JP3912425B1 - 混和材及びこれを用いたセメント組成物 - Google Patents

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    • C04B40/0028Aspects relating to the mixing step of the mortar preparation
    • C04B40/0039Premixtures of ingredients

Abstract

【課題】若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保する。
【解決手段】混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが所定の質量比で混合された急硬成分に対して所定の割合でアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートのガラス化率は80%以上であり、凝結調整剤のいずれか1種を100質量%とするとき他の2種を25〜300質量%含む。凝結調整剤の少なくとも1種が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45〜90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90〜150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150〜500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ第2粒子を上記第1及び第3粒子より多く含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、カルシウムアルミネート及び無機硫酸塩の急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む混和材と、この混和材を普通ポルトランドセメント等のセメント鉱物に含むセメント組成物に関するものである。
従来、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが重量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分をセメント鉱物に対して内割で15〜35%含む急硬セメントを主成分とし、この急硬セメントに対して内割重量でアルミン酸ナトリウム0.2〜5%、無機炭酸塩0.2〜5%及びカルボン酸類0.1〜2%を含む超速硬セメント組成物(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。
このように構成された超速硬セメント組成物では、このセメント組成物に注水した後、少なくとも20分以上の硬化時間(可使時間)を保持できるとともに、1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上となる。またその後の圧縮強度も順調に延び、長期耐久性に優れ、更に硬化体に斑点化現象を起こさないようになっている。
また、ポルトランドセメント又はポルトランドセメントを含む混合セメントからなるセメント成分と、このセメント成分に対して内割りで2〜50重量%の速硬成分と、セメント成分及び速硬成分の合計重量に対して0.1〜5重量%の凝結調整剤とを含む温度緩衝型速硬性組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。この温度緩衝型速硬性組成物では、速硬成分が、アルミン酸カルシウムを主成分とする微粉冶金滓40〜95重量%及びII型無水石膏5〜60重量%の混合物に、炭酸アルカリが内割で1〜10重量%添加され、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム及び硫酸アルミニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上が1〜10重量%添加される。更に凝結調整剤が有機酸系凝結遅延剤と硫酸アルカリからなる。
このように構成された温度緩衝型速硬性組成物は、セメント成分、速硬成分及び凝結調整剤の所定量を添加混合して容易に調製することができ、混練水量30〜100重量%にて混練することにより、高強度の硬化体を得ることができる。この結果、温度緩衝型速硬性組成物を用いれば、幅広い施工温度において、安定かつ良好な凝結特性及び作業性を確保できるようになっている。
またカルシウムアルミネート、ポリアクリル酸類、ホウ酸類、炭酸塩及びカルボン酸類を含有するセメント組成物(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
このように構成されたセメント組成物は、流動性と可使時間を長く確保でき、適度な硬度時間を有するとともに、良好な強度を十分に発現でき、更に耐火性や高温強度に優れるとしている。
更に水以外の材料を予め混合しておくプレミックスモルタルであって、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上である軌道用プレミックスモルタル(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。
このように構成された軌道用プレミックスモルタルをバラスト道床に注入することで、コンクリート道床化する際、バラスト道床への軌道用プレミックスモルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分でも1種類の軌道用プレミックスモルタル(グラウト)の使用で済み、現場での施工作業を平易化することができる。
特公平3−41420号公報(請求項1、明細書第2頁右欄第28行目〜同頁右欄33行目) 特許第3125316号公報(請求項1、段落番号[0028]、段落番号[0039]) 特開平6−32642号公報(請求項1、段落番号[0066]) 特開2006−22473号公報(請求項1、段落番号[0007])
しかし、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することが難しく、また硬化体に斑点の発生が認められ、この部分が欠陥となって長期的な強度も低下する不具合があった。ここで、材齢とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から測定した時間をいい、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から3時間経過したときの硬化体の圧縮強度をいう。また、可使時間とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後からこの混合物に流動性がなくなるまでの時間をいう。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、注水後の混練温度が異なると凝結時間が変化してしまうという凝結時間の温度依存性が大きく、特に混練装置の違いによる凝結時間の温度依存性が大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献1に示された超速硬セメントでは、可使時間を長くするために、凝結調整剤の添加量を多くすると、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下する問題点もあった。
また、上記従来の特許文献2に示された温度緩衝型速硬性組成物では、カルシウムアルミネートが粉末冶金滓であるため、硬化体の圧縮強度が低下し、凝結時間の温度依存性が未だ大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献3に示されたセメント組成物では、無水石膏等の無機炭酸塩を使用しないため、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低い問題点があった。
更に、上記従来の特許文献4に示された軌道用プレミックスモルタルでは、施工現場の温度が季節等により異なるため、温度に応じて凝結添加剤の添加量を変化させる等の調整を行わなければならず、また施工後のひび割れを防止すべく、収縮を小さくして寸法安定性を確保するために、膨張材を別途添加しなければならない問題点もあった。
本発明の第1の目的は、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止できる、混和材及びこれを用いたセメント組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる、混和材及びこれを用いたセメント組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、軌道工事用のモルタルや補強用のグラウト材に適用することができるとともに、膨張材を添加しなくても所定の寸法安定性(収縮率)を確保することができる、混和材及びこれを用いたセメント組成物を提供することにある。
請求項1に係る発明は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含む混和材の改良である。
その特徴ある構成は、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むところにある。
この請求項1に記載された混和材では、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上としたので、上記混和材を含むセメント組成物に水を加えて混合した後に硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止でき、更に混和材を含むセメント組成物に水を加えた後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。
またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を上記範囲とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合をそれぞれ上記範囲とし、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む凝結調整剤と、セメント鉱物と、急硬成分とからなるセメント組成物に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記セメント組成物に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を更に小さくすることができる。
また混和材100質量%に対してセメント100〜1000質量%及び水50〜700質量%を混合してセメントペーストを調製したときに、可使時間が55〜75分であることが好ましい。
また混和材及びセメントの合計100質量%に対して水45〜55質量%を混合して調製したセメントペースト、即ち水結合材比率45〜55%のセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm2以上であることが好ましい。この場合、環境温度が5℃と低くても、即ち周囲の雰囲気温度が5℃であり、セメントや混和材等の材料の温度が5℃であり、水の温度が5℃であっても、4.5N/mm2以上の材齢3時間の圧縮強度が得られる。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載された混和材をセメント鉱物と混和材の合計量に対して内割で10〜40質量%含むセメント組成物である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明であって、更にセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μmの砂を100〜200質量%含むことを特徴とする。
混和材中の凝結調整剤は、水に溶解することにより反応し、凝結の調整や強度の発現増進の効果が現れる。しかし、セメント鉱物と混和材の混合物(結合材)の合計量に対する水の混合割合(水結合材比率)が小さい場合、溶解速度が変化し、凝結性状が変化する場合がある。このため、請求項3に記載されたセメント組成物では、上記セメント鉱物と混和材と水の混合物中に砂を入れることで混練時に、砂により材料が良く撹拌され、水結合材比率が小さくても、凝結調整剤の溶け方が改善され、凝結性状が安定する。また、材料中に砂が比較的多く混入しているため、水結合材比率が小さい状態で混練しても、凝結調整剤が溶解して反応が促進される。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、更にセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含むことを特徴とする。
この請求項6に記載されたセメント組成物では、セメント鉱物と混和材と水の混合物にポゾラン物質を添加することにより、水酸化カルシウムCa(OH)2と二酸化ケイ素SiO2が反応してケイ酸カルシウムCaSiO2(セメントゲル)になるポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填され、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に係る発明であって、更に水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上であることを特徴とする。
この請求項7に記載されたセメント組成物では、このセメント組成物を含むモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化するときに、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。
またセメント組成物を含むモルタルを補修用又は補強用に用いる場合、水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が6〜10秒であり、材齢3時間の圧縮強度が5N/mm2以上であることが好ましい。
本発明によれば、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが所定の割合で混合された急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む混和材において、上記カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上にし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定したので、この混和材を含むセメント組成物に水を加えて混合した後、硬化させた場合、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。また注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。この結果、どのような作業環境であっても、混和材を含むセメント組成物に注水して得られた混練物の粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。また混和材を含むセメント組成物に注水すると、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が生成され、上記エトリンガイトやモノサルフェートが六価クロムを吸収できる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
またセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μmの砂を100〜200質量%含めば、混練時に砂により材料が良く撹拌され、水結合材比率が小さくても、凝結調整剤の溶け方が改善され、凝結性状が安定する。また材料中に砂が比較的多く混入しているため、水結合材比率が小さい状態で混練しても、凝結調整剤が溶解して反応が促進される。この結果、凝結の状態や強度発現性が良好になる。
またセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含めば、ポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填される。この結果、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。
更に水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上であれば、このモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化するときに、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。この結果、道床の勾配部分でも1種類のモルタルを使用するだけで済み、現場での施工作業を平易化することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、カルボン酸類0.1〜15.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%とからなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートの組成としては、12CaO・7Al23、11CaO・7Al23・CaX2(Xはハロゲン元素である。)、3CaO・Al23、CaO・Al23などが挙げられる。また無機硫酸塩としては、無水石膏(組成:CaSO4)、硫酸ナトリウム等が挙げられる。更に無機炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、カルボン酸類としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸又はリンゴ酸、或いはこれらの酸のナトリウム、カリウム、カルシウム等の水溶性塩が挙げられる。
ここで、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩との混合割合を1:(0.5〜3)の範囲に限定したのは、この範囲外ではセメントペーストの可使時間(作業時間)が短くなるか、或いは硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下してしまうからである。アルミン酸ナトリウムの急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定したのは、0.2質量%未満では硬化体が所定の圧縮強度に達せず、35.0質量%を越えると凝結調整剤を用いてもセメントペーストの可使時間が60分程度、具体的には55〜75分という比較的長い時間を確保できないからである。また無機炭酸塩の急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定し、カルボン酸類の急硬成分に対する混合割合を内割で0.1〜15.0質量%の範囲に限定したのは、これらの範囲外では施工に必要な作業時間(セメントペーストの可使時間)を確保できないか、或いは硬化体の圧縮強度が低下するからである。
なお、セメントペーストとは、混和材100質量%に対して、セメント100〜1000質量%、好ましくは200〜500質量%と、水50〜700質量%、好ましくは100〜400質量%とを混合して調製したものであり、硬化体とは、上記セメントペーストを硬化させたものである。また混和材及びセメントの合計100質量%に対して水45〜55質量%、好ましくは48〜52質量%を混合して調製したセメントペースト、即ち水結合材比率45〜55%、好ましくは48〜52%のセメントペーストを硬化させた硬化体の材齢3時間の圧縮強度は4.5N/mm2以上であることが好ましい。ここで、混和材100質量%に対するセメントの混合割合を100〜1000質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満ではコスト的に不経済でありまた凝結時間の調整が難しくなって可使時間が短くなるという不具合があり、1000質量%を越えると若齢材の圧縮強度が低下するという不具合があるからである。また混和材100質量%に対する水の混合割合を50〜700質量%の範囲に限定したのは、50質量%未満では流動性が悪くなり、700質量%を越えると材料分離を生じるとともに圧縮強度が低くなってしまうからである。また混和材及びセメントの合計100質量%に対する水の混合割合を45〜55質量%の範囲に限定したのは、45質量%未満では流動性が悪くなって硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があり、55質量%を越えると材料分離を生じて硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があるからである。更に硬化体の材齢3時間の圧縮強度を4.5N/mm2以上に限定したのは、4.5N/mm2未満では道路舗装等に使用したときに強度が低く開放(道路閉鎖の解除)ができないからである。
本発明の混和材の特徴ある構成は、カルシウムアルミネートのガラス化率(非結晶化率)を80%以上、好ましくは80〜98%、更に好ましくは90〜95%としたところにある。ここで、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上に限定したのは、80%未満では、可使時間を長くしたときの強度発現性が低下するからである。また、カルシウムアルミネートのガラス化率が98%を越えると、歩留まりが低下して製造コストを押上げるため好ましくない。なお、上記カルシウムアルミネートのガラス化率(%)は、試料を粉末X線回折法により分析し、メインピークの高さの比により算出した。
一方、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含む。例えば、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの任意の1種としてアルミン酸ナトリウムを選び、アルミン酸ナトリウムを混和材の総量に対して0.4質量%含み、無機炭酸塩を混和材の総量に対してそれぞれ0.6質量%含み、カルボン酸類を混和材の総量に対して0.4質量%含む場合、アルミン酸ナトリウムを基準(100質量%)として、無機炭酸塩及びカルボン酸類がそれぞれ150質量%及び100質量%含むことになり、上記設定範囲内となる。またアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%、好ましくは15〜40質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%とを含む。第1〜第3粒子の平均粒径が上記範囲に限定されるのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちのいずれか1種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる群より選ばれた2種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の全てでもよい。また上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子のみからなる場合には、第1〜第3粒子の合計が100質量%となり、上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子の他に平均粒径45μm未満の微粒子などを含む場合には、第1〜第3粒子の合計は100質量%未満となる。更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む。なお、第3粒子は第1粒子と同量か或いは第1粒子より多く含むことが好ましい。
ここで、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量の範囲に限定したのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混和材の総量に対する混合割合が比較的広いため、上記選ばれた1種の凝結調整剤の総量より他の種類の凝結調整剤の総量が遙かに多く、かつ他の種類の凝結調整剤の第3粒子の混合割合が上記設定範囲より大幅に多い場合、他の種類の凝結調整剤の影響が大きくなってしまい、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずにセメントペーストの可使時間を60分程度、具体的には55〜75分と長く確保することができないからである。また、第1粒子の混合割合を10〜45質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第1粒子の混合割合が10質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応初期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、反応開始が遅れるか、或いは凝結の遅延作用が小さくなって凝結が速く進行してしまうため、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]やモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第1粒子の混合割合が45質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応初期に薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多く溶解し、初期の反応が急激に進むか、或いは凝結の遅延作用が大きくなって凝結が遅く進行してしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。
第2粒子の混合割合を30〜70質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第2粒子の混合割合が30質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第2粒子の混合割合が70質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、初期から中期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第3粒子の混合割合を5〜30質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第3粒子の混合割合が5質量%未満であると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第3粒子の混合割合が30質量%を越えると、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、中期から後期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むとしたのは、混和材を含むセメント組成物に注水した場合、反応中期に寄与する第2粒子を比較的多めにすることにより、急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにし、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性の良い水和物を生成するためである。
一方、上記混和材をセメント鉱物と混和材の合計量に対して内割で10〜40質量%、好ましくは15〜30質量%含むことによりセメント組成物が調製される。セメント鉱物としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低発熱セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等が挙げられる。ここで、混和材のセメント鉱物と混和材の合計量に対する混合割合を10〜40質量%の範囲に限定したのは、10質量%未満では早期材齢(若材齢)の強度発現性が低下し、40質量%を越えると製造コストが増大するとともにセメント鉱物が少なくなって長期強度の発現性が低下するからである。なお、本発明におけるセメント組成物は、上記以外に細骨材を含むモルタルや、細骨材及び粗骨材を含むコンクリートを包含する。モルタル及びコンクリートには、必要に応じて混和材が混合される。
このように構成されたセメント組成物では、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定したので、このセメント組成物に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記セメント組成物に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。更に注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。従って、どのような作業環境であっても、上記混和材を含むセメント組成物に水を加えた混練物の粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。
なお、上記混和材を含むセメント組成物に注水して生成されたエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方は六価クロムを吸収することができる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
一方、セメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μm、好ましくは150〜3000μmの砂を100〜200質量%、好ましくは100〜150質量%含むことができる。またセメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%、好ましくは1〜20質量%更に含むことができる。ポゾラン物質としては、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグ、けいそう土、ゼオライトなどが挙げられる。この中でシリカフュームは、本来のポゾラン物質としての作用に加えて、高性能減水剤と組み合わせて使用することにより、モルタルの適度な注入性と勾配(カント)の仕上げ性を改善することができる。更に材料分離を防止できるという効果もある。ここで、砂の粒径を90〜3000μmの範囲に限定したのは、90μm未満では細かすぎて練り混ぜたときに水量が増加する上に、練り混ぜ性向上の効果が認められず、3000μmを越えるとモルタルの材料分離が起こり易いからである。また砂の含有割合を100〜200質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満では砂の量が少ないために練り混ぜ性向上の効果が認められない上に、モルタルの収縮率が大きくなってしまい、200質量%を越えると強度発現性が悪くなり、材料分離が起こり易くなるからである。更にポゾラン物質の含有割合を0.1〜50質量%の範囲に限定したのは、0.1質量%未満ではポゾラン物質含有の効果が認められず、50質量%を越えると初期強度の発現性が悪いからである。なお、ポゾラン物質とは、それ自体は水硬性を殆どもたないけれども、水の存在のもとで水酸化カルシウムと常温で徐々に反応して不溶性の化合物を作って硬化するような微粉末状のシリカ質の物質である。
混和材中の凝結調整剤は、水に溶解することにより反応し、凝結の調整や強度の発現増進の効果が現れる。しかし、セメント鉱物と混和材の混合物(結合材)の合計量に対する水の混合割合(水結合材比率)が小さい場合、溶解速度が変化し、凝結性状が変化する場合がある。このため、本発明のセメント組成物では、上記セメント鉱物と混和材と水の混合物中に砂を入れることで混練時に、砂により材料が良く撹拌され、水結合材比率が小さくても、凝結調整剤の溶け方が改善され、凝結性状が安定する。また、材料中に砂が比較的多く混入しているため、水結合材比率が小さい状態で混練しても、凝結調整剤が溶解して反応が促進される。この結果、凝結の状態や強度発現性が良好になる。更にセメント鉱物と混和材と水の混合物にポゾラン物質を添加することにより、水酸化カルシウムCa(OH)2と二酸化ケイ素SiO2が反応してケイ酸カルシウムCaSiO2(セメントゲル)になるポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填され、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。またシリカフュームの場合、この他に、前述したように、本来のポゾラン物質としての作用に加えて、高性能減水剤と組み合わせて使用することにより、モルタルの適度な注入性と勾配(カント)の仕上げ性を改善することができる。更に材料分離を防止できるという効果もある。
一方、本発明のセメント組成物を水と混練して、バラスト道床用のモルタルを調製する場合、J14漏斗の流下時間が3〜5秒、好ましくは3.5〜4.5秒であり、静置フローが160mm以下、好ましくは130〜150mmであり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上、好ましくは12〜16N/mm2である。ここで、J14漏斗の流下時間を3〜5秒の範囲に限定したのは、3秒未満ではモルタルの材料分離が発生してしまい、5秒を越えるとモルタルの注入性が悪くなるからである。また静置フローを160mm以下に限定したのは、160mmを越えると傾斜部分(カント)における仕上げ性が悪くなるからである。更にバラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度を10N/mm2以上に限定したのは、10N/mm2未満では実軌道に施工した場合、強度が不足するため施工後2時間で列車を走行させることができないからである。
このセメント組成物を含むモルタルをバラスト道床に注入してコンクリート道床化すると、バラスト道床への上記モルタルの円滑な注入と、バラスト道床の勾配部分に対するコテ仕上げの容易性とを同時に満足させることができる。この結果、道床の勾配部分でも1種類のモルタルを使用するだけで済み、現場での施工作業を平易化することができる。
また本発明のセメント組成物を水と混練して、補修用又は補強用のモルタルを調製する場合、J14漏斗の流下時間が6〜10秒、好ましくは7〜9秒であり、材齢3時間の圧縮強度が5N/mm2以上、好ましくは7〜15N/mm2である。ここで、J14漏斗の流下時間を6〜10秒の範囲に限定したのは、6秒未満ではモルタルの材料分離が発生してしまい、10秒を越えると狭い部分に注入し難いからである。また材齢3時間の圧縮強度を5N/mm2以上に限定したのは、5N/mm2未満では寒い時期の施工において、初期凍害を受けるおそれがあるからである。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
先ず使用材料の種類及び略号、即ちカルシウムアルミネート、無機硫酸塩、セメント鉱物、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の種類及び略号を次の表1に示す。なお、表1において、『C12A7』は『12CaO・7Al23』であり、『C11A7F』は『11CaO・7Al23・CaF2』である。またブレーン値は、1gのカルシウムアルミネート粒子の総表面積であり、ブレーン空気透過式比表面積測定法で測定される。
Figure 0003912425
上記表1中のアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類をそれぞれ所定の平均粒径の範囲毎に混合割合を変えた。その混合割合を表2に示す。なお、表1中の『0-45』は『0μmを越えかつ45μm以下』であり、『45-90』は『45μmを越えかつ90μm以下』であり、『90-150』は『90μmを越えかつ150μm以下』であり、『150-500』は『150μmを越えかつ500μm以下』であることを意味する。
Figure 0003912425
表2において、使用材料の略号『Al-2』、『K-2』、『Na-2』、『Ci-2』、『Ta-2』及び『CiNa-2』で示す第1〜第3粒子の混合割合は全て本発明の範囲内、即ち請求項1で設定した範囲内にあり、上記以外の使用材料の第1〜第3粒子のうちの少なくとも1種の混合割合が本発明の範囲外、即ち請求項1で設定した範囲外にある。
更に表1のカルシウムアルミネートのうち略号CA70、CA80及びCA90の化学組成毎の含有割合をガラス化率及びブレーン値とともに表3に示す。
Figure 0003912425
<実施例1>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例1とした。
<実施例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例2とした。
<実施例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例3とした。
<実施例4>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例4とした。
<実施例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例5とした。
<実施例6>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例6とした。
<実施例7>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例7とした。
<実施例8>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例8とした。
<実施例9>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例9とした。
<実施例10>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例10とした。
<実施例11>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例11とした。
<実施例12>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例12とした。
<実施例13>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−2を0.6質量%と、クエン酸ナトリウムCiNa−2を0.3質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例13とした。
<実施例14>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例14とした。
<実施例15>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例15とした。
<実施例16>
アルミン酸ソーダAl−1に替えてアルミン酸ソーダAl−2を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例16とした。
<実施例17>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA80を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を実施例17とした。
<比較例1>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例1とした。
<比較例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例2とした。
<比較例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ca−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例3とした。
<比較例4>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例4とした。
<比較例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例5とした。
<比較例6>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例6とした。
<比較例7>
クエン酸ナトリウムCiNa−1を用いなかったこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例7とした。
<比較例8>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−1を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例8とした。
<比較例9>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−3を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例9とした。
<比較例10>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA70を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を比較例10とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜17及び比較例1〜10の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度は、練り上がり直後の混合物の温度計により測定した温度である。P漏斗流下時間は、プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(JSCE−F521)に準じた方法、即ちP漏斗試験装置の漏斗に混合物を充填して、この漏斗の下端の孔から混合物を流出させたときの流下時間である。可使時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、P漏斗流下時間が11秒を越えるまでの時間である。また、凝結の始発時間及び凝結の終結時間は、JIS R 5201に準じて自動凝結試験機を用いて測定した。具体的には、凝結の始発時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、混合物に対して直径1mmの針が底面から1mm上がった位置で止まるまでの時間であり、凝結の終結時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、直径1mmの針が混合物に突き刺さらなくなるまでの時間である。更に圧縮強度は、JIS R 5201に準じて測定した強度であり、材齢3時間、材齢3日、材齢7日及び材齢28日での圧縮強度をそれぞれ測定した。なお、上記凝結の始発時間及び凝結の終結時間の両者を合せて凝結時間と呼ぶ。これらの結果を表4〜表7に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間及び28日でそれぞれ測定した。なお、上記実施例1〜17の混合物は、カルシウムアルミネートと無水石膏とセメントと凝結調整剤の合計100質量%に対して水を約50質量%混合して調製されたセメントペースト、即ち水結合材比率:約50%のセメントペーストである。
Figure 0003912425
Figure 0003912425
Figure 0003912425
Figure 0003912425
表4から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例1や、K(炭酸カリウム)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が72.2%と多く含む比較例2や、Ci(クエン酸)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が76.1%と多く含む比較例3では、作業雰囲気温度5℃及び35℃での可使時間が45分以下であり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.2N/mm2以下であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)又はCi(クエン酸)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例1〜6では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃での可使時間が55〜70分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.9N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
表5から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例4や、Ta(ソーダ灰)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が74.5%及び72.7%と多く含む比較例5及び6では、作業雰囲気温度5℃及び35℃での可使時間が50分以下であり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2以下であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)又はTa(酒石酸)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例7〜12では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃での可使時間が55〜75分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.8N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
表6から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例7や、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)、Ci(クエン酸)及びCiNa(クエン酸ナトリウム)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例8や、CiNa(クエン酸ナトリウム)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が75.52%と多く含む比較例9では、作業雰囲気温度5℃及び35℃での可使時間が50分以下であり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2以下であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)、Ci(クエン酸)又はCiNa(クエン酸ナトリウム)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例13〜16では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃での可使時間が55〜70分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜4.8N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
従って、上記表4〜表6から、アルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)と、無機炭酸塩(炭酸カリウム、ソーダ灰)と、カルボン酸類(クエン酸、酒石酸、クエン酸ナトリウム)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含むとき、作業雰囲気温度5〜35℃での可使時間が55〜75分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.9N/mm2の範囲にあることが判った。
表7から明らかなように、ガラス化率70%のカルシウムアルミネートを含む比較例10では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃での可使時間が55〜65分であったものの、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が3.9N/mm2、作業雰囲気温度20℃、材齢3時間での圧縮強度が4.3N/mm2であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これに対し、ガラス化率90%のカルシウムアルミネートを含む実施例6、及びガラス化率80%のカルシウムアルミネートを含む実施例17では、作業雰囲気温度5℃、20℃及び35℃で可使時間が60〜70分の範囲にあり、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が5.0〜5.9N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
なお、特許文献1には1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上であると記載されているのに対し、上記実施例1〜17では材齢3時間での圧縮強度が4.5〜8.2N/mm2と低いのは、特許文献1では水材料比の少ない材料を用いているのに対し、実施例1〜17では水材料比の大きな材料を用いているためである。
<実施例18>
10質量%のカルシウムアルミネートCA90と10質量%のフッ酸二型無水石膏S8と80質量%の普通ポルトランドセメントNとからなる結合材Bと、0.4質量%のアルミン酸ソーダAl−2と0.6質量%のソーダ灰Na−2と0.4質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、100質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を実施例18とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<実施例19>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、100質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を実施例19とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<実施例20>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、100質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を実施例20とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.0であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
<実施例21>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を実施例21とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<実施例22>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を実施例22とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<実施例23>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、150質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を実施例23とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは1.5であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
<比較例11>
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例11とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例12>
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例12とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例13>
砂Sを混合せずに、実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例13とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
<比較例14>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例14とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例15>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例15とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例16>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、60質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例16とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.6であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
<比較例17>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、50質量%の水とを混合した。この混合物を比較例17とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.5であった。
<比較例18>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、40質量%の水とを混合した。この混合物を比較例18とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.4であった。
<比較例19>
実施例18の結合材Bと、実施例18の結合凝結剤と、80質量%の砂Sと、30質量%の水とを混合した。この混合物を比較例19とした。この混合物の砂結合材比率S/Bは0.8であり、水結合材比率W/Bは0.3であった。
<比較試験2及び評価>
実施例18〜23及び比較例11〜19の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、J14漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度練り上がり温度は、上記比較試験1と同様にして行った。またJ14漏斗流下時間は、土木学会標準JSCE−F541に準拠して行う試験であり、上記混合物の流動性を確認する試験である。具体的には、漏斗として、上端内径(注入口内径)70mm、下端内径(流出口内径)14mm、高さ392mm、厚さ約3mm、内容積630mlの黄銅製のJ14漏斗を用いる。先ずこの漏斗の注入口が上側に位置し流出口が下側に位置するように鉛直方向に延びた状態で漏斗を台により支持し、この漏斗内に水を通して濡らした後に、上記混合物を漏斗内に注ぐ。次いで漏斗の流出口から少量の混合物を流出させた後、指にて流出口を押さえた状態で混合物が漏斗上面に達するまで混合物を漏斗内に注入する。次に漏斗内の混合物の上面をならした後に、指を流出口から離して混合物を流出口から流出させ、流出口から連続的に流出する混合物の流れが初めて途切れるまでの流出時間(秒)を測定する。この流出時間(秒)をJ14漏斗流下時間とする。なお、J14漏斗流下時間を測定した後も、混合物を流出口から流出させ続け、漏斗内における混合物の残留状態を観察し、混合物のほぼ全量が流出したことを確認する。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、J14漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表9、表10及び図1〜図5に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間及び28日でそれぞれ測定した。また、実施例18〜23及び比較例11〜19の混合物の結合材Bと凝結調整剤と砂Sと水Wとの混合割合を、砂結合材比率S/B及び水結合材比率W/Bとともに、表8に示す。
Figure 0003912425
Figure 0003912425
Figure 0003912425
表9、表10及び図1〜図5から明らかなように、砂結合材比率S/Bが0である比較例11〜13、砂結合材比率S/Bが0.6である比較例14〜16、及び砂結合材比率S/Bが0.8である比較例17〜19では、水結合材比率W/Sを低下させると、雰囲気温度5℃、20℃及び35℃における始発時間の差が大きくなったのに対し、砂結合材比率S/Bが1.0である実施例18〜20や、砂結合材比率S/Bが1.5である実施例21〜23では、水結合材比率W/Sを低下させても、雰囲気温度5℃、20℃及び35℃における始発時間の差が殆ど無かった。この結果、砂結合材比率が1.0以上であって少なくとも1.5以下であれば、雰囲気温度の変化に拘らず始発時間を略一定にすることができることが判った。
<実施例24>
100質量%の普通ポルトランドセメントNと25質量%のカルシウムアルミネートCA90と25質量%のフッ酸二型無水石膏S8と10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、0.6質量%のAl−2と0.9質量%のソーダ灰Na−2と0.6質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を実施例24とした。
<実施例25>
120質量%の普通ポルトランドセメントNと15質量%のカルシウムアルミネートCA90と15質量%のフッ酸二型無水石膏S8と10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、0.6質量%のAl−2と0.9質量%のソーダ灰Na−2と0.6質量%の酒石酸Ta−2とからなる凝結調整剤と、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を実施例25とした。
<比較例20>
100質量%の普通ポルトランドセメントNと50質量%の速硬材KAと3質量%の膨張材CSAと10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、163質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、1.1質量%の凝結調整剤KSetと、65.2質量%の水とを混合した。この混合物を比較例20とした。
<比較例21>
100質量%の普通ポルトランドセメントNと50質量%の速硬材KAと10質量%のシリカフュームSFとからなる結合材Bと、160質量%の砂Sと、2質量%のポリマーPと1質量%の減水剤MXと0.6質量%の消泡剤Defとからなる混和材と、1.1質量%の凝結調整剤KSetと、64.0質量%の水とを混合した。この混合物を比較例21とした。
<比較試験3及び評価>
実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、J14漏斗流下時間、フロー値及びモルタルの2時間圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、及びモルタルの2時間圧縮強度は、上記比較試験1と同様にして行い、J14漏斗流下時間は、上記比較試験2と同様にして行った。フロー値は、JASS15M−103「セルフレベリング材の品質基準」3.5に準拠する静置フロー試験により測定した。この静置フロー試験は、混合物の流れ易さを判断できるため、勾配部分で混合物が流れるか否かを判断する参考になる試験である。具体的には、先ず厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を立てた状態で置く。次にこのパイプ内に予め練り混ぜた混合物を充填する。更にこのパイプを引き上げて、混合物の広がりが静止した後に、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。上記練り上がり温度、可使時間、始発時間、終結時間、J14漏斗流下時間、フロー値及びモルタルの2時間圧縮強度の測定結果を表12に示す。なお、実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物の結合材と砂と混和材と凝結調整剤と水との混合割合を表11に示す。
Figure 0003912425
Figure 0003912425
表12から明らかなように、従来品のコーカセッター(三菱マテリアル社製)からなる速硬材KAを用いた比較例20及び21では、雰囲気温度の変化に伴って、凝結時間(凝結の始発時間及び凝結の終結時間)が変化したため、雰囲気温度が5℃及び35℃であるときに、所定の可使時間が得られなかったのに対し、本発明の凝結調整剤を用いた実施例24及び25では、雰囲気温度が変化しても、凝結時間が殆ど変化しなかったため、雰囲気温度が5℃及び35℃であっても、所定の可使時間が得られた。また比較例20及び21では、雰囲気温度5℃におけるモルタルの2時間圧縮強度が8.7N/mm2及び6.8N/mm2と低かったのに対し、実施例24及び25では、雰囲気温度5℃におけるモルタルの2時間圧縮強度が21.7N/mm2及び16.4N/mm2と高くなった。
<比較試験4及び評価>
実施例24、実施例25、比較例20及び比較例21の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、傾斜部分の仕上げ性、注入性、注入体の2時間圧縮強度及びモルタルの長さ変化率をそれぞれ測定した。傾斜部分の仕上げ性は、sinθ=120/1067=0.11となる傾斜を有する容器内(縦50cm×横30cm×深さ8cm)に砕石を置いた後、混合物を注入したときに、混合物が流れるか否かを観察することにより評価した。注入性は、直径15cmの透明円筒容器内にバラストを詰めて混合物を注入した後、混合物が容器内を流下しこの混合物が達した容器の深さを測定することにより評価した。またモルタルの2時間圧縮強度は、JIS A 1108に準拠し、直径5cm×高さ10cmの鋼製型枠内に混合物を流し込んで作製した供試体を用いて、材齢2時間での圧縮強度を測定した。注入体の2時間圧縮強度は、直径15cm×高さ30cmの鋼製型枠に、空隙率が45%になるようにバラストを詰め、ここに混合物(モルタル)を注入して作製した注入試験体について、材齢2時間でJIS A 1108に準拠して強度試験を行い圧縮強度を測定した。更にモルタルの長さ変化率は、JIS A 1171に従って測定した。但し、試験値の単位はμ(1μは10-6)で示した。上記傾斜部分の仕上げ性、注入性、注入体の2時間圧縮強度及びモルタルの長さ変化率の測定結果を表13に示す。
Figure 0003912425
表13から明らかなように、従来品のコーカセッター(三菱マテリアル社製)からなる速硬材KAを用いたけれども、膨張材CSAを添加しなかった比較例21では、モルタルの長さ変化率が790μと大きかったのに対し、実施例24及び25では、膨張材CSAを添加しなかったにも拘らず、モルタルの長さ変化率がそれぞれ380μ及び360μと小さかった。この結果、比較例21では、収縮によるひび割れが発生し易いのに対し、実施例24及び25では、収縮によるひび割れが発生し難いことが判った。また実施例25では、カルシウムアルミネートCA90及び無機硫酸塩S8をそれぞれ15質量%まで減少させたにも拘らず、従来品のコーカセッター(三菱マテリアル社製)からなる速硬材KAを用いた比較例20と同程度の強度発現性(モルタルの2時間圧縮強度及び注入体の2時間圧縮強度)を示した。
<実施例26>
カルシウムアルミネートCA90を24.7質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を24.7質量%と、普通ポルトランドセメントNを50.8質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例26とした。この実施例26では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは100質量%であった。
<実施例27>
カルシウムアルミネートCA90を15.9質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を15.9質量%と、普通ポルトランドセメントNを66.4質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例27とした。この実施例27では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは200質量%であった。
<実施例28>
カルシウムアルミネートCA90を7.7質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を7.7質量%と、普通ポルトランドセメントNを84.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例28とした。ここで、この実施例28では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは500質量%であった。
<実施例29>
カルシウムアルミネートCA90を4.5質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を4.5質量%と、普通ポルトランドセメントNを104.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例29とした。ここで、この実施例29では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは1000質量%であった。
<比較例22>
カルシウムアルミネートCA90を26.0質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を26.0質量%と、普通ポルトランドセメントNを47.9質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を比較例22とした。ここで、この比較例22では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは90質量%であった。
<比較例23>
カルシウムアルミネートCA90を4.1質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を4.1質量%と、普通ポルトランドセメントNを105.6質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を比較例23とした。ここで、この比較例23では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは1100質量%であった。
<比較試験5及び評価>
実施例26〜29と比較例22及び23の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表14に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また表14には、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対するセメントの含有量(質量%)を、[セメント/混和材](質量%)として示した。
Figure 0003912425
表14から明らかなように、セメント/混和材が90質量%である比較例22では、可使時間が35分と短くなって圧縮強度が4.0N/mm2と低くなり、またセメント/混和材が1100質量%である比較例23では、可使時間が100分と長くなったけれども圧縮強度が3.5N/mm2と低くなったのに対し、セメント/混和材が100〜1000質量%である実施例26〜29では、可使時間が55〜75分と最適な範囲となって圧縮強度が5.0〜9.0N/mm2と高くなった。この結果、セメント/混和材を所定の範囲に設定することにより、可使時間を最適な範囲とすることができるとともに、圧縮強度が高くなることが判った。
<実施例30>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を10質量%とを混合した。この混合物を実施例30とした。この実施例30では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は50質量%であった。、
<実施例31>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を20質量%とを混合した。この混合物を実施例31とした。ここで、この実施例31では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は100質量%であった。
<実施例32>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を80質量%とを混合した。この混合物を実施例32とした。ここで、この実施例32では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は400質量%であった。
<実施例33>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を140質量%とを混合した。この混合物を実施例33とした。ここで、この実施例33では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は700質量%であった。
<比較例24>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を9質量%とを混合した。この混合物を比較例24とした。ここで、この比較例24では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は45質量%であった。
<比較例25>
カルシウムアルミネートCA90を9.3質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を9.3質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を150質量%とを混合した。この混合物を比較例25とした。ここで、この比較例25では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は750質量%であった。
<比較試験6及び評価>
実施例30〜33と比較例24及び25の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間の測定は、上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、可使時間、始発時間及び終結時間の測定結果を表15に示す。但し、表15には、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対する水の含有量(質量%)を、[水/混和材](質量%)として示した。
Figure 0003912425
表15から明らかなように、水/混和材が45質量%及び750質量%である比較例24では、可使時間が45分と短くなり、また水/混和材が750質量%である比較例25では、可使時間が95分と長くなったのに対し、水/混和材が100〜700質量%である実施例30〜33では、可使時間が55〜75分と最適な範囲となった。この結果、水/混和材を所定の範囲に設定することにより、可使時間を最適な範囲とすることができることが判った。
<実施例34>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を45.6質量%とを混合した。この混合物を実施例34とした。この実施例34では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は45質量%であった。
<実施例35>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を48.7質量%とを混合した。この混合物を実施例35とした。ここで、この実施例35では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は48質量%であった。
<実施例36>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を52.7質量%とを混合した。この混合物を実施例36とした。ここで、この実施例36では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は52質量%であった。
<実施例37>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を55.8質量%とを混合した。この混合物を実施例37とした。ここで、この実施例37では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は55質量%であった。
<比較例26>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を40.6質量%とを混合した。この混合物を比較例26とした。ここで、この比較例26では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は40質量%であった。
<比較例27>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸二型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を60.8質量%とを混合した。この混合物を比較例27とした。ここで、この比較例27では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は60質量%であった。
<比較試験7及び評価>
実施例34〜37と比較例26及び27の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5、20及び35℃として、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、P漏斗流下時間、可使時間、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表16に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また表16には、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対する水の含有量(質量%)を、[水/結合材](質量%)として示した。
Figure 0003912425
表16から明らかなように、水/結合材が40質量%である比較例26では、圧縮強度が7.9〜8.4N/mm2と高くなったけれども可使時間が35〜40分と比較的短くなり、また水/結合材が60質量%である比較例27では、可使時間が85〜90分と長くなったけれども圧縮強度が3.9〜4.1N/mm2と比較的低くなったのに対し、水/結合材が45〜55質量%である実施例34〜37では、雰囲気温度が5、20及び35℃と変化しても、可使時間が60〜75分と最適な範囲となって圧縮強度が5.2〜7.9N/mm2と高くなった。この結果、水/結合材を所定の範囲に設定することにより、雰囲気温度が5〜35℃と変化しても、可使時間を最適な範囲とすることができるとともに、圧縮強度が高くなることが判った。
実施例18〜20の混合物の水結合材比率W/Sの変化に対する始発時間の変化を示す図である。 実施例21〜23の混合物の水結合材比率W/Sの変化に対する始発時間の変化を示す図である。 比較例11〜13の混合物の水結合材比率W/Sの変化に対する始発時間の変化を示す図である。 比較例14〜16の混合物の水結合材比率W/Sの変化に対する始発時間の変化を示す図である。 比較例17〜19の混合物の水結合材比率W/Sの変化に対する始発時間の変化を示す図である。

Claims (8)

  1. カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含む混和材において、
    前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、
    前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とする混和材。
  2. 混和材100質量%に対してセメント100〜1000質量%及び水50〜700質量%を混合してセメントペーストを調製したときに、可使時間が55〜75分である請求項1記載の混和材。
  3. 混和材及びセメントの合計100質量%に対して水45〜55質量%を混合して調製したセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm2以上である請求項2記載の混和材。
  4. 請求項1記載の混和材をセメント鉱物と混和材の合計量に対して内割で10〜40質量%を含むセメント組成物。
  5. セメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μmの砂を100〜200質量%含む請求項4記載のセメント組成物。
  6. セメント鉱物と混和材の合計量を100質量%とするとき、ポゾラン物質を0.1〜50質量%更に含む請求項5記載のセメント組成物。
  7. 水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が3〜5秒であり、静置フローが160mm以下であり、バラスト道床に注入して得られた注入体の材齢2時間での圧縮強度が10N/mm2以上である請求項5又は6記載のセメント組成物。
  8. 水と混練してモルタルを調製したときに、J14漏斗の流下時間が6〜10秒であり、材齢3時間での圧縮強度が5N/mm2以上である請求項5又は6記載のセメント組成物。
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