以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の第1実施形態を示し、図1は孔版印刷装置の全体概略構成図、図2は孔版印刷装置の概略回路ブロック図、図3は印刷動作時のタイミングチャート、図4は用紙ジャムの検出フローチャート、図5は給紙空送時の処理フローチャート、図6は給紙空送以外の用紙ジャム時の処理フローチャートである。
図1において、孔版印刷装置(印刷装置)1は、原稿読取部(図示せず)と、製版部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、排版部6とから主に構成されている。
原稿読取部は、装置本体10の上部に設けられ、印刷に供される原稿を画像データとして読み取る。この読み取った画像データを基に製版データを生成するようになっている。また、画像データは所定の指令(拡大、縮小等)に基づいて加工可能である。
製版部2は、ロールされた長尺状の孔版原紙12を収容する原紙収容部13と、原紙収容部13に収容された孔版原紙12を搬送下流側にガイドする複数の搬送ロール14と、これら搬送ロール14の下流に配置されたサーマルヘッド15と、このサーマルヘッド15の対向位置に配置され、ライトパルスモータ(図示せず)の駆動力により回転するプラテンロール16と、これらプラテンロール16及びサーマルヘッド15に対して孔版原紙12の搬送下流側に配置され、ライトパルスモータ(図示せず)の駆動力により回転する一対の原紙送りロール17,17と、この一対の原紙送りロール17,17とプラテンロール16及びサーマルヘッド15との間に配置された原紙カッタ18とを有する。
給紙部3は、印刷媒体である印刷用紙20が積層される給紙台21と、この給紙台21から最上位置の印刷用紙20のみを搬送させる1次給紙手段である1次給紙ロール22,23と、この一次給紙ロール22,23によって搬送された印刷用紙20を後述するドラム25の回転に同期してドラム25とプレスロール27間に給紙する2次給紙手段である一対の2次給紙ロール24,24とを有する。1次給紙ロール22,23には給紙クラッチCL(図2に示す)を介してメインモータM1(図2に示す)の回転が選択的に伝達されるようになっている。一対の2次給紙ロール24,24にはカム機構(図示せず)を介してメインモータM1の回転が伝達され、ドラム25の回転に同期して回転駆動されるようになっている。
また、給紙部3には、1次給紙ロール22,23と2次給紙ロール24,24間の用紙搬送経路を検出ポイントとする用紙検出手段であるペーパーセンサS1と、2次給紙ロール24,24と第1ドラム25間の用紙搬送経路を検出ポイントとする用紙検出手段である2次給紙センサS2が設けられている。ペーパーセンサS1は、1次給紙ロール22,23によって印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。2次給紙センサS2は、2次給紙ロール24,24によって印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。
印刷部4は、多孔構造によるインク通過性の部材で外周壁25aが構成され、メインモータM1の駆動力によって図1の矢印A方向に回転されるドラム25と、このドラム25の外周壁25aに設けられ、孔版原紙12の先端をクランプするクランプ部26と、ドラム25内に配置され、外周壁25aの内周面側にスキージロール(図示せず)よりインクを供給するインク供給手段(図示せず)と、ドラム25の外周壁25aの外側で、且つ、スキージロールに対向する位置に配置されたプレス部材であるプレスロール27とを備えている。
このプレスロール27の構成は、第1プレスロール移動機構(図示しない)によって、第1ドラム25の外周壁25aを押圧する押圧位置と第1ドラム25の外周壁25aより十分に退避する退避位置との間で移動自在に設けられている。第1プレスロール27は、非印刷時には退避位置に位置され、印刷時には第1クランプ部26に干渉する範囲では第1ドラム25の外周壁25aより若干だけ離間した微小離間位置に逃げ、それ以外の範囲では押圧位置に位置するように変位するようになっている。
また、印刷部4は、ドラム25の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪28と分離ノズル29とを有する。分離爪28は、ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20の先端との間に挿入されるようになっている。これによって、ドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的にドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。分離爪28の先端部にはエアーノズル(図示せず)が設けられ、このエアーノズルからは分離ポンプ(図示せず)により圧縮された先端分離エアーが印刷用紙20の剥離タイミングで吐出されるようになっている。これにより、ドラム25の外周面に貼り付いている印刷用紙20の先端を圧縮された先端分離エアーで引き剥がすようになっている。分離ファン30により発生させた分離エアーは、分離ノズル29より、ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20との間に吹き付けられ、この分離エアーによってドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を全域に亘ってドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。
そして、印刷部4は、製版部2から搬送される孔版原紙12の先端をクランプ部26でクランプし、このクランプした状態でドラム25を回転して孔版原紙12をドラム25の外周壁25aに巻装し、ドラム25の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙20をプレスロール27にてドラム25の孔版原紙12に押圧することによって印刷用紙20に孔版原紙12の穿孔部分からインクを転写して画像を印刷するようになっている。
排紙部5は、ドラム25より剥離された印刷用紙20を搬送するベルト搬送機構32と、ベルト搬送機構32の最下流より排出された印刷用紙20を載置する排紙台33とを備えている。このベルト搬送機構32は、一対のプーリ32a,32aと、この一対のプーリ32a,32a間に掛けられた無限端ベルト32bと、この無限端ベルト32bの用紙搬送面に印刷用紙20を吸引する吸引ファン32cとを備えている。無限端ベルト32bは、排紙モータM2(図2に示す)の駆動力によって移動され、ドラム25より排出された印刷用紙20を排紙台33まで搬送し、無限端ベルト32bの用紙搬送最下流には排出された印刷用紙20を排紙台33上に載置するようになっている。また、ベルト搬送機構32には用紙検出手段である排紙センサS4が設けられている。排紙センサS4は、印刷部4から印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。
排版部6は、ドラム25に巻き付け装着された孔版原紙12の先端がクランプ解除され、このクランプ解除された孔版原紙12をドラム25より引き剥がしながら搬送する一対の排版ロール34,34と、この一対の排版ロール34,34によって搬送されて来る孔版原紙12を収納する排版ボックス35とを有する。
次に、制御系の概略を図2を用いて説明する。
制御部50は各ドライバを介してメインモータM1、分離ファン30、吸引ファン32c、排紙モータM2及びプレスソレノイドPSの駆動と、給紙クラッチCLの連結を制御するようになっている。また、制御部50には、各種センサS1,S2,S4の検出出力が導かれている。さらに、制御部50には、ドラム25の回転を検出するエンコーダ51のパルス出力とドラム25の基準回転位置を検出する基準センサ52の検出出力がそれぞれ導かれている。これら駆動系及びセンサ系は、正常に印刷動作が実行されている場合には、図3に示すような出力波形を示すことになる。
制御部50は、基準センサ52の基準パルスとエンコーダ51の連続パルス出力よりドラム25の回転角度を算出する。制御部50は、図4のフローチャートに示すように、算出したドラム25の回転角度に基づき各種センサS1,S2,S4の検出出力より用紙ジャムの有無をチェックする。用紙ジャムが発生していると判別した場合には、図5及び図6のフローチャートに示すように、用紙ジャムの処理動作を行うようになっている。
次に、上記孔版印刷装置1の製版、印刷制御動作を説明する。
まず、製版モードが選択されると、制御部50がドラム25に孔版原紙12が巻付け装着されているか否かをチェックし、装着されている場合には孔版原紙12をドラム25より取り除き排版ボックス35に排版する。
排版処理が終了すると、原稿読み取り動作により読み取った製版データに基づき孔版原紙12にサーマルヘッド15にて感熱穿孔する。そして、製版された孔版原紙12がドラム25に巻き付け装着される着版処理が行われ、これで製版動作が終了する。
次に、印刷モードが選択されると、メインモータ(図示せず)が回転してドラム25が回転され、この回転に同期して給紙部3より印刷用紙20がドラム25に給紙される。この給紙された印刷用紙20はプレスロール27でドラム25の孔版原紙12に押圧されることによって印刷用紙20に第1色の画像が印刷される。第1色の画像が印刷された印刷用紙20はドラム25の外周面より分離爪28、先端分離エアー及び分離エアーによって剥離されてベルト搬送機構32に導かれる。ベルト搬送機構32では、印刷用紙20を無限端ベルト32bの移動で搬送し、無限端ベルト32bの最下流より排紙台33に排出される。排紙台33に排紙された印刷用紙20はここに積層状態で載置される。
上記した印刷動作過程にあって、ドラム25の特定の回転角度でペーパーセンサS1、2次給紙センサS2及び排紙センサS4の検出出力をチェックする。具体的には、図4に示すように、ドラム25が130度のタイミングでは、ペーパーセンサS1の出力がオフか否かをチェックする(ステップS10)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ給紙されずに残留する給紙紙残りジャムが発生したと判断し、その給紙紙残りジャム処理動作に移行する(ステップS11)。
ドラム25が150度のタイミングでは、2次給紙センサS2の出力がオフか否かをチェックする(ステップS12)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ給紙されずに残留する2次給紙紙残りジャムが発生したと判断し、その2次給紙紙残りジャム処理動作に移行する(ステップS13)。
ドラム25が175度のタイミングでは、ペーパーセンサS1の出力がオンか否かをチェックする(ステップS14)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20が給紙されていない給紙空送ジャムが発生したと判断し、その給紙空送ジャム処理動作に移行する(ステップS15)。
ドラム25が220度のタイミングでは、2次給紙センサS2の出力がオンか否かをチェックする(ステップS16)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20がドラム25側に給紙されずに残留する2次給紙搬送ジャムが発生したと判断し、その2次給紙搬送ジャム処理動作に移行する(ステップS17)。
ドラム25が310度のタイミングでは、排紙センサS4の出力がオフか否かをチェックする(ステップS18)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ搬送されずに残留する排紙ジャムが発生したと判断し、その排紙ジャム処理動作に移行する(ステップS19)。
ドラム25が350度のタイミングでは、排紙センサS4の出力がオンか否かをチェックする(ステップS20)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20がドラム25から剥離されずに排出されていない舞い上がりジャムが発生したと判断し、その舞い上がりジャム処理動作に移行する(ステップS21)。
次に、給紙空送ジャム処理動作を説明する。図5に示すように、給紙空送ジャムが発生したと判断した場合には、プレスソレノイドPSを即時にオフする(ステップS22)。これにより、プレスロール17がドラム25より離間した離間位置に位置される。ここで、メインモータM1、給紙クラッチCL、分離ファン30、吸引ファン32c及び排紙モータM2は通常の印刷動作時と同様に駆動される。
プレスソレノイドPSをオフすると共に、ドラム25の回転回数を0にリセットする(ステップS23)。そして、ドラム25が175度のタイミングでペーパーセンサS1の出力がオンか否かをチェックする(ステップS24)。回転回数が3回以内の間にペーパーセンサP1の出力がオンになれば、給紙動作が行われたと判断し通常の印刷処理動作に戻る(ステップS24〜S27)。回転回数が3回以内の間に出力がオンにならなければ、孔版印刷装置1の停止処理を行う(ステップS24,S26〜S28)。
上記給紙空送ジャム処理動作では、プレスロール27を離間位置にするため、プレスロール27がドラム25に巻装された孔版原紙12を直接押圧し、プレスロール27がインク汚染される事態を防止できる。また、給紙空送が発生するパターンとして、印刷用紙20がペーパーセンサP1の検出ポイントより上流側に滞留して検出タイミングに間に合わなかった場合が多々ある。そのため、給紙空送エラーの場合には1次給紙動作をリトライさせると、給紙動作がなされる可能性が高い。給紙動作がなされた場合には印刷動作に戻す。これにより、ユーザによる用紙ジャム排除作業を極力低減できる。また、給紙動作がなされた場合には印刷動作に戻すため、給紙空送エラーが解消されれば印刷動作が中断されず、印刷時間の短縮が図れるというメリットもある。
次に、給紙空送ジャム以外のジャム処理動作を説明する。
図6に示すように、給紙空送ジャム以外のジャム(S11,S13,S17,S19,S21)が発生したと判断した場合には、プレスソレノイドPSを即時にオフする(ステップS30)。これにより、プレスロール27がドラム25より離間した離間位置に位置される。また、給紙クラッチCLの動作を停止する(ステップS31)。ここで、メインモータM1、分離ファン30、吸引ファン32c及び排紙モータM2は通常の印刷動作時と同様に駆動される。
プレスソレノイドPSをオフし、給紙クラッチCLの動作を停止すると共にドラム25の回転回数をカウントするカウンタを0にリセットする(ステップS32)。そして、ジャム発生後の基準センサ52のH入力を検出すると、上記カウンタ数を+1だけインクリメントする(ステップS33a)。つまり、ジャム発生後のドラム25の回転回数をチェックする。
回転回数が3回以内の間に、ペーパーセンサP1の出力に立ち下がり変化、2次給紙センサP2の出力に立ち上がりや立ち下がり変化、排紙センサS4の出力に立ち上がり変化があるか否かをチェックし(ステップS33,S35,S37,S39,S41)、いずれかの変化があればジャム用紙排出動作が開始されたと判断してドラム25の回転回数を0にリセットする(ステップS34,S36,S38,S40,S42)。そして、回転回数が3回以内の間に、排紙センサS4の出力に立ち下がり変化を検出した場合には(ステップS43)、印刷用紙20が排紙台33へと排出されたと判断して孔版印刷装置の停止処理を行う(ステップS44)。回転回数が3回以内の間に排紙センサS4の出力に立ち下がり変化を検出できない場合には(ステップS33)、ジャミングされた印刷用紙20の排出が困難と判断して、孔版印刷装置1の停止処理を行う(ステップS34)。この場合には、表示部に用紙ジャムの発生等を表示して、ユーザによるジャム用紙の排除を促す。
上記したように給紙空送以外のジャム処理動作では、ジャム用紙排出動作によってジャム用紙を搬送経路によって装置外に排出させる。従って、用紙ジャムが発生した場合に、ユーザの負担を軽減できる。
上記第1実施形態において、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、ドラム25の回転速度を用紙ジャムの発生前と変更(高速、低速)するように制御しても良い。このようにすると、印刷用紙20がドラム25に張り付く、いわゆる舞い上がり用紙ジャムが発生している場合に、ドラム25の回転速度変化によって印刷用紙20がドラム25から剥離するきっかけを与えることができる。特に、ドラム25を高速回転させると印刷用紙20に今までより大きい遠心力が作用するため、剥離が促進される。
上記第1実施形態において、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、印刷用紙20の搬送速度を用紙ジャムの発生前と変更するように制御しても良い。このようにすると、印刷用紙20が搬送経路上で詰まる用紙ジャムが発生している場合に、搬送速度の変化によって印刷用紙20の詰まりを解除するきっかけを与えることができる。特に、搬送速度を低速にすると、搬送経路に対する印刷用紙20の上滑りが低減されるため、詰まり解除が促進される。
上記第1実施形態では、用紙ジャムが発生したと判断した時点からドラム25の3回転以内、つまり所定時間以内に印刷用紙20が装置外に排除された場合には、孔版印刷装置1の停止処理を行うので、排出された印刷用紙20の状態をユーザに確認する機会を与え、印刷状態等を認識した上でユーザが次の処理を判断できる。尚、上記第1実施形態では、用紙ジャム発生と判断した時点からの所定時間をドラム25の回転数に基づき検出したが、タイマーによって所定時間を検出しても良いことは勿論である。
上記第1実施形態では、給紙部3は、積載された印刷用紙20を1枚ずつ分離して搬送する1次給紙ロール22,23と、この1次給紙ロール22,23から搬送された印刷用紙20をドラム25の所定の回転タイミングで印刷部4に給紙する2次給紙ロール24,24とを備え、1次給紙ロール22,23による印刷用紙20の搬送と2次給紙ロール24,24による印刷用紙20の搬送が正常に行われたか否かを検出するペーパーセンサP1及び2次給紙センサP2をそれぞれ設けている。そして、給紙空送ジャム以外のジャムは、いずれもジャム用紙排出動作を行うようになっているが、ドラム25が220度のタイミングで2次給紙センサS2の出力がオフの場合、つまり、印刷用紙20が一次給紙ロール22,23の位置で紙残りの用紙ジャムが発生したと判断された場合には、印刷装置の停止処理を行うようにする。これ以外のジャム処理動作については、図7に示す内容とする。図7のジャム処理内容は、図6のジャム処理内容と同一であるため、同一ステップに同一符号を付してその説明を省略する。
このように、1次給紙ロール22,23の位置で紙残りの用紙ジャムが発生したと判断した場合(図4のステップS16)には、孔版印刷装置1の停止処理を行うと、以下の利点がある。つまり、1次給紙ロール22,23の位置でジャミングした印刷用紙20は、装置内の搬送経路を搬送させて装置外に排出させるよりも給紙部3の開口側から取り除く方が孔版原紙12切れ等の問題を軽減でき、ジャミング解除も容易であるため、使い勝手が良い。
上記第1実施形態では、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、直ちにジャム用紙排出動作を行ったが、次のようにしても良い。つまり、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、図8に示すように、用紙ジャムが発生した旨をユーザに知らせるべく出力手段である表示パネル60に表示すると共に、表示パネル60上に自動排出か手動排出か否かをユーザに選択させる自動排出ボタン61と確認ボタン62を表示する。そして、ユーザが自動排出ボタン61を押下した場合に上述したジャム用紙排出動作を行う。確認ボタン62を押下した場合には、手動排出を選択したと判断し、印刷装置の動作を停止する。
つまり、ジャミングした印刷用紙20を自動排出すると、ジャミング状態によっては孔版原紙12を傷つける等の不具合が発生する可能性がある。そのため、ユーザにジャミング解除方法を選択させることにより、ユーザの意思を尊重したジャミング処理が可能になる。尚、出力手段は、音声出力手段(スピーカ)であっても、表示パネルと音声出力手段の両方であっても良い。
図9〜図14は本発明の第2実施形態を示し、図9は孔版印刷装置の全体概略構成図、図10は孔版印刷装置の概略回路ブロック図、図11は印刷動作時のタイミングチャート、図12は用紙ジャムの検出フローチャート、図13は給紙空送の用紙ジャム時の処理フローチャート、図14は給紙空送以外の用紙ジャム時の処理フローチャートである。
図9において、孔版印刷装置1′は、原稿読取部(図示せず)と、製版部2′と、給紙部3と、第1印刷部4と、中間搬送部5Aと、第2印刷部4Aと、排紙部7と、第1排版部8及び第2排版部9とから主に構成されている。
原稿読取部は、装置本体10の上部に設けられ、印刷に供される原稿を画像データとして読み取るようになっている。この読み取った画像データは、第1ドラム25の色インク用と第2ドラム36の色インク用の各製版データとして生成する。また、製版データは所定の指令(拡大、縮小等)に基づいて加工可能である。
製版部2′は、装置本体10に水平移動自在に設けられた製版ユニット11を有し、この製版ユニット11は製版ユニット移動手段(図示せず)によって孔版原紙12を第1ドラム25に供給する第1原紙供給位置(図9の仮想線位置)と孔版原紙12を第2ドラム36に供給する第2原紙供給位置(図9の実線位置)との間で移動されるようになっている。また、製版ユニット11は、ロールされた長尺状の孔版原紙12を収容する原紙収容部13と、この原紙収容部13に収容された孔版原紙12を搬送下流側にガイドする複数の搬送ロール14と、この複数の搬送ロール14の搬送下流側に配置されたサーマルヘッド15と、このサーマルヘッド15の対向位置に配置され、ライトパルスモータ(図示せず)の駆動力により回転するプラテンロール16と、これらプラテンロール16及びサーマルヘッド15に対して孔版原紙12の搬送下流側に配置され、ライトパルスモータ(図示せず)の駆動力により回転する一対の原紙送りロール17,17と、この一対の原紙送りロール17,17とプラテンロール16及びサーマルヘッド15との間に配置された原紙カッタ18とを有する。
給紙部3は、印刷媒体である印刷用紙20が積層される給紙台21と、この給紙台21から最上位置の印刷用紙20のみを搬送させる1次給紙手段である1次給紙ロール22,23と、この一次給紙ロール22,23によって移動された印刷用紙20を後述する第1ドラム25の回転に同期して第1ドラム25と第1プレスロール27間に給紙する2次給紙手段である一対の2次給紙ロール24,24とを有する。1次給紙ロール22,23には給紙クラッチCL(図10に示す)を介してメインモータM1(図10に示す)の回転が選択的に伝達されるようになっている。一対の2次給紙ロール24,24にはカム機構(図示せず)を介してメインモータM1の回転が伝達され、第1ドラム25の回転に同期して回転駆動されるようになっている。
また、給紙部3には、1次給紙ロール22,23と2次給紙ロール24,24間の搬送経路を検出ポイントとするペーパーセンサS1と、2次給紙ロール24,24と第1ドラム25間の搬送経路を検出ポイントとする2次給紙センサS2が設けられている。ペーパーセンサS1は、1次給紙ロール22,23によって印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。2次給紙センサS2は、2次給紙ロール24,24によって印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。
第1印刷部4は、多孔構造によるインク通過性の部材で外周壁25aが構成され、メインモータM1の駆動力によって矢印A方向に回転される第1ドラム25と、この第1ドラム25の外周壁25aに設けられ、孔版原紙12の先端をクランプするクランプ部26と、第1ドラム25内に配置され、外周壁25aの内周面側にスキージロール(図示せず)よりインクを供給する第1インク供給手段(図示せず)と、第1ドラム25の外周壁25aの外側で、且つ、スキージロール(図示せず)に対向する位置に配置されたプレス部材である第1プレスロール27とを備えている。
この第1プレスロール27の構成は、第1プレスロール移動機構(図示せず)によって、第1ドラム25の外周壁25aを押圧する押圧位置と第1ドラム25の外周壁25aより十分に退避する退避位置との間で移動自在に設けられている。第1プレスロール27は、非印刷時には退避位置に位置され、印刷時には第1クランプ部26に干渉する範囲では第1ドラム25の外周壁25aより若干だけ離間した微小離間位置に逃げ、それ以外の範囲では押圧位置に位置するように変位するようになっている。
また、第1印刷部4は、第1ドラム25の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪28と分離ノズル29とを有する。分離爪28は、第1ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20の先端との間に挿入されるようになっている。これによって、第1ドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第1ドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。分離爪28の先端部には、エアーノズル(図示せず)が設けられ、このエアーノズルからは第1分離ポンプ(図示せず)により圧縮された先端分離エアーが印刷用紙20の剥離タイミングで吐出されるようになっている。これにより、第1ドラム25の外周面に貼り付いている印刷用紙20の先端を圧縮された分離エアーで引き剥がすようになっている。第1分離ファン30により発生させた分離エアーは、分離ノズル29より、第1ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20との間に吹き付けられ、分離エアーによって第1ドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第1ドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。
そして、第1印刷部4は、製版部2′から搬送される孔版原紙12の先端をクランプ部26でクランプし、このクランプした状態で第1ドラム25を回転して孔版原紙12を第1ドラム25の外周壁25aに巻装し、第1ドラム25の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙20を第1プレスロール27にて第1ドラム25の孔版原紙20に押圧することによって印刷用紙20に孔版原紙12の穿孔部分からインクを転写して第1色の画像を印刷するようになっている。
中間搬送部5Aは、第1ドラム25の用紙搬送下流側位置と後述する第2ドラム36の用紙搬送上流側位置に配置された一対のベルト掛けプーリ31,31と、この一対のベルト掛けプーリ31,31に掛けられ、メインモータM1の駆動力で搬送される無限端ベルト32と、この無限端ベルト32の用紙搬送面に印刷用紙20を吸引する吸引ファン33とを備えている。中間搬送部5Aは、第1ドラム25から剥離された印刷用紙20を受け取り、受け取った印刷用紙20を第2ドラム36の回転に同期して第2ドラム36と第2プレスロール38間に給紙するようになっている。
また、中間搬送部5Aには中間センサS3が設けられている。中間センサS3は、第1印刷部4から印刷用紙20が分離されて来るか否かを検出するようになっている。
第2印刷部4Aは、第1印刷部4と同一構成であり、円筒状の外周壁36a有し、メインモータM1の駆動力によって矢印B方向に回転される第2ドラム36と、この第2ドラム36の外周壁36aに設けられ、孔版原紙12の先端をクランプするクランプ部37と、第2ドラム36内に配置され、外周壁36aの内周面側にスキージロール(図示せず)よりインクを供給する第2インク供給手段(図示せず)と、第2ドラム36の外周壁36aの外側で、且つ、スキージロール(図示せず)に対向する位置に配置されたプレス部材である第2プレスロール38とを備えている。この第2プレスロール38の構成は、第1プレスロール27と同様であり、説明を省略する。
また、第2印刷部4Aは、第2ドラム36の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪39と分離ノズル40とを有する。分離爪39は、第2ドラム36の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20の先端との間に挿入されるようになっている。これにより、第2ドラム36の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第2ドラム36の外周面から引き剥がすようになっている。分離爪39の先端部にはエアーノズル(図示せず)が設けられ、このエアーノズルからは第2分離ポンプ(図示せず)により圧縮された先端分離エアーが印刷用紙20の剥離タイミングで吐出されるようになっている。これにより、第2ドラム36の外周面に貼り付いている印刷用紙20の先端を圧縮された先端分離エアーで引き剥がすようになっている。第2分離ファン41により発生させた分離エアーは、分離ノズル40より、第2ドラム36の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20との間に吹き付けられ、分離エアーによって第2ドラム36の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第2ドラム36の外周面から引き剥がすようになっている。
そして、第2印刷部4Aは、製版部2′から搬送される孔版原紙12の先端をクランプ部37でクランプし、このクランプした状態で第2ドラム36が回転されて孔版原紙12が第2ドラム36の外周壁36aに巻装され、第2ドラム36の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙20を第2プレスロール38にて第2ドラム36の孔版原紙12に押圧することによって印刷用紙20に孔版原紙12の穿孔部分からインクを転写して第2色の画像を印刷するようになっている。
排紙部7は、第2ドラム36より剥離された印刷用紙20を搬送するベルト搬送機構42と、このベルト搬送機構42の用紙搬送最下流より排出された印刷用紙20を載置する排紙台43とを備えている。ベルト搬送機構42は、一対のプーリ42a,42aと、この一対のプーリ42a,42a間に掛けられた無限端ベルト42bと、この無限端ベルト42bの用紙搬送面に印刷用紙20を吸引する吸引ファン42cと、無限端ベルト42bを駆動する排紙モータM2とを備えている。排紙部42は、第2ドラム36より排出された印刷用紙20を排紙台43まで搬送し、搬送した印刷用紙20を排紙台43上に載置するようになっている。また、ベルト搬送機構42には排紙センサS4が設けられている。排紙センサS4は、第2印刷部4Aから印刷用紙20が搬送されて来るか否かを検出するようになっている。
第1排版部8は、第1ドラム25に巻装された孔版原紙12の先端がクランプ解除され、このクランプ解除された孔版原紙12を第1ドラム25より引き剥がしながら搬送する一対の排版ロール44,44と、この一対の排版ロール44,44によって搬送されて来る孔版原紙12を収納する排版ボックス45とを有する。
第2排版部9は、第2ドラム36に巻装された孔版原紙12の先端がクランプ解除され、このクランプ解除された孔版原紙12を第2ドラム36より引き剥がしながら搬送する一対の排版ロール46,46と、この一対の排版ロール46,46によって搬送されて来る孔版原紙12を収納する排版ボックス47とを有する。
次に、制御系の概略を図10を用いて説明する。
制御部50′は各ドライバを介してメインモータM1、分離ファン30、吸引ファン32c、排紙モータM2及び第1及び第2プレスソレノイドPS1,PS2の駆動と、給紙クラッチCLの連結を制御する。制御部50′には、各種センサS1,S2,S3,S4の検出出力が導かれている。また、制御部50′には、第1ドラム25の回転を検出するエンコーダ51のパルス出力と第1ドラム25の基準回転位置を検出する第1基準センサ52の検出出力と、第2ドラム36の基準回転位置を検出する第2基準センサ53の検出出力とがそれぞれ導かれている。後述する排紙ジャム動作では、第1ドラム25の回転角度を基準に動作処理を行うため、回転角度等は第1ドラム25のものをいう。これら駆動系及びセンサ系は、正常に印刷動作が実行されている場合には、図11に示すような出力波形を示すことになる。
制御部50′は、基準センサ52の基準パルスとエンコーダ51の連続パルス出力より第1ドラム25の回転角度を算出する。制御部50′は、図12のフローチャートに示すように、算出した第1ドラム25の回転角度に基づき各種センサS1,S2,S3,S4の検出出力より用紙ジャムの有無をチェックするようになっている。用紙ジャムが発生していると判別した場合には、図13及び図14のフローチャートに示すように、用紙ジャムの処理動作を行う。
次に、上記孔版印刷装置1′の2色印刷時の製版、印刷制御動作を説明する。
2色製版モードが選択されると、第1ドラム25側の製版・排版処理が実行される。まず、制御部50′が第1ドラム25に孔版原紙12が巻装されているか否かをチェックし、巻装されている場合には孔版原紙12を第1ドラム25より取り除き排版ボックス45に排版する。
排版処理が終了すると、原稿読み取り動作により読み取った第1色の製版データに基づき孔版原紙12にサーマルヘッド15にて感熱穿孔する。そして、製版された孔版原紙12の先端を第1クランプ部26でクランプし、このクランプした状態で第1ドラム25が回転されて孔版原紙12が第1ドラム25の外周壁25aに巻装される着版処理が行われる。これで第1ドラム25側の製版動作が終了する。次に、第1ドラム25の製版動作が終了すると、第2ドラム36の製版・排版処理が実行される。まず、製版ユニット11は製版ユニット移動手段(図示せず)によって、第1ドラム25側の第1原紙供給位置から、第2ドラム36側の第2原紙供給位置へと移動される。次に、制御部50′が第2ドラム36に孔版原紙12が巻装されているか否かをチェックし、巻装されている場合には孔版原紙12を第2ドラム36より取り除き排版ボックス47に排版する。読み取った第2色の製版データに基づき孔版原紙12にサーマルヘッド15にて感熱穿孔する。そして、第1ドラム25と同様に、製版された孔版原紙12が第2ドラム36に巻装される着版処理が行われ、これで第2ドラム36側の製版動作が終了する。
次に、2色印刷モードが選択されると、メインモータ(図示せず)が回転して第1及び第2ドラム25,36が回転され、この回転に同期して給紙部3より印刷用紙20が第1ドラム25に給紙される。この給紙された印刷用紙20は第1プレスロール27で第1ドラム25の孔版原紙12に押圧されることによって印刷用紙20に第1色の画像が印刷される。第1色の画像が印刷された印刷用紙20は第1ドラム25の外周面より分離爪28、先端分離エアー及び分離エアーによって剥離されて中間搬送部5Aに導かれる。中間搬送部5Aでは、印刷用紙20を無限端ベルト32の移動で搬送し、中間搬送部5Aより印刷用紙20を第2ドラム36に給紙する。この給紙された印刷用紙20は第2プレスロール38で第2ドラム36の孔版原紙12に押圧されることによって印刷用紙20に第2色の画像が印刷される。第2色の画像が印刷された印刷用紙20は第2ドラム36の外周面より分離爪39、先端分離エアー及び分離エアーによって剥離されてベルト搬送機構42に導かれる。ベルト搬送機構42では、印刷用紙20を無限端ベルト42bの移動で搬送し、ベルト搬送機構42の最下流より排紙台43に排出される。排紙台43に排紙された印刷用紙20はここに積層状態で載置される。
上記した印刷動作過程にあって、第1ドラム25の特定の回転角度でペーパーセンサS1、2次給紙センサS2、中間センサS3及び排紙センサS4の検出出力をチェックする。具体的には、図12に示すように、第1ドラム25が82度のタイミングでは、排紙センサS4の出力がオフか否かをチェックする(ステップS100)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ搬送されずに残留する排紙ジャムが発生したと判断し、その排紙ジャム処理動作に移行する(ステップS101)。
第1ドラム25が130度のタイミングでは、ペーパーセンサS1の出力がオフか否かをチェックする(ステップS102)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ給紙されずに残留する給紙紙残りジャムが発生したと判断し、その給紙紙残りジャム処理動作に移行する(ステップS103)。
第1ドラム25が150度のタイミングでは、2次給紙センサS2の出力がオフか否かをチェックする(ステップS104)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ給紙されずに残留する2次給紙紙残りジャムが発生したと判断し、その2次給紙紙残りジャム処理動作に移行する(ステップS105)。
第1ドラム25が164.6度のタイミングでは、排紙センサS4の出力がオンか否かをチェックする(ステップS106)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20が第2ドラム36から剥離されずに排出されていない舞い上がりジャムが発生したと判断し、その第2舞い上がりジャム処理動作に移行する(ステップS107)。
第1ドラム25が173.4度のタイミングでは、ペーパーセンサS1の出力がオンか否かをチェックする(ステップS108)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20が給紙されていない給紙空送ジャムが発生したと判断し、その給紙空送ジャム処理動作に移行する(ステップS109)。
第1ドラム25が220度のタイミングでは、2次給紙センサS2の出力がオンか否かをチェックする(ステップS110)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20が第1ドラム25側に給紙されずに残留する2次給紙搬送ジャムが発生したと判断し、その2次給紙搬送ジャム処理動作に移行する(ステップS111)。
第1ドラム25が270度のタイミングでは、中間センサS3の出力がオフか否かをチェックする(ステップS112)。このタイミングでオンであれば、先の印刷用紙20が未だ搬送されずに残留する排紙ジャムが発生したと判断し、その中間搬送ジャム処理動作に移行する(ステップS113)。
第1ドラム25が328.5度のタイミングでは、中間センサS3の出力がオンか否かをチェックする(ステップS114)。このタイミングでオフであれば、印刷用紙20が第1ドラム25から剥離されずに排出されていない舞い上がりジャムが発生したと判断し、その第1舞い上がりジャム処理動作に移行する(ステップS115)。
給紙空送ジャム処理動作の内容は、図13に示すように、第1実施形態の場合とほぼ同様(センサ出力のチェックタイミングのみ相違)であるため、その同一ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
上記給紙空送ジャム処理動作では、第1及び第2プレスロール27,38を離間位置にするため、第1及び第2プレスロール27,38が第1及び第2ドラム25,36に巻装された孔版原紙12を直接押圧し、第1及び第2プレスロール27,38がインク汚染される事態を防止できる。また、給紙空送が発生するパターンとして、印刷用紙20がペーパーセンサP1の検出ポイントより上流側に滞留して検出タイミングに間に合わなかった場合が多々ある。そのため、給紙空送エラーの場合には1次給紙動作をリトライさせると、給紙動作がなされる可能性が高い。給紙動作がなされた場合には印刷動作に戻す。これにより、ユーザによる用紙ジャム排除作業を低減できる。また、給紙動作がなされた場合には印刷動作に戻すため、給紙空送エラーが解消されれば印刷動作が中断されず、印刷時間の短縮が図れるというメリットもある。
上記第2実施形態では、給紙部3は、積載された印刷用紙20を1枚ずつ分離して搬送する1次給紙ロール22,23と、この1次給紙ロール22,23から搬送された印刷用紙20を第1ドラム25の所定の回転タイミングで印刷部4に給紙する2次給紙ロール24,24とを備え、1次給紙ロール22,23による印刷用紙120の搬送と2次給紙ロール24,24による印刷用紙120の搬送が正常に行われたか否かを検出するペーパーセンサP1及び2次給紙センサP2をそれぞれ設け、1次給紙ロール22,23による搬送で用紙ジャムが発生したと判断した場合には、孔版印刷装置1′の停止処理を行うので、1次給紙ロール22,23での用紙ジャムは、搬送経路を搬送させて装置外に排出させるよりも給紙部3の開口側から取り除く方がジャミング解除が容易であるため、使い勝手が良い。
次に、給紙空送ジャム以外のジャム処理動作について説明する。
図14に示すように、給紙空送ジャム以外のジャム(S101,S103,S105,S107,S111,S113,S115)が発生したと判断した場合には、第1及び第2プレスソレノイドPS1,PS2を即時にオフする(ステップS120)。これにより、第1及び第2プレスロール27,38が第1及び第2ドラム25,36より離間した離間位置に位置される。また、給紙クラッチCLの動作を停止する(ステップS121)。ここで、メインモータM1、分離ファン30、41、吸引ファン32c,42c及び排紙モータM2は通常の印刷動作時と同様に駆動される。
第1及び第2プレスソレノイドPS1,PS2をオフし、給紙クラッチCLの動作を停止すると共に第1ドラム25の回転回数をカウントするカウンタを0にリセットする(ステップS122)。そして、ジャム発生後の基準センサ52のH入力を検出すると、上記カウンタ数を+1だけインクリメントする(ステップS123a)。つまり、ジャム発生後の第1ドラム25の回転回数をチェックする。
回転回数が3回以内の間に、ペーパーセンサP1の出力に立ち下がり変化、2次給紙センサP2の出力に立ち上がりや立ち下がり変化、中間センサS3の出力に立ち上がりや立ち下がり変化、排紙センサS4の出力に立ち上がり変化があるか否かをチェックし(ステップS123,S125,S127,S129,S131,S133,S135)、いずれかの変化があればジャム用紙排出動作が開始されたと判断して第1ドラム25の回転回数を0にリセットする(ステップS124,S126,S128,S130,S132,S134,S136)。そして、回転回数が3回以内の間に、排紙センサS4の出力に立ち下がり変化を検出した場合には(ステップS137)、印刷用紙20が排紙台133へと排出されたと判断して孔版印刷装置1′の停止処理を行う(ステップS138)。回転回数が3回以内の間に排紙センサS4の出力に立ち下がり変化を検出できない場合には(ステップS123)、ジャミングされた印刷用紙20の排出が困難と判断して、孔版印刷装置1′の停止処理を行う(ステップS124)。この場合には、表示部に用紙ジャムの発生等を表示して、ユーザによるジャム用紙の排除を促す。
この第2実施形態においても、給紙空送以外のジャム処理動作では、ジャム用紙排出動作によってジャム用紙を搬送経路によって装置外に排出させる。従って、用紙ジャムが発生した場合においても、ユーザの負担を軽減できる。
上記第2実施形態において、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、第1ドラム25及び第2ドラム36の回転速度を用紙ジャムの発生前と変更(高速、低速)するように制御しても良い。このようにすると、印刷用紙20が第1ドラム25や第2ドラム36に張り付く、いわゆる舞い上がり用紙ジャムが発生している場合には、第1ドラム25及び第2ドラム36の回転速度変化によって印刷用紙20が第1ドラム25や第2ドラム36から剥離するきっかけを与えることができる。特に、第1及び第2ドラム25,36を高速回転させると印刷用紙20に今までより大きい遠心力が作用するため、剥離が促進される。
上記第2実施形態において、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、印刷用紙20の搬送速度を用紙ジャムの発生前に対し変更するよう制御しても良い。このようにすると、印刷用紙20が搬送経路上で詰まる用紙ジャムが発生している場合に、搬送速度の変化によって印刷用紙20の詰まりを解除するきっかけを与えることができる。特に、搬送速度を低速にすると、搬送経路に対する印刷用紙120の上滑りが低減されるため、詰まり解除が促進される。
上記第2実施形態では、用紙ジャムが発生したと判断した時点から第1ドラム25の3回転以内、つまり所定時間以内に印刷用紙20が装置外に排除された場合には、孔版印刷装置1′の停止処理を行うので、排出された印刷用紙120の状態をユーザに確認する機会を与え、印刷状態等を認識した上でユーザが次の処理を判断できる。尚、上記第2実施形態では、用紙ジャム発生と判断した時点からの所定時間を第1ドラム25の回転数に基づき検出したが、タイマーによって所定時間を検出しても良いことは勿論である。
上記第2実施形態では、給紙空送ジャム以外のジャムは、いずれもジャム用紙排出動作を行うようにしたが、第1ドラム25が220度のタイミングで2次給紙センサS2の出力がオフの場合、つまり、印刷用紙120が一次給紙ロール22,23の位置で紙残りの用紙ジャムが発生したと判断された場合には、印刷装置の停止処理を行うようにする。これ以外のジャム処理動作については、ジャミング用紙排出動作を行うようにしても良い。
このように、1次給紙ロール22,23の位置で紙残りの用紙ジャムが発生したと判断した場合(図12のステップS110)には、孔版印刷装置1′の停止処理を行うと、以下の利点がある。つまり、1次給紙ロール22,23の位置でジャミングした印刷用紙20は、装置内の搬送経路を搬送させて装置外に排出させるよりも給紙部3の開口側から取り除く方が孔版原紙12切れ等の問題を軽減でき、ジャミング解除も容易であるため、使い勝手が良い。
上記第2実施形態では、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、直ちにジャム用紙排出動作を行ったが、次のようにしても良い。つまり、用紙ジャムが発生したと判断した場合には、用紙ジャムが発生した旨をユーザに知らせるべく出力手段である表示パネル(図示せず)に表示すると共に表示パネル上に自動排出か手動排出か否かをユーザに選択させる自動排出ボタン(図示せず)と確認ボタン(図示せず)を表示する。そして、ユーザが自動排出ボタンを押下した場合に上述したジャム用紙排出動作を行う。確認ボタンを押下した場合には、手動排出を選択したと判断し、印刷装置の動作を停止する。つまり、ジャミングした印刷用紙20を自動排出すると、ジャミング状態によっては孔版原紙12を傷つける等の不具合が発生する可能性がある。そのため、ユーザにジャミング解除方法を選択させることにより、ユーザの意思を尊重したジャミング処理が可能になる。
尚、この第1及び第2実施形態では、孔版印刷装置が1つのドラムを有する場合と、2つのドラム(第1及び第2ドラム)を有する場合を説明したが、3つ以上のドラムを有する場合にも本発明を適用可能である。また、孔版以外の印刷装置にも本発明を適用可能である。