JP2002161508A - 舗装面用高強度常温カラー補修材 - Google Patents

舗装面用高強度常温カラー補修材

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直己 前田
Tomomitsu Sugi
智光 杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工現場で容易に製造でき、施工はコテ仕上
げ又は軽い転圧によって容易に補修作業することがで
き、更に、少量の顔料でカラー化を可能にする。また、
当該補修箇所は短時間で高強度,高耐久性を発現する。 【解決手段】 脱色アスファルト乳剤,早強型セメン
ト,顔料,骨材及び水の混合物からなる舗装面用高強度
常温カラー補修材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舗装面用高強度常
温カラー補修材、詳しくは、アスファルト,コンクリー
ト,インターロッキングブロック等によって舗装された
道路,歩道,橋,高架の路面や、上記材料により舗装さ
れた建造物の床面など、舗装面に生じた局部的な破壊や
損傷の補修に用いて最適な舗装面用高強度常温カラー補
修材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、道路などのカラー舗装路面の小規
模部分を補修する補修材には、アスファルト混合物を使
用する場合と、セメントモルタルを使用する場合があ
り、前者には、骨材に脱色アスファルトを混合したもの
や、アスファルト乳剤を混合したものが、後者には、骨
材にカラーセメントを混合したものが使用されている。
【0003】しかし、前者のうち、骨材に脱色アスファ
ルトを混合したものにあっては、脱色アスファルトを用
いているので、補修材のカラー化が容易であるという長
所がある反面、骨材と脱色アスファルトを大規模なプラ
ントで加熱混合しなければならず、また補修現場まで加
熱タンクローリーで高温を保持しながら搬送しなければ
ならないという短所がある。
【0004】また、前者のうち、骨材にアスファルトを
混合したものにあっては、アスファルト乳剤を用いてい
るので、常温下で混合及び補修作業が行なえるという長
所がある反面、補修材自体の色が黒くなるのでカラー化
が困難であり、補修部分が目立ちすぎて周辺部との違和
感が生じ、美観を損ねるといった短所があり、また、耐
久性に乏しく仮設的に使用されているにすぎない。
【0005】一方、後者のセメントモルタルを使用する
場合にあっては、骨材にカラーセメントを混合したもの
が使用されているので、付着性,ひびわれ発生,白華現
象の発生等で問題があった。
【0006】このような従来の補修材を改良すべく、例
えば特開平10−265672号公報では、常温下にお
ける混合及び補修が可能で、且つカラー化が容易な脱色
アスファルト乳剤が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平1
0ー265672号公報に開示された、脱色アスファル
ト乳剤と骨材とを混合した構成からなる補修材では、硬
化時間の短縮化を図ることができず、該補修材によって
舗装道路等を補修した場合に早期交通開放は不可能であ
り、また、マーシャル安定度,動的安定度は低いため、
道路補修用としては不適である、といった問題点があっ
た。
【0008】なお、舗装面の補修材ではないが、特開平
11−280012号公報には、骨材を主成分とし、こ
れに改質アスファルト乳剤と、セメントと、熱硬化性樹
脂エマルジョンとを混合した常温混合型セメントアスフ
ァルト複合系下地材が提案されており、前記セメントに
早強性又は速硬性のセメントを用いた場合は改質アスフ
ァルト乳剤の反応促進による硬化時間の短縮が図られ
る、としている。
【0009】しかし、上述した特開平11−28001
2号公報の常温混合型セメントアスファルト複合系下地
材では、硬化時間を短縮したといっても、20℃の温度
下において486× 9.8Nのマーシャル安定度となるの
に3時間もかかり、補修から交通開放まで依然として長
時間を要するという問題点がある。
【0010】更にまた、この発明では改質アスファルト
乳剤を用いているので、常温下での混合及び補修作業が
行なえるといった利点がある反面、補修材自体の色が黒
くなるのでカラー化が図れないこと、加熱アスファルト
混合物,超速硬コンクリート或いは樹脂コンクリートな
どの一般的な舗装路面の補修にあっては十分な転圧が困
難であり、小規模補修にも拘わらずコテ仕上げや軽い転
圧によって容易に補修することができない、といった問
題点もある。
【0011】本発明は、上記のような従来の問題点に鑑
みてなされたものであり、施工現場で常温の混合物を製
造し、硬化時間の大幅な短縮を図ることができるとゝも
に、コテ仕上げ又は軽い転圧によって容易に補修するこ
とができ、重交通道路にも適合されるマーシャル安定
度,動的安定度を具備し、さらに、少量の顔料で補修部
分とその周辺部が違和感なく調和するようなカラー化が
可能な舗装面用の補修材を提供することを目的としたも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る舗装面用高強度常温カラー補修材は、
脱色アスファルト乳剤,早強型セメント,顔料,骨材及
び水の混合物からなる構成としてある。好ましくは、質
量%で、脱色アスファルト乳剤8〜30%,早強型セメ
ント3〜15%,顔料 0.5%以下,骨材60〜90%,
水 0.5〜3%の割合で配合した混合物からなる構成とす
る。そしてより好ましくは、前記骨材が、ホルンフェル
ス,塩基性深成岩又は半深成岩の砕石又は砕砂である構
成としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る舗装面用高強
度常温カラー補修材を実施形態により詳細に説明する。
本補修材は、脱色アスファルト乳剤と、該脱色アスファ
ルト乳剤との反応性がよく、強度発現性に優れた早強型
セメントと、顔料,骨材及び水を混合してなる常温混合
物で構成されている。
【0014】前記脱色アスファルト乳剤としては、加熱
溶解した脱色アスファルトに温水と乳化剤を加えて混合
し、これを機械的に乳化したものが好ましく、例えば、
ニチレキ(株)製の商品「明色ポーラスゾール」等を利
用することができる。この脱色アスファルト乳剤は常温
下で骨材等と混合することができ、また乳白色なので少
量の顔料で好みの色に自在に着色することができる。
【0015】前記早強型セメントとしては、超早強セメ
ント,速硬セメント,超速硬セメントなどが挙げられ、
例えば、前田製管(株)製の商品「MSセメント」(ア
ルミネート系セメント)」等を利用することができる。
これらの早強型セメントは、前記脱色アスファルト乳剤
との反応性がよく、セメントの強度発現が優れたものと
なる。
【0016】また、前記骨材としては、接触変成岩であ
るホルンフェルスや、班糲岩からなる塩基性深成岩或い
は輝緑岩からなる塩基性半深成岩の砕石又は砕砂が挙げ
られるが、より具体的には、接触変成岩,塩基性深成岩
又は半深成岩の砕石又は砕砂であって、比重(絶乾比
重)2.70〜 2.90 、ショアー硬度100〜120のもの
が適当であり、更には、比重(絶乾比重)2.80〜 2.90
、ショアー硬度100〜120のものがより好まし
い。
【0017】そして、これらの骨材のうち、ホルンフェ
ルスの砕石又は砕砂が好ましい。ここで、ホルンフェル
スとは接触変成岩の一種で、岩石が接触変成作用を受け
て造岩鉱物が再結晶したものを言い、例えば、岩手県江
刺市米里地区に分布する下部石炭紀の米里層の接触変成
岩(輝緑凝灰岩)などが挙げられる。
【0018】この米里層の接触変成岩は、柱状結晶がば
らばらな方位に成長して十字に絡み合ったデカッセイト
組織をなし、緻密である。従って、吸水率が小さく、比
重や硬度が大きく、磨耗による減量が殆どない良質な骨
材を得ることができる。ちなみに、上記米里層の輝緑凝
灰岩は、主要構成鉱物として斜長石,角閃石,石英,雲
母を含み、これら鉱物の含有率はそれぞれ、質量%で約
40%,約25%,約20%,約15%であり、比重は
2.76 〜2.85、ショアー硬度が10〜110である。
【0019】なお、米里層の接触変成岩からなる砕石又
は砕砂は用途に応じて適宜用いることができる。すなわ
ち、粒径5mm以上のものは粗骨材として、これより小
さいものは細骨材としてそれぞれ用いることができる。
また、砕石又は砕砂の最大粒径を10mm以下となるよ
うに調整すれば、本補修材のコテ仕上げ性が良好とな
る。
【0020】ここで、産地の異なる各種骨材を原料とし
て数種の本補修材を製造し、これらの各補修材について
マーシャル安定度試験を行なったところ、骨材の原産地
により本補修材の強度発現性が異なることが判明した。
この試験結果は表1及び図1に示す通りであり、骨材と
して前記米里層の接触変成岩(輝緑凝灰岩)の砕石又は
砕砂を使用したものが最も大きな値のマーシャル安定度
が得られた。
【0021】
【表 1】
【0022】前記顔料は、本補修材を着色し、舗装道路
等の補修部分をその周辺部分と同色にして調和させるこ
とを目的とするものであり、特に種類は限定されない
が、無機顔料を使用することが好ましい。
【0023】次に、本実施形態に係る補修材の製造方法
及び舗装道路等の補修方法について説明する。なお、本
補修材は、従来のように、プラント等であらかじめ製造
した補修材を現場に搬送して補修を行なうというもので
はなく、舗装道路等の補修に必要十分な量の補修材を現
場で混合することにより製造し、この補修材が硬化する
前に補修作業を完了させるというものであり、補修材の
製造から施工までが一連の作業となっている。
【0024】まず、骨材60〜90%(質量%、以下同
じ)と、早強型セメント3〜15%を20〜30秒間程
度ミキサにより空練り混合する。次いで、この空練り済
みの混合物に、脱色アスファルト乳剤8〜30%および
水 0.5〜3%をそれぞれ投入し、40〜60秒程度本練
り混合する。これにより本補修材が製造される。
【0025】なお、上記の本練り混合において、材料を
あまり練り混ぜすぎると前記脱色アスファルト乳剤の分
解速度が速くなり、補修作業が行なえなくなるので注意
する必要がある。また、気温が10℃以下の場合は、早
強型セメントにあらかじめ促進剤を混合しておくとよ
い。
【0026】次いで、本補修材によって舗装道路等を補
修する場合、まず、補修部分の内側や周囲のゴミ,泥な
どを取り除く。気温が5℃以下のときは、補修部分をバ
ーナーやお湯で加熱するとよい。次いで、本補修材を補
修部分に手早く充填し、転圧後、金ゴテなどによって表
面を均した後、タンパ・ランマーを使用して補修材充填
部を締固める。なお、冬季の低温時や特に早期交通開放
が必要な場合は、補修部分に覆いをしてジェットヒータ
ーやバーナーで加熱してもよい。
【0027】上記は舗装道路の補修に関する実施態様で
説明したが、このような舗装道路の補修に限らず、アス
ファルト,コンクリート,インターロッキングブロック
などによって舗装された橋,高架,トンネル,マンホー
ル周辺部の埋め戻し等の小規模補修に広く応用すること
ができる。
【0028】
【実施例】表2に示す材料及び配合割合で本補修材を製
造し、この補修材により舗装道路の補修を行なった。図
2に、5℃,10℃,20℃,30℃の各温度条件で本
補修材を自然放置養生した場合の養生時間とマーシャル
安定度の関係を示す。
【0029】
【表 2】
【0030】図2から、養生時間が30分では250×
9.8N前後と低い値であるが、養生時間が45分後に
は、5℃,10℃,20℃,30℃のいずれの温度条件
でも500× 9.8N以上となり、交通開放可能な強度が
発現することが分かる。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る舗装面用高強度常温カラー
補修材は、上記のような構成であるから、養生時間45
分という極めて短時間で高強度,高耐久性を発現し、補
修時間の大幅な短縮を図ることができ、早期交通開放が
可能である。また、大規模な加熱混合プラントや加熱タ
ンクローリーを一切必要とせず、アスファルト乳剤,セ
メント,骨材,顔料,水を常温下で混合するだけの簡単
な作業で製造することができるとゝもに、コテ仕上げ又
は軽い転圧によって容易に補修することができるため、
小規模補修に最適である。
【0032】さらに、脱色アスファルト乳剤に適当な色
の顔料を混合することにより目的とする色の補修材を作
ることができ、補修部分とその周辺部分の色合わせを施
工現場ですることができる。したがって、補修部分が目
立たず、周囲と違和感のない自然な仕上がりの補修材を
容易に作ることができる、といった諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】骨材産地の違いによる強度発現性を示す図であ
る。
【図2】養生時間とマーシャル安定度の関係を示す図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 14:14) C04B 14:14) 111:20 111:20 (72)発明者 吉泉 和哉 山形県酒田市中央東町1−38 Fターム(参考) 2D053 AA11 AD03 4G012 PA07 PB38 PC12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱色アスファルト乳剤,早強型セメン
    ト,顔料,骨材及び水の混合物からなる舗装面用高強度
    常温カラー補修材。
  2. 【請求項2】 質量%で、脱色アスファルト乳剤8〜3
    0%,早強型セメント3〜15%,顔料 0.5%以下,骨
    材60〜90%,水 0.5〜3%の割合で配合した混合物
    からなる舗装面用高強度常温カラー補修材。
  3. 【請求項3】 前記骨材が、ホルンフェルス,塩基性深
    成岩又は半深成岩の砕石又は砕砂である請求項1又は2
    記載の舗装面用高強度常温カラー補修材。
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