JP2021187715A - 勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタル - Google Patents

勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタル Download PDF

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Masanori Shibagaki
徳紀 江橋
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Abstract

【課題】材料分離せず、勾配を伴う大断面の補修や新設工事においても容易にポンプ圧送ができ、且つ充填できる流動性に加えて、充填後に勾配を確保し左官仕上げできる勾配面施工用速硬性モルタル組成物を提供すること。【解決手段】セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類からなる結合材と、細骨材と、減水剤と、繊維類とを含み、減水剤が、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される少なくとも一種の減水剤を含み、ポリカルボン酸系減水剤の含有量が、結合材100質量部に対し、0.08質量部未満であり、細骨材の含有量が、結合材100質量部に対し、110〜270質量部である、勾配面施工用速硬性モルタル組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタルに関する。
昨今、土木・建築工事において各種要因により劣化したコンクリート構造物を補修や補強するため、セメント系補修材が使用されている。セメント系断面修復材としては、例えば小断面の補修であれば左官工法用のモルタル、型枠が設置可能な大断面の補修では流し込みが可能な充填工法用のモルタルが使用され、型枠が設置できない大断面の補修では吹付用のモルタル等が使用されている。
一方で道路や鉄道等の補修・新設工事については、工事による閉鎖期間に制限があるため、緊急の補修工事や夜間工事として速硬性モルタルが数多く適用されている。
このような材料としては、例えば、高流動で大断面に流し込み充填可能なものとして、アルミナセメント、高炉スラグ、ポルトランドセメント、石膏及び消石灰よりなる水硬性無機結合材と、硫酸アルミニウム類、リチウム塩及び遅延剤よりなる凝結調整剤と、流動化剤、増粘剤、消泡剤、膨張剤及び細骨材とよりなる超速硬性無収縮グラウト材(特許文献1参照)や、作業性が良くコテ仕上げで均一に施工でき、小断面の補修に用いられ得るものとして、セメントとポリマー、細骨材、超速硬性クリンカー、石膏、凝結調節剤を含有してなり、超速硬性クリンカーが炭酸成分を含有したCaO−Al系超速硬性クリンカーである急硬ポリマーセメントモルタル組成物(特許文献2参照)が知られている。
特開平11−021160号公報 特開2014−218415号公報
ところで、雨水処理対策として2〜3%の勾配を施す土間や通路の補修・改修・施工工事では、ダレ等が生じるため打設規模が大きくても高流動モルタルは使用できず、左官用モルタルを打設し、コテ仕上げにより勾配調整を行っていた。つまり、大断面に大容量を一度に打設することができるモルタルがないため、手間や労力を要し、施工効率が低いという課題があった。そのため、ポンプ圧送などにより大量打設も可能でありながら、打設後に勾配を確保して左官仕上げできるモルタルが求められている。しかしながら、ポンプ圧送ができる程度に高い流動性と、左官仕上げができる程度に硬い流動性とは相反する性質であり、これを両立することは困難であった。また、モルタルの流動性が高くなると材料分離も生じやすくなり、使用時に問題となる。
したがって、本発明は、材料分離せず、勾配を伴う大断面の補修や新設工事においても容易にポンプ圧送ができ、且つ充填できる流動性に加えて、充填後に勾配を確保し左官仕上げできる勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定の種類の減水剤を用い、細骨材の含有量を調整することで、ポンプ圧送及び左官施工の両方が可能となる適切な流動性を有する勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタルが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]で示される。
[1]セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類からなる結合材と、細骨材と、減水剤と、繊維類とを含み、減水剤が、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される少なくとも一種の減水剤を含み、ポリカルボン酸系減水剤の含有量が、結合材100質量部に対し、0.08質量部未満であり、細骨材の含有量が、結合材100質量部に対し、110〜270質量部である、勾配面施工用速硬性モルタル組成物。
[2]無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類の質量比([カルシウムアルミネートの含有量(質量部)]/[無機硫酸塩の含有量(質量部)])が1.5〜2である、[1]に記載の勾配面施工用速硬性モルタル組成物。
[3]ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される少なくとも一種の減水剤の含有量が、結合材100質量部に対し、0.01〜1質量部である、[1]又は[2]に記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
[4]収縮低減剤を更に含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
[5]ポンプ圧送に用いられる、[1]〜[4]のいずれかに記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物と、水とを含み、水の含有量が、結合材100質量部に対し、30〜50質量部である、勾配面施行用速硬性モルタル。
[7]0打フロー値が110〜150mmであり、且つ15打フロー値が160〜260mmである、[6]に記載の勾配面施行用速硬性モルタル。
本発明によれば、材料分離せず、勾配を伴う大断面の補修や新設工事においても容易にポンプ圧送ができ、且つ充填できる流動性に加えて、充填後に勾配を確保し左官仕上げできる勾配面施工用速硬性モルタル組成物及び勾配面施工用速硬性モルタルを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「勾配面」とは傾斜のある(勾配0%超)施工面を指す。傾斜の勾配(%)は特に限定されるものではないが、勾配が1%〜8%であることが好ましく、1%〜5%であることがより好ましく、1.5%〜4%であることが更に好ましい。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物は、セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類からなる結合材と、細骨材と、減水剤と、繊維類とを含む。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物において、結合材とは、セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類の三成分からなる。
セメントは、種々のものを使用することができ、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、速硬性セメント等が挙げられる。セメントとしては、ポンプ圧送及びコテ仕上げも可能で凝結時間も遅延しにくく可使時間をコントロールし易く、適度な流動性が得られやすいという観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントが好ましい。セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
無機硫酸塩は、硫酸イオンを溶出し、アルミニウムイオンと反応してエトリンガイトを形成できるものであれば限定されない。無機硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸リチウム等が挙げられる。無機硫酸塩は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。無機硫酸塩の中でも、強度発現性が向上しやすいという観点から、硫酸カルシウムが好ましい。硫酸カルシウムとしては、例えば、無水石膏、半水石膏、二水石膏等の石膏類が挙げられる。石膏類としては、強度発現性を更に向上させるという観点から、無水石膏が好ましい。石膏類のブレーン比表面積は、速硬性及び強度発現性が得られやすいという観点から、4000〜10000cm/gであることが好ましく、5000〜9000cm/gであることがより好ましく、5500〜8500cm/gであることが更に好ましい。
無機硫酸塩の含有量は、結合材100質量部に対し、2〜25質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることがより好ましく、4〜15質量部であることが更に好ましい。無機硫酸塩の含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性や可使時間を確保し易く且つ強度発現性に優れやすい。
カルシウムアルミネート類は、CaOをC、AlをA、NaOをN、及びFeをF、SiOをSとして表したとき、CA、CA、C12、CA、又はCA等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、CAF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC・CaFやC11・CaF等と表示されるカルシウムフルオロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、CNAやC等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、CAやCA、C12、CAS等を主成分とするアルミナセメント、並びにC・CaSO等と表示されるカルシウムサルホアルミネートを総称するものである。カルシウムアルミネート類としてはアルミナセメントが好ましい。カルシウムアルミネート類は、結晶質のもの、非結晶質のもの、非晶質及び結晶質が混在したもののいずれも使用可能である。カルシウムアルミネート類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。カルシウムアルミネート類の粉末度は、初期強度発現性をより向上させるという観点から、ブレーン比表面積で3000cm/g以上であることが好ましく、5000cm/g以上であることがより好ましい。また、カルシウムアルミネート類の粉末度は、ブレーン比表面積で8000cm/g以下であることが好ましい。
カルシウムアルミネート類の含有量は、結合材100質量部に対し、5〜45質量部であることが好ましく、8〜40質量部であることがより好ましく、10〜35質量部であることが更に好ましい。カルシウムアルミネート類の含有量が上記範囲内であれば、速硬性及び可使時間を両立しやすく且つ強度発現性に優れやすい。
無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類の質量比([カルシウムアルミネートの含有量(質量部)]/[無機硫酸塩の含有量(質量部)])は1.5〜2であることが好ましく、1.7〜1.9であることがより好ましい。無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類の質量比が上記範囲内であれば、ポンプ圧送もコテ仕上げも可能となる適度な流動性が得られやすく、圧縮強度もより一層向上する。
細骨材としては、例えば、川砂、珪砂、砕砂、寒水石、石灰石砂、スラグ骨材等が挙げられる。細骨材は、これらの中から、微細な粉や粗い骨材を含まない粒度に調整した珪砂、石灰石砂等を用いることが好ましい。細骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。細骨材は、通常用いられる粒径5mm以下のもの(5mmふるい通過分)を使用するのが好ましい。
細骨材の粒度は特に限定されるものではなく、必要とする細骨材の粒度の範囲内で調整することができる。細骨材は、JIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」により規定される粗粒率からその粒度を考慮することができる。モルタルとした時により良好な流動性が得られやすく、ブリーディングを抑制しやすいという観点から、細骨材の粗粒率は、1〜4であることが好ましく、1.5〜3.8であることがより好ましく、1.8〜3.5であることが最も好ましい。
細骨材の含有量は、結合材100質量部に対し、110〜270質量部である。細骨材の含有量が上記範囲外であると、ポンプ圧送及びコテ仕上げを両立できる流動性が得られなかったり、材料分離が生じたり、施工性が低下したりする。細骨材の含有量は、結合材100質量部に対し、120〜250質量部であることが好ましく、130〜220質量部であることがより好ましく、140〜200質量部であることが更に好ましい。細骨材の含有量が上記範囲内であれば、ポンプ圧送もコテ仕上げも可能となる適度な流動性が得られやすく、施工性も一層向上する。
減水剤は、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される少なくとも一種を含む。減水剤は、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤及び流動化剤を含む。このような減水剤としては、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に規定される減水剤が挙げられる。減水剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
減水剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.8質量部であることがより好ましく、0.03〜0.7質量部であることが更に好ましい。減水剤の含有量が上記範囲内であれば、ポンプ圧送もコテ仕上げも可能となる適度な流動性が得られやすい。本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物におけるポリカルボン酸系減水剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.08質量部未満である。ポリカルボン酸系減水剤の含有量が0.08質量部以上であると、流動性が高くなりすぎ、材料分離が生じたり、勾配面に対して使用した際にダレ等が生じてコテ仕上げができなかったりする。ポリカルボン酸系減水剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.05質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以下であることがより好ましく、ポリカルボン酸系減水剤は実質的に含まれないことが更に好ましい。
繊維類としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の有機繊維;鋼繊維;ガラス繊維等の無機繊維が挙げられる。繊維類は、分散性がより良好であるという観点から、有機繊維であることが好ましく、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維がより好ましい。繊維類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
繊維類の長さは、1〜30mmであることが好ましく、1.5〜20mmであることがより好ましく、2〜15mmであることが更に好ましい。繊維類の長さが上記範囲内であれば、モルタル混練時における材料分散性が更に向上する。
繊維類の含有量は、結合材100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.03〜3質量部であることがより好ましく、0.05〜2質量部であることが更に好ましい。繊維類の含有量が上記範囲内であれば、モルタル混練時における材料分散性を維持するとともに、ひび割れ抵抗性を主とする耐久性が更に向上する。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、アルカリ金属炭酸塩が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩は、アルカリ金属(水素原子を除く周期表第一族元素)の炭酸塩であれば特に限定されるものではない。アルカリ金属炭酸塩の中でも、強度発現性を更に促進させるという観点から、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。硬化促進剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
硬化促進剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.1〜2質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1.2質量部であることが更に好ましい。硬化促進剤の含有量が上記範囲内であれば、初期の強度発現性が一層優れたものとなる。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物は、凝結遅延剤を含有してもよい。凝結遅延剤としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸又はその塩;ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、リン酸塩、アルカリ金属重炭酸塩等の無機塩;糖類が挙げられる。これらの中でも、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸及び酒石酸塩が好ましい。凝結遅延剤は、粉体であってもよく、液状体(例えば、水溶液、エマルジョン、懸濁液の形態)であってもよい。凝結遅延剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
凝結遅延剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.8質量部であることがより好ましく、0.08〜0.5質量部であることが更に好ましい。凝結遅延剤の含有量が上記範囲内であれば、可使時間を更に確保しやすい。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物は、収縮低減剤を含有してもよい。収縮低減剤は、例えば、ポリオキシアルキレン化合物、ポリエーテル系化合物、アルキレンオキシド化合物等を用いることができる。収縮低減剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン・アルキルアリルエーテル、ポリプロピレングリコール、低級アルコールアルキレンオキシド付加物、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体、ポリエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、エチレンオキシドメタノール付加物、エチレンオキシド・プロピレンオキシド重合体、フェニル・エチレンオキシド重合体、シクロアルキレン・エチレンオキシド重合体、ジメチルアミン・エチレンオキシド重合体等が挙げられる。収縮低減剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
収縮低減剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.3〜3質量部であることがより好ましく、0.5〜2質量部であることが更に好ましい。収縮低減剤の含有量が上記範囲内であれば、凝結遅延を殆ど生じさせることなく、硬化後の乾燥収縮を抑制し耐久性を更に向上させることができる。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種混和剤(材)を配合してもよい。混和剤(材)としては、例えば、膨張材、セメント用ポリマー、消泡剤、発泡剤、防水剤、防錆剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤、高炉スラグ微粉末、石粉、土鉱物粉末、スラグ粉末、フライアッシュ、シリカフューム、無機質フィラー、火山灰等が挙げられる。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、上記した材料を、V型混合機や可傾式コンクリートミキサー等の重力式ミキサー、ヘンシェル式ミキサー、噴射型ミキサー、リボンミキサー、パドルミキサー等のミキサーにより混合することで製造することができる。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物は、水と混合して勾配面施工用速硬性モルタルを調製することができ、その水の含有量は用途に応じて適宜調整すればよい。水の含有量は、結合材100質量部に対し、30〜50質量部であることが好ましく、33〜48質量部であることがより好ましく、35〜45質量部であることが更に好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、ポンプ圧送もコテ仕上げも可能となる適度な流動性が得られやすく、施工性も一層向上する。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタルの調製は、通常の速硬性モルタル組成物と同様の混練器具を使用することができ、特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば、モルタルミキサー、グラウトミキサー、ハンドミキサー、傾胴ミキサー、二軸ミキサー等が挙げられる。
本実施形態の勾配面施行用速硬性モルタルは、0打フロー値が110〜150mmであり、且つ15打フロー値が160〜260mmであることが好ましく、0打フロー値が120〜148mmであり、且つ15打フロー値が180〜250mmであることがより好ましく、0打フロー値が125〜148mmであり、且つ15打フロー値が195〜245mmであることが更に好ましい。0打フロー値が110以上及び15打フロー値が160以上あればポンプ圧送が容易に行える傾向にあり、0打フロー値が150mm以下及び15打フロー値が260mm以下であれば、モルタルの材料分離の発生を抑制しやすく、コテ仕上げによる勾配面施工用速硬性モルタルの調整が容易となる傾向にある。
本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物及びそのモルタルは、適度な硬さを保持しつつ伸びやすいという適度な流動性を有し、材料分離しにくいため、大断面へのポンプ圧送による打設もコテを用いた左官仕上げのどちらにも対応でき、また勾配がある打設面であってもダレが生じない。したがって、本実施形態の勾配面施工用速硬性モルタル組成物及びそのモルタルは、勾配を施す土間や通路等の補修・改修・施工工事に好適に利用することができる。その施工方法は特に限定されず、施工箇所にポンプで圧送し、コテ仕上げする方法、凹部にコテで充填する方法、充填後にバイブレーター等で均した後にコテで仕上げる方法等が選択できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で用いる材料は以下のとおりである。
セメント:普通ポルトランドセメント
無機硫酸塩:無水石膏(ブレーン比表面積:7000cm/g)
カルシウムアルミネート:アルミナセメント(主成分:CA)
細骨材:珪砂調整品(粗粒率2.0〜3.0に粒度調整したもの)
減水剤A:ナフタレンスルホン酸系減水剤
減水剤B:メラミンスルホン酸系減水剤
減水剤C:リグニンスルホン酸系減水剤
減水剤D:ポリカルボン酸系高性能減水剤
繊維:ナイロン繊維(繊維長5mm)
硬化促進剤:炭酸ナトリウム
凝結遅延剤:クエン酸
粉末収縮低減剤:低級アルコールのアルキレンオキシド付加物
[実験例1]
<速硬性モルタル組成物の製造>
表1に示す配合割合で各材料をヘンシェルミキサーに投入し、6分間混合して速硬性モルタル組成物を製造した。表1において各材料の数値は、セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネートからなる結合材を100質量部としたときの質量部で示す。
<速硬性モルタルの製造>
製造した速硬性モルタル組成物と水を、カゴ型高速ハンドミキサー(1000rpm)で90秒間練り混ぜ、速硬性モルタルを作製した。水の配合割合は表1に示すとおりである。
Figure 2021187715
<速硬性モルタルのフレッシュ性状の評価>
製造した速硬性モルタル(本発明品1〜7、参考品1〜4)のフレッシュ性状におけるコンシステンシー、可使時間、材料分離抵抗性及び施工性を測定して評価した。各評価試験方法を以下に示す。
〔コンシステンシー〕
JIS R5201:1997「セメントの物理試験方法」のセメントペースト容器(フローコーン)に速硬性モルタルを充填し、容器引き上げ後のテーブルフロー値(0打フロー値)及び15打落下振動後のテーブルフロー値(15打フロー値)を測定した。
流動性判定では、ポンプ圧送ができ、且つ充填できる流動性に加えて、充填後にコテ仕上げで勾配を確保できる流動性の指標として0打フロー値110〜150mm、15打フロー値160〜260mmを満たすものを良好、満たさないものを不良、後述する材料分離抵抗性試験で分離が見られたものを分離有として評価した。
〔可使時間〕
350mlのプラカップに300mlの速硬性モルタルを入れ、5分ごとにプラカップを3回移し換え、流動性を確認した。モルタルがゲル化し流動性が損なわれた時点(モルタルがプラカップを逆さまにして落ちなくなった時点)を可使時間とした。可使時間は、ポンプ圧送する作業性保持時間を維持する観点で、練り上がりから30分以上保持できることを指標とした。
〔材料分離抵抗性〕
材料分離抵抗性は練混ぜた速硬性モルタルの骨材分離の有無を触感により確認し、速硬性モルタルに均一性が無く、容器の底面に細骨材の触感が顕著に認められるものを×(骨材分離有)、速硬性モルタルが均一で、容器の底面に細骨材の触感が認められないものを○(骨材分離無し)とした。
〔施工性〕
長さ30cm×幅30cm×高さ15cmの木製型枠に速硬性モルタルを流し込み、勾配が概ね2%程度となるように速硬性モルタルをコテで均す。可使時間が無くなり、速硬性モルタル表面が締まり始めた頃合いに再度、コテで均し2%勾配となるようにコテ仕上げを実施した。施工性の指標として、良好にコテ仕上げができ勾配調整できたものを○、ダレの発生や勾配が調整できなかったものを×とした。
表2にフレッシュ性状の評価結果を示す。実施例の速硬性モルタルは、何れも練上り直後の0打フロー値が129〜146mm、15打フロー値が187〜240mmであり、容易にポンプ圧送できる流動性であることを確認した。施工性については、型枠に流し込んだ速硬性モルタルを容易にコテで均し、且つ勾配調整することが可能であった。さらに可使時間についても何れも30分以上保持できることを確認した。
Figure 2021187715
[実験例2]
<モルタルの硬化性状の評価>
製造した速硬性モルタル(本発明品1〜7、参考品1及び2)の硬化性状における圧縮強度を測定し評価した。各評価試験方法を以下に示す。
〔圧縮強度〕
JIS R5201:1997「セメントの物理試験方法」の準拠し、圧縮強度を測定した。速硬性モルタルの指標として、材齢3時間及び24時間の短時間強度を測定した。養生は、各材齢時間まで20℃、RH60%の試験室で気中養生を行った。
表3に圧縮強度の測定結果を示す。実施例の供試体では、材齢3時間で12N/mm以上の短時間強度発現性があり、材齢24時間では20N/mm以上の強度発現性を確認した。
Figure 2021187715
[実験例3]
<速硬性モルタルのポンプ圧送性とのひび割れ抵抗性評価>
本発明品1及び3、4を用いて、速硬性モルタルのポンプ圧送性及びひび割れ抵抗性を確認した。試験方法を以下に示す。
〔ポンプ圧送性〕
パン型ミキサーで練混ぜた速硬性モルタルを用い、スクイズ式グラウトポンプでφ1.5インチの耐圧ホース20mを介して圧送し、ホース筒先から出てきた速硬性モルタルのテーブルフロー値及び材料分離抵抗性を実施例1と同様に確認した。ポンプ圧送性の指標として、圧送後のホース筒先から出てきた速硬性モルタルの0打フロー値が110〜150mm及び15打フロー値が160〜260mmの範囲内であるものを○(ポンプ圧送性良好)、範囲外であるものを×(ポンプ圧送性不良)とした。
〔ひび割れ抵抗性〕
NEXCO試験法432−2006の「断面修復用吹付けモルタルの試験方法」に準じ、鋼製型枠の底面にD13鉄筋を溶接した鋼製三角形型枠(75mm×75mm×6mm×1000mm)に速硬性モルタルを流し込み、成型後材齢28日におけるひび割れ発生状況を確認した。室温20±3℃、相対湿度60±10%の試験室で養生を実施した。
表4に速硬性モルタルのポンプ圧送性及びひび割れ抵抗性の評価結果を示す。本発明品は、ポンプ圧送後のフロー値が、0打フロー値で139〜145mm、15打フロー値で212〜222mmの範囲内であり、閉塞や材料分離を発生することなく良好なポンプ圧送性を確認した。また、本発明品の供試体では、ひび割れの発生は無く、良好なひび割れ抵抗性が確認された。
Figure 2021187715

Claims (7)

  1. セメント、無機硫酸塩及びカルシウムアルミネート類からなる結合材と、細骨材と、減水剤と、繊維類とを含み、
    前記減水剤が、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される少なくとも一種の減水剤を含み、
    ポリカルボン酸系減水剤の含有量が、前記結合材100質量部に対し、0.08質量部未満であり、
    前記細骨材の含有量が、前記結合材100質量部に対し、110〜270質量部である、勾配面施工用速硬性モルタル組成物。
  2. 前記無機硫酸塩及び前記カルシウムアルミネート類の質量比([前記カルシウムアルミネートの含有量(質量部)]/[前記無機硫酸塩の含有量(質量部)])が1.5〜2である、請求項1に記載の勾配面施工用速硬性モルタル組成物。
  3. ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤及びメラミン系減水剤からなる群から選択される前記少なくとも一種の減水剤の含有量が、前記結合材100質量部に対し、0.01〜1質量部である、請求項1又は2に記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
  4. 収縮低減剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
  5. ポンプ圧送に用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の勾配面施行用速硬性モルタル組成物と、水とを含み、
    前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対し、30〜50質量部である、勾配面施行用速硬性モルタル。
  7. 0打フロー値が110〜150mmであり、且つ15打フロー値が160〜260mmである、請求項6に記載の勾配面施行用速硬性モルタル。
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