JP4069441B2 - プリント方法及びプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華式プリンタ等におけるプリント方法に関し、特に、サーマルヘッドの発熱に伴って発生するインクリボンの皺を防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルプリンタの一種に昇華式プリンタがある。昇華式プリンタは、昇華性染料を塗布したインクリボンと、昇華性染料の受像層が表面にコートされた専用のプリント用紙とを基本メディアとし、サーマルヘッドでインクリボンを加熱して昇華性染料をプリント用紙表面の受像層に昇華・拡散させることにより画像を形成する。
ところで、昇華式プリンタの高速化が強く望まれており、その手法のひとつとして、サーマルヘッドの発熱温度を高める手法が有効である。即ち、発色濃度はサーマルヘッドによる発熱温度と発熱時間とにより決まるため、サーマルヘッドの発熱温度を高めることにより、短時間で所望の発色濃度を得ることが可能となり、プリント動作の高速化を達成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サーマルヘッドの発熱温度を高くすると、以下に説明するように、インクリボンに皺が発生しやすくなり、画像の品質を低下させるという問題がある。図1を援用して、この問題を詳細に説明する。インクリボン5のインク面に塗布された昇華性染料をプリント用紙11に転写する際、インクリボン5とプリント用紙11を重ねてサーマルヘッド2とプラテンローラ8との間に挟み込み、所定の圧力で加圧する。同時に、外部から供給される画像データに従ってサーマルヘッド2の発熱抵抗体によって加熱しながらプリント用紙11を搬送し、インクリボン5を巻取ローラ7によって巻き取る。
【0004】
このとき、インクリボン5に張力が発生し、サーマルヘッド2で加熱されたインクリボン5が張力により延伸される。この延伸量の分布を図4(a)に矢印で示す。同図において、符号5hは、サーマルヘッド2による加熱領域に相当するプリント領域を示し、符号5cは、非加熱領域に相当する非プリント領域を示す。同図に示すように、インクリボン5の延伸量は、幅方向の部位によって異なり、プリント領域5hにおいて中央寄りほど延伸量が大きく、周辺寄りほど小さくなる傾向を示す。これは、サーマルヘッド2の中央寄りほど熱が滞留しやすくなるために温度が上昇し、この温度の上昇により中央寄りでのインクリボン5の延伸量が増えるためである。
【0005】
このように、部位によってインクリボン5の延伸量が異なると、図4(b)に示すように、延伸量の差が大きくなる領域、即ち非プリント領域5cとプリント領域5hとの境界に近いプリント領域周辺5cにおいてインクリボン5に皺5wが発生しやすくなる。また、高速化のためにサーマルヘッド2を高温で発熱させると、プリントの際に、高温に加熱されたインクリボン5がプリント用紙11に貼り付きやすくなり、このことも皺5wの発生を助長する一因となっている。このようにインクリボン5に皺5wが発生すると、これが白いスジとして画像に現れ、画像の品質が著しく損なわれることになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、サーマルヘッドによる加熱に起因したインクリボンの皺の発生を防止することができるプリント方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
即ち、請求項1記載の発明は、サーマルヘッドを用いてインクリボンを加熱することにより用紙に画像をプリントするプリント方法において、(a)前記画像をプリントするためのデータを外部から1ライン分ずつ順次読み込む第1のステップと、(b)前記第1のステップで読み込まれたデータに対し、前記サーマルヘッドの幅方向における前記画像のピクセルの位置が、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における中央領域と両端部の領域との境界から前記プリント領域の端部に近づくにつれて小さな係数を乗じることにより、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における両端部の領域での前記サーマルヘッドの発熱抵抗体間の温度差を抑制するように該データを補正する第2のステップと、(c)前記第2のステップで補正処理が施されたデータに基づき前記サーマルヘッドを通電制御する第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記プリント領域の中央領域に最も近いピクセルについては前記係数を1とし、前記プリント領域の端部のピクセルについては前記係数を0とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、サーマルヘッドを用いてインクリボンを加熱することにより用紙に画像をプリントするプリンタにおいて、(a)前記画像をプリントするためのデータを外部から1ライン分ずつ順次読み込む第1の手段と、(b)前記第1の手段が読み込んだデータに対し、前記サーマルヘッドの幅方向における前記画像のピクセルの位置が、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における中央領域と両端部の領域との境界から前記プリント領域の端部に近づくにつれて小さな係数を乗じることにより、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における両端部の領域での前記サーマルヘッドの発熱抵抗体間の温度差を抑制するように該データを補正する第2の手段と、(c)前記第2の手段が補正処理を施したデータに基づき前記サーマルヘッドを通電制御する第3の手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る昇華型プリンタの構成を概略的に示す。同図に示すように、プラテンローラ8の表面には、プリント用紙11がローラ9,10により付勢されて巻き付けられる。プラテンローラ8の上方には、サーマルヘッド2、放熱フィン4、剥離プレート3、ヒータ17から構成されるサーマルヘッドアセンブリ1が配置され、サーマルヘッド2の発熱抵抗体(図示なし)がプラテンローラ8に対向するようにして所定の圧力で当接している。
【0010】
また、プリント用紙11の搬送経路の上流側には、インクリボン5の巻出ローラ6(インクリボンの未使用部分)が配置され、この巻出ローラから巻き出されたインクリボン5は、プリント用紙11と重ね合わせられてプラテンローラ8とサーマルヘッド2との間を搬送され、搬送経路の下流側に配置された巻取ローラ7(インクリボンの使用済み部分)に巻き取られる。インクリボン5には、Y色(イエロー)、M色(マゼンタ)、C色(シアン)の3色の昇華性染料が一定のピッチで繰り返し塗布されている。
さらに、図示していないが、プリント用紙11の搬送を制御するための搬送制御部と、外部から1ライン分ずつ画像データを順次読み込んで、プリント用紙11の搬送に同期させてサーマルヘッド2を通電制御するための通電制御部とを備える。
【0011】
次に、図2に示すフローチャートを参照して本実施の形態の動作(プリント方法)を説明する。プリント動作が開始すると、外部のホストコンピュータ等(図示なし)から供給される画像データを1ラインずつ読み取り(ステップS1)、この1ライン内の各ピクセルに着目して画像データの補正の要否を判定する(ステップS2)。即ち、読み取った1ライン分の画像データのうち、左端のピクセルに対応するものから順番に補正処理の対象として注目し、皺を補正するための処理を行うか否かを判定する。
【0012】
さらに具体的には、図3に示すように、ピクセルP1〜Pqのうち、補正処理の対象として注目するピクセル(以下、注目ピクセルと称す)が、皺が発生し得るプリント領域5h内の周辺(以下、プリント領域周辺と称す)5h−aに位置するものであるか否かを判定する。図3に示す例では、1ライン分のピクセルのP1〜Pqのうち、左側のピクセルP1〜Pmの一群のピクセルと、右側のピクセルPn+1〜Pqの一群のピクセルが、前述の皺5wが発生し得るプリント領域周辺5h−aに位置し、これらの間に位置するピクセルPm+1〜Pnまでがプリント領域中央5h−bに位置している。
【0013】
ここで、注目ピクセルがプリント領域周辺5h−aに位置するものである場合(ステップS2;YES)、階調を薄くするための処理(以下、階調補正処理と称す)を画像データに対して施す(ステップS3)。具体的には、サーマルヘッド2の幅方向における画像のピクセルの位置に応じた補正係数を画像データに乗じる。即ち、補正前の画像データの階調をPAとし、補正後の画像データの階調をPBとすると、補正後の画像データの階調PBは下式(1)により表される。
PB=k×PA ・・・(1)
ただし、式(1)において、kは、各ピクセルの画像データに対する補正係数であって、この値はプリントの左右端に近づくにつれて小さく設定される。
【0014】
具体的には、図3において、プリント領域周辺か否かの判定の境界に位置するピクセルPm,Pn+1の階調に対しては補正係数kとして「1」(100パーセント)を設定し、そこからプリント領域5hの端部に位置するピクセルP1,Pqに向けて補正係数kを徐々に「0」に近づけていく。これにより、プリント領域周辺5h−aでのサーマルヘッド2の発熱抵抗体間の温度差(温度勾配)を抑制し、インクリボン5の幅方向におけるサーマルヘッド2の温度勾配を抑制するように画像データが補正される。
なお、上述のステップS2において、注目ピクセルがプリント領域周辺5h−aに位置しない場合、即ちプリント領域中央5h−bに位置する場合には(ステップS2;NO)、上述のステップS2での階調補正処理は実行されず、プリント領域中央5h−bに位置するピクセルの画像データはそのままとされる。
【0015】
続いて、1ライン分の画像データに対する階調補正処理が終了したか否かを判定する(ステップS4)。未了の場合(ステップS4;NO)には処理が上述のステップS2に戻され、残りのピクセルの画像データに対して同様の階調補正処理が繰り返し実行される(ステップS2〜S4)。続いて、1ライン分の画像データに対する階調補正処理が終了すると(ステップS4;YES)、そのラインがプリントの最終ラインか否かを判定する(ステップS5)。最終ラインでない場合には(ステップS5;NO)、処理が上述のステップS1に戻され、残りのラインについて同様の階調補正処理が繰り返し実行される(ステップS1〜S5)。そして、最終ラインに対する階調補正処理が終了すると(ステップS5;YES)、上述の階調補正処理が施された画像データを用いてサーマルヘッド2に対する通電制御および用紙の搬送制御を行い(ステップS6)、プリント用紙11に画像をプリントする。
【0016】
ここで、上述のように階調補正処理が施された画像データを用いてサーマルヘッド2の通電を制御することにより、プリント領域周辺5h−aでの画像の階調が薄くなる分だけプリント領域周辺5cでのサーマルヘッド2の発熱温度が低下し、非プリント領域5cとプリント領域5hとの境界での温度差(温度勾配)が小さくなる。このため、プリント領域周辺5h−aにおいてインクリボン5の延伸量の差が小さくなり、皺の発生が防止される。
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれ、溶融式プリンタなどの他のサーマルプリンタに適用することも可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、プリント領域周辺でのインクリボンの幅方向における温度勾配を抑制するようにデータに対して補正処理を施すようにしたので、プリント領域周辺でのインクリボンの延伸量の差が抑えられ、従ってサーマルヘッドによる加熱に起因したインクリボンの皺の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る昇華型のサーマルプリンタの構成を概略的に示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係るプリント動作(プリント方法)を説明するためのフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態に係る階調補正処理を説明するための図である。
【図4】 インクリボンの皺の発生メカニズムを説明するための図である。
【符号の説明】
1;サーマルヘッドアセンブリ、2;サーマルヘッド、3;剥離プレート、4;放熱フィン、5;インクリボン、6巻出ローラ、7;巻取ローラ、8;プラテンローラ、9,10;ローラ、11;プリント用紙、17;ヒータ。
Claims (3)
- サーマルヘッドを用いてインクリボンを加熱することにより用紙に画像をプリントするプリント方法において、
(a)前記画像をプリントするためのデータを外部から1ライン分ずつ順次読み込む第1のステップと、
(b)前記第1のステップで読み込まれたデータに対し、前記サーマルヘッドの幅方向における前記画像のピクセルの位置が、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における中央領域と両端部の領域との境界から前記プリント領域の端部に近づくにつれて小さな係数を乗じることにより、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における両端部の領域での前記サーマルヘッドの発熱抵抗体間の温度差を抑制するように該データを補正する第2のステップと、
(c)前記第2のステップで補正処理が施されたデータに基づき前記サーマルヘッドを通電制御する第3のステップと、
を含むことを特徴とするプリント方法。 - 前記プリント領域の中央領域に最も近いピクセルについては前記係数を1とし、前記プリント領域の端部のピクセルについては前記係数を0とすることを特徴とする請求項2に記載のプリント方法。
- サーマルヘッドを用いてインクリボンを加熱することにより用紙に画像をプリントするプリンタにおいて、
(a)前記画像をプリントするためのデータを外部から1ライン分ずつ順次読み込む第1の手段と、
(b)前記第1の手段が読み込んだデータに対し、前記サーマルヘッドの幅方向における前記画像のピクセルの位置が、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における中央領域と両端部の領域との境界から前記プリント領域の端部に近づくにつれて小さな係数を乗じることにより、プリント領域内の前記サーマルヘッドの幅方向における両端部の領域での前記サーマルヘッドの発熱抵抗体間の温度差を抑制するように該データを補正する第2の手段と、
(c)前記第2の手段が補正処理を施したデータに基づき前記サーマルヘッドを通電制御する第3の手段と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
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