JP4599946B2 - 昇華型熱転写プリンタ - Google Patents
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このように一部分において加熱量が大となると、インクシートの局所的な熱変形が発生して、インクシートに「しわ」が発生してしまう場合がある。この「しわ」は、画像形成対象部材が中間転写シートである場合には、その中間転写シートにも発生してしまうこともある。
その「しわ」は最終的に形成される画像にも反映されるため、「しわ」が発生するとプリント画質が劣化してしまうことになる。
このため、従来、例えば下記特許文献1に記載のように、サーマルヘッドによる加熱量の制御によって「しわ」の発生を抑制する技術が考えられている。
このようなプリント画質の向上要請に応えるには、上記従来構成のような対策では必ずしも十分ではない場合があった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、昇華型熱転写プリンタにおいて、プリント画像の画質を可及的に向上させる点にある。
これは、画像形成対象部材の搬送方向での長さの長い画像をプリントすると、継続的な加熱によってサーマルヘッドに熱が蓄熱されて、サーマルヘッドが過度に温度上昇してしまうためと考えられる。
そこで、画像形成対象部材の搬送方向における画像のサイズに基づいて、前記サイズの大きい側の画像の許容最大濃度が前記サイズの小さい側の画像の許容最大濃度よりも低濃度となる状態で、画像の許容最大濃度を少なくとも2段階に設定変更することで、最大濃度を制限する。
これによって、画像形成対象部材の搬送方向におけるサイズが大きい画像についても、インクシートの過度の温度上昇を抑制でき、インクシートのしわの発生を抑制できる。
すなわち、画像形成対象部材の搬送方向におけるサイズが大きい画像について最大濃度を制限するには、設定した許容最大濃度を超える画素の画像データを、単に、その許容最大濃度に固定することによっても可能であるが、最大濃度を制限するように入力画像データの変換条件を設定する場合でも、入力画像データの単調変化(単調増加又は単調減少)に対して、出力する階調データが単調に変化するように設定することで、画像の高濃度の領域で階調表現を維持することができる。
又、上記第2の発明によれば、最大濃度を制限するように入力画像データの変換条件を設定する場合でも、入力画像データの単調変化に対して、出力する階調データが単調に変化するように設定することで、画像の高濃度の領域で階調表現を維持することができ、プリント画像の画質を更に向上することができる。
〔昇華型熱転写プリンタPRの概略構成〕
本実施の形態の昇華型熱転写プリンタPRには、図1に概略的に示すように、画像形成対象部材PPである記録紙1に、イエロー,マゼンタ,シアンの各色の画像を夫々形成する3つのプリントヘッド11,12,13と、シアンのプリントヘッド13の搬送下流側に位置して、記録紙1の画像形成面に保護層を形成するオーバーコートヘッド14と、オーバーコートヘッド14にて保護層が形成された記録紙1を所定のプリントサイズに切断するカッタ15とが備えられている。
記録紙1は、記録紙1がロール状に巻き取られた状態の記録紙ロール2から長尺のまま供給され、上記各プリントヘッド11,12,13及びオーバーコートヘッド14にて処理された後、カッタ15にて切断され、トレイ16上に排出される。
各プリントヘッド11,12,13及びオーバーコートヘッド14には、基本的に同一構造を有しており、図2に示すように、インクシート21(オーバーコートヘッド14ではオーバーコートシート41。以下においても同様)の供給ロール22と、画像形成後のインクシート21を巻き取る巻取りロール23と、インクシート21を加熱するサーマルヘッド24と、記録紙1とインクシート21とをサーマルヘッド24に圧着して搬送駆動する駆動ローラ25と、インクシート21を案内するガイドローラ26と、記録紙1を搬送駆動する搬送ローラ27とが備えられ、更に、各プリントヘッド11,12,13の画像形成位置(サーマルヘッド24の接触位置)及びオーバーコートヘッド14の保護層形成位置を経由して記録紙1を搬送案内するために搬送ガイド28とが設けられている。
サーマルヘッド24は、長手方向が記録紙1の搬送方向と直交する姿勢で配置され、夫々が、搬送横幅方向(主走査方向)で、使用を想定している記録紙1の最大幅をカバーできる長さを有しており、多数の発熱抵抗体が高密度に前記主走査方向に並べて備えられている。
オーバーコートヘッド14の更に搬送下流側には、画像及び保護層を形成した記録紙1をカッタ15へ送り込む搬送ローラ42が備えられている(図1参照)。
図3のブロック図に示すように、記録紙1を搬送駆動するために搬送モータ31が設けられ、この搬送モータ31によって、各プリントヘッド11,12,13やオーバーコートヘッド14の駆動ローラ25及び搬送ローラ27、並びに、搬送ローラ42を一体に回転駆動している。尚、図示を省略するが、各プリントヘッド11,12,13のインクシート21、及び、オーバーコートヘッド14のオーバーコートシート41を所定のテンションで巻取り駆動するモータも、各ユニットに設けられている。
尚、図1においては、各プリントヘッド11,12,13の夫々に備えられるサーマルヘッド24について、イエローのプリントヘッド11に備えられるものに「Y」、マゼンタのプリントヘッド12に備えられるものに「M」、シアンのプリントヘッド13に備えられるものに「C」を、夫々括弧書きで付記して区別している。
昇華型熱転写プリンタPRには、上記サーマルヘッド24や搬送モータ31等の各部を制御するためにプリント制御装置PCが備えられており、プリント制御装置PCには、プリントデータの供給元である画像入力装置ISが接続されている。画像入力装置ISは、例えばパーソナルコンピュータ等にて構成される。
プリント制御装置PCには、図4に示すように、画像入力装置ISから入力された画像データを、各プリントヘッド11,12,13にてプリント動作させるための各8ビット階調のYMC系の色表現の画像データに変換処理する機能を基本機能とする画像処理装置51と、画像処理装置51にて生成されたYMC系表現の画像データを記憶保持するサーマルヘッド用データバッファ52と、サーマルヘッド用データバッファ52に記憶されている8ビット階調の画像データに応じてサーマルヘッド24の各発熱抵抗体を制御する加熱パルス出力回路53と、搬送モータ31を駆動するモータ駆動回路54と、記録紙1の搬送制御を実行する搬送制御装置55とが備えられている。
尚、サーマルヘッド用データバッファ52及び2つの加熱パルス出力回路53は、3つのプリントヘッド11,12,13の夫々に対応して備えられるが、図4においては、1つ分についてのみ図示している。
画像入力装置ISから入力された画像データをYMC系の8ビット階調データへ変換する基本処理は、このデータ変換回路51aの前段までで完了しており、データ変換回路51aは、記録紙1の搬送方向での画像のサイズに基づいて、出力する最大濃度階調値を制限するためのデータ変換処理を実行する。従って、データ変換回路51aの入出力特性は、入力画像データを、サーマルヘッド24を制御するための階調データに変換する変換条件の一部を構成している。
具体的には、データ変換回路51aは、図5において実線Aで示す入出力特性と、図5において破線Bで示す入出力特性とに切り換え可能に構成されている。
尚、本実施の形態では、データ変換回路51aは、入力濃度階調と出力濃度階調とが、何れも8ビット階調とした場合を例示するが、例えば、入力濃度階調を8ビット階調とし、出力濃度階調を12ビット階調とする等して、破線Bで示すような入出力特性を使用する場合でも、出力階調の階調表現をより的確に行えるようにしても良い。
実線Aにて示す入出力特性は、傾きが「1」の直線で、入力データをそのまま出力し、最大濃度階調値「DH」が入力されたときに、そのまま最大濃度階調値「DH」が出力される。
従って、記録紙1の搬送方向での画像サイズが前記設定サイズ以下のときは、データ変換回路51aよりも前段においてYMC系の8ビット階調データに変換したデータがそのまま出力され、許容最大濃度を出力濃度階調値「DH」に対応する濃度に設定している。
従って、記録紙1の搬送方向での画像サイズが前記設定サイズを超えるときは、許容最大濃度が出力濃度階調値「DL」に対応する濃度に設定され、記録紙1の搬送方向での画像サイズが前記設定サイズ以下の場合に比べて、許容最大濃度が低濃度となるようにしている。
このようにデータ変換回路51aの入出力特性を切り換えることで、画像入力装置ISから入力された入力画像データをサーマルヘッド24を制御するための階調データに変換する変換条件を異ならせて、記録紙1の搬送方向における画像のサイズに基づいて、前記サイズの大きい側の画像の許容最大濃度が前記サイズの小さい側の画像の許容最大濃度よりも低濃度となる状態で、画像の許容最大濃度を少なくとも2段階(本実施の形態では2段階)に設定変更しており、これによって、サーマルヘッド24の蓄熱による温度上昇によってインクシート21にしわが発生するのを抑制できる。
これによって、入力濃度階調値をそのまま出力する実線Aの入出力特性においてはもちろんのこと、最大濃度を制限する破線Bの入出力特性においても、高濃度領域での入力濃度階調の変化を、出力濃度階調の変化として反映させることができる。
搬送モータ31が記録紙1を1画素幅分だけ搬送する間に加熱パルスが何パルス入射するかに応じて、インクシート21から記録紙1へ転写されるインクの量すなわちその画素のプリント濃度が変化する。
サーマルヘッド用データバッファ52から加熱パルス出力回路53へのデータ送出タイミングは、記録紙1の搬送位置を管理している搬送制御装置55によって制御され、記録紙1が1画素幅分搬送される毎に、搬送制御装置55からサーマルヘッド用データバッファ52へデータ送出タイミングを示す信号が出力される。
次に、上記構成の昇華型熱転写プリンタPRのプリント動作を概略的に説明する。
画像処理装置51は、画像データを画像入力装置ISから受け取ると、記録紙1の搬送方向における画像サイズに応じて、上述のように変換処理して、その処理結果をサーマルヘッド用データバッファ52へ書込んで行く。
搬送制御装置55は、モータ駆動回路54から入力される搬送タイミング信号によって記録紙1の搬送位置を特定し、記録紙1の先端が所定のプリント開始位置まで搬送されて来ると、先ず、イエローのプリントヘッド11のサーマルヘッド用データバッファ52に対して、前記データ送出タイミングを示す信号の出力を開始する。
オーバーコートヘッド14にて保護層が形成された記録紙1は、カッタ15にて所定のプリントサイズに切断され、写真プリントとして仕上がる。
記録紙1における画像と画像との間には、画像が形成されない帯状の白色領域が存在し、カッタ15にて所定のプリントサイズに切断するための切りしろとして利用される。
複数画像を連続してプリントする際、この切りしろの部分でサーマルヘッド24が冷却される効果もある。
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、画像処理装置51において、入力された画像データをサーマルヘッド24を制御するための階調データに変換する処理として、入力された画像データを8ビット階調のYMC系の画像データに変換した後、更に、データ変換回路51aにて画像の最大濃度を制限するための処理を行う場合を例示しているが、入力画像データに対して、これらの処理を一括して演算処理するように構成しても良い。
(2)上記実施の形態では、記録紙1の搬送方向での画像サイズが設定サイズよりも長いか短いかの2段階に区分して、許容最大濃度の設定を行う場合を例示しているが、記録紙1の搬送方向での画像サイズを3段階以上に区分して、より詳細に許容最大濃度を設定するようにしても良い。
PP 画像形成対象部材
11,12,13 プリントヘッド
21 インクシート
24 サーマルヘッド
Claims (2)
- インクシートをサーマルヘッドにて加熱して画像形成対象部材上に画像を形成するプリントヘッドと、入力される画像データに基づいて前記サーマルヘッドを制御するプリント制御装置とが設けられた昇華型熱転写プリンタであって、
前記プリント制御装置は、前記画像形成対象部材の搬送方向における画像のサイズに基づいて、前記サイズの大きい側の画像の許容最大濃度が前記サイズの小さい側の画像の許容最大濃度よりも低濃度となる状態で、画像の許容最大濃度を少なくとも2段階に設定変更可能に構成されている昇華型熱転写プリンタ。 - 前記プリント制御装置は、入力画像データを、前記サーマルヘッドを制御するための階調データに変換する変換条件を異ならせることによって、前記許容最大濃度を設定変更するように構成され、
前記変換条件は、入力画像データの全データ範囲において、入力画像データの単調変化に対して出力階調データが単調に変化するように設定されている請求項1記載の昇華型熱転写プリンタ。
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