JP2004322577A - サーマルプリンタ装置 - Google Patents

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武 山田
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Abstract

【課題】受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差の如何に関わらず、常に一定の濃度の画像をプリント可能なサーマルプリンタ装置を提供する。
【解決手段】インクシートの表面に塗布されたインクを、階調データに応じて選択的に発熱する複数の発熱素子を有するサーマルヘッドにより受像紙の表面に転写して画像を形成するサーマルプリンタ装置において、サーマルヘッド1の温度を測定する第1の温度測定手段3と、受像紙及びインクシートの少なくとも一方の温度を測定する第2の温度測定手段9と、第1の温度測定手段の測定結果及び第2の温度測定手段の測定結果に基づいてサーマルヘッド1に供給する階調データを補正する階調データ補正手段16とを備える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクシートに塗布されたインクをサーマルヘッドにより受像紙に転写して画像を形成する熱転写型サーマルプリンタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写型サーマルプリンタ装置は、インクシートと受像紙とをサーマルヘッドとプラテンとの間に挟み、サーマルヘッドの線状に配列された多数の発熱素子を画像データに応じて選択的に通電・発熱させることにより受像紙にインクを転写して画像をプリントするが、サーマルヘッドの温度が変化すると転写されるインクの量が変化し、画像の濃度が変化してしまう。
【0003】
そのため、サーマルヘッドの温度を測定し、その測定結果に応じてサーマルヘッドの通電時間を補正するものもある(例えば特許文献1参照)。環境温度を測定し、その測定結果に応じてサーマルヘッドの通電時間を補正するものもある(例えば特許文献2参照)。サーマルヘッドの温度と環境温度の両方を測定し、それらの測定結果に応じてサーマルヘッドに供給するエネルギーを補正するものもある(例えば特許文献3参照)。また、サーマルヘッドの温度と環境湿度とを測定し、それらの測定結果に応じてサーマルヘッドの通電時間を補正するものもある(例えば特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−277279号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平5−155059号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】
特開平9−11523号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献4】
特開平6−328760号公報(第2−6頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、昇華性染料が塗布されているインクシートの場合、サーマルヘッドの熱により昇華性染料が昇華・熱拡散されることにより受像紙に画像がプリントされるが、サーマルヘッドの温度が低い場合には昇華性染料の熱拡散量は少なくプリントされた画像の濃度は低い。しかし、サーマルヘッドの温度が高くなると昇華性染料の熱拡散量は多くなり、プリントされた画像の濃度は高くなる。
【0006】
このように画像の濃度はサーマルヘッドの温度に依存するが、画像の濃度は受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差にも依存する。具体的には、受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度との差が大きい時にはプリントされた画像の濃度は低く、差が小さい時にはプリントされた画像の濃度は高くなる。
【0007】
そのため、連続プリントを行った場合、サーマルヘッドに熱が蓄積し、温度が上昇して行くので受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差が次第に大きくなり、画像の濃度が低下して行くという問題がある。上記特許文献1〜4に記載の構成では、サーマルヘッドの温度変化に起因する濃度変化は補償されるが、受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差に起因する濃度変化については考慮していないので、特に低温環境下で連続プリントを行う場合、プリント開始時の画像の濃度とプリントを複数回繰り返した後の画像の濃度との間には差異が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差の如何に関わらず、常に一定の濃度の画像をプリント可能なサーマルプリンタ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、インクシートの表面に塗布されたインクを、供給される階調データに応じて選択的に発熱する複数の発熱素子を有するサーマルヘッドにより受像紙の表面に転写して画像を形成する本発明のサーマルプリンタ装置は、サーマルヘッドの温度を測定する第1の温度測定手段と、受像紙及びインクシートの少なくとも一方の温度を測定する第2の温度測定手段と、前記第1の温度測定手段の測定結果及び前記第2の温度測定手段の測定結果に基づいて前記サーマルヘッドに供給する階調データを補正する階調データ補正手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構造を示す。この、サーマルプリンタ装置は、昇華性染料が塗布されているインクシート5を巻装するインクシート供給ローラ7、インクシート供給ローラ7から繰り出されたインクシート5を巻き取るインクシート巻き取りローラ6、発熱素子2を有するサーマルヘッド1、ゴム等からなるプラテンローラ8、受像紙4の温度を検出する温度検出手段9を含む。
【0011】
発熱素子2は例えば抵抗体であって、サーマルヘッド1の表面に線状に配列されている。また、サーマルヘッド1には発熱素子2の発熱に伴う温度上昇を検出するため、サーミスタ3が備えられている。
【0012】
例えばサーミスタからなる温度検出手段9は、受像紙4の搬送方向に関し、サーマルヘッド1の発熱素子2の後方に配置され、受像紙4の裏面に対向する。温度検出手段9は、加熱される直前の受像紙4の裏面の中央付近の温度を検出する。
【0013】
プリント時にはサーマルヘッド1とプラテンローラ8で受像紙4とインクシート5を挟み込んで圧力を与え、インクシート5をインク巻き取りローラ6で巻き取り、受像紙4とインクシート5を左方向に搬送させる。
【0014】
このとき、インクシート5に塗布されている昇華性染料がサーマルヘッド1の熱により昇華・熱拡散され、それにより、受像紙4に画像がプリントされる。
【0015】
カラープリンタの場合には、イエロー、マゼンダ、シアンの各色の昇華性染料が塗布された部分と、耐光性を高めるためのオーバーコートが塗布された部分を含むインクシート5を巻装するインクシート供給ローラを用いる。インクシートのイエロー、マゼンダ、シアン、オーバーコートのそれぞれの部分についてサーマルヘッド1によりインクシート5に熱を加えながら搬送することで、受像紙4にカラー画像をプリントすることができる。
【0016】
図2に、上記構造のサーマルプリンタ装置の回路部分の構成を示す。サーマルプリンタ装置の全体の動作はコントローラ10により制御される。コントローラ10は、サーマルヘッド1のサーミスタ3のアナログ出力をデジタルデータに変換するA/D変換器14、受像紙4の温度検出手段9のアナログ出力をデジタルデータに変換するA/D変換器15、A/D変換器14,15の出力データに基づき温度補正データを生成する温度補正テーブル16、画像の画素データと階調データとの関係を記憶している階調テーブル12を含む。
【0017】
階調テーブル12は、温度補正テーブル16から出力される温度補正データに基づき階調データを補正して、ヘッド駆動回路13に転送する。ヘッド駆動回路13は転送された階調データに基づき、サーマルヘッド1の発熱素子2に供給する駆動パルス(電圧または電流パルス)を生成する。
【0018】
図3は、サーマルヘッド1の温度と受像紙4にプリントされた画像の濃度との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、サーマルヘッド1の温度が低い場合は、インクシート5の昇華性染料の熱拡散量が少ないため画像の濃度は低く、サーマルヘッド1の温度が上昇すると昇華性染料の熱拡散量が増加するため画像の濃度は高くなる。通常、サーマルヘッド1の熱により、最高濃度OD(オプティカルデンシティ)2.0程度が得られる。サーミスタ3を用いて予めサーマルヘッド1の温度を検出し、必要な濃度を得るためにサーマルヘッド1が到達すべき温度との差を計算することにより、サーマルヘッド1の発熱素子2に供給すべき駆動パルス数を求めることができる。
【0019】
図4は、サーマルヘッド1の温度が一定である場合の、受像紙4またはインクシート5の温度とプリントされた画像の濃度との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、サーマルヘッド1の温度が一定であっても、受像紙4またはインクシート5の温度が変わると、画像の濃度が変化することがわかる。具体的には、受像紙4またはインクシート5の温度が低く、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が大きい場合には昇華性染料の熱拡散量が少なくなるので濃度が低くなる。逆に受像紙4またはインクシート5の温度が高く、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が小さい場合には、昇華性染料の熱拡散量が多くなり濃度が高くなる。
【0020】
図5は、連続プリントを行った場合、サーマルヘッド1の温度(発熱素子2が発熱する直前の温度)及び受像紙4またはインクシート5の温度がプリント枚数に応じてそれぞれどのように変化するかを示すグラフである。このグラフに示すようにプリント開始時には、サーマルヘッド1の温度と受像紙4またはインクシート5の温度は共にサーマルプリンタ内部の温度にほぼ等しく互いに一致している。
【0021】
連続プリントを行う場合、発熱素子2の発熱により温度の上昇したサーマルヘッド1が元の温度に戻る前に次のプリントが開始されるため、蓄熱効果によってサーマルヘッド1の温度は上昇して行く。それに対し、受像紙4またはインクシート5の温度はほとんど変化しない。例えば、室温10℃で連続プリントを行った場合には、サーマルヘッド1の温度は60℃近くまで上昇するが、受像紙4またはインクシート5の温度はほとんど室温のままである。
【0022】
すでに説明したように、一定の濃度を得るためにはサーマルヘッド1の温度に応じて駆動パルス数を制御すればよいが、図4のグラフに示したようにサーマルヘッド1の温度は一定であっても、インクシート5や受像紙4の温度が低い場合は、プリントされた画像の濃度は低くなる。受像紙4またはインクシート5の温度が低く、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が大きい場合は濃度が低く、反対に受像紙4またはインクシート5の温度が高く、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が小さい場合は濃度が高くなる。例えば、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が0℃の時と50℃の時とでは、濃度に約10%の差が生じることが分かっている。
【0023】
以上説明したように、画像の濃度を一定にするには、サーマルヘッド1の温度と、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差の両方に応じてヘッド駆動回路13に転送する階調データを補正する必要がある。従って本実施形態では、温度補正テーブル16はA/D変換器14の出力データとA/D変換器15の出力データの両方に基づいて温度補正データを生成し、階調テーブル12に出力する。
【0024】
具体的には、A/D変換器14の出力データに基づいて決定された温度補正データの値を、A/D変換器14の出力データとA/D変換器15の出力データの差に応じた値だけ補正する。A/D変換器14の出力データに基づいて決定された温度補正データの値を、A/D変換器14の出力データとA/D変換器15の出力データの差が所定の閾値を超えた場合、即ち、受像紙4またはインクシート5とサーマルヘッド1との温度差が所定の閾値を超えた場合に、温度補正データを一定量補正し、濃度の低下を補償するようにしてもよい。尚、サーマルヘッド1の温度よりも受像紙4またはインクシート5の温度が高くなる場合はないので、この場合を考慮する必要はない。
【0025】
本実施形態によれば、低温環境下において連続プリントを行う場合にも、常に濃度が一定の画像を得ることができる。
【0026】
実施の形態2.
図6に、本発明の実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置の構造を示す。実施の形態1では、受像紙4の温度検出手段9は受像紙4の裏面の温度を検出するが、図6に示すように温度検出手段9を受像紙4とインクシート5の間に設け、受像紙4の表面の温度を検出するようにしてもよい。この場合には、温度検出手段9はサーマルヘッド1の後方に配置し、加熱される直前の受像紙4の温度を検出することが望ましい。
【0027】
本実施形態のサーマルプリンタ装置の動作は実施の形態1と同様であるので説明は省略する。本実施形態によれば実施の形態1と同様、低温環境下において連続プリントを行う場合にも、常に濃度が一定の画像を得ることができる。
【0028】
実施の形態3.
実施の形態2では、温度検出手段9は受像紙4の温度を検出するが、受像紙4ではなくインクシート5の温度を検出するようにしてもよい。この場合にも温度検出手段9はサーマルヘッド1の後方に配置し、加熱される直前のインクシート5の温度を検出することが望ましい。
【0029】
本実施形態のサーマルプリンタ装置の動作は実施の形態1と同様であるので説明は省略する。本実施形態によれば、実施の形態1及び2と同様、低温環境下において連続プリントを行う場合にも、常に濃度が一定の画像を得ることができる。
【0030】
以上、本発明の幾つかの実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態を組み合わせ、受像紙4の両側に温度検出手段9を設置し、2つの温度検出手段9により受像紙4の裏面の温度とインクシート5の温度をそれぞれ検出し、サーマルヘッド1、受像紙4、インクシート5の3つの温度に基づいて階調データを補正するようにしてもよい。この場合、コントローラ10内のA/D変換器の数が1つ増え、温度補正テーブル16に入力されるデータが3種類になるが、装置の動作は実施の形態1と同様である。この構成においても、低温環境下において連続プリントを行う場合にも、常に濃度が一定の画像を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、受像紙またはインクシートとサーマルヘッドとの温度差の如何に関わらず、常に一定の濃度の画像をプリント可能なサーマルプリンタ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構造を示す図である。
【図2】実施の形態1のサーマルプリンタ装置の回路部分の構成を示すブロック図である。
【図3】サーマルヘッドの温度とプリントされる画像の濃度との関係を示すグラフである。
【図4】受像紙またはインクシートの温度とプリントされる画像の濃度との関係を示すグラフである。
【図5】プリント枚数とサーマルヘッドの温度及び受像紙またはインクシートの温度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド、 2 発熱素子、 3 サーミスタ、 4 受像紙、 5 インクシート、 6 インクシート巻取りローラ、 7 インクシート供給ローラ、 8 プラテン、 9 温度検出手段、 10 コントローラ、 11メモリ、 12 階調テーブル、 13 ヘッド駆動回路、 14,15 A/D変換器、 16 温度補正テーブル。

Claims (4)

  1. インクシートの表面に塗布されたインクを、供給される階調データに応じて選択的に発熱する複数の発熱素子を有するサーマルヘッドにより受像紙の表面に転写して画像を形成するサーマルプリンタ装置において、
    サーマルヘッドの温度を測定する第1の温度測定手段と、
    受像紙及びインクシートの少なくとも一方の温度を測定する第2の温度測定手段と、
    前記第1の温度測定手段の測定結果及び前記第2の温度測定手段の測定結果に基づいて前記サーマルヘッドに供給する階調データを補正する階調データ補正手段と
    を備えることを特徴とするサーマルプリンタ装置。
  2. 前記第2の温度測定手段は、受像紙及びインクシートの搬送方向に関し、前記サーマルヘッドの発熱素子の後方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ装置。
  3. 前記第2の温度測定手段は、受像紙の裏面に相対する位置に配置され、該受像紙の裏面の温度を測定することを特徴とする請求項2に記載のサーマルプリンタ装置。
  4. 前記第2の温度測定手段は、搬送されるインクシートと受像紙の間に配置され、該受像紙の表面の温度及び該インクシートの表面の温度のいずれかを測定することを特徴とする請求項2に記載のサーマルプリンタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007313655A (ja) * 2006-05-23 2007-12-06 Funai Electric Co Ltd 画像形成装置
CN100436144C (zh) * 2005-10-26 2008-11-26 诚研科技股份有限公司 应用于一热转印打印机的热累积处理方法
JP2018167491A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 ブラザー工業株式会社 印刷装置
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