JP4605329B2 - セラミックコンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックコンデンサに関する。本発明に係るセラミックコンデンサは、主に、スイッチング電源用の平滑用コンデンサとして用いるのに適する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、スイッチング電源用の平滑用コンデンサとしては、アルミ電解コンデンサが主流であった。しかしながら、小型化、信頼性向上等の市場要求が強まり、これに対応すべく、小型で高信頼性のセラミックコンデンサの要求が高まっている。
【0003】
一般に、電源周辺は高熱を発するため、基板は放熱性の良いアルミニウム基板が用いられる。しかしながら、電源周辺では、電源のオン/オフによる温度変化が大きく、熱膨張率の大きなアルミニウム基板上に実装したセラミックコンデンサには大きな熱応力が発生する。この熱応力は、セラミックコンデンサにクラックを発生させ、ショート不良や、発火等のトラブルを発生させる原因となる。
【0004】
発火等のトラブルを無くすためには、セラミックコンデンサに発生する熱応力を緩和することが重要である。熱応力を緩和する手段として、実公平5−46258号公報、特開平4−171911号公報および特開平4−259205号公報等は、セラミックコンデンサの端子電極に金属板をはんだ付けし、金属板をアルミニウム基板上に実装することにより、セラミックコンデンサがアルミニウム基板に直接はんだ付されるのを防ぐ構造を開示している。
【0005】
ところが、この種のセラミックコンデンサにおいても、小型化の要求から、はんだ接合面積の狭小化が急速に進展しつつあり、現段階でも、既に、十分なはんだ付け強度を確保することが困難になっている。
【0006】
また、この種のセラミックコンデンサは、セラミックコンデンサ素子の端子電極に金属端子をはんだ付け(通炉)した後、回路基板等に搭載し、再び通炉する。従って、回路基板へのはんだ付けに当たっては、端子電極と金属端子とをはんだ付けする高温はんだよりも、低い融点を持つ低温はんだを用いて、はんだ付けする必要がある。従来、はんだの融点はPbの含有量によって調整するのが一般的であった。
【0007】
ところが、地球環境保全の立場から、Pbを含有しないはんだ(Pbフリーはんだ)が要求され、そのようなはんだ組成の開発が盛んに行われている。しかし、Pbフリーはんだで、従来の高温はんだに匹敵する高温融点のはんだ組成は、現在のところ、実用化されていない。
【0008】
このため、セラミックコンデンサ素子の端子電極及び金属端子の間のはんだ付けに用いられるはんだと、回路基板への実装時に用いられるはんだとの間の融点差を十分にとることができず、セラミックコンデンサを回路基板上に実装する際、セラミックコンデンサが浮動し、または脱落する等の不具合が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、小型化された場合でも、セラミックコンデンサ素子の端子電極及び金属端子を、十分な接合強度をもって接合し得るセラミックコンデンサを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、リフロー時の浮動または脱落等の不具合を確実に阻止し得るセラミックコンデンサを提供することである。
【0011】
本発明の更にもう一つの課題は、Pbフリーのはんだ接合を実現し得るセラミックコンデンサを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係るセラミックコンデンサは、少なくとも1つのセラミックコンデンサ素子と、少なくとも一対の金属端子と、接合部とを含む。
【0013】
前記セラミックコンデンサ素子は、相対する両側端面に端子電極を有しており、前記金属端子のそれぞれは、前記端子電極の一つに接続されている。
【0014】
前記接合部は、はんだ接合部と、樹脂接合部とを含んでいる。前記はんだ接合部は、前記金属端子と前記端子電極との間に介在し、両者を接着しており、前記樹脂接合部は、前記金属端子と前記端子電極との間に介在し、両者を接着し、かつ、前記はんだ接合部を覆っている。
【0015】
本発明に係るセラミックコンデンサにおいて、接合部は、はんだ接合部と、樹脂接合部とを含み、はんだ接合部は、金属端子と端子電極との間に介在し、両者を接着しており、樹脂接合部は金属端子と前記端子電極との間に介在し、両者を接着している。このため、はんだ接合部による接合とともに、樹脂接合部による接合の両接合機能が得られることになり、小型のセラミックコンデンサであっても、高いはんだ付け強度を確保し得る。
【0016】
しかも、樹脂接合部は、はんだ接合部を覆っているから、はんだ接合部のはんだが溶融した場合でも、外部に流出するのを阻止し、所要の接合強度を確保し得る。このため、リフロー時に、セラミックコンデンサが回路基板上で浮動したり、あるいは脱落する等の不具合を回避することができる。
【0017】
更に、セラミックコンデンサ素子の端子電極及び金属端子の間のはんだ付けに用いられるはんだ接合部と、回路基板への実装時に用いられるはんだとの間の融点差を十分にとる必要がないので、Pb含有の高温はんだを用いる必要がなくなくなる。即ち、Pbフリーが実現できる。
【0018】
本発明に係るセラミックコンデンサにおいて、好ましくは、少なくとも一対備えられる金属端子のそれぞれは、一端が、コンデンサ素子の端子電極の一つに接続され、中間部に曲げ部を有し、曲げ部の先に外部と接続される端子部を有する。かかる構造の金属端子は、中間部に設けられた曲げ部により、基板等の外部導体と接続される端子部からセラミックコンデンサ素子の端子電極に接続された一端までの長さが、中間部に設けられた曲げ部により拡大される。しかも、曲げ部が一種のスプリング作用を奏する。このため、基板の撓みおよび熱膨張を、確実に吸収し、セラミックコンデンサ素子に生じる機械的応力および熱応力を低減し、セラミックコンデンサ素子にクラックが発生するのを阻止することができる。従って、アルミニウム基板に実装されることの多いスイッチング電源用平滑コンデンサとして用いた場合でも、クラックの発生、それに起因する発火の危険を回避することができる。
【0019】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に具体的に説明する。添付図面は単に例を示すに過ぎない。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るセラミックコンデンサの正面部分断面図、図2は図1に示したセラミックコンデンサの正面断面図である。図1及び図2に図示されたセラミックコンデンサは、1つのセラミックコンデンサ素子1と、一対の金属端子2、3とを含む。セラミックコンデンサ素子1は、長さ方向において相対する両側端面に端子電極11、12を有する。
【0021】
金属端子2は、一端21が端子電極11に接続され、中間部に曲げ部22を有し、曲げ部22の先に、外部と接続される端子部23を有する。金属端子3も、一端31が端子電極12に接続され、中間部に曲げ部32を有し、曲げ部32の先に外部と接続される端子部33を有する。金属端子2、3は電気抵抗が低く、しかもバネ性に優れた材料によって構成する。板厚は、限定するものではないが、代表的には0.1mm程度である。
【0022】
図3は金属端子2、3の断面構造の一例を示す拡大部分断面図である。図示された金属端子2、3は、例えば、Feが55〜70wt%で、Niが30〜45wt%の合金で構成された基体200の表面に、Niめっき膜300及びAgめっき膜400の2層のめっき膜を付着させてある。基体200の構成材料としては、次に述べる金属材料も使用できる。
【0023】
アンバー(Fe−Ni合金)
線膨張係数α=1〜2×10-6/℃
42アロイ(登録商標)(Fe58wt%、Ni42wt%)
線膨張係数α=4〜5×10-6/℃
Ru
線膨張係数α=6.8×10-6/℃
ニモニック80(登録商標)
線膨張係数α=11.7×10-6/℃
Pt
線膨張係数α=9×10-6/℃
Pd
線膨張係数α=10.6×10-6/℃
チタン
線膨張係数α=9×10-6/℃
炭素銅:線膨張係数α=10〜13×10-6/℃
金属端子2、3の一端21、31は、接合部4、5によって端子電極11、12に接続されている。接合部4、5は、樹脂接合部41、51と、はんだ接合部42、52とを含み、金属端子2、3の一端21、31と端子電極11、12との間に介在し、両者21−11、31−12を接着するとともに、はんだ接合部42、52の周りを覆っている。
【0024】
図4は図1及び図2に示したセラミックコンデンサを回路基板上に実装した時の状態を示す部分断面図である。セラミックコンデンサは、回路基板70の上に搭載されている。回路基板70の表面には導体パターン71、72が設けられている。セラミックコンデンサに備えられた金属端子2の端子部23がはんだ81によって導体パターン71にはんだ付けされ、金属端子3の端子部33がはんだ82によって導体パターン72にはんだ付けされている。
【0025】
本発明に係るセラミックコンデンサは、その極めて重要な特徴点として、接合部4、5が、樹脂接合部41、51と、はんだ接合部42、52とを含み、金属端子2、3の一端21、31と端子電極11、12との間に介在し、両者を接着する。
【0026】
この構造によれば、樹脂接合部41、51による接合とともに、はんだ接合部42、52による接合の両接合機能が得られる。このため、小型のセラミックコンデンサであっても、高いはんだ付け強度を確保し得る。また、衝撃や熱ストレスに対し、セラミックコンデンサの剥離、脱落を防ぎ、はんだ接合の信頼性を向上させることができる。
【0027】
更に、樹脂接合部41、51による接合とともに、はんだ接合部42、52による接合の両接合機能が得られるから、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12及び金属端子2、3の間のはんだ付けに用いられるはんだ接合部42、52と、回路基板70への実装時に用いられるはんだ81、82との間の融点差を十分にとることができない場合であっても、樹脂接合部41、51により、所要の接合強度を確保し、セラミックコンデンサが回路基板70上で浮動したり、あるいは脱落する等の不具合を回避することができる。
【0028】
しかも、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12及び金属端子2、3の間のはんだ付けに用いられるはんだ接合部42、52と、回路基板70への実装時に用いられるはんだ81、82との間の融点差を十分にとる必要がないので、Pb含有の高温はんだを用いる必要がなくなる。即ち、Pbフリーが実現できる。
【0029】
樹脂接合部41、51において、好ましく用いられる接着性樹脂は、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂またはフッ素系樹脂から選択された少なくとも1種を挙げることができる。
【0030】
はんだ接合部42、52としては、はんだ材料として一般的なSn−3.5Ag、Sn−5Agの他、Sn−In、In−Ag、Sn−Bi、Sn−Zn、Sn−Ag−Cu等を用いることができる。はんだ接合部42、52は100℃以上の融点を持つものであればよい。また、樹脂は260℃以上の耐熱性を持つことが好ましく、これにより、リフロー時のはんだ接合部42、52が溶解しても樹脂接合部41、51により、所要の接合強度を確保し、セラミックコンデンサが回路基板70上で浮動したり、あるいは脱落する等の不具合を、より確実に回避することができる。次に実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果を説明する。
【0031】
<実施例1>
金属端子を、図1、2に図示した状態で、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12に接合した。はんだ接合部42、52には、Sn−3.5Agを用いた。Sn−3.5Agを用いたはんだ接合部42、52の固相温度は約221℃である。樹脂接合部41、51にはエポキシ系樹脂を用いた。上述したコンデンサを用いて、260℃の温度環境のもと、荷重による落下試験を行った。荷重は5g、10g、15g及び20gとした。各荷重毎に30個のサンプルNo.1〜30、31〜60、61〜90、91〜120を用意した。落下試験結果を表1に示す。
【0032】
<実施例2>
金属端子を、図1、2に図示した状態で、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12に接合した。はんだ接合部42、52には、Sn−5Sbを用いた。Sn−5Sbを用いたはんだ接合部42、52の固相温度は約243℃である。樹脂接合部41、51にはエポキシ系樹脂を用いた。上述したコンデンサを用いて、260℃の温度環境のもと、荷重による落下試験を行った。荷重は5g、10g、15g及び20gとした。各荷重毎に30個のサンプルNo.121〜150、151〜180、181〜210、211〜240を用意した。落下試験結果を表2に示す。
【0033】
<比較例1>
図1、2において、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12と金属端子2、3とを、Sn−3.5Agでなるはんだ接合部42、52のみによってはんだ付けした。樹脂接合部を省略した。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして、落下試験を行った。各荷重毎に30個のサンプルNo.241〜270、271〜300、301〜330、331〜360を用意した。落下試験結果を表3に示す。
【0034】
<比較例2>
図1、2において、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12と金属端子2、3とを、Sn−5Sbでなるはんだ接合部42、52のみによってはんだ付けした。樹脂接合部を省略した。得られたサンプルについて、実施例2と同様にして、落下試験を行った。各荷重毎に30個のサンプルNo.361〜390、391〜420、421〜450、451〜480を用意した。落下試験結果を表4に示す。
【0035】
表3に示すように、比較例1のサンプルNo.241〜360は、5gの荷重では落下はしないが、10g以上の荷重が加わると、落下するものが生じ、20gの荷重では、30個のサンプル中の落下個数が16個になり、50%を越える落下率(53.3%)となる。
【0036】
また、比較例2のサンプルNo.361〜480は、表4に示すように、5gの荷重では落下はしないが、10g以上の荷重が加わると、落下するものが生じ、20gの荷重では、30個のサンプル中の落下個数が13個になり、約43%の落下率となる。
【0037】
これに対して、表1、2に示すように、本発明の実施例1、2に属するサンプルNo.1〜240の全てが、20gの荷重を受けても、セラミックコンデンサ素子は落下しなかった。
【0038】
再び、図1及び図2を参照して説明する。セラミックコンデンサ素子1は、セラミック誘電体基体100の内部に多数(例えば100層)の内部電極101、102を有する。内部電極101は一端が端子電極11に接続され、他端が自由端になっている。内部電極102は一端が端子電極12に接続され、他端が自由端になっている。端子電極11、12、内部電極101、102およびセラミック誘電体基体100の構成材料およびその製造方法等は周知である。典型的な例では、セラミックコンデンサ素子1は、鉛系複合ペロブスカイトのセラミック誘電体の内部にAg−Pdよりなる内部電極101、102を有し、セラミック誘電体の相対する両側端部にガラスブリットを含んだAgペーストの焼き付け電極でなる端子電極11、12を有する。
【0039】
好ましくは、内部電極101は、その自由端と端子電極12との間に、間隔△L1が生じるように形成する。内部電極102は、その自由端と端子電極11との間に、間隔△L2が生じるように形成する。間隔△L1および△L2は、自由端と端子電極11、12との間の最短距離で与えられる。具体的には、間隔△L1は、端子電極12の内、セラミック誘電体基体100の表面および裏面に付着されている垂れ部分121の先端からセラミック誘電体基体100の厚み方向に引かれた線分S11と、自由端の先端からセラミック誘電体基体100の厚み方向に引かれた線分S12との間の間隔として与えられる。
【0040】
間隔△L2は、端子電極11の内、セラミック誘電体基体100の表面および裏面に付着されている垂れ部分111の先端からセラミック誘電体基体100の厚み方向に引かれた線分S21と、自由端の先端からセラミック誘電体基体100の厚み方向に引かれた線分S22との間の間隔として与えられる。
【0041】
図2において、セラミックコンデンサ素子1は、内部電極101、102の電極面が水平面と平行となる横配置となっているが、図2の位置からセラミックコンデンサ素子1を約90度回転させて、内部電極101、102の電極面が水平面に対して垂直となる縦配置としてもよい。
【0042】
金属端子2、3のそれぞれは、一端21、31が、セラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12に接続され、中間部に曲げ部22、32を有し、曲げ部22、32の先に外部と接続される端子部23、33を有する。
【0043】
かかる構造の金属端子2、3は、中間部に設けられた曲げ部22、32により、回路基板70の導体パターン72と接続される端子部23、33からセラミックコンデンサ素子1の端子電極11、12に接続された一端21、31までの長さが、中間部に設けられた曲げ部22、32により拡大される。
【0044】
しかも、曲げ部22、32が一種のスプリング作用を奏する。このため、回路基板70の撓みおよび熱膨張を、確実に吸収し、セラミックコンデンサ素子1に生じる機械的応力および熱応力を低減し、セラミックコンデンサ素子1にクラックが発生するのを阻止することができる。従って、アルミニウム回路基板70に実装されることの多いスイッチング電源用平滑コンデンサとして用いた場合でも、クラックの発生、それに起因する発火の危険を回避することができる。
【0045】
また、回路基板70の撓みおよび熱膨張を、金属端子2、3に設けた曲げ部22、32によって吸収し、セラミックコンデンサ素子1に機械的応力および熱応力を生じさせないようにするものであり、折り返しによって、高さ増大を回避することができる。このため、金属端子2、3について、高さを増大させずに、回路基板70側端子部23、33からセラミックコンデンサ素子1取り付け部までの長さを増大させ、回路基板70の撓みおよび熱膨張に対する吸収作用を改善し、セラミックコンデンサ素子1に発生する機械的応力、及び、熱応力を低減することができる。
【0046】
図1及び図2の実施例において、金属端子2、3は端子部23、33を有する。端子部23、33はセラミックコンデンサ素子1の下側に間隔をおいて配置されている。このような構造であると、端子部23、33による基板占有面積の増大を抑え、実装面積を最小にしたコンデンサを得ることができる。
【0047】
また、金属端子2の曲げ部22は、第1の曲げ部221と、第2の曲げ部222とを含んでいる。第1の曲げ部221では、斜め下方向に折り曲げられている。金属端子2は、先端部から第1の曲げ部221に至る部分が、端子電極11に接続されている。
【0048】
第2の曲げ部222において、端子部23がセラミックコンデンサ素子1に近付づく方向に折り曲げられている。金属端子2の端子部23は、セラミックコンデンサ素子1の下側に間隔G01をおいて配置されており、これにより、端子部23による基板占有面積の増大を抑え、実装面積を最小にしてある。
【0049】
同様に、金属端子3の曲げ部32は、第1の曲げ部321と、第2の曲げ部322とを含んでいる。第1の曲げ部321では、端面と平行する方向に折り曲げられている。金属端子3は、先端部から第1の曲げ部321に至る部分が、端子電極12に接続されている。第2の曲げ部322において、端子部33がセラミックコンデンサ素子1に近付づく方向に折り曲げられている。金属端子3の端子部33は、セラミックコンデンサ素子1の下側に間隔G02をおいて配置されており、これにより、端子部23による基板占有面積の増大を抑え、実装面積を最小にしてある。
【0050】
上記構造によれば、第1の曲げ部221、321、第2の曲げ部222、322から端子部23、33に至る部分が、スプリング作用を持つようになり、そのスプリング作用によって、基板の撓みおよび熱膨張を吸収することができる。
【0051】
更に、内部電極101の自由端と端子電極12との間に、間隔△L1を生じさせ、内部電極102の自由端と端子電極11との間に、間隔△L2を生じさせている構造の場合、クラックや、破壊等を生じ易い金属端子と導電性接着剤との界面、および、導電性接着剤の塗布領域付近に、内部電極101と内部電極102の重なりが存在しない。このため、クラックによるショート、および、それに起因する発火等を生じる危険性が激減する。
【0052】
金属端子2、3は、好ましくは、破断に至るまでの伸びが10(%)以上であるものを用いる。このような金属端子2、3を用いると、温度変化環境下において、セラミックコンデンサに発生する熱応力を、金属端子の伸びによって緩和することができる。このため、温度変化環境下で使用された場合でも、はんだまたはセラミックに亀裂やクラック等の欠陥が発生するのを抑制することができる。
【0053】
図1および図2において、第1の曲げ部221、321は、くさび状に曲げられているが、90度以外の角度、明確な角度を持たない形状、例えば、円弧状に曲げてもよい。
【0054】
本発明に係るセラミックコンデンサは、種々の態様をとることができる。その具体例を図5〜図12に示す。これらの図において、図1および図2に現れた構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付してある。
【0055】
まず、図5は本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す正面部分図、図6は図5に示したセラミックコンデンサの正面断面図である。この実施例に示されたセラミックコンデンサでは、2個のセラミックコンデンサ素子110、120を備える。セラミックコンデンサ素子110、120は順次に積層され、端子電極11、12が、接合部4、5によって、並列に接続されている。金属端子2、3の端子部23、33は、セラミックコンデンサ素子110、120の内、最下層に位置するセラミックコンデンサ素子120の下側に間隔G01、G02をおいて配置されており、これにより、端子部23、33による基板占有面積の増大を抑え、実装面積を最小にしてある。
【0056】
金属端子2、3の曲げ部22、32は、第1の曲げ部221、321と、第2の曲げ部222、322とを含む。金属端子2、3のそれぞれは、先端部から第1の曲げ部221、321に至る部分が、セラミックコンデンサ素子110、120の側端面に形成された端子電極11、12に接続されている。
【0057】
金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0058】
図5および図6に示した実施例によれば、図1および図2を参照して説明した作用効果のほか、2つのセラミックコンデンサ素子110、120のそれぞれの静電容量値を加算した大きな静電容量が取得できる。
【0059】
図7は本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す斜視図、図8は図7に示したセラミックコンデンサの正面部分断面図である。この実施例では、金属端子2、3のそれぞれは、先端部から第1の曲げ部221、321に至る部分が、セラミックコンデンサ素子110の側端面に形成された端子電極11、12にのみ接続されている。金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0060】
図9は本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す斜視図である。この実施例では、金属端子2、3は、曲げ部22、32の幅方向の中間部に、切り抜き部225、325を有する。このような切り抜き部225、325があると、金属端子2、3からセラミックコンデンサ素子110、120への負荷が低下するので、セラミックコンデンサ素子110、120における熱応力を緩和できる。また、金属端子2、3の剛性が低下するので、基板の撓みおよび熱膨張を吸収するのに適したスプリング作用を得ることができる。金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0061】
図10は本発明に係るセラミックコンデンサの別の実施例を示す斜視図である。この実施例では、金属端子2は、抜き部24を有する。抜き部は、端子電極11を取り付けた取り付け部に向き合う。図示されていないが、金属端子3も、同様に、抜き部34を有する。抜き部34は、端子電極12を取り付けた取り付け部に向き合う。
【0062】
上記構造であると、金属端子2、3を端子電極11、12に接続する作業において、金属端子2、3の抜き部24、34を通して、金属端子2、3の取り付け部を押さえ、端子電極11、12に接触させ、接続作業を容易に行なうことができる。また、抜き部24、34を通して、均一な力で取り付け部を端子電極11、12に接着することができる。金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0063】
図11は本発明に係るセラミックコンデンサの別の実施例を示す底面図である。この実施例では、金属端子2の端子部23は、2つの穴231、232を有する。同様に、金属端子3の端子部33は、2つの穴331、332を有する。穴数は任意である。
【0064】
図11に図示されたセラミックコンデンサを、図4図に示したように、回路基板70に設けられた導体パターン71、72にはんだ付けする際、端子部23、33の穴231、232、331、332に、はんだ82、81を充填し、セラミックコンデンサを回路基板70に確実にはんだ付けすることができる。
【0065】
金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0066】
図12は本発明に係るセラミックコンデンサの別の実施例を示す正面断面図である。この実施例では、4個のセラミックコンデンサ素子110〜140を順次に積層する。そして、金属端子2において、先端部と第1の曲げ部221との間を、接合部4によって、端子電極11に接続固定する。金属端子3において、先端部と第1の曲げ部321との間を、接合部5によって、端子電極12に接続固定する。
【0067】
図12に示された実施例によれば、図1〜図11に示した実施例よりも、更に大きな静電容量を取得できる。セラミックコンデンサ素子110〜140の個数は、要求される静電容量に応じて更に増加できる。
【0068】
金属端子2、3と端子電極11、12との接続に用いられる接合部4、5は、はんだ接合部42、52と、樹脂接合部41、51とを含む。その詳細及び作用効果については、既に述べた通りである。
【0069】
重複説明を回避するため、図示は省略するけれども、実施例の組み合わせが多数存在することはいうまでもない。また、Niを内部電極としたチタン酸バリウム系のセラミックコンデンサでも同様の効果が得られた。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
(a)小型化された場合でも、セラミックコンデンサ素子の端子電極及び金属端子を、十分な接合強度をもって接合し得るセラミックコンデンサを提供することができる。
(b)リフロー時の浮動または脱落等の不具合を確実に阻止し得るセラミックコンデンサを提供することができる。
(c)Pbフリーのはんだ接合を実現し得るセラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミックコンデンサの正面部分断面図である。
【図2】図1に示したセラミックコンデンサの正面断面図である。
【図3】本発明に係るセラミックコンデンサに用いられる金属端子の一例を示す拡大断面図である。
【図4】図1及び図2に示したセラミックコンデンサを回路基板上に実装した時の状態を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す正面部分図である。
【図6】図5に示したセラミックコンデンサの正面図である。
【図7】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図8】図7に示したセラミックコンデンサの正面部分断面図である。
【図9】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す底面図である。
【図12】本発明に係るセラミックコンデンサの更に別の実施例を示す正面断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックコンデンサ素子
2、3 金属端子
4、5 接合部
41、51 樹脂接合部
42、52 はんだ接合部
Claims (4)
- 少なくとも1つの積層セラミックコンデンサ素子と、少なくとも一対の金属端子と、接合部とを含むセラミックコンデンサであって、
前記積層セラミックコンデンサ素子は、セラミック誘電体基体の両側端面に端子電極を有し、且、前記セラミック誘電体基体の内部には複数の内部電極が積層された状態で埋設され、前記内部電極のそれぞれは一端が前記端子電極に接続され、他端が自由端になっており、
前記金属端子のそれぞれは、中間部に第1の曲げ部と、第2の曲げ部とを有し、前記第1の曲げ部より先の部分が前記接合部により前記端子電極に接続され、前記第2の曲げ部の後方部分に外部と接続される端子部を有しており、
前記接合部は、はんだ接合部と、樹脂接合部とを含み、
前記はんだ接合部は、前記金属端子の前記先の部分と、前記端子電極の前記側端面との相対向面間に介在し、両者を接着しており、
前記樹脂接合部は、前記金属端子の前記先の部分と、前記端子電極の前記側端面との相対向面間に介在し、両者を接着し、かつ、前記はんだ接合部の周囲を覆っている、
セラミックコンデンサ。 - 請求項1に記載されたセラミックコンデンサであって、
前記金属端子のそれぞれは、前記第1の曲げ部で斜め下方向に鋭角に折り曲げられ、前記第2の曲げ部において、前記端子部が前記積層セラミックコンデンサ素子に近付づく方向に鋭角に折り曲げられ、前記端子部が前記積層セラミックコンデンサ素子の下側に間隔をおいて配置されている、
セラミックコンデンサ。 - 請求項1又は2に記載されたセラミックコンデンサであって、
前記はんだ接合部のはんだ材料は、Sn−3.5Ag、Sn−5Ag、Sn−In、In−Ag、Sn−Bi、Sn−Zn、Sn−Ag−Cuから選択された少なくとも1種であり、
前記樹脂接合部は、熱硬化性樹脂を含み、260℃以上の耐熱性を持つ、
セラミックコンデンサ。 - 請求項3に記載されたセラミックコンデンサであって、
前記樹脂は、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂またはフッ素系樹脂から選択された少なくとも1種である、
セラミックコンデンサ。
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