JP6763335B2 - 半たわみ性舗装用セメントミルクとその製造方法および半たわみ性舗装の施工方法 - Google Patents
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Description
この場合は、さらに半たわみ性舗装用セメントミルクの塩水が上記の量の減水剤を含有するので、さらに粘度が低くなり、半たわみ性舗装材の母体となる開粒度アスファルト混合物により浸透させやすくなる。
この場合、離島や沿岸地域など淡水の入手が比較的困難な場所で、半たわみ舗装用セメントミルクを製造する場合、練混ぜ水として海水をそのまま利用することができる。
この場合、セメントミルクが開粒度アスファルト混合物に浸透してから硬化するまでの時間を短くできる。従って、このセメントミルクを、道路等に敷設される半たわみ性舗装用セメントミルクとして用いることによって、施工後から交通開放までの時間を短縮することができる。
この場合、前記セメントミルクが開粒度アスファルト混合物に浸透してから硬化するまでの時間をより確実に短くできるとともに、アスファルト混合物への浸透に必要な可使時間を確保できる。従って、このセメントミルクを、半たわみ性舗装用セメントミルクとして用いることによって、施工後から交通開放までの時間を短縮することができる。
この場合、これらの混和材の種類や配合量を変えることによっても、前記セメントミルクの可使時間、凝結始発時間や圧縮強度などの特性を調整することができる。
このような構成とされた本発明の半たわみ性舗装材の製造方法によれば、セメントミルクとして上述の半たわみ性舗装用セメントミルクを用いるので、開粒度アスファルト混合物の内部にセメントミルクを短時間で浸透させることができ、さらに浸透させた後の凝結開始時間が短く、初期強度が高いので、施工後から交通開放までの時間を短縮することができる。
本実施形態のセメントミルクは、セメントと速硬性混和材と細骨材を含むモルタル組成物と、モルタル組成物100質量部に対して20質量部以上70質量部以下の範囲の量の塩水とを含む。塩水の含有量が少なくなりすぎると、セメントミルクの粘度が高くなり、浸透性が低下するおそれがある。一方、塩水の量が多くなりすぎると、流動性が過剰となりブリーディングが過大になる、強度が低下するので好ましくない。
カルシウムアルミネートと石膏は、速硬材として作用する。すなわち、カルシウムアルミネートと石膏は、水に接したときにカルシウムイオンとアルミニウムイオンを溶出し、これらと石膏から溶出される硫酸イオンとを反応させて、針状結晶のエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)あるいはモノサルフェイト(3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O)などの水和物を生成させることによって、モルタル組成物の硬化時間を短くし、かつ初期強度発現性を向上させる作用を有する。
凝結調整剤は、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムのうちの2つ以上を組合せて使用することが好ましい。2つ以上の組合せは、無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびアルミン酸ナトリウムの3つの組合せが好ましく、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムの4つの組合せがより好ましい。
このため、本実施形態では、塩水中の凝結調整剤の含有量を、モルタル組成物100質量部に対して0.1質量部以上0.7質量部以下の範囲の量と設定している。なお、凝結調整剤による上記の効果をより確実に発揮させるためには、凝結調整剤の含有量を、モルタル組成物100質量部に対して0.2質量部以上(後述の減水剤を使用する場合は、凝結調整剤と減水剤との合計)とすることが好ましい。
減水剤は、モルタル組成物中のセメントや速硬性混和材などの分散性を向上させる作用がある。モルタル組成物中のセメントおよび速硬性混和材の分散性が向上することによって、塩水中の凝結調整剤によるセメントおよび速硬性混和材と塩水中の塩化物イオンとの反応がより反応が抑制されると考えられる。減水剤の添加量が少なくなりすぎると減水剤の作用が得られにくくなる。一方、減水剤の含有量が多くなりすぎると、流動性が過剰になりブリーディングが発生し、硬化速度が遅くなり、強度が低下するおそれがある。このため、本実施形態では、減水剤の添加量を、モルタル組成物100質量部に対して0.01質量部以上0.30質量部以下の範囲の量と設定している。
減水剤は、粉末状、液体状でも良く、ポリカルボン酸系、ポリカルボン酸コポリマー系、メラミンスルホン酸系、ポリエーテル−ポリカルボン酸系、変性ポリカルボン酸系等のものが好ましい。
減水剤は凝結調整剤とともに混合することが好ましい。これらの材料の混合には、グラウトミキサーなどのセメントミルクの調製に使用されている公知の混合装置を用いることができる。
まず、路盤などの上に開粒度アスファルト混合物を形成する。次いでこの開粒度アスファルト混合物の上に、本実施形態のセメントミルクを流し込み、ゴムレーキなどを用いて開粒度アスファルト混合物の内部に浸透させる。この際に、セメントミルクを開粒度アスファルト混合物の内部に確実に浸透させるために、振動ローラー等を用いて、バイブレーション(振動)を加えてもよい。
1)セメント:普通ポルトランドセメント(三菱マテリアル社製)
2)速硬性混和材:カルシウムアルミネートと無水石膏と凝結調整剤を、40:60:1.2(質量比)の割合で混合したもの
3)凝結調整剤:炭酸ナトリウムと酒石酸とアルミン酸ナトリウムを、3:1:1(質量比)の割合で混合したもの(Bセッター、三菱マテリアル社製)
4)細骨材:珪砂7号、ニッチツ社製
5)再乳化粉末樹脂:LDM−2071P、ニチゴーモビニール社製
6)高炉スラグ微粉末:三菱マテリアル社製
7)フライアッシュ:JIS2種、中部テクノ社製
8)石灰石微粉末:道路用普通炭酸カルシウム、菱光石灰社製
9)減水剤:ポリカルボン酸コポリマー、メルフラックスFW−10、BASFジャパン社製)
10)人工海水:塩化物イオン濃度2.1質量%、アクアマリン、八洲薬品社製
11)水道水(埼玉県秩父郡)
普通ポルトランドセメント、速硬材、細骨材、再乳化粉末樹脂、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石灰石微粉末、凝結調整剤を下記の表1に示す質量部にて秤量した。
秤量した各材料を、V型混合機で15分混合し、モルタル組成物A〜Dを作製した。
粉体混合物Aと、練混ぜ水(人工海水、水道水)と、凝結調整剤と、減水剤とを、下記の表2に示す質量割合にて用意した。まず、練混ぜ水(人工海水、水道水)と、凝結調整剤と、減水剤とを混合して練混ぜ水組成物を調製した。次いで、粉体混合物Aと練混ぜ水組成物とをラボミキサーで3分間混練して、本発明例1〜8および比較例1〜3のセメントミルクを調製した。
土木学会規準JSCE−F 521「プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(P漏斗による方法)」に準拠して測定した。
練混ぜ直後のセメントミルクの粘度をブルックフィールド型回転式粘度計により測定した。
30×30×厚さ10cmの開粒度アルファルト混合物(空隙率22%)の上面からセメントミルクを流し込み、浸透状況を目視観察し、下記の基準で浸透性を阪大した。
○:10cmの厚さを全浸透し、アスファルト混合物の下面からセメントミルクが浸出する。
△:アスファルト混合物5cm〜10cmの深さでセメントミルクが浸透する。
×:アルファルト混合物への浸透性が5cm未満である。
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。
土木学会規準 JSCE−G 505「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。
また、本発明例1〜8のセメントミルクは、本混ぜ水として水道水を用いた比較例2のセメントミルクと比較して、材齢3時間の圧縮強度が高く、初期強度発現性に優れることが確認された。
一方、練混ぜ水として凝結調整剤を本発明の範囲よりも多く有する人工海水を用いた比較例3のセメントミルクは、凝結始発時間が長くなり、材齢3時間の圧縮強度が測定不可となるまで低下することが確認された。
粉体混合物B〜Dと、練混ぜ水(人工海水、水道水)と、凝結調整剤と、減水剤とを、下記の表3に示す質量割合にて用意した。まず、練混ぜ水(人工海水、水道水)と、凝結調整剤と、減水剤とを混合して練混ぜ水組成物を調製した。次いで、粉体混合物Aと練混ぜ水組成物とをラボミキサーで3分間混練して、本発明例9〜17および比較例4〜9のセメントミルクを調製した。
また、本発明例9〜17のセメントミルクは、練混ぜ水として水道水を用いた比較例5、7、9のセメントミルクと比較して、材齢3時間の圧縮強度が高く、初期強度発現性に優れることが確認された。
Claims (8)
- セメントと速硬性混和材と細骨材と凝結調整剤とを含むモルタル組成物と、前記モルタル組成物100質量部に対して20質量部以上70質量部以下の範囲の量の塩水とを含むセメントミルクであって、
前記塩水が、塩化物イオンを1質量%以上4質量%以下の範囲で含み、かつ前記モルタル組成物100質量部に対して0.1質量部以上0.7質量部以下の範囲の量の凝結調整剤を含有することを特徴とする半たわみ性舗装用セメントミルク。 - さらに、前記塩水が、前記モルタル組成物100質量部に対して0.01質量部以上0.30質量部以下の範囲の量の減水剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
- 塩水が、海水もしくは海水と淡水との混合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
- 前記モルタル組成物が、前記速硬性混和材を前記セメント100質量部に対して10質量部以上60質量部以下の範囲の量にて含み、前記細骨材を前記セメント100質量部に対して5質量部以上30質量部以下の範囲の量にて含み、凝結調整剤を前記セメント100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲の量にて含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
- 前記速硬性混和材が、カルシウムアルミネートと石膏と凝結調整剤を含む組成物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
- さらに、前記モルタル組成物が、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石灰石微粉末、再乳化粉末樹脂からなる群より少なくとも1種の混和材を含み、セメント100質量部に対して前記混和材を、5質量部以上30質量部以下の範囲の量にて含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
- 請求項1に記載の半たわみ性舗装用セメントミルクを製造する方法であって、
セメントと速硬性混和材と細骨材と凝結調整材を含むモルタル組成物と、前記モルタル組成物100質量部に対して20質量部以上70質量部以下の範囲の量の塩水と、前記モルタル組成物100質量部に対して0.1質量部以上0.7質量部以下の範囲の量の凝結調整剤とを用意する工程と、
前記モルタル組成物と、前記塩水と、前記凝結調整剤とを混合する工程と、
を有することを特徴とする半たわみ性舗装用セメントミルクの製造方法。 - 開粒度アスファルト混合物に請求項1から請求項6のいずれかの一項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルクを浸透させ、次いで硬化させることを特徴とする半たわみ性舗装の施工方法。
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