JP2017047640A - セメント組成物への凝結促進剤の添加方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のセメント組成物への凝結促進剤の添加方法は、ギ酸及び凝結促進剤である炭酸リチウムを水に添加して、ギ酸濃度が10〜30質量%で炭酸リチウム濃度が10〜30質量%の凝結促進剤含有混合水溶液を予め調製し、該凝結促進剤含有混合水溶液を、セメント混練物を調製するために添加する混練水の一部としてセメント組成物に配合することを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法である。
【選択図】なし
Description
従来、コンクリートやモルタルの硬化を促進する方法としては、アルミン酸ナトリウム、炭酸リチウム、C12A7等のカルシウムアルミネート類等の凝結促進剤を添加する方法が用いられていた。
かかる炭酸リチウムは、水への溶解性が低く、従って、プレミクス粉体製品を水と混練りする際に、均質に分散混合することが難しく、まだら混合となってしまい、従って、強度発現性に劣るという問題があった。
なお、セメント組成物とは、セメント粉体、モルタル粉体、コンクリート粉体を含む概念であり、セメント混練物とは、セメント組成物に水を添加配合してなる、セメントペースト、セメントモルタル、コンクリートを含む概念である。
これまでは、炭酸リチウム等の凝結促進剤は、一般的にプレミクス粉体として予め配合されていたところ、炭酸リチウムの凝結促進剤は水への溶解度が小さいため、セメント混練物を調製する際には、炭酸リチウムの凝結促進剤の配合がまだらになってしまい、均質に混練り配合することが困難であり、従って強度発現性に問題があった。本発明の添加方法によれば、セメント混練物中に炭酸リチウムが均質に分散配合されることができることが可能となり、凝結促進性能のみならず、早期強度発現性に優れることができる。
また、必要に応じて、凝結促進剤を添加配合することで、適度な可使時間を有することも可能となる。
本発明は、ギ酸及び凝結促進剤である炭酸リチウムを水に添加して、ギ酸の濃度が10〜30質量%で、炭酸リチウムの濃度が10〜30質量%である凝結促進剤含有混合水溶液を予め調製し、該凝結促進剤含有混合水溶液を、セメント混練物を調製するために添加する混練水の一部としてセメント組成物に配合する、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法である。
まず、当該炭酸リチウムとギ酸とを予め水に溶解させて、高濃度の凝結促進剤含有混合水溶液を調製する。
ギ酸と凝結促進剤である炭酸リチウムとを上記濃度で組み合わせて用いて凝結促進剤含有混合水溶液とすることで、凝結促進剤である炭酸リチウムを均質にセメント組成物へ配合することができ、従って、得られるセメント混練物が、優れた凝結性能である急硬性に優れるとともに、短時間で高強度を発現することが可能となる。
従って、かかる凝結促進剤含有混合水溶液のpHは1〜8程度、好ましくは2〜7とすることが、炭酸リチウムの水への均一な溶解性を保持するため望ましい。
まず該凝結促進剤含有混合水溶液を水に希釈して凝結促進剤を含有する混練水を予め調製し、該混練水を、セメント組成物に配合して混練りすることにより、セメント混練物を調製する。
本発明においては、凝結促進剤含有混合水溶液をセメント組成物に直接配合するのではなく、上記したように、高濃度の凝結促進剤含有混合水溶液を予め水で希釈して混練水とし、該混練水を用いることで、セメント組成物へ凝結促進剤である炭酸リチウムが均質に分散混練されることが容易となり、上記本発明の効果を有効に発現することができる。
また、粉体中に占めるセメントの割合は、20質量%程度以上とすることが好ましい。
硫酸塩としては、例えば、芒硝(硫酸ナトリウム)、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩、硫酸マグネシウム、石こう(硫酸カルシウム)などのアルカリ土類金属硫酸塩、硫酸アルミニウムなどが挙げられ、強度発現性から、石膏の使用が、あるいは石こうと芒硝の併用が好ましい。
石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏、またはこれらの混合物が例示できる。
また、その他必要に応じて配合が可能な材料として消石灰が挙げられる。当該消石灰は更なる強度増進のために添加される。
これらの硫酸塩や消石灰等の細かさは、特に限定するものではないが、好ましくは3000cm2/g以上である。強度発現性およびコストを考慮した場合、より好ましいのは4000〜10000cm2/gの細かさのものである。
カルシウムアルミネート系鉱物としては、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、3CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3などの化学成分としてCaOとAl2O3からなる結晶質又はガラス化が進んだ構造のものの他、他の化学成分も加わった4CaO・3Al2O3・SO3、11CaO・7Al2O3・CaX2(Xはハロゲン)、Na2O・8CaO・3Al2O3などの広義のカルシウムアルミネートも含まれる。
かかるカルシウムアルミネート系鉱物は、セメント混練物を調製する際に、添加配合してもよい。カルシウムアルミネート系鉱物を含有すると、速硬性能を更に有効に発現することができる。
必要に応じて含有される細骨材としては、特に限定はなく、山砂、川砂、陸砂、砕砂、海砂、珪砂3〜7号等の比較的粒径の細かい細骨材、または珪石粉、石灰石粉等の微粉末等の公知の細骨材やこれらの混合物を使用できる。また、本発明では、細骨材としては、土木建築学会で規定される、5mmふるいを85重量%以上通過するものを用いることもできる。
その配合割合は特に限定されず、使用する用途に応じて決定することができる。
各種添加剤や混和剤としては、コンクリートを調製する際に添加される公知の添加剤であれば、用途に応じて添加することができ、例えば、凝結遅延剤、消泡剤、防錆剤、防凍剤、着色剤、減水剤、高性能減水剤等の各種の混和剤や、耐久性を向上させるための炭素繊維や鋼繊維などの補強材を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
セメント混練物の調製法は、特に限定するものではなく、慣用のミキサーで原料を混合すれば良い。
混練には、通常のコンクリートの混練に用いられるミキサー、例えば、オムニタイプミキサー、パンタイプミキサー、2軸ミキサー等を用いることができる。混練方法は、特に限定されないが、一般的には、材料を一括してミキサーに投入して、混練すればよい。また、モルタルを先練りし、これを粗骨材にまぶす方法によってコンクリート混練物としてもよい。
(使用材料)
以下の材料を用いて、下記実施例及び比較例を実施した。
・超速硬セメント粉体(JC):製品名 ジェットセメント、住友大阪セメント株式会社製
・細骨材:株式会社丸東 珪砂3号
・炭酸リチウム粉体:本庄ケミカル株式会社製
・ギ酸:株式会社朝日化学工業所製
・クエン酸: 扶桑化学工業株式会社製
・高性能減水剤:製品名 マイティ150、花王ケミカル株式会社製
・水:上水道
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が20質量%で炭酸リチウム濃度が20質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液1を調製した。
水の総量が360gとなるように、10ccの凝結促進剤混合水溶液1と2gのクエン酸と水とを混合して、混練水1を調製した。
超速硬セメント粉体1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、該混練水1を添加して、均一に混練することによりセメント混練物1を得た。
得られたセメント混練物1中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が30質量%で炭酸リチウム濃度が30質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液2を調製した。
水の総量が360gとなるように、約6.7ccの凝結促進剤混合水溶液2と2gのクエン酸と水とを混合して、混練水2を調製した。
超速硬セメント粉体1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、該混練水2を添加して、均一に混練することによりセメント混練物2を得た。
得られたセメント混練物2中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が10質量%で炭酸リチウム濃度が10質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液3を調製した。
水の総量が360gとなるように、20ccの凝結促進剤混合水溶液3と2gのクエン酸と水とを混合して、混練水3を調製した。
超速硬セメント粉体1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、該混練水3を添加して、均一に混練することによりセメント混練物3を得た。
得られたセメント混練物3中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
クエン酸2.0gを、360gの水に混合して、混練水溶液4を調製した。なお、炭酸リチウム及びギ酸は添加配合しない。
超速硬セメント粉末1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、該混練水4を添加して、均一に混練することによりセメント混練物4を得た。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸2gを360gの水と混合して、混練水溶液5を調製した。
炭酸リチウム粉体2.0gを超速硬セメント粉体1000gに予め混合して、混合粉体5を調製した。
得られた混合粉体5に、砂1200gと、高性能減水剤20gと、混練水溶液5を配合して、均一に混練することによりセメント混練物5を調製した。
得られたセメント混練物5中、含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
炭酸リチウム粉体2.0g、ギ酸2.0g及びクエン酸2.0gを、360gの水と混合して、混練水溶液6を調製した。
超速硬セメント粉末1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、混練水溶液6を配合して、均一に混練することによりセメント混練物6を調製した。
得られたセメント混練物6中、含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
炭酸リチウム2.0g及びクエン酸2.0gを、360gの水と混合して、混練水溶液7を調製した。なお、ギ酸は添加配合しなかった。
超速硬セメント粉体1000gに、砂1200gと、高性能減水剤20gと、該混練水溶液7を添加して、均一に混練することによりセメント混練物7を得た。
得られたセメント混練物7中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有される炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
クエン酸及び炭酸リチウム粉体を、クエン酸濃度が10質量%で炭酸リチウム濃度が5質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液8を調製した。
水の総量が360gとなるように、20ccの凝結促進剤混合水溶液8と、高性能減水剤20gと、水とを混合して、混練水8を調製した。
超速硬セメント粉体1000gに、砂1200gと、該混練水8を添加して、均一に混練することによりセメント混練物8を得た。
得られたセメント混練物8中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は0質量%(0g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が20質量%で炭酸リチウム濃度が20質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液9を調製した。
水の総量が360gとなるように、10ccの凝結促進剤混合水溶液9と2gのクエン酸と水と砂1200gと高性能減水剤20gとを、超速硬セメント粉体1000gに、直接それぞれ添加して、混練することによりセメント混練物9を得た。
得られたセメント混練物9中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が30質量%で炭酸リチウム濃度が30質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液10を調製した。
水の総量が360gとなるように、約6.7ccの凝結促進剤混合水溶液10と水と2gのクエン酸と砂1200gと高性能減水剤20gとを、超速硬セメント粉体1000gに、直接それぞれ添加して、混練することによりセメント混練物10を得た。
得られたセメント混練物10中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
ギ酸及び炭酸リチウム粉体を、ギ酸濃度が10質量%で炭酸リチウム濃度が10質量%となるように予め水に溶解させた凝結促進剤混合水溶液11を調製した。
水の総量が360gとなるように、20ccの凝結促進剤混合水溶液11と水と2gのクエン酸と砂1200gと高性能減水剤20gとを、超速硬セメント粉体1000gに、直接それぞれ添加して、混練することによりセメント混練物11を得た。
得られたセメント混練物11中、超速硬セメント粉体100質量部に対して含有されるギ酸は2.00質量%(2g)、炭酸リチウムは2.00質量%(2.0g)であった。なお、配合を以下の表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜8で得られた各セメント混練物について、以下の試験を実施して、各性能を評価した。
実施例1〜3及び比較例1〜8で得られた各セメント混練物について、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定された試験方法に基づき、凝結の始発時間及び終結時間を測定した。その結果を、下記表2に示す。
また、比較例1の凝結性能を基準として、各セメント混練物について、以下の基準で評価を行った。
+++・・比較例1の基準値と比較して、始発及び終結時間の両方が6分以上で促進された場合
++・・・比較例1の基準値と比較して、始発及び終結時間の両方が3分以上且つ6分未満で促進された場合
+・・・・比較例1の基準値よりも、始発又は終結時間が3分以上で促進された場合
0・・・・比較例1の基準値とほぼ同じ場合(始発及び終結時間の両方ともが基準値と2分以内の差の場合)
−・・・・比較例1の基準値よりも劣る場合
その結果を、下記表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜8で得られた各セメント混練物について、強度試験を実施した。
実施例1〜3及び比較例1〜8の各セメント混練物について、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定された試験方法に基づき、材齢3時間における圧縮強度を測定した。なお、各セメント混練物について2回測定し、各測定結果及び平均値を、下記表2に示す。
また、比較例1の圧縮強度性能値を基準として、各セメント混練物の平均値について、以下の基準で評価を行った。
+++・・比較例1の基準値と比較して、3時間強度が4.5N/mm2以上向上している場合
++・・・比較例1の基準値と比較して、3時間強度が3.5N/mm2以上且つ4.5N/mm2未満で向上している場合
+・・・・比較例1の基準値と比較して、3時間強度が3.5N/mm2未満内で向上している場合
0・・・比較例1の基準値と同じ場合
−・・・比較例1の基準値よりも劣る場合
比較例2のように、炭酸リチウム粉体をセメント組成物と混合し、またギ酸を配合する混練水と混合した場合、比較例3のようにギ酸と炭酸リチウムとを混練水全体に添加する場合、比較例4〜5のようにギ酸を用いないで場合は、強度発現性が基準値又は実施例のものと比較して劣ることがわかる。更に、比較例6〜8のように、凝結促進剤混合水溶液を直接セメント組成物に添加配合した場合では、凝結促進剤が均質に配合されないため、強度発現性に劣ることがわかる。これは凝結促進剤がセメントに対して局所的に作用し、部分的に促進又は遅延が発生し、高強度が発現しにくいものと推測される。
Claims (5)
- ギ酸及び凝結促進剤である炭酸リチウムを水に添加して、ギ酸濃度が10〜30質量%で炭酸リチウム濃度が10〜30質量%の凝結促進剤含有混合水溶液を予め調製し、該凝結促進剤含有混合水溶液を、セメント混練物を調製するために添加する混練水の一部としてセメント組成物に配合することを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法。
- 請求項1記載のセメント組成物への凝結促進剤の添加方法において、前記凝結促進剤含有混合水溶液を水と混合して予め混練水を調製し、該混練水をセメント組成物に配合することを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法。
- 請求項1又は2記載のセメント組成物への凝結促進剤の添加方法において、更に、セメント混練物に凝結遅延剤が配合されることを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法。
- 請求項3記載のセメント組成物への凝結促進剤の添加方法において、凝結遅延剤は、前記凝結促進剤混合水溶液又は混練水に添加配合されることを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法である。
- 請求項1乃至4いずれかの項記載のセメント組成物への凝結促進剤の添加方法において、前記凝結促進剤含有混合液のpHは1〜8であることを特徴とする、セメント組成物への凝結促進剤の添加方法。
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