JP3553386B2 - 軌道砕石部のグラウト材注入工法 - Google Patents

軌道砕石部のグラウト材注入工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道床バラスト間の隙間や枕木下に注入材を注入して、累積列車荷重による枕木の沈下や軌道の狂いなどを防止するのに適した軌道砕石部のグラウト材注入工法に関し、鉄道軌道の保線作業の大幅な省力化が可能で、しかも施工コストを削減することができる軌道砕石部のグラウト材注入工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、軌道砕石部の施工方法においては、枕木下や道床バラスト間に生じる空隙部に対して、注入材を注入することにより、累積列車荷重による枕木の沈下や軌道の狂いを防止する方法が採用されている。
【0003】
この方法で使用されている注入材としては、特開平7−69698に記載のセメントアスファルトモルタル(以下、「CAモルタル」と略記する)と呼ばれる特殊な注入材などが用いられている。このCAモルタルは、急結剤により急結性を付与される普通セメントモルタル、 アスファルト乳剤、ポリマーエマルジョン、発泡剤などの各種添加物よりなる複雑な組成のものであり、セメント系材料特有の脆性、伸び能力、じん性などをアスファルト乳剤を添加することで改善した独特の複合材料である。
表1に、CAモルタルの配合の一例を示す。
【0004】
【表1】
Figure 0003553386
【0005】
ところで、 上述したような用途に使用される注入材に要求される条件としては、次のような条件が挙げられる。
(1)使用する材料の種類が少なく、管理が容易である。
(2)注入に必要な流動性を有する。
(3)注入速度を速くすることができ、道床バラスト間への浸透速度が速い。
(4)鉄道などの、時間的制約がある現場においての急速施工に対応可能である。
(5)強度ならびに変形係数が、過大な値となることがない。
(6)ブリージングによる沈下がない。
(7)荷重に対する変形追随性と、ひび割れ抵抗性に優れる。
(8)耐久性に優れる。
(9)安価である。
【0006】
しかしながら、従来の軌道砕石部のグラウト材注入工法にあっては、CAモルタルなどの注入材が、 前記(2)〜(8)の要求条件を満足することはできるが、前記(1)の使用する材料の種類が少なく、管理が容易であることと、前記(9)の安価であることについては、要求条件を満足できるものではなかった。
【0007】
例えば、従来法で用いられているCAモルタルでは、表1からあきらかなように、その使用材料の構成は9種類にもおよび、さらに、一万分の1〜1%以下という、きわめて微量な添加量の管理を必要とする成分も使用しなければならなかった。
また、本来、注水後数時間かけて凝結し、数日後〜数週にわたって強度を発現するのが正常である普通セメントを、急結剤によって急結性とするため、季節変動や日間および日内温度変化に対応した急結剤の添加量管理を行う必要があり、特殊な技術が必要である。 このため、熟練した特別な技術者の管理下でのみしか、その優れた性能を発揮できず、その施工にあたっては、熟練した特別な技術者による管理が不可欠となっていた。
【0008】
したがって、従来の軌道砕石部のグラウト材注入工法にあっては、使用する注入材の性能については満足できても、多種類の材料を使用しているため、調製作業が煩雑であることや、管理技術が困難であることが、施工コストに反映し、工事遂行上の課題となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、このような問題を解決し、施工現場での注入作業が容易で、鉄道軌道の保線作業の大幅な省力化が可能で、しかも施工コストを削減することができる軌道砕石部のグラウト材注入工法を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、路盤上に敷き詰められた道床バラスト間の隙間または該道床バラストに埋設された枕木下あるいはこれら両方に注入材を注入する軌道砕石部のグラウト材注入工法であって、この工法に用いられる注入材として、比表面積が1500〜3500cm/gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm/gのセメントBとからなるセメントと、鉱物質フィラーとからなる一液性グラウト材を用い、このグラウト材硬化後の変形係数が2000〜50000kgf/cmである注入工法によって解決できる。さらに、枕木上に敷設されたレール上を走行自在な移動型プラントを当該レールに沿って移動させながら、該移動型プラントに積載された前記一液性グラウト材を混練、注入し、枕木下または道床バラスト間の隙間あるいはこれらの両方に前記一液性グラウト材を浸透、充填する軌道砕石部のグラウト材注入工法とすることが望ましい。
【0011】
また、前記鉱物質フィラーの粉末度は、1500〜6000cm /gとすることが望ましい。
また、前記鉱物質フィラーの添加量は、前記セメントAと前記セメントBとからなるセメント100重量部に対して50〜350重量部とすることが望ましい。
【0012】
本願発明者は、従来の軌道砕石部のグラウト材注入工法において使用されている注入材に残された課題、すなわち、多種類の材料を使用していることから、調製作業が煩雑であり、管理技術が困難であり、施工コストが高いという課題を解決し、なおかつ、その優れた性能を損なうことがないものとするため、本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法においては、 使用する材料を精選し、鋭意研究、検討を重ねた結果、比表面積が1500〜3500cm /gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm /gのセメントBとからなるセメントを結合剤とすることによって、使用する材料の種類を少なくし、材料の変形追随性およびひび割れ抵抗性を確保するために鉱物質フィラーを精選し、その添加によって、変形係数が過剰とならず、すなわち柔らかく、ひび割れ抵抗性にも優れた注入材を得ることができ、これを用いて施工することで施工時間を短縮することができることを見いだした。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法に用いられる注入材は、比表面積が1500〜3500cm/gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm/gのセメントBとからなるセメントと、鉱物質フィラーとからなるものであり、硬化後の変形係数が2000〜50000kgf/cm となる一液性グラウト材である。ここで、硬化後の変形係数は、50000kgf/cmを越えると荷重に対する変形追従性が小さくなり、好ましくない。また、変形係数が2000kgf/cm未満では、硬化体の強度が小さくなり好ましくない。
【0014】
上記のセメントは、比表面積が小さいセメントAと、このセメントAよりも比表面積が大きいセメントBとを混合して得ることができる。
【0015】
ここでのセメントAとしては、比表面積が1500〜3500cm/gの範囲であるセメントが好ましく使用される。比表面積が1500cm /g未満のものを使用した場合、粒子が粗く、水に触れる粒子の表面積が小さいことから、反応活性が低く、水和反応速度が遅くなるため、材齢に対する強度の発現が遅くなり、施工時間を短縮することができなくなり、好ましくない。一方、比表面積が3500cm /gを越えるセメントを用いた場合、目的とする性能が得られなくなる虞があるため、好ましくない。
【0016】
また、セメントAとしては、2CaO・SiOを、5〜30重量%含有し、かつ、前記含有量が、セメントBにおける2CaO・SiO含有量よりも多いものが好ましく使用される。ここで、2CaO・SiO含有量を5重量%未満とした場合、硬化後の硬化体の乾燥収縮が大きくなるため好ましくない。一方、30重量%を越える含有量とした場合、強度の発現が遅くなるため好ましくない。また、前記含有量がセメントBにおける2CaO・SiO含有量より少ない場合、セメント中の2CaO・SiO含有量が少なくなり、硬化後の硬化体の乾燥収縮が大きくなるため好ましくない。
【0017】
ここでのセメントBとしては、比表面積が4000〜7500cm/gの範囲であるセメントが好ましく使用される。比表面積が4000cm /g未満のものを使用した場合、目的とする性能が得られなくなる虞があるため、好ましくない。一方、7500cm /gを越えるセメントを用いた場合、粒子が細かく、水に触れる粒子の表面積が大きいことから、反応活性が高く、水和反応速度が速くなるため、注入に適した流動性を維持することが困難となり、可使時間が不十分となるので、また、コワバリが発生しやすくなるので好ましくない。
【0018】
また、セメントBとしては、11CaO・7Al・CaFを10〜30重量%含有するものが好ましく使用される。ここで、11CaO・7Al・CaF含有量を10重量%未満とした場合、水和反応速度が遅くなり、材齢に対する強度の発現が遅くなり、施工時間が長くなるため、好ましくない。一方、30重量%を越える含有量とした場合、水和反応速度が速くなるため、注入に適した流動性を維持することが困難となるため、好ましくない。
【0019】
さらにまた、セメントBとしては、 2CaO・SiOを、0〜10重量%含有し、かつ、前記含有量が、 セメントAにおける2CaO・SiO含有量よりも少ないものが好ましく使用される。 2CaO・SiO含有量が前記範囲を越える場合、強度の発現が遅くなるため好ましくない。
【0020】
このグラウト材に使用されるセメント中における、セメントAと、セメントBとの配合比は、目標とする可使時間や、必要とされる強度などに応じて決定され、セメントAおよびセメントBそれぞれの比表面積によって異なり、両者の特有の性質を合わせ持つものとなる範囲とされる。
このセメントAと、セメントBとの配合比は、具体的に例えば、セメントA:セメントB=20:80〜80:20程度の範囲とすることが好ましい。セメントAの配合比を前記範囲未満とした場合、水和反応速度が速くなるため、注入に適した流動性を維持することが困難となり、可使時間が不十分となるため、好ましくない。一方、前記範囲を越える配合比とした場合、水和反応速度が遅くなるため、材令に対する強度の発現が遅くなり、施工時間を短縮することができなくなり、好ましくない。
【0021】
このセメントを製造するのに使用されるセメント用クリンカーとしては、例えば、ジェットセメントなどの超速硬セメントや、アルミナ系セメント、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント用などのクリンカーを用いることができ、通常、ジェットセメント用クリンカーなどが、施工の条件などに応じて可使時間を容易に調整することができるという利点を有し、好ましく使用される。
【0022】
また、鉱物質フィラーとしては、粉末度が、ブレーン値として1500〜6000cm/g程度のものを用いるのが好ましく、 より好ましくは、2500〜4500cm/g程度のものが用いられる。粉末度が1500cm/gより小さくなると、ブリージングが大きくなる恐れがあるため、好ましくない。一方、粉末度が6000cm/gより大きくなると、 流動性が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0023】
ここでの鉱物質フィラーとしては、乾燥状態とされたものが好ましく、天然および人工鉱物粉末などを用いることができ、 具体的には、粘土粉末、石灰石粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、シリカフューム、珪石粉末、珪砂粉末、アルミナ粉末などが用いられる。
【0024】
ここで使用される鉱物質フィラーの添加量は、セメントAとセメントBとからなるセメント100重量部に対し、50〜350重量部程度、好ましくは、150〜250重量部程度の範囲とされる。鉱物質フィラーの添加量が50重量部未満であると、グラウト材の硬化体の変形係数が大きくなりすぎるがあるため好ましくない。一方、鉱物質フィラーの添加量が350重量部を越えると、グラウト材の硬化体の必要強度が得られなくなるがあるため好ましくない。
【0025】
また、ここで使用される乾燥収縮低減剤としては、有機系の乾燥収縮低減剤が用いられ、例えば、低級アルコールアルキレンオキシド付加物を主成分とするものや、低級アルコールを主成分とするもの、エーテル型非イオン表面活性剤を主成分とするものなどが使用され、具体的には、低級アルコールを主成分とするテスタF(商品名:住友大阪セメント株式会社製)などが好ましく使用される。
【0026】
さらに、必要に応じて添加される減水剤としては、モルタルやコンクリートの減水剤として一般に用いられているものを使用することができ、例えば、ナフタリン系、メラミン系、ポリカルボン酸系、リグニン系などのものが好ましく使用され、具体的には、ナフタリンスルフォン酸ホルムアルデヒド高縮合物を主成分とするマイティ150(商品名:花王株式会社製)などが好適に使用される。
また、ここで使用される減水剤の種類によっては、巻き込み空気を消すための消泡性界面活性剤などが添加され使用される。
【0027】
そのほかの添加剤としては、例えば、可使時間を調整するために必要に応じて添加される、硬化遅延剤などが挙げられる。
ここでの硬化遅延剤としては、ジェットセッターなどの有機酸系、リグニンスルホン酸塩系、グルコン酸塩系のものや、ポリオール高分子複合体を主成分とするものなどが好ましく使用される。
【0028】
本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法は、定置型プラント又は移動型プラントのいずれのプラントを用いても施工できるが、ここでは移動型プラントを例示して、実施の形態を説明する。従って以下の説明によって本発明内容が限定されるものではない。移動型プラントによる施工の例を、図1および図2を利用して説明する。
図1において、符号1は、路盤であり、符号5は、下層の道床バラスト、符号7は、前記下層の道床バラスト5に埋設された枕木、符号9は、前記枕木7上に敷設されたレール、符号10は、前記レール9上を走行自在な移動型プラントである。
【0029】
前記移動型プラント10は、モーターカー11と、これに接続された第一の台車12、第ニの台車13とを備えている。
この第一の台車12上には、一液性グラウト材14をなす材料である、比表面積が1500〜3500cm /gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm /gのセメントBとからなるセメントと鉱物質フィラーとが、別々に貯留されたサイロ15と、前記一液性グラウト材14をなす材料と水16とを混練するためのミキサ17と、前記ミキサ17で混練された一液性グラウト材14を、パイプ18を介して下層の道床バラスト5間の隙間に散布するためのポンプ19とが積載されている。前記サイロ15には、注入材供給管15aの一端が接続されている。また、この注入材供給管15aの他端は、前記ミキサ17に接続されている。
【0030】
一方、第二の台車13上には、発電機20と、前記ミキサ17に供給する水16を貯留するための水貯留層22と、廃液槽23とが積載されている。前記水貯留槽22には、水供給管25の一端が接続されている。また、この供給管25の他端は、前記ミキサ17に接続されている。
【0031】
枕木7下や道床バラスト間に生じる空隙部に注入材を注入するには、注入材として前記一液性グラウト材14を用い、前記移動型プラント10を前記レール9に沿って移動させながら、該移動型プラント10に積載された前記一液性グラウト材14を混練、注入し、前記枕木7下または下層の道床バラスト5間の隙間あるいはこれらの両方に前記一液性グラウト材14を浸透、充填することによって行われる。
【0032】
ここでの一液性グラウト材14の調製は、比表面積が1500〜3500cm /gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm /gのセメントBとからなるセメントと、鉱物質フィラーとを、第一のサイロ15からそれぞれ所定の配合量となるように、注入材供給管15aを介してミキサ17に投入し、ついで、必要に応じて減水剤などの添加剤を添加して、予備混練し、これに、水16を、水貯留槽22から水供給管25を介してミキサ17に供給し、さらに必要に応じて予備混練前に添加していない添加剤を添加し、さらに、これを混練することによって行われる。
また、前記一液性グラウト材14の浸透、充填は、前記ポンプ19からパイプ18に50〜300リットル/分程度、好ましくは、180〜200リットル/分程度で送り出し、図2に示すように、枕木7の周囲または下層の道床バラスト5上、あるいはこれらの両方に注入し、前記枕木7下または下層の道床バラスト5間の隙間あるいはこれら両方に浸透、充填させることによって行われる。
【0033】
このようにして一液性グラウト材14が注入された下層の道床バラスト5は、0.75〜3時間程度、好ましくは、1〜1.5時間程度養生すると、一種のコンクリートスラブへと転化した充填層5aとされる。
この後、充填層5a上および枕木7の周囲には、上層の道床バラストが敷き固められ、バラスト軌道とされ使用される。
【0034】
このような軌道砕石部のグラウト材注入工法にあっては、注入材として、比表面積が1500〜3500cm /gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm /gのセメントBとからなるセメントと、鉱物質フィラーとからなる一液性グラウト材14を用いているので、以下のような効果がある。
(1)一液性グラウト材14の配合における水材料比を高くすることなく、注入に適した流動性を得ることができる。このため、硬化後の一液性グラウト材14の乾燥収縮を少なくすることができ、湿乾の繰り返しに耐え得るバラスト軌道を提供できる軌道砕石部のグラウト材注入工法となる。
【0035】
(2)単純、かつ、管理の容易な材料のみを厳選して使用しているので、取扱いやすく、施工現場での注入工事の際の作業性を向上させることができる軌道砕石部のグラウト材注入工法となる。
(3)流動性に優れ、しかも粘性が低いので、道床バラスト5間の隙間や枕木7下への注入速度および浸透速度を速くすることができ、例えば、終電から始発間の短い時間内での急速施工でも、熟練した特別な技術者を必要とせずに十分対応することができ、 バラスト軌道の保線作業の大幅な省力化を計ることができる。
【0036】
(4)硬化後の変形係数が2000〜50000kgf/cmとなり、 荷重追従性が向上し、ひび割れ抵抗性ならびに耐久性に優れたバラスト軌道を提供することができる。
【0037】
また、レール9上を走行自在な移動型プラント10を用いた場合には、固定(定置)型プラントを用いる場合よりも設置費用がかからず、安価であるうえ、前記移動型プラント10をレール9の沿って移動させながら、グラウト材14を注入することができ、限られた時間内での急速施工でもフレキシブルに対応することができる。
【0038】
さらに、一液性グラウト材14に使用するセメントを、比表面積1500〜3000cm/gのセメントAと、比表面積4000〜7500cm/gのセメントBとからなるものとすることで、セメントAおよびセメントBの性質上の利点を、より一層生かすことができるものとなる。
【0039】
また、一液性グラウト材14に使用する鉱物質フィラーの粉末度を1500〜6000cm/g程度とした場合、 鉱物質フィラーの粉末度が高いため、これを含有してなるグラウト材のブリージングを防止することができ、硬化までの材料分離を防止する効果が優れ良好な流動性を有するものとなり、施工現場での注入工事の際の作業性をより一層向上させることができる。
さらに、一液性グラウト材14に使用する鉱物質フィラーの添加量を、セメントAとセメントBとからなるセメント100重量部に対し、50〜350重量部程度とすることで、硬化後の変形係数がより一層好ましいものとなり、荷重追従性が大幅に向上し、より一層優れたひび割れ抵抗性ならびに耐久性を有するバラスト軌道を提供することができる。
【0040】
また、道床バラストに、一液性グラウト材14を充填し、養生することで、一種のコンクリートスラブ軌道へと転化せしめることができるので、道床バラストの移動、破壊、粉状化、累積列車荷重による枕木7の沈下や軌道の狂いなどを防止できるバラスト軌道を提供することができる軌道砕石部のグラウト材注入工法となる。
【0041】
なお、本発明の移動型プラントによる施工においては、移動型プラント10の第一の台車12に積載されたミキサ17で、一液性グラウト材14を混練し、パイプ18から散布した場合について説明したが、移動型プラント10の第一の台車12または第二の台車13に、オーガーミキサを備えたコンチニアンスミキサを積載し、前記オーガーミキサでグラウト材14を混練し、それを前記オーガーミキサに接続されたパイプ18から注入してもよい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法を実施例を示して具体的に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1および実施例2)
比表面積が2500cm/gであるセメントA比表面積が6800cm/gであるセメントBとからなるセメントを調製した。
このセメントと、粉末度が3200cm/gの鉱物質フィラーとをプレミクスし、これに、混練水を加え、さらに、添加剤として減水剤あるいは減水剤と、乾燥収縮低減剤と、硬化遅延剤とを添加し、これらを練り混ぜて、表2に示す配合の一液性グラウト材14を調製した。
【0043】
【表2】
Figure 0003553386
【0044】
上記表2に示すグラウト材14の材料としては、以下に示すものを使用した。
セメントA:ジェットセメント用クリンカーおよびせっこうなどを粉砕して、比表面積が1500〜3500cm/gの範囲となるよう調製したセメント。
セメントB:ジェットセメント用クリンカーおよびせっこうなどを粉砕して、比表面積が4000〜7500cm/gの範囲となるよう調製したセメント。
鉱物質フィラー:粘土粉末
減水剤:マイティ150(商品名:花王株式会社製)
乾燥収縮低減剤:テスタF(商品名:住友大阪セメント株式会社製)
硬化遅延剤:ジェットセッター(商品名:住友大阪セメント株式会社製)
【0045】
このようにして得られた実施例1および実施例2の一液性グラウト材14それぞれについて、流動性、可使時間、ブリージング、空気量、練上がり比重、材料分離、強度、変形係数、乾燥収縮、材料単価を調べ、評価した。
【0046】
ここでの流動性については、土木学会基準に定めるJAロート流下時間(秒)測定法に準じて測定し、評価した。
ブリージングについては、土木学会基準に準じて測定し、評価した。
圧縮強度および変形係数については、土の一軸圧縮試験機を用いて測定し、評価した。
曲げ強度については、JIS R 5210を用いて評価した。
引張強度については、JIS A 1113を用いて評価した。
乾燥収縮については、大気中に91日間放置し、目視によって評価した。
結果を表3および表4に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003553386
【0048】
【表4】
Figure 0003553386
【0049】
表3および表4より、実施例1および実施例2の一液性グラウト材14は、適度な流動性を有し、強度ならびに変形係数が過剰な値とならず、荷重に対する追随性に優れており、ひび割れ抵抗性も向上していると評価できる。また、実施例1および実施例2の一液性グラウト材14は、ブリージングがほぼゼロに調製されており、さらに大気中に91日間放置しても異常が認められず、また、乾燥収縮率が低く、ひび割れ抵抗性が向上していると評価できる。また、コストもCAモルタルの70%程度であり安価なものであることが確認できた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法においては、前述の構成とすることによって、施工現場での注入作業が容易で、施工時間の短縮が可能であり、鉄道軌道の保線作業の大幅な省力化が可能で、しかも施工コストを削減することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軌道砕石部のグラウト材注入工法の移動式の例を説明するための図である。
【図2】移動式の例の軌道砕石部のグラウト材注入工法において、グラウト材を注入する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・路盤、5・・・下層の道床バラスト、 7・・・枕木、9・・・レール、10・・・移動型プラント、14・・・グラウト材。

Claims (4)

  1. 路盤上に敷き詰められた道床バラスト間の隙間または該道床バラストに埋設された枕木下あるいはこれら両方に注入材を注入する軌道砕石部のグラウト材注入工法であって、
    この工法に用いられる注入材は、比表面積が1500〜3500cm/gのセメントAと比表面積が4000〜7500cm/gのセメントBとからなるセメントと、鉱物質フィラーとからなり、硬化後の変形係数が2000〜50000kgf/cm となる一液性グラウト材であることを特徴とする軌道砕石部のグラウト材注入工法。
  2. 枕木上に敷設されたレール上を走行自在な移動型プラントを当該レールに沿って移動させながら、該移動型プラントに積載された前記一液性グラウト材を混練、注入し、枕木下または道床バラスト間の隙間あるいはこれらの両方に前記一液性グラウト材を浸透、充填することを特徴とする請求項1記載の軌道砕石部のグラウト材注入工法。
  3. 前記鉱物質フィラーの粉末度は、1500〜6000cm/gであることを特徴とする請求項1または2記載の軌道砕石部のグラウト材注入工法。
  4. 前記鉱物質フィラーの添加量は、前記セメントAと前記セメントBとからなるセメント100重量部に対して50〜350重量部であることを特徴とする請求項1、2または3記載の軌道砕石部のグラウト材注入工法。
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