JP4466155B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような1液湿気効果方接着剤組成物は、1液型であることによる作業性に優れる利点はあるものの、硬化時にイソシアネート基と湿気(水)とが反応する際に発生する炭酸ガスによって発泡が起こり、接着後のシートの膨れや接着性能の低下を引き起こす問題が知られている。
(1)数平均分子量が5,000〜50,000で総不飽和度が0.05meq/g以下のポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも含有するポリオールと、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートと、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー。
(2)湿気により加水分解してポリオールを再生可能なポリオールの珪酸エステル。」が提案されている。
本発明の第1の態様に係る硬化性樹脂組成物(以下、単に「本発明の硬化性樹脂組成物」という場合がある。)は、ウレタンプレポリマー(A)と、上記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
次に、ウレタンプレポリマー(A)および化合物(B)について詳述する。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いられるウレタンプレポリマー(A)は、通常の1液型のポリウレタン樹脂組成物と同様、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物(すなわち、OH基に対して過剰のNCO基)を反応させて得られる反応生成物であって、一般に、0.5〜5質量%のNCO基を分子末端に含有する(NCO%が0.5〜5%の)ものである。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物と上記ポリオール化合物との反応は、該ポリイソシアネート化合物と該ポリオール化合物とを、当量比(NCO/OH)が、1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.4となるように混合させて行われる。当量比がこの範囲であれば、得られるウレタンプレポリマー(A)の粘度が適当となり、該ウレタンプレポリマー(A)を含有する本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物物性(例えば、引張強度、伸び等)が良好となる理由から好ましい。また、このウレタンプレポリマー(A)の生成は、通常のウレタンプレポリマーと同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50〜100℃で加熱攪拌することによって行うことができる。また、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる化合物(B)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
これらのうち、アルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基であることが、得られる化合物(B)を含有する本発明の硬化性樹脂組成物の耐発泡性が良好となる理由から好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基などの2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基;フェニル−1,3,5−トリイル基などの3価の芳香族炭化水素基;フェニル−1,3,4,6−テトライル基などの4価の芳香族炭化水素基;等が例示される。
また、これら以外のR2の炭化水素基としては、後述する化合物(B)の具体例からOH基および−O−Si(R1)3で表される構成単位を除いた残基であってもよい。
上記化合物(B)の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の硬化性樹脂組成物の耐発泡性および硬化性がともに優れ、さらに上記ウレタンプレポリマー(A)としてMDI系のウレタンプレポリマーを用いた場合においても発泡を完全に抑制することができる。
これは、発泡の原因となる、未反応(遊離)のMDIのイソシアネート基と湿気(水)との反応が生起する前に、上記ウレタンプレポリマー(A)および上記化合物(B)の混合系において、該イソシアネート基と該化合物(B)の水酸基とを反応させることができるためであると考えられる。また、硬化性が優れることに関しては、上記化合物(B)の加水分解により生ずる水酸基と上記ウレタンプレポリマー(A)に残存するイソシアネート基とが反応することにより十分に担保できるためである。
これらのうち、フタル酸系可塑剤、アジピン酸系可塑剤等のエステル系可塑剤が好ましい。
アジピン酸系可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジぺート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジぺート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。これらのうち、ジイソノニルアジペートが好ましい。
その他の可塑剤としては、例えば、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、リン酸トリクレジル、トリブチルトリメリテート(TBTM)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油;分子量500〜10,000のブチルアクリレート等のアクリルオリゴマーが挙げられる。
具体的には、上記重質炭酸カルシウムとしてはSSB赤(白石カルシウム社製)、コロイダル炭酸カルシウムとしては白艶華CCR−HL(白石カルシウム社製)およびMS−700(丸尾カルシウム社製)等が挙げられる。また、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとしてはカルファイン200(丸尾カルシウム社製)およびホワイトン305(重質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製)、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムとしてはシーレッツ200(丸尾カルシウム社製)等が好適に用いられる。
具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が例示される。
クレーとしては、具体的には、例えば、ろう石クレー、カオリン質クレー(カオリナイト、ハロイサイト)、パイロフィライト質クレー、セリサイト質クレー、焼成クレー等が挙げられる。
金属触媒としては、具体的には、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫シリレート、オクチル酸ビスマス等が挙げられる。
無機顔料としては、具体的には、例えば、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、鉄黒、複合酸化物(例えば、チタンエロー系、亜鉛−鉄系ブラウン、チタン・コバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック)などの酸化物;黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化亜鉛などの硫化物;硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩酸塩;群青などのケイ酸塩;炭酸カルシウムなどの炭酸塩;マンガンバイオレットなどのリン酸塩;黄色酸化鉄などの水酸化物;カーボンブラックなどの炭素;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;チタン被覆雲母;等が挙げられる。
老化防止剤は、具体的には、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
酸化防止剤は、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)などのヒンダードフェノール系化合物;亜リン酸トリフェニル:等が挙げられる。
帯電防止剤は、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩、アミンなどのイオン性化合物;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物;等が挙げられる。
難燃剤は、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
分散剤は、具体的には、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、リノール酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩;ステアリン酸エチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸モノグリセライドなどの脂肪酸エステル;等が挙げられる。
脱水剤は、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メチルスアテアロキシポリシロキサン等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、具体的には、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、フォルムアミジン系紫外線吸収剤、トリアジン環系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
溶剤としては、具体的には、例えば、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素系;テトラクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;酢酸エチルなどのエステル系;等が挙げられる。
次に、化合物(C)および反応生成物(D)について詳述する。
第2の態様に係る硬化性樹脂組成物に用いられる化合物(C)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
ここで、上記一般式(2)中、R1およびR2は、上記一般式(1)中のR1およびR2と基本的に同一である。
また、このような化合物(C)としては、具体的には、例えば、上記化合物(B)で例示したTMP−2Si、TMP−1Si等が挙げられる。
第2の態様に係る硬化性樹脂組成物に用いられる反応生成物(D)は、上記ウレタンプレポリマー(A)と上記化合物(C)との反応生成物であって、該ウレタンプレポリマー(A)と該化合物(C)とを、当量比(NCO/OH)が100/0.5〜100/40となるように反応させて得られる反応生成物であることが好ましく、100/0.5〜100/15となるように反応させて得られる反応生成物であることがより好ましい。
また、この反応生成物(D)の生成は、ウレタンプレポリマー等においてウレタン結合を形成する通常の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比のウレタンプレポリマー(A)と化合物(C)とを、50〜100℃で加熱攪拌することによって行うことができる。また、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
これは、第1の態様と同様、発泡の原因となる、未反応(遊離)のMDIのイソシアネート基と湿気(水)との反応が生起する前に、上記ウレタンプレポリマー(A)および上記化合物(C)の反応系において、該イソシアネート基と該化合物(C)の水酸基とを反応させることができるためであると考えられる。また、硬化性が優れることに関しては、上記化合物(C)の加水分解により生ずる水酸基と上記ウレタンプレポリマー(A)に残存するイソシアネート基とが反応することにより十分に担保できるためである。
<ウレタンプレポリマー(A)の調製>
(1)ウレタンプレポリマー(A−1)
ウレタンプレポリマー(A−1)は、数平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール(水酸基価56.1)1000gと、数平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール(水酸基価33.7)1000gとの混合物であるポリエーテルポリオール(平均水素基価44.9)に、フタル酸エステル系可塑剤(商品名:DIDP、新日本理化社製)952gを加え、さらにMDIをNCO/OH=1.9の割合となるように380.3gを反応させて得られたものを用いた。最終NCO%は1.82%であった。
ウレタンプレポリマー(A−2)は、水酸基含有アクリル重合体(商品名:UH2000、東亞合成社製、数平均分子量13000、水酸基価20.5)1000gに、フタル酸エステル系可塑剤(商品名:DIDP、新日本理化社製)425gを加え、さらにHDI61.4gとをNCO/OH=2.0の割合で反応させたものを用いた。最終NCO%は1.03%であった。
(1)化合物(B−1)
化合物(B−1)は、トリメチロールプロパン100gを80℃で加熱溶解させた後、ヘキサメチルジシラザン120.2gを滴下し、滴下終了後、さらに80℃で脱アンモニアしながら5時間反応させて得られたTMP−2Siを用いた。
(2)化合物(B−2)
化合物(B−2)は、トリメチロールプロパン100gを80℃で加熱溶解させた後、ヘキサメチルジシラザン60.1gを滴下し、滴下終了後、さらに80℃で脱アンモニアしながら5時間反応させて得られたTMP−1Siを用いた。
(1)反応生成物(D−1)
反応生成物(D−1)は、ウレタンプレポリマー(A−1)とTMP−2Siとを反応させ、残存NCO基の15%を封鎖した生成物を用いた。最終NCO%は1.51%であった。
ここで、「残存NCO基の15%を封鎖した」とは、ウレタンプレポリマー(A−1)の有するNCO基と、TMP−2Siの有するOH基とを、当量比で、NCO/OH=100/15の割合で反応させたことをいう。以下、同様である。
反応生成物(D−2)は、ウレタンプレポリマー(A−2)とTMP−2Siとを反応させ、残存NCO基の15%を封鎖した生成物を用いた。最終NCO%は0.86%であった。
下記表1に示す数値(質量比)で、ウレタンプレポリマー(A−1)および(A−2)、化合物(B−1)および(B−2)、反応生成物(D−1)および(D−2)ならびに各組成成分を配合して硬化性樹脂組成物を調製した。なお、比較例1においては化合物(B)を用いず、比較例2においては化合物(B)の代わりにケイ酸エステルを用いた。
得られた各硬化性樹脂組成物について、タックフリータイム、耐発泡性および貯蔵安定性の評価を下記に示す方法により行った。その結果を下記表1に示す。
・ケイ酸エステル:トリメチロールプロパン100gを80℃で加熱溶解させた後、ヘキサメチルジシラザン180.3gを滴下し、滴下終了後、さらに80℃で脱アンモニアしながら5時間反応させて得られたもの(TMP−3Si)を用いた。
・炭酸カルシウム:脂肪酸エステル処理炭酸カルシウム(シーレッツ200、丸尾カルシウム社製)
・エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー社製)
・ビニルシラン:ビニルトリメトキシシラン(A171、日本ユニカー社製)
・ステアリン酸変性シリコーン樹脂:KF910(信越化学社製)
得られた各組成物を20℃55%RHの条件で硬化させ、JIS A5758に準拠して、タックフリータイム(時間)を測定した。タックフリータイムが12時間以下であれば硬化性に優れる。
コンクリート(縦50mm×横25mm×厚さ50mm)の表面(縦50mm×横25mmの面)に、プライマー(No.30、横浜ゴム社製)を塗布し、30分放置後、得られた各組成物を厚さが5mmとなるように塗布し、40℃で3日間養生して試験体を作製した。耐発泡性は、養生後の接着界面および組成物内部の発泡状態を目視により調べ、界面および内部のいずれにも発泡がないものを○と評価し、いずれかに発泡があるものを×と評価した。
(1)粘度の上昇倍率
得られた各組成物の調製直後(初期)の粘度を、B型粘度計を用いて測定した。さらに、これらの組成物について、70℃で1日間養生後の粘度を測定し、初期粘度との比を求め粘度の上昇倍率を求めた。
(2)チクソインデックス
得られた各組成物の調製直後(初期)のチクソインデックス(以下、単に「TI」と略す。)値を測定した。さらに、これらの各組成物について、70℃で1日間養生後のTI値と比較することによって、チクソ性を評価した。
ここで、TI値とは、BS型粘度計を用い、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度比より求められる[TI値=(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)]。
Claims (2)
- ウレタンプレポリマー(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物。
- 前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、前記化合物(B)を0.5〜5質量部含有する請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
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