JP4607438B2 - 自動車用湿気硬化型ウレタンアンダーコート材 - Google Patents
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Description
これに対し、近年では、環境への配慮等の観点から、脱塩ビ材料の要求があり、これに対しては、アクリルエマルションが代替材料として検討されている。
しかしながら、アクリルエマルションには、高価であるという問題があった。また、アクリルエマルションは、塩化ビニル系樹脂と同様に、硬化時に加熱を必要とするため、施工に手間がかかり、また、省エネルギーの観点からも好ましくない。更に、アクリルエマルションの場合も、防音性を高めるために、バルーンを添加したり、発泡させたりする必要があるが、アンダーコート材の厚さが5mm程度は必要となるので、自動車の車体が重くなるという問題があった。
例えば、特許文献1には、活性水素含有化合物を主成分とする硬化剤(A)と有機ポリイソシアネート化合物を主成分とする主剤(B)とからなる二液硬化型ウレタンエラストマー形成性組成物であって、(A)の平均活性水素当量が30〜10,000であり、該ウレタンエラストマー形成時の25℃の雰囲気温度下でのタックフリータイムが60秒以内であり、形成されたウレタンエラストマーの−20℃〜40℃の雰囲気温度範囲にわたっての動的弾性率が1×105〜2×1010dyne/cm2、損失正接(tanδ)の値が0.005〜2であることを特徴とする無溶剤型耐チッピング塗料用組成物が記載されている。
しかしながら、この組成物は、二液型であるため、施工時に主剤と硬化剤とを正確な割合で混合させなければ、所望の物性が得られないという問題を有していた。
しかしながら、この組成物は、加熱硬化型であるため、硬化時に加熱を必要とするという問題を有していた。
前記ウレタンプレポリマーが、トリオールとジオールとを、質量比で、ジオール/トリオール=5/5〜9.9/0.1となるように混合したポリオール混合物と、ポリイソシアネートとを、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基と前記ポリオール混合物のヒドロキシ基との比NCO/OHが1.2〜2.2となる量比で反応させて得られるウレタンプレポリマーであり、
硬化後において、アスカーC硬度が5〜50であり、破断伸びが100%以上である、自動車用湿気硬化型ウレタンアンダーコート材を提供する。
本発明に用いられるウレタンプレポリマーは、トリオールとジオールとを、質量比で、ジオール/トリオール=5/5〜9.9/0.1となるように混合したポリオール混合物と、ポリイソシアネートとを、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基と前記ポリオール混合物のヒドロキシ基との比NCO/OHが1.2〜2.2となる量比で反応させて得られるウレタンプレポリマーである。本発明のウレタンアンダーコート材は、このウレタンプレポリマーを用いるので、従来実現することができなかった耐チッピング性および防音性を、薄膜の形態で、発揮することができる。また、湿気硬化型として用いることができるため、施工が容易であり、加熱を必要としない。
。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
混合物におけるジオールの割合が大きすぎると、得られる本発明のウレタンアンダーコート材が軟らかくなって、べたつきを生じることがある。また、混合物におけるトリオールの割合が大きすぎると、得られる本発明のウレタンアンダーコート材の防音性が十分とならないことがある。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この際、必要に応じて、有機スズ化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
また、この製造の際には、各成分を混合することができる程度に粘度を低くするために、通常、可塑剤が用いられる。可塑剤としては、後述するウレタンプレポリマーと混合される可塑剤を用いることができる。ウレタンプレポリマーの製造に用いられる可塑剤と、後に混合される可塑剤とは、同じであっても異なっていてもよい。
また、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された表面処理炭酸カルシウムも用いることができる。具体的には、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとして、カルファイン200(丸尾カルシウム社製)、ホワイトン305(重質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製)、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムとして、シーレッツ200(丸尾カルシウム社製)等が好適に用いられる。中でも、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等で表面処理されたものが、特に好ましい。表面処理炭酸カルシウムは、粘度を高くするため形状保持性および作業性に寄与し、また、表面が疎水性であるため貯蔵安定性に寄与する。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アジピン酸系可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジぺート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジぺート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。中でも、ジイソノニルアジペートが好ましい。
その他の可塑剤としては、例えば、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、リン酸トリクレジル、トリブチルトリメリテート(TBTM)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油;分子量500〜10,000のブチルアクリレート等のアクリルオリゴマーが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、可塑剤がウレタンプレポリマーの製造に用いられた場合には、ウレタン樹脂組成物における可塑剤の量は、ウレタンプレポリマーの製造に用いられた可塑剤の量と、後に混合された可塑剤の量との和である。
無機顔料は、例えば、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、鉄黒、複合酸化物(例えば、チタンエロー系、亜鉛−鉄系ブラウン、チタン・コバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック)等の酸化物;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化亜鉛等の硫化物;硫酸バリウム等の硫酸塩;塩酸塩;群青等のケイ酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩;マンガンバイオレット等のリン酸塩;黄色酸化鉄等の水酸化物;カーボンブラック等の炭素;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉;チタン被覆雲母が挙げられる。
老化防止剤は、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、ヒンダードフェノール系化合物が挙げられる。
酸化防止剤は、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等のヒンダードフェノール系化合物;亜リン酸トリフェニルが挙げられる。
帯電防止剤は、例えば、第四級アンモニウム塩、アミン等のイオン性化合物;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
難燃剤は、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
分散剤は、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、リノール酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;ステアリン酸エチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸エステルが挙げられる。
脱水剤は、例えば、メチルスアテアロキシポリシロキサンが挙げられる。
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、フォルムアミジン系紫外線吸収剤、トリアジン環系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤が挙げられる。
具体的には、上述した各必須成分および必要に応じてその他の添加剤を無水状態で十分に混練し、均一に分散させることによって製造する方法を例示することができる。
また、本発明に用いられるウレタン樹脂組成物は、製造時に触媒以外を混合しておき、使用直前に触媒を混合する態様で用いることもできる。この態様で用いると、触媒の量を調節することにより、硬化速度を適宜調整することができるという利点がある。また、触媒の量を変えた場合、硬化速度は変化するが、硬化後の物性は変化しない。したがって、従来の二液型のウレタン樹脂組成物のような、施工時に主剤と硬化剤とを正確な割合で混合させなければ、所望の物性が得られないという問題はない。
アスカーC硬度が上記範囲であると、防音性に優れ、かつ、耐チッピング性に優れる。
また、破断伸びが上記範囲であると、追従性に優れ、破損することがない。
また、鉄板に、下塗塗料、中塗塗料および上塗塗料を順次塗布し焼付けした後、本発明のウレタンアンダーコート材を塗布し、硬化させる方法も用いることができる。この場合、本発明のウレタンアンダーコート材が最外層となるため、塗装割れが少なくなり、塗装による防錆効果が向上する。
また、従来のアンダーコート材では厚さ5mm程度の発泡体とする必要があったが、本発明のウレタンアンダーコート材は、厚さ2〜3mmの薄膜で同程度の耐チッピング性および防音性を有する。それに加えて、自動車車体が軽量になるという利点も有する。
更に、本発明のウレタンアンダーコート材は、湿気硬化型として用いることができるため、施工が容易であり、加熱を必要としない。
1.ウレタン樹脂組成物の調製
(実施例1〜4および比較例1)
以下に示される原料をそれぞれ第1表に示される量比で混合して、各ウレタン樹脂組成物を得た。
・ウレタンプレポリマー1:数平均分子量2000のポリプロピレンジオール(エクセノール2020、旭硝子社製。以下同じ。)と数平均分子量5000のポリプロピレントリオール(エクセノール5030、旭硝子社製。以下同じ。)とを質量比でジオール/トリオール=8.0/2.0となるように、混合した混合ポリオールに、メチレンジフェニルジイソシアネートを投入し、120℃で8時間反応させて得られたウレタンプレポリマー(イソシアネート含有量1.72質量%)
・ウレタンプレポリマー2:数平均分子量2000のポリプロピレンジオールと数平均分子量5000のポリプロピレントリオールとを質量比でジオール/トリオール=8.5/1.5となるように、混合した混合ポリオールに、メチレンジフェニルジイソシアネートを投入し、120℃で8時間反応させて得られたウレタンプレポリマー(イソシアネート含有量2.28質量%)
・ウレタンプレポリマー4:数平均分子量2000のポリプロピレンジオールと数平均分子量5000のポリプロピレントリオールとを質量比でジオール/トリオール=9.5/0.5となるように、混合した混合ポリオールに、メチレンジフェニルジイソシアネートを投入し、120℃で8時間反応させて得られたウレタンプレポリマー(イソシアネート含有量2.36質量%)
・ウレタンプレポリマー5:数平均分子量2000のポリプロピレンジオールと数平均分子量5000のポリプロピレントリオールとを質量比でジオール/トリオール=2.0/8.0となるように、混合した混合ポリオールに、メチレンジフェニルジイソシアネートを投入し、120℃で8時間反応させて得られたウレタンプレポリマー(イソシアネート含有量1.73質量%)
・重質炭酸カルシウム:スーパーS、丸尾カルシウム社製
・エステル系可塑剤(DINA)
・接着性付与剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):A187、日本ユニカー社製
・第三級アミン触媒(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル):BL−19、DABCO社製
以下に示すように、上記で得られたウレタン樹脂組成物を用いてアンダーコート材を作製し、各種物性を評価した。
(1)硬度(アスカーC)
ウレタン樹脂組成物を用いて厚さ10mmのシート状のアンダーコート材を作製し、20℃、65%RHの条件で、7日間放置して硬化させた。硬化後のアンダーコート材の硬度を、球状のヘッドを有するアスカーC硬度計を用いて測定した。結果を第1表に示す。
ウレタン樹脂組成物を用いて厚さ2mmのシート状のアンダーコート材を作製し、20℃、65%RHの条件で、72時間放置して硬化させた。硬化後のアンダーコート材を打ち抜き型によって打ち抜いてダンベル状2号形試験片とし、引張試験を行い破断伸び(EB)を測定した。引張速さは50mm/minとした。結果を第1表に示す。
ウレタン樹脂組成物を用いて種々の厚さのシート状のアンダーコート材を作製し、20℃、65%RHの条件で、7日間放置して硬化させた。無響室において、硬化後のアンダーコート材を水平面から45°傾けた位置で固定し、2mの高さから直径8mmの鉄球1個を落下させ、鉄球がアンダーコート材に衝突した時の音をマイクロフォンで検出し、検出された音を積算した。得られた音の積算値により、防音性(POA)を評価した。積算値が小さいほど、防音性(POA)に優れることを意味する。結果を図1に示す。
なお、比較例2として、後述する塩化ビニル樹脂を用いたアンダーコート材について、同様の防音性の評価を行い、結果を図1に併せて示した。
第一の塩化ビニル樹脂(カネビニールペーストPSH−58、鐘淵化学工業社製)15質量部、第二の塩化ビニル樹脂(カネビニールペーストPBM−4、鐘淵化学工業社製)13質量部、可塑剤(DINP、協和発酵工業社製)40質量部、第一の充填剤(ソフトン1000、白石カルシウム社製)15質量部、第二の充填剤(ライトンU−26、白石カルシウム社製)15質量部および発泡剤(ビニホールAC#3C、永和化成工業社製)2質量部を混合し、アンダーコート材を作製した。
また、ウレタン樹脂組成物におけるジオール/トリオール比が小さすぎる場合(比較例1)は、防音性に劣っていた。これは硬度が硬すぎるためと考えられる(第1表参照。)。
Claims (1)
- ウレタンプレポリマーと、炭酸カルシウムと、可塑剤と、第三級アミン触媒とを含有するウレタン樹脂組成物からなる自動車用湿気硬化型ウレタンアンダーコート材であって、
前記ウレタンプレポリマーが、数平均分子量500〜10,000のトリオールと数平均分子量1,000〜10,000のジオールとを、質量比で、ジオール/トリオール=7/3〜9.5/0.5となるように混合したポリオール混合物と、ポリイソシアネートとを、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基と前記ポリオール混合物のヒドロキシ基との比NCO/OHが1.2〜2.2となる量比で反応させて得られるウレタンプレポリマーであり、
硬化後において、アスカーC硬度が5〜50であり、破断伸びが100%以上である、自動車用湿気硬化型ウレタンアンダーコート材。
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