JP5169007B2 - 舗装体用注入材及びこれを用いた舗装方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カルシウムアルミネート及び無機硫酸塩の急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を混合して混和材を調製し、この混和材に普通ポルトランドセメント等のセメント鉱物を含むセメント組成物を混合して得られた半たわみ性を有する舗装体用注入材と、この舗装体用注入材を用いて舗装する方法に関するものである。
従来、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが重量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分をセメント鉱物に対して内割で15〜35%含む急硬セメントを主成分とし、この急硬セメントに対して内割重量でアルミン酸ナトリウム0.2〜5%、無機炭酸塩0.2〜5%及びカルボン酸類0.1〜2%を含む超速硬セメント組成物(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。
このように構成された超速硬セメント組成物では、このセメント組成物に注水した後、少なくとも20分以上の硬化時間(可使時間)を保持できるとともに、1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上となる。またその後の圧縮強度も順調に延び、長期耐久性に優れ、更に硬化体に斑点化現象を起こさないようになっている。
また、ポルトランドセメント又はポルトランドセメントを含む混合セメントからなるセメント成分と、このセメント成分に対して内割りで2〜50重量%の速硬成分と、セメント成分及び速硬成分の合計重量に対して0.1〜5重量%の凝結調整剤とを含む温度緩衝型速硬性組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。この温度緩衝型速硬性組成物では、速硬成分が、アルミン酸カルシウムを主成分とする微粉冶金滓40〜95重量%及びII型無水石膏5〜60重量%の混合物に、炭酸アルカリが内割で1〜10重量%添加され、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム及び硫酸アルミニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上が1〜10重量%添加される。更に凝結調整剤が有機酸系凝結遅延剤と硫酸アルカリからなる。
このように構成された温度緩衝型速硬性組成物は、セメント成分、速硬成分及び凝結調整剤の所定量を添加混合して容易に調製することができ、混練水量30〜100重量%にて混練することにより、高強度の硬化体を得ることができる。この結果、温度緩衝型速硬性組成物を用いれば、幅広い施工温度において、安定かつ良好な凝結特性及び作業性を確保できるようになっている。
更に、カルシウムアルミネート、ポリアクリル酸類、ホウ酸類、炭酸塩及びカルボン酸類を含有するセメント組成物(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
このように構成されたセメント組成物は、流動性と可使時間を長く確保でき、適度な硬度時間を有するとともに、良好な強度を十分に発現でき、更に耐火性や高温強度に優れるとしている。
一方、先ずポルトランドセメント又は混合セメント100重量部に対して、速硬性硬化材を20〜100重量部混合して速硬性セメント材を調製し、次いでこの速硬性セメント材100重量部に対して、凝結調整剤0.1〜1.0重量部と、セメント用ポリマーをこのポリマーと速硬性セメント材との重量比で1.5〜8.0重量%とを配合してグラウト材を調製し、次にこのグラウト材に、水を速硬性セメント材との質量比で40〜70重量%の範囲内に混練して混練物を調製し、更にこの混練物を空隙率40〜10%のアスファルトコンクリート中に充填する半剛性舗装方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この半剛性舗装方法では、上記速硬性硬化材がアルミン酸カルシウム化合物を50重量%以上含有する。
このように構成された半剛性舗装方法では、ポルトランドセメント又は混合セメントに、主として12CaO・7Al23よりなるアルミン酸カルシウムを50重量%以上含有する微粉末冶金滓とII型無水石膏とよりなる速硬性硬化材を配合して得られた速硬性セメントを、水と混練することにより、水和初期において、セメント中の水酸化カルシウムとアルミン酸カルシウムとが水和反応してカルシウムアルミネートハイドレートが生成され、更にこのカルシウムアルミネートハイドレートとII型無水石膏との水和反応によって針状結晶のエトリンガイト及びモノサルフェイト(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)が生成され急速に硬化し、初期強度を発現できる。また凝結調整剤の添加量を変えることにより、硬化開始時間を自由に調整でき、舗装施工時間を短縮できるとともに、施工後に急激に硬化するため、アスファルトコンクリートの空隙への浸透力に優れ、急を要する工事用に最適である。即ち、コンクリート打設作業に必要な時間及び流動性が持続され、かつ短期に強度が上昇する舗装を行えるようになっている。
また、空隙率が10〜40%であって、この空隙部分に最大吸水率30〜80質量%の保水性注入材が充填された保水性機能を有する舗装体が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
このように構成された保水性機能を有する舗装体では、舗装面の温度上昇抑制効果を長時間持続させ、かつ舗装面が実用上問題のない圧縮強度が得られるようになっている。
更に、セメント系結合材と保水性材料とを含み、保水性材料を100質量%とするとき、粒子径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤が保水性材料に30〜100質量%含まれた舗装体用注入材料が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。この舗装体用注入材料では、セメント系結合材として、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、白色セメント等が用いられる。上記超速硬セメントは、ポルトランドセメント100質量%に対し、カルシウムアルミネートと無水石膏からなる速硬成分を5〜100質量%混合して得られるセメントであり、MG−5(三菱マテリアル株式会社製)などが挙げられる。またカルシウムアルミネートと無水石膏からなる速硬成分としては、コーカエース(三菱マテリアル株式会社製)、コスミック(電気化学工業株式会社)などがあり、これらはポルトランドセメントと適宜混合して使用される。
このように構成された舗装体用注入材料では、降雨や散水等による水の補給を受けない状態にあっても、日射による熱を受けた場合、その表面の温度が上昇し始めると、珪藻質濾過助剤が吸着した大気中の水分が蒸発して熱を奪い、その舗装体の表面温度の著しい上昇を抑制できるので、水の補給を受けない状態にあっても、その表面の温度上昇を比較的長い間抑制できるようになっている。
特公平3−41420号公報(請求項1、明細書第2頁右欄第28行目〜同頁右欄33行目) 特許第3125316号公報(請求項1、段落番号[0028]、段落番号[0039]) 特開平6−32642号公報(請求項1、段落番号[0066]) 特開平2−145469号公報(請求項1及び2、明細書第3頁右上欄第9行目〜同頁左下欄第2行目、明細書第7頁右下欄第7行目〜同頁同欄第14行目) 特開2005−48403号公報(請求項1、段落番号[0051]) 特開2007−46337号公報(請求項1、段落番号[0013、段落番号[0014]])
しかし、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することが難しく、また硬化体に斑点の発生が認められ、この部分が欠陥となって長期的な強度も低下する不具合があった。ここで、材齢とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から測定した時間をいい、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から3時間経過したときの硬化体の圧縮強度をいう。また、可使時間とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後からこの混合物に流動性がなくなるまでの時間をいう。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、注水後の混練温度が異なると凝結時間が変化してしまうという凝結時間の温度依存性が大きく、特に混練装置の違いによる凝結時間の温度依存性が大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、可使時間を長くするために、凝結調整剤の添加量を多くすると、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下する問題点もあった。
また、上記従来の特許文献2に示された温度緩衝型速硬性組成物では、カルシウムアルミネートが粉末冶金滓であるため、硬化体の圧縮強度が低下し、凝結時間の温度依存性が未だ大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献3に示されたセメント組成物では、無水石膏等の無機炭酸塩を使用しないため、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低い問題点があった。
また、上記従来の特許文献4に示された半剛性舗装方法では、カルシウムアルミネート源として微粉末冶金滓を使用しているため、凝結時間の温度変化が大きくなり、特に5〜10℃の低温で凝結時間が短くなってしまい、この凝結時間を長くするために凝結調整剤を添加すると、若材齢(材齢3時間程度)の強度が低下するという問題点があった。
また、上記従来の特許文献5に示された保水性機能を有する舗装体では、夏期において降雨や散水による水の補給を受けてからその持続性が3〜4日と短いという不具合があった。
更に、上記従来の特許文献6に示された舗装体用注入材料では、速硬材としてコーカエースやコスミックを使用しているため、可使時間を30〜75分と長く確保した場合、圧縮強度が低下するという問題点があった。
本発明の目的は、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、更に温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる、舗装体用注入材及びこれを用いた舗装方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、舗装体の表面の温度上昇を比較的長い間抑制し得る、舗装体用注入材及びこれを用いた舗装方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%含むセメント組成物100質量%に対して、粒径90〜1000μmの砂を5〜30質量%と、再乳化粉末樹脂を1〜10質量%含む舗装体用注入材であって、混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含むとともに、カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むことを特徴とする舗装体用注入材である。
この請求項1に記載された舗装体用注入材では、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上としたので、上記混和材を含むセメント組成物に砂及び再乳化粉末樹脂を混合して舗装体用注入材を調製し、この舗装体用注入材に水を加え混合してセメントミルクを調製し、更にこのセメントミルクを硬化させたとき、この硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止でき、更に上記舗装体用注入材に水を加えて得られたセメントミルクの混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。
またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を上記範囲とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合をそれぞれ上記範囲とし、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む凝結調整剤と、セメント鉱物と、急硬成分とからなるセメント組成物に砂及び再乳化粉末樹脂を混合して得られた舗装体用注入材に、更に水を加えて混合したセメントミルクでは、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記舗装体用注入材に注水して得られたセメントミルクを硬化させたとき、この硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を更に小さくすることができる。
また上記舗装体用注入材100質量%に対して、水を35〜55質量%混合してセメントミルクを調製したときに、このセメントミルクの可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度は4.5N/mm2以上であることが好ましい。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の舗装体用注入材に水を混合してセメントミルクを調製する工程と、このセメントミルクを空隙率40〜10%の舗装体の空隙部分に充填する工程とを含む舗装体用注入材を用いた舗装方法である。
この請求項3に記載された舗装体用注入材を用いた舗装方法では、舗装体の空隙部分に充填したセメントミルクが硬化したときに、この硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。
請求項4に係る発明は、混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%含むセメント組成物100質量%に対して、保水性材料を5〜80質量%含む舗装体用注入材であって、保水性材料が、珪藻質濾過助剤、製紙スラッジ焼却灰及び天然非焼成バーミキュライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上からなり、混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含むとともに、カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むことを特徴とする舗装体用注入材である。
この請求項4に記載された舗装体用注入材では、この舗装体用注入材に水を混合して調製されたセメントミルクを硬化させたときに、上記請求項1と同様に、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止でき、更に上記舗装体用注入材に水を加えて得られたセメントミルクの混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができることに加えて、舗装体の表面の温度上昇を比較的長い間抑制することができる。また上記保水性材料が大気中の水蒸気を吸着してその水分を保水する。
また舗装体用注入材100質量%に対して、水を80〜150質量%混合してセメントミルクを調製したときに、可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度が0.5N/mm2以上であり、更に硬化後の吸水率が50〜90質量%であることが好ましい。
また舗装体用注入材100質量%に対して、水を65〜80質量%混合してセメントミルクを調製したときに、可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度が4.0N/mm2以上であり、更に硬化後の吸水率が35〜50質量%であることもできる。
更に舗装体用注入材に水を混合して調製されたセメントミルクを硬化したときの硬化体の吸湿率が5〜15質量%であることが好ましい。
請求項8に係る発明は、請求項4ないし7いずれか1項に記載の舗装体用注入材に水を混合してセメントミルクを調製する工程と、このセメントミルクを空隙率40〜10%の舗装体の空隙部分に充填する工程とを含む舗装体用注入材を用いた舗装方法である。
この請求項8に記載された舗装体用注入材を用いた舗装方法では、舗装体の空隙部分に充填したセメントミルクが硬化したときに、この硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができ、また凝結時間の温度依存性を小さくすることができ、更に上記硬化体により舗装体の表面の温度上昇を比較的長い間抑制することができる。一方、このセメントミルクを舗装体の空隙部分に充填させると、降雨や散水等による水の補給を受けない状態にあっても、大気中の水蒸気を吸着する。更に日射による熱を受けた場合にその表面の温度が上昇し始めると、保水性材料が吸着した大気中の水蒸気が蒸発して熱を奪い、その舗装体の表面温度が著しく上昇することを抑制する。
本発明によれば、セメント鉱物及び混和材を含むセメント組成物に、砂及び再乳化粉末樹脂を混合した舗装体用注入材であって、混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが混合された急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含み、上記カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上にし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定したので、この舗装体用注入材に水を加えて混合してセメントミルクを調製し、このセメントミルクを硬化させた場合、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。また注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。この結果、どのような作業環境であっても、混和材を含む舗装体用注入材に注水して得られたセメントミルクの粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。また混和材を含む舗装体用注入材に注水すると、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が生成され、上記エトリンガイトやモノサルフェートが六価クロムを吸収できる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
また混和材を含むセメント組成物100質量%に対して粒径90〜1000μmの砂を5〜30質量%含むので、舗装体用注入材に水を混合して調製されたセメントミルクを混練するときに、上記砂の存在により各材料が良く撹拌されて、凝結調整剤が速やかに溶け、凝結性状の安定化を図ることができるとともに、セメントミルクが硬化して得られた硬化体の表面状態が強靱になる。
また混和材を含むセメント組成物100質量%に対して再乳化粉末樹脂を1〜10質量%含むので、舗装体用注入材に水を混合して調製されたセメントミルクの材料分離が起こり難くなって、ブリーディングが減少し、セメントミルクが硬化して得られた硬化体にひび割れが発生し難くなる。
更に上記砂及び再乳化粉末樹脂を含む舗装体用注入材に水を混合してセメントミルクを調製した後に、このセメントミルクを舗装体の空隙部分に充填すれば、このセメントミルクが硬化したときに、この硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。
一方、セメント鉱物及び混和材を含むセメント組成物に、保水性材料を混合した舗装体用注入材であって、保水性材料が、珪藻質濾過助剤、製紙スラッジ焼却灰及び天然非焼成バーミキュライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上からなり、混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが混合された急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含み、上記カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上にし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定すれば、上記と同様に、舗装体用注入材に水を加えて混合してセメントミルクを調製し、このセメントミルクを硬化させた場合、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また上記と同様に、硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できるとともに、注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。この結果、どのような作業環境であっても、混和材を含む舗装体用注入材に注水して得られたセメントミルクの粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができるとともに、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
また上記舗装体用注入材では、吸放湿性に優れる保水性材料を含むので、この保水性材料が大気中の水蒸気を吸着して水分を保水する。このため、保水性材料を含む舗装体用注入材を水と混合してセメントミルクを調製し、このセメントミルクを舗装体の空隙部分に充填させれば、降雨や散水等による水の補給を受けない状態で日射による熱を受けた場合であっても、その表面の温度が上昇し始めると、保水性材料が吸着した大気中の水分が蒸発して熱を奪い、その舗装体の表面温度の著しい上昇を抑制することができるとともに、水の補給を受けない状態が長い間続いても、その舗装体の表面の温度上昇を比較的長い間抑制できる。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
舗装用注入材は、混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%、好ましくは200〜500質量%含むセメント組成物100質量%に対して、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%の砂と、1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%の再乳化粉末樹脂とを含む。砂の粒径は90〜1000μmであることが好ましく、90〜200μmであることが更に好ましい。またセメント鉱物としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低発熱セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等が挙げられる。ここで、セメント鉱物及び混和材の合計量に対する混和材の混合割合を10〜40質量%の範囲に限定したのは、10質量%未満では早期材齢(若材齢)の強度発現性が低下し、40質量%を越えると製造コストが増大するとともにセメント鉱物が少なくなって長期強度の発現性が低下するからである。
混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、カルボン酸類0.1〜15.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%とからなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートの組成としては、12CaO・7Al23、11CaO・7Al23・CaX2(Xはハロゲン元素である。)、3CaO・Al23、CaO・Al23などが挙げられる。また無機硫酸塩としては、無水石膏(組成:CaSO4)、硫酸ナトリウム等が挙げられる。更に無機炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、カルボン酸類としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸又はリンゴ酸、或いはこれらの酸のナトリウム、カリウム、カルシウム等の水溶性塩が挙げられる。
ここで、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩との混合割合を1:(0.5〜3)の範囲に限定したのは、この範囲外ではセメントミルクの可使時間(作業時間)が短くなるか、或いは硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下してしまうからである。アルミン酸ナトリウムの急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定したのは、0.2質量%未満では硬化体が所定の圧縮強度に達せず、35.0質量%を越えると凝結調整剤を用いてもセメントミルクの可使時間が60分程度、具体的には30〜75分という比較的長い時間を確保できないからである。また無機炭酸塩の急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定し、カルボン酸類の急硬成分に対する混合割合を内割で0.1〜15.0質量%の範囲に限定したのは、これらの範囲外では施工に必要な作業時間(セメントミルクの可使時間)を確保できないか、或いは硬化体の圧縮強度が低下するからである。
なお、セメントミルクとは、上記舗装体用注入材100質量%に対して、水を35〜55質量%、好ましくは40〜50質量%混合して調製したものであり、硬化体とは、上記セメントミルクを硬化させたものである。このセメントミルクの可使時間が30〜75分、好ましくは40〜60分であるとき、硬化体の材齢3時間の圧縮強度は4.5N/mm2以上、好ましくは5.5〜10.0N/mm2であることが好ましい。ここで、舗装体用注入材100質量%に対する水の混合割合を35〜55質量%の範囲に限定したのは、35質量%未満では流動性が悪くなって硬化体の強度にばらつきが多くなり、55質量%を越えると材料分離を生じて硬化体の強度にばらつきが多くなるからである。また舗装体用注入材中の混和材100質量%に対して、セメントが100〜1000質量%、好ましくは200〜500質量%混合される。ここで、混和材100質量%に対するセメントの混合割合を100〜1000質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満ではコスト的に不経済であるとともに、凝結時間の調整が難しくなって可使時間が短くなるからであり、1000質量%を越えると若材齢の圧縮強度が低下するからである。硬化体の材齢3時間の圧縮強度を4.5N/mm2以上に限定したのは、4.5N/mm2未満では車両の走行に必要な強度が不足し、道路を開放できないからである。セメント組成物100質量%に対する砂の混合割合を5〜30質量%の範囲に限定したのは、5質量%未満では撹拌性能及び耐摩耗性が低下するとともにすべり抵抗性も低下してしまい、30質量%を越えると若材齢の圧縮強度が低下するとともに材料分離が発生してブリーディングが多くなるからである。また砂の粒径を90〜1000μmの範囲に限定したのは、90μm未満では撹拌性能及び耐摩耗性が低下するとともにすべり抵抗性も低下してしまい、1000μmを越えるとセメントミルク中に砂が沈降し易くなるとともに、セメントミルクの舗装体への注入性が低下するからである。更にセメント組成物100質量%に対する再乳化粉末樹脂の混合割合を1〜10質量%の範囲に限定したのは、1質量%未満では材料分離を阻止する効果及びひび割れを防止する効果を十分に発揮できず、10質量%を越えるとコスト的に不経済となるからである。この再乳化粉末樹脂は、粉末エマルジョンとも呼ばれ、合成樹脂エマルジョンを噴霧乾燥したものである。この再乳化粉末樹脂の種類は特に限定されないが、エチレン酢酸ビニル(EVA)、酢酸ビニルアセテート(VAVeoVa)、スチレンアクリル酸エステル(SAE)、ポリアクリル酸エステル(PAE)などが挙げられ、耐久性の観点からスチレンアクリル酸エステル(SAE)やポリアクリル酸エステル(PAE)等のアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
一方、混和材中のカルシウムアルミネートのガラス化率(非結晶化率)は80%以上、好ましくは80〜98%、更に好ましくは90〜95%である。ここで、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上に限定したのは、80%未満では、可使時間を長くしたときの強度発現性が低下するからである。また、カルシウムアルミネートのガラス化率が98%を越えると、歩留まりが低下して製造コストを押上げるため好ましくない。なお、上記カルシウムアルミネートのガラス化率(%)は、試料を粉末X線回折法により分析し、メインピークの高さの比により算出した。
またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%、好ましくは66〜150質量%含む。例えば、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの任意の1種としてアルミン酸ナトリウムを選び、アルミン酸ナトリウムを混和材の総量に対して0.4質量%含み、無機炭酸塩を混和材の総量に対してそれぞれ0.6質量%含み、カルボン酸類を混和材の総量に対して0.4質量%含む場合、アルミン酸ナトリウムを基準(100質量%)として、無機炭酸塩及びカルボン酸類がそれぞれ150質量%及び100質量%含むことになり、上記設定範囲内となる。またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%、好ましくは15〜40質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%とを含む。第1〜第3粒子の平均粒径が上記範囲に限定されるのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちのいずれか1種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる群より選ばれた2種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の全てでもよい。また上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子のみからなる場合には、第1〜第3粒子の合計が100質量%となり、上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子の他に平均粒径45μm未満の微粒子などを含む場合には、第1〜第3粒子の合計は100質量%未満となる。更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む。なお、第3粒子は第1粒子と同量か或いは第1粒子より多く含むことが好ましい。
ここで、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量の範囲に限定したのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混和材の総量に対する混合割合が比較的広いため、上記選ばれた1種の凝結調整剤の総量より他の種類の凝結調整剤の総量が遙かに多く、かつ他の種類の凝結調整剤の第3粒子の混合割合が上記設定範囲より大幅に多い場合、他の種類の凝結調整剤の影響が大きくなってしまい、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずにセメントペーストの可使時間を60分程度、具体的には30〜75分と長く確保することができないからである。また、第1粒子の混合割合を10〜45質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第1粒子の混合割合が10質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応初期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、反応開始が遅れるか、或いは凝結の遅延作用が小さくなって凝結が速く進行してしまうため、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]やモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第1粒子の混合割合が45質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応初期に薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多く溶解し、初期の反応が急激に進むか、或いは凝結の遅延作用が大きくなって凝結が遅く進行してしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。
第2粒子の混合割合を30〜70質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第2粒子の混合割合が30質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第2粒子の混合割合が70質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、初期から中期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第3粒子の混合割合を5〜30質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第3粒子の混合割合が5質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第3粒子の混合割合が30質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、中期から後期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むとしたのは、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に寄与する第2粒子を比較的多めにすることにより、急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにし、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性の良い水和物を生成するためである。なお、混和材として、上記以外に減水剤、消泡剤、増粘剤、分離低減剤等を添加してもよい。特に消泡剤をセメント組成物100質量%に対して0.01〜0.5質量%添加することで、セメントミルクの混練時に発生する泡を消すことができ、硬化体の強度を増進できるという効果がある。
このように構成された舗装体用注入材では、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定したので、この舗装体用注入材に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記舗装体用注入材に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。更に注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性を小さくすることができる。従って、どのような作業環境であっても、上記混和材を含むセメント組成物に水を加えた混練物の粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。
なお、上記混和材を含む舗装体用注入材に注水して生成されたエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方は六価クロムを吸収することができる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
<第2の実施の形態>
この実施の形態の舗装体用注入材は、混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%、好ましくは200〜500質量%含むセメント組成物100質量%に対して、5〜80質量%、好ましくは10〜50質量%の保水性材料を含む。上記混和材及びセメント鉱物は第1の実施の形態の混和材及びセメント鉱物と同一に構成される。また保水性材料としては、珪藻質濾過助剤、製紙スラッジ焼却灰及び天然非焼成バーミキュライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含むけれども、珪藻土は含まない。ここで、セメント組成物100質量%に対する保水性材料の混合割合を5〜80質量%の範囲に限定したのは、5質量%未満では十分な保水効果が得られず、80質量%を越えるとそれ以上の保水効果が得られないばかりか圧縮強度が低下し、所望の舗装体が得られないからである。そして、普通強度型又は高保水型の硬化体を得るには、舗装体用注入材100質量%に対して、水を80〜150質量%、好ましくは90〜120質量%混合してセメントミルクを調製する。このときセメントミルクの可使時間は30〜75分、好ましくは40〜60分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度は0.5N/mm2以上であり、更に硬化後の吸水率は50〜90質量%である。なお、材齢3時間の圧縮強度が1.0N/mm2以上でありかつ4.0N/mm2未満である普通強度型の硬化体は、硬化後の吸水率が55〜65質量%とあまり高くないけれども、硬化後の吸水率が75〜85質量%である高保水型の硬化体は、材齢3時間の圧縮強度が0.5N/mm2以上かつ1.0N/mm2未満とあまり高くない。また普通強度型又は高保水型の硬化体を得るための舗装体用注入材100質量%に対する水の混合割合を80〜150質量%の範囲に限定したのは、80質量%未満では硬化体の吸水率が小さくなり、150質量%を越えると圧縮強度が低下するからである。
一方、高強度型の硬化体を得るには、舗装体用注入材100質量%に対して、水を65〜80質量%混合してセメントミルクを調製する。このときセメントミルクの可使時間は30〜75分、好ましくは40〜60分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度は4.0N/mm2以上、好ましくは4.5〜7.0N/mm2と高いけれども、硬化後の吸水率は35〜50質量%と低い。ここで、高強度型の硬化体を得るための舗装体用注入材100質量%に対する水の混合割合を65〜80質量%の範囲に限定したのは、65質量%未満では硬化体の吸水率が小さくなり、80質量%を越えると圧縮強度が低下するからである。
一方、保水性材料として、粒径0.1〜50μm、好ましくは1〜30μmの珪藻質濾過助剤を含む場合、この珪藻質濾過助剤は珪藻土を原料として作られた粉末状のものであって、大気中の水蒸気を吸着する吸湿機能を有するものである。具体的には、珪藻質濾過助剤は、天然の珪藻土を粉砕し、800℃〜1200℃で焼成したもの、又は粉砕した天然の珪藻土に少量のソーダ灰を添加して焼成したものである。即ち、この保水性材料に用いられる珪藻質濾過助剤は、天然に存在する天然物ではなく、人為的に作り出された人工物である。ここで、珪藻質濾過助剤の粒径を0.1〜50μmの範囲に限定したのは、0.1μm未満では珪藻質濾過助剤の多孔質性が失われて吸湿能力に欠けることになり、50μmを越えると舗装体の空隙部分に充填することが困難になるからである。保水性材料としては、粒径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤単味で使用することができる。また保水性材料として、非焼成バーミキュライトを含む場合、この非焼成バーミキュライトは、粉体のものが好ましく、粒径は20〜400μm、好ましくは30〜300μmであって、最大吸水率が5質量%以上である天然の非焼成バーミキュライトが好ましい。この非焼成バーミキュライトの更に好ましい最大吸水率は10〜30質量%の範囲である。更に保水性材料として、製紙スラッジ焼却灰を含む場合、この製紙スラッジ焼却灰は、粒径が5〜1000μm、好ましくは10〜500μmであって、主要成分がSiO2とAl23からなり、最大吸水率が30質量%以上である製紙スラッジ焼却灰が好ましく、更に好ましい最大吸水率は40〜80質量%の範囲である。
保水性材料が珪藻質濾過助剤と非焼成バーミキュライトを含み、製紙スラッジ焼却灰を含まない場合には、保水性材料を100質量%とするとき、保水性材料は、珪藻質濾過助剤が30〜80質量%、天然非焼成バーミキュライトが20〜70質量%含まれることが好ましく、珪藻質濾過助剤が40〜70質量%、天然非焼成バーミキュライトが30〜60質量%含まれることが更に好ましい。また保水性材料が珪藻質濾過助剤と製紙スラッジ焼却灰を含み、非焼成バーミキュライトを含まない場合には、保水性材料を100質量%とするとき、保水性材料は、珪藻質濾過助剤が30〜80質量%、製紙スラッジ焼却灰が20〜70質量%含まれることが好ましく、珪藻質濾過助剤が40〜70質量%、製紙スラッジ焼却灰が30〜60質量%含まれることが更に好ましい。更に保水性材料が珪藻質濾過助剤と製紙スラッジ焼却灰と非焼成バーミキュライトを含む場合には、保水性材料を100質量%とするとき、保水性材料は、珪藻質濾過助剤が30〜80質量%、天然非焼成バーミキュライトが20〜50質量%、製紙スラッジ焼却灰が20〜50質量%含まれることが好ましく、珪藻質濾過助剤が40〜70質量%、天然非焼成バーミキュライトが25〜45質量%、製紙スラッジ焼却灰が25〜45質量%含まれることが更に好ましい。このような配合であれば、珪藻質濾過助剤が吸湿した水蒸気を比較的長期にわたって保水することができる。
上述の舗装体用注入材に水を混練させたセメントミルクを舗装体の空隙部分に充填することにより、保水性舗装体が得られる。本発明の舗装体用注入材100質量%に水を65〜150質量%混合して練り混ぜたセメントミルクを硬化させた保水性硬化体にあっては、気温20℃、相対湿度80%における吸湿率が5〜15質量%となり、その保水性硬化体の最大吸水率は25〜90質量%になる。吸湿率を5〜15質量%にすることで、大気中の水分を硬化体に吸収できるため、雨が降らなくても舗装体の温度を低減させる効果を持続させることができる。また上記舗装体の空隙率は10〜40%、好ましく10〜35%であり、この舗装体としては、透水性コンクリート舗装体、透水性アスファルト舗装体、透水性インターロッキングブロック、透水平板、玉砂利、バラスト等の舗装体が挙げられる。ここで、舗装体の空隙率を10〜40%の範囲に限定したのは、10%未満ではセメントミルクの注入量が十分でなく、舗装体として十分な保水効果が得られず、温度上昇お抑制効果を十分発揮できないという不具合があり、40%を超えると舗装体の強度が弱くなり走行車両の通行に支障が生じるおそれがあるからである。
このような舗装体の空隙部分に充填されるセメントミルクは、上述した舗装体用注入材料に水を65〜150質量%加えて混練させることにより得られたものである。即ち、このセメントミルクは、セメント組成物100質量%に対して、珪藻質濾過助剤を含む保水性材料を5〜80質量%と、水を65〜150質量%を含むものである。従って、保水性材料が非焼成バーミキュライト及び製紙スラッジ焼却灰のいずれも含まない場合には、保水性材料を100質量%とするとき、その保水性材料は粒径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤を100質量%含むものである。保水性材料が珪藻質濾過助剤と非焼成バーミキュライトを含み、製紙スラッジ焼却灰を含まない場合には、保水性材料を100質量%とするとき、その保水性材料は粒径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤を30〜80質量%と、粒径20〜400μmの天然非焼成バーミキュライトを20〜70質量%含むことが好ましく、更に好ましくは珪藻質濾過助剤を40〜70質量%含み、天然非焼成バーミキュライトを30〜60質量%含む。
また保水性材料が珪藻質濾過助剤と製紙スラッジ焼却灰を含み、非焼成バーミキュライトを含まない場合には、保水性材料100質量%に対して、その保水性材料は、粒径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤を30〜80質量%と、粒径が5〜1000μmであって主要成分がSiO2とAl23からなる製紙スラッジ焼却灰を20〜70質量%含むことが好ましく、更に好ましくは珪藻質濾過助剤を40〜70質量%含み、製紙スラッジ焼却灰を30〜60質量%含む。更に保水性材料が珪藻質濾過助剤と製紙スラッジ焼却灰と非焼成バーミキュライトを含む場合には、保水性材料100質量%に対して、保水性材料は、粒径0.1〜50μmの珪藻質濾過助剤を30〜80質量%と、粒径20〜400μmの天然非焼成バーミキュライトを20〜50質量%と、粒径が5〜1000μmであって主要成分がSiO2とAl23からなる製紙スラッジ焼却灰を20〜50質量%含むことが好ましく、更に好ましくは珪藻質濾過助剤を40〜70質量%含み、天然非焼成バーミキュライトを25〜45質量%含み、製紙スラッジ焼却灰を25〜45質量%含む。
このような保水性材料5〜80質量%と、舗装体用注入材100質量%と、水65〜150質量%とを混練することにより、その最大吸水率が25〜90質量%であるセメントミルクを得ることができる。ここで水の量が65〜150質量%とするのは、保水性材料の注入性や施工性等を考慮してこの範囲で選択することが最良だからである。そして、このような最大吸水率を有するセメントミルクを舗装体の空隙部分に注入することにより保水性を有する舗装体が得られる。そして、舗装体の空隙部分にこのような最大吸水率が25〜90質量%であるセメントミルクを注入することにより、舗装体表面の温度上昇の抑制効果を長時間持続させ、かつ舗装体の表面に削れやはがれなどの生じない実用上問題のない圧縮強度が得られるという優れた効果を奏するものである。なお、混和材は上記第1の実施の形態と同一に構成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
先ず使用材料の種類及び略号、即ちカルシウムアルミネート、無機硫酸塩、セメント鉱物、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の種類及び略号を次の表1に示す。なお、表1において、『C12A7』は『12CaO・7Al23』であり、『C11A7F』は『11CaO・7Al23・CaF2』である。またブレーン値は、1gのカルシウムアルミネート粒子の総表面積であり、ブレーン空気透過式比表面積測定法で測定される。
Figure 0005169007
上記表1中のアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類をそれぞれ所定の平均粒径の範囲毎に混合割合を変えた。その混合割合を表2に示す。なお、表2中の『0-45』は『0μmを越えかつ45μm以下』であり、『45-90』は『45μmを越えかつ90μm以下』であり、『90-150』は『90μmを越えかつ150μm以下』であり、『150-500』は『150μmを越えかつ500μm以下』であることを意味する。
Figure 0005169007
表2において、使用材料の略号『Al-1』、『Na-1』及び『Ci-1』で示す第1〜第3粒子の混合割合は全て本発明の範囲内、即ち請求項1及び4で設定した範囲内にあり、使用材料の略号『Al-2』、『Na-2』及び『Ci-2』で示す第1〜第3粒子のうち少なくとも1種の混合割合が本発明の範囲外、即ち請求項1及び4で設定した範囲外にある。
更に表1のカルシウムアルミネートのうち略号CA70、CA80及びCA90の化学組成毎の含有割合をガラス化率及びブレーン値とともに表3に示す。
Figure 0005169007
<実施例1>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、ソーダ灰Na−1を0.9質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、砂Sa−1を5.1質量%と、ポリマーを4.08質量%と、水とを混合してセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例1とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物(カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、普通ポルトランドセメントN、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1)100質量%に対して5.0質量%であり、ポリマーはセメント組成物100質量%に対して4.00質量%であった。また水はこの水以外の材料の混合物(舗装体用注入材)100質量%に対して45質量%混合した。
<実施例2>
砂Sa−1を15.3質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例2とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例3>
砂Sa−1を15.3質量%と、消泡剤を0.01質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例3とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例4>
アルミン酸ソーダAl−1を0.8質量%と、ソーダ灰Na−1を1.2質量%と、クエン酸Ci−1を0.8質量%と、砂Sa−1を15.3質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例4とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例5>
砂Sa−1を30.6質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例5とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して30.0質量%であった。
<比較例1>
砂Sa−1を2.1質量%混合したけれども、ポリマーを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例1とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して2.0質量%であった。
<比較例2>
ポリマーを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例2とした。
<比較例3>
砂Sa−1(粒径:90〜1000μm)に代えて、砂Sa−2(粒径:1000μmを越えかつ3000μm以下)を15.3質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例3とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較例4>
砂Sa−1を15.3質量%混合し、ポリマーを0.50質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例4とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較例5>
砂Sa−1を35.7質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例5とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して35.0質量%であった。
<比較例6>
カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1を混合せずに、速硬材KAを20質量%と、凝結調整剤KSetを1.5質量%と、砂Sa−1を15.3質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例6とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物(普通ポルトランドセメントN、速硬材KA及び凝結調整剤KSet)100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較例7>
カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1を混合せずに、速硬材KAを20質量%と、凝結調整剤KSetを2.5質量%と、砂Sa−1を15.3質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例7とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物(普通ポルトランドセメントN、速硬材KA及び凝結調整剤KSet)100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較試験1及び評価>
実施例2〜4と比較例6及び7のセメントミルクについて、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度は、練り上がり直後のセメントミルクを温度計により測定した温度である。P漏斗流下時間は、プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(JSCE−F521)に準じた方法、即ちP漏斗試験装置の漏斗にセメントミルクを充填して、この漏斗の下端の孔からセメントミルクを流出させたときの流下時間である。可使時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、P漏斗流下時間が11秒を越えるまでの時間である。また、凝結の始発時間及び凝結の終結時間は、JIS R 5201に準じて自動凝結試験機を用いて測定した。具体的には、凝結の始発時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、セメントミルクに対して直径1mmの針が底面から1mm上がった位置で止まるまでの時間であり、凝結の終結時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、直径1mmの針がセメントミルクに突き刺さらなくなるまでの時間である。更に圧縮強度は、JIS R 5201に準じて測定した強度であり、材齢3時間での圧縮強度を測定した。なお、上記凝結の始発時間及び凝結の終結時間の両者を合せて凝結時間と呼ぶ。これらの結果を表4に示す。
Figure 0005169007
表4から明らかなように、凝結調整剤としてコーカセッターKSet(三菱マテリアル社製)を1.5質量%含む比較例6では、作業雰囲気温度5℃での可使時間が30分以下であり、凝結調整剤としてコーカセッターKSet(三菱マテリアル社製)を2.0質量%含む比較例7では、作業雰囲気温度5℃及び20℃における材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2未満であった。これに対し、凝結調整剤としてAl−1(アルミン酸ソーダ)、Na−1(ソーダ灰)及びCi−1(クエン酸)を用いた実施例2〜4では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃における可使時間が30〜75分と比較的長く、かつ材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2以上と高いことが分った。また消泡剤Defを混合した実施例3では、圧縮強度が6.3〜7.5N/mm2と実施例2及び4より高くなり、Al−1(アルミン酸ソーダ)、Na−1(ソーダ灰)及びCi−1(クエン酸)の混合割合を実施例2及び3の約1.3倍に増やした実施例4では、可使時間が60〜75分と実施例2及び3より長くなることが分った。
<比較試験2及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜5のセメントミルクのブリーディング試験を行った。このブリーディング試験は、先ず容器に1リットルのセメントミルクを入れた後に蓋をし、セメントミルクの始発時に、ブリーディング水を採取してブリーディング量を測定した。次にこのブリーディング量BQ(ml)からブリーディング率BR(%)を次の式(1)より算出した。
R=(BQ/1000)×100 ……(1)
また上記セメントミルクが硬化して得られた硬化体表面の性状を目視により観察した。上記ブリーディング率BR及び硬化体表面の性状を表5に示す。なお、表5には、凝結調整剤の種類及び含有量と、砂の種類及び含有量と、ポリマーP及び消泡剤Defの含有量と、作業雰囲気温度20℃における練り上がり温度と、P漏斗流下時間と、可使時間と、始発時間と、終結時間も合わせて示す。また砂、ポリマーP及び消泡剤Defの含有量はセメント組成物100質量%に対する含有量とした。更にブリーディングとは、コンクリート打設時に重い材料が下に沈み、軽い水が表面に上がってくる現象をいう。なお、上記実施例1〜5及び比較例1〜5のセメントミルクの混練時の雰囲気温度は20℃であった。
Figure 0005169007
表5から明らかなように、砂の含有量が2.0質量%と少ない比較例1や、ポリマーを含まない比較例2や、砂の粒径が1000〜3000μmと大きい比較例3や、ポリマーの含有量が0.50質量%と少ない比較例4や、砂の含有量が35.0質量%と多い比較例5では、ブリーディング率が2.1〜3.1%と比較的多かった。これらに対し、粒径が90〜1000μmである砂を5.0〜30.0質量%含有するとともに、ポリマーを4.00質量%含有する実施例1〜5では、ブリーディング率が0.7〜1.2と少ないことが分った。また比較例1〜5では、硬化体表面にひび割れが発生したり、硬化体表面が脆弱であったり、或いは材料が分離したのに対し、実施例1〜5では、硬化体表面が良好であることが分った。
<実施例6>
カルシウムアルミネートCA90を15質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を15質量%と、普通ポルトランドセメントNを70質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、ソーダ灰Na−1を0.9質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、珪藻質濾過助剤H01を7.5質量%と、製紙スラッジ灰H02を7.5質量%と、ポリマーPを4質量%と、水を77.4質量%混合してセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例6とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物(カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、普通ポルトランドセメントN、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1)100質量%に対して7.5質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であり、ポリマーPはセメント組成物100質量%に対して4質量%であった。また水はこの水以外の材料の混合物(舗装体用注入材)100質量%に対して65質量%であった。
<実施例7>
水を95.2質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例7とした。なお、水は舗装体用注入材100質量%に対して80質量%であった。
<実施例8>
珪藻質濾過助剤H01を15質量%と、製紙スラッジ灰H02を15質量%と、水を113.9質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例8とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、ポリマーPはセメント組成物100質量%に対して4質量%であった。また水は舗装体用注入材100質量%に対して85質量%であった。
<実施例9>
珪藻質濾過助剤H01を15質量%と、製紙スラッジ灰H02を15質量%と、水を120.6質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例9とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して15質量%であった。また水は舗装体用注入材100質量%に対して90質量%であった。
<実施例10>
珪藻質濾過助剤H01を25質量%と、製紙スラッジ灰H02を25質量%と、水を184.8質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例10とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して25質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して25質量%であった。また水は舗装体用注入材100質量%に対して120質量%であった。
<実施例11>
製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を7.5質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例11とした。なお、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であった。
<実施例12>
製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を7.5質量%と、水を95.2質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例12とした。なお、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して80質量%であった。
<実施例13>
珪藻質濾過助剤H01を15質量%と、製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を15質量%と、水を120.6質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例13とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して15質量%であった。また水は舗装体用注入材100質量%に対して90質量%であった。
<実施例14>
珪藻質濾過助剤H01を25質量%と、製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を25質量%と、水を184.8質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例14とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して25質量%であり、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して25質量%であった。また水は舗装体用注入材100質量%に対して120質量%であった。
<実施例15>
製紙スラッジ灰H02を混合せずに、珪藻質濾過助剤H01を15質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例15とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であった。
<実施例16>
製紙スラッジ灰H02を混合せずに、珪藻質濾過助剤H01を15質量%と、水を95.2質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例16とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して80質量%であった。
<実施例17>
製紙スラッジ灰H02を混合せずに、珪藻質濾過助剤H01を30質量%と、水を120.6質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例17とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して30質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して90質量%であった。
<実施例18>
製紙スラッジ灰H02を混合せずに、珪藻質濾過助剤H01を50質量%と、水を184.8質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例18とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して50質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して120質量%であった。
<実施例19>
ポリマーを混合せずに、製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を7.5質量%と、水を74.8質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例19とした。なお、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して65質量%であった。
<実施例20>
製紙スラッジ灰H02に代えて天然非焼成バーミキュライトH03を7.5質量%と、ポリマーを2質量%と、水を76.1質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例20とした。なお、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であり、ポリマーはセメント組成物100質量%に対して2質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して65質量%であった。
<比較例8>
カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1を混合せずに、速硬材KAを30質量%と、凝結調整剤KSetを1.5質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例8とした。
<比較例9>
カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1を混合せずに、速硬材KAを30質量%と、凝結調整剤KSetを1.5質量%と、珪藻質濾過助剤H01を15質量%と、製紙スラッジ灰H02を15質量%と、水を120.6質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例9とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して15質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して90質量%であった。
<比較例10>
珪藻質濾過助剤H01を2.0質量%と、製紙スラッジ灰H02を2.0質量%と、水を70.2質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例10とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して2.0質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して2.0質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して65質量%であった。
<比較例11>
珪藻質濾過助剤H01を45質量%と、製紙スラッジ灰H02を45質量%と、水を126.1質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例11とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物100質量%に対して45質量%であり、製紙スラッジ灰H02はセメント組成物100質量%に対して45質量%であり、水は舗装体用注入材100質量%に対して65質量%であった。
<比較例12>
珪藻質濾過助剤H01及び製紙スラッジ灰H02を混合せずに、珪藻土H04を15質量%混合したこと以外は、実施例6と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例12とした。なお、珪藻土H04はセメント組成物100質量%に対して15質量%であった。
<比較試験3及び評価>
実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルクの配合割合を表6に示す。なお、図6中のセメント組成物Aは、普通ポルトランドセメントNを70質量%と、カルシウムアルミネートCA90を15質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を15質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、ソーダ灰Na−1を0.9質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%とを混合したものであり、セメント組成物Bは、普通ポルトランドセメントNを70質量%と、速硬材KAを30質量%と、凝結調整剤KSetを1.5質量%混合したものである。これらのセメント組成物A及びBの各原料の配合割合を表7に示す。
上記実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルク混練物を4×4×16cmの型枠にそれぞれ流し込んで成型し、材齢3時間で脱型した。これらの圧縮強度を、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の定めに準拠した方法によりそれぞれ求めた。このようにして求められた実施例6〜20及び比較例8〜12におけるそれぞれの圧縮強度を表8に示す。なお、表8には、セメント組成物と、セメント組成物に対する保水性材料の混合割合と、舗装体用注入材に対する水の混合割合と、ポリマーPの添加量を合せて示す。また、上記実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルクの混練時の雰囲気温度は20℃であった。
Figure 0005169007
Figure 0005169007
Figure 0005169007
表8から明らかなように、比較例11では保水性材料を90質量%と多く混合したため、材齢3時間での圧縮強度を測定できなかったのに対し、実施例6〜20と比較例8〜10及び12では、材齢3時間での圧縮強度に顕著な差異を生じていない。このため実施例6〜20に含まれる舗装体用注入材は比較例1及び2に含まれる従来の舗装体用注入材と同様の強度を保つことができることが分った。
<比較試験4及び評価>
実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルクを4×4×16cmの型枠にそれぞれ流し込み、材齢3日で脱型した。これらを20℃の水の中に24時間以上浸漬した後、質量をそれぞれ測定した(飽和質量)。これらを60℃の通風乾燥機で24時間以上乾燥したものの質量をそれぞれ測定した(絶乾質量)。これらより次式で最大吸水率をそれぞれ算出した。
最大吸水率(%)=100×(飽和質量−絶乾質量)/絶乾質量
この式により求められた実施例6〜20及び比較例8〜12におけるそれぞれの最大吸水率を表8に示す。
表8から明らかなように、実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルクはその最大吸水率に顕著な差異を生じていない。このため実施例6〜20に含まれる舗装体用注入材は比較例8〜12に含まれる従来の舗装体用注入材と同様の最大吸水率を有するものになり、これを舗装体に充填することにより、その舗装体の表面温度が上昇することを有効に防止できることが分った。
<比較試験5及び評価>
実施例6〜20及び比較例8〜12のセメントミルクを4×4×16cmの型枠にそれぞれ流し込み、材齢3日で脱型した。これらを60℃の通風乾燥機で24時間乾燥したものの質量をそれぞれ測定した(乾燥質量)。その後、これらを温度が20℃であって湿度が90%の部屋に24時間放置し、24時間後の質量をそれぞれ測定した(吸湿質量)。これらより次式で吸湿率をそれぞれ算出した。
吸湿率(%)=100×(吸湿質量−乾燥質量)/乾燥質量
この式により求められた実施例6〜20及び比較例8〜12におけるそれぞれの吸湿率を表8に示す。
表8から明らかなように、比較例10及び12のセメントミルクが硬化した硬化体の吸湿率は4.5%及び2.4%と低かったのに対し、実施例6〜20のセメントミルクが硬化した硬化体の吸湿率は5.2〜14.4%と高いことが分った。また実施例6〜20と比較例8及び9のセメントミルクはその吸湿率に顕著な差異を生じていないことが分った。このため実施例6〜20に含まれる舗装体用注入材は比較例8及び9に含まれる従来の舗装体用注入材と同様の吸湿率を有するものになり、これを舗装体に充填することにより、大気中の水蒸気を有効に付着できるものと考えられ、これが充填された舗装体の温度が上昇することをその水蒸気により防止するであろうことが分った。
<比較試験6及び評価>
30cm×30cm×10cmの形状を有し、空隙率24%の開粒度を有するアスファルトからなる舗装体を準備した。この舗装体の空隙部分に実施例6に示されるセメントミルクを充填して実施例6に示されるセメントミルクが充填された保水性舗装体1を得た。また、これと同形同大のアスファルトからなる別の舗装体を準備し、この舗装体の空隙部分に比較例12に示されるセメントミルクを充填して比較例12に示されるセメントミルクが充填された保水性舗装体2を得た。得られた保水性舗装体1及び2は、1日間20℃の気中で養生した後、7日間水中に浸漬してそれぞれの保水性材料を飽水状態とした。
次に、これらの保水性舗装体1及び2から40cmの上部に赤外線ランプをそれぞれ配置し、そのランプを点灯させて赤外線を保水性舗装体1及び2のそれぞれの表面に12時間照射し、その後そのランプを12時間消灯させることを1サイクルとし、これを10サイクルそれぞれ繰り返した。一方、保水性舗装体1及び2の表面には温度センサーをそれぞれ設置し、その温度センサにより保水性舗装体1及び2のそれぞれの表面温度を測定し、これを温度記録計に記録させた。この結果を示すグラフを図1に示す。
図1から明らかなように、比較例12の珪藻質濾過助剤H01を含まない舗装体用注入材を使用した保水性舗装体2では、4サイクルあたりからその表面温度が徐々に上昇していることが分った。これに対して実施例6の舗装体用注入材を使用した保水性舗装体1では、10サイクル以上にもわたって、その表面温度の上昇を抑制できていることが分った。これは保水性材料に含ませた珪藻質濾過助剤H01に水蒸気が付着してその保水性材料自体が乾燥することを防止した結果によるものと考えられる。
<比較試験7及び評価>
実施例6に示されるセメントミルクと比較例12に示されるセメントミルクを4×4×16cmの型枠にそれぞれ流し込み、材齢3日で脱型した。これにより4×4×16cmの実施例6に示されるセメントミルクからなる保水性硬化体1と比較例12に示されるセメントミルクからなる保水性硬化体2を得た。得られた保水性硬化体1及び2は、1日間20℃の気中で養生した後、7日間水中に浸漬させた。
次に、これらの保水性硬化体1及び2から40cmの上部に赤外線ランプをそれぞれ配置し、そのランプを点灯させて赤外線を保水性硬化体1及び2のそれぞれの表面に12時間照射し、その後そのランプを12時間消灯させることを1サイクルとし、これを10サイクルそれぞれ繰り返した。その間における保水性硬化体1及び2のそれぞれの質量を測定し、質量の変化をそれぞれ算出した。この結果である保水性硬化体1及び2のそれぞれの質量の変化を示すグラフを図2に示す。
図2から明らかなように、実施例6の舗装体用注入材を使用した保水性硬化体1では、水分の蒸発と吸着を繰り返しながらその質量が徐々に減少するのに対して、比較例12の珪藻質濾過助剤H01を含まない舗装体用注入材を使用した硬化体2では、その質量の減少が著しいことが分った。これは、保水性硬化体1では保水性材料に含ませた珪藻質濾過助剤H01に水蒸気が吸着してその水蒸気の質量が含まれる結果によるものと考えられる。
<実施例2>
この実施例2は上記表4及び表5に挙げた実施例2と同一のセメントミルクであるが、次の実施例21〜24と比較例13及び14のセメントミルクとの対比を容易にするために、改めてここに記載したものである。カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、ソーダ灰Na−1を0.9質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、砂Sa−1を15.3質量%と、ポリマーを4.08質量%と、水とを混合してセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例2とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物(カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、普通ポルトランドセメントN、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1)100質量%に対して15.0質量%であり、ポリマーはセメント組成物100質量%に対して4.00質量%であった。また水はこの水以外の材料の混合物(舗装体用注入材)100質量%に対して45質量%混合した。
<実施例21>
ソーダ灰Na−1を0.6質量%混合したこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例21とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例22>
アルミン酸ナトリウムAl−1(粉砕品)に代えてアルミン酸ナトリウムAl−2(市販品)を用い、クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例22とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例23>
クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例23とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例24>
カルシウムアルミネートCA90に代えてカルシウムアルミネートCA80を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例24とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例25>
ソーダ灰Na−1を0.96質量%、クエン酸Ci−1を0.36質量%混合したこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例25とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例26>
ソーダ灰Na−1を0.36質量%、クエン酸Ci−1を0.36質量%混合したこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例26とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<実施例27>
ソーダ灰Na−1を0.96質量%と、クエン酸Ci−1を0.96質量%混合したこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例27とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較例13>
アルミン酸ナトリウムAl−1(粉砕品)に代えてアルミン酸ナトリウムAl−2(市販品)を用い、ソーダ灰Na−1(粉砕品)に代えてソーダ灰Na−2(市販品)を用い、クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例13とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較例14>
カルシウムアルミネートCA90に代えてカルシウムアルミネートCA70を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例13とした。なお、砂Sa−1はセメント組成物100質量%に対して15.0質量%であった。
<比較試験8及び評価>
実施例2と実施例21〜27と比較例13及び14のセメントミルクについて、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び材齢3時間での圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び材齢3時間での圧縮強度の各測定は、比較試験1と同様にして行った。これらの結果を、カルシウムアルミネートのガラス化率と、凝結調整剤の種類及び配合比と、舗装体用注入材に対する水の混合割合とともに、表9及び表10に示す。
Figure 0005169007
Figure 0005169007
表2、表9及び表10から明らかなように、アルミン酸ソーダAl、ソーダ灰Na及びクエン酸Ciの平均粒径が、90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと、平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例13では、作業雰囲気温度5℃での可使時間が25分と短く、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が3.2N/mm2以下と低かった。また上記比較例13では、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これに対し、アルミン酸ソーダAl、ソーダ灰Na又はクエン酸Ciのうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子を第1粒子より多く含むとともに第2粒子より多く含む実施例2及び実施例21〜27では、作業雰囲気温度5℃での可使時間が45〜55分と長くなり、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が4.6〜5.8N/mm2と高くなることが分った。また実施例2及び21〜27では、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しないことが分った。
一方、表9及び表10から明らかなように、ガラス化率70%のカルシウムアルミネートを含む比較例14では、作業雰囲気温度5℃での可使時間が20分と短く、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が2.8N/mm2と低かった。また比較例14では、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これに対し、ガラス化率90%のカルシウムアルミネートを含む実施例2、実施例21〜23及び実施例25〜27と、ガラス化率80%のカルシウムアルミネートを含む実施例24では、作業雰囲気温度5℃で可使時間が45〜55分と長くなり、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が4.6〜5.8N/mm2と高くなることが分った。また実施例2及び実施例21〜27では、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しないことが分った。
<実施例20>
この実施例20上記表6及び表8に挙げた実施例20と同一のセメントミルクであるが、次の実施例28〜34と比較例15及び16のセメントミルクとの対比を容易にするために、改めてここに記載したものである。カルシウムアルミネートCA90を15質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を15質量%と、普通ポルトランドセメントNを70質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、ソーダ灰Na−1を0.9質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、珪藻質濾過助剤H01を7.5質量%と、天然非焼成バーミキュライトH03を7.5質量%と、ポリマーPを2質量%と、水を76.1質量%混合してセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例20とした。なお、珪藻質濾過助剤H01はセメント組成物(カルシウムアルミネートCA90、フッ酸二型無水石膏S8、普通ポルトランドセメントN、アルミン酸ソーダAl−1、ソーダ灰Na−1及びクエン酸Ci−1)100質量%に対して7.5質量%であり、天然非焼成バーミキュライトH03はセメント組成物100質量%に対して7.5質量%であり、ポリマーPはセメント組成物100質量%に対して2質量%であった。また水はこの水以外の材料の混合物(舗装体用注入材)100質量%に対して65質量%であった。
<実施例28>
ソーダ灰Na−1を0.6質量%混合したこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例28とした。
<実施例29>
アルミン酸ナトリウムAl−1(粉砕品)に代えてアルミン酸ナトリウムAl−2(市販品)を用い、クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例29とした。
<実施例30>
クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例30とした。
<実施例31>
カルシウムアルミネートCA90に代えてカルシウムアルミネートCA80を用いたこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例31とした。
<実施例32>
ソーダ灰Na−1を0.96質量%、クエン酸Ci−1を0.36質量%混合したこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例32とした。
<実施例33>
ソーダ灰Na−1を0.36質量%、クエン酸Ci−1を0.36質量%混合したこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例33とした。
<実施例34>
ソーダ灰Na−1を0.96質量%と、クエン酸Ci−1を0.96質量%混合したこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを実施例34とした。
<比較例15>
アルミン酸ナトリウムAl−1(粉砕品)に代えてアルミン酸ナトリウムAl−2(市販品)を用い、ソーダ灰Na−1(粉砕品)に代えてソーダ灰Na−2(市販品)を用い、クエン酸Ci−1(粉砕品)に代えてクエン酸Ci−2(市販品)を用いたこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例15とした。
<比較例16>
カルシウムアルミネートCA90に代えてカルシウムアルミネートCA70を用いたこと以外は、実施例20と同様にしてセメントミルクを調製した。このセメントミルクを比較例16とした。
<比較試験9及び評価>
実施例20と実施例28〜34と比較例15及び16のセメントミルクについて、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、可使時間及び材齢3時間での圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、上記練り上がり温度及び可使時間の各測定は、比較試験1と同様にして行った。また上記材齢3時間での圧縮強度の各測定は、比較試験3と同様にして行った。これらの結果を、カルシウムアルミネートのガラス化率と、凝結調整剤の種類及び配合比と、舗装体用注入材に対する水の混合割合とともに、表11及び表12に示す。
Figure 0005169007
Figure 0005169007
表2、表11及び表12から明らかなように、アルミン酸ソーダAl、ソーダ灰Na及びクエン酸Ciの平均粒径が、90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと、平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例15では、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が1.4N/mm2以下と低かった。これに対し、アルミン酸ソーダAl、ソーダ灰Na又はクエン酸Ciのうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子を第1粒子より多く含むとともに第2粒子より多く含む実施例20及び実施例28〜34では、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が4.0〜4.3N/mm2と高くなることが分った。
一方、表11及び表12から明らかなように、ガラス化率70%のカルシウムアルミネートを含む比較例16では、作業雰囲気温度が5℃であって材齢3時間での圧縮強度が1.7N/mm2と低かった。これに対し、ガラス化率90%のカルシウムアルミネートを含む実施例20、実施例28〜30及び実施例32〜34と、ガラス化率80%のカルシウムアルミネートを含む実施例31では、作業雰囲気温度5℃であって材齢3時間での圧縮強度が4.0〜4.3N/mm2と高くなることが分った。
実施例6及び比較例12のセメントミルクを空隙部分に充填した舗装体表面の温度の変化を示す図である。 実施例6及び比較例12のセメントミルクを硬化させた硬化体の質量の変化を示す図である。

Claims (8)

  1. 混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%含むセメント組成物100質量%に対して、粒径90〜1000μmの砂を5〜30質量%と、再乳化粉末樹脂を1〜10質量%含む舗装体用注入材であって、
    前記混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含むとともに、
    前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とする舗装体用注入材。
  2. 舗装体用注入材100質量%に対して、水を35〜55質量%混合してセメントミルクを調製したときに、可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm2以上である請求項記載の舗装体用注入材。
  3. 請求項1又は2に記載の舗装体用注入材に水を混合してセメントミルクを調製する工程と、
    前記セメントミルクを空隙率40〜10%の舗装体の空隙部分に充填する工程と
    を含む舗装体用注入材を用いた舗装方法。
  4. 混和材100質量%に対してセメント鉱物を100〜1000質量%含むセメント組成物100質量%に対して、保水性材料を5〜80質量%含む舗装体用注入材であって、
    前記保水性材料が、珪藻質濾過助剤、製紙スラッジ焼却灰及び天然非焼成バーミキュライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上からなり、
    前記混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含むとともに、
    前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とする舗装体用注入材。
  5. 舗装体用注入材100質量%に対して、水を80〜150質量%混合してセメントミルクを調製したときに、可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度が0.5N/mm2以上であり、更に硬化後の吸水率が50〜90質量%である請求項4記載の舗装体用注入材。
  6. 舗装体用注入材100質量%に対して、水を65〜80質量%混合してセメントミルクを調製したときに、可使時間が30〜75分であり、かつ材齢3時間の圧縮強度が4.0N/mm2以上であり、更に硬化後の吸水率が35〜50質量%である請求項4記載の舗装体用注入材。
  7. 舗装体用注入材に水を混合して調製されたセメントミルクを硬化したときの硬化体の吸湿率が5〜15質量%である請求項4ないし6いずれか1項に記載の舗装体用注入材。
  8. 請求項4ないし7いずれか1項に記載の舗装体用注入材に水を混合してセメントミルクを調製する工程と、
    前記セメントミルクを空隙率40〜10%の舗装体の空隙部分に充填する工程と
    を含む舗装体用注入材を用いた舗装方法。
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