JP3912425B1 - 混和材及びこれを用いたセメント組成物 - Google Patents
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- C04B40/0028—Aspects relating to the mixing step of the mortar preparation
- C04B40/0039—Premixtures of ingredients
Abstract
【解決手段】混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが所定の質量比で混合された急硬成分に対して所定の割合でアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートのガラス化率は80%以上であり、凝結調整剤のいずれか1種を100質量%とするとき他の2種を25〜300質量%含む。凝結調整剤の少なくとも1種が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45〜90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90〜150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150〜500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ第2粒子を上記第1及び第3粒子より多く含む。
【選択図】図1
Description
このように構成された超速硬セメント組成物では、このセメント組成物に注水した後、少なくとも20分以上の硬化時間(可使時間)を保持できるとともに、1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上となる。またその後の圧縮強度も順調に延び、長期耐久性に優れ、更に硬化体に斑点化現象を起こさないようになっている。
このように構成された温度緩衝型速硬性組成物は、セメント成分、速硬成分及び凝結調整剤の所定量を添加混合して容易に調製することができ、混練水量30〜100重量%にて混練することにより、高強度の硬化体を得ることができる。この結果、温度緩衝型速硬性組成物を用いれば、幅広い施工温度において、安定かつ良好な凝結特性及び作業性を確保できるようになっている。
このように構成されたセメント組成物は、流動性と可使時間を長く確保でき、適度な硬度時間を有するとともに、良好な強度を十分に発現でき、更に耐火性や高温強度に優れるとしている。
更に水以外の材料を予め混合しておくプレミックスモルタルであって、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上である軌道用プレミックスモルタル(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。
このように構成された軌道用プレミックスモルタルをバラスト道床に注入することで、コンクリート道床化する際、バラスト道床への軌道用プレミックスモルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分でも1種類の軌道用プレミックスモルタル(グラウト)の使用で済み、現場での施工作業を平易化することができる。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、注水後の混練温度が異なると凝結時間が変化してしまうという凝結時間の温度依存性が大きく、特に混練装置の違いによる凝結時間の温度依存性が大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、可使時間を長くするために、凝結調整剤の添加量を多くすると、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下する問題点もあった。
また、上記従来の特許文献2に示された温度緩衝型速硬性組成物では、カルシウムアルミネートが粉末冶金滓であるため、硬化体の圧縮強度が低下し、凝結時間の温度依存性が未だ大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献3に示されたセメント組成物では、無水石膏等の無機炭酸塩を使用しないため、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低い問題点があった。
更に、上記従来の特許文献4に示された軌道用プレミックスモルタルでは、施工現場の温度が季節等により異なるため、温度に応じて凝結添加剤の添加量を変化させる等の調整を行わなければならず、また施工後のひび割れを防止すべく、収縮を小さくして寸法安定性を確保するために、膨張材を別途添加しなければならない問題点もあった。
本発明の第2の目的は、注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる、混和材及びこれを用いたセメント組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、軌道工事用のモルタルや補強用のグラウト材に適用することができるとともに、膨張材を添加しなくても所定の寸法安定性(収縮率)を確保することができる、混和材及びこれを用いたセメント組成物を提供することにある。
その特徴ある構成は、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むところにある。
またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を上記範囲とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合をそれぞれ上記範囲とし、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む凝結調整剤と、セメント鉱物と、急硬成分とからなるセメント組成物に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト[3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記セメント組成物に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を更に小さくすることができる。
また混和材100質量%に対してセメント100〜1000質量%及び水50〜700質量%を混合してセメントペーストを調製したときに、可使時間が55〜75分であることが好ましい。
また混和材及びセメントの合計100質量%に対して水45〜55質量%を混合して調製したセメントペースト、即ち水結合材比率45〜55%のセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm2以上であることが好ましい。この場合、環境温度が5℃と低くても、即ち周囲の雰囲気温度が5℃であり、セメントや混和材等の材料の温度が5℃であり、水の温度が5℃であっても、4.5N/mm2以上の材齢3時間の圧縮強度が得られる。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明であって、更にセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μmの砂を100〜200質量%含むことを特徴とする。
混和材中の凝結調整剤は、水に溶解することにより反応し、凝結の調整や強度の発現増進の効果が現れる。しかし、セメント鉱物と混和材の混合物(結合材)の合計量に対する水の混合割合(水結合材比率)が小さい場合、溶解速度が変化し、凝結性状が変化する場合がある。このため、請求項3に記載されたセメント組成物では、上記セメント鉱物と混和材と水の混合物中に砂を入れることで混練時に、砂により材料が良く撹拌され、水結合材比率が小さくても、凝結調整剤の溶け方が改善され、凝結性状が安定する。また、材料中に砂が比較的多く混入しているため、水結合材比率が小さい状態で混練しても、凝結調整剤が溶解して反応が促進される。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、更にセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含むことを特徴とする。
この請求項6に記載されたセメント組成物では、セメント鉱物と混和材と水の混合物にポゾラン物質を添加することにより、水酸化カルシウムCa(OH)2と二酸化ケイ素SiO2が反応してケイ酸カルシウムCaSiO2(セメントゲル)になるポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填され、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。
この請求項7に記載されたセメント組成物では、このセメント組成物を含むモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化するときに、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。
またセメント組成物を含むモルタルを補修用又は補強用に用いる場合、水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が6〜10秒であり、材齢3時間の圧縮強度が5N/mm2以上であることが好ましい。
またセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含めば、ポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填される。この結果、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。
更に水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上であれば、このモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化するときに、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。この結果、道床の勾配部分でも1種類のモルタルを使用するだけで済み、現場での施工作業を平易化することができる。
混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、カルボン酸類0.1〜15.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%とからなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートの組成としては、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaX2(Xはハロゲン元素である。)、3CaO・Al2O3、CaO・Al2O3などが挙げられる。また無機硫酸塩としては、無水石膏(組成:CaSO4)、硫酸ナトリウム等が挙げられる。更に無機炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、カルボン酸類としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸又はリンゴ酸、或いはこれらの酸のナトリウム、カリウム、カルシウム等の水溶性塩が挙げられる。
なお、上記混和材を含むセメント組成物に注水して生成されたエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方は六価クロムを吸収することができる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
このセメント組成物を含むモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化すると、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。この結果、道床の勾配部分でも1種類のモルタルを使用するだけで済み、現場での施工作業を平易化することができる。
先ず使用材料の種類及び略号、即ちカルシウムアルミネート、無機硫酸塩、セメント鉱物、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の種類及び略号を次の表1に示す。なお、表1において、『C12A7』は『12CaO・7Al2O3』であり、『C11A7F』は『11CaO・7Al2O3・CaF2』である。またブレーン値は、1gのカルシウムアルミネート粒子の総表面積であり、ブレーン空気透過式比表面積測定法で測定される。
更に表1のカルシウムアルミネートのうち略号CA70、CA80及びCA90の化学組成毎の含有割合をガラス化率及びブレーン値とともに表3に示す。
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例1とした。
<実施例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例2とした。
<実施例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例3とした。
<実施例4>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例4とした。
<実施例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例5とした。
<実施例6>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例6とした。
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例7とした。
<実施例8>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例8とした。
<実施例9>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例9とした。
<実施例10>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例10とした。
<実施例11>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例11とした。
<実施例12>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例12とした。
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−2を0.6質量%と、クエン酸ナトリウムCiNa−2を0.3質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例13とした。
<実施例14>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例14とした。
<実施例15>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例15とした。
<実施例16>
アルミン酸ソーダAl−1に替えてアルミン酸ソーダAl−2を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例16とした。
<実施例17>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA80を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を実施例17とした。
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例1とした。
<比較例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例2とした。
<比較例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ca−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例3とした。
<比較例4>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例4とした。
<比較例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例5とした。
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例6とした。
<比較例7>
クエン酸ナトリウムCiNa−1を用いなかったこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例7とした。
<比較例8>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−1を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例8とした。
<比較例9>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−3を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例9とした。
<比較例10>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA70を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を比較例10とした。
実施例1〜17及び比較例1〜10の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度は、練り上がり直後の混合物の温度計により測定した温度である。P漏斗流下時間は、プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(JSCE−F521)に準じた方法、即ちP漏斗試験装置の漏斗に混合物を充填して、この漏斗の下端の孔から混合物を流出させたときの流下時間である。可使時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、P漏斗流下時間が11秒を越えるまでの時間である。また、凝結の始発時間及び凝結の終結時間は、JIS R 5201に準じて自動凝結試験機を用いて測定した。具体的には、凝結の始発時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、混合物に対して直径1mmの針が底面から1mm上がった位置で止まるまでの時間であり、凝結の終結時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、直径1mmの針が混合物に突き刺さらなくなるまでの時間である。更に圧縮強度は、JIS R 5201に準じて測定した強度であり、材齢3時間、材齢3日、材齢7日及び材齢28日での圧縮強度をそれぞれ測定した。なお、上記凝結の始発時間及び凝結の終結時間の両者を合せて凝結時間と呼ぶ。これらの結果を表4〜表7に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間及び28日でそれぞれ測定した。なお、上記実施例1〜17の混合物は、カルシウムアルミネートと無水石膏とセメントと凝結調整剤の合計100質量%に対して水を約50質量%混合して調製されたセメントペースト、即ち水結合材比率:約50%のセメントペーストである。
従って、上記表4〜表6から、アルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)と、無機炭酸塩(炭酸カリウム、ソーダ灰)と、カルボン酸類(クエン酸、酒石酸、クエン酸ナトリウム)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含むとき、作業雰囲気温度5〜35℃での可使時間が55〜75分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.9N/mm2の範囲にあることが判った。
なお、特許文献1には1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上であると記載されているのに対し、上記実施例1〜17では材齢3時間での圧縮強度が4.5〜8.2N/mm2と低いのは、特許文献1では水材料比の少ない材料を用いているのに対し、実施例1〜17では水材料比の大きな材料を用いているためである。
10質量%のカルシウムアルミネートCA90と10質量%のフッ酸二型無水石膏S8と80質量%の普通ポルトランドセメントNとからなる結合材Bと、0.4質量%のアルミン酸ソーダAl−2と0.6質量%のソーダ灰Na−2と0.4質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、100質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を実施例18とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<実施例19>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、100質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を実施例19とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<実施例20>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、100質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を実施例20とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を実施例21とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<実施例22>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を実施例22とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<実施例23>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を実施例23とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例11とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例12>
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例12とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例13>
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例13とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例14とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例15>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例15とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例16>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例16とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例17とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例18>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例18とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例19>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例19とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
実施例18〜23及び比較例11〜19の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、J14漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度練り上がり温度は、上記比較試験1と同様にして行った。またJ14漏斗流下時間は、土木学会標準JSCE−F541に準拠して行う試験であり、上記混合物の流動性を確認する試験である。具体的には、漏斗として、上端内径(注入口内径)70mm、下端内径(流出口内径)14mm、高さ392mm、厚さ約3mm、内容積630mlの黄銅製のJ14漏斗を用いる。先ずこの漏斗の注入口が上側に位置し流出口が下側に位置するように鉛直方向に延びた状態で漏斗を台により支持し、この漏斗内に水を通して濡らした後に、上記混合物を漏斗内に注ぐ。次いで漏斗の流出口から少量の混合物を流出させた後、指にて流出口を押さえた状態で混合物が漏斗上面に達するまで混合物を漏斗内に注入する。次に漏斗内の混合物の上面をならした後に、指を流出口から離して混合物を流出口から流出させ、流出口から連続的に流出する混合物の流れが初めて途切れるまでの流出時間(秒)を測定する。この流出時間(秒)をJ14漏斗流下時間とする。なお、J14漏斗流下時間を測定した後も、混合物を流出口から流出させ続け、漏斗内における混合物の残留状態を観察し、混合物のほぼ全量が流出したことを確認する。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、J14漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表9、表10及び図1〜図5に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間及び28日でそれぞれ測定した。また、実施例18〜23及び比較例11〜19の混合物の結合材Bと凝結調整剤と砂Sと水Wとの混合割合を、砂結合材比率S/B及び水結合材比率W/Bとともに、表8に示す。
100質量%の普通ポルトランドセメントNと25質量%のカルシウムアルミネートCA90と25質量%のフッ酸二型無水石膏S8と10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、0.6質量%のAl−2と0.9質量%のソーダ灰Na−2と0.6質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を実施例24とした。
<実施例25>
120質量%の普通ポルトランドセメントNと15質量%のカルシウムアルミネートCA90と15質量%のフッ酸二型無水石膏S8と10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、0.6質量%のAl−2と0.9質量%のソーダ灰Na−2と0.6質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を実施例25とした。
<比較例20>
100質量%の普通ポルトランドセメントNと50質量%の速硬材KAと3質量%の膨張材CSAと10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、163質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、1.1質量%の凝結調整剤KSetと、65.2質量%の水とを混合した。この混合物を比較例20とした。
<比較例21>
100質量%の普通ポルトランドセメントNと50質量%の速硬材KAと10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、1.1質量%の凝結調整剤KSetと、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を比較例21とした。
実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、J14漏斗流下時間、フロー値及びモルタルの2時間圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、及びモルタルの2時間圧縮強度は、上記比較試験1と同様にして行い、J14漏斗流下時間は、上記比較試験2と同様にして行った。フロー値は、JASS15M−103「セルフレベリング材の品質基準」3.5に準拠する静置フロー試験により測定した。この静置フロー試験は、混合物の流れ易さを判断できるため、勾配部分で混合物が流れるか否かを判断する参考になる試験である。具体的には、先ず厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を立てた状態で置く。次にこのパイプ内に予め練り混ぜた混合物を充填する。更にこのパイプを引き上げて、混合物の広がりが静止した後に、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。上記練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、J14漏斗流下時間、フロー値及びモルタルの2時間圧縮強度の測定結果を表12に示す。なお、実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物の結合材と砂と混和材と凝結調整剤と水との混合割合を表11に示す。
実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、傾斜部分の仕上げ性、注入性、注入体の2時間圧縮強度及びモルタルの長さ変化率をそれぞれ測定した。傾斜部分の仕上げ性は、sinθ=120/1067=0.11となる傾斜を有する容器内(縦50cm×横30cm×深さ8cm)に砕石を置いた後、混合物を注入したときに、混合物が流れるか否かを観察することにより評価した。注入性は、直径15cmの透明円筒容器内にバラストを詰めて混合物を注入した後、混合物が容器内を流下しこの混合物が達した容器の深さを測定することにより評価した。またモルタルの2時間圧縮強度は、JIS A 1108に準拠し、直径5cm×高さ10cmの鋼製型枠内に混合物を流し込んで作製した供試体を用いて、材齢2時間での圧縮強度を測定した。注入体の2時間圧縮強度は、直径15cm×高さ30cmの鋼製型枠に、空隙率が45%になるようにバラストを詰め、ここに混合物(モルタル)を注入して作製した注入試験体について、材齢2時間でJIS A 1108に準拠して強度試験を行い圧縮強度を測定した。更にモルタルの長さ変化率は、JIS A 1171に従って測定した。但し、試験値の単位はμ(1μは10-6)で示した。上記傾斜部分の仕上げ性、注入性、注入体の2時間圧縮強度及びモルタルの長さ変化率の測定結果を表13に示す。
カルシウムアルミネートCA90を24.7質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を24.7質量%と、普通ポルトランドセメントNを50.8質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例26とした。この実施例26では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは100質量%であった。
<実施例27>
カルシウムアルミネートCA90を15.9質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を15.9質量%と、普通ポルトランドセメントNを66.4質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例27とした。この実施例27では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは200質量%であった。
<実施例28>
カルシウムアルミネートCA90を7.7質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を7.7質量%と、普通ポルトランドセメントNを84.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例28とした。ここで、この実施例28では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは500質量%であった。
<実施例29>
カルシウムアルミネートCA90を4.5質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を4.5質量%と、普通ポルトランドセメントNを104.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例29とした。ここで、この実施例29では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは1000質量%であった。
カルシウムアルミネートCA90を26.0質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を26.0質量%と、普通ポルトランドセメントNを47.9質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を比較例22とした。ここで、この比較例22では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは90質量%であった。
<比較例23>
カルシウムアルミネートCA90を4.1質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を4.1質量%と、普通ポルトランドセメントNを105.6質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を比較例23とした。ここで、この比較例23では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは1100質量%であった。
実施例26〜29と比較例22及び23の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表14に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また表14には、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対するセメントの含有量(質量%)を、[セメント/混和材](質量%)として示した。
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を10質量%とを混合した。この混合物を実施例30とした。この実施例30では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は50質量%であった。、
<実施例31>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を20質量%とを混合した。この混合物を実施例31とした。ここで、この実施例31では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は100質量%であった。
<実施例32>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を80質量%とを混合した。この混合物を実施例32とした。ここで、この実施例32では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は400質量%であった。
<実施例33>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を140質量%とを混合した。この混合物を実施例33とした。ここで、この実施例33では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は700質量%であった。
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を9質量%とを混合した。この混合物を比較例24とした。ここで、この比較例24では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は45質量%であった。
<比較例25>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を150質量%とを混合した。この混合物を比較例25とした。ここで、この比較例25では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は750質量%であった。
実施例30〜33と比較例24及び25の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間の測定は、上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間の測定結果を表15に示す。但し、表15には、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対する水の含有量(質量%)を、[水/混和材](質量%)として示した。
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を45.6質量%とを混合した。この混合物を実施例34とした。この実施例34では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は45質量%であった。
<実施例35>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を48.7質量%とを混合した。この混合物を実施例35とした。ここで、この実施例35では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は48質量%であった。
<実施例36>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を52.7質量%とを混合した。この混合物を実施例36とした。ここで、この実施例36では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は52質量%であった。
<実施例37>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を55.8質量%とを混合した。この混合物を実施例37とした。ここで、この実施例37では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は55質量%であった。
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を40.6質量%とを混合した。この混合物を比較例26とした。ここで、この比較例26では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は40質量%であった。
<比較例27>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を60.8質量%とを混合した。この混合物を比較例27とした。ここで、この比較例27では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は60質量%であった。
実施例34〜37と比較例26及び27の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5、20及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表16に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また表16には、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対する水の含有量(質量%)を、[水/結合材](質量%)として示した。
Claims (8)
- カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含む混和材において、
前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、
前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、
前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とする混和材。 - 混和材100質量%に対してセメント100〜1000質量%及び水50〜700質量%を混合してセメントペーストを調製したときに、可使時間が55〜75分である請求項1記載の混和材。
- 混和材及びセメントの合計100質量%に対して水45〜55質量%を混合して調製したセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm2以上である請求項2記載の混和材。
- 請求項1記載の混和材をセメント鉱物と混和材の合計量に対して内割で10〜40質量%を含むセメント組成物。
- セメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μmの砂を100〜200質量%含む請求項4記載のセメント組成物。
- セメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含む請求項5記載のセメント組成物。
- 水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上である請求項5又は6記載のセメント組成物。
- 水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が6〜10秒であり、材齢3時間での圧縮強度が5N/mm2以上である請求項5又は6記載のセメント組成物。
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