JP4606526B2 - 鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バラスト軌道やスラブ軌道等の鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法に関し、更に詳しくは、道床バラストの空隙部に充填して道床バラストを安定化したり、軌道スラブとてん充層との間に発生する微細な空隙やてん充層内に発生するひび割れ等の微細な空隙に充填して軌道を補修・安定化するのに使用される、浸透性と初期強度の発現性に優れた鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、バラスト軌道やスラブ軌道等の鉄道軌道用の注入材としては、セメントアスファルトグラウトが使用されてきた。セメントアスファルトグラウトは、セメントとアスファルト乳剤を主成分とする混合物であって、セメントによってもたらされる硬さとアスファルトによってもたらされる弾性との両方の性質を兼ね備え、例えば、スラブ軌道における軌道スラブとコンクリート路盤との間に注入されて粘弾性を備えたてん充層を形成し、列車走行時の荷重、衝撃、振動等を有効に吸収する。
【0003】
しかしながら、そのようにして構築されたスラブ軌道も、経年変化と共に、てん充層を構成するセメントアスファルトグラウトの硬化物の体積変化などが原因で、軌道スラブとてん充層との間に空隙を生じたり、てん充層自体にひび割れが発生したりして新たな注入・補修を必要とするようになる。ところが、これらの軌道スラブとてん充層間に発生する空隙やてん充層自体のひび割れは、一般に、その間隙幅が1〜3mm程度と極めて狭く、従来のセメントアスファルトグラウトでは、浸透性に劣り、自然流下方式でこのような極少幅の間隙に良好な注入・補修を行うのは困難であった。
【0004】
また、補修作業は、一般に、列車などの運行ダイヤを変更せずに維持したまま行う必要があり、最終列車から始発列車までの間の極めて限られた短時間内に完了して、補修された軌道を列車の通行に供しなければならず、使用される注入材には短時間で所定の初期強度を発現することが要求されるが、従来のセメントアスファルトグラウトでは、初期強度の発現に時間を要し、補修用注入材として使用するのには問題があった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、浸透性並びに初期強度の発現に優れた鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、セメントとアスファルト乳剤を主成分とするセメントアスファルト注入材の組成と浸透性並びに初期強度の発現性との関係について研究を重ねた結果、少なくとも、セメント、急硬性セメント混和材、膨張材、アスファルト乳剤、フィラー、及び、添加水を適正に配合、混合することによって、浸透性並びに初期強度の発現に優れた鉄道軌道用急硬性注入材が得られることを見出して本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、セメント100重量部に対し、急硬性セメント混和材40〜120重量部、膨張材5〜25重量部、アスファルト乳剤120〜300重量部、フィラー150〜250重量部、及び、添加水100〜300重量部を含む鉄道軌道用急硬性注入材を提供することにより上記課題を解決するものである。本発明の鉄道軌道用急硬性注入材には、更に、必要に応じて、保水剤、減水剤、発泡剤、凝結調整剤などから選ばれる1又は2以上の所定量を添加することができる。
【0008】
本発明の鉄道軌道用急硬性注入材においては、必要な各種成分が、それぞれ適正量配合されているので、浸透性に優れ、自然流下方式で、間隙幅が3mm以下の微少間隙にも良く浸透し、また、施工後、極めて短時間で必要とされる初期強度を発現するので、施工現場を速やかに列車の運行に供することができる。
【0009】
本発明は、また、所定量のセメント、急硬性セメント混和材、膨張材、アスファルト乳剤、フィラー、及び、添加水と、必要に応じて、保水剤、減水剤、発泡剤、凝結調整剤等を混合する工程を含む鉄道軌道用急硬性注入材の製造方法を提供することによって上記課題を解決するものでもある。各種成分は、施工現場においてそれぞれを混合しても良いし、各種成分を幾つかのグループに分けて、それぞれのグループ毎に予め工場等で混合しておき、施工現場で最終的に混合するようにしても良い。特に、セメント、急硬性セメント混和材、膨張材、フィラー、及び、必要に応じて、減水剤、発泡剤、保水剤などの固体成分のみを予め所定の配合割合で工場等において混合しておくと、施工現場に搬入する材料点数が減り、しかも、施工現場における混合作業も簡単化され、作業効率が向上する。
【0010】
本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、浸透性に優れ、かつ初期強度の発現性にも優れているので、スラブ軌道における軌道スラブとてん充層間の空隙充填や、てん充層のひび割れ部の注入、充填に特に効果的に使用されるが、本発明の鉄道軌道用急硬性注入材の用途は、スラブ軌道の間隙補修に限らず、その他の空隙部の補修、充填や、スラブ軌道の新設時におけるてん充層の構築に使用できることは勿論であり、バラスト軌道における道床バラストの空隙部に充填して道床バラストを安定化したり、その他、新設、既設を問わず、鉄道軌道におけるあらゆる注入、充填材として使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明で使用するセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、低発熱セメント等が使用可能であるが、急硬性セメント混和材との水和反応性に優れること、および、長期強度の確保に優れることから、普通ポルトランドセメントが好ましい。
【0013】
本発明で使用する急硬性セメント混和材としては、アルミン酸塩と無水石膏とを、重量比で、アルミン酸塩:無水石膏=(2.1〜4.1):1の割合で混合して得られる混合物を使用するのが好ましく、アルミン酸塩と無水石膏とを上記のような割合で混合して得られる急硬性セメント混和材は、セメントに急硬性を付与し、本発明の注入材が早期に所定の強度を発現することを可能にする。アルミン酸塩の無水石膏に対する重量比が2.1未満では、急硬性が鈍く、また、4.1を越えると、可使時間の調整が困難となる。なお、本発明で使用する無水石膏としては、強度発現性に優れたII型無水石膏が好ましい。また、アルミン酸塩とは、アルミン酸カルシウム、サルホアルミン酸カルシウム等をいい、Ca0をC、Al2O3をAで表すものとして、CA、C3A3・CaSO4、C3A、C12A7、CA2、などであり、中でも、CA、C3A3・CaSO4、C12A7を用いるのが好ましい。
【0014】
急硬性セメント混和材の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、40〜120重量部の範囲が好ましい。急硬性セメント混和材の使用量がセメント100重量部に対して40重量部未満では、急硬性が十分に発揮され難く、また、逆に、120重量部を越えると、急硬性が強くなりすぎて可使時間の確保が困難となる。
【0015】
本発明で使用する膨張材としては、Ca0を主成分とする石灰系膨脹材を使用するのが好ましい。石灰系膨張材を使用すると、主成分であるCa0の水和反応による体積膨張が初期段階に起こり、本発明の注入材の乾燥収縮を低減し、ひび割れを防止する効果がある。また、特に、後述する発泡剤としてのアルミニウム粉末と併用することによって、本発明の注入材の初期の硬化収縮と乾燥収縮を顕著に低減する効果がある。
【0016】
膨張材の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、5〜25重量部の範囲が好ましい。使用量が5重量部未満では、乾燥収縮の低減効果が少なく、ひび割れが発生する危険性がある。一方、膨張材の使用量が25重量部を越えると、逆に、膨張が大きくなりすぎて、やはりひび割れが発生する危険性がある。
【0017】
本発明においては、アスファルト乳剤としては、ノニオン系アスファルト乳剤を使用するのが好ましい。ノニオン系アスファルト乳剤に使用するアスファルトとしては、例えば、天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルトなどが挙げられる。これらのアスファルトは、単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。なお、これらアスファルトは、アスファルト乳剤の分解、硬化後の特性を考慮して、針入度(25℃)が40〜300程度のものを使用するのが好ましい。
【0018】
本発明において使用するノニオン系アスファルト乳剤は、通常の方法で製造することができる。例えば、前記アスファルトの1種または2種以上を加熱溶融し、それに、ノニオン系界面活性剤、分散剤、安定剤などを使用して調製した乳化剤を加え、コロイドミル、ホモジナイザーなどの乳化機によって乳化して製造することができる。
【0019】
アスファルト乳剤中の固形分の含有量は、50〜70重量%の範囲が好ましい。固形分の含有量が50重量%未満では、本発明の急硬性注入材に所定の粘弾性を付与することが困難となるのに対し、固形分の含有量が70重量%を越えると、急硬性注入材の粘性が増大して、良好な浸透性を得ることが困難となる。
【0020】
本発明で使用するアスファルト乳剤には、スチレンブタジエン共重合体エマルジョン(以下、「SBRエマルジョン」という)を添加することができる。SBRエマルジョンとは、スチレンとブタジエンの共重合によって得られた合成ゴム微粒子が水中に乳液状に分散したものである。SBRエマルジョンは弱アルカリ性で、セメント及びノニオン系アスファルト乳剤との混合性が良好である。SBRエマルジョン中の固形分の含有量は、通常、50重量%程度が好ましい。アスファルト乳剤に対するSBRエマルジョンの配合割合は、重量比で、アスファルト乳剤:SBRエマルジョン=(95〜75):(5〜25)の範囲が好ましい。SBRエマルジョンを添加することによって、本発明の急硬性注入材の繰り返し荷重に対する耐久性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明で使用されるアスファルト乳剤には、瀝青物にゴムの他に下記ポリマーを添加して改質アスファルトとし、これを乳化してアスファルト乳剤としたものも含まれる。すなわち、添加されるポリマーとしては、エチレン酢酸ビニール共重合体、ポリエチルアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニールなどの合成高分子重合樹脂、クマロン樹脂、石炭酸樹脂、キシレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂などの合成樹脂、ロジン、テルペン樹脂などの天然樹脂などが挙げられる。
【0022】
アスファルト乳剤の使用量は、セメント100重量部に対して、120〜300重量部の範囲が好ましい。アスファルト乳剤の使用量が120重量部未満では、本発明の急硬性注入材に所期の粘弾性を付与することが困難であり、繰り返し載荷に対する十分な耐久性が発揮されない恐れがある。また、逆に、アスファルト乳剤の使用量が300重量部を越えると、十分な初期強度が発現されず、粘性も増大して浸透性が悪化する。
【0023】
本発明で使用するフィラーとしては、高炉スラグ、分級フライアッシュ、石灰石粉、珪石粉、ベントナイトなどを使用することができる。本発明で使用するフィラーは、比表面積で4000〜15000cm2/g、好ましくは、6000〜15000cm2/gの粉末度を有し、平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下のものが好ましい。比表面積が4000cm2/g未満又は平均粒径が10μm超では、本発明の急硬性注入材に所定の浸透性を与えることが困難となり、逆に比表面積が15000cm2/gを越えると、本発明の急硬性注入材が所定の初期強度を発現することが困難となる。
【0024】
フィラーの使用量は、セメント100重量部に対して、150〜250重量部の範囲が好ましい。フィラーの使用量が150重量部未満では得られる急硬性注入材の硬化収縮や乾燥収縮が大きくなり、逆に、250重量部超では得られる急硬性注入材の初期強度の発現性が悪くなる。
【0025】
本発明で使用する添加水としては、通常淡水が用いられ、例えば、水道水、工業用水、地下水、河川水などを使用することができる。添加水の使用量は、セメント100重量部に対して100〜300重量部の範囲が好ましく、添加水の使用量が100重量部未満では、本発明の急硬性注入材に所定の浸透性を付与することができず、また、300重量部を越えると、本発明の急硬性注入材が所定の初期強度を発現することが困難となる。
【0026】
本発明の急硬性注入材には、必要に応じて、保水剤を添加するのが好ましい。保水剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン、動物蛋白などを使用することができる。これらの保水剤は、本発明の急硬性注入材に優れた保水性を付与し、水分の逸散による硬化不良やひび割れの発生を防止する。保水剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、0.001〜1.0重量部の範囲が好ましく、保水剤の使用量が0.001重量部未満では十分な保水性を発揮することができず、1.0重量部超では、急硬性注入材の硬化が遅延するだけでなく、コスト的にも不経済である。
【0027】
本発明の急硬性注入材には、必要に応じて、減水剤を添加するのが好ましい。減水剤としては、例えば、ポリアルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ポリアルキルアリルスルホン酸カルシウム、ポリアルキルナフタリンスルホン酸ナトリウムなどから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。これら減水剤には、本発明の急硬性注入材の流動性を改善し、優れた浸透性を付与する効果がある。減水剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、0〜3.0重量部の範囲が好ましい。減水剤を3.0重量部を超えて使用しても、それほど効果に差が見られず、コスト的にも不経済である。
【0028】
本発明の急硬性注入材には、更に、必要に応じて、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末、亜鉛粉末、珪素合金粉末等の金属粉末、および、これらをステアリン酸等の有機酸で表面処理したものを使用することができる。発泡剤は、急硬性注入材の硬化収縮を低減し、急硬性注入材を空隙一杯に充填した状態で硬化させる機能がある。なお、これら発泡剤の中でもアルミニウム粉末には、上述したように石灰系の膨張材と併用することによって本発明の急硬性注入材の初期の硬化収縮と乾燥収縮を顕著に低減する効果があるので、特に好ましい。発泡剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、0.01〜0.03重量部の範囲が好ましい。発泡剤の使用量が0.01重量部未満では十分な発泡効果を発揮することができず、0.03重量部超では、発泡性が強くなり過ぎて、急硬性注入材の緻密な組織を形成させることが困難となり、強度低下を招く危険性がある。
【0029】
本発明の急硬性注入材には、更に、必要に応じて、凝結調整剤を使用することができる。凝結調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、C5オレフィン・マレイン酸アンモニウム共重合体、酒石酸、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。凝結調整剤は、急硬性注入材の可使時間の調節に有効である。凝結調整剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対して、0.1〜2.5重量部の範囲が好ましい。凝結調整剤の使用量が0.1重量部未満では十分な凝結調整効果を期待することができず、2.5重量部超では、急硬性注入材の早期の強度発現を阻害し、好ましくない。
【0030】
以上のような保水剤、減水剤、発泡剤、及び、凝結調整剤は、それぞれを単独で本発明の急硬性注入材に混合するようにしても良いし、それらの内の2以上を併用して本発明の急硬性注入材に混合するようにしても良い。
【0031】
本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、例えば、以下のようにして製造することができる。即ち、まず粉体混合装置にセメント、急硬性セメント混和材、膨張材、及び、必要に応じて、減水剤、発泡剤及び保水剤、更にフィラーを、この順に、所定量ずつ投入し、攪拌混合して混合物Aを調製する。次に、急硬性注入材用ミキサに所定量のアスファルト乳剤と、必要に応じてSBRエマルジョンとを投入し添加水を加え、更に、凝結調整剤などを適宜加えて攪拌混合して混合物Bを調製する。次いで、調製された混合物Bが存在する急硬性注入材用ミキサ中に所定量の混合物Aを投入して、約1000回転/分の高速攪拌で3分間攪拌混合して練り上げ、本発明の急硬性注入材を製造する。これらの混合工程は、全て施工現場で行っても良いし、上記混合物Aを構成する材料のみを予め工場等で所定量ずつ計量混合して、混合物Aとして袋詰しておき、施工現場において混合物Bを調製する際に既に混合済みの混合物Aを投入して、本発明の急硬性注入材を得るようにしても良い。このように、使用材料の一部を予め混合しておくことにより、施工現場での混合作業が単純化されるため、施工効率が上がるメリットがある。なお、予め混合しておく材料の組み合わせは、上に述べたものに限られず、相互に反応して施工現場における混合作業に支障のない限り、どのように組み合わせて混合しておいても良い。
【0032】
以下、実験及び実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるわけではないことは勿論である。
【0033】
〈実験1〉
本発明の注入材及び対照として従来のセメントアスファルト乳剤注入材を製造し、微細間隙への浸透性試験を行った。製造した本発明の注入材の配合、及び、製造した従来のセメントアスファルト乳剤注入材の配合を以下に示す。
【0034】
【0035】
【0036】
微細間隙への浸透性試験は、次のようにして行った。即ち、5mm×450mm×600mmの半透明アクリル板2枚を2mmの間隙を開けて水平に対向させ、長さ600mmの長辺側の両端及び短辺側の一端をスペーサーで塞いで、幅約450mm、長さ600mm、厚さ2mmで水平に広がる間隙を作成した。この間隙の幅約450mmのスペーサーで塞いだ方の短辺側の中央部に、直径50mm、高さ100mmの円筒状の注入口を立設し、この円筒状の注入口の上端まで注入材を注入して、注入材が自然流下によって、2枚の半透明アクリル板間に形成された厚さ2mmの間隙にどこまで浸透するかを試験した。注入材の浸透が止まると、円筒状の注入口の上端まで再度注入材を注入し、間隙内への注入材の浸透を再開させ、この作業を繰り返して、円筒状の注入口の上端まで注入材を注入しても、それ以上注入材が浸透しなくなるか、或いは、注入材が長さ600mmの間隙を通過してアクリル板の他端から流出した時点をもって、浸透終了と判断した。最初の浸透開始から浸透終了までの時間、浸透終了時の注入材の浸透距離、間隙内に浸透した注入材の容積を間隙内容積で除した充填率を測定した。同様の試験を、本発明の注入材と従来のセメントアスファルト乳剤注入材とについて行い、結果を比較した。試験した注入材の物性、並びに、浸透性試験結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の結果から明らかなように、本発明の注入材は浸透開始からわずか2分半で、厚さ2mm、長さ600mmの間隙内を通り抜け、反対側から流出したのに対し、従来のセメントアスファルト乳剤注入材は、浸透開始後30分で、浸透を停止し、厚さ2mm、長さ600mmの間隙内に450mmしか浸透しなかった。この結果から、本発明の注入材が浸透性に優れていることが分かる。また、本発明の注入材は、製造後、約15分の間、5〜7秒のフロータイム(J10フロータイム)を維持し、実際の施工上何ら問題のない十分な可使時間を有していた。
【0039】
〈実験2〉
実験1で製造した本発明の注入材及び対照注入材から供試体を作成し、養生時間を変えて、各々の養生時間におけるマーシャル一軸圧縮強度を求めた。供試体は各3個作成し、得られた結果は算術平均した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表2の結果から明らかなように、本発明の注入材は養生僅か1時間で、0.62MPaの早期圧縮強度を発現し、従来のセメントアスファルト乳剤注入材が養生1時間では0.3MPaの圧縮強度しかないのに比べて、顕著に優れた初期圧縮強度を発現することが分かる。また、養生時間の経過に伴う圧縮強度の増加率においても、本発明の注入材は従来のものに比べて遙かに優れている。
【0042】
〈実験3〉
実験1において本発明の注入材を製造するのに使用したのと同じ材料を同じ配合割合で用い、ただ、フィラーの粉末度を種々に変化させて、実験1と同様の浸透試験を行った。使用したフィラーの粉末度、及び、試験結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3の結果から明らかなように、本発明の注入材は、フィラーの粉末度が4000cm2/g以上で、優れた浸透性が得られ、粉末度が6000cm2/gを越えると、浸透時間が短くなり、更に優れた浸透性が得られることが分かる。
【0045】
〈実施例〉
構内に試験的に敷設したスラブ軌道において、てん充層と軌道スラブとの間に間隙幅約1〜3mm(平均2mm)の間隙を設け、軌道スラブ中央に設けた注入孔から本発明の急硬性注入材を、高さ50cmの注入ロートを用いて自然流下によって注入した。軌道スラブの一方の側面には漏れ止め用の木枠を密着して設置すると共に、スラブ側面から約20mmの距離をおいて片側に3箇所ずつ空気抜きと注入材の確認のための開口(10×150mm)を設けた。開口部の位置は軌道スラブ中央の端部と、中央から1500mm間隔とした。注入開始から約20分で、開口部に注入した注入材の流出が見られたので、注入を終了した。
【0046】
【0047】
上記の材料を使用し、セメント、急硬性セメント混和材、膨張材、フィラー、減水剤、及び発泡剤を、それぞれ所定量混合した混合物を予め調製しておき、これとは別に、アスファルト乳剤と添加水及び凝結調整剤をそれぞれ所定量攪拌混合して混合液とし、この混合液に予め調製しておいた混合物を投入して、1000回転/分の速度で3分間攪拌混合して、本発明の急硬性注入材を製造した。製造された注入材の土木学会J10ロート法によって測定したフロータイムは6秒であった。
【0048】
注入に必要な注入材の量は、軌道スラブ1枚当たり、
495cm×234cm×[(0.3cm+0.1cm)÷2]=23.16(l)
と計算される。一方、実際の注入に要した注入材の量は25.5(l)であったので、ほぼ完全な充填が為されたものと考えられる。
【0049】
施工2ヶ月後に、てん充層と軌道スラブの境界部を目視観察したが間隙は完全に充填されたまま保持されており、かつ、ひび割れや剥離等は全く認められなかった。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、浸透性に優れた注入材であり、スラブ軌道のてん充層と軌道スラブ間に発生する微少な間隙や、てん充層自体に発生するひび割れ等にも自然流下によって滑らかに浸透し、空隙をほぼ完全に充填する。しかも、本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、初期強度の発現性にも優れ、施工後短時間で所期の強度を発現し、補修ないしは新設された鉄道軌道を早期に列車の通行に供することを可能にするものである。
【0051】
また、本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、必要な材料を取り揃えて、施工現場で簡単に混合、製造することが可能で、特に、反応する恐れのない複数の材料の所定量を予め工場等で攪拌混合して袋詰等しておくことにより、施工現場での混合作業を簡単化することができ、効率良く注入充填作業を行うことを可能にするものである。本発明の鉄道軌道用急硬性注入材は、スラブ軌道に限らず、既存のバラスト軌道における道床バラストの安定化等、新設、既設を問わず、あらゆる鉄道軌道における間隙部の充填に使用することができ、しかも安価であって、その当技術分野に与える影響には計り知れないものがある。
Claims (8)
- セメント100重量部に対し、急硬性セメント混和材40〜120重量部、膨張材5〜25重量部、アスファルト乳剤120〜300重量部、フィラー150〜250重量部、及び、添加水100〜300重量部を含み、フィラーの粉末度が比表面積で4000〜15000cm2/gであり、急硬性セメント混和材が、アルミン酸塩と無水石膏とを、重量比で、(2.1〜4.1):1の割合で含むものである、鉄道軌道用急硬性注入材。
- 膨張材が、Ca0を主成分とする石灰系膨張材である請求項1記載の鉄道軌道用急硬性注入材。
- アスファルト乳剤がノニオン系アスファルト乳剤である請求項1又は2記載の鉄道軌道用急硬性注入材。
- アスファルト乳剤が、5〜25重量%のスチレンブタジエン共重合体エマルジョンを含む請求項3記載の鉄道軌道用急硬性注入材。
- 更に、保水剤、減水剤、発泡剤、又は、凝結調整剤から選ばれるいずれか1又は2以上を含む請求項1、2、3又は4記載の鉄道軌道用急硬性注入材。
- 発泡剤がアルミニウム粉末である請求項5記載の鉄道軌道用急硬性注入材。
- 所定量のセメント、急硬性セメント混和材、膨張材、アスファルト乳剤、フィラー、及び添加水を混合する工程を含む請求項1、2、3又は4記載の鉄道軌道用急硬性注入材の製造方法。
- セメント、急硬性セメント混和材、膨張材、及びフィラーを、予め混合しておく請求項7記載の鉄道軌道用急硬性注入材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29211198A JP4606526B2 (ja) | 1998-10-14 | 1998-10-14 | 鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP29211198A JP4606526B2 (ja) | 1998-10-14 | 1998-10-14 | 鉄道軌道用急硬性注入材とその製造方法 |
Publications (2)
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