JP4596528B2 - ガスバリア性樹脂組成物及びこれを用いたガスバリアフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性樹脂組成物及びこれを用いたガスバリアフィルムに関し、特にポリウレタン樹脂と無機層状化合物からなるガスバリア性樹脂組成物であり、さらに当該ガスバリア性樹脂組成物を熱可塑性基材の片面側もしくは両面側に積層したガスバリアフィルムに関する。
従来、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、その良好な加工適性や優れた機械強度、透明性、製袋性等の二次加工適性から、包装フィルムとして汎用されている。そして、この種の包装フィルムには、食品、医薬品等を封入した際の酸化劣化の防止をはじめ、金属部品等を包装した際の防錆性能を上げるため、水蒸気、酸素、香気成分等に対し、その透過を抑制すべくガスバリア性の向上が図られてきた。
そこで、ガスバリア性を持たせるため、前記熱可塑性樹脂フィルムの片面あるいは両面上には塩化ビニリデン系樹脂を主要成分とするガスバリア層の形成や、ポリビニルアルコール系樹脂と無機層状化合物よりなるガスバリア層の積層が行われている(特許文献1参照)。加えて、エチレン−ビニルアルコール共重合体の水性分散液と無機物フィラーとを配合してガスバリア性を持たせた積層体が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記の塩化ビニリデン系樹脂を主要成分とするガスバリア層が形成されたガスバリアフィルムでは、当該フィルムの低温下の焼却によりダイオキシン等の有機塩素系化合物の発生が懸念され、環境対策上好ましくない。また、特許文献1のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルム及び特許文献2のエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む積層体に関しては、高湿度下におけるガスバリア性の低下が知られ、用途が限定される問題点がある。
上記の高湿度下におけるガスバリア性の低下を改善するために、無機板状粒子及び水溶性高分子を主成分とするガスバリアフィルムが提案されている(特許文献3参照)。しかし、前記特許文献3のガスバリアフィルムでは水溶性高分子として高水素結合性水溶性高分子を構成成分としている。このため、塗膜(ガスバリア層)の構成成分を含んだ塗剤の粘度が高くなり、高濃度での塗工が困難であった。また、前記特許文献3のガスバリアフィルムは、水分を保持し易いため乾燥性が好ましくなく、高湿度下のガスバリア性も十分ではないという問題がある。
以上の点を改善すべく、ポリウレタン樹脂に層状無機化合物を添加した樹脂組成物、及び当該樹脂組成物が積層されたガスバリアフィルムが提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、前記特許文献4にあるガスバリアフィルムにおいても、高湿度下におけるガスバリア性の低下は必ずしも改善されたわけではなかった。特に水分含量の多い食品の包装に用いる場合、ガスバリア性の効果を発揮することは困難であった。
特開平6−93133号公報 特開平6−57066号公報 特開2001−48994号公報 特開2001−98047号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、水分活性が高い物品、水分含量の多い食品等を包装する際の高湿度下でも優れたガスバリア性を発揮し、焼却時にダイオキシン等の有機塩素系化合物の発生を抑制可能なガスバリア性樹脂組成物と共に、当該ガスバリア性樹脂組成物を積層したガスバリアフィルムを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、骨格構造中に含まれるメチレン鎖の連続数が4以下、かつ芳香族炭化水素基濃度が10重量%以上、かつ数平均分子量が1500〜4700であるポリウレタン樹脂(A)と、水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)とを含有し、前記ポリウレタン樹脂(A)が、ポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)と揮発性塩基化合物である中和剤(d)とを反応させてウレタンプレポリマーを得ると共に、前記中和剤(d)により中和した後もしくは中和と同時に、アンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物の少なくとも一種以上から選択される末端封鎖剤(e)を添加し、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート残基を封鎖して得たポリウレタン樹脂であって、前記ポリウレタン樹脂(A)は前記骨格構造中に含むエステル基濃度を5重量%以上とするポリエステル系ポリウレタン樹脂であると共に、前記ポリエステル系ポリウレタン樹脂における下記(i)式もしくは下記(ii)式のいずれか一方または両方で示される骨格構造が、14.8重量%以上含まれ、前記ポリオール化合物(a)において、総ポリオール化合物中に下記(iii)式もしくは下記(iv)式のいずれか一方または両方で示されるポリオール化合物が、50重量%以上含まれ、前記ポリイソシアネート化合物(b)が、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも一種以上のポリイソシアネートを総ポリイソシアネート化合物中に50重量%以上含んでいることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物に係る。
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請求項の発明は、前記ポリエステル系ポリウレタン樹脂の形態が水分散性である請求項に記載のガスバリア性樹脂組成物に係る。
請求項の発明は、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)と間の固形分比が、100/5〜100/50である請求項1または2に記載のガスバリア性樹脂組成物に係る。
請求項の発明は、前記水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)が合成マイカである請求項1ないしのいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂組成物に係る。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂組成物が、基材フィルムの少なくとも片面に積層されてガスバリア層を形成していることを特徴とするガスバリアフィルムに係る。
請求項の発明は、前記ガスバリア層の層厚が1μmであるときの当該ガスバリア層の酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、40mL/m2・atm・day以下である請求項に記載のガスバリアフィルムに係る。
本発明のガスバリア性樹脂組成物によると、骨格構造中に含まれるメチレン鎖の連続数が4以下、かつ芳香族炭化水素基濃度が10重量%以上、かつ数平均分子量が1500〜4700であるポリウレタン樹脂(A)と、水膨潤性の膨潤性無機層状化合物(B)とを含有するため、焼却時にダイオキシン等の有機塩素系化合物の発生は抑制可能である。
また、ポリウレタン樹脂(A)が、ポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)と揮発性塩基化合物である中和剤(d)とを反応させてウレタンプレポリマーを得ると共に、前記中和剤(d)により中和した後もしくは中和と同時に、アンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物の少なくとも一種以上から選択される末端封鎖剤(e)を添加し、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート残基を封鎖して得たポリウレタン樹脂であるため、ポリウレタン樹脂自体の分子量は従前の樹脂よりも低分子化して、ガスバリア性を高めることとなる。
加えて、本発明のガスバリアフィルムによると、前記のガスバリア性向上に起因して水分活性が高い物品、水分含量の多い食品等を包装する際の高湿度下の使用にも耐えうることができる。
本発明のガスバリア性樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂(A)と水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)とを含有して形成されている。請求項1の発明に規定するように、ポリウレタン樹脂(A)は、当該樹脂の骨格構造中に含まれるメチレン鎖(−CH2−)の連続数が4以下であり〔1〕、かつ、同骨格構造中に含まれる芳香族炭化水素基の濃度が10重量%以上であり〔2〕、同時に同骨格構造を形成する単位ポリマー当たりの数平均分子量が10000以下、とりわけ4700以下であること〔3〕、以上〔1〕ないし〔3〕の全ての性状を満たすものである。
前記の〔1〕ないし〔3〕の性状をさらに言及する。〔1〕において、ポリウレタン樹脂(A)の骨格構造中の実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は4以下、好ましくは3以下、とりわけ2以下とすることがより好ましい。
〔2〕において、同ポリウレタン樹脂(A)の骨格構造中に含まれる芳香族炭化水素基の濃度は、10重量%以上(例えば、10〜30重量%)、好ましくは12〜28重量%(特に14〜26重量%)程度である。芳香族炭化水素基の濃度(つまり芳香環濃度)とは、芳香環の分子量(一置換体77.1g/当量、二置換体76.1g/当量、三置換体75.1g/当量である。ナフタレン骨格の場合も同様に置換数に応じて算定される。)を、繰り返し構成単位構造の分子量で除した値を意味する。なお、混合物を用いる場合、芳香環の濃度は、反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出される。
〔3〕において、同ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量は、800〜10000、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは1500〜4700の範囲から選択される。〔1〕ないし〔3〕の性状が満たされる場合、後述する実施例からも明らかなとおり、良好なガスバリア性が発揮される。
ポリウレタン樹脂(A)を構成する各原料((a)ないし(e))を以下に詳述する。文中の活性水素とは、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子と結合している水素原子である。
〔ポリオール化合物(a)〕
ポリオール化合物(a)としては、ガスバリア性の観点から、前記のとおり、メチレン鎖連続数を4以下とする低分子量グリコール、ポリエステルポリオールが用いられる。低分子量グリコールとしては、アルキレングリコールにおいて、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のメチレン鎖連続数が4以下である直鎖状又は分岐鎖状アルキレングリコール等が使用される。また、(ポリ)オキシ4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)が使用される。好ましい低分子量グリコール成分は、メチレン鎖連続数が3以下(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)、特に好ましい低分子量ジオール成分はエチレングリコールである。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリ(エチレンオキシエチレン)アジペートジオールポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオールなどのメチレン連続数が4以下のポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール等のメチレン連続数が4以下の芳香族ポリエステルポリオールが使用される。
好ましいポリエステルポリオール成分は、ポリエチレンテレフタレートポリオール、ポリエチレンイソフタレートポリオール、ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリオール等の芳香族ポリエステルポリオールであり、ポリエチレンテレフタレートポリオール、ポリエチレンイソフタレートの最小単位である、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸(BHET)、ビス(ヒドロキシエチル)イソフタル酸(BHEI)が特に好ましい。これらの芳香族ポリエステルポリオールは単独もしくは二種以上を組み合わせて使用できる。
〔ポリイソシアネート化合物(b)〕
ポリイソシアネート化合物(b)としては、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示できる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が例示できる。
脂環族ジイソシアネートとしては、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン(NBDI)等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート等を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物(b)(特にはジイソシアネート化合物)として、炭化水素環を有する化合物を含むポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、芳香族、芳香脂肪族及び脂環族ポリイソシアネート(特にジイソシアネート)等が挙げられる。より具体的には、ガスバリア性の観点からは、芳香族ジイソシアネート(TDI、MDI、NDI等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDI、TMXDI等)及び脂環族ジイソシアネート(IPDI、水添XDI、水添MDI、NBDI等)が好ましく、特に、XDI、IPDI、水添XDI、水添MDI、NBDI等が好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は単独または二種以上組み合わせて使用でき、さらに必要に応じて3官能以上のポリイソシアネートを併用することもできる。
ここで列記の芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも一種以上のポリイソシアネートは、重量比で当該ポリイソシアネート化合物(b)中に50重量%以上、特には50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%含有されている。このようなポリイソシアネートの含有比率であると、後述する実施例からも明らかなとおり、良好なガスバリア性を発揮する。
〔アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)〕
当該化合物(c)は、メチレン鎖の連続数が最大で4以下であれば特に制限はなく、アニオン性親水基がカルボキシル基であり、活性水素がヒドロキシル基の水素である化合物を好適に用いることができる。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸等を挙げることができる。カルボキシル基を有するジオールとして、カルボキシル基を有するジオールとカルボキシル基を有しないジオールを混合したジオール成分と、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などのジカルボン酸とから得られるペンダントカルボキシル基を有するポリエステルポリオールを用いることもできる。これらのアニオン性親水基と2以上の活性水素を有する化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
〔中和剤(d)〕
中和剤(d)としては、アンモニア、第一級アミン化合物及び第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。具体的に、アンモニアに加えて、エチルアミン、イソプロピルアミンなどの第一級アミン化合物、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アミン化合物、トリエチルアミン等の第三級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を挙げることができる。これらは単独または二種以上組み合わせて使用できる。
前記の中和剤(d)は、揮発性塩基化合物である。一般に揮発性塩基化合物の場合、分子量が小さいため、分散性が良いとされる。また、当該ガスバリア性樹脂組成物を基材フィルムに塗工後、その臭気が素早く低減するためである。
90%RHを超える超高湿度条件下におけるガスバリア性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基で置換されたモノ、ジ、またはトリアルキルアミン、モノブチルアミン、炭素数1〜3のアルカノール基で置換されたアルカノールアミン、炭素数1〜3のアルキル基及び炭素数1〜3のアルカノール基で置換されたアルキルアルカノールアミン、モルホリン、メチルモルホリン、ジメチルモルホリン、アンモニア等の揮発性塩基化合物が好ましい。さらに好ましくは、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の沸点を100℃以下とする揮発性塩基化合物である。
〔末端封鎖剤(e)〕
末端封鎖剤(e)は、アンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物の少なくとも一種以上から選択され、活性水素の存在を必要とする。末端封鎖剤(e)による末端封鎖はイソシアネート残基の一部であっても良い。後述するウレタンプレポリマー(A’)のイソシアネート残基の一部を封鎖し、さらに公知の鎖伸長剤を用いて鎖伸長反応を行うことによっても、数平均分子量を10000以下、特には4700以下にすることが可能となる。
末端封鎖剤(e)のアンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物としては、例えば、アンモニアに加えて、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール等の第一級アミン化合物、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等の第二級アミン化合物を挙げることができる。これらの末端封鎖剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、沸点が100℃以下の揮発性塩基化合物である、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンが好ましく、特にアンモニアが好ましい。末端封鎖剤として用いられる塩基は中和剤としても作用する可能性がある。これら揮発性塩基化合物を末端封鎖剤として用いることによって、中和剤として作用したとしても、超高湿度下でのガスバリア性を高めることが可能であり好ましい。
アンモニアを反応させる方法としては、アンモニア水溶液を用いる方法やアンモニウム塩を用いる方法、アンモニアガスを反応させる方法などが挙げられ、反応性や作業性などを考慮して適宜選択される。アンモニア水溶液を用いる場合、水も末端封鎖剤として作用することが予想されるものの、アンモニアのイソシアネート基との反応速度は水よりも十分大きいため、水溶液中のアンモニアがイソシアネート残基に対し等モル以上であれば、水との反応は無視できる。
さらに、前出の中和剤(d)及び末端封鎖剤(e)を沸点100℃以下の揮発性塩基化合物(単独もしくは二種以上)とすることにより、中和と末端封鎖とを同時に行うことが可能となり、製造上容易であるとともに、超高湿度下のガスバリア性を確保するため有効である。
続いて、前記の各成分に基づくポリウレタン樹脂(A)の調製について説明する。すなわち前掲のポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)と、必要により鎖伸長剤が添加されて架橋等が促進し、揮発性塩基化合物である中和剤(d)の添加により中和され、いったんウレタンプレポリマー(A’)が得られる。
前記のウレタンプレポリマー(A’)にあっては、中和剤(d)により中和した後、もしくは中和と同時に、アンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物の少なくとも一種以上から選択される末端封鎖剤(e)が添加される。このとき、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート残基において、イソシアネート基の窒素原子が−NH−CO−NH2等(例えば、アンモニア添加の場合)に変化すること等により封鎖され、重合反応(架橋)は抑制される。この結果、前掲のとおり、1分子当たりのポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量は4700以下にまで制御される。特に本発明において、ウレタンの合成反応の最終形態であるポリウレタン樹脂(A)とは、本来ならば進行すべき鎖伸長反応が末端封鎖剤(e)により途中で停止した形態の樹脂を示す。そこで便宜上、ポリウレタン樹脂(A)の前駆体、つまり鎖伸長反応の進行途中である樹脂をウレタンプレポリマー(A’)と規定して互いの樹脂を区別している。
ウレタンプレポリマー(A’)の鎖伸長反応に用いる鎖伸長剤としては、その内部に含まれるメチレン鎖の連続数が最大で4以下であれば特に限定されず、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの前述したポリオール化合物、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミンなどのヒドロキシル基を有する第一級アミン化合物、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N’−ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−2−ヒドロキシプロピルプロピレンジアミンなどのヒドロキシル基を有する第二級アミン化合物、第一級アミンとモノカルボン酸から誘導されるアミドアミン、ジ第一級アミンのモノケチミン、分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する炭素数2〜4の脂肪族の水溶性ジヒドラジン化合物である1,1’−エチレンジヒドラジン、1,1’−トリメチレンジヒドラジン、1,1’−(1,4−ブチレン)ジヒドラジン、炭素数2〜4のジカルボン酸のジヒドラジド化合物であるシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、などを挙げることができるが、超高湿度下でのガスバリア性の点から、エチレングリコール、エチレンジアミンが好ましい。これらの鎖伸長剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ウレタンプレポリマー(A’)の生成において、その製造方法に特に制限はなく、例えば、ワンショット法(1段式)、多段式のイソシアネート重付加反応法等の公知手法を用い、温度40〜150℃で反応させることができる。この際、必要に応じてジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキソエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の触媒が添加されることがある。また、反応段階において、あるいは、反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶媒を添加することができる。このような有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。ウレタンプレポリマー(A’)の製造の際に前記の有機溶剤を用いた場合、イソシアネート基の封鎖が進行した後、例えば、減圧蒸留等により有機溶剤を除去することが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)の骨格構造は、おおよそ図1の構造をその一部に含むものとして例示される。図示の構造内部位S1にあっては、前記末端封鎖剤(e)の活性水素の働きにより、イソシアネート残基(−NCO基)が封鎖されて「−NH−CO−NH2」に変化し、以降の鎖伸長が制限される。構造内部位S2で示すとおり、カルボキシル基(−COOH基)等の酸性基は、塩基(アンモニアを例示)との反応により中和が進行する。構造内部位S3では、実質的なメチレン鎖(―CH2―)の連続数を2(前掲の4以下を満たす。)としている。
ポリウレタン樹脂(A)は、その骨格構造中に含むエステル基濃度を5重量%以上とするポリエステル系ポリウレタン樹脂である。ポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリオール化合物(a)中に、ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリ(エチレンオキシエチレン)アジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール、ポリエチレン−2,6−ナフタレートジオール等のメチレン鎖の連続数が4以下であるポリエステルポリオール化合物を少なくとも一種以上含ませることで得ることができる。
骨格構造中のエステル基濃度を5重量%以上とするには、原料ポリエステルポリオール中に実質的に含まれるエステル基濃度から、反応仕込みベース、すなわち各成分の使用割合をベースとして逆算し、ポリエステルポリオールの仕込み量を決定することによって調整され得る。
ポリウレタン樹脂(A)は、下記の(i)式もしくは(ii)式のいずれか一方または両方で示される構造骨格(構造単位)が当該ポリウレタン樹脂(A)において15重量%以上含まれるポリエステル系ポリウレタン樹脂である。骨格構造中に(i)式構造、(ii)式構造を含んだポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリオール化合物中に、前述したポリエチレンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール等のメチレン連続数が4以下の芳香族ポリエステルポリオールを少なくとも一種以上含ませることで得ることができる。後述する実施例から理解されるとおり、超高湿度下(90%RH以上)におけるガスバリア性の向上が明らかである。
Figure 0004596528
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(i)式構造、(ii)式構造の濃度を14.8重量%以上とするには、前記芳香族ポリエステルポリオール中に実質的に含まれる構造の濃度から、反応仕込みベース、すなわち各成分の使用割合をベースとして逆算し、前記芳香族ポリエステルポリオール仕込み量を決定することにより得ることができる。
前掲のポリオール化合物(a)においては総ポリオール化合物中に下記(iii)式もしくは下記(iv)式のいずれか一方または両方で示されるポリオール化合物50重量%以上含まれる。
Figure 0004596528
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(iii)式構造、(iv)式構造のポリエステルポリオール化合物は汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)のリサイクル過程から得られ、資源の有効利用やコストの点で有効である。これらのジオール成分は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用できる。必要に応じて、芳香族ジオール、脂環族ジオールなどの低分子量ジオール成分を併用してもよい。さらに、3官能以上のポリオール成分を併用することもできる。なお、必要であれば、ポリウレタン樹脂の調製において、イソシアネート基に対して反応性を有する化合物(例えば、ポリエーテルジオールなど)を反応させてもよい。
既に述べたとおり、ポリウレタン樹脂(A)はポリエステル系ポリウレタン樹脂とされることが好適であり、とりわけ、請求項の発明に規定するように、当該ポリエステル系ポリウレタン樹脂の形態は水分散性とされる。このポリエステル系ポリウレタン樹脂組成物は、通常、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、中和剤、及び水性媒体より構成される。水性媒体としては、水、水溶性又は親水性溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、アセトニトリル等のニトリル類等が例示され、これらの混合溶媒も使用される。水性媒体は、通常、水、または水を主成分として含む水性溶媒である。当該ポリウレタン樹脂(A)は、水性媒体に溶解した水溶液、あるいは水性媒体に分散させた水分散体のいずれの形態であってもよい。
ポリウレタン樹脂(A)を組成する(a)ないし(e)の成分間の好適な割合は、発明者による鋭意検討の結果、下記のとおり規定できる。
活性水素を有する成分であるポリオール化合物(a)とアニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)との総量割合は、ポリイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基1モルに対して、各成分中の活性水素を有する有機基の総量として0.50〜0.99モル、好ましくは0.55〜0.98モル、さらに好ましくは0.60〜0.95モル程度である。
揮発性塩基化合物である中和剤(d)成分の割合は、アニオン性親水基のアニオン基1モルに対して、0.1〜2.0モル、好ましくは0.2〜1.5モル、さらに好ましくは0.5〜1.2モルである。
末端封鎖剤(e)の割合は、ポリイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基1モルに対し、活性水素を有する有機機の総量として0.01〜0.50モル、好ましくは0.02〜0.45モル、さらに好ましくは0.05〜0.40モルである。
本発明のガスバリア性樹脂組成物を構成する成分である膨潤性無機層状化合物(B)として、以下の鉱物が挙げられる。含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイル等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)である。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。膨潤性無機層状化合物(B)は単独でまたは二種以上組み合わせて使用される。
これらの膨潤性無機層状化合物(B)のうち、水膨潤性であるスメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト等)、マイカ族粘土鉱物(水膨潤性雲母等)、後記実施例の合成マイカが特に好ましく用いられる。ポリウレタン樹脂(A)が水分散性であることから、双方の親和性が図られる(親水性が担保される。)。
水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)の平均粒径は、通常、10μm以下(例えば、50nm〜5μm)、好ましくは100nm〜3μm程度とされる。ちなみに、膨潤性無機層状化合物(B)のアスペクト比は50〜5000、好ましくは100〜3000、さらに好ましくは200〜2000程度とされる。
このガスバリア性樹脂組成物においては、請求項の発明に規定され、後述の実施例に開示の試作例2ないし11から理解されるように、ポリウレタン樹脂(A)と水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)との混合比は、固形分比(重量比換算)にて(前者:ポリウレタン樹脂)/(後者:水膨潤性の膨潤性無機層状化合物)として、100/5〜100/50の範囲が適当である。さらに好ましくは、100/8〜100/30の範囲である。
水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)の混合比を増すことによりガスバリア性は向上するものの、上記混合比を越えて無機層状化合物が含まれるとしても、高湿度下でのガスバリア性に向上はみられない。そればかりか、フィルムとして加工した際の可撓性が悪くなり、フィルムの取り扱いの劣化が指摘される。そのため、ガスバリア性とフィルムの利便性とを勘案して上記の混合比とすることが好ましい。
本発明のガスバリア性樹脂組成物がガスバリア性を発揮する作用は、おおよそ下記の構造に起因するものと推定される。
すなわち、水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)は、前述のとおり極薄の単位結晶からなる。水等の溶媒(塗剤)中において、単位結晶層間に溶媒を配位、吸収・膨潤し、分散処理により層間で劈開が起こる。分散処理を行い劈開した膨潤性無機層状化合物(B)と、ポリウレタン樹脂(A)とを溶媒の存在下混合すると、ランダムに分散した膨潤性無機層状化合物の単位結晶層間にポリウレタン樹脂(A)が存在している状態となる。このような状態にある樹脂組成物を含む塗剤が熱可塑性樹脂基材(基材フィルム)上に塗布される。その後の乾燥する工程において、膨潤性無機層状化合物はその単位結晶層間にポリウレタン樹脂を挟んだ状態で互いの結晶面同士が入り組んで重なり合う。
このとき、膨潤性無機層状化合物(B)の単位結晶面とポリウレタン樹脂(A)との間、及びポリウレタン樹脂(A)の各粒子間は、蒸発する溶媒の通り道として働くものと推察される。そして、乾燥の最終段階においてポリウレタン樹脂は互いに最密充填しようとして入り組み、重なり合った膨潤性無機層状化合物の単位結晶層間の間隙は小さくなる。ポリウレタン樹脂の末端は末端封鎖剤(e)の塩基性窒素原子を含むアンモニア等の塩基性化合物で封鎖され尿素基を形成するが、中性ないし弱いカチオン性を示すものと推測される。このような末端部位と、ポリウレタン樹脂中のアニオン性親水基(中和剤(d))、膨潤性無機層状化合物のアニオン性結晶面、膨潤性無機層状化合物の交換性カチオンとの間で、アニオン−カチオン相互作用効果が生じ、ポリウレタン樹脂同士、ポリウレタン樹脂と膨潤性無機層状化合物間、膨潤性無機層状化合物同士の凝集力を高める効果が発現するものと考えられる。
ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量は10000以下、特には4700以下(さらには1500〜4700)とされているため、樹脂自体の構造は小となり、水膨潤性である膨潤性無機層状化合物の単位結晶層間の間隙は縮小可能となる。併せて、ポリウレタン樹脂(A)の分子同士の隙間も縮小して緻密となる。従って、従前にも増してポリウレタン樹脂同士、ポリウレタン樹脂と膨潤性無機層状化合物間、膨潤性無機層状化合物同士の凝集力は向上し、酸素等の気体分子の透過は抑制されるものと推定される。
ガスバリア性樹脂組成物において、そのガスバリア性及び透明性が損なわれない限りであれば、各種の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸素吸収剤等であり、これらは同ガスバリア性樹脂組成物の全重量に対して25重量%以下まで含有されていてもよい。加えて、ガスバリア性樹脂組成物に無機系微粒子、有機系微粒子が含まれていてもよい。無機系微粒子、有機系微粒子としては、例えばカオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、リン酸カルシウム、コロイダルシリカ、水ガラス、架橋アクリル系粒子、架橋ポリスチレン系粒子等が挙げられる。これらはガスバリア層の全重量に対して、最大20重量%まで含まれていてもよい。
これまでに詳述した組成から調製され、所定の性状を充足するガスバリア性樹脂組成物((A)+(B))は、請求項の発明に規定するように、基材フィルムの少なくとも片面、あるいはその両面に積層されてガスバリア層を形成する。こうして、ガスバリアフィルムが得られる。
基材フィルムとしては熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルとの1種または2種以上のランダムまたはブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、1−ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらに前記したこれらの重合体の混合物等のポリオレフィン系樹脂、石油樹脂及びテルペン樹脂等の炭化水素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610及びナイロンMXD等のポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン−アクリロニトリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
前掲の樹脂は1種類単独もしくは2種類以上を混合しても良く、また、基材フィルム同士の積層も可能である。ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的強度、包装適性等が優れているため好ましく、この中で特に好ましいのは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂である。
前述の基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)は、包装用途、特にガスバリアフィルムとして好適に使用されるためには透明性を有することが望ましい。そのため、ヘイズ値(JIS−K−7105もしくはASTM−D1003に準拠)が15%以下であることが好ましく、10%以下、さらには3%以下であることがさらに好ましい。また、基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)の厚さは、特に限定されないが、一般的には1〜500μmの範囲である。5〜100μmであると、延伸加工性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、製袋加工性を良好とする上で好ましい。さらに好ましくは、10〜50μmである。
基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)には、必要に応じて、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、紫外線吸収剤、滑り性付与及びアンチブロッキング性付与を目的とした界面活性剤等の公知の添加剤が、ガスバリアフィルムとしてのガスバリア性及び透明性を損なわない程度であれば配合されることもある。
基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)の製造方法として、溶液キャスト法、Tダイ法、チューブラー法、カレンダー法等の公知の方法が使用される。基材フィルムは、その機械的物性等から、延伸フィルムであることが好ましい。延伸フィルムを製造する際の延伸方法は、ロール−一軸延伸、圧延、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、チューブラー延伸等の公知の方法が使用できる。特に、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が、厚薄精度、機械的物性等の点で優れているため好ましい。
基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)上にガスバリア層の塗膜を形成する方法(コート法)は特に限定されず、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、メタリングバーコートなどの公知のコート法が適用でき、適宜組み合わせることにより複数層のガスバリア層の塗膜を形成することもできる。前記の塗膜の形成は、どの段階で行ってもよく、例えば、熱可塑性樹脂基材を前述の製造方法で述べたように縦一軸延伸した後に塗膜の形成を行い続けて横延伸する方法、二軸延伸加工後に引き続いて塗膜を形成する方法等のインラインコートする方法、あるいはオフラインコートする方法のいずれを採用してもよい。乾燥条件の制御の容易さ等からオフラインコートとすることが好ましい。基材フィルムはガスバリア性樹脂組成物の塗布前に公知の接着促進処理、例えば空気中、窒素ガス中、窒素/炭酸ガスの混合ガス、その他の雰囲気下でのコロナ放電処理、減圧下でのプラズマ処理、火炎処理、紫外線処理等を施していてもよい。もちろん、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンイミン等の公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施しても良い。
ガスバリア層からなる塗膜の乾燥方法は特に限定されず、熱ロール接触法、熱媒(空気、オイル等)接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等が利用できる。ガスバリア層の乾燥は、ガスバリアフィルムのガスバリア性を保持するという観点から、60℃〜160℃の範囲内で行われることが好ましく、乾燥の時間としては1〜60秒、好ましくは3〜30秒である。
ガスバリア層の構成成分、すなわちガスバリア性樹脂組成物を含んだ塗剤は、溶媒に膨潤性無機層状化合物粒子が均一に分散もしくは膨潤し、かつポリウレタン樹脂が均一に分散した溶液であることが好ましい。溶媒としては水または水と低級アルコールとの混合溶液が用いられる。水と低級アルコールとの混合溶液を用いると乾燥を短時間で行うことが可能となり好ましい。低級アルコールとは炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するアルコール性化合物であり、例えばメタノール、エタノール、n−またはイソ−プロパノールが好ましく用いられる。溶媒における水と低級アルコールとの混合比率は重量比で(前者:水)/(後者:アルコール)として、100/0〜70/30が好ましく、100/0〜90/10がさらに好ましい。塗剤の濃度は特に限定されないが、乾燥効率の観点から5重量%以上で行うことが好ましい。前記塗剤の粘度は、塗工性の観点から、50cps以下、好ましくは30cps以下である。
また、塗剤中には、ガスバリア層塗膜の成膜性あるいは塗布性を高めるため、塗剤の安定性が損なわれない範囲で、水溶性有機化合物を添加しても良い。水溶性有機化合物としては、溶媒として使用される上記低級アルコール以外に、グリコール類、グリコール誘導体、グリセリン、ワックス等の多価アルコール類、エーテル類、ケトン類、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリスチレンスルホン酸系樹脂、エポキシ系樹脂等の水溶性樹脂等が挙げられる。
前述の塗剤の調整方法は、特に限定されるものではない。膨潤性無機層状化合物を溶媒に均一に分散させた分散液と、ポリウレタン樹脂の水分散液とを混合する方法が有効に用いられる。塗剤中でポリウレタン樹脂と膨潤性無機層状化合物は十分に均一に分散していることが好ましい。特に膨潤性無機層状化合物は、分散液中で二次凝集している可能性があるため、膨潤性無機層状化合物を溶媒に分散させた後に、せん断力、ずり応力のかかるホモミキサー、ジェットミル、ニーダー、サンドミル、ボールミル、3本ロール、超音波分散装置等を用いて機械的な強制分散処理を行う方法が好ましく用いられる。また、塗剤の調整段階において、真空撹拌装置等を用いた濃縮操作により、安定性を損なわない範囲で、残留する揮発性塩基化合物を低減しても良い。あらかじめ濃縮操作で揮発性塩基化合物を低減することにより、塗剤の塩基性度を下げることができ、塗布装置の腐食低減効果や、ガスバリアフィルム中の揮発性塩基化合物の残留量をより少なくする効果が期待できる。
なお、ガスバリア層の厚さは特に限定されないが、ガスバリアフィルムとしての機能(ガスバリア性)の保持及び製造コストの観点から、0.1〜5μm、好ましくは0.3〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。
上記のとおり基材フィルムに形成されたガスバリア層の酸素透過度は、請求項の発明に規定するように、ガスバリア層の層厚を1μmに換算したとき、後述する実施例から明らかなように、20℃、90%RH(相対湿度90%)において、40mL/m2・atm・day以下、特には20mL/m2・atm・day以下であることを満たす。
以上のとおり詳述した本発明のガスバリア性樹脂組成物からは、焼却時にダイオキシン等の有機塩素系化合物が発生するおそれはない。また、本発明のガスバリア性樹脂組成物が積層されているガスバリアフィルムにあっては、とりわけ、高湿度条件下における良好なガスバリア性、すなわち気密性を具備する。そのため、食品(例えば、ハム、チーズ等)の水分活性が高い種々の物品の包装において、好適な包装資材として利用することができる。
製造例1ないし14に従い、14種類のポリウレタン樹脂(A):PU1〜PU14を調製した。また、本実施例において、膨潤性無機層状化合物(B)に合成マイカ(コープケミカル株式会社製:ME−100)を用いた。
[製造例1(ポリウレタン樹脂:PU1の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)112.9g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)185.5g、エチレングリコール55.9g、ジメチロールプロピオン酸40.2g、及び溶剤としてメチルエチルケトン202.3gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水61.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1050.3gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%の水分散型ポリウレタン樹脂(PU1)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU1)の酸価は41mgKOH/g、実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は11.3重量%、エステル基濃度、(i)式及び(ii)式構造の濃度、(iii)式及び(iv)式構造のポリオール化合物中に占める濃度はいずれも0重量%、数平均分子量は2000であった。
[製造例2(ポリウレタン樹脂:PU2の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)123.7g、エチレングリコール21.7g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)89.0g、ジメチロールプロピオン酸20.1g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水30.8gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水934.6gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%の水分散型ポリウレタン樹脂(PU2)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU2)の酸価は25mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は17.0重量%、エステル基濃度は9.2重量%、(i)式構造の濃度は15.1重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は80.4重量%、数平均分子量は1500であった。
[製造例3(ポリウレタン樹脂:PU3の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)123.7g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸20.1g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水27.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1194.5gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU3)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU3)の酸価は27mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続は2、芳香族炭化水素基濃度は20.6重量%、エステル基濃度は15.1重量%、(i)式構造の濃度は24.8重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は2900であった。
[製造例4(ポリウレタン樹脂:PU4の調製)]
水素添加MDI(メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))104.9g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で3時間反応させた後、さらに水素添加MDIを157.3g滴下し混合して3時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、アンモニアガスをゆっくりバブリングしながら加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水934.6gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU4)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU4)の酸価は24mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は11.3重量%、エステル基濃度は13.1重量%、(i)式構造の濃度は21.5重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は4700であった。
[製造例5(ポリウレタン樹脂:PU5の調製)]
水素添加MDI(メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))104.9g、BHEI(ビス(ヒドロキシエチル)イソフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で3時間反応させた後、さらに水素添加MDIを157.3g滴下し混合して3時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、アンモニアガスをゆっくりバブリングしながら加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水934.6gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU5)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU5)の酸価は24mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は11.3重量%、エステル基濃度は13.1重量%、(ii)式構造の濃度は21.5重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は4500であった。
[製造例6(ポリウレタン樹脂:PU6の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)123.7g、エチレングリコール21.7g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)89.0g、ジメチロールプロピオン酸20.1g、及び溶剤としてメチルエチルケトン165.0gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、エチレングリコール8.7gを加え、鎖伸長反応を行った。赤外吸収スペクトルにより、イソシアネート残基が存在することを確認した後、このウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水を11.6g加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水917.4gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU6)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU6)の酸価は25mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は16.3重量%、エステル基濃度は9.0重量%、(i)式構造の濃度は14.8重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は74.5重量%、数平均分子量は3400であった。
[製造例7(ポリウレタン樹脂:PU7の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)123.7g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸20.1g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、トリエチルアミン20.2gを加えカルボキシル基の中和を行い、さらに25重量%アンモニア水27.2gを加え、イソシアネート残基の封鎖を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1194.5gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU7)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU7)の酸価は27mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続は2、芳香族炭化水素基濃度は20.6重量%、エステル基濃度は15.1重量%、(i)式構造の濃度は24.8重量%で、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は2900であった。
[製造例8(ポリウレタン樹脂:PU8の調製)]
水素添加XDI(ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)439.1g、エチレングリコール61.5g、ジメチロールプロピオン酸35.4g、及び溶剤としてアセトニトリル268.0gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、トリエチルアミン24.0gを加えカルボキシル基の中和を行った。このウレタンプレポリマー溶液を、1929.6gの水にホモディスパーにより水分散させ、2−[(2ーアミノエチル)アミノ]エタノール(AEEA)93.3gを添加して鎖伸長反応を行い、2時間攪拌した。減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU8)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU8)の酸価は25mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続は2、芳香族炭化水素基濃度、エステル基濃度、(i)式及び(ii)式構造の濃度、(iii)式及び(iv)式構造のポリオール化合物中に占める濃度はいずれも0重量%、数平均分子量は72000であった。
[製造例9(ポリウレタン樹脂:PU9の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)112.9g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)185.5g、テトラメチレングリコール 31.2g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)152.6g、ジメチロールプロピオン酸40.2g及び溶剤としてメチルエチルケトン266.3gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水61.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1510.9gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下に2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU9)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU9)の酸価は32mgKOH/g、実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は5、芳香族炭化水素基濃度は17.2重量%、エステル基濃度は9.9重量%、(i)式構造の濃度は16.2重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は83.0重量%、数平均分子量は1800であった。
[製造例10(ポリウレタン樹脂:PU10の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)61.8g、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)50.4g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、及び溶剤としてメチルエチルケトン197.8gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水27.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1153.1gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下に2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU10)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU10)の酸価は28mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は6、芳香族炭化水素基濃度は21.2重量%、エステル基濃度は15.6重量%、(i)式構造の濃度は25.5重量%で、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は4000であった。
[製造例11(ポリウレタン樹脂:PU11の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)124.0g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)205.0g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)118.0g、ジメチロールプロピオン酸32.9g、及び溶剤としてメチルエチルケトン254.2gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、トリエチルアミン25.3gを加えカルボキシル基の中和を行った。このウレタンプレポリマー溶液に水1383.8gを加え乳化分散させ、エチレンジアミン44.0gで鎖伸長反応を行い、2時間攪拌した。減圧下に2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU11)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU11)の酸価は24mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続は2、芳香族炭化水素基濃度は12.1重量%、エステル基濃度は7.1重量%、(i)式構造の濃度は9.4重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は80.6重量%、数平均分子量は30000であった。
[製造例12(ポリウレタン樹脂:PU12の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)56.4g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)247.4g、エチレングリコール55.9g、ジメチロールプロピオン酸40.2g、及び溶剤としてメチルエチルケトン205.0gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水61.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1273.1gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下に2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU12)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU12)の酸価は27mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は5.6重量%、エステル基濃度、(i)式構造の濃度、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度はいずれも0重量%、数平均分子量は1400であった。
[製造例13(ポリウレタン樹脂:PU13の調製)]
水添MDI(メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))393.5g、エチレングリコール18.6g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)152.5g、ジメチロールプロピオン酸40.2g、及び溶剤としてメチルエチルケトン307.5gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水61.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水2214.1gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。減圧下に2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分25重量%水分散型ポリウレタン樹脂(PU13)を得た。
ポリウレタン樹脂(PU13)の酸価は41mgKOH/g、このポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続数は2、芳香族炭化水素基濃度は7.4重量%、エステル基濃度は8.6重量%、(i)式構造の濃度は14.1重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は89.1重量%、数平均分子量は2100であった。
[製造例14(ポリウレタン樹脂:PU14の調製)]
XDI(キシリレンジイソシアネート)75.2g、NBDI(ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナン)123.7g、BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)177.9g、ジメチロールプロピオン酸20.1g、及び溶剤としてメチルエチルケトン167.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させ、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーを得た。このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を30℃に保ち、25重量%アンモニア水27.2gを加え、イソシアネート残基を封鎖し、同時にカルボキシル基の中和を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基に由来する吸収が消失したことを確認した後、水1194.5gを徐々に加えて乳化分散させ、2時間攪拌した。さらに水酸化ナトリウム水溶液800g(うち、水酸化ナトリウム8.0g)を加え、減圧下にて2時間かけて60℃まで昇温しながら、段階的に脱溶剤を行い、固形分25重量%ナトリウム中和型ポリウレタン樹脂(PU14)を得た。この脱溶剤は、カルボキシル基の中和塩基であるアンモニアとナトリウムのイオン交換反応を兼ねており、初期段階から存在した留出物から発生するアンモニア臭が最終段階で減少したことをもって、実質的にイオン交換が終了したものと判断した。
ポリウレタン樹脂(PU14)の酸価は27mgKOH/g、同ポリウレタン樹脂中に実質的に含まれるメチレン鎖の最大連続は2、芳香族炭化水素基濃度は20.6重量%、エステル基濃度は15.1重量%、(i)式構造の濃度は24.8重量%、(iii)式構造のポリオール化合物中に占める濃度は100.0重量%、数平均分子量は2900であった。
前記の14種類の製造例に基づき調製したポリウレタン樹脂(A):PU1〜PU14と、前記の膨潤性無機層状化合物(B)である合成マイカとを次に示す配合により調製し、各試作例のガスバリア性樹脂組成物を得た。
[試作例1のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液50gに、製造例1のポリウレタン樹脂(PU1)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が15重量%となるまで水を加え、試作例1のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例2ないし7のガスバリア性樹脂組成物の調製]
上記試作例1のガスバリア性樹脂組成物の調製手法に準じ、ポリウレタン樹脂(PU1)を製造例2ないし7の調製により得たポリウレタン樹脂(PU2〜PU7)に変更した。試作例2のガスバリア性樹脂組成物はポリウレタン樹脂(PU2)を用い、以下、樹脂の順通りに試作例3ないし7のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例8のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液25gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が15重量%となるまで水を加え、試作例8のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例9のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液100gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が6重量%となるまで水を加え、試作例9のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例10のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液250gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が6重量%となるまで水を加え、試作例10のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例11のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液50gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が6重量%となるまで水を加え、試作例11のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例12ないし18のガスバリア性樹脂組成物の調製]
上記試作例1のガスバリア性樹脂組成物の調製手法に準じ、ポリウレタン樹脂(PU1)を製造例8ないし14の調製により得たポリウレタン樹脂(PU8〜PU14)に変更した。試作例12のガスバリア性樹脂組成物はポリウレタン樹脂(PU8)を用い、以下、樹脂の順通りに試作例13ないし18のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例19のガスバリア性樹脂組成物の調製]
膨潤性無機層状化合物の水分散液を用いることなく、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら水に添加し、最終のポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度を15重量%として、試作例19のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例20のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液5gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が15重量%となるまで水を加え、試作例20のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[試作例21のガスバリア性樹脂組成物の調製]
前記の合成マイカを5重量%含み懸濁させた膨潤性無機層状化合物の水分散液1000gに、製造例3のポリウレタン樹脂(PU3)100gを攪拌しながら添加し、合成マイカ及びポリウレタン樹脂の合計全固形分濃度が6重量%となるまで水を加え、試作例21のガスバリア性樹脂組成物(ガスバリア層塗剤)を調製した。
[ガスバリアフィルム試作:ガスバリア性樹脂組成物の積層]
上述の調製に得られた各試作例のガスバリア性樹脂組成物について、それぞれを基材フィルムの一面側に積層(塗布)した。基材フィルムには、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製QH−1,厚さ20μm,高防湿グレード)を用い、同二軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面上に試作例1ないし7のガスバリア性樹脂組成物、ならびに試作例12ないし20のガスバリア性樹脂組成物のそれぞれについて、乾燥後の塗布厚さ(ガスバリア層の層厚)を2μmとなるようにグラビアコーターで塗布した。塗布後、120℃で5秒間乾燥し、試作例1ないし7のガスバリアフィルム、ならびに試作例12ないし20のガスバリアフィルムを試作した。
次に、基材フィルムに積層されるガスバリア性樹脂組成物の積層回数、及び膨潤性無機層状化合物の配合比の影響を調べるべく以下のとおりガスバリアフィルムを試作した。前記の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(QH−1)のコロナ放電処理面上に試作例9ないし11、及び試作例21のガスバリア性樹脂組成物のそれぞれについて、乾燥後の塗布厚さを0.5μmとなるようにグラビアコーターで塗布した。塗布後、120℃で5秒間乾燥した。続けて各塗布面に同一のガスバリア性樹脂組成物を乾燥後の塗布厚さが1.0μmとなるようにグラビアコーターで塗布した後、130℃で5秒間乾燥した。さらに続けて2回目の各塗布面に同一のガスバリア性樹脂組成物を乾燥後の塗布厚さが0.5μmとなるようにグラビアコーターで塗布した後、120℃で5秒間乾燥し、3回塗布の合計塗布厚さ(ガスバリア層の層厚)が2μmとなる試作例9ないし11、及び試作例21のガスバリアフィルムを試作した。
[ガスバリアフィルムの酸素透過度測定]
以上のとおり得られた試作例1ないし21のガスバリアフィルムの酸素透過度について、酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製:MOCON OXTRAN10/50A)を用いた。そこで、各々の試作例のガスバリアフィルムについて、20℃、90%RH雰囲気下における酸素透過度(mL/m2・atm・day)を測定した(ガスバリアフィルムの酸素透過度(α)の測定)。
ガスバリア層の層厚を1μmに換算した際の酸素透過度の算出は、前記の測定により得られたガスバリアフィルムの酸素透過度(α)と共に、基材フィルムの酸素透過度(β)を測定する。そして、積層されたガスバリア層単独の酸素透過度を(γ)とすると、ガスバリアフィルム全体の酸素透過度の逆数は、当該ガスバリアフィルムを構成する各層の酸素透過度の逆数を和としたものと等しく、次の数式(f)で表される。
Figure 0004596528
数式(f)に従って算出された酸素透過度の逆数(1/γ)にガスバリア層の層厚で乗算することにより、ガスバリア層の層厚1μm当たりの酸素透過度換算値(mL/m2・atm・day)を算出した。
[ガスバリアフィルムの水蒸気透過度測定]
併せて、試作例1ないし21のガスバリアフィルムの水蒸気透過度について、水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製、PERMATRAN−W 3/30MG)を用い、40℃、90%RH雰囲気下、及び40℃・100%RH雰囲気下でそれぞれ測定し、水蒸気透過度(mL/m2・atm・day)を測定した。
[ヘイズ値の測定]
JIS K 7105に記載の方法に準拠し、デジタル濁度計(日本電色工業社製:NDH−20D)を使用して測定したヘイズ値を用い測定した。単位は(%)である。
[結果・考察]
試作例1ないし21のガスバリアフィルムについて、含有されているポリウレタン樹脂の種別、使用物質と共に、酸素透過度、水蒸気透過度、ヘイズ値の測定結果を図2の表として示す。比較のため、二軸延伸ポリプロピレンフィルム単体の酸素透過度、水蒸気透過度、ヘイズ値も測定した。表中の「部」とは固形分換算の重量部を示す。表中の略号DMPAはジメチロールピロピオン酸、EGはエチレングリコール、AEEAは2−[(2ーアミノエチル)アミノ]エタノール、EDAはエチレンジアミン、NH3はアンモニア、BHETは(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタル酸)、BHEIはビス(ヒドロキシエチル)イソフタル酸、TEAはトリエチルアミンである。
図2の表における明示項目は、左から順に、1)メチレン鎖の最大連続数、2)芳香族炭化水素基の濃度(重量%)、3)数平均分子量、4)アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物、5)鎖伸長剤、6)末端封鎖剤、7)エステル基濃度(重量%)、8)(i)式もしくは(ii)式構造の濃度(重量%)、9)(iii)式もしくは(iv)式構造のポリオール化合物中に占める濃度(重量%)、10)使用ポリエステルポリオール、11)中和塩基、12)ポリウレタン樹脂と膨潤性無機層状化合物との混合比(固形分重量比換算)、13)ガスバリア性樹脂組成物合計固形分濃度(重量%)、14)積層回数、15)ガスバリア層の層厚(μm)、16)20℃、90%RH雰囲気下におけるガスバリアフィルムの酸素透過度(mL/m2・atm・day)、17)層厚を1μmに換算した20℃、90%RH雰囲気下におけるガスバリア層の酸素透過度(mL/m2・atm・day)、18)40℃、90%RH雰囲気下におけるガスバリアフィルムの水蒸気透過度(mL/m2・atm・day)、19)40℃、100%RHの雰囲気下におけるガスバリアフィルムの水蒸気透過度(mL/m2・atm・day)、20)ヘイズ値(%)の20項目である。
図2の表より理解されるとおり、試作例1ないし11のガスバリアフィルムにあっては、試作例12ないし21のフィルムと比較して、前記の項目17)層厚を1μmに換算した20℃、90%RH雰囲気下におけるガスバリア層の酸素透過度において、明らかに性能の向上が認められる。併せて、項目18)の90%RHの水蒸気透過度、19)の100%RHの水蒸気透過度の結果より、試作例2ないし11のガスバリアフィルムは他の試作例よりも優れている。すなわち、試作例2ないし11のガスバリアフィルムの調製に供した使用物質、配合比率を具備すると、高湿度条件下における良好なガスバリア性、すなわち酸素、水蒸気に対する気密性を満たし、水分活性が高い種々の物品の包装に好適である知見が得られた。図2の表では、試作例1,12〜21を参照例とするべく、「*」を付して区別している。
ガスバリア性樹脂組成物に配合されるポリウレタン樹脂の部分構造概念図である。 ガスバリアフィルムの測定結果を示す表である。

Claims (6)

  1. 骨格構造中に含まれるメチレン鎖の連続数が4以下、かつ芳香族炭化水素基濃度が10重量%以上、かつ数平均分子量が1500〜4700であるポリウレタン樹脂(A)と、
    水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)とを含有し、
    前記ポリウレタン樹脂(A)が、
    ポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、アニオン性親水基及び2以上の活性水素を有する化合物(c)と揮発性塩基化合物である中和剤(d)とを反応させてウレタンプレポリマーを得ると共に、
    前記中和剤(d)により中和した後もしくは中和と同時に、アンモニア、第一級アミン化合物、及び第二級アミン化合物の少なくとも一種以上から選択される末端封鎖剤(e)を添加し、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート残基を封鎖して得たポリウレタン樹脂であって、
    前記ポリウレタン樹脂(A)は前記骨格構造中に含むエステル基濃度を5重量%以上とするポリエステル系ポリウレタン樹脂であると共に、
    前記ポリエステル系ポリウレタン樹脂における下記(i)式もしくは下記(ii)式のいずれか一方または両方で示される骨格構造が、14.8重量%以上含まれ
    前記ポリオール化合物(a)において、総ポリオール化合物中に下記(iii)式もしくは下記(iv)式のいずれか一方または両方で示されるポリオール化合物が、50重量%以上含まれ、
    前記ポリイソシアネート化合物(b)が、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも一種以上のポリイソシアネートを総ポリイソシアネート化合物中に50重量%以上含んでいる
    ことを特徴とするガスバリア性樹脂組成物。
    Figure 0004596528
    Figure 0004596528
    Figure 0004596528
    Figure 0004596528
  2. 前記ポリエステル系ポリウレタン樹脂の形態が水分散性である請求項に記載のガスバリア性樹脂組成物。
  3. 前記ポリウレタン樹脂(A)と前記水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)と間の固形分比が、100/5〜100/50である請求項1または2に記載のガスバリア性樹脂組成物。
  4. 前記水膨潤性である膨潤性無機層状化合物(B)が合成マイカである請求項1ないしのいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂組成物が、基材フィルムの少なくとも片面に積層されてガスバリア層を形成していることを特徴とするガスバリアフィルム。
  6. 前記ガスバリア層の層厚が1μmであるときの当該ガスバリア層の酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、40mL/m2・atm・day以下である請求項に記載のガスバリアフィルム。
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