しやすい状態をとる。
これにより図23の(c)においてもそれなりに補正効果は期待できるが、さらに、図23の(d)のような出力パターンを得ることができる、基準閾値配列及び閾値プレーン間シーケンスの構成にすることにより、印字位置精度が低い場合においても、より濃度ムラやスジをより目立たなくさせる効果を発揮する。
次に、多値ディザ閾値配列にガンマ補正を組み込む場合について説明する。
一般的に、擬似中間調処理で再現できる理論階調数は、単位マトリクス内の異なる閾値の総数で決定される。スクリーン系のディザは、パターンのサイズ、角度等の組み合わせ方によって決まる固有数の階調再現が可能であり、ストカスティック系ディザ及び誤差拡散では通常入力階調数と同じ256階調の再現が可能である。
しかし、この理論階調数は擬似中間調処理部のみを想定した場合である。実際は擬似中間調処理前段の全ての画像処理部で階調損失が起こり得るので、最終的に擬似中間調処理部に入力される画像データは限られた階調数でしかなく、擬似中間調処理部では全く使用されない出力パターンが存在するようになる。
通常の画像処理の流れでは、色変換→BG/UCR→ガンマ補正→擬似中間調の順となり、各画像処理部では、デジタル演算処理による丸め誤差あるいは色域圧縮等による階調損失が発生する。
ここで色変換部、UCR部での階調損失は、基本的に復元不可能であるので、ガンマ補正部と擬似中間調部における階調再現性について述べる。
ガンマ補正処理は、エンジンの基本階調特性を、例えば、輝度リニアや濃度リニアなどのターゲット特性に補正するための処理であり、図24に示す関係がある。つまり測定されたエンジンの基本階調特性からターゲット特性に対して対象となるガンマ補正曲線を用いて入力画像データを変換することにより、最終的に出力される階調特性をターゲット特性に合わせ込む処理である。なお、図ではターゲットカーブは直線であるが、任意の曲線で置き換えることもできる。
一般的に、ドットを円で表現する面積変調の出力装置の基本特性は、ターゲット特性よりガンマが立った図24のグラフgの直線より上側の特性となる。γ補正の実処理としては各色デジタル1LUT演算で行われることが多い。
図24において、デジタル1LUTによる演算では具体的に図25に示すような変換が行われる。低階調部では、デジタル丸め誤差により複数個繰り返し同じデータに変換され、高階調部においては飛び飛びの値に変換される。
つまり、階調再現上重要な低階調部の再現においては、異なる入力画像であっても出力されるハーフトーンパターンは全く同じパターンとなり易く、高階調部では使用されないハーフトーンパターンが存在し、全体として階調再現数が減少し、画像処理上非常に効率が悪いものとなってしまう。この現象は、エンジンの基本特性がターゲット特性から離れているほどデジタル変換精度が落ち、階調再現数が大幅に減少するようになる。但し、インクジェットプリンタに関して言えば、比較的理想に近い特性を持っている。
そこで、ここではガンマ補正をハーフトーン処理内部に組み込み、階調損失を理論的に抑制するマトリクスを生成する。2値のディザ処理に関してはガンマ補正を組み込んだディザ閾値生成方法については周知であるが、多値ディザ処理の場合は各プレーン間の基本階調特性が線形的ではないことから様々な閾値プレーン間のシーケンスにすべて対応するようにした場合、従来の手法は適用困難である。
例えば、1画素8値、マトリクスサイズが32×32の時、ある任意の階調に対して、同時にON/OFFが切り替わるドット数は32×32×(8−1)/255≒28個であり、通常の擬似中間調処理ではこの個数は各階調均等に割り付けされている。
本処理の基本原理は、このハーフトーン処理において画素のON/OFFを決定する全閾値プレーン間の閾値にガンマ変換特性を組込み、全閾値プレーンの各閾値処理において画素をONさせる個数をガンマ特性に合わせて制御する。つまり、階調損失を引き起こすデジタル変換のガンマ補正部をスルーして、擬似中間調部でのONドット総数の調整だけで処理を実現することにより、実質階調数を復元する。
この場合のON数というのは多値の場合、画素レベル方向、すなわち、7閾値レベルのうちの何番目の閾値までONしたかにより1画素につき最大7個のON数があり、この数を示している。
このガンマ補正が組み込まれた多値ディザ閾値配列の算出の方法を図26の流れ図に示す。先ず、ステップS11にて、予めドット数が均等に割り振られた多値ディザマトリクスを用いた多値ディザ処理により実質的なエンジンの階調特性を得る。次に、ステップS12にて、γターケッドの決定を行い、ステップS13にて階調を0にセットする。
続いて、ステップS14にて、決定されたターゲット特性に合わせて通常のガンマ変換と同様に、各入力階調値に対し、このターゲット特性にあわせて変換するガンマ補正階調値を算出する。このときガンマ補正階調値は整数ではなく、実数として計算させると、より精度を向上できる。
続いて、ステップS15にて、算出した出力ガンマ補正階調値から、この値に最も近い値を、変化するドット数が各階調均等に割り振られた多値ディザマトリクスの出力特性の曲線上から得てこのときのONドット数に換算する。なお、出力曲線は実際に測定した点を用いて任意補間したものである。この時、出力ガンマ補正階調値を実数で計算させると、1ドット単位までの分解能が得られる。
続いて、ステップS16にて、閾値優先順位表からON画素分の抽出を行い、ステップS17にて、ONさせるドット数に応じて、全閾値プレーン間の優先順位の小さい順に多値ディザの閾値を割り当て、ステップS18にて、階調を1つインクリメントする。そして、ステップS14からS18の処理を全階調にわたって繰返し行うことで、全閾値プレーンにおいてすべての閾値を埋めることが出来る。
この時、多値ディザの基準閾値配列は、既に、全ての優先順位が計算されているため、この優先順位を図27の例に示すように各シーケンスに沿って全閾値プレーン間において予め展開し、最終的な全閾値プレーン間の優先順位を求めておく。
なお、低階調部において周期的なパターンを出力させる場合は、基準閾値配列の優先順位は組織的ディザの規則に沿った優先順位とし、中間階調から高階調にかけては基準閾値配列を求める計算過程で既に基準閾値配列内の優先順位が決定されている。
図27の例においては、説明を簡単にするため基準閾値は4まで、閾値プレーンは3プレーンとしている。なお、実際には基準閾値の優先順位は1から16間である。ここで、図27の閾値プレーン間のシーケンスを見てみると、まず基準閾値1及び第1閾値プレーンの部分が対象となり、この部分に相当する部分に優先順位が割り振られていく。次に基準閾値1及び第2閾値プレーンの部分が対象となり、この部分に相当する部分に次の優先順位が割り振られていく。これをシーケンスの全順番の1〜12まで行うことにより、全閾値プレーン間に1から48の優先順位が割り振られる。
そしてこの優先順位に沿って対応する階調の画素のONする数だけそれに対応する出力を示す閾値を設定していくことにより、どのような複雑な閾値プレーン間のシーケンスであっても全閾値プレーンにおいて閾値が一意に決定される。
以上により、本実施の形態においては、基準閾値配列と閾値プレーン間のシーケンスを最適に組み合わせることで、1つのディザ閾値プレーンの組で印字精度や実際のドットの出力特性に応じて各階調間で最適な出力特性となる多値ディザ処理を行うことが可能となり、さらに、この多値ディザ閾値自体にガンマ補正処理を組み込むことで、より階調再現性の高い画像を得ることが可能となった。
なお、上記した実施の形態では、基本的に、例えば、ブラックの場合など単色での構成について述べたが、これをこのままカラー画像に拡張することは容易に実現できる。但し、注意を要するのは色間の出力パターンの関係に関して若干の考察が必要となる。
カラー画像の場合、通常各色毎に多値ディザ処理を行う。ここでは少なくとも2色以上の色に対して上記した実施の形態の基準閾値配列を持つ多値ディザ処理の構成を適用する。
いくつかの色は上記した実施の形態の基準閾値配列の構成を使用しなくても良い。例えば、Yellowのように視覚に極めてドット粒子が目立ちにくい色に関しては、上記した実施の形態の基準閾値配列の構成を用いず、単純な従来型のディザ閾値配列を適用しても良いし、Blackのようにエッジをより強調させたいような色の場合は多値誤差拡散処理を適用して、よりエッジ効果を強める処理を行うこともできる。
一方、上記した実施の形態の処理を適用する色の場合は、例えば、全く同じ閾値パターンを各色に適用すると、Dot−On−Dotの出力パターンとなり、出力特性の変動等によりドット印字位置がずれた場合、色ムラ等に弱くなってしまうという問題があるため、各色毎に基準閾値配列を異ならせる必要がある。この場合に各色毎に基準閾値配列を個別に作成しても良いが、一度作成した基準閾値配列を反転や回転、あるいはシフトといった操作により作成した方がより容易に実現である。
これは一般的に、2値のプリンタの場合は各色のパターンの相関性により、より色モアレに関してはシビアな設計が要求されるが、多値のプリンタの場合は各色のパターン自体の組み合わせによる色モアレは発生しにくいため、比較的簡単な閾値の変更操作により、高精細な画像が得られることが期待できるからである。また、もともと分散性の強い閾値配列でもあるので上記閾値操作でも十分である。但し、低階調部を周期的な規則的組織的ディザで画像を再現する場合は、それに対応する階調部分に対しては周期性が非常に強いパターンとなるために、色間の干渉を考慮して適度な閾値設計が必要となる。
この好適な一例としては、最小ディザ単位における閾値の割り当てを、例えば、図28に示すように反転や回転あるいはシフトといった操作により再配置するか、あるいはまったく別のパターンを新規に作成し、この新規作成した基準閾値パターンをもとに全マトリクス内の閾値を再生成すれば良い。この時、図28に示すように各色間での低階調部においては、同じ位置にドットが重ならず、なるべく並置されるようにドットが配置されることが好ましい。これは低階調部であるにもかかわらずドットが重なってしまう部分は実質2次色となり、ドットの存在自体がより視覚に目立ってしまうからである。さらに、この階調部分は周期性を持たせてあるため、この周期性も目立ちやすくなってしまうからである。
一方、カラーに関する閾値プレーン間のシーケンスに関しては、各色成分の実質上の印字精度によりそのシーケンスを最適に設定することが可能である。これは色毎の各多値ディザ処理が独立に処理されるためであり、この構成は容易に実現できる。
また、統計的な印字精度が同じでも、一般的に各色により濃度ムラや縦スジの視覚への影響は大きく異なることが知られている。例えば、同じ印字精度の時は、Y→C→M→Kの順に、より視覚にノイズとして目立つとされている。そこで、各色による多値ディザ処理において、各色毎に閾値プレーン間のシーケンスを適宜変更して擬似階調処理を行うことにより、より最適な出力画像を得ることができる。
以上、ここでは、CMYKの4色のカラーについて述べたが、これは4色に限らず、CMYの3色、あるいは他の色の組み合わせでも容易に実現できる。また、この実施の形態では全般にわたって多値ディザ処理について説明したが、閾値プレーン間シーケンスの設定等、多値に限定された処理の部分を除けば大部分は2値のディザ処理にも容易に適用できるものである。
これまで濃度ムラやスジといった印字精度に対する画質改善について説明してきたがこれらは主に単色毎の影響が主な要因であった。一方、カラーの場合は、さらにC、M、Y、Kの各色のドットの微妙な重なり方の変動から発生する色ムラの問題がある。安定した色再現においてはこのカラーレジストレーション技術が画質向上要因として重要な役割を持っている。
ここでKは一般にC、M、Yを置き換えた特別な色であるということを考慮し、ここでは色に関する基本的な説明としてC、M、Yの3色について述べる。
通常、カラープリンタでの色再現は紙面上で各色を重ね合わせるか、あるいは並置させるかであり、図29の(a)、(b)に示すように色の重なり方が印字する位置によって異なると、現実的なインクの分光反射特性から色が異なって見え、色ムラが発生してしまう。
図29の(a)は一般的に並置的加法混色、図29の(b)は減法混色と呼ばれ、色の重なり方の両極端の状態を示すものである。実際、用紙上で形成される各ドットの色の重なり方は、これら図29の(a)、(b)の中間の配置となるものや1色のみずれているものなど様々な形態が想定されるため、これら色ずれを総合的に考慮する必要がある。
面積変調で階調を再現するプリンタにおける色ズレ発生要因としては、メカずれやヘッドのスキューによるものなどがある。これらを高価な部品を使用したり、完全にメカ的にフィードバック補正することは不可能ではないが、コスト上限界がある。そこで、画像処理によってその対策を行う手法について述べる。
なお、カラーレジストレーション技術については説明を簡単にするために前述したようなミスディレクション等に起因する局所的な色変動ではなく用紙全体にわたってなだらかに変化するズレに対する補正として説明する。
各色ズレ要因から用紙上に形成される各色ドット間の誤差が現実的にどの程度の範囲に収まればそれなりの画像として成立するかであるが、一般的には最大ズレ量が80〜120μm程度が限界である。電子写真方式とインクジェット方式ではプロセスの複雑さにより一般的に電子写真方式の方が色ズレを抑えるのが難しい。また、色ムラは文字/線画像と写真画像とでは視覚特性上エッジ部の色の変化が最も見苦しく見えることから文字/線画像の方が画質条件的には厳しくなるのが一般である。
色ムラに対して一般的に効果があるハーフトーン処理として知られているものは、大きく分けてスクリーン処理、すなわち、網点処理とドット分散化処理の2つの手法である。
スクリーン処理は、複数の画素で網点と呼ばれる塊を周期的に形成し、この網点の大きさで階調を再現する。そしてこの網点の並びを図30に示すように各色毎に角度を変えることにより特定の色がズレた場合でも各色のドットの重なり具合に面積補償がかかる仕組みである。
各色の網点の生成方法、間隔及び角度の調整は、アナログ的に高精度で行う方法やデジタル的に近似的に行う方法等があるが、本質的な高画質化手段は同じで解像度をより高くし、線数を確保することである。また、基本的に出力デバイスは2値を前提とした処理である。
これらのアルゴリズムは印刷機や電子写真プリンタ等ではよく知られた手法であるが、ここでは多値の独立した画素を形成するというプロセス手段が基本的に異なること、より低解像度でも高画質な画像を再現可能にするという要素があるため上記手法は適さない。
その理由は、ここでのハーフトーン処理は多値であるため3次元的に閾値配列を指定することができる。従って、基準閾値配列にスクリーン角を持たせ、かつ画素の深さ方向への閾値順位の割り当てを図7の(b)に示すように割り当てればそれなりにスクリーン処理と同等の効果を得ることが期待できる。しかし、この実施の形態の場合はピクセル中心からの単独画素成長が基本であるので網点を形成しようとしても1つの塊とならずに所々に隙間が発生してしまう階調が存在する。また、印刷機ほどの高解像度を有していないプリンタなどで上記のような手法の処理を行うと実質的な解像度が大きく低下しドットの塊自体が非常に目立ってしまうという問題が発生する。
そこでこの実施の形態では、基準閾値配列におけるドット分散化処理とディザ閾値プレーン間の閾値配列のシーケンスとに創意を凝らすことで色ムラを抑えることを実現する。すなわち、基準閾値配列においては、画素を塊となるように閾値を配置するのではなく、この個々の画素を均一分散的に配置しこの個々のドットの密度で濃淡を表現する。このとき各色互いに分散的なドットの並びにより特定色がずれたとしても、そのランダムさにより確率統計的に各色間の面積重なり率の変動を抑制させるものである。
古典的なスクリーン処理に対して、このように基準閾値配列の閾値を分散的に配置することにより、実質解像度を高くでき、エッジの再現性を向上させることができる。また、モアレやロゼッタモアレが発生し難い。従って、プリンタのような低解像度の装置には向いているという利点を持っている。そしてこの均一分散化した基準閾値配列と、以下に説明するディザ閾値プレーン間の閾値配列のシーケンスを組み合わせて色ムラを抑制する。
次に、ディザ閾値プレーン間の閾値配列のシーケンスについて説明する。
ここでは各色毎の視覚に与える影響への考察が重要である。それは色により視覚にノイズとして与える影響が異なるためである。従って、いかに実質的な解像度を落とさず、かつ粒状性を悪化させずに色ムラを抑えるかという点について各色毎の単色での特性及び2次色、3次色の組み合わせ特性を上手く把握するかが重要なポイントとなる。
先ず、単色であるが、色ムラという観点からは単色での色再現は無視できる。しかし、2次、3次色と色を重ねたときに発生する色ムラに対して単色での特性を考慮することによって色ムラを抑制する有効な手段が得られる。
一般的に視覚にノイズとして与える影響は、Y→C→M→Kの順に大きくなるとされている。従って、Kに対して図7の(b)のようなディザ閾値プレーン間の閾値配列のシーケンスを適用すれば、ドットの塊が認識されやすく最も粒状性が悪化する。一方、Yに対して同様のシーケンスを適用した場合は最も視覚に認識され難く画質低下の度合いが低い。なお、C及びMはその中間の特性を示す。
この単色での特徴を考慮した上で2次色、3次色について色ムラ抑制方法を以下に説明する。
色の組み合わせ方は24bitフルカラーであれば、224=約1600万色というように膨大な組み合わせが存在する。本実施の形態のプリンタのように各色1画素3bit、8階調程度で再現される低階調デバイスであれば、物理的なドットサイズの組み合わせとしては、8=512通りであるが、ハーフトーン処理と組み合わせて、ある任意の面積範囲を通してフルカラーに近い色の組み合わせを疑似的に実現している。
ここで、このようなすべての色の組み合わせに対して、色ズレによる色ムラが同じような視覚感度で認識されることはなく、組み合わせて再現する色によっては、物理的に同じ色ズレ量であっても色ムラが目立つものと全く目立たないのもが存在する。
一般的に色ズレ等による色ムラの変動量を表す尺度として色変動量ΔEが用いられる。このΔEは、下記式となり、ΔEが大きいほど、色変動量が大きい。
Figure 0004608026
以下、この色変動量を使用して説明する。
まず2次色において面積変調で色を再現する場合、理論的に最も色変動量が大きくなる2色間のドット配置パターンは、図31に示すように色間の面積的な重なり率の差が最も大きい、ドットとドットが完全に重なるdot−on−dot状態とある色に対して別のある色が解像度ピッチに対して半画素分ずれた状態との間での色の差である。
なお、図31ではY−C間での色の配置を示している。しかし、この2次色の組み合わせがC−MであるかM−Yであるか前記Y−Cであるか、あるいは組み合わされる各色のドットのサイズ等によっては同じ色変動量になることはない。そこで同一階調値間での図31に示される2種類の色間のドット配置を再現し、色変動量を求める実験を行った結果、Y成分が含まれる2次色において色変動量が大きくなる傾向が判明した。これはM−Yの組み合わせであるRED系、Y−Cの組み合わせであるGREEN系の色変動が大きいということである。
なお、C−Mの組み合わせであるBLUE系は、REDやGREENに比べて色変動量が小さい。つまり、単独色では最も目立たないY成分は他の色と組み合わせた場合、最も色変動に影響を与えている。但し、2次色の色変動量は3次色に比べて絶対値的には小さい。
次に3次色の場合であるが、3次色においても各3色の色間のドット配置がdot−on−dotの状態になる場合とそれぞれの色が適当にずれた場合が最も色変動量が大きくなることは容易に想像できる。3次色の場合は2次色に比べて組み合わせ可能な色数がより多くなり、色間のズレによる色変動量が2次色に比べてより大きくなる場合と2次色同様全く変化しない場合とがある。しかし、傾向的に色変動量は各色のドットが中間サイズの組み合わせの場合に大きくなることが判っている。この場合においてもY成分の値が色変動に大きく作用している。
そこでこの実施の形態では上記特徴を考慮した上で実質的な解像度を落とさず、かつ粒状性を悪化させずに、色ムラを抑えるために以下に述べる構成のハーフトーンを実現する。
視覚にドットのパターン自体が目立つ、C,M,Kについては、解像度を基本的に落とさず、粒状性を悪化させないために、図7の(a)に示す閾値並びのようなドットがより均一サイズで構成され、分散された最高解像度のディザ閾値プレーン間のシーケンスによって画像を実現する。
一方、単色では視覚にほとんどドットパターンが識別できないYについては、図7の(c)、あるいは図7の(b)に示す閾値並びに近い、より多種のドットサイズが出力されるディザ閾値プレーン間のシーケンスで画像を実現する。
この処理による効果を図32及び図33を使って説明する。なお、図32、図33はYとCの2色での出力の様子を示しているが、MとYあるいはC、M、Yの3次色においても同様である。
図32はYについてもCと同様の高解像度シーケンスで処理したものである。図32の(a)は2色間の色ずれが無い場合、図32の(b)は2色間の色ずれが最大で発生した場合の出力パターンの様子を示した図である。図32の(a)においては2色間の重なりが完全に一致し、図32の(b)においては2色間が全く重なっていない。このように2色間の重なり面積率が色ズレによって大きく変化してしまうと色変動量が相対的に大きくなってしまう。
一方、この実施の形態による出力パターンを図33に示す。図33の(a)は2色間の色ずれが無い場合、図33の(b)は2色間の色ずれが最大で発生した場合の出力パターンの様子を示した図である。図33においては最も視覚に目立たないYの出力パターンを様々なサイズのドットで構成し、図33の(b)のように色ズレが発生してもドットパターンが大きい、あるYドットは対象となるCドット以外の隣接のCドットにドットパターンの重なりが発生し、ドットパターンが小さい、あるYドットはそのまま孤立し、全体を通しては確率的に2色間の色の重なり面積率がおおよそ一定になるように補償がかかるようになっている。つまり、図32のような出力パターンに比べて色変動率は大きく抑制される。
従って、C、M、Kにおいては、高解像度でのディザ閾値プレーン間のシーケンスを採用し、単色では視覚に最も目立ち難いYのディザ閾値プレーン間のシーケンスのみ操作して実質解像度を落とすことによって、色ズレを抑制するとともに、実質解像度、あるいは粒状性を大きく落とすこと無く、出力デバイスの解像性能を最大限に生かした出力画像を得ることができる。
この実施の形態においては、C、M、Kについては最高解像度でのハーフトーン処理を行い、視覚に最も目立たないY成分のみのシーケンスを変更して解像度を落とす方法について述べたが、さらに好適なC、M、Kのパターン形成方法を以下に述べる。
C、M、Kに関して、図7の(a)のシーケンスを用いるとその出力特性は粒状性の観点から見ると、各同一サイズのベタドット出力となる階調近辺において図34に示すように、極端に他の階調部より粒状性が良くなる部分が存在する。なお、図7に示す基準閾値数は8と少ないが、説明の簡略化のためこのサイズで説明を続ける。基準閾値数が変更しても基本的な動作原理に影響はない。
この様子を図35及び図36を用いて説明する。図35と図36はベタドット近辺のそれぞれ任意の階調部における出力パターンを示したものである。なお、図35と図36は基本的にドットサイズが異なるのみである。ここで図35の(b)及び図36の(b)の部分が同一ベタドット出力部の様子を示したものである。図35の(a)及び図36の(a)の部分は、図35の(b)及び図36の(b)の部分より階調値が小さい場合、図35の(c)及び図36の(c)の部分は、図35の(b)及び図36の(b)の部分より階調値が大きい場合である。
この図で判るように、全く同一のサイズでドットが並んでいる図35の(b)及び図36の(b)の出力パターンを見ると、図35の(a)及び図36の(a)や図35の(c)及び図36の(c)の出力パターンに比べて粒状性が極端に良くなることは容易に理解できる。また、グラデーションのような画像を印字した場合、隣接階調間で粒状性の違いが激しいのでテクスチャとして目立ってしまうという問題点もある。このように階調再現性における全体のバランスの点において、ある任意の階調のみ図34のように特別に粒状性が良くなるような出力は好ましいものではない。
さらに、図35の(b)及び図36の(b)のパターンは、ドットが均一に並んでいるがために前記ミスディレクション等によるスジや濃度ムラの部分で説明したように、外乱等の変動に対して最も弱く、わずかな印字ムラ等がそのまま視覚に認識できてしまう。
そこで、さらに好適な例としては、図37に示すようなディザ閾値プレーン間のシーケンスの設定を行うことにより、ベタドット出力となる階調再現部を出力させないようにすることで、全体の粒状性のバランスを均一にする手法を実現する。つまり、図37の(a)のシーケンスにおいてはベタドット出力となる階調の前後で他のサイズのドットが混在するように強制的にドットの閾値順序、つまり出力優先順位を変更する。この出力の様子を図38に示す。
図38の(a)は図7の(a)に示す最高解像度シーケンスでの出力パターン、図38の(b)は同一ベタドットを防止した出力パターンである。図38の(b)を見れば判るように、本実施の形態の手法によれば、単一のドットで均一に埋め尽くされる階調の出力パターンは存在しなくなり、全階調にわたって2あるいは3種類以上のドットで構成されるようになる。
従って、全階調を通して安定した粒状性の特性を持ったバランスの良い出力画像が得られる。なお、図37の(a)のシーケンスは、それぞれのC、M、Kの色の特性を考慮して、Kに対してよりノイズが目立ち難い、C、Mに対しては図37の(b)のシーケンスに置き替えたり、あるいはノイズが最も目立つKに対しては図37の(c)のシーケンスに置き替えたりすることができる。
また、各基本階調ドット間の相対的なサイズの差により、図37の(b)、(c)のようにシーケンスを置き替えることもできる。つまり、隣接基本階調間のドットサイズの差が大きければ図37の(b)のシーケンスに置き替えたり、ドットサイズに差が無ければ図37の(c)のシーケンスに置き替えたりすることができる。
さらに、図37ではシーケンスの影響は次の閾値プレーン1段分の影響のみであったが、C、M、K色毎に、あるいは各基本階調ドット間の相対的なサイズの差により、図39の(a)に示すようなシーケンスを2段以上の閾値プレーンに作用させても良い。同様に実際の出力特性を評価した上で、図39の(b)に示すようにこれらのシーケンスを閾値プレーン毎に変動的に設定することも容易に実現できる。すなわち、解像度をなるべく保ったまま、基本的に同一ベタドット部分が存在しない様な出力パターンを構成できれば、上記以外の任意のシーケンスを適用することができる。
以上説明したC、M、Y、Kそれぞれ最適なシーケンスを使用することにより、色ズレを抑制し、さらに基本的な実質解像度を高く保ったまま粒状性が全階調に渡って変化しない出力画像を得ることができる。
なお、この実施の形態では多値ディザ処理について説明をしたが、これに限る必要はなく当業者であれば容易に濃度パターン法等にも応用できる。つまり、多値ディザ処理においては、入力画像データとディザ閾値が1:1の対応で、入力画像データと最終的に出力される画像データは1:1の関係となるのに対して、濃度パターン法においては、入力画像データと変換閾値が1:K(K≧2)の対応で、入力画像データと最終的に出力される画像データは1:K(K≧2)の関係となるだけである。当然、Kは主走査/副走査方向の両方、あるいはどちらか一方にどのように拡張しても良い。
また、この実施の形態では2次元平面画像出力手段としてプリンタを使用した場合について述べたが必ずしもこれに限定するものではなく、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどのディスプレイを2次元平面画像出力手段として使用してもよい。
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば本実施の形態では装置内部に発明を実施する機能が予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様の機能をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
24…擬似階調処理部、32〜35…インクジェットヘッド、51…主カウンタ、52…副カウンタ、53…エンコード部、54…LUT部。

Claims (25)

  1. 1画素M階調の入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置において、
    前記インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、前記ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつ前記インクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする画像形成装置。
  2. ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が非等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. ディザ処理手段は、基準閾値配列における局所的にランダムな閾値配列特性を、前記インクジェット記録手段の出力特性を模倣した近似計算モデルから導き出して設定したこと特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. ディザ処理手段は、基準閾値配列における局所的にランダムな閾値配列特性を、ランダムに導き出して設定したこと特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  6. 非等方的な閾値配列特性を、前記インクジェット記録手段における主走査方向と副走査方向との出力精度の差が大きいときには非等方性が大きく、出力精度の差が小さいときには非等方性が小さくなるように設定したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  7. ディザ処理手段は、基準閾値配列とともにこの基準閾値配列に相関を持たせて生成した複数の閾値配列を用いてディザ処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  8. ディザ処理手段は、基準閾値配列における規定の閾値範囲内の20%以下(但し、0は含まない)の領域を相対的に低階調となる領域としたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  9. 1画素M階調の入力階調画像データを画像変換手段により基準閾値配列を用いてK(K≧2)画素N(N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力する画像形成装置において、
    前記インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、前記画像変換手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつ前記インクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする画像形成装置。
  10. 画像変換手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  11. 画像変換手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が非等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  12. 画像変換手段は、基準閾値配列における局所的にランダムな閾値配列特性を、前記インクジェット記録手段の出力特性を模倣した近似計算モデルから導き出して設定したこと特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  13. 画像変換手段は、基準閾値配列における局所的にランダムな閾値配列特性を、ランダムに導き出して設定したこと特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  14. 非等方的な閾値配列特性を、前記インクジェット記録手段における主走査方向と副走査方向との出力精度の差が大きいときには非等方性が大きく、出力精度の差が小さいときには非等方性が小さくなるように設定したことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  15. 画像変換手段は、基準閾値配列とともにこの基準閾値配列に相関を持たせて生成した複数の閾値配列を用いて画像変換処理を行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  16. 画像変換手段は、基準閾値配列における規定の閾値範囲内の20%以下(但し、0は含まない)の領域を相対的に低階調となる領域としたことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  17. 1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、
    前記インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、前記ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対する基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつ前記インクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とするカラー画像形成装置。
  18. ディザ処理手段は、少なくとも1種類の色成分に対しては予め設定した基準閾値配列をディザ処理に使用し、残りの色成分に対しては前記基準閾値配列を反転、回転あるいはシフトさせた基準閾値配列をディザ処理に使用することを特徴とする請求項17記載のカラー画像形成装置。
  19. ディザ処理手段がディザ処理に使用する各色成分に対する基準閾値配列は、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が出力する各色成分の画素ドットが同一位置に配置されないように設定したことを特徴とする請求項17又は18記載のカラー画像形成装置。
  20. ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項17記載のカラー画像形成装置。
  21. ディザ処理手段は、基準閾値配列を、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が非等方的な出力特性を示すような閾値配列特性を持つように設定したことを特徴とする請求項17記載のカラー画像形成装置。
  22. ディザ処理手段は、複数のディザ閾値プレーンに跨る閾値配列を用いて多値ディザ処理を行うものであり、入力画像データが中間階調から高階調となる領域にあるときに前記インクジェット記録手段が変換後の多値画像データを出力したときに出現するドットパターンの種類が、入力画像データが低階調となる領域にあるときに前記インクジェット記録手段が変換後の多値画像データを出力したときに出現するドットパターンの種類よりも多くなるように前記複数のディザ閾値プレーンに跨る閾値配列を設定し、この設定したディザ閾値プレーンを用いて多値ディザ処理を行うことを特徴とする請求項17記載のカラー画像形成装置。
  23. ディザ処理手段は、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が等方的な出力特性を示す閾値配列特性となる第1の基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第1のディザ処理機能と、規定の閾値範囲内で相対的に低階調となる領域において前記インクジェット記録手段が非等方的な出力特性を示す閾値配列特性となる第2の基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第2のディザ処理機能を備え、色成分に応じて前記各ディザ処理機能を選択することを特徴とする請求項17記載のカラー画像形成装置。
  24. 1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、
    前記インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、
    前記ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対しては規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつ前記インクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第1のディザ処理機能と、残りの色成分に対しては局所的に周期的で、かつ規則的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第2のディザ処理機能とを備えたことを特徴とするカラー画像形成装置。
  25. 1画素M階調のカラー入力階調画像データをディザ処理手段により基準閾値配列を用いてディザ処理を行い1画素N(M>N≧2)階調の出力画像データに変換してから2次元平面画像をライン型インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録手段により出力するカラー画像形成装置において、
    前記インクジェット記録手段として主走査方向と副走査方向とで異なる出力精度をもつインクジェット記録手段を使用し、
    前記ディザ処理手段は、少なくとも2種類の色成分に対しては規定の閾値範囲内で相対的に中間階調から高階調となる領域において局所的にランダムな閾値配列特性を持ち、かつ前記インクジェット記録手段の出力精度が相対的に低い走査方向にドットが優先的に連なって順次成長するような非等方的な閾値配列特性を持つ基準閾値配列を用いてディザ処理を行う第1のディザ処理機能と、残りの色成分に対しては誤差拡散処理によりディザ処理を行う第2のディザ処理機能とを備えたことを特徴とするカラー画像形成装置。
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