JP4598173B2 - 配膳車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給食等の配膳に用いる配膳車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、病院等では温冷配膳車の普及が著しい。これは、底面に車輪を備えた断熱箱からなる本体内に、断熱性の仕切壁を挟んで一対の温蔵室と冷蔵室とが形成され、温食と冷食とを分けて載せたトレイが仕切壁を貫通して温蔵室と冷蔵室とに跨って収容されることで、温食は保温状態に、冷食は保冷状態にそれぞれ貯蔵して運搬できるようになっている。
なお、この種の温冷配膳車は、特開平8−33524号公報等に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、給食にはスープ等の汁物が添えられる場合があるが、汁物等を予め所定容器に入れてトレイ上に載せて置くと、配膳車の走行の途中や、トレイの出し入れの際に零れるおそれがある。そのため、このような汁物等については、大型の容器にまとめて入れて別の台車等で運搬し、配膳する直前に個別に盛り付けて提供するようにしていた。
しかるにこの方法では、汁物等については、所定の暖かい状態または冷たい状態に保持することができず、美味しい状態で提供できないという問題があった。また、汁物等については、配膳車とは別に持って行く必要があるため、人手が余分に要るという問題もあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、汁物等も保温または保冷しつつ併せて運搬できるようにするところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
求項1の発明に係る配膳車は、断熱箱からなる本体内には、断熱性の仕切壁を挟んだ両側に一対の温蔵室と冷蔵室とが形成され、温食と冷食とを分けて載せたトレイが前記仕切壁を貫通して前記温蔵室と冷蔵室とにわたって収容可能とされるとともに、前記本体内には、前記温蔵室と冷蔵室の組とは別に、温冷切換可能な収納室が設けられ、この収納室は前記冷蔵室の隣りに設けられ、この収納室における前記冷蔵室とは反対側の壁面に収納室を加熱すべく加熱部材が配設されているとともに、前記冷蔵室と収納室との間に両面に通気口が設けられたダクトが装備されて、冷却器で生成された冷気が前記ダクトの両面の通気口から前記冷蔵室と収納室とに吹き出し可能となっており、かつ、このダクトの前記収納室側の面を塞ぐ断熱パネルが着脱可能に設けられており、さらに、前記断熱パネルと、前記加熱部材が配設された前記壁面とには、棚受けが対向状に設けられているところに特徴を有する
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ダクトの底部には前記冷却器からの除霜水を溜めるタンクが設置されるとともに、前記ダクトにおける前記収納室側の面の下端部には前記タンクを出し入れ可能な開口部が形成され、かつ前記断熱パネルの下端部には、前記タンクを出し入れ可能な出入口が前記ダクトの前記開口部と整合して開口されているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
汁物等は大型の容器等に入れられて収納室に収納され、保温または保冷されつつトレイ上の給食と一緒に運搬され、配膳時に小分けされて提供される。汁物等についても、保温または保冷して美味しい状態で提供することができ、しかもトレイを載せた配膳車により一緒に持って行くことができるから、運搬作業も簡単となる。
断熱パネルを装着して冷気の侵入を阻止した状態で加熱部材を駆動すると、収納室内が加熱されて補助の温蔵室として使用できる。一方、断熱パネルを外して加熱部材を非駆動とすると、ダクトからの冷気により収納室内が冷却されて補助の冷蔵室として使用できる。
また、収納室の特に上部側ではデッドスペースになる可能性があるため、断熱パネルと、加熱部材が配設された壁面とに棚受けを対向状に設けることによって、給食の単品を棚に載せて温蔵したり、小容器を常温で収納する場合等に有効利用することが可能となる。
【0007】
<請求項2の発明>
タンク内の除霜水を始末する場合、断熱パネルが装着されている場合は、断熱パネルの出入口とダクトの開口部を通してタンクを出し入れでき、断熱パネルが外されている場合は、ダクトの開口部を通してタンクをそのまま出し入れできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
本実施形態の配膳車は、図1及び図2に示すように、全体として矩形箱状をなす配膳車本体10を備えており、詳細にはステンレス鋼板からなる外殻体内に発泡ウレタン等の断熱材を充填した、表裏両面の開口された断熱箱体として構成されている。本体10の上面には機械室11が設けられているとともに、底面には車輪12が装備されていて、図1の左右方向に移動可能となっている。
【0009】
本体10内には、図2に示すように、横幅方向の中心よりも正面から見た右側に寄った位置に、冷却ダクト15が立てられており、この冷却ダクト15の左右に、間口が広狭異なった2室が形成されている。なお、冷却ダクト15の表裏両側には、支柱16が立てられている。
左側の間口の広い部屋はさらに断熱性の仕切壁17で仕切られ、正面から見た左側に温蔵室21が、右側に冷蔵室22がそれぞれ構成されて、互いに組をなしている。仕切壁17は、基台18上に複数個の単位仕切壁19を積み上げて形成されている。一方、右側の間口の狭い部屋は、収納室23となっている。
温蔵室21と冷蔵室22の組の表裏の出入口には、それぞれ二重ガラス構造の扉24が観音開き式に装備され、また収納室23の表裏の出入口62には、同じく二重ガラス構造の扉24が揺動開閉可能に装備されている。
【0010】
温蔵室21における仕切壁17と反対側の壁面には、ヒータパネル26Aが張られており、このヒータパネル26Aを作動させることで温蔵室21内が加熱されるようになっている。
一方、上記した冷却ダクト15内には、図5に示すように、その前後両側に縦向きの冷気通路30が形成されており、その間が冷却器室31となっている。冷却器室31内には冷却器32が装備され、機械室11内に装備された図示しない冷凍装置と冷媒配管で循環接続されて、周知の冷凍サイクルが構成されている。冷却器32の上方には、3個の循環ファン34が前後方向に並んで配設され、さらに仕切板35により前後の冷気通路30に振り分けられている。
冷却ダクト15の左右の面のうち、上記の冷気通路30と対応する前後両端部には、図3に示すように、複数段に分かれて吹出口37が形成されている。一方、冷却ダクト15の左右両面における冷却器室31と対応する部分の下端部には、吸込口38が形成されている。
【0011】
したがって、冷凍サイクルと循環ファン34とが駆動されると、図4及び図5の矢線に示すように、冷却器32の近傍において生成された冷気が、循環ファン34によって前後の冷気通路30に導かれてそれぞれ流下され、左右の吹出口37から冷蔵室22と収納室23とにそれぞれ吹き出され、また、冷蔵室22と収納室23の庫内空気が吸込口38から吸い込まれて冷却器32の下面側に導かれるといった循環流を生じ、もって冷蔵室22と収納室23とが冷却されるようになっている。
【0012】
冷却器室31内では、電源を切った場合等に冷却器32等に付着した霜が自然に溶けるようになっており、その除霜水を溜めるタンク40が備えられている。タンク40は、図1に示すように、上面開放の箱形をなし、その一面の上縁に、水平方向に突出したのち下向きに曲げられた取手41が形成された形状である。一方、冷却器室31内の下部には、図4に示すように、上記のタンク40を収容するタンク収容室43が設けられており、このタンク収容室43は収納室23側に開口部44が形成され、取手41が収納室23側に突出した状態でタンク40が収容されるようになっている。
除霜水は、冷却器32の下面側に配されたドレンパン(図示せず)で受けられ、ホース等を通ってタンク40内に排出されるようになっている。
【0013】
温蔵室21の一面を構成するヒータパネル26Aの張られた壁面と、冷蔵室22の一面を構成する冷却ダクト15の表面とには、互いに対をなすトレイ受け46が、複数にわたって設けられている。
一方トレイ48は、合成樹脂等で横長の矩形状に形成され、横幅の中央部付近に設けられた境界部49を挟んだ一側に温かい状態で供される食品が、他側に冷たい状態で供される食品がそれぞれ載置されるようになっている。このトレイ48は、境界部49が単位仕切壁19の間に割って入り、また両端が両側のトレイ受け46で受けられて、対をなす温蔵室21と冷蔵室22とにわたって収容され、一つのトレイ48において、温食は温蔵状態に、冷食は冷蔵状態にそれぞれ保存されるようになっている。
【0014】
収納室23側の構造についてさらに説明する。収納室23における正面から見た右側の壁面には、図2及び図3に示すように、別のヒータパネル26Bが張られており、このヒータパネル26Bを作動させることで収納室23内が加熱可能となっている。
一方、収納室23の左側の壁面は、上記した冷却ダクト15により構成されているが、この冷却ダクト15の表面には、断熱パネル50が着脱可能に装着されるようになっている。この断熱パネル50は、ステンレス鋼板からなる外殻体51内に断熱材52を充填して形成され、冷却ダクト15のほぼ全面を覆うことが可能な厚肉の板状に形成されている。
【0015】
断熱パネル50の取付構造については、図3に示すように、冷却ダクト15の表面の例えば四隅に、頭部55付きの取付ピン53が立てられている。一方、断熱パネル50の裏面には、取付溝56が対応して形成されており、この取付溝56は、取付ピン53の頭部55を挿通可能な円形部57の奥側に、軸部54を緊密に挿通可能な直線部58の連設された形状である。
したがって、取付ピン53の頭部55を取付溝56の円形部57に挿通しつつ、断熱パネル50を冷却ダクト15の表面に合わせて床面60上に載せ、引き続いて断熱パネル50を手前側に引くと、取付ピン53の軸部54が直線部58に移行して頭部55が係止されることで、断熱パネル50が冷却ダクト15の表面に合わさった状態で取り付けられ、またこれとは逆の操作で取り外すことができるようになっている。
【0016】
なお、断熱パネル50の下端部には、上記したタンク40を出し入れできる出入口62が開口されており、冷却ダクト15の表面に取り付けられた場合には、図1に示すように、タンク40の取手41が出入口62の天井部に臨むようになっている。ここで、タンク40がタンク収容室43に収容されたままで断熱パネル50の着脱ができるように、出入口62は特に奥行方向の寸法に余裕を持っている。
【0017】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
給食はトレイ48上に盛り付けられ、トレイ48が対をなす温蔵室21と冷蔵室22にわたって収容されることで、温食は温蔵状態に、冷食は冷蔵状態にそれぞれ保存される。
一方、収納室23には、スープやお茶(汁物等)が大型容器ややかん等に入れられて収納される。そのとき汁物等が暖かいものである場合には、収納室23が温蔵室として使用される。そのためには、図1及び図2に示すように、冷却ダクト15の表面に断熱パネル50が装着されるとともに、機械室11の正面に設けられた操作盤64のスイッチ操作により、収納室23のヒータパネル26Bがオンされる。そうすると、断熱パネル50により収納室23側への冷気の吹き出しが阻止され、また冷蔵室22内の冷熱との熱交換も阻止されつつ、収納室23内がヒータパネル26Bによって効率良く加熱され、収納された汁物等が温蔵状態に保存される。
【0018】
逆に、汁物等が冷たいものである場合には、収納室23が冷蔵室として使用される。その場合は、図3に示すように、断熱パネル50が外されて冷却ダクト15の表面が開放されるとともに、収納室23のヒータパネル26Bがオフとされる。そうすると、冷却ダクト15の吹出口37を介して、冷蔵室22と同様に収納室23内にも冷気が循環供給されて冷却され、収納された汁物等が冷蔵状態に保存される。
このように汁物等は大型の容器等に入れられて収納室23に収納され、保温または保冷されつつ、トレイ48上の給食と一緒に運搬され、配膳時に小分けされて提供される。
【0019】
以上説明したように本実施形態によれば、汁物等についても、保温または保冷して美味しい状態で提供することができ、しかもトレイ48を載せた配膳車により一緒に持っていけるから、運搬作業や配膳作業も簡単となる。
なお、収納室23に関し、冷却ダクト15の表面に断熱パネル50を取り付ける一方、ヒータパネル26Bもオフのままとすると、加熱も冷却もしない常温室としても、使用することができる。
収納室23側において、断熱パネル50を外せば、冷却ダクト15の表面が開放された状態となるから、例えば冷却ダクト15における冷却器室31と対応した部分に、開閉扉付きの開口等を設けておけば、冷却器32や循環ファン34の清掃や交換を比較的簡単に行うことができる。
【0020】
タンク40内の除霜水を始末するには、断熱パネル50が装着されている場合は、出入口62に手を入れて取手41に手を掛け、タンク40をタンク収容室43から出入口62を通して抜き出して収納室23の床面60を滑らせつつ外に出し、また、断熱パネル50が外されている場合は、図4に示すように、取手41が冷却ダクト15の表面から突出しているから、そのまま取手41に手を掛けてタンク40を同じく床面60を滑らせて外に出し、適宜の廃棄箇所に排水すればよい。空になったタンク40は、逆の操作により元のようにタンク収容室43に収容される。
例えば、タンク40を冷蔵室22側から出し入れしようとすると、トレイ48をいちいち外したり、邪魔にならないように一部のトレイ受け46の形状等を変える必要があるが、この実施形態では、断熱パネル50の装着の有無に拘わらず、収納室23側からタンク40を簡単に出し入れすることができる。
【0021】
また、収納室23の特に上部側では、デッドスペースになる可能性があるため、図1の鎖線に示すように、断熱パネル50と、反対側のヒータパネル26Bを張った面とに、対向状に棚受け66を設けるようにすると、給食の単品を棚に載せて温蔵したり、あるいは小容器を常温で収納する場合等に有効利用することが可能となる。
【0022】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)温蔵室や、収納室を温蔵室として使用する場合に加熱する手段としては、壁面に暖気流通用のダクトを配し、機械室内の加熱室で生成された暖気を、ダクトを介して温蔵室や収納室に循環供給するような手段を採ってもよい。
(2)本発明は、温蔵室の冷蔵室の組を2以上設けたものにも、同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る配膳車の斜視図
【図2】 その扉を外した正面図
【図3】 断熱パネルの装着構造を示す斜視図
【図4】 その一部切欠正面図
【図5】 冷却ダクトの内部構造を示す断面図
【符号の説明】
10…配膳車本体 15…冷却ダクト 17…仕切壁 21…温蔵室 22…冷蔵室 23…収納室 26B…ヒータパネル(加熱部材) 32…冷却器 34…循環ファン 37…吹出口 38…吸込口 48…トレイ 50…断熱パネル

Claims (2)

  1. 断熱箱からなる本体内には、断熱性の仕切壁を挟んだ両側に一対の温蔵室と冷蔵室とが形成され、温食と冷食とを分けて載せたトレイが前記仕切壁を貫通して前記温蔵室と冷蔵室とにわたって収容可能とされるとともに、前記本体内には、前記温蔵室と冷蔵室の組とは別に、温冷切換可能な収納室が設けられ
    この収納室は前記冷蔵室の隣りに設けられ、この収納室における前記冷蔵室とは反対側の壁面に収納室を加熱すべく加熱部材が配設されているとともに、前記冷蔵室と収納室との間に両面に通気口が設けられたダクトが装備されて、冷却器で生成された冷気が前記ダクトの両面の通気口から前記冷蔵室と収納室とに吹き出し可能となっており、かつ、このダクトの前記収納室側の面を塞ぐ断熱パネルが着脱可能に設けられており、
    さらに、前記断熱パネルと、前記加熱部材が配設された前記壁面とには、棚受けが対向状に設けられていることを特徴とする配膳車。
  2. 前記ダクトの底部には前記冷却器からの除霜水を溜めるタンクが設置されるとともに、前記ダクトにおける前記収納室側の面の下端部には前記タンクを出し入れ可能な開口部が形成され、かつ前記断熱パネルの下端部には、前記タンクを出し入れ可能な出入口が前記ダクトの前記開口部と整合して開口されていることを特徴とする請求項1記載の配膳車。
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